映画「ブルーサーマル」公開記念特別インタビュー

映画「ブルーサーマル」公開を記念して、声優陣に特別インタビュー!!
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堀田真由さん(都留たまき役)インタビュー

――映画「ブルーサーマル」の本編映像をご覧になった感想を教えてください。
 私は本作で初めて声のお仕事をさせていただいたのですが、自分の声がしっかりと作品に組み込まれていて、なんだか不思議な感覚でした。アフレコしたときにはまだ絵も線画の状態だったので、映像を観て「こうしていろんな要素が交わって一つの作品になるんだ!」と感動しましたし、とても感慨深かったです。

――堀田さん演じる都留たまきはどんなキャラクターだと感じて演じられましたか?
 たまきはすごく天真爛漫で一生懸命な女の子です。普段はとても明るいのですが、少し複雑なバックボーンも抱えていて、自己肯定感は高くありません。でも、グライダーとの出会いをきっかけに、いい仲間や美しい空と触れ、この物語を通じて成長していきます。

――そんなたまきの成長を、堀田さんはどうご覧になっていましたか?
 たまきの声をやらせていただきながら、自分自身と重ねていました。私もお仕事をするなかで、こうやって周りの人に支えられながら成長しているのだということを改めて感じて。航空部のメンバーに支えられるたまきの姿を観ながら、私自身のことも顧みられたと思います。

――作中で描かれる航空部メンバーの絆に共感する部分も多かったのでしょうか?
 そうですね。私も中学生のときはバスケ部に所属して、みんなで仲間意識を持って一つの目標を目指してやり遂げるということは自分でも経験してきていました。だから、共感する部分は多かったです。

――グライダーで空を飛ぶシーンをご覧になった感想も教えてください。
 自分自身も一緒にグライダーに乗って空を飛んでいるような感覚になりました。空を飛んで高く上っていく様子や、どんどん太陽が近くなっていく感じ、ツヤッと光るグライダーの機体、上空から見た景色や、風で揺れる草……どの描写もとにかく美しくて。私もその場にいるような気持ちでしたね。改めて、アニメーションってすごくリアルに近い感覚を味わえるのだと思いました。

――マンガ『ブルーサーマル ―青凪大学体育会航空部―』を読まれた感想を教えてください。
 小沢かな先生が描かれるキャラクターはどの子もそれぞれ個性的で。みんながかわいらしくて、みんなに感情移入しながら読ませていただきました。そして、やっぱりグライダーの気持ちよさや美しさを絵だけでこんなにもリアルさを表現できることに、すごい作品だなと感じましたね。すごくいいところで終わっていて、たまきたちはこのあとどうなるんだろうと思わせられました。そういう意味では、『ブルーサーマル』も続きが気になる作品ですね。

――たまきと関わりの深い、倉持潤と空知大介を演じる島﨑信長さん、榎木淳弥さんとの共演はいかがでしたか?
 声優初挑戦でお二人のような大先輩とご一緒させていただくなんて、こんな贅沢なことがあっていいのだろうかと光栄な気持ちでした。お二人とも、私が悩んでいるとそっとアドバイスをしてくださって、本当にありがたかったです。
 島﨑さんには、台本の作り方を教えていただきました。「声優は台本を自分で作っていくことが大事なんですよ」と、台本の持ち方や立ち方など一からアドバイスしてくださって。台本めくるときに、マイクにノイズが入ってしまうのもよくないので、「自分でめくりやすいようにしたほうがいいよ」と声をかけてくださったのもうれしかったです。榎木さんは、先ほど話に出た水を吹き出すシーンでアドバイスをくださいました。あと、空知とたまきはアドリブ的な掛け合いのシーンも多くて。そういうシーンは、榎木さんとやり取りしながら二人で楽しい雰囲気を作っていくことができたと思います。

――堀田さんはこの映画「ブルーサーマル」をどんな方に観てほしいですか?
 たまきたちは大学生なので、もちろん学生の皆さんにも観ていただきたいですが、個人的にはもっと幅広い方々に観ていただきたいと思っています。今はなかなか前向きになれない世の中ですし、時代的にもすぐに携帯を見てしまったりと下を向くことがすごく多いと思うんですよ。でも、私はこの作品を観たときに、1回空を見上げてみようと思いました。空を見上げると、自分が悩んでいたことがすごくちっぽけなことに思えてくるし、こんなにも大きな空の下に包み込まれると考えると優しく「大丈夫なんだよ」って言ってもらっているような気がしてきて。そうやって前向きな気持ちになれる作品なので、「こんな層に」というよりは、いろんな方に観ていただいて、皆さんにとって何かのきっかけとなる作品になってくれたらいいなと思っています!

