新潮社作品一覧

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  • 愛という病
    4.2
    なぜ恋をするとバカになるのか、男を殺す女の言葉とは、エロいとは一体何なのか──幸福になるためには、自分を知ることのほか道はない。欲望と自意識をライフワークにしてきた著者が、自らの生き苦しさの正体を徹底的に解体していく痛快エッセイ。行き着いたのは「なぜ私は愛し愛される事に固執するのか?」という人類最大の命題。
  • 愛と死の書
    -
    これは、三つの親しい者の死にめぐりあった女性の、やり場のない愛情の悲しみを書いたものである。作者は「この長編小説ほど喜びと悲しみをもって書いた小説は私にはない。この小説ほど愛着をもつ小説も、他にない」とこの作に寄せる思いを語っているが、何人にも共通な感情のうちに、深刻な愛情の問題を扱っている点に、本書の高い評価が存在する。日中戦争さ中の昭和14年刊。
  • 愛と資本主義
    4.0
    1巻1,320円 (税込)
    新宿のホストクラブ-それは金に飢えた男と愛に飢えた女が、狂ったダンスを踊る異空間、ある種の絶望的な「愛」の形。夜毎繰り広げられる狂宴を、妖しい月夜の明かりで照らし出した長編小説。
  • 愛と知と悲しみと
    -
    作者がパリ留学時代に逗留した、アナーキスト一家として高名なルクリュ家の人々との、三十年にわたる友情を描いた自伝的作品である。ことに、幼時より音楽的才能を嘱望されながら、第一次大戦で指を傷め、ピアニストとしての将来を失った、ジャック・ルクリュの半生が中心に描かれた本編は、戦争、革命、愛と死をめぐる現代人のテーマを掘り下げた、静かなる慟哭の書である。
  • 愛なんて嘘(新潮文庫)
    4.3
    恋人の家に転がり込んできたのは、とっくの昔に離婚したはずの彼の元妻だった。ひとつの場所にとどまることのできない女の存在が二人の関係を変える(「夜を想う人」)。一度は別れを選び、それぞれが新しい伴侶を見つけ、子供も授かった元夫婦の約束とは(「二人のプール」)。裏切りに満ちたこの世界で、信じられるのは私だけ? 平穏で幸福な愛の“嘘”に気づいてしまった男女を繊細な筆致で描く六篇。
  • 愛に乱暴(上)(新潮文庫)
    3.6
    1~2巻539円 (税込)
    初瀬(はせ)桃子は結婚八年目の子供のいない主婦。夫・真守の両親が住む母屋の離れで暮らし、週に一度、手作り石鹸教室の講師をしている。そんな折、義父の宗一郎が脳梗塞で倒れた。うろたえる義母・照子の手伝いに忙しくなった桃子に、一本の無言電話がかかる。受話器の向こうで微かに響く声、あれは夫では? 平穏だった桃子の日常は揺らぎ始め、日々綴られる日記にも浮気相手の影がしのびよる。
  • 愛の年代記
    4.2
    かくも激しく美しく恋に身をこがし、生きて愛して死んだ女たち――歴史資料の片隅に、わずかに残されたその華麗な生の証しをもとに、欲望・権謀の渦巻くイタリアの中世末期からルネサンスにかけて、《恋の歓び、哀しみ、憤り》など、さまざまな愛のかたちを抽出する。『大公妃ビアンカ・カペッロの回想録』『ドン・ジュリオの悲劇』など、胸ときめく恋の物語9編を収録。
  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)
    4.0
    幼いとき犬にかまれ、左腕が不自由な小学六年生の少女・月岡愛。母を亡くして居場所を失った彼女は、仲良しの大型犬デンを連れて行方不明の父を探す旅に出た。暴力が支配する無法の世界で次々と事件に巻き込まれながら、不思議なご隠居さんや出会った仲間に助けられて危機を乗り越えていく愛。近未来の日本を舞台に、勇気と希望を失わずに生きる少女の成長を描く傑作ジュヴナイル。
  • 愛のむこう側
    5.0
    1950年夏、11年ぶりにパリを訪れた紀川紗良の胸裏に、青春の日々がよみがえってきた――16歳での結婚と離婚。その傷心を束の間のフランス留学に癒して美しい娘時代をとりもどし、新しい友情と恋が芽ばえてくる。明日のない激しい恋愛。そして戦争に、恋人を夫を奪われたこの一人のブルジョワ娘が、やがて自由と平和に目覚め《自立した女》に成長するまで。自伝的長編小説。
  • 愛慾・その妹
    -
    自分の眼となっている妹を手放すことに怯える貧しく盲目の作家広次が、世間からも人間からも疎外されていく悲劇を描いた「その妹」。兄と妻が通じたことで人間不信に陥る画家英次の苦悶の心理を描く「愛慾」。肉体へのコンプレックスが招く孤独と暗い運命に翻弄されながらも、そこからの密かな救済を暗示させる、作家の個性が光る2つの戯曲。
  • 愛より速く
    3.4
    このまま私の中にいて。もっと深く突き刺してよ――エロスの王道を歩む23歳の女子大生・“斎藤綾子”のセックス遍歴は、売りに援交、SM、輪姦、乱交、不倫、同性愛……。時に髭もないツルツルのボーヤを舐めまくり、時にフツーの恋がしたくてセックスを我慢してみたりする。だって、私は男が好き。特にペニスは大好物――。「処女を装うとき」「追い詰めて、犯して」「十五歳で輪姦されて」「オナニーの秘儀」など、全19編を収録した、女の子のための超過激なエッチ小説。

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  • アイラブみー じぶんをたいせつにするえほん
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「なんでパンツをはいてるんだろう?」。5歳の主人公「みー」のふとした疑問をきっかけに、自分の体と心を知り、大切にすることを親子で一緒に学んでいく物語です。巻末には、東京大学名誉教授の汐見稔幸先生をはじめ、番組を監修する専門家による保護者向けのQ&Aページも掲載。子どもの自己肯定感を丁寧に育む一冊です。
  • 愛をめぐる人生論
    -
    女は、つねに美しくあって欲しい。そして、優雅で、妖艶であって欲しい。女の愛のすがた、肉体の表情を古今の例証にもとめ、また生きた現実のなかにとらえる。――女が官能にめざめるとき、情事のなかの色と匂い、嫉妬と自尊心、恋愛の結晶作用、淫蕩と情事の表裏、性における意識と肉体の乖離……。当代きってのモラリスト=恋愛小説の名手が親しく語りかける鋭く新鮮な愛の読本。
  • アインシュタインの戦争―相対論はいかにして国家主義に打ち克ったか―
    4.0
    第一次大戦下、相対論完成の最後のピースを探し求めるアインシュタインに立ちはだかった、あらゆる試練――平和主義者の弾圧、妻との確執、食糧難、病、そして協力者たちとの分断。ドイツに閉じ込められた「世紀の理論」はいかにして世界に羽ばたいたのか。憎しみあう大国のはざまで揺れ動いた科学者たちの群像。
  • あ・うん
    3.3
    喧嘩をしても、まるで「あ・うん」の狛犬のように息が合い離れない男の友情――門倉修造と水田仙吉は、20年来の友達だが、見かけも気性も財力も正反対ときている。門倉は仙吉の妻の秘めたる色香をひそかに愛している。そんな大人の関係を不思議な思いで見ていた仙吉の娘さと子の恋人に召集令状がきた……。昭和10年代の愛しい一途な日本人像を浮彫りにする著者最後のTVドラマ。

