姫野カオルコ作品一覧

  • 小説現代 緊急特集 この災厄に思うこと
    5.0
    未曾有、といわれる災厄がひたひたとやってきた。 新型コロナウイルスによる感染症。 気がついたら世界中を覆っていたこの疾病を広めないためには、 今のところ人と人を遠ざけるしか手立てがない。 このような災禍の前で、言葉は、物語はどんな力を持つのか。 私たちはどう向き合って、どう乗り越えていくのか。 緊急特集として、十四人の表現者たちに それぞれの想いを書き下ろしていただいた。
  • 愛はひとり
    3.3
    目が醒める。ひとりである……。今日も平穏な日常が虚しく過ぎていく。そして、果てしのない寂しさ――。淡々と、しかし赤裸々に語られる、ある女の「ひとりであること」。孤独な生活のなかで愛を求め続ける切実な心を、フレンチ・ポップスの名曲に託し、詩情豊かに、そして幻想的に描くビジュアル短編集。すべての孤独な女性必読の「処方箋」。この本で、あなたの症状もきっと治ります。
  • ブスのくせに! 最終決定版
    3.7
    美しくなろうと日夜努力を欠かさぬ女性たちよ。エステも整形もミニスカも「美人」と呼ばれるためには役立たない。カッコよくなろうと、カツラや「サイズ」や脱毛に神経をすり減らす男性たちよ。それでは彼女をモノにできない。あなたがこだわり、努力してることは、実はまるで的外れ!? 読めば目からウロコの新視点、ヒメノ式「外見ウォッチング」決定版。美の最終兵器的エッセイ。
  • すべての女は痩せすぎである
    4.0
    「美人」って何なの? 京都や博多に生まれただけで、美人なの? いったい「きれい」って何なのよ。世の多くの女性たちが(そして男性たちも)根拠なく信じ込んでしまった「ふつう」をばっさり斬る。ヒメノ式「目からウロコ」の痛快エッセイ集。日頃からいろんな「???」が溜まって、もやもやしていたあなたに贈る、21世紀の「真説・美人論」。カラダの前にアタマに適度な運動を、本書でぜひ。
  • サイケ
    4.0
    東京にある総合出版社に勤務する編集者「わし」は、人知れず自らの性的な問題に苦悩していた。幼い頃に刻み込まれた、ある性的嗜好が大人になった現在も、恋愛の深刻な障害となっているのだ。その原因となったのが某少年漫画誌だったのだが…。モーレツでサイケな70年代が育てはぐくんだ世代の悲喜劇。鋭い時代考察と、うずくやましさ満載、姫野ワールド全開の傑作短編集。
  • みんな、どうして結婚してゆくのだろう
    3.8
    タイトルそのまんまですが、みんな、どうしてどうやって結婚してゆくのでしょう? ちゃんと考えてみたことありますか? 老若男女みんながこだわる「結婚」とは一体何なのでしょう。「つきあう」って何なのでしょう。みんな、ほんとにわかってるんでしょうか? 誰もがそういうものだとハナから疑わないことを分析・考察させたら当代随一の著者が本音で迫る、目からウロコのヒメノ式エッセイ集。
  • A.B.O.AB
    3.3
    血液型にとらわれて「男女交際」なんてダサイ……などと考えてはいけません。血液型を信じましょう。A、B、O、AB、それぞれの血液型の男女が8人いて、恋愛のドラマが始まる。切ない擦れ違いや、ドライな別れがあって、でも詰まるところ収まるように収まる。それって、やっぱり運命だったのかも。新しい物語の世界がある血液型恋愛シミュレーション小説。
  • 変奏曲
    3.6
    ……無理やりに高志の顔の向きを変えさせた。それでも高志は目蓋を開かなかった。「Onanieしようとしたでしょう?」〈本文より〉 血の絆で結ばれた洋子と高志。異なる性の双子が貪る、耽美な禁断のエロティシズム。それは、洋子の婚礼が近づくにつれ、哀しく顕在化していった……。幻想は現実に、情念は行為へ。現代を超えて幽玄世界へと誘う現代のロマネスク文学。
  • 禁欲のススメ
    3.0
    恋愛? どこにあるの、そんなもん。みんな誤解してる。だれもが恋愛してるって。本当は恋愛って決して公平に訪れてくれるものじゃない。それはとっても貧富の差のはげしいものなんだ。「彼とつきあってて、ああしてこうして、そんでこうで……」こんなこと言ってるヤツが恋愛を独占してやがるのだ。くそくそ、くやしい! 一人だけでイイ思いしやがって。少しは禁欲しろ。悔いあらためよ……。(本文より) 無垢な乙女が淫らに綴る、ヒメノ式恋愛論。
  • ガラスの仮面の告白
    3.8
