講談社 - 折口信夫作品一覧

  • 柿本人麻呂
    -
    1巻814円 (税込)
    学殖ある文芸評論家たる著者の、実証的にして、深い洞察とすぐれた創見にみちた労作!! ――生活伝承に対する卓抜な理解に基づいて、日本詩=短歌の源流たる万葉集に新たな光をあて、短歌的抒情の変革者にして偉大な完成者たる歌聖・柿本人麻呂の芸術を見事に解明した。柿本人麻呂は著者のライフ・ワークの一つであり、文芸評論家であるとともに折口信夫門下でもある著者が、人麻呂と日本の詩の誕生に論究した名著である。
  • 新装版 猿丸幻視行
    3.8
    奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき――百人一首にも登場する伝説の歌人、猿丸大夫が詠んだ歌に秘められた謎。そして“いろは歌”に隠された1000年の暗号とは? 友人の不可解な死に遭遇した、後の民俗学の巨人・折口信夫の若き日の推理が、歴史の深い闇をあぶりだす。江戸川乱歩賞受賞の永遠の傑作! 1980年週刊文春ミステリーベスト10第1位。(講談社文庫)
  • 民俗学
    4.5
    民俗学って何だ? 戦後の民俗学を発展させた泰斗による、決定的テキスト。人々の日常への探究は、いかに始まり、どう展開し得るか。これを読めば全体像がわかる!ハレとケ、山民/海民、カミとホトケ、ケガレ、女性と子ども……。人々の営みを学として探究するための最重要事項を、初歩から核心まで明快平易に講義。近世の萌芽から柳田国男、南方熊楠、折口信夫らに至る研究史をふまえ、さらには都市の民俗などアクチュアルな学問としての可能性を展望する。【本書より】 民俗学は二〇世紀後半、世界の文明民族の間で必然的に起こった学問である。イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパ文明社会の知識人たちが、同じ民族の内部で、キリスト教以前の文化や、先住民族の遺習などに気づき、それらが辺境の地域社会に残存していることを研究対象にしてスタートさせた。日本においては、ほぼ同時期に、本居宣長や平田篤胤、菅江真澄などの国学者や知識人たちが、田舎の習慣に古代を求めたり、他界観、神観念についての考えを深めたりしており、さらに明治時代末に至り日本の近代化、工業化に対する批判の姿勢をもった柳田民俗学が出発したのであった。 各国の民俗学のあり方には、それぞれ特徴があり、一括することは難しい。しかし共通している点は、古習の残存をとらえるという観点ではなく、むしろ現代社会に現実に生きている民俗の意味を問うということであり、日本の民俗学にはそのための枠組みとして、「常民」や「ハレ・ケ」の概念が用意されたが、近年それだけでは不十分であることからつぎつぎと修正意見もだされてきている。民俗学は出発の時点においてまず都市化を経験しており、民俗が外在的にも内在的にも変容しつつあることを大きな前提としていた。民俗はつねに変化しているからこそ、変化の相のなかにプロトタイプや変化のプロセスを探ることが可能になっている。民俗の消滅は変化の仕方であり、そこに原則をとらえる必要があるだろうし、一方に民俗の再生、再生産、創造という認識もなされてくる。近代化・都市化に応じての民俗のあり方が現代民俗学にとって不可欠の視点となっているのが現状の認識といえるだろう。【本書の内容】1 民俗学の成立と発達2 日本民俗学の先達たち3 常民と常民性4 ハレとケそしてケガレ5 ムラとイエ6 稲作と畑作7 山民と海民8 女性と子ども9 老人の文化10 交際と贈答11  盆と正月12 カミとヒト13 妖怪と幽霊14 仏教と民俗15 都市の民俗※本書の原本は、1990年に放送大学教材として刊行されました。
  • 中国の神話 神々の誕生
    -
