東京創元社作品一覧
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4.11980年のバルセロナ。弁護士のマリアは数年前に、悪徳警官セサルが情報屋を制裁した殺人未遂事件で、セサルを刑務所送りにしたことで脚光を浴び、名声を得た。だが今、その事件が何者かの陰謀によって仕組まれていたと判明する。マリアは服役中のセサルに面会して事件の再調査をはじめ、自らの血の桎梏と体制側の恐るべき策略を知る。次第に明らかになる、マリアが背負わされた想像を絶する罪とは。殺人、偽証、復讐に運命を狂わされた人間たちの悲哀が胸を打つ。欧州読書界で絶賛された圧巻の大河ミステリ。ヨーロッパミステリ大賞受賞作。
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3.4独自の捜査方針を貫く切れ者ロヤコーノ警部は、ピッツォファルコーネ署への異動を命じられる。そこはナポリでもっとも治安の悪い地区にある分署で、捜査班の大半が汚職で逮捕されたため、早急に人員を補充する必要があった。ロヤコーノのほかに送り込まれたのは、暴力沙汰を起こした男性刑事、署内で発砲した女性刑事、スピード狂の巡査と、いずれも能力はあるが各分署が持て余した者たち。彼らは着任早々、スノードーム蒐集が趣味の女性資産家殺しをはじめ、いくつもの事件に直面する。イタリア発の警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズ始動。/解説=吉野仁
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4.0マドリッドの出版社に勤める編集者マリア。独身の彼女が、毎朝カフェで見かける理想のカップルと思える夫婦がいた。彼女は二人を見ては、幸せな気分で出勤するのだった。裕福そうな夫とカジュアルな装いが似合う妻は、子供を学校に送り出してから二人で朝のひとときを過ごしているらしい。しかし、ある日、出張から帰ったマリアが久しぶりにカフェに行くと、二人の姿はなかった。そして、恐ろしい事件があったことを彼女は知る。あの夫がホームレスに突然殺されたのだ! しばらくして、未亡人ルイサと知り合ったマリアはルイサと親しい、亡くなった夫の親友だった男に恋をする。しかし、彼の気持ちはルイサにしか向いていなかった。そしてある日、マリアは、彼の驚くべき秘密を知ることになる。あの事件は通り魔殺人ではなかったのか? 三角関係の清算だったのか? それとも……? 現代スペインを代表する作家で、ノーベル賞候補と目される著者による愛と死と罪をめぐる哲学小説。
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4.1消えた修道女をさがしてほしい――マロリーのもとに一件の訴えが持ちこまれる。驚いたことに、同じころ、彼女の甥と思われる盲目の少年が姿を消していた。そして数日後、修道女は意外なところで発見される。元投資ブローカーである市長の官邸の正面階段下に置かれた四体の死体、その中に彼女もいたのだ。四人の被害者につながりは見つからない。市長に恨みをもつ者の仕業か? 一方、消えた少年は一人の男に囚われていた。盲目の少年に脱出の機会はあるのか。初期の名作を彷彿とさせる、心を打つラストが印象的な、マロリー・シリーズ最新作登場。
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-巡礼の旅に出ていたフィデルマは、良き友であるサクソン人の修道士エイダルフが、カンタベリーへの帰途、殺人罪で捕らえられたという兄からの手紙を受け取り、急ぎラーハン王国に向かった。ラーハンといえば、フィデルマの兄が治めるモアンとは揉めごとの絶えない隣国。どうやらエイダルフは12歳の少女に対する暴行と殺人の容疑で捕まったらしい。ドーリィーとして弁護しようとするフィデルマだが、エイダルフの処刑は既に翌朝に決まったと告げられる。不利な状況下で、彼の無実を証明すべく事件の捜査を始めるが……。人気シリーズ最新作。
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3.6法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。巡礼として訪れたローマの教会で、聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死。居あわせたフィデルマが急遽謎を解く「聖餐式の毒杯」、殺人の疑いをかけられ窮地に陥った幼なじみを救うべく奔走する「ホロフェルネスの幕舎」、偶然立ち寄った宿の幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、アイルランドの大王(ハイ・キング)の王位継承をめぐる事件に挑む「大王の剣」、アイルランド代々の大王の廟所で起きた不可解な殺人を解決する「大王廟の悲鳴」という、バラエティ豊かな5編を収録。/解説=村上貴史