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  • 蒼い乳房
    3.0
    身体は日ごとに成熟してゆく。胸も豊かに色づいてきた。だが、彼女は外の世界をまだ恐れていた。ロシアの血をひくその容貌が、好奇の視線を集めてしまうから。薫、あなたは恋を知らぬ少女だった。『海猫』を甦らせた表題作をはじめ、現在まで描いてきた短編より選びぬいた、オリジナル作品集。純粋さ、喪失感、静謐な喜び、癒えぬ哀しみ……。恋愛にはきっと、人生の全てがある。
  • 青いバラ
    -
    科学の進歩と人間の夢が結び合う、青いバラの創造。「青いバラ」の夢に憑かれた園芸家鈴木省三の熱情、バラの花市場の研究開発、科学者たちの論争…。バイオテクノロジー最新事情を網羅しつつ、人間の欲望と科学の未来が結びあうバラ作りの夢を追う渾身のノンフィクション。

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  • 青いパステル画の男
    3.6
    パリの弁護士ショーモンは古いモノが好き。仕事は順調、稼ぎも良いが、趣味の骨董収集に妻も周囲も全く関心を持ってくれない。ある日、自分そっくりの18世紀の肖像画を落札したショーモンは、その男の正体を探す旅のなかで、奇妙な偶然に巻き込まれていく……。『赤いモレスキンの女』の著者による鮮烈なデビュー作。
  • 青い光
    -
    津田信雄と園子は共働きの貧しい夫婦だが、平凡な生活の中にささやかな幸福を見出している。信じ合う若い二人の間にひびが入り始めたのは、園子の勤める病院に流行作家の田辺が入院してからだった。田辺はそのころ、人妻の愛人と同棲していた。二組の男女の愛憎のもつれは意外な方向へと展開して行く──。〈現代人は愛する者のために命を棄てることができるか〉を問う長編恋愛小説。
  • 蒼い描点
    3.9
    若い編集者椎原典子は、女流作家村谷阿沙子の原稿催促に出向いた箱根で、顔見知りのフリーライターの変死にぶつかる。死者と村上女史に謎の繋がりを感じた典子と同僚崎野は、やがて女史には代作者がいたという確信を持つ。女史の夫と女中の相次ぐ失踪、女史の精神病院への逃避、そして第二の殺人と、事件は意外な方向へ発展する……。心理の微妙な起伏と情景の描写が光る推理長編。

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  • アオイロ・メロディ 1巻
    3.8
    1~4巻484~594円 (税込)
    恋する音を聞いたことがありますか? 「歌うことがだいすき。でもこれは、だれにも内緒なの」 恥ずかしがり屋でいつも周りの空気を読んで行動しちゃう高校1年生、桜井 青(さくらい あお)。 彼女の秘密の趣味。それは、歌を歌うこと。 誰もいない教室でひとり、のびやかに歌う青。いつも通り、こんな日常が続くと思ってた…だれにも気付かれずに。 次の日、友達と教室で卒業式<プロムパーティ>の準備をしていた青。そこに、いきなりやってきたのは、生徒会長で学校の人気者の2年生、成田 慎(なりた しん)。金髪でイケメンで、見た目も中身も全く正反対な慎。 「わたしとは無縁の人…」 でも、なぜかどんどん慎が近づいてきて、 「お前、オレのバンドでボーカルやれよ」 慎に引っ張ってこられて着いた軽音部の部室には、大人っぽい魅力で人気の生徒副会長、ベース担当の榑林 央人(くればやし ひろと)と、ベビーフェイスで老若男女問わず仲良くなれる特技をもつ龍(りゅう)……学校中の人気者がそろっていた! 「まっすぐで透き通る声がスゲー好きだと思った。  頼む。オレのバンドで歌ってくれ」 「卒業生だけじゃなく、全校生徒を泣かせようぜ」 戸惑う青をまっすぐ見つめて告げる慎。 慎のまっすぐな瞳に、青の臆病な心は静かに開いていった。 どんどんバンドの練習にのめりこむ青。でも、それを良く思わないお母さんにバンドを禁止されてしまう。 「私があなたを若くして生んでどれだけ苦労したか… あなたのためを思って言っているのよ」 そう言われるたびに 「あなたのせいで」って言われてる気がして、青は身動きが取れなくなってしまう。 誰か、助けて――。 声にならない叫びを、聞いてくれたのは、慎だった。 卒業式の日、慎の計らいで、青の歌を聞いたお母さんに、青はようやく本当の気持ちをぶつける。そして、お母さんも青にまっすぐ向き合う。 全部、とはいかないけど、少しだけ分かったお互いの気持ち。 そうさせてくれた慎に感謝する青。 バンドは卒業式限定…少し寂しいな… そう思っていた青に、慎は 「新入生歓迎会に文化祭、まだまだこれからだぜ」 嬉しくって笑いあうふたり。 でもそれを陰から見ている人がいて――。 この恋、五線譜に刻もう――。 GW合宿に夏祭り、そして三角関係!? 恋もバンドも友情も全部を全力で受け止めよう!! 俺様男子×内気女子のトキメキバンドラブストーリー、 芽吹きの第1巻。
  • アオイロ・メロディ 分冊版第1巻
    3.5
    内気な女子高生・桜井青。彼女の趣味は歌うこと。でもこれは誰にもナイショ…。ある日、学校の人気者・成田慎にバンドのボーカルとしてスカウトされて――。 控え目女子×俺様男子のトキメキバンドストーリー、開演♪ 【コミックニコラ】読むと恋がしたくなる。100%ピュアな胸きゅんラブストーリー♪ ※この分冊版には「桜井 青」「届け!」(作品本編の第1・2話分)が収録されています。
  • 蒼き狼
    4.0
    1巻781円 (税込)
    風の如く蹂躙せよ。嵐の如く略奪せよ。世界史上未曾有の英雄、成吉思汗即位八百年! 遊牧民の一部族の首長の子として生れた鉄木真=成吉思汗(テムジン=チンギスカン)は、他民族と激しい闘争をくり返しながら、やがて全蒙古を統一し、ヨーロッパにまで及ぶ遠征を企てる。六十五歳で没するまで、ひたすら敵を求め、侵略と掠奪を続けた彼のあくなき征服欲はどこから来るのか?――アジアの生んだ一代の英雄が史上空前の大帝国を築き上げるまでの波瀾に満ちた生涯を描く雄編。
  • 蒼ざめた礼服
    3.7
    大学卒業から四年。就職難で仕方なく入った会社の仕事に男は気が乗らない。だが、古本屋でふと手にした雑誌をきっかけに、政財界の裏で活動する柿坂経済研究所に入るや、持ち前の好奇心を発揮し始めた。しかし、独自に探っていた謎に、国会でも注目の特殊潜水艦の建造計画が絡んで、殺人事件まで相次ぎ……。国防問題と巨大軍需産業の闇を背景に描かれた白熱の社会派ミステリー。