    「男性と一式の寝具で寝て何もなかった数の世界一」というのが、もしギネス・ブックにあったら、載れるんじゃないかと思う。大学生時代など、いったい何人の男性と寝ただろう、グーグーと。杉村くんとも畑さんとも寺沢くんとも藤堂くんとも清水くんとも、私はセックスしていないキスもしていない。手も握り合っていない。彼らと私は、男と女ではなく、中性と中性のつきあいだった――。享楽の都TOKYOに上京した、夢多き乙女が綴る、孤独で切ないけれど、明るくって元気な物語。
  • 蕎麦屋の恋
    3.8
    秋原健一、四十三歳、ふつうの会社員。波多野妙子、OLを辞めた三十歳。それぞれに過去の小さくも苦い思いを抱えた男と女は、通勤の京浜急行で出会い、途中下車した駅の蕎麦屋でせいろをすすり、ただテレビを観る。淡く、不思議な甘さに包まれながら――。爽やかな感性の触れあいを描いた表題作他二編収録。日常に潜むふとした喜びやせつなさを掬い取った可憐な短編集。
  • ほんとに「いい」と思ってる?
    3.0
    「プリティ・ウーマン」は男性へのセクハラ映画と喝破し、フェラガモの靴は膣の締まりが悪く見えると警鐘を鳴らし、イルカの顔はかわいいが別に笑っているわけでないと事実を語る。世にはびこる「けなしてはならじ」の烙印を押されたブランドたち。見る者に思考停止を起こさせる禁忌(タブー)をバッタバッタと斬りまくるヒメノ式エッセイの真骨頂。
  • バカさゆえ…。
    3.3
    「会いたかったわ、ラリー。すごく会いたかったわ」サマンサは身を床にかがめると、ラリーの股間ですでに45口径マグナムのように堅くなったものを啜った。関係ができて一年たつ前から、事がスタートするとサマンサは大胆な行動をする。それがラリーには気持ちいい。「Mmm……この、この、このやろめ」(『奥様はマジよ』より)サマンサ・スティーブンス、香山リカ、夢野サリー、そして矢吹丈。あの人たちの知られざる私生活を綴った、ちょっとシュールな短編小説集。
  • 愛は勝つ、もんか
    4.3
    ♪兎おいしい彼の山♪と、子供のころからよだれを流して思い込んでいた、あのカオルコ・ヒメノが、“音頭の中の音頭は『オバQ音頭』だぜ”と謳い上げ、“子供は不純で狡賢く、少女とは人生でもっともうぬぼれたあぶらっこいスケベ期”だと真実を淡々と語り、“売春を国営化して福祉費にまわすべきである”と断言する、核弾頭的恋愛論&ゴージャスエッセイ。
  • 風のささやき 介護する人への13の話
    3.2
    動けないし、しゃべれないし、もう私のことはわからないのだけれど……日本のどこかで暮らすごく普通の人がもらしたささやき。ひとりで泣くこともある、あなたに贈る、13人の胸のうちを綴った掌編小説集。 ※本書は二〇〇九年六月に刊行された単行本『もう私のことはわからないのだけれど』(日経BP社)を改題し、加筆・修正の上、文庫化したものが底本です。
  • ドールハウス
    3.8
    常軌を逸した強権の父と、身を飾ることを狂気じみて嫌悪する母。一人娘の理加子は29歳になっても「不良になるから」と、髪をのばすことも、気ままに電話することも禁止されている。そんな理加子の前に、仲のよい家族のもとで育った江木という男が現れ、強引に接近してくる。理加子は初めて「男性とつきあう」ということに向かい合うが、毒親の呪縛が立ちはだかる……。初版1992年、「毒親」という言葉がまだなかった時代に、毒親育ちの葛藤を描いた先駆けの小説。
  • 喪失記
    3.6
    五年間、一度も友人と食事をしたことがない。他人と話をするのは、月二度程度という静寂だけの日々。――理津子は男に飢えていた。カトリック神父のもとで育った彼女は、恐ろしいほど規律正しい厳格な生活が、骨の髄まで染みついている。他人に、自分に嘘がつけない。誤ちには厳しい戒めもいとわない。そんな理津子の前に、本能の赴くままに生きる男・大西が現れて……。子供から大人へ――。精神と肉体の変化、個人と社会との関わりを残酷なまでに孤独な女性を通して描ききる。
  • よるねこ
    3.3
    深夜の寄宿舎を徘徊し、出会った者の魂を奪うという巨大な青い猫の噂。どこにでもある「学校の怪談」のはずだったが、母は女学生時代にその猫を見たことがあるのだという…。平穏な日常に潜み、ふいにその姿をのぞかせる恐怖。その本質を描く、著者初のホラー短編集。一度読んだら一生夢に出てくる、そんな物語が詰まっています。本当の怖さを知りたい人だけ、読んでください。
  • 結婚は人生の墓場か?