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4.0法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ修道女フィデルマが、アイルランドの各地を巡り難事件を解決する。修道士が占星術で自らの死を予言して死んだが、犯人と名指しされたのは修道院長だった事件「みずからの殺害を予言した占星術師」。ダロウの修道院で客人に供する魚料理が消え、料理長が死体で発見された。犯人は外部の人間か、内部の者の犯行か?「魚泥棒は誰だ」。小王国の族長の跡継ぎを選ぶための会合で、有力な候補者が死亡、どうやら毒を盛られたらしい。犯人を推理する「法定推定相続人」など5編を収録。日本オリジナル短編集第5弾。/【目次】みずからの殺害を予言した占星術師/魚泥棒は誰だ/養い親/「狼だ!」/法定推定相続人/訳註/解説=石井千湖
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3.6法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマ。彼女がまだ修道女になる前、モラン師が学院長をつとめるタラの学問所に入学した時に出合った、フィデルマ最初の事件「化粧ポウチ」、フィデルマが学問所の最終試験として出された事件の謎を解く「痣」、ドーリィーの資格を得、修道女になってからの事件、三晩続けて聞かれた死を告げるバンシーの声の正体「バンシー」、有名なローマ第九ヒスパニア軍団の鷲の謎にフィデルマが挑む「消えた鷲」など全6編を収録。若き日のフィデルマに会える、人気シリーズ日本オリジナル短編集第4弾。/解説=大矢博子
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3.7ニューハンプシャー州の港町ポーツマスでオークションハウス〈プレスコッツ〉を営むジョシーは、ある日地域の警察署長アルヴェレスの訪問を受ける。家財の買取を依頼され、出張鑑定をした老富豪グラントが自邸で殺されたのだ。最愛の父の死をいまだ引きずるジョシーだが、自らが容疑者らしいと悟っては、行動せずにはいられない。家財リストに載っているルノアールの絵が屋敷から見つからないことを出発点に、仕事と並行して調査を進めるが――確かな審美眼を持つ腕きき女性オーナーが主人公となる、アンティーク×ミステリの新シリーズ第1弾。
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3.9BMIを理由に会社を解雇された主人公の元に、政府からダイエット企画の参加者に選ばれたという通知が届く。それは“敗者は死なねばならない”というルールのデスゲームだった(「太っていたらだめですか?」)。すべての人は例外なく、65歳の誕生日を迎える前後で死ぬ。64歳になった紫は、人生の目標をほぼ達成していたが、スリの子どもから被害に遭いかけ、追いかけていったすえにその子を手元に引き取ることに……(「六十五歳デス」)。さまざまなディストピア世界を生きのびる、パワフルで勇敢な女性たちの物語。あとがきに自作解説を含む。/【目次】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女/著者あとがき
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4.0窓ガラスいっぱいに、口紅を使って描かれた落書き。無言の電話。白紙の手紙。冷たい視線。そして彼女は悲鳴を絞り出した。きちんと揃えてあった彼女の靴が五、六足、今はことごとく、裏返しにされて置かれていたのである――そういえば先生、最近六本木界隈で流行っている噂、知ってる? お墓から少し離れた場所に一枚の紙が落ちているのを見つけ、何だろうと思って拾ってみると、それには謎々が書かれてあって――土砂崩れのせいで、地中に埋まっていた屍体が見つかったんだってさ。おや、屍体はふたつだ――いったい何が進行しているのか? 五里霧中の展開に眩暈を覚える異様な力作。少年探偵・牧場智久、第二の事件。
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4.0書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣
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3.8激しい嵐で乗っていたヨットが転覆。小さな手漕ぎボートで漂流していた少年ビルは、やはり嵐で遭難したらしい一人の少女と出会う。少女はベルベル人のアーヤ。ビルは乏しい食料を彼女と分け合い、アーヤはビルに物語を語って聞かせる。絶望が襲うなか、二人は心を通わせ、物語の力がビルの心を救う。だが食料は尽き、死の危険が刻々と二人に迫っていた……。極限状況下の少年と少女の運命は。カーネギー賞最終候補にもなった感動の大作。
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3.6
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3.3「おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」クラスメイトに言われて驚いた。美弥は旧校舎に足を踏み入れたことはない。学校の七不思議では旧校舎の鏡に姿を映すと、鏡の中の自分が抜け出て襲いに来るらしい。その後も覚えのない場所で彼女を見たという目撃者が続出、ついに美弥自身も出会ってしまった。そのとき、助けてくれたのは大きな犬と、その犬を兄と呼ぶ少年朱鷺だった。朱鷺は各地を旅して呪物を集めているらしい。半信半疑のまま美弥は自分に起きている奇妙な出来事を彼に打ち明けるが……。『魔導の系譜』の著者の新シリーズ開幕。
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3.7月刊EYESの小高直海経由で、ある未解決事件を調べ始めた刑事事件専門のフリーライター・柚木草平。2年前、東南アジアからの留学生支援のボランティアをしていた女子高校生が殺害され、都内の神社で発見された事件だ。しかし、話を聞き始めた翌日に、ボランティア施設と同じビルにある雑貨店の店員が急死してしまう。事故か殺人か、2年前の事件との関連を疑う柚木だが……。当時から女子高校生殺害事件を追う所轄の女性刑事、ビルオーナーの母と娘など、調査で出会う女性は美女ばかり。二つの事件に隠された真実にたどりつけるのか――。“永遠の38歳”柚木草平の軽やかな推理。/解説=大矢博子
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3.0柳橋の船宿に居候する、“若さま”と呼ばれる謎の侍がいた。姓名も身分も一切不明だが、事件の話を聞いただけで真相を言い当てる名探偵でもあった。扇に秘められた暗号の謎を解く「舞扇の謎」。菖蒲作りの名人の娘が殺され、些細な手がかりから犯人の異様な動機に辿り着く「菖蒲狂い」。祭りで同じ酒を飲んだ4人のうちひとりが毒殺された。犯人がどのように毒を仕込んだのかを暴く「面妖殺し」など、250編近い短編から厳選した25編を収録。「五大捕物帳」の一つにして、〈隅の老人〉に連なる、伝説の安楽椅子探偵シリーズの決定版、登場!/【収録作】「舞扇の謎」/「かすみ八卦」/「曲輪奇談」/「亡者殺し」/「心中歌さばき」/「尻取り経文」/「十六剣通し」/「からくり蝋燭」/「菖蒲狂い」/「二本傘の秘密」/「金の実る木」/「あやふや人形」/「さくら船」/「お色検校」/「雪見酒」/「花見船」/「天狗矢ごろし」/「下手人作り」/「勘兵衛参上」/「命の恋」/「女狐ごろし」/「無筆の恋文」/「生首人形」/「友二郎幽霊」/「面妖殺し」/編者解説=末國善己
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 布石が良ければ、あとの戦いが楽になるのは自明のことである。その為には隅と辺の理解が欠かせない。本書は、三連星や中国流などのシステム布石の基本変化から、小林流等にも言及し、星と小目が関わった布石を重点的に解説した。主に簡明な定石で展開される布石についての解説なので、中級者には強力な武器になり、上級者には改めて布石を見直す契機となるはずである。特に中級者には、理解すれば優れた指針となるであろう。
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3.5ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 定石を打って、それで終われば、事は簡単である。盤石と見られる地中に、一手打ち込まれると、状況が一変することがある。周囲の石の配石によって、形勢は動いていく。定石後の形の弱点や手段をあらかじめ研究しておけば、実戦で対処するのは容易いものだ。本書は、「星」、「小目」、「その他」の3部構成で、22の型について説明。読みの幅を広げ、実戦で優位に立ち、成果を上げるのには最適の書である。上達への必携の書である。
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4.2
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3.5ダーラが経営するニューヨークの書店では、最近、店