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  • 青空チェリー
    3.7
    ベッドの上でからみあうふたりの脚。きれいに塗られたパールピンクの爪。その足指が、ときおりぎゅうとねじ曲がる。開く。曲がる。開く。……。予備校の隣にラブホが建った。以来、あたしは屋上から、のぞきみちゃんな日々。ゆるしてちょうだい、だってあたし十八歳。発情期なんでございます。ある日、誰も来ないはずの屋上に男の子がやってきた――!! それ以来、あたしは彼と、“一緒に”のぞいて、“お互いに”オナニーすることに……。栄えある第1回R-18文学賞・読者賞受賞の表題作を収録した、女の子のための3つのストーリー。

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  • 青に候
    3.8
    神山佐平は、やむなき事情から家中の者を斬り、無断で江戸へ帰ってきた。わずか二年前に仕官したばかりだった。主君の死に始まる山代家の騒動はいまだ治まる気配を見せない。殿の愛妾となった幼なじみ、行方をくらました元藩士、朋輩の美しき妹、忍び寄る影。佐平は、己の進むべき道を見つけることができるのか。若々しい熱気と円熟した情感をたたえた、志水辰夫の新たなる代表作。
  • 青にまみえる
    3.0
    1巻1,408円 (税込)
    酒にではない、お茶に酔ったのだ。中国有史五千年のはるか以前より、福建省の深山に自生し続ける、大地自然の気をたっぷり吸い込んだ悠久の茶。この、水に次ぐ命の飲み物に酔った時から、「私」の運命はゆったりと動き始め……。混迷を深める人の世の底なしの泥沼に、疲れはてた心と体を温かくうるおす、大人のための小説。

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  • 蒼猫のいる家(新潮文庫)
    3.5
    家庭で居場所を失ったキャリアウーマンが年下の男と出会って……。意外な成り行きに大人の孤独がにじむ表題作の他、未体験の快感と美容効果を保証する、謎の無脊椎動物が巻き起こす騒動を描く「ヒーラー」、借金まみれのカメラマンが山奥で雌犬の“ヒモ”となる「クラウディア」など。濃厚な物語世界に、動物たちの凜々しさや人間の愚かさを凝縮した絶品の五篇。『となりのセレブたち』改題。(解説・田中兆子)
  • 青の数学(新潮文庫nex)
    3.9
    雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。その少女、京香凜(かなどめかりん)の問いに、栢山(かやま)は困惑する。「数学って、何?」――。若き数学者が集うネット上の決闘空間「E2」。全国トップ偕成高校の数学研究会「オイラー倶楽部」。ライバルと出会い、競う中で、栢山は香凜に対する答えを探す。ひたむきな想いを、身体に燻る熱を、数学へとぶつける少年少女たちを描く青春小説。
  • 青の魔性
    -
    異様な才能と魅力を秘めた教え子の女生徒に強くひかれながらも、母親と肉体関係を結ぶ小学校教師。それを知った少女が自殺した時、教師は普通の女性を愛せなくなり、精神に異常をきたす(表題作)。老朽化した橋の爆破の陰で計画された殺人事件を暴く『枕に足音が聞える』ほか、『サギ・カンパニー』『獣の償い』『褥の病巣』『途中下車』『共犯の瞳』『禁じられた墓標』『鉄筋の猿類』の、斬新な着想で読者を圧倒する推理短編、全9話。
  • 青べか物語
    4.1
    根戸川の下流にある、うらぶれた裏粕という漁師町をふと訪れた「私」は、“沖の百万坪”と呼ばれる風景が気にいり、ぶっくれ船“青べか”をテもなくかわされてそのままこの町に住み着いてしまう。その「私」の目を通して、町の住人たちの生活ぶりを、巧緻な筆に描き出した独特の現代小説。

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  • あかあかや明恵
    4.0
    1巻2,090円 (税込)
    武家に生まれた明恵は、八歳で父母を亡くし、十六歳で出家。その学才を見込んだ東大寺、神護寺からの要請を断わる一方、釈迦のご遺誡を体現するために右耳を切り落としさえした。承久の乱で朝廷軍をかくまったが、その教えに打たれた幕府軍の総大将・北条泰時が後に帰依したことでも知られる、華厳宗中興の祖を描く傑作歴史長篇。
  • 紅い陽炎
    -
    子供をベビーホテルに預け、デリカテッセンで夕食の献立をそろえ、ジャズダンス、小説教室へと通う。そんな新しいライフ・スタイルを楽しむ34歳の主婦が殺された。捜査が進むにつれて、主婦たちの秘められた想いが明らかにされて行く……。欲望渦巻く都会の片隅で、翔ぼうとしても翔べない女たちの怨嗟が、陽炎のように燃え上がる。日常に潜む狂気を描き出す、異色のミステリー。
  • 赤い追跡者
    4.1
    1巻1,496円 (税込)
    強奪、脅迫、色仕掛け。取材の為なら手段を選ばぬディレクター西悟は、罪なきエイズ患者の無念を晴らすため、厚生官僚・医学部教授・製薬会社がひた隠す秘密を暴いてゆく。衝撃的なNHKの薬害エイズ特番を制作し、すべての真相を知る当事者がここまで描き切った! 社会派小説の枠を超えた一気読み必至の極上エンタメ。
  • 赤い氷河期
    -
    西暦二○○五年、現代のペスト、エイズは猖獗を極め、患者は一億五千万人にも及ぼうとしていた。一方で世界情勢は激しく揺らぎ、改革に失敗したソ連に独裁政権が誕生、ヨーロッパは連邦を形成しつつある。エイズの急激な蔓延を訝しむ山上と彼の周囲に出没する謎の男・福光。背後で蠢くのは何者か? 新型エイズ・ウイルスをばらまいたのは誰か? 近未来を舞台に描く長編サスペンス。