    3.7
    小早川正人。大手出版社に勤務し、年収は1000万円以上。二人の娘は有名お嬢様学校に通い、可憐な妻はステキな我が家でレースを編む。一見幸せな結婚生活だが、実態は多額のローンに追われ、仕事に追われ、散歩すらままならず――。みんなに祝福されてゴールインしたはずなのに、どこで間違ってしまったのだろう? シニカルで斬新な結婚論が炸裂する、強烈な夫婦小説。
  • ひと呼んでミツコ
    4.1
    彼女はミツコ。私立薔薇十字女子大英文科在籍中。名高い香水と同じ名前を持つ女――。その盲腸の手術痕がうずく時、不埒なやつらに公衆道徳の鉄槌が下る。強力倫理観と超人的能力をあわせ持つスーパー学生ミツコは今日も行く。荒廃する現代社会を憂うすべての市民、まっとうゆえに切歯扼腕している老若男女必読。文学のジャンルを超越した傑作小説。21世紀はミツコの時代だ。
  • 桃 もうひとつのツ、イ、ラ、ク
    3.9
    許されぬ恋。背徳の純粋。誰もが目を背け、傷ついた――。胸に潜む遠い日の痛み。『ツ、イ、ラ、ク』のあの出来事を6人の男女はどう見つめ、どんな時間を歩んできたのか。表題作「桃」を含む6編を収録。
  • ああ、禁煙vs.喫煙
    4.2
    店内の喫煙。嫌がる禁煙者。しかし喫煙者は悪者ではなかった? なんでもかんでも「いただく」ってのは丁寧な表現なのか? 「無差別殺人」って実は「差別殺人」ではないか?なんとなく「あたりまえ」とされる事も、大きな勘違いってこともある! 超然的な記憶力を保持する著者による、クリアで笑えるエッセイ。頑固な思い込みで凝り固まった頭を柔らかくする! (講談社文庫)
  • 受難
    ptバック
    3.9
    修道院で育った穢れなき乙女フランチェス子に、ある日突然、人面瘡がデキた! しかも最初は腕にできた人面瘡は、所もあろうにお×××に定住してしまった。のみならず「おまえはダメ女だ」「どんな男からも愛されない」と朝な夕なにフランチェス子を罵倒する。そんな人面瘡を“古賀さん”と名づける健気なフランチェス子の運命やいかに? あなたの腹筋を震わせる極北の笑いと奇想天外な物語の裏に、現代人のジェンダーを見つめる醒めた視線が光る、著者の代表作。
  • レンタル(不倫)
    3.9
    (うるさいっ。バイブが悩むな!)こう言ってのけられたら、どんなに世界は理路整然とするだろう。だが、ボンジュール・トリステス、まぶたを閉じる。「私は……レンタルでじゅうぶんなの」〈本文より〉いまだに処女の30女、力石理気子(美人)にロマンスが訪れた。はたしてみごと「セックスをしていただける」か? ぬるいフェミニズムと甘いナルシシズムにパワーボムを食らわす、闘魂のハイパー文学!
