佐野洋作品一覧

  • 運ばれた危険
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    家を3日間留守にするので、飼い犬に餌をやって欲しい――宅配便のセールス・ドライバーが担当区のお得意の夫人から受けた奇妙な依頼。それが、事件の発端で危険な罠だった。彼女は、約束の日を過ぎても帰らなかったのだ。平和な高級住宅地を舞台に巻き起こる不可解な連続殺人。巨匠が放つ白熱のサスペンス! 文庫オリジナル。
  • 見習い天使 完全版
    4.3
    小説の面白さを追求し続けた作家・佐野洋。人間の尽きることのない欲望を無駄のない描写とテンポのよい運びで読ませる物語は、古びることのない魅力を持つ。さらに、その全てには予想を裏切る結末も――。人間世界を見つめる“見習い天使”が全23篇の案内役を務める構成も洒落た連作ミステリが完全版で甦る。巻末には編者日下三蔵の詳細な解説に加え、星新一による解説も特別収録する。
  • 指の時代
    3.0
    キャリアの新人警部補・桜川が、大藤署にやって来た。警察庁幹部の親戚筋にあたるという、超エリートの「教育係」を命じられたのは、ベテランの柿本巡査部長。だが、大藤署の現役署員が起こしたある交通事故をきっかけに、柿本も理不尽な事件に巻き込まれていく――。警察署内で不祥事発覚! だれが嘘をついたのか? その背後に見え隠れする、警察の「暗部」と「腐敗体質」を鋭く抉る、ミステリーの巨匠による傑作長編推理小説。
  • 佐野洋短篇推理館《文庫オリジナル最新14作》
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    「殺したい男がいる」と告げた女の真意とは? 離婚した妻から突然頼まれた事のてん末は? 偽装アリバイ、変形倒叙、犯人当て、心理の深層……名手が繰り出す傑作の数々が、あなたの推理に挑みます。思わず唸る真相、これぞ短篇の醍醐味です。ミステリ界の巨人が、あらゆる技と知恵を駆使した傑作集。
  • 檻の中の被害者
    3.0
    動物好きの恋人の影響を受けた弁護士事務所の調査員・谷田は、出張のたびに、その地の動物園を訪れるようになった。だが、なぜかそこのサルやキツネが毒殺されるという奇妙な事件が続発。疑いをかけられつつ谷田自身がその謎を追っていくと、驚くべき真実が……。名匠が放つ連続動物怪死事件の秘密を描く傑作ミステリー。
  • 深夜のためらい
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    父の留守中に知り合いからかかって来たなにげない電話がもとで、ある事件に巻きこまれた父娘の、絶妙なアリバイ崩しを描いた表題作をはじめとして、男女の愛をめぐって、日常茶飯に発生するさまざまな犯罪のかたちを描き、その謎を鮮やかに解く。短編推理の名匠によるオリジナルの自選傑作11編を収録。
  • 轢き逃げ
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    大手精密機器会社課長・守口は、愛人とのドライブ中に人を撥ねてしまった。被害者を置き去りにして逃げた彼は、腹心の部下や車のセールスマンを巻き込み、徹底的な隠蔽工作を図る。次第に迫る捜査の手。被害者の遺族側も真相を探り始め……追いつめられた守口は、思いもかけない行動に打って出た――。日本ミステリー史に燦然と輝く、巨匠の長編代表作!
  • 光る砂
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    一握の砂が見る向きによって沈んだり輝いたりするように、身の回りの些細な出来事も、光の当たる角度によって、まったく違う姿を見せる。私鉄沿線の新興住宅地のタウン誌『光る砂』編集部のスタッフが探る、日常の謎。そして、その身近な「謎」に潜む意外な真実の数々とは? ミステリーの名手ならではの爽快な読後感。9編の傑作連作ミステリー集。
  • 2(S+T)の物語
    -
    「君はイニシャルがTSだろう。俺はSTなんだ」ーーふたりが初めて出会った夜、彼は嬉しそうにそう言った。白浜津矢子は、都内のマンションに住む女子大生。恋人の高場潜は、元鳶職で、趣味はなんと泥棒!?という正体不明の謎の男。絶妙の〈逆立ちコンビ〉が周辺で起こる事件の解決に乗り出して……。花の女子大生と元鳶職の青年コンビが難事件に挑む、痛快青春ミステリー。
  • 動詞の考察
    3.0
    たとえば、〈やる〉ーー「俺、あの女とやっちゃった」と言えば色っぽいけれど、「この野郎、やっちまえ」ともなれば物騒な話になる。そのほか、なにげない動詞が綾なす、極上ミステリーの数々。〈割る〉〈する〉〈眠る〉〈とる〉〈切る〉〈合う〉……。言葉から生み出される思いがけない物語。短編の名手の腕が冴え渡った、連作推理傑作集。
  • 美しい死刑
    -
    過熱した受験戦争をめぐって起こる恐るべき犯罪。――名門の私立御濃高校教師の車のトランクに、犬の死骸が投げこまれていた。日経ずして、女性外務員殺人事件と問題の高校教師殺人事件が相次ぐ。だが、これらの事件には、不思議な女の影がちらついていた。はたして、3つの事件の共通項、接点の裏に隠された真相は何か?