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  • 赤い星々は沈まない
    NEW
    -
    1巻1,870円 (税込)
    老人介護施設のマドンナ・キヌ子は、いまだ枯れずに「女」を振りまいている。夫とのセックスレスに悩む看護師のミサは、介助しながらその言動を複雑な思いで見ているが……。今の大人の女性たちが抱える「ままならなさ」を真っ向から、時にユーモアも交えて描いた「女による女のためのR-18文学賞」大賞作家デビュー作。
  • 赤いモレスキンの女
    4.0
    パリの書店主ローランが道端で女物のバッグを拾った。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳。バツイチ男のローランは女が書き綴った魅惑的な世界に魅せられ、わずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始める。英王室カミラ夫人も絶賛、洒脱な大人のおとぎ話第二弾。
  • 朱く照る丘―ソナンと空人4―(新潮文庫)
    3.8
    1巻649円 (税込)
    輪笏(わしゃく)の領主としての未来を断たれ、ソナンは祖国トコシュヌコで都市警備隊の一員として勤勉に働く。五年の月日を経て士官へと昇進し、父シュヌア将軍が暮らす生家へと戻ることに。弓貴(ゆんたか)での日々は、一夜の夢だったのか――。だが、この国に常駐する弓貴の使者の名前を知り、ソナンは激しく動揺する。ひとりの青年とふたつの国の運命が絡み合う、激動のクライマックス。奇蹟の英雄物語、堂々完結!(解説・瀧井朝世)
  • 赤毛のアン・シリーズ(1~10)合本版(新潮文庫)
    NEW
    -
    ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく――。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起す愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織りこまれた永遠の名作。 ※当電子版は新潮文庫版『赤毛のアン・シリーズ』1~10巻をまとめた合本版です。
  • 明石家さんまヒストリー1 1955~1981 「明石家さんま」の誕生
    4.3
    少年時代から落語界入門、大阪での活躍、「ひょうきん族」スタートまで、若き日の明石家さんまの“歴史”を、本人の発言や膨大な資料をもとに克明に記録。師匠のもとで芸を磨き、芸人仲間と切磋琢磨しながら順調にスターの階段をのぼる一方で、芸を捨てる覚悟をした大恋愛、ブレイク前夜の挫折など、苦くも充実した“青春時代”の姿を浮かび上がらせる。人生を「明石家さんま研究」に捧げた男による、渾身のデビュー作!
  • 明石家さんまヒストリー2 1982~1985 生きてるだけで丸もうけ
    4.0
    『ひょうきん族』での活躍によって、全国区の人気を獲得した明石家さんま。雑談芸の確立、「アミダばばあ」「ナンデスカマン」など人気キャラクター誕生秘話、ビートたけしやタモリとの火花散る攻防戦、悲しい別れと、人生観を大きく変えた大事故まで――。運命を分けた東京での大勝負。芸人としての覚悟を決めた4年間の全貌に迫る!
  • 赤猫異聞
    4.0
    時は、明治元年暮。火の手の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人たち──博奕打ちの信州無宿繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」との言葉を胸に、自由の身となった三人の向う先には……。幕末から明治へ、激動の時代をいかに生きるかを描いた、傑作時代長編。
  • 赤ひげ診療譚
    4.2
    幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”と呼ばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は事あるごとに赤ひげに反抗するが、赤ひげの一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。