  • ちがうもん
    3.0
    自分の気持ちがうまく言えない。もどかしい、くやしい。そんなことが、こどものとき、ありませんでしたか? これは、あなたの物語です。 1960年代、まだダサかった日本。関西の田舎町。3歳の少女はなぜ「特急こだま」の玩具を買ってもらったのか。4歳の少女はオバサンが何をしているのを見たのか。6歳の少女は夏休みにどんな初体験をしたのか……。こどもだったからこそ鮮明に焼きついた記憶。大人のためのリアルな童話とも言うべき短編集。
  • 部長と池袋
    3.4
    「部長と池袋」「慕情と香港と代々木」「青春と街」「夏と子供」など、ある光景の中の思い出、旅情を綴ったPART I。アイロニカルな「巨乳と男」「ゴルフと整形」「書評と忸怩」、パロディ「パソコンと恋」「秘密とアッコとおそ松くん」などで構成したPART II。書籍未掲載作品を大幅改稿した「蔵出し」文庫オリジナル。姫野カオルコの魅力がたっぷり詰まった一冊。
  • 近所の犬
    3.8
    カフェのテラス席で見かけるローズイヤーの中型洋犬マッカラン。人心蕩かす「たらし」のシベリアン・ハスキー、ロボ。いつもお風呂に入りたてのような匂いがする黒ラブラドール・レトリバーのラニ。ただ道で会い、ふれるだけ、そのたびにじーんとする。自称「犬が好きだが、犬からは好かれない作家」が描く、犬を巡る滋味あふるる私小説。
  • 初体験物語
    4.0
    かの兼好法師が“よろづのことも始め終りこそをかしけれ”と宣うように、古来より物事ははじめと終りがおもしろいものなのである。はじめて痩せクリームを購入し、塗りたくったあげく腹を無意味にかぶれさせてみたり、はじめて見た生ダリの絵に興奮し、力強いくしゃみ〈唾液含む〉をあびせかけてしまったり……。剃刀のような感性と宇宙規模の知性を誇るカオルコヒメノが満を持して綴る現代の徒然草。
  • 終業式
    3.6
    かけがえのない、高校生だった日々を共に過ごした四人の男女。テストにやきもきしたり、文化祭に全力投球したり、ほのかな恋心を抱いたり――。卒業してからも、ときにすれ違い、行き違い、手さぐりで距離をはかりながら、お互いのことをずっと気にかけていた。卒業から20年のあいだに交わされた、あるいは出されることのなかった手紙、葉書、FAX、メモetc.で全編を綴る。ごく普通の人々が生きるそれぞれの切実な青春が、行間から見事に浮かび上がる姫野文学の隠れた名作。
  • 空に住む飛行機
    4.0
    異常に厳格で、病弱で、夫婦仲の悪い両親を持つ、大屋敷理加子は、礼儀正しく真面目に過し、29歳になった。他人との距離のとり方に、何かしらぎこちなさを感じる理加子は、ふつうの恋、あたりまえの生活を夢見るようになっていた。そんなある日、彼女の前に江木という男が現われて……。切なく心に迫る長篇小説。ふつうの恋と生活、それが29歳、理加子の夢!
  • 整形美女
    3.6
    二十歳の繭村甲斐子(まゆむらかいこ)は、大きな瞳と高い鼻、豊かな乳房とくびれたウエストを持つ女性だった。だが、彼女は名医・大曾根(おおそね)に懇願し、全身整形をする。一方、同郷の望月阿倍子(もちづきあべこ)も、社会人となった新生活を機に整形。その姿は甲斐子そっくりになった。正反対の考えのもと、整形をした二人の、整形後の運命はいかに――。美しさとは? 幸福とは? 根源を問う衝撃作。
  • H(アッシュ)
    3.6
    恋人も友達もなく、一人でアパートの隣室を覗いている男が、やっと出会った清楚な女性。だが、その正体は――(『エンドレス・ラブ』)。部下のボディコン娘にふりまわされてばかりの課長はついに? 恋にさめてる女がただ一人好きだった相手は? 愛想のよい美容師が鞄の中に隠している物は? 表に見える光景の裏側に強烈な皮肉と風刺をひそませたストーリー・テリングの妙味あふれる十篇を収録。直木賞作家が1994年に刊行した『短篇集H』を改題、再構成した珠玉の短篇集が待望の電子化!