    「子は怪力乱神を語らず」。孔子に代表される儒教の合理的精神のもと、早くに歴史の中に取り込まれ、断片的にしか伝わることがなかった中国神話。『山海経』や『楚辞』、甲骨資料などわずかに残された痕跡から、一つ目、一本足で猿面の山神を主人公に、古代中国史の泰斗が神話世界を大胆に復元する! 最古の地誌であり、儒学の厳しい検閲の網を逃れて現代にまで生き残った、さまざまな怪物が登場する『山海経』。そこには一本足で、声は雷のごとく、黄帝が生け捕りにして皮をはいで鼓をつくり、その骨をばちに打ち鳴らすと五百里四方にとどろいたという山の怪物が登場する。また別の個所では楽園の番人を殺して不死の木の実を盗んだ罪によって、足にかせをはめられ、両手と髪を縛ってある山の木に逆さ吊りにされた怪物も現れる。このいずれもが「き」という音で呼ばれる、本書の主人公である。 司馬遷が『史記』で歴史のはじめにおいた黄帝と、その強敵である蚩尤はともに風雨、とりわけ風を呪術的に自在に操る力を持っていた。風の神は同時にふいごを使う鍛冶神にも通じ、そして「き」もまた、鍛冶と深いかかわりがあったという。 多くは猿面で一つ目、一本足で表象されるこの山神を出発点に、柳田國男や折口信夫の民俗学的手法や日本神話、時にはバビロニアのマルドゥク伝説からもヒントを得ながら、古代のはるか遠い祖先神をめぐるひとつの物語として中国の神話を大胆に復元し、さらにその後、儒教化によって神話が歴史へ、呪術が宗教へと変容するまでを描く。神話世界を冒険するかのようなスリリングな魅力に満ちた一冊。 (原本:『中国の神話――神々の誕生』筑摩書房、1971年) 第一章 異形の神像 第二章 瞽師の伝承――中国の語部 第三章 風の神の発見 第四章 鍛冶師と山の神 第五章 文化的英雄の誕生――三皇五帝 第六章 神話の世界の消失 第七章 乱――エピローグ あとがき 解説 蜂屋邦夫
  • 再発見 日本の哲学 折口信夫――いきどほる心
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    日本人にとって神とは、どのような存在だったのか。日本の古代、日本の根源に、独自の感性で踏み込んでいった折口信夫の思想を鮮やかに照らし出す、俊秀の力作。
  • 世俗の詩・民衆の歌 池田彌三郎エッセイ選
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    懐かしの童謡、唱歌の世界。歌でたどる都市の風俗――折口信夫の高弟にして、日本芸能研究の重鎮である著者の歌と言葉をめぐる軽妙なエッセイの数々。小学生時代と重なる大正期、その時、口ずさんだ童謡や唱歌を記憶のなかから甦らせ、都市の風俗と言語生活の変遷をたどり、宝塚少女歌劇から戦後の歌謡曲まで、そこに息づく庶民の心を読み解く。軍歌の一方的排斥に異を唱え、歌詞のなかの言葉遣いへの辛辣な評言も著者ならでは。 ◎「文学の歴史の叙述にも、文学作品そのもの、あるいは作者の歴史に対して、読者の歴史が書かれなければならないように、歌の場合にも、それを聴き、習い、歌った、つまり与えられた側の歴史が書かれてもいいと、わたしはかねて思っていた。わたし達のまわりにあるものは、それを制作して与えてきた側の記述が多く、それを聴き、習い、歌った側の記述がほとんどないからである。それには、わたしはかなり不満であった。」<「あとがき」より>
  • 折口信夫文芸論集
    3.0
    釈迢空の別名を持ち、学者にして詩人、詩人にして学者という生涯を送った折口信夫は、古代から近代にいたる日本文化を貫く本質をとらえ、詩歌、小説、文学研究、民俗学研究と他の追随を許さない多岐にわたる業績を残した。源氏物語、隠者の文学、短歌の滅亡、近代文学など折口が関心を寄せた日本文学の諸相を多彩な切り口で整理し、批評家としての全体像に迫る画期的評論集。
  • 思い出す顔 戸板康二メモワール選
    -
    昭和を代表する劇評家、推理作家、俳人の戸板康二はまた、歌舞伎、映画、雑誌など、幅広い世界で蒐集した「ちょっといい話」を絶妙な筆致で描く無類のユーモリストだった。数多の著書から60代に書かれた『回想の戦中戦後』『思い出す顔』の2作品23篇を抄録。師折口信夫も市井の無名の人も同じあたたかい目線で捉えたエスプリ溢れる文章は、読む者に幸福感を与えてやまない。時代と人への芳醇なメモワール。
  • 神々の闘争 折口信夫論
    -
    折口学成立の起源と秘密に迫る本格的論考! 柳田國男と折口信夫の対立の根源を台湾の「蛮族調査報告」を初めて読み解きながら明らかにし折口学の世界的普遍性を論じる力作。「群像」新人文学賞優秀作収録。
