集英社文庫 - 芥川賞作品一覧

  • 蛇にピアス
    4.1
    「スプリットタンって知ってる?」そう言って、男は蛇のように二つに割れた舌を出した―。その男アマと同棲しながらサディストの彫り師シバとも関係をもつルイ。彼女は自らも舌にピアスを入れ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていく。痛みと快楽、暴力と死、激しい愛と絶望。今を生きる者たちの生の本質を鮮烈に描き、すばる文学賞と芥川賞を受賞した、金原ひとみの衝撃のデビュー作。
  • 共喰い
    3.5
    一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。セックスのときに琴子を殴る父と自分は違うと、自らに言い聞かせる遠馬だったが、やがて内から沸きあがる衝動に戸惑いつつも、次第にそれを抑えきれなくなって─。川辺の田舎町を舞台に起こる、逃げ場のない血と性の問題。第146回芥川賞受賞作。文庫化にあたり、瀬戸内寂聴氏との対談を収録。ほか「第三紀層の魚」併録。
  • 玩具
    4.3
    【第53回芥川賞受賞作収録】寸暇を惜しんで、ひたすら小説を書き続ける売れない同人誌作家の夫。そして、その夫の心の動きに一喜一憂しながら、こまやかな愛情をふりそそぐが顧みられぬ妻。破局寸前にありながら、奇妙なバランスを保つ夫婦関係の機微を、質実で丹念に書き込んだ、第53回芥川賞受賞作品「玩具」他、著者独自の文学世界を構築する四篇を収録。
  • 小銃
    -
    【第32回芥川賞受賞作収録】軍隊生活の失意のどん底で、望郷の思いをたくした小銃とのめぐり会いをユーモアをまじえて描いた表題作「小銃」。アメリカン・スクールを見学にでかける教員たちの集団に、戦後の戯画化された人間像を映し、植民地化された日本への諷刺をきかせた芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」など、独自の文学領域を開拓した著者の初期短篇9篇を収録。
  • 広場の孤独 漢奸
    -
    【第26回芥川賞受賞作】朝鮮戦争勃発にともない雪崩のように入ってくる電文を翻訳するため、木垣はある新聞社で数日前から働いている。そこには「北朝鮮軍」を“敵”と訳して何の疑いを持たぬ者がいる一方、良心に基づき反対の側に立とうとする者もいた。ある夜、彼は旧オーストリー貴族と再会し、別れた後ポケットに大金を発見する。この金は一体何か。歴史の大きな転換期にたたずむ知識人の苦悩と決断。日本の敗戦前後の上海を描く「漢奸」併収。
  • 普賢
    2.0
    【第4回芥川賞受賞作】頽廃と汚辱にみちた日々を無気力に生きる「わたし」の前に、長い間恋いこがれてきた旧友庵文蔵の妹ユカリが、特高警察に追われ、呪詛にみち、荒んだ姿であらわれる。戯作派といわれる著者が大胆に危機感を現出して、絶望からの再生を描く。第4回芥川賞を受けた表題作のほか、処女作「佳人」ほか「葦手」「秘仏」を収録した初期短編傑作集。
  • 砲撃のあとで
    3.6
    【第69回芥川賞受賞作】「少年は疾走していた。木々の葉の間を縫って光は斜めに射し、放射する幕のなかで狂ったような霧が踊っていた」。敗戦で秩序の破壊された大陸で、無法と死に追われる少年の目に、飢えと疾病に晒された世界が焼きつく。芥川賞受賞作「鶸」をはじめ「砲撃のあとで」「曠野」「竪笛」「流れのほとり」など、戦争の生々しい傷あとを描く連鎖状作品を集める。表題作含む14編を収録。

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