高橋郁夫作品一覧

  • 仮想通貨―技術・法律・制度
    4.0
    金融とITを融合したFinTech(フィンテック)が、金融業界・IT業界で注目を集めています。FinTeckは伝統的な決済インフラストラクチャーを、未来の色で塗り替えようとするものです。 携帯電話で資金移動サービスが利用できるケニアのMペサや、スマートフォンに小型の装置をセットするだけでクレジットカードの支払端末に早変わりする米国のスクエアなど、金融分野へのITの応用は伝統的な決済インフラを未来の色で塗り替えるものです。 その中核をなすインフラストラクチャーが、ビットコインに代表される仮想通貨の技術です。 2014年に大騒ぎになったMt.GOX社の破綻を経て、日本では「仮想通貨(ビットコイン)はあてにならない、危険な貨幣であり技術である」と思い込まれて、一時燃え上がった投資熱も冷めてしまったようです。 そうした日本とは対照的に、米国のメガバンクは分散型仮想通貨の技術を銀行システムの改革に活用するための研究に取り組んでおり、欧州ではブロックチェインと呼ばれる仮想通貨を支える技術をシステムの基幹にとりこんだ銀行さえも登場している。銀行間の資金移動サービスを支えてきた重厚長大なインフラは、FinTechの発展によって生まれ変わろうとしています。 米国のアップルやグーグルは、相次いでスマートフォン向けの決済サービスを提案しており、伝統的な決済ビジネスは存続の岐路に立たされています。日本でも、無料通話アプリがいつのまにか資金移動サービスを開始するなど、次世代の決済サービスの主導権を握るのは、かつて誰もが予想しなかった業種であるのかもしれません。今や、決済ビジネスと電子商取引の主戦場はモバイルへと急速にシフトし、時代は大きな転換期を迎えているのです。 本書の目的は、仮想通貨の仕組みを理解し、利便性とリスクの両面を把握したうえで、ビジネスへの活用を検討することです。 仮想通貨に関する議論の中には、不正確な情報や誤解に基づく論評が見受けられるのも事実です。信頼の対象となる発行者が存在しない通貨を肯定することは、発行者の信頼を元に成立してきた社会にとって容易なことではありません。新しい概念を受容する過程においては、的確な批判とともにやや正確さを欠いた議論も起こりがちです。 仮想通貨の技術・法律・制度に関する考察は、ようやく緒に就いたところです。次世代の金融 仮想通貨を作り出すビジネスの現場において、意思決定を左右する大きな要素のひとつが仮想通貨であることを、欧米の金融機関・IT業界はすでに理解し投資を進めているという現実から目をそらすと、ITにつづき、FinTech分野でも日本が欧米や今後は中進国に対しても後塵を拝することになりかねない。
  • シン・経済安保
    4.0
    岸田内閣になって新たに「経済安保担当大臣」が誕生しました。わざわざ担当大臣を任命するくらいですから、政府の強い意志を感じます。では、これからいったい何が起きるのでしょうか。名称に「経済」と付いているので経済界への影響があると思われますが、「経済安保」という言葉で調べても分かりづらいのが実情です。  そこで本書では、「経済安保とは何か」「ビジネスパーソンにどう影響するのか/何をしないといけないのか」を丁寧に解説しています。企業によっては担当役員や担当部署の設置が必要になるなど、企業経営に大きな変化をもたらします。  どのような企業が関係するかと言えば、AIやIT、バイオなどの「重要技術」に関わる企業です。こう書くと「自社は関係ない」と思う人もいるかもしれませんが、「ITシステムにクラウドを活用している」なら、それだけでも本書を読む理由があります。  データの保存場所などで話題になった“LINE事件”を記憶されている方は多いと思います。詳しくは本書に書いていますが、LINE社は違法行為をしていたわけではなかったにもかかわらず、社長による謝罪やシステム更改などを余儀なくされました。この事件を正しく理解するキーワードは「経済安保」です。  もしあなたが映画『シン・ゴジラ』をご覧になっていたとしたら、その映画の中で繰り広げられていた政府の動きは、経済安保の一つの側面を見せてくれています。この映画の政府と同様のことが、企業内で起こるかもしれません。「知らない」が最大のリスクです。本書をお読みになり、1人でも多くの方に、経済安保への理解を深めていただきたいと考えています。

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