  • 光の曼陀羅 日本文学論
    -
    埴谷雄高、稲垣足穂、南方熊楠、江戸川乱歩、中井英夫ら、「死者たちのための文学」を紡ぐ表現者の連なりを描き出す第一部「宇宙的なるものの系譜」。折口信夫の謎めく作品『死者の書』と関連資料を綿密に読み込み、物語の核心と新たな折口像を刺戟的に呈示する第二部「光の曼陀羅」。『死者の書』を起点に、特異な文学者の稜線を照射する気宇壮大な評論集。大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞。
  • 折口信夫
    4.0
    1巻3,861円 (税込)
    日本の知の結晶ともいうべき折口信夫。文学、民俗学のみならず、その広大なる表現領域は他の者を圧巻し、全貌を掴むことが不可能とされてきた。そこに、切り込んだ安藤礼二の『折口信夫』。この本を読めば折口の全体像がわかり、この本を読まずして折口を語るなかれと、後世の評価を受けることは確実である。起源・言語・古代・祝祭・乞食・天皇・神・宇宙と題された章──これを追うだけで心が打ち震えるではないか。
  • 釈迢空 短歌 その器を充たすもの
    -
    釋迢空すなわち折口信夫は、著者の青年時代からの師であり、決定的な存在であった。その影響と、そこからの超脱が、著者の文学者としての歩みといえよう。本書収録の2著作『釋迢空』『短歌 その器を充たすもの』は、師と著者とのあいだに発せられた光芒である。
  • 根源的構想力の論理
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 経験と思想の基礎としての感覚は、その置き換え難い重みをもって、世界の根底にふれ鍛えあげられてソリッドな感覚となる。こうした感覚の根底にはたらく構想力、すなわち「感覚する力」としての根源的構想力の論理を解明する。非在(根源的に現前しえないもの)の根源的現前はいかにして可能か。純粋無垢の煌きは可能か。根源的構想力のはたらきは、純粋記憶の底からなされる、非在のものの反復・再現前化である。まず、直接性切断としての「祭り」と「仮面」そして「言語」が、そこを横切る超越的他者の痕跡と人格のアルケオロジーとして考察され、つづいて「根源的構想力の機動性の深い場」としての詩歌・絵画・彫刻の分析をとおして、そこに生起する命のかたちと永遠のフォルムが明らかにされる。 【目次より】 凡例 第一章 根源的構想力の論理 第一節 三木清の「構想力の論理」 第二節 構想力、その「非在のものの反復」 第三節 根源的構想力あるいは感覚する力 第四節 セザンヌのモティーフ 第二章 「仮構機能」としての構想力 第一節 構想力がめざすもの 第二節 仮構機能 第三節 構想力と身体図式 第四節 「形」の論理 第三章 表象をよぎるもの 柳田國男と折口信夫 第一節 戦慄せしめるもの 第二節 仮面の論理 第三節 祭りの構造 第四節 「まれびと」の他界性 第四章 仮面の不在 近代ヒューマニズムの陥穽 第一節 都市化現象の本質 第二節 直接性という神 第三節 仮面と人格 第五章 言語ゲームのかなた 言語の外部あるいは理性の他者 第一節 越境する知 第二節 直接性切断としての言語能力 第三節 言語ゲームが示すもの 第六章 感覚・経験・思想ー森有正論 第一節 もう―つの西洋体験あるいは「荷風的」 第二節 「日本人とその経験」 森有正の日本文化論 第三節 森有正の純粋感覚論 第七章 命のかたち 西行の思想 第一節 西行的なるもの 第二節 心なき身 第三節 無常と数寄 注 あとがき 参考文献 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 細谷 昌志 1943年生まれ。哲学者、大阪大学名誉教授。大阪外国語大学外国語学部ペルシア語科卒業。京都大学大学院宗教学専攻博士課程(文学博士)。 著書に、『文化の深淵としての宗教 宗教的作用論序説』『カント表象と構想力』『田辺哲学と京都学派 認識と生』『根源的構想力の論理』など。

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