  • 兎の秘密 昔むかしミステリー
    3.0
    「かちかち山」の兎と狸の「妖しい関係」があぶりだす、殺人事件の真相。「浦島太郎」が乗った亀は、タイムマシンだった? 「花咲爺」で本当の悪者は誰だったのか? サルカニ合戦を恐れ、さる年の男を拒絶する蟹座の女。一寸法師と内視鏡の深い関係とは――。日本の昔ばなしを斬新な発想で愉しむ、異色短編集。
  • 生きていた灰(上)
    -
    盗難車によるひき逃げ事故が発生し、被害者の婚約者だという女性から、ルポライターの瀬川浩が調査を依頼される。だが、その彼の前に、奇妙で不気味な事件が続発。ひき逃げの背後に、戦後最大の謎といわれた事件の影がしだいに浮かび上がる。現実の事件を基に構築した、異色本格推理(前編)。
  • いつまでも昨日
    -
    北海道の新聞の片隅に載った「お悔み」記事。特別変わった点のないものだったが、なんと東京から反響があった。それもかつてお宮入りかといわれた殺人事件に関係があるらしい。その意外な真相は?(表題作)ありふれた日常生活にふと忍び込む謎を描いて冴える、名匠の秀作推理短編10編を収録。
  • 砂の階段
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    広告部長の見せた写真に、交通事故で死んだはずの同僚・高瀬の顔があった。事故は偽装だったのか? すると、未亡人が確認した死体は? 東西新聞特企部の江川は、高瀬の周辺を洗う。某省の汚職を追っていたという情報もあるし、プロ野球の八百長事件に巻き込まれたという噂もある。高瀬未亡人への愛に惹かれて、江川は謎を追うが……。
  • 事件の年輪
    -
    1巻682円 (税込)
    定年を過ぎ、人生の終盤にさしかかった男たちに降りかかるさまざまな出来事。記憶の中から蘇る若かった頃のこと、歳を取ったからこそ遭遇すること。物語の中に人生の年輪を重ねた男たちの人生がある。 まだ日本が「戦後」と呼ばれアメリカ軍の占領下にあった時代の事件の真相を死ぬまで語らず抱えたまま最期を迎えようとする男。家族に迷惑をかけたくないと自ら死を選ぶ老人。意外なところで発見された旧制中学の門札にまつわる謎など。軽いタッチで綴られるミステリーながら、滋味深い10の物語。
  • 皮肉な凶器
    -
    1巻671円 (税込)
    成田信夫に会社の同僚・盛岡精一が頼んできたのは、ゴルフの雑誌社が主催するゴルフコンペに身替わりとして参加してほしいということだった。腕に少々自信のある成田は、優勝賞品の高級ゴルフクラブに惹かれて頼みを聞き入れることにした。翌日、成田は盛岡の出社を待ったが現れない。いったい盛岡の身に何が起きたのか……(表題作の「皮肉な凶器」)。 「損な役割」では、高校時代からの同級生八重沢から、秘密の頼み事をされた遠野の顛末が描かれている。八重沢は不倫をしていたが、夫にバレてしまう。話し合いの席をもうけることになったが、身替わりとして遠野に出てほしいというものだった。慰謝料として百万を携えていった遠野がそこで見たものとは……。 もっともっと評価されるべき作家・佐野洋の、身替わりを材にとった凝りに凝ったミステリー7編。
  • 光の肌
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    晴海埠頭で1台の自動車が引き揚げられたが、運転者の死体は出てこなかった……。Mデパートの店員・野上美樹子は、妊娠処置のことを、銀座のクラブに勤める友人に相談した。そのとき、英会話と車の運転ができる美樹子に、ある会社の秘書にならないかとの話がでた。そして美樹子は、大竹通産の専務秘書になった。高価なドレスや和服を着せられ、高級レストランや料亭につれ歩かれた。数か月後のある夜、大竹通産の社運をかけた取引がおこなわれた。相手は、東南アジアのQ国使節団。座には芸者もきて賑やかだったが、代表格の男は、美樹子にしか関心を示さなかった。その数日後……。
  • 賭の季節
    -
    映画スター・上杉悠子邸の玄関先に倒れていた死体――それは、悠子にそっくりの女であった。熱狂的なファンの「自殺」として片づけられたこの事件に、木島刑事は疑問をもつ。「捜査の邪道かもしれないが……」彼は心に殺人事件を描いてみた。悠子には幼くして別れた双生児の姉・竹村久子がいた。死体は、この久子なのだろうか、あるいは悠子その人なのかもしれぬ。刑事は、付人の西条悌子とマネージャー・藤岡謙にあたった。捜査が、華やかな女優生活の裏にひそむ「影の女」の存在を知った時、事件は意外な終末を迎える。巧妙なトリックを用い、「女の賭」を描く本格推理。