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  • アカペラ(新潮文庫)
    3.8
    身勝手な両親を尻目に、前向きに育った中学三年生のタマコ。だが、大好きな祖父が老人ホームに入れられそうになり、彼女は祖父との“駆け落ち”を決意する。一方、タマコを心配する若い担任教師は、二人に振り回されて――。奇妙で優しい表題作のほか、ダメな男の二十年ぶりの帰郷を描く「ソリチュード」、独身の中年姉弟の絆を見つめた「ネロリ」を収録。温かくて切ない傑作小説集。
  • 赤まんま―慶次郎縁側日記―
    4.0
    不治の病に逝った幼な馴染みの霊前で、誓いを立てた簪を独り見つめる材木問屋の心のうちも、容色盛んな若後家がなお胸に秘める亡くした夫との思い出も、秋風にひっそり揺れる赤まんまの花しか知らない。折檻、密通、盗癖だと町の騒ぎをはやす輩も、心のわるさに弄ばれ道を外した人々の苦い涙に気付かない。ゆえに仏の慶次郎は、苛む心の苦しみと忍ぶ心の悲しみに、今日も静かに耳をすます。
  • アガワ家の危ない食卓(新潮文庫)
    3.6
    亡き父、弘之の口癖は「一回たりとも不味いものは食いたくない」であった。朝食をとりながら夕食のメニューを訊ねて周囲をゲンナリさせ、気にくわない食事に出くわせば「一回損した!」と本気で憤怒する。そんなワガママで怒りん坊の父に振り回されても母は家族のために台所に立ち続け、娘サワコは冷蔵庫から干からびた食材を発掘しては、危ない料理をせっせと作る。爆笑必至の食エッセイ。
  • 秋津温泉
    -
    この秋津の町へ私は十七の初夏、伯母に連れられはじめてやって来た……。自然豊かな秋津の温泉宿を舞台に繰り広げられる、激しくも切ない愛の日々を描ききった作品。1962年に岡田茉莉子と長門裕之が主演し、吉田喜重監督の手で映画化された永遠の名作。
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)
    3.7
    江戸の金の流れを握る。それはお上を動かす力になる――。甲斐の農家から出て江戸で名を挙げた茂十郎は、永代橋の崩落事故で妻子を失ってしまう。だが悲嘆を糧に、茂十郎は立ち上がる。大胆不敵な資金集め、流通の構造改革、旧弊の刷新。すべては江戸の繁栄のために――。既存の枠を超えた発想と、強引なまでの辣腕で「狼」と畏怖され、歴史の闇に消えた謎の経済人を描く。新田次郎賞受賞。(解説・本郷和人)
  • 秋山祐徳太子の母
    -
    三年連続芸大受験票1番奪取計画の時も。ブリキ彫刻誕生の時も。公然猥褻物陳列罪容疑の時も。落選必至の都知事選立候補の時も。常に息子を励まし、尻を叩き、むしろそそのかし、果敢な母であり続けた母。二・二六事件の年に夫=父が逝き長男=兄も逝き、以来60年におよんだ史上最強の母子家庭、笑いと涙の突発芸術(ハプニング)あふれる物語。
  • 秋吉敏子と渡辺貞夫(新潮新書)
    値引きあり
    4.0
    なんだ、この音楽は――ジャズの魅力に取りつかれてから、70年以上。1929年生まれの秋吉敏子と1933年生まれの渡辺貞夫は今なお演奏活動を続ける。ジャズとの出合い、アメリカでの修業、そして世界的ミュージシャンとしての栄光――戦後日本ジャズ史に重なる2人の人生を、本人達への長年の取材を基に描き出す。ペギー葉山、山下洋輔、原信夫、渡辺香津美ら、レジェンドたちの証言も満載。
  • アクシデント・レポート
    4.3
    1巻2,728円 (税込)
    御巣鷹山の悲劇は空前絶後ではなかった。しかも今度は一機だけでなく、ブラックボックスが見つからず真相は闇に覆われる。事故関係者と遺族、生存者の証言から浮かび上がる人間模様、政府と企業の体たらく、文化芸能、沖縄・原発の問題、そして隠されたこと。刊行自体が「アクシデント」な劇薬小説。
  • アクチュアルワールド 1巻
    完結
    -
    全2巻594円 (税込)
    仮想現実か。拡張現実か。このふざけた世界へ、ようこそ。“それでは、殺し合いをお楽しみください”ゲームアプリ『Actual World』のダウンロードが始まり、少年少女たちの日常が崩れ落ちる。ゾンビの群れを排除し、生き残るのは誰か――。
  • 悪党芭蕉
    4.7
    ならず者と遊び人が集った蕉門、美男弟子との衆道関係、あの句にこめられた危険な秘密……いつしか神格化され「求道の人」のアイドルとなった松尾芭蕉。しかしその素顔は、芥川龍之介に「日本の生んだ三百年前の大山師」と言わしめるほど、凄腕の不良(ワル)だった! 「俳聖」を敢えて俗人と同じレベルで再考し、犯罪すれすれのところに成立した俳諧の真の凄味に迫る、画期的芭蕉論!
  • あくびノオト
    -
    1巻506円 (税込)
    夢想の世界に遊ぶ主人公の、現実とのくいちがいに生ずる悲哀をユーモラスに描いて苦い笑いを誘う『第三惑星ホラ株式会社』『少年と狼』『活動写真』等の物語。他に、なまけものやホラ吹きへの共感、沖縄紀行、医学生時代の思い出や精神科医としての体験、子供マンガへの愛着と無理解な大人への抗議、等々、あわただしい現代社会への批評の眼を、爽やかな笑いに包んだエッセイを収める。
  • 悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト―パガニーニ伝―(新潮新書)
    値引きあり
    4.2
    ニコロ・パガニーニ。全身黒ずくめの姿で繰り出す超絶技巧で人々を熱狂させた、空前絶後のヴァイオリニストである。「悪魔ブーム」をブランディングに用い、巨万の富を築いた守銭奴にして女好き。「無神論者」の烙印を押され、遺体となっても欧州をさまよった彼には、「幽霊となっても音楽を奏でている」との伝説も生まれた。十九世紀に鮮やかな刻印を残した「西洋音楽史のメフィストフェレス」、本邦初の伝記。
  • 悪魔の羽根
    3.5
    日本の銀行マンと結婚したフィリピン女性が転勤で、九州から新潟へ移った途端に経験した、雪国という未知の空間。ふさいだ気分が周囲への憎悪に変わる様子を描いた表題作「悪魔の羽根」。早春、恋愛中の女性が突然、姿を消した謎に季節特有の悩みを絡めた「はなの便り」など、四季の風景を織りまぜながら、男女の心模様、友人同士の心のズレを浮き彫りにする。ちょっぴり恐い7つの物語。
  • 悪魔を憐れむ歌 1巻
    4.6
    北海道警の刑事・阿久津亮平は8年前に起こった「箱折連続殺人事件」を追っていた。周囲の呆れ顔をよそに熱心に捜査をする中、知り合ったのが咽喉科医・四鐘彰久。静かな佇まいの有能な医師で、協力を約束してくれた。一方、道警内部の軋轢に苦悩する阿久津…そして、実は四鐘こそ「箱折犯」その人だった――!! 血と暴力と追憶に彩られた黙示録クライムスサスペンス、ここに開幕!!
  • 悪霊(上)
    4.1
    1~2巻979~1,089円 (税込)
    1861年の農奴解放令によっていっさいの旧価値が崩壊し、動揺と混乱を深める過渡期ロシア。青年たちは、無政府主義や無神論に走り秘密結社を組織してロシア社会の転覆を企てる。――聖書に、悪霊に憑かれた豚の群れが湖に飛び込んで溺死するという記述があるが、本書は、無神論的革命思想を悪霊に見たて、それに憑かれた人々とその破滅を、実在の事件をもとに描いたものである。
  • アグニオン
    3.7
    人類から悪意を分離すれば、善き人(アグニオン)の世界が訪れるはず――。全てを有機神経知能(サピエンティア)に管理された未来社会で、恐るべき最終計画が始動した。人々の欲望を削ぎ、嫉妬も争いも根絶せんとする監理者に、少年たちはどう立ち向かうのか? 秀逸なツイートで世を沸かせ、マルチな才能で大注目の元NHKPR1号、圧巻のデビュー長篇!
  • アケルダマ
    4.0
    1巻1,144円 (税込)
    キリスト再臨のときが訪れた! 古(いにしえ)より長らえてきた使徒が日本に眠る主のもとに集結。その目的は世界を地獄へ変えること――?! 異能力を持つ女子高生転毘巴(ころびともえ)は運命に従い、光と闇の決戦に挑む。彼女を助けるのはオカルトマニアの青年、沢田瞬。謎めく生徒会、頻発する吸血事件、イエス渡来伝説、そして“背信者”ユダの真実。伝奇ジュヴナイルの熱気と興奮、今ここに完全復活。
  • 朱を奪うもの
    -
    朱の色を侵蝕する紫にも似た、女の成熟の秘密……。性のめざめから、冒険的恋愛の嵐たる青春をへて、見合い結婚の初夜にいたるひと筋の道程で、女の中に着実に形成されてゆく、妖しい美しさや恐ろしさを、あたかも肌に感じさせるかのように、明確な筆にとらえてゆく。冷然と凝視し、大胆で香り高い自伝的長編小説であり、発表されるや、ひときわ当時の文壇の注目を集めた作品。
  • 赤穂浪士(上)
    -
    画期的な解釈と設定で、忠臣蔵小説の最高峰と讃えられ続ける名作。上巻では、元禄太平の時勢に勃発した浅野内匠頭の刃傷事件から、仇討ちに怯える上杉・吉良側の困惑、茶屋遊びにふける内蔵助の境地が、人情の機微に踏み込む文体で、時代相のひろやかな展望のもとに描き上げられる。虚無的な浪人堀田隼人、怪盗蜘蛛の陣十郎、謎の女お仙らの暗躍がからみ、物語は佳境へと突き進む。
  • あこがれ
    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    ――そうか、もう、あっちにいるのか。この飛行機は、棲み馴れたあの世から、これから生きていくこの世に着いたということか――。飛行機であの世へ到着したという設定の「星座のひとつ」。ハアちゃんと呼ばれた子どもの頃にまだ見ぬ町や人に憧れた記憶を描いた表題作など17篇。99歳で大往生した著者の最後の小説集。
  • あこがれ(新潮文庫)
    3.9
    おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。クラスの人気者ではないけれど、悩みも寂しさもふたりで分けあうとなぜか笑顔に変わる、彼らは最強の友だちコンビだ。麦くんをくぎ付けにした、大きな目に水色まぶたのサンドイッチ売り場の女の人や、ヘガティーが偶然知ったもうひとりのきょうだい……。互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす物語の幕が開く。
  • 朝顔草紙
    4.0
    顔も見知らぬ許婚同士が、十数年の愛情をつらぬきとおし、藩の奸物を討って結ばれるまでを描いた『朝顔草紙』。徳川四天王、本多平八郎と同姓同名の臆病な青年武士が、戦場で名乗りをあげるたびに敵の第一目標とされ、あわてて逃げ出すという滑稽な設定の『違う平八郎』。いずれ劣らぬあわて者同士主従の不思議な心の通いあいを描いた『粗忽評判記』。ほかに『義理なさけ』など全12編。