――映画を楽しみにしている皆さんへメッセージを。
 私が初めて声優として主演を務めさせていただきました、映画「ブルーサーマル」。わからないことだらけでしたが、たまきの一生懸命さを大事にして、私自身もとにかく一生懸命な気持ちでアフレコさせていただきました。観終わったあとに空を見たくなるような、前向きな気持ちになれる作品なので、ぜひたくさんの方にご覧いただけるとうれしいです。

――お好きなマンガや小説、続きが気になる作品を教えてください。
 私は小説家の町田そのこさんの作品が大好きで。最近は、『星を掬う』という作品を読みました。町田さんの作品は心が救われるような気持ちになれるものが多いので、出たら全部買って読んでいますね。
 マンガだと、学生のときから少女マンガが好きでよく読んでいました。この仕事を始めてからは、実写化に出させていただく機会もあってそれをきっかけに読むこともありますね。いくえみ綾さんの『いとしのニーナ』もお仕事で関わらせていただいた作品なのですが、物語が終わったあとの二人がどうなったのか、個人的にはすごく気になっています。二人にまた会いたくなる、続きが気になる作品ですね。

島﨑信長さん(倉持潤役)インタビュー

――映画「ブルーサーマル」の本編映像をご覧になった感想を教えてください。
 僕は演じている倉持に感情移入しながら観ていたのですが、すごくつるたま(都留たまき)がまぶしかったです。輝かしいというか、すごく元気をもらえるんですよね。倉持もそんなつるたまのおかげで前を向けたのではないかと思うような、希望が持てる物語で、すごく視聴後感がいい作品だと感じます。

――島﨑さん演じる倉持潤はどんなキャラクターだと思って演じられましたか?
 倉持はとても才能豊かな航空部のエースです。彼も最初は、つるたまのような輝きや若人らしい前向きな想い、エネルギーを持っていたと思うんですが、いろんなことがあって、つるたまが入学してきた時点ではその輝きがくすんでしまっていて。すごく自由自在にグライダーを操って空を飛べるのに、自分自身は何かに縛られているような、そんな状態に陥っているように感じました。でも、とても前向きで、とても自由で、もしかしたら自分以上の感性や才能を持ったつるたまと出会ったことで、彼のなかの閉じていたものがちょっとずつ開いていきます。最初はグライダーを教える相手だったつるたまに、倉持が救われていくという展開は、観ていてすごくいいなと思いましたね。

――そんなたまきと倉持の関係性に対する印象も教えてください。
 グライダーのように専門的な分野だと、近い感性を持ち、かつ、ある程度以上の水準に達した者同士でしか共有できないものってあると思うんですよ。そういうものを、非常に高い次元で共有し合える二人なのかなと思います。よく「人間関係には、趣味や食の好みといった感性が合うことが大事だ」という話を聞きますけど、つるたまと倉持は、それぞれの一番太い軸みたいなものが、お互いにしか共有できないレベルでがっちりとハマっているのではないかな、と。そういう意味で、すごく二人の関係は強いですよね。たまきには空知との関係性もありますが、グライダーという点に関してはつるたまと倉持にしかわからないことがきっとあるんだろうなと思います。

――グライダーで空を飛ぶシーンをご覧になった感想はいかがでしたか?
 空の描写や光の感じももちろん素晴らしかったのですが、個人的には「音」がすごく印象に残りました。風の音が、本当にすごいんですよ! グライダーの外から描いたカットでは機体が風を切るような激しい音で、操縦席の中でのカットだとガラス越しの少しこもった音になって。そこにものすごくリアリティを感じました。僕は映像を家で拝見したのですが、家の音響環境で聴いても「右からすごい風が来ている!」とか「右から左に風が過ぎ去っていった」いうことがわかるんですよ。風の力の強さや怖さみたいなものが、音からすごく伝わってきました。きっと、映画館の音響で聴いていたら、より強くそう感じられるだろうと思います。視覚だけでなく聴覚や音の振動でも、グライダーで飛んでいる感覚を実感できるような映画になっていると思いますので、ぜひ皆さんにも映画館で楽しんでいただきたいです。