  • 高すぎた代償
    -
    失業した久世は、元上司の未亡人・治子が経営する連れ込み旅館に居候している。ひも生活の慰みにと、客室に集音機を仕込んで盗聴しているうちに、ある会社の労組絡みの無理心中事件に不審な点があることを知った。好奇心を覚えた久世は、私立探偵を名乗り、治子とともに関係者を調べ始めるが……。昭和30年代の東京を舞台にした長編ミステリー。
  • 貞操試験
    -
    1巻660円 (税込)
    ある金融業者のオフィスに男女五人の若者が呼び集められた。この会社の事業と財産2億円を譲るというのだ。 しかし条件があった。それは今付き合っている恋愛関係を清算し、この先1年間特定の男女の関係を持たないことなど、条件は奇妙なものだった。 巨額に目が眩んだ5人は互いに相手を引きずり降ろそうと動き、激しい駆け引きをはじめた。 奇抜な発想に深い味わいが横たわる、不思議なサバイバル・ミステリー。
  • 幻の殺人
    4.0
    1巻660円 (税込)
    「わたくし、人を……。人を殺してしまったのです」  新聞社の論説委員をしている私は、愛人の冬子から衝撃の電話を受けた。当惑させられたのは、今朝の二時頃だという。  しかしその時刻、冬子に殺人は不可能だった。冬子とともに、わたしは家族に内密にして、熱海に二泊していたのだ。  冬子はこれから自首するという。わたしの不倫の秘密は守るれられるのか。そして、冬子は殺人犯として逮捕されされてしまうのか――。冬子によってもたらされたわたしの戸惑いが深まる。読めない結末の表題作「幻の殺人」。  この全5作の短篇は、長編の原型となったものばかり。男と女がそれぞれに秘める思惑が、意外な形をつくりだしていく。緻密で精巧なミステリー!
  • 不逞の輩 退職者たち
    -
    1巻660円 (税込)
    サラリーマンは会社では没個性を良しとして生きているが、それはあくまでも会社での顔である。 彼らの素顔があらわになるのは、定年退職した時だ。 自分はどうやって生きていけばいいのか。社会との関わりをどうやって維持していこうか。いっそ、世の中に背を向けて生きていくことも可能だろうか。 退職者たちは、生き方を探りながら恐る恐る一歩を踏み出す。 けれどもそこで待ち受けているのは、安全な地ばかりではない。落とし穴や底なし沼かもしれない。 退職がきっかけとなって起こる悪意や殺意を見事に描いた短編9作品!
  • 言えない関係
    -
    1巻660円 (税込)
    徹夜で麻雀をするといった夫不在の家で、妻の心にふっと淫らな隙ができてしまう。そこを突いた男と、ただならぬ関係がはじまり、妻は窮地に陥っていくのが表題作の「言えない関係」。 「戯れの誓い」では、もしも死期が迫っていることがわかったら、憎んでいる男を殺してやってもいい、と約束した男女の心理の葛藤と駆け引きを描く。 ほかに「指の骨」「職権濫用」「近所の墓」「血の問題」「鏡の前」「壺の中」など、全8編の短編集。いずれも、思いもかけない結末が待ち構えている。
  • 消えた人々
    -
    1巻660円 (税込)
    失踪には、思い悩む中年サラリーマンだけが失踪するものではない。専業主婦も定年退職した壮年も、何かの理由があって失踪する。 その理由とは何か。 金? 男女関係のもつれ? 殺人の隠蔽? 平凡な日常から突如消えた七人の男女の大胆な失踪計画を描いた短編集。知的ミステリーの緻密さに息を呑む。
  • 紅い喪服 佐野 洋 推理傑作選
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    地方政界の大物政治家の夫人が死去し、葬儀の席に、真紅の喪服を着た女が現れ、参列者は度肝を抜かれた! 地元紙の記者はひそかに彼女のあとをつける……。はたして、この女の正体は? この表題作のほかに、「一等車の女」「冷えた茶」「穴」「拳銃を持つ女」「利口な女」「氷の眼」「仲のよい夫婦」「現代の貞女」「捨てられた女」「宣誓」を収録。
  • 卑劣な耳(上)
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    電話のべルが再び鳴った。「新聞の投書を読んだよ。ずいぶん偉そうなことを言ってるじゃないか」と見知らぬ男は言った。私は投書なんかしていない! なのに投書欄には私の名前が……。いったい、誰の仕業なのか? 平凡な一人暮らしのOL冴子を襲う不気味な電話、その正体を追う。ミステリーの名匠が、実際にあった盗聴事件を基に描く、迫真の長編サスペンス!