  • お金のある人の恋と腐乱
    3.7
    恋愛で結びつくなどという結婚は、働かないと食べてゆけない人がすること──。上流階級でしか暮らせない男女のめぐり逢いを、醒めた文体で描いた、四篇からなるロンド小説。欲望を経た純愛、秘かな被虐性愛、静かに熱を帯びる片恋、南島での邪淫。満ち足りた暮らしの満たされない孤独を、四組の「わたし」と「藤沢さん」が織りなす。異才が贈る、正しい背徳と倦怠。(『コルセット』改題)
  • 昭和の犬
    3.7
    昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える、高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように、猫の足音のように、濃やかで尊い日々の幸せを描く、第150回直木賞受賞作。
  • ケーキ嫌い
    4.0
    手土産もディナーの最後も、なぜケーキ? 嫌いな人はどうすればいいの? 困りませんか? 「お気持ちだけ」と言えなかった長年のもどかしさに始まり、酒にぴったりの創作レシピから、ロドルフ殿下や『ロンパールーム』の牛乳など懐かしの食の思い出まで――おいしく詰まったヒメノ式食エッセイ集!(『何が「いただく」ぢゃ!』改題)
  • リアル・シンデレラ
    4.1
    童話「シンデレラ」について調べていたのを機にライターの〈私〉は、長野県諏訪市に生れ育った倉島泉(くらしません)について、親族や友人に取材をしてゆくことになる。両親に溺愛(できあい)される妹の陰で理不尽なほどの扱いを受けていた少女時代、地元名家の御曹司(おんぞうし)との縁談、等々。取材するうち、リッチで幸せとは何かを、〈私〉が問われるようになるドキュメンタリータッチのファンタジー。

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  • 謎の毒親(新潮文庫)
    4.3
    命の危険はなかった。けれどいちばん恐ろしい場所は〈我が家〉でした――。母の一周忌があった週末、光世は数十年ぶりに文容堂書店を訪れた。大学時代に通ったその書店には、当時と同じ店番の男性が。帰宅後、光世は店にいつも貼られていた「城北新報」宛に手紙を書く。幼い頃から繰り返された、両親の理解不能な罵倒、無視、接触について――。親という難題を抱える全ての人へ贈る相談小説。
  • ツ、イ、ラ、ク
    4.1
    地方。小さな街。閉鎖的なあの空気。渡り廊下。放課後。痛いほどリアルに甦るまっしぐらな日々--。給湯室。会議。パーテーション。異動。消し去れない痛みを胸に隠す大人たちへ贈る、かつてなかったピュアロマン。恋とは、「墜ちる」もの。
  • 青春とは、
    3.3
    1970年代、普通の高校生だった私たち 定年退職しシェアハウスに越してきた独身の乾明子。 借りたままの本や名簿から、映画を見ているかのように地方の共学の公立高時代が蘇る。胸キュンもスマホもなく地味なだけ。でもなぜあんなにオカシかったのだろう。 これまでの青春小説がとりこぼしてきた部分を掬った、すべての大人に贈る青春小説。  解説・タカザワケンジ ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 忍びの滋賀~いつも京都の日陰で~(小学館新書)
    3.3
    滋賀県愛あふるるエッセイ。 通過してても気づかない!? NHK朝ドラ『スカーレット』の舞台は、日本一スルーされる県だった! ・実は琵琶湖が何県にあるのか知らない人は多い ・「千葉」や「佐賀」とよく間違えられる ・比叡山延暦寺は京都にあると思われている ・鮒鮨の正しい食し方について などなど・・・・・・ おどおどした直木賞作家が、地味でマイナーな出身県の悲哀について、ユーモラスに語ったエッセイ。
  • 彼女は頭が悪いから
    4.0
    2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場! 私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの?  深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。 現実に起こった事件に着想を得た衝撃の「非さわやか100%青春小説」!  横浜の3人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。 偶然に出会って恋に落ちた2人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学のサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。 そして酒を飲ませ、仲間と一緒に美咲を辱める。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件は明るみに出ることに。 