――印象に残っているシーンを教えてください。
 つるたまと空知の掛け合いはすごくいいなと思いました。倉持は先輩ということもあって、一歩引いて場をコントロールすることが多いのですが、つるたまと空知は対等にぶつかり合っていて。一応、空知も先輩なんですけどね(笑)。ワーキャーと掛け合うつるたまと空知を見て、僕は収録中にちょっとうらやましいなと感じていました。もしかしたら、そこで倉持とリンクする部分もあったのかなのかなと思うんですよね。倉持は、対等な立場でまっすぐ向き合っている二人を見て切なさを感じていたのかな、と。倉持はどこかまっすぐ向き合えてはいない部分がありますから。そんなところも映像で丁寧に描かれていてよかったです。
 つるたまと空知、二人きりのシーンで挿入歌が流れるんですが、曲の入り方がすごくよくて、そこも印象に残っています。それまでワーワーとケンカし合っていた二人がちょっと違ったやり取りを見せていて。歌と共に胸にグッと染み入るシーンでした。倉持視点だと、「倉持! なんでおまえはその場にいないんだー!」と思いましたが(笑)。

――原作マンガ『ブルーサーマル ―青凪大学体育会航空部―』を読まれた感想も教えてください。
 『ブルーサーマル』の登場人物はみんなそれぞれ抱えているものがあります。映画でもその断片は見えるのですが、原作だとより丁寧にトラウマが掘り下げられています。それがいずれもかなり重いんですよね。たまきに関しても、今回の映画では一本の青春ドラマとして、彼女の前向きさや明るい部分がフィーチャーされているのですが、原作だともう少し暗い部分も膨らんでいて。つるたまとお姉ちゃん(ちづる)との関係性についても、原作だとお互いの視点からの描写が増えていて、より「ままならないな!」と感じさせられました。そういう意味では、より気持ちを上下に揺さぶられる物語だと思います。でも、下が深いからこそ、そのぶん上へと登ることの美しさが感じられて。辛いときにも頑張って踏ん張ることの尊さに、すごく元気をもらえるし、励まされると感じました。倉持的には原作のラストもまた衝撃的で。僕の印象だと、映画がハッピーエンドで、原作がトゥルーエンドみたいなイメージですね(笑)。マンガと映画の違いも含めて、どちらも楽しんでいただければと思います!

――お好きなマンガや小説、続きが気になる作品を教えてください。
 電子書籍はよく使います。僕はけっこう、面白いと思った作品を何回も読み返すタイプなんですよね。子どものころからそうなのですが、電子書籍を買うようになってからより気軽に読めるようになりました。
 最近読み返したのは、週刊少年ジャンプで連載されていた『明稜帝 梧桐勢十郎』というマンガです。主人公の梧桐勢十郎は乱暴かつ横暴で、一見何も悩みがなさそうなのですが、実はいろんなことを抱えていて。ほかの登場人物もだいたいみんなトラウマを抱えているのですが、それをちょっと荒療治で乗り越えていくんです。踏ん張りながらも生きていこうというメッセージが込められた、とても楽しい作品です。

榎木淳弥さん(空知大介役)インタビュー

――映画「ブルーサーマル」の本編映像をご覧になった感想を教えてください。
 空の表現や景色がとにかく綺麗な作品だなと思いました。グライダーで飛ぶシーンは臨場感がありましたし、空から見た地上の風景はすごく美しくて。そんな映像美が一番印象に残りました。僕は家で映像を拝見したのですが、劇場の大きなスクリーンで観たらきっと惹かれるポイントになるのだろうなと感じました。

―――榎木さん演じる空知大介はどんなキャラクターだと思って演じられましたか?
 つるたま(都留たまき)の養成担当を任される航空部の先輩で、性格的には、直情的といいますか、子どもっぽいといいますか。大学生ではありますがまだ幼い部分もあって、たまきに対して威嚇したり、本当は嫌ってないけど嫌いみたいな態度をとってしまったりするところがあるキャラクターです。ご覧になった方にとっては、感情移入しやすいキャラクターなのかなと思いました。