  • 匂う肌 佐野 洋 推理傑作選
    -
    友人を羽田空港に見送っての帰りに会った、正体不明の女との一夜の奇妙な体験を、SF的手法で描いた表題作「匂う肌」ほか8編を収録。各編、緻密な構成と破綻を見せぬ鉄壁のプロットから成り、作者の周到な計算は、知的娯楽としての推理小説の味わいを満喫させる。佐野洋の多彩かつ華麗な創作活動を示す好短編群。
  • 崩れる 佐野 洋 推理傑作選
    -
    「読者にアッと言わせるために推理小説を書く」という著者のことばを裏切らない、傑作短編ミステリーの新たな一冊。こけおどしのおもちゃのモデル・ガンが火を吹いて、大の男が一人死ぬ。はたして偶発事故か否か――無罪を言い渡された女の心の襞のゆるみから、意外な真実が……! という表題作のほかに8編を収録。
  • 青い記憶
    -
    刑事を息子に持つ未亡人が遭遇した、奇妙な事件の意外な結末(「通話記録」)。LSDを試した女が、不気味な絵を描き残して死んだ。錯綜する自他殺論議の末のどんでん返し(「赤い蝶・青い猫」)。日常的犯罪の謎を、透徹した現実観察者の目で鮮やかに解く、短編ミステリーの傑作11編。
  • 親しめぬ肌 佐野 洋 推理傑作選
    -
    新婚旅行中の花嫁が「私は愛されない妻です」という遺書を残し、北海道・登別温泉の地獄谷へ身を投げた。新郎の女関係を匂わせた抗議の自殺なのか? 新郎はその事実を強く否定し、愛人に擬せられた女性も潔白を主張する。そして事件は意外な経過をたどり、巧妙に仕組まれた計画は功を奏したかに見えたが、意外な陥し穴が待っていた。表題作ほか10編収録の傑作群。
  • 盗まれた嘘
    -
    高校野球部員が不祥事! 推理作家・鳥居謙介(とりいけんすけ)の母校、Y県達部(たつべ)高校の選手が暴行事件を起こし、甲子園出場が危ないという。この噂は、真実か、何者かの謀略か? 鳥居から調査を命じられた助手の丹下(たんげ)は、週刊誌記者の美奈子とともに現地を訪れ、関係者を取材する。各人の証言は見事なまでに食い違っていた。偽(にせ)の警察手帳を巧(たく)みに使い、丹下は、黒い霧の真相に迫る!
  • 尾行~短編一年に一つ×25(上)~
    4.0
    光栄にも、私の場合、デビュー以来、ずっと『年度別推理小説代表作選集』(日本推理作家協会編)に作品が収録されている。この収録作品だけを集めて、文庫として出したいという希望を持っていた。今回の文庫化にあたって、一作ごとに、執筆の事情、当時の思い出、あるいは私にとっての意味などを書いてみた。このシリーズを私の短編集の決定版にしたい(著者)。
  • 白い刑事
    4.0
    刑事の仕事は、被疑者の容疑を黒くする材料を集めること。しかし、その嫌疑が、誘導尋問や偽証によって落とされた「冤罪(えんざい)」の陥穽(かんせい)であったなら――。「白い刑事」と呼ばれる中央署の刑事・相良修平(さがらしゅうへい)は、弁護士や新聞記者の協力を得て、事件の隠された真相に迫る! あふれる機知と、心に残る人生の機微。社会派ミステリーの名匠が描く八つの傑作短編。
  • 別人の旅~私的休暇白書~
    -
    部付次長の花山(はなやま)は、勤続30年のリフレッシュ休暇を取っていた。その夫人から“至急、夫に連絡を取りたい”と会社に電話が入る。花山は休みの前、部下に、「かみさんには出張ということにしてあるのでその点はよろしく」と言っていた。愛人とも別れていた男が過ごした休暇には、思わぬ展開が……(「別人の旅」)。さまざまな勤め人が、それぞれの休暇で体験する非日常的事件。
  • 埋められた手紙
    -
    妙なことを頼まれたものだと思いながら、名倉(なくら)が、親しい喫茶店の美人ママに依頼されて掘り出した一通の手紙。その〃埋められた手紙〃をめぐって、つぎつぎに名倉を襲う奇妙な出来事! 差出人・室田(むろた)美佐子と宛名の三崎(みさき)医師との背後に隠された恐るべき事実! そして、ついには殺人事件が!? 推理小説の名手による秀作ミステリー!
