遠山啓作品一覧
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4.3
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-「近ごろ数学がいろいろの所に顔を出すようになって、数学ぎらいの人々を困らせたり、うんざりさせているようだ。この本はそういう人々のために書いたいくつかの文章を集めたものである。どの文章も数学とはそれほど恐いものでも、また人間ばなれしたものでもなく、ただの人間たちが、何千年も昔から、寄ってたかってつくりあげた、きわめて人間くさい学問なのだ、という立場から書かれている。」(あとがきより) 数学の歴史や、数学のなかのいくつかの典型的な概念について、また、子どもも親もセンセイも悩ませる「集合」についてなど、平易でありながら本質的な数学論が語られる一冊。 『数学は変貌する』を改題、「数学と人間」「現代社会と数学の役割」「文科のための数学」の三篇を増補し、〈弔辞〉大岡信、〈追悼エッセイ〉森毅「異説遠山啓伝」を収録。 【目次より】 プロローグ 数学とはなにか 数学は変貌する――古代から現代まで 古代の数学 中世の数学 近代の数学 現代の数学 連続と不連続 数学の方法 分析―総合の方法 等質化の方法 操作的方法 「集合」おそるるにたらず 数学と人間 現代社会と数学の役割 文科のための数学 あとがき 弔辞(大岡信) 異説遠山啓伝(森毅)
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3.5よく似たしくみをもつもの同士を同じものと見なす「パターン認識」。それは数学的な構造としては20世紀に深化発展した。数や多項式、関数などから、群・環・体などの有用な構造が取り出された。本書は抽象代数の基本概念を、歴史的背景をおりまぜつつ、ていねいな叙述でひもとく。随所に登場する卓抜な比喩は理解を助け、ガロア理論の意味まで望見させる。「体Σ/Kは地上に生えている大木に似ている。……基礎体は木の根に当たる。ガロア群は木を揺さぶる外からの力に比べられる」「秘密を探るのに、まずそれを揺さぶってみる……ここにガロアの理論のもつ射程の大きさがある」と。
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5.0
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5.0数学が人間からかけ離れた絶対的な真理であるという思想、あるいは神が数学を創り人間に与えたとする神話は、古代から現代まで姿をかえてたえず登場してきた。だが、すでにできあがった数学を天下り式に子供に注入する教え方は、数学をつまらなくさせてはいないか? 人類と数学の出会いから今日の数学理論に至る発達史や、初等教育における分数の計算や数の抽象化の難しさなどを平明に語り、自然や人の営みと数学の関わりを説き明かす。 「数学には甘い菓子のようなおいしさはない。しかし、暑いときに飲む冷い真水のようなうまさはある」と語る著者の業績は、数学的側面だけでなく数学教育から障害児教育まで幅広く、かつ、学問・科学・芸術に対する深い造詣と、そこから教育や人間を捉える真摯な洞察に満ちている。本書は、50年代半ばから70年代前半に発表された、数学と文化について語った文章を集めたもので、著者の思想と、数学の面白さや奥深さを知る格好の入門書となっている。「数学勉強法」「数学と社会も変わった」の二篇を増補し、吉本隆明の追悼文を再録。 【目次より】 Ⅰ 数学はあらゆる分野に浸透する これからの社会と数学 数学と現代文化 専門の違った人たちとダベってみる その一 専門の違った人たちとダベってみる その二 Ⅱ 数学はどんな学問か 数学は単純で素直である 数学は特殊な言語である 数学は学問的に孤立する危険をもつ 数学も時代の支配的イデオロギーに規定される 数学は自然や社会を反映する客観的知識 数学も人間を形成する 数学はほんとうに論理的か 数学と方法 数学の発展のために Ⅲ 数学はどう発展したか 数学の歴史的発展 現代数学の主役=構造とはなにか 構想力の解放 Ⅳ 科学を学んでいくために 科学への道――女性に与う三つの原則 数学勉強法 数学も社会も変わった あとがき 巻末エッセイ 遠山啓――西日のあたる教場の記憶(吉本隆明)