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  • 朝顔の日
    3.8
    1巻1,232円 (税込)
    その日に死んでしまふ気がするのです──。昭和十六年、青森。凜太はTB(テーベ)を患い隔離病棟で療養する妻を足繁く見舞っている。しかし病状は悪化、ついには喉の安静のため、若い夫婦は会話を禁じられてしまう。静かに蝕まれる命と濃密で静謐な時。『指の骨』で新潮新人賞を受賞した大注目作家のデビュー第二作。芥川賞候補作。
  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)
    3.5
    火葬したはずの妻が家にいた。「体がなくなったって、私はあなたの奥さんだから」。生前と同じように振る舞う彼女との、本当の別れが来る前に、俺は果たせなかった新婚旅行に向かった(「ゆびのいと」)。屋上から落ちたのに、なぜ私は消えなかったのだろう。早く消えたい。女子トイレに潜む、あの子みたいになる前に(「かいぶつの名前」)。生も死も、夢も現(うつつ)も飛び越えて、こころを救う物語。(解説・名久井直子)
  • 浅草紅団
    -
    昭和初期の浅草を、その時代の渦の中にありながら観察しつつ書かれた小説である。おそらくは著者自身が接したのであろう、界隈に集まる「不良」たちを中心に、浅草でなくてはあり得ないさまざまな現実の事象を丹念緻密に描く、貴重な時代の記録。

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  • 浅草鳥越あずま床
    -
    下町浅草鳥越に、生れ育って六十年、幼なじみの六人の、いずれ劣らぬ老悪童、寄ればたちまち持ち上がる、思いもかけぬ珍事件。色と欲には目もくらみ、甘い話に乗せられて、いつも騙されコケにされ、それでも懲りないくじけない。恥も喜びも分ちあい、清く正しく生きて……いるかどうかは知らないが、情あふれるこの男たち、笑ってやって下さい、しめて八編連作滑稽譚。
  • 浅草日記
    -
    三味線の棹よりも脆く折れそうな門付女お染、傷ましい朗らかさを持つ妹千枝子、鉄火な姉おれん、裏町に住む3人姉妹のいじましいまごころを綴る『浅草の姉妹』。そのほか「虹」「浅草日記」「浅草の九官鳥」の計4編を収録。

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  • 朝ごはんぬき?
    3.8
    私、明田マリ子、ハイ・ミス。OLのとき年下の男に失恋して、いまは有名な女流作家、秋本えりか先生の家でお手伝い兼秘書兼イヌの散歩係。月末になると、いろんなタイプの編集者が原稿催促におしかけてくるが、なかでも美青年編集者鈴木ノボルクンがくると、先生は仕事そっちのけでウロウロソワソワ……。人気女流作家の私生活と、ハイ・ミスの複雑な心境をユーモラスなタッチで描く。
  • 朝のガスパール
    -
    コンピューター・ゲーム『まぼろしの遊撃隊』に熱中する金剛商事常務貴野原の美貌の妻聡子は株の投資に失敗し、夫の全財産を抵当に、巨額の負債を作っていた。窮地の聡子を救うため、なんと“まぼろしの遊撃隊”がやってきた! かくして債務取立代行のヤクザ達と兵士達の銃撃戦が始まる。虚構の壁を超越し、無限の物語空間を達成し得たメタ・フィクションの金字塔。日本SF大賞受賞。

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  • 朝比奈うさぎの謎解き錬愛術(新潮文庫nex)
    3.6
    探偵の迅人は、ストーカーに悩まされている。とてつもなく可愛い朝比奈うさぎに。彼女は「迅人は私が好き」ということを証明する時にだけ驚異的な推理力を発揮する。行く先々で遭遇する謎多き殺人現場でも、いつも彼女の妄想錬愛術が炸裂して副産物的に犯人が判明してしまう。残念イケメン探偵と偏狂ストーカー美少女(自称婚約者)の助手による、新感覚ラブコメ本格ミステリ、開幕。
  • 朝日のようにさわやかに
    3.7
    1巻671円 (税込)
    葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ……(「楽園を追われて」)。ある共通イメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの表題作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。
  • 麻布中学と江原素六
    値引きあり
    4.0
    明治の古武士・江原素六。貧しい幕臣の子に生まれた男の情熱と人格が私立中学の雄を創った――。名門校にはかならず独自の校風がある。麻布中学も例外ではない。独立自尊。青年即未来。この初代校長の精神が「自由の校風」を生み、それは百年後の今日も脈々として受け継がれている。常に〈私立〉たる誇りを失わず、日本の近代中等教育の礎を築いた男の魅力ある生涯。