  • 最後の夜~短編一年に一つ×25(下)~
    3.7
    光栄にも、私の場合、デビュー以来、ずっと『年度別推理小説代表作選集』(日本推理作家協会編)に作品が収録されている。この収録作品だけを集めて、文庫として出したいという希望を持っていた。今回の文庫化にあたって、一作ごとに、執筆の事情、当時の思い出、あるいは私にとっての意味などを書いてみた。このシリーズを私の短編集の決定版にしたい(著者)。
  • 吠える炎
    -
    「公開捜査すべし」と幼稚園児誘拐犯が、警察とマスコミに堂々と挑んだ不思議な事件。その奇妙な真相は…(表題作)。ありふれた自動車追突事故の裏にひそむ怪(「逃げる壁」)。ハム愛好家が、無線会話中の仲間の突然の死の謎を解く異色短編(「無許可殺人」)…。緻密な論理と鮮やかな意外性の、推理秀作6編。
  • 婦人科選手 佐野 洋 推理傑作選
    3.0
    プロ野球の人気選手に瓜二つの男が、夜の街に出没した。その選手とは、芸能誌でさんざん浮き名を流すことになってしまったペガサス球団の田室だ。ニセ者は何が目的で、彼の名をかたったのか? その秘められた意外な真相を追求した表題作「婦人科選手」。外科医夫人殺害事件の予想だにできない結末を描いた「ある証拠」など、9編収録の傑作ミステリー短編集。
  • 大滑空
    -
    自由の翼、われにあり……。一人ソアリングを楽しんでいた私のグライダーの無線機に、突然、他機から異様な声……。私は必死に相手機をリモートコントロールして、無事着地させたが、機内には男の死体が! 大空の中で発生した不可解きわまる殺人事件を描いた「大滑空」など、佐野ミステリーの傑作6編を収録。
  • D支局長の事件簿
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    殺人容疑者の身柄をあずかった新聞社の支局長が、警察も気づかぬ事件の真相を暴く「ガラスの罠」、新聞への奇妙な投書が投げた波紋の意外な結末「満ち足りた生活」など、地方支局を舞台に展開、推理する、異色の連作ミステリー9編。元記者の著者が、難事件を見事に解く記者たちの活躍を、リアルに描く傑作集。
  • 贈られた女 佐野 洋 推理傑作選
    -
    東都新聞R支局の記者、貝塚は市長招待の宴席で不覚にも寝込んでしまい、ことの成り行きで芸妓・染子と一夜をすごしてしまった。ところが翌日、染子は不審な睡眠薬自殺を遂げた。二人の間に何がおこったのか? 他殺の線も棄てきれない。貝塚は市政の汚職事件を追っていたというが、はめられたのか? 表題作他9編の傑作ミステリー短編集。
  • 佐野洋推理傑作選 銅婚式
    -
    中堅作家の波多亮、その夫婦の銅婚式の席上で、彼の元許婚者の死の真相を追及するという、とてつもない余興が始まった。招待客は各人それぞれの立場で推理を被露するのだが、夫婦の意図は測り難い。一人の記者が大胆な推理で、真相を暴露した。ところが彼は……。鬼才の処女作「銅婚式」ほか、つぶよりの好短編7編収録の傑作ミステリ短編集。
  • 奇しくも同じ日に……
    3.0
    栄光の甲子園出場校のかつての球友二人が、奇しくも、丸1年をおいた同月同日に、死亡した! セックス日記をつけていた元記者が遭遇した、この奇妙な事件に隠されていた、意外極まる真相(表題作)。佐野ミステリーの醍醐味を満喫させる9編を精選して贈る、単行本未収録のオリジナル自選傑作短編集。
  • 墓苑とノーベル賞~岩中女史の生活記録~
    3.0
    岩中妙子は56歳の専業主婦。転居先の自治会で防犯部長を押しつけられる。だが、持ち前の好奇心から、次々と謎を追いかけていくことに……。墓苑のセールス電話が引き起こす脅迫騒動(「墓苑とノーベル賞」)、生垣に貼られた犬の糞尿への過激な警告文(「警告と署長感謝状」)など、日常の些細な出来事から広がる事件を鮮やかな推理で解明する連作ミステリー。
  • 盗難車~短編一年に一つ×25(中)~
    3.0
    光栄にも、私の場合、デビュー以来、ずっと『年度別推理小説代表作選集』(日本推理作家協会編)に作品が収録されている。この収録作品だけを集めて、文庫として出したいという希望を持っていた。今回の文庫化にあたって、一作ごとに、執筆の事情、当時の思い出、あるいは私にとっての意味などを書いてみた(著者)。『尾行』『最後の夜』と織り成す傑作短編シリーズ三部作。
  • 推理日記 I
    -
    1~6巻550~1,320円 (税込)
    ミステリーの実作家であり、眼光紙背に徹する読み巧者としても知られる著者が、「推理小説は高級な遊び(エンターテインメント)である」との信念のもとに、数々の名作、傑作の魅力と問題点を摘出。――推理小説にはこんな読みかた、楽しみかたがあったのか、という“ミステリーを十倍楽しむ知的発見の書”である。
  • 犯罪総合大学
    -
