アンドレア・ヴィターリ作品一覧

  • レモンの記憶
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    1930年代、ファシズムが勝利を収めた穏やかな時代。 北イタリア、コモ湖畔の町ベッラーノ、カラビニエーレの分署では、ロカテッリ憲兵(ベルガモ人)の眼前で、マンヌ曹長(サルディーニャ人)とミスファッティ兵長(シチリア人)がお互いにライバル心を燃やしていた。 そこへ、「小柄で、ネズミ色のコートを着て、胃の辺りに絶えず両手でハンドバックを抱えた」独身老女が面会したいとやってきた。 彼女は、盗難を届けにきたのだ。 一銭の価値もない品物についての奇妙な捜査が開始されたが、この事件が、失踪した後に再び姿を見せた弟、銀行員、高利貸し、ファシスト政権、美女、司祭、密売人などが錯綜する過去を明るみに出すことになる。
  • ブティックの女
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    舞台はイタリア北部コモ湖畔の風光明媚な田舎町ベッラーノ。 アンナ・モンターニの夫は徴兵され、ソ連の戦場に送られて行方不明となってしまう。戦争は終わったが、夫は何年も帰ってこないため、戦死したのかどうかも分からない。結局、夫の消息について何の手がかりもないため、彼女は自分が未亡人になったのかどうかも証明できない日々が続く。 戦後まもなくのイタリアで、決して豊かとはいえない時代を生きる普通の人々が、それぞれ自分の幸せを求めて日々を生きている。 しかしそんな生活の苦労がこれ見よがしに悲劇的に描かれることなく、ユーモアと奇妙さを伴いながら、人生の悲哀が笑いとともにそこはかとなく描かれていく。 一生懸命に生きるがゆえに噛み合わず、未亡人をめぐる展開はあらぬ方向へと次々と展開していく、可笑しいながらも、どこか温かみに包まれた、そんな不思議なストーリーです。
  • オリーブも含めて
    4.3
    イタリア北部コモ湖畔の風光明媚な田舎町ベッラーノで、老婆の死体が発見された。その死に特に不審な点はないが、この出来事がベッラーノの人々の生活に少しずつ影響を及ぼしていく。 次から次へと新たな展開が巻き起こり、数多くの出来事が絡み合って、大きなうねりを形作っていく、どこか不思議で、なぜだか妙に可笑しいストーリー。 著者は、コモ湖畔のベッラーノ生まれ(本書の舞台)で、ミラノ国立大学医学部を卒業後、故郷で医者の仕事に従事しながら作家デビュー。 一九九六年度にピエロ・キアラ文学賞、ニ〇〇六年度にバンカレッラ賞、ニ〇〇八年度にはイタリア・ヘミングウェイ賞を受賞している。

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