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  • あした来る人
    -
    1巻880円 (税込)
    大貫克平は、山と妻とどちらが大切かと聞かれて、迷わず「山」と答えるほど登山に打ち込んでいる。夫の内面生活からはじき出された妻の八千代は、カジカの研究に明け暮れる曾根二郎に心をひかれていく。一方、克平も美貌のデザイナー山名杏子と恋愛関係に陥るが、杏子は克平が自分の庇護者の婿であることを知る……。あしたの可能性を抱きながら、今日を生きる人々を爽やかに描く。
  • あした―慶次郎縁側日記―
    4.0
    泥棒長屋に流れ着いた老婆の悲しみが、出世にとことん無欲だった若き慶次郎の思いと交わる表題作「あした」。無精な夫を捨てた、髪結い妻の思わぬ本音を描く「春惜しむ」。内緒の逢瀬を重ねてはらんだ娘が、未来ある思い人を必死に庇う「むこうみず」など、円熟の筆致が香り立つ江戸の哀歓十景。慶次郎への尽きぬ思いを語る、生前最後の著者談話も収録した、人気シリーズ第13弾!
  • あしたの官僚
    4.0
    1巻2,090円 (税込)
    厚生労働省キャリア技官の松瀬は、個性的過ぎる部下や同僚の尻拭いに奔走しながら、国会議員、関係省庁との板挟みに苦悶する日々を送っていた。そこに突如、新潟県で謎の公害病が発生。孤立無援のまま原因究明に追われるが、ある謀略により「忖度官僚」として国民の非難の的となり……。切実すぎる新時代の官僚小説。
  • 明日のマーチ
    4.3
    解雇。それは張り紙一枚の出来事だった。ある日突然、僕らは年収200万円の生活からも見捨てられた。どうしよう。どこに行って、何をする?──歩く。それが、僕らの決断だ。クビを切られたカメラ会社がある山形から、東京へ。600キロ。4人で始まった行進は、ネットを通じて拡散し、メディアを賑わし、遂には政府が動き出す。僕らの青春を等身大(ありのまま)に描いた、傑作ロードノベル。
  • 芦原英幸正伝
    4.0
    著者との10年に及ぶ濃密なる交流と、膨大な関係者の証言により、50歳の若さで逝った伝説の天才空手家の実像がくっきりと浮かび上がる。大山倍達が震え上がった最後の支部長会議、拳銃の刺客返り討ち事件、正道会館によるクーデターの真相他。誰よりも強く、破天荒で、そして優しかった天才の真の姿が、ついに描き出された!
  • 足元の革命
    値引きあり
    -
    さらば「窮靴」! われわれは靴に足を合わせてはいないか。足にぴたりと合ってこそ快適な靴と言えるのではないか。いやそれ以前に、そもそも人が歩くとはどういうことなのか……。1983年、アシックスの開発チームは歩行の意味から問い直し、日本初の本格的ウォーキング・シューズを誕生させた。この日本人の足元の革命から20年、今もさらなる進化がつづいている。

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  • 阿修羅ガール(新潮文庫)
    3.6
    アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。
  • 阿修羅草紙(新潮文庫)
    3.7
    1巻1,100円 (税込)
    最高の忍びタッグ誕生! 無駄な殺しはしないくノ一・すがると、手段を選ばない伊賀忍者・音無。正反対の考えを持つ二人は奪われた「呪いの巻物」を取り返すため、陰謀渦巻く京の都に向かう。伝説の忍びとの死闘や大名家への潜入を通して、徐々に真相に近づいていく二人。そして明かされた驚愕の真実と二人の想いとは……。任務のために陰で命を捧げた忍者たちを描く一気読み必至の傑作長編。
  • 阿修羅のごとく
    3.9
    阿修羅。三面六臂を有するインドの魔族。猜疑心強く互いに事実を曲げ、他人の悪口を言いあう……。妻子ある男を愛人に持つ長女、夫の浮気に悩む次女、オールドミスで潔癖性の三女、売れないボクサーと同棲中の四女。阿修羅のイメージにのせて、四人姉妹のそれぞれの人生を、繊細に、辛辣に、そして限りなく温く描き出す、悲しくも愛すべき物語。著者のシナリオにおける代表的作品。