    実在した毒物殺人に刺激された女子大生の殺意(「文献学的事件」)、ガン宣告を巡る妻と夫の駆け引き(「医学的事件」)、青酸カリ殺人の怪(「薬学的事件」)、母を殺した男を追うOLの心の襞(「心理学的事件」)、飼い犬主人殺しの真相(「生物化学的事件」)、小学生と担任女教師の謎の関係とは(「教育学的事件」)――知性派作家による6つの大どんでん返しミステリー集。
  • 脳波の誘い
    -
    脳波を送って他人を自殺させることができるという、奇妙な老人が出現。さっ、そく週刊誌の記者が取材に赴いた。世紀の話題か、はたまた変人の世迷言にすぎないのか? だが、取材中に記者が「こんな人を殺せますか」と冗談で話に出した人物が、間もなく不思議な自殺を遂げてしまった! 謎が謎を呼ぶ、傑作推理長編。
  • 白く重い血
    -
    カメラマンの田代がホテルのプールでスナップ写真におさめた美貌の女性は、著名なデザイナー・前川阿里子の娘・邦子だった。なぜか阿里子は娘の写真の公開を拒み、奇怪な行動に出る。そして、その邦子が原因不明の自殺をとげ、田代の周辺は謎に包まれる。彼の追及の前に、秘密のベールに覆われたある重大な事実が……
  • 入れ換った血
    -
    保存されていた自分のへその緒の血液型鑑定をした医者が、おのれの過去の謎を追う。そしてつきとめた驚愕すべき血の運命の真相とは…(表題作)。旅の途中、一夜をともにした女の不思議な肌の秘密とは…(「棘|のある肌」)など、医学がかかわるミステリーの粋な6編。リアリティーと合理性に、ロマン性がみごとに加味された、佐野ミステリー短編集。
  • 折々の殺人
    -
    1~4巻550~660円 (税込)
    斬新な手法と鮮やかな結末で、常に読者の期待を裏切らないミステリーの名匠が、いままた放つ巧緻な構成の一冊。数ある名句・名歌の解説でつとに世評の高い大岡信氏の名著『折々のうた』にヒントを得て、ひとひねりもふたひねりもして織りあげた、絶妙にして意想外な短編推理8編を収録。
  • 小説三億円事件
    -
    事実は小説よりも奇なり? 小説は現実よりも面白いか? 1968年に発生して日本中の話題をさらい、今なお未解決の、かの「三億円事件」をヒント・素材にして、推理作家がさまざまの視点からリアリティーのある五つの「小説・物語」として構成した、異色かつ出色の連作ミステリー集。
  • 死んだ時間
    -
    CMタレント殺害事件の重要参考人・時任杏子は、なぜか自分に有利なアリバイを否定してしまう。大学病院の若き医局員・加賀は、この「愛人」の態度に不審を抱きながらも、事件解決のため奔走する。だが、加賀が真相をさぐればさぐるほど、事件は意外な背景を浮かびあがらせ、思いもかけぬ方向に発展していく……。
  • 完全犯罪研究
    5.0
    完全犯罪の論理と美学を推理小説として構築した、佐野ミステリーの新境地。人間の注意力の限界と死角を巧みについた"死体運搬の怪"をみごとに暴く「死体移動」、嫉妬と狂気にとりつかれた妻の心の真実を追及した「心理殺人」など、完全犯罪と人間の推理力との息づまる競りあいを描いた、傑作6編を収録。
  • 一本の鉛
    -
    女ばかりが住むアパートの一室で、「デラ」のあかねが殺された。疑惑はあかねに思慕を寄せていた、学生・大田垣にかかる。彼の心証はすべてクロだった。だが、捜査の進展で意外な事実も浮かんでくる。事件を解く鍵は、1枚の宝くじと1本の鉛の新聞活字にあるというのだが……。どんでん返しの妙が冴える、鬼才の初期代表作。
  • 狂った信号
    -
    自動車教習所の指導員が刺殺された第1の事件から始まって、連続4件の殺人事件が発生する。現場に事件を報じる新聞の切り抜きが置かれていたのは、なにを物語るのか? 被害者間には面識はないのだ。探偵事務所の名刺を持つ謎の女が、各事件に出没するが、正体はまったく不明である。4つの殺人をつなぐ鍵は? 犯行動機が意表を衝く、傑作長編推理。
  • 同名異人の四人が死んだ
    -
    流行作家・名原信一郎の中篇小説「囁く達磨」に登場する、作中人物と同名の男が変死した。最初は単なる偶然の一致と思われた事件も、同名の変死者が4人にもおよび、犯罪性をおびてくる。名原の小説を真似した殺人鬼の理由なき犯行か? 4人の変死者と名原をつなぐ接点が見い出せないままに、事件は謎を深めていく……
  • 検察審査会の午後
    3.0
    「あなたは検察審査員候補者に選ばれました」高校教師・佐田のもとに届いた1枚の葉書。それは、検察官が下した不起訴処分の妥当性を市民が審査する日本独自の「陪審制」検察審査員の選任通知だった。落ちてきた突然の義務。佐田は、さまざまな事件に関わりながら、次第に興味を深めていく。「裁判員制度」時代に先駆けて名匠が描いた市民参加型司法推理の傑作!
  • 思い通りの結末
    3.0
    短編の名手が厳選する、ショート・ショートばかりを集めた文庫オリジナル作品集。 最後の数行で読者をアッと言わせるミステリー、著者には数少ないSF、怪談、そしてあなたに挑戦する推理クイズ(解答付き)、と普通の短編とは発想段階から違いがあるという著者のショート・ショートワールド豪華決定版!
  • 埋めに行く女
    3.0
    夏、北海道、富良野のホテルのロビー。「元気に富良野してるの」若い女性が電話で話している。その富良野で、赤ちゃん9人殺しの事件が実際に起きた。作者が街の中でふと耳にした会話。そこから想像がふくらみ、一編の小説が生まれる。短編の名手が新境地を開く新スタイル・ミステリー、「街の中の声」シリーズ。
  • 葬 送 曲
    -
    「親父が殺された。霊柩車に遭ったときに、親指を隠さなかった罰らしい」――なにげない親子の会話が、中学時代に友人からもらった不吉な手紙を思い出させた。それは迷信だと、一笑に付すことができない人の心。(「自信家」)ほかに「会葬者」「副葬品」など、短編の名手が、人の死の前後のさまざまなドラマを、ウィットあふれる筆致で描く、珠玉の連作ミステリー。
  • 蝉の誤解
    4.0
    息子に届いた絵葉書には、怪獣のように大きな蝉の抜け殻が写っていた。パソコンを使い、巧妙に作られた合成写真――その夜、私は悪夢にうなされた。なぜ、蝉の抜け殻などに恐怖を覚えるのか? 私は、心の奥底に封じ込まれていた、ある記憶を辿り始める……(表題作)。昆虫に題材を取り、紡ぎ出された男女の多様なドラマ9編。名匠の手腕をご堪能あれ!
  • 正義同盟
    3.0
    会の正式名称は、JUSTICE LEAGUE(ジャスティスリーグ)=正義同盟、略してJリーグ。会員は一業種一人という原則のもと、編集者、区役所勤めの公務員、カメラマン、高校教師、キャディなど。言行相反や傲慢不遜(ごうまんふそん)の世にはびこる小悪党を、巧みなチームプレーで懲(こ)らしめる。小さな悪だからこそ許せない、〃平成の仕置人〃たちの、痛快微罪(びざい)事件簿ミステリー。
  • 私兵刑事
    -
    私(北海道警刑事)の恋人・智子(ともこ)は、借金を残したまま蒸発した。牧場主の野宮(のみや)は、女の行方を追う私の相談相手だ。その野宮から、謎の脅迫者へ金を渡してくれとの依頼があった。ところが、彼が飼う馬と猫に毒が仕込まれ、その愛人まで死んでいるとの報が……! 衝撃的な愛人の正体、意表をつく結末。――推理界の重鎮が、異色の刑事を主人公に配した力作!
  • 感染性求愛症
    -
    野城(のしろ)は、街に、官能をくすぐるような匂いが漂(ただよ)っているのに気付く。そこに、腰をくねらせ、うずくまる女性がいた。野城は声をかけ、思わぬ展開でホテルへ。女もある匂いをかぎ、我慢できなくなってしまったと言う。そして、同じ症状に見舞われる女性が次々と現われ……。これがアメリカで報告された感染症なのか!?
  • すれ違い
    -
    ●「赤い糸」ではなく「黒い糸」に結ばれる話●原因は自分にあると皆に思わせた女の自殺●卒業後も続く教え子との微妙な男女関係●単身赴任者の妻との何もない関係を逆に利用された男●定年退職した父の奇妙な落ち込み●自分の死亡確認を警察から受けた男●あまりに犯人そっくりの似顔絵を描いた目撃者……。短編の名手が、男女の機微をテーマに捻(ひね)るオリジナル傑作集。
  • 犬たちと殺人と
    -
    狆(ちん)のタロを連れて散歩中の柏木は、見知らぬ女から声をかけられた。女は、柏木の妻・順子から一昨日タロを半日借りたという。が、順子は柏木宅を訪れた刑事に、犬を貸したことはないと否定した!? 事態は意外な方向へ展開し、柏木は衝撃の事実に打ちのめされる。 短編の名手が一編一編に工夫をこらした傑作ミステリー8編!
  • 直前の声
    -
    研修医の飼村敬介(かいむらけいすけ)はアマチュア無線マニア。姉夫婦の家に間借りしている。帰宅すると姉が、飼村と女性との会話を傍受したと告げた。だが、彼は通信した覚えはない。通信相手は、彼の病院に入院していた女性の名であった。後日、その女の死体が上がる。女の正体は? 流れたという自分の声は!? 渾身の本格推理。
  • 偽りの肌
    -
    過去に強姦歴のある男が三件目に現行犯逮捕された。だが警察には事情があるらしく、彼を送検するに当たって、偽(にせ)の被害者を仕立て上げた。──この工作に絡んでいる私(登坂(とさか)刑事)は、弁護側の反撃に苦境に立つが、さらに証人喚問を前に偽の被害者が変死を遂げ……。推理界の重鎮が新趣向で読者を唸(うな)らせる、小説の醍醐味が凝縮された書下ろしミステリー。
  • こわい伝言
    -
    日本推理作家協会では、毎年、その年の雑誌に発表された短編の中から十数編を選び、『年度別推理小説代表作選集』(略称・推理小説年鑑)を出している。1959年以来、著者の作品は毎年必ずこの年鑑に収録されている。本書は、『尾行』『盗難車』『最後の夜』(光文社文庫)に続くシリーズで、84年から90年までの各年度ベスト作品が収録された、言わばお墨付きの一冊である。
  • 歩け、歩け
    3.0
    娘が着メロに入れてくれた昔の唱歌「歩くうた」が、老父との思い出を甦らせた。ふとしたことで知った、子供時代の父の身に起きた事件とは?(表題作)子供はいらないと言い続けてきた夫が、突然「子供を作ろう」と言い出した。妻の脳裏を、15年前に起きたある殺人事件が過(よぎ)る――(「十五年目の子」)。読後、深く心に残る人生の機微(きび)。
  • 一人二役時代
    -
    現代社会に暮らす人々の中にある「自分以外の何者かになりたい」という願望を基調にストーリーは展開する。愛人と主婦、警官と情報屋、実の子なのに母親の連れ子を演じる子どもなど、多彩な「二役」が登場し、読者を混乱に陥(おとしい)れながら意外な結末へ。スピーディな展開の中に、現代人の心理が垣間見える。短編の名手の筆が冴える8編。
  • 不可解な使者
    -
    「安土(あづち)、約束は守ってくれよ」旧友が瀕死のベッドで繰り返したうわ言――主人公の脳裏に甦った二人だけの秘密とは?(表題作)。「どちらかの夫が死んだら、夫を貸し合おう」。二組の夫婦が交わした約束が引き起こした殺人事件(「欠員発生」)。殺害された大学教授夫人が残した謎の言葉の意味は?(「午後の朝」)巧みなプロット、鮮やかなラスト! 短編の名手の会心作!
  • 胸の遊び~新・人体物語~
    -
    殺人事件の捜査会議が開かれていた。マンションの自室で男が殺され、部屋から女性の下着(ブラジャー)が回収された。捜査員に回覧されたものには、「P・R」の刺繍(ししゅう)があった。「私」(警部補)は、そのイニシャルを入れるサービスが、ある女性下着店のものだと知っていた。昨夜も「私」は、「P・R」のホックを外(はず)していた……。「彼女」と事件との関連は? ──短編の名手が体の各部をテーマに捻(ひね)る。
  • 情事の事情
    -
    鴻巣求一(こうのすきゅういち)は、ついてなかった。出張先でのたった一夜の浮気が妻に知られ離婚。短距離選手としての実力を見込まれて入社した会社の陸上部は廃止され地方の工場へ異動、さらに姉からの金策依頼までが身に降り掛かる。その鴻巣は、赴任先で出会った女との情事に向かう途中、自動車事故を目撃する。事故から閃(ひらめ)いた奇策は、ツキを呼び戻せるか。酒脱で艶やかな、大人のミステリー。
  • 唇の役割
    -
    ●被疑者の頭の形をなぜか鮮明に覚えている目撃者●被害者に毛根付きの毛髪を握られていたのにアリバイがある被疑者●通勤電車内で美しい二の腕に魅せられた男がその女に告訴された●同性の「あたし耳が弱いの」に猛烈な嫉妬を感じた女●決めてとなったのはあの後に瞼(まぶた)が二重になることだった――短編の名手が体の部分をテーマに、趣向をこらした結末で読者に挑戦!
  • 九つの離婚
    -
    初対面の小笹、高月両夫妻はたまたまゴルフ場で一緒にプレーすることになった。その折り、小笹は高月夫人から会社の電話番号を訊(き)かれ、互いの伴侶には内緒の交際が始まる。清い関係のまま、小笹はほとんど夢想に近い感じで離婚を考えるようになったが、突然妻のほうから別れてもいいと言い出された……!? 短編の名手が最後に読者をアッと言わせるズバリ離婚話9編!
  • 様々な別れ
    3.0
    ●血液型ABの男を捜し求め、数度の関係の後に姿を消した女●他人の子供を宿した女と、それを承知で出産後の離婚を前提に結婚した男●恋人とその叔母との異常愛を知って別れた女が、その男に再会●全く身に覚えのない行動調査報告書を妻に突き付けられた男●一度だけ関係を持った男と自分の娘が結婚──。短編ミステリーの名手が、男と女の別れをテーマに捻(ひね)る傑作集!
  • 招いた女
    3.0
    ホテルの喫茶ルームで向かい合う中年の男女。「二十八日の夜は?」との女の問いに、男は「二十八日? ああ、用がある」と答えた。漠然とした『用』という言葉で片付けた点に、この二人の関係が見えた……!? 作者が街の中でふと耳にした会話。そこから想像がふくらみ一編の小説が生まれる。短編の名手ならではの好評新スタイルミステリー!
  • 泣き出した女
    -
    Dホテルの公衆電話コーナー。「だから、何でもするわよ。それならいいんでしょ」――四十前後、奥様風の女性。電話に向かって声を荒らげるようなひとには見えない。作者が街の中でふと耳にした会話。そこから想像がふくらみ、一編の小説が生まれる。短編の名手が贈る好評新スタイル・ミステリー「街の中の声」シリーズ第2弾!

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