アンガス・ディートン作品一覧

  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの
    4.0
    「調査の過程で、中年の白人アメリカ人の自殺率が急速に増えていることがわかった。…驚いたことに、中年の白人の間で増えていたのは自殺率だけではなかった。すべての死因による死亡率が増えていたのだ。…もっとも増加率の高い死因は三つに絞られた。自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患だ。私たちは、これらを「絶望死」と呼ぶことにした。…絶望死が増えているのは、ほとんどが大学の学位を持たない人々の間でだった」(はじめに)「私たちが望むのは、死のエピデミックの純然たる恐ろしさ、そしてレントシーキングと上向きの再分配が生み出した極端な不平等に向き合うことで、これまで長く考えられてきた数々の構想が実行に移されることだ。その時はとっくに訪れている」(最終章)アメリカ労働者階級を死に追いやりつつある資本主義の欠陥を冷静に分析し、資本主義の力を取り戻す筋道を提示する。
  • 大脱出――健康、お金、格差の起原
    3.8
    世界はより良くなっている――より豊かになり、より健康になり、平均寿命は延びている。しかしその反面、貧困という収容所から「大脱出」を果たせずに取り残された国や人々がいる。産業革命以来の経済成長は、大きな格差も生んだのだ。経済発展と貧しさの関係について最先端で研究を続けてきた著者が、250年前から現在までを歴史的にたどりながら、成長と健康の関係を丹念に分析することで、格差の背後にあるメカニズムを解き明かす。「本書は、進歩と格差の間の終わりなきダンスについて記している。……単純に考えると、貧困からの脱出は金銭的な問題だと思いがちだ。だがお金と同じくらい、ひょっとするともっと重要なのかもしれないのが健康と、繁栄する機会を手に入れられるだけ長生きする確率の向上だ。……富の歴史について語る本は数多くあるし、格差の歴史について語る本も多い。健康と富がいかに密接な関係にあり、健康の格差が富の格差をいかに鏡のように反映しているかについて語る本もたくさん出ている。私はその両方について一冊で語りたいと思う。」(はじめに)取り残された人々を助ける手立ても示した、健康と豊かさの経済学。

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