しかし、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いする。 柴田錬三郎賞選考委員絶賛! 無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静 どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。―逢坂剛 女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生 テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子 平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ハルカ・エイティ
    4.1
    大正に生まれ、見合い結婚で大阪に嫁ぎ、戦火をくぐり抜け、戦後の自由な時代の波に乗り……。人生の荒波にもまれつつも、平凡な少女は決して後ろ向きになることなく、その魅力を開花させ、みんながハルカの天真爛漫なキャラクターに引き込まれていく。やっぱ、新時代の婦人は、これくらいさばけてなあかん! 実在の伯母をモデルに、著者が新境地に挑んだ原稿1000枚の力作。ヒメノ式「女の一生」、直木賞候補の傑作長編。
  • 顔面放談
    -
    あなた、本当に「顔」見てますか? 著名人の顔を凝視しつづけて半世紀――直木賞作家・姫野カオルコの並々ならぬ観察眼が炸裂する、捧腹絶倒のマニアック・エッセイ! 漫画家・もんでんあきこによる豪華挿絵つき。 【目次】 1. 顔色をうかがい、顏もうかがう 2. 不公平な検索をされている女優No.1 3. サラリンとオロナイン 4. 岩下志麻の正三角形 5. 声は見えない顔 6. 松田優作の遺伝力 7. フルオヤさんへ 8. 小池栄子の白目 9. 「顔面相似形」ヒメノ式・中期発表 10. イケメン科ショールーム属 11. 田宮二郎を鑑賞する 12. 東京ボンバーズと太地喜和子 13. 世界で一番美しい少年 14. マチ子と蝶子 マドンナのほほえみ 15. 可笑しくてかわいい人 16. 世界一の美人 カトリーヌ・ドヌーヴ 17. 哀しみのオリジャパ日記 18. きれい・好き・うらやむ・なりたい、四種の顔 19. 『無法松の一生』は阪妻版で 20. 好きな映画を聞かれたら?
  • 何が「いただく」ぢゃ!
    4.1
    【内容紹介】 「人生の9/10は食べ物のことを考えている」という姫野カオルコが、食のあれこれを斬る! アジの刺身をもっとおいしく食べる提案から、懐かしのテレビ番組「ロンパールーム」の 牛乳の謎、「いただく」という言葉のおかしな使われ方まで、「そうそう、あるある!」と つい膝を打つ、痛快な食エッセイ。 ※食の雑誌『dancyu』2015年4月号~2018年3月号に掲載された連載「料理を結婚」を、 大幅に加筆修正してまとめました。 【著者紹介】 [著]姫野 カオルコ(ひめの・かおるこ) 作家。1958年滋賀県生まれ。青山学院大学文学部卒業。1990年『ひと呼んでミツコ』でデビュー。 『昭和の犬』で第150回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 【目次抜粋】 ふきのとう 生八橋とルドルフ殿下 何が「いただく」ぢゃ! アジのヒメノ式――左党と下戸のあいだに流れる深い川 ウィスキーに合わせるスパゲッティのガブリエル・デストレとその姉妹風 『小さな恋のメロディ』のティータイム さかのぼりコース和食 好きなもの、嫌いなもの じゃがいも お漬けもんの炊いたん ざんねんな、おいしい場所 禁煙条例よりカミングアウト条例を いい店とは? 「店検索サイト」に望むこと ほどほどが肝心 酌をやめてくださらぬか 日本酒のネーミング きっかけの話 かんずり礼賛 みょうが、クレソンは大好きなんだってば! 飲み相手 日本人はびっくり ホントに名コンビ? 三流と三流感覚 魔性の女 『チーザ』の取り扱い ロンパールーム 最強のレシピ サンマ・グラフィティ 東京の雑煮、滋賀の雑煮 早食い・大食いに、涙する ナショナルの炊飯器 とめてやれよおっかさん、手元のシャネルが泣いている
  • 悪口と幸せ
    3.8
    1巻1,760円 (税込)
    昭和の少女雑誌に掲載された絵物語「王女アンナ」。半世紀前の奇妙な物語の世界に、元子はいつのまにか引き込まれていく。(「王女アンナ」) 女優・紫さぎりは長きにわたり人気女優として活躍しているが、彼女には大きなコンプレックスが……。(「女優さぎり」) 昭和・平成・令和、それぞれの時代の風俗を巧みに取り込みながら容姿への疑問と不安を物語に昇華させた、姫野カオルコの真骨頂となる連作小説集。

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