舟橋聖一作品一覧

  • ある女の遠景
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    愛慕する年若い叔母・伊勢子の、自裁の謎を追ううちに、維子は、不実な男・泉中紋哉との官能の罠に、みずから墜ちていく。性愛に囚われた維子の現在、ミステリアスな伊勢子の過去、さらに情熱の歌人・和泉式部の生きた遠い昔……時空を隔てた3人の女人像を、巧緻な遠近法でとらえ、王朝文化と戦後風俗という「聖」と「俗」のあわいに、独得の官能美の世界を現出させた、筆者晩年の傑作。毎日芸術賞受賞作品。
  • お市御寮人
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    信長と十四違いの妹お市。二人は信頼と愛で強く結ばれた兄妹だった。だが乞われて嫁いだ浅井長政と兄が対立し袂を分かつや、お市の運命は暗転を始めた。柴田勝家、豊臣秀吉…乱世を生きる男たちの野望と権力に翻弄されるお市御寮人、その波瀾万丈の生涯を華麗に描く舟橋歴史ロマンの最高傑作!

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  • 芸者小夏
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    故・丸谷才一氏が愛した、花柳小説の金字塔――温泉芸者の子に生まれ、水商売の中で育った夏子。この宿命の絆を断ち切りたいと希いながらも、外に道はなく、夏子は15で芸者小夏となった。純情を捧げた初恋の教師に裏切られ、夏子は日ましに「女」になっていく……。若き日に色町に親しみ男女の機微を知る著者が、戦後の脂の乗りきった時期に書き継ぎ、「夏子もの」として人気を博した連作小説の第1作。
  • 太閤秀吉 一
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    1~8巻660円 (税込)
    天下取りに相応しい器量を見せる織田信長を畏敬し、気高く美しい市姫を密かに恋慕する木下藤吉郎は、二人のために献身的に働く。今川を奇襲し、斎藤を討ち、京の治安を復活する信長に重用され、小谷城攻めでは、浅井の潰滅と市姫救出の軍功をあげる。英雄・秀吉の華麗な生涯を艶やかな筆致で描いた、長編歴史ロマン。<全8巻>
  • 新装版 花の生涯(上)
    3.9
    三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼。「政治嫌い」で、気楽な学問三昧の暮らしを望んでいた直弼だったが、一代の才子・長野主膳との親交を通して、時代を見る眼は磨いていた。しかし、絶世の美女たか女との出会い、そして思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していく…。安政の大獄を引き起こし、桜田門外の変で惨殺された井伊直弼、波瀾の四十六年間を、見事な筆致で描ききった不朽の名作、ついに電子化!
  • 花の生涯【合冊版/全2巻】
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    三十五万石彦根藩主の子ではあるが、十四番目の末子だった井伊直弼。「政治嫌い」で、気楽な学問三昧の暮らしを望んでいた直弼だったが、一代の才子・長野主膳との親交を通して、時代を見る眼は磨いていた。 しかし、絶世の美女たか女との出会い、そして思いがけず井伊家を継ぎ、幕府の要職に就くや、直弼の運命は急転していく…。 幕末、大老として開国を推進し、ついには桜田門外で惨殺された直弼と、腹臣長野主膳、たか女の波瀾の生涯を華やかな筆致で描き出した不朽の名作、上・下巻の合冊版!
  • P+D BOOKS ある女の遠景
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    1巻715円 (税込)
    理性では割り切れない愛欲の強さを描く。  維子の敬愛する叔母・伊勢子は、軍需工場の社長でのちに政治家になる泉中紋哉の愛人だった。紋哉は、妻と別れて伊勢子と一緒になる、といいながら、一向に実行する気配がない。そのうち、伊勢子は和泉式部伝説の残る東北の温泉で自死してしまう。維子は紋哉に恨みを抱くが、同時に自分勝手で男くさい紋哉に次第に心惹かれていき――。  伊勢子の日記に描かれていた過去と、やはり夫のある身で愛欲におぼれた和泉式部のそれを照らし合わせながら、維子の生き方を赤裸々に描いた、第5回毎日芸術賞受賞作品。
  • P+D BOOKS 好きな女の胸飾り
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    1巻825円 (税込)
    若き妻と大学生をあえて近づける屈折した夫。 「森男を蒔子に近づける。……二人は現在でも抑制しつつ愛し合っている。その抑制を或る程度外してやれば、二人は近接し、密着し、融けあうだろう。」  学生の岩永森男は、父の代から杉原産業の庇護を受けており、当主・康方とは親戚同然の間柄だった。しかし森男は、康方の若い妻・蒔子が気になって仕方がない。蒔子も森男を憎からず思っているらしい。  一方で蒔子は、康方の先妻の存在に心を痛めていた。そこで康方は、蒔子を苦しめた自分への罰として、森男と蒔子の接近を甘受しようとする……。  屈折し倒錯した三人の心理劇を見事に描き切った、第20回野間文芸賞受賞作品。
  • 雪夫人絵図
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    旧華族の孫娘で、雪のような肌を持つ女が、女狂いでサディストの傾向のある夫に苦しめられながら、肌で夫に惹かれてゆく情感を、恋人役の作家・方哉、同性愛風に憧れる女中・浜子、ツバメ的な役柄の誠太郎少年を布置し、妖しい四角関係の中に物語る華麗な小説。気高く、つつましく、官能的な雪夫人は、ごく古風なる日本女性の理想像と言えよう。

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