――たまきと空知の関係性に対する印象も教えてください。
 空知的には倉持(潤)も含めて三角関係の部分もあったりするのですが、正直、一方通行なところも多いと思います(笑)。たまき的には空知を「よき先輩」として見ていて、ちょっと不憫なキャラクターでもありますが、物語が進むにつれて、つるたまに対してちょっとずつ素直に、やさしくなっていく感じは彼の魅力だと思います。挿入歌がかかるシーンはキレイですが、空知的にはちょっと切なかったですね。

――作中で描かれる航空部メンバーの絆に共感する部分はありましたか?
 そうですね、僕も学生時代には部活をやっていたので。僕の場合は野球部と剣道部だったのですが、青凪大学航空部と同じように部員同士みんな仲が良かったですし、映画を観ながらなんとなくそのときのことを思い出しました。大人になると部活みたいなチーム感が生まれる環境ってなくなっていきますし、特に僕は会社員ではないので、みんなでワイワイ何かに取り組むという感じに、どこか懐かしさもありましたね。

――印象に残っているシーンや苦労したシーンを教えてください。
 たまきが落とし物をしてしまって、それをみんなで探すというシーンがありますが、そこは少し苦労しました。というのも、そのシーンでのたまきと空知の掛け合いが、かなりタイミングがシビアだったんです。ちょっと声が被ったりもするので、しゃべり出しを合わせるのがなかなか難しくて。あまり画面ばかりを観ていても集中できないので、なるべく(たまき役の)堀田(真由)さんのほうを見てお芝居していたのですが、声がずれていないか心配だったんです。けど、映像を観たらちゃんと合っていて。声と映像を綺麗に合わせてくださったミキサーさんに感謝しています。

――ほかの共演者の方とのやりとりで印象に残っていることは?
 アフレコはコロナ禍ということもあって基本的に皆さん別々の分散収録だったのですが、堀田さん、(倉持潤役の島﨑)信長くんとは一緒に録っていて。信長くんとはアフレコ終わったあとに、1時間くらい駅まで一緒に歩いて帰った思い出がありますね。「いつもこの駅を使うけど、実はこっちの駅のほうが近い」という噂を別の人から聞いていたので、「こっちの駅のほうが近いらしいから、行ってみようよ」と誘ったのですが、どうやらそれはタクシーで行った場合のことだったみたいで(笑)。歩いたら1時間くらいかかってしまいました。アフレコも一日中ずっと一緒でしたし、帰り道もずっと一緒にしゃべっていたので、この作品を通じてずいぶん仲が深まった気がします。

――原作マンガ『ブルーサーマル ―青凪大学体育会航空部―』を読まれた感想も教えてください。
 淡い感じの絵のタッチが印象的でした。線の描き方が、アニメの絵とはまた違いますよね。ストーリーも映画とは少し違っていて。映画は決められた時間の中で一つの作品として成り立つような作りになっている一方で、原作は登場人物一人一人のバックボーンがより深く掘り下げられています。どちらかというと、原作のほうがより苦い感じもあるのかなと思いますね。そういう部分も面白かったです。映画と原作の違いも含めて、ぜひ両方を楽しんでいただけたらと思います。

――映画を楽しみにしている皆さんへメッセージを。
 映画が公開されるのは3月ということで、学生さんにはこれから新生活が始まるという方も多いと思います。きっと、なかには何部に入ろうかと悩んでいる人もいると思いますが、この作品にはまさにそんな青春が詰まっています。きっと共感できる部分もあると思いますので、学生さんにぜひ観ていただきたいですね。また、大人が観ても「自分は昔こうだったな」とか「僕にはこんな青春はなかったな」とか、いろんな視点で楽しんでいただけると思います。ぜひ劇場でご覧いただけたら幸いです。

――お好きなマンガや小説、続きが気になる作品を教えてください。
 僕も電子書籍はよく使います。マンガも読むのですが、最近は活字本を読むことも多いですね。ちょっと前に芸術家の岡本太郎さんが書かれた本を読みまして、それがすごく面白かったです。もともと僕のなかでは、岡本太郎さんはきっと天才肌で変わった人なのだろうという印象だったんですが、読んでみたらすごく理論派な方なのだとわかりました。なぜこの絵がいいと思うのかということをすごくわかりやすく解説されていて。芸術ってこういうものなんだと思いましたし、その考え方は芝居にも繋がる部分があったりして。何回読んでもいいと思うような本でしたね。

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