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  • 亜シンメトリー
    3.7
    1巻1,815円 (税込)
    バスの中で知り合った女性から、ゲームを持ちかけられた亜樹。シンメトリーな文字に強いこだわりを持つ彼女の人生に興味を持ち始めるが、何度か会う内、その言動にどこか違和感を覚え……(「亜シンメトリー」)。張り巡らされた緻密な仕掛けに気づいた時、世界は突然、姿を変える。めくるめく謎と驚きに満ちた全四篇。
  • アスクレピオスの愛人
    3.7
    感染症の最前線で働く、WHOのメディカル・オフィサー、佐伯志帆子。世界中を飛び回るその凛々しい姿は、後進の医師や医学部に通う一人娘の憧れの的であった。だが仕事を離れた彼女は、奔放に恋を楽しむ、どうしようもなく妖艶な女――。医術の神・アスクレピオスに、数多の男たちに、狂おしいほど求められる美しき女神が、本当に愛したのは……。林真理子が初めて挑んだ医療小説。
  • 明日はわが身―若年性認知症の夫と生きる―
    -
    明るかった夫から、笑顔が減った? そう思ったのもつかの間、日に日にできないことが増え、転げるように症状は悪化した。藁にもすがる病院巡り、一人で抱え込んだ介護地獄――愛と罵倒と悔恨の日々を綴った、壮絶な夫婦間介護手記。巻末には相談窓口や介護のコツをまとめたアドバイス集「もしもあのとき、知っていれば」収録。
  • 明日もいち日、ぶじ日記
    3.5
    喧嘩する朝もある。天災が来る午後もある。あいまいな夢を見る夜もある。けれど、歌う明日が来るかもしれない。何が起きようと、一日いち日をきちんと積み重ねてさえいけば……。話題の料理家が、五感と五味をたっぷり効かせた文章で日々の儚さと輝きを掬い取る、滋養満点風味絶佳な日記文学。ファン垂涎、毎日の献立つき。
  • 阿蘇・長崎「ねずみ」を探せ
    2.7
    生放送直前、女性旅行ライターがテレビ局内で殺された! 同じく出演予定だった男が失踪。姿を消したのは、悠々自適に暮らしていた、かつての有名カーデザイナー、秋山清一郎だ。事件の鍵を求め、十津川警部と亀井刑事は、秋山夫妻が住む阿蘇へ。しかし二人は不在。そして秋山のパソコンには奇妙な文章が残されていた。十津川の推理が封印されていた幾つもの“過去”を甦らせる。
  • あたいとネチコヤン ゲイが猫を飼ったら終わりよ!!!!【電子特典付き】
    完結
    3.0
    全2巻990~1,287円 (税込)
    フォロワー59万人越え! 母親からのDV、ゲイ風俗、パワハラ退社……人生のすべてをさらけだすもちぎが次に描くテーマは「ネチコヤン(猫)」!! 現在、野良猫・ネチコ、保護猫・ヤンゴトナキ、子猫・ネココの3匹と暮らす、もちぎ。猫飼いあるある満載の日常はもちろん、猫を通じた様々な人間模様、さらには社会問題にまで独自の目線で切り込む、笑えて泣ける実録動物エッセイ開幕! ゲイが猫を飼ったら人生終わるって本当!? そしてネチコヤンってナンダ――!? 【電子版特典】巻末には電子書籍限定のコミックス未収録話・カバー下表紙の画像をカラーで収録!
  • あたしたち、海へ(新潮文庫)
    4.0
    有夢と瑤子と海は、いつも好きなアーティストの話で盛り上がる親友同士。しかし私立女子中学校に進学後、関係が一変する。クラスを仕切る女子に反発した海に対し、報復のいじめが始まったのだ。有夢と瑤子も次第に抗いきれなくなり――。海の母親、担任ら、大人の視点からも浮かび上がる理不尽な社会の「仕組み」。心を削る暴力の輪に組み込まれ、もがく全ての人に、一筋の光を照らす長編小説。(解説・鴻巣友季子)
  • アタマとカラダが冴える! 東大おやつ教室
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 おやつは我慢するものではなく、子どもたちの脳と健康の味方です! カルシウム、DHA、クエン酸など、普段の食事では不足しがちな栄養素を補い、偏差値とやる気まで上げる驚きの51レシピ。果物、野菜、小魚、豆腐、ナッツ……ヘルシーな食材から生まれる簡単おやつは、疲れや体調が気になる大人の健康もサポートします。
  • 頭の悪い日本語
    値引きあり
    3.5
    「現内閣の至上命題は、すべからく役不足であること」。こんな文章を書いてしまったら赤っ恥かきます――。「私淑」「歴任」の誤用から、「上から目線」「美学」など、何だかムズムズする気持ちの悪い言葉まで、正しい意味を知らずに使うと恥ずかしい日本語を網羅。「犯罪を犯す(重言)」「看護師(過剰な差別語狩り)」「ルサンチマン(“エセインテリ”が使いがちな言葉)」など三百五十語を一刀両断。すべからく日本語は正しく使うべし!
  • 新しい十五匹のネズミのフライ―ジョン・H・ワトソンの冒険―(新潮文庫)
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    大銀行の地下金庫から、トンネルを掘って金貨を盗み出そうとした「赤毛組合」事件。ホームズの名推理で一件落着に見えたのだが、裏にはどんでん返しの計画が潜んでいた! 事件後、薬物を乱用するホームズは頼りにならず、途方に暮れるワトソンには大事件が降りかかる。堅牢な刑務所から囚人はなぜ消えたのか、「新しい十五匹のネズミのフライ」の謎とは。巨匠が贈るパスティーシュの傑作。(解説・日暮雅通)
  • 新しい天体
    -
    1巻385円 (税込)
    予算の残りを食いつぶすために生れた《景気調査官》。彼の役目は文字通り各地の食物を試食し、景気に関する“実感的レポート”を作製することにある。銀座のたこ焼きをふり出しに、知床半島から鹿児島まで、あり余る“取材費”にものを言わせて、主人公はただひたすら食いまくる……。官僚主義への痛烈な諷刺を軸に、一瞬にして消え去る美味の本質を見事に捉えた異色の食味小説。
  • 新しい日本の愛し方
    値引きあり
    3.5
    日本はきっと復活する――。そのためにまずは危機の本質を見極め、この国を前に進めるための意識改革が必要だ。「本物の知性」を生む教育、息苦しさを打開する政治、「脱ガラパゴス」の“ものづくり2.0”……。時代が変ればルールも変る。固有の長所を活かしつつ、世界基準から外れた古い制度や思い込みから脱却するべし。目覚めよ、日本人。甦れ、日本! この国を愛して止まない著者が教える、新時代を生き抜くヒント。
  • 「新しき村」の百年―〈愚者の園〉の真実―(新潮新書)
    値引きあり
    3.0
    一世紀前、武者小路実篤を中心として「新しき村」が創設された。戦争や暴動など国内外が騒然とする時代にあって、「人類共生」の夢を掲げた農村共同体は、土地の移転、人間関係による内紛、実篤の離村と死没など幾度も危機にさらされながらも、着実な発展を遂げていく。平成以降、高齢化と収入減のため存続が危ぶまれるなか、世界的にも類例のないユートピア実践の軌跡をたどるとともに、その現代的意義を問い直す。 ※新潮新書に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • 当り屋ケンちゃん
    4.0
    プロの当り屋、赤木圭一郎は、今を去ること十年前、当り屋専門学院の講師、当り屋文左衛門が言った言葉を思い出した。「幻の少年カスパー・ハウザーを見た日、あんたは当り屋をやめなあきまへん」。そして圭一郎は見た、幻の少年が、車の前へ身を躍らせるのを……。場外馬券売り場のガード下からアンスバッハのしらゆきつもる公園へ。母と子の愛憎が交錯する悲しくも美しい妄想の純文学。戯曲「小指の思い出」原作。
  • 仇討検校(新潮文庫)
    3.3
    1巻1,100円 (税込)
    鍼灸道を確立し、五代将軍綱吉の御殿医にまで登りつめた鍼聖・杉山検校。じつは、贋者だった!? 一度でも人を斬り殺したものは、血塗られた仇討の連鎖からは逃れられないのか。怨念の呪縛に囚われ、自らを偽り、仕込み杖を携え盲目を装い、因果の大渦から逃げ続けた恩讐の彼方に、その目が見たものは――。目眩くほど壮絶な八十五年の生涯を描く、一気読み必至の大作。『見返り検校』改題。(解説・細谷正充)
  • あだし野
    4.5
    頽廃の淵にありながら、一顆のレモンのように涼しい顔をした男、壬生七郎――。その、むごく鮮烈な愛ゆえに、女は自殺をはかり、妻は精神に錯乱を来たした。無明の歳月は流れ、今や悪性の腫瘍を宣告された彼の赴く先は? 仮借ない自己分析と、透徹した美意識のうちに、生と死の凄惨な闘いを映し出し、この世の無常を見据えて、比類なき〈精神の勁さ〉を明かす、立原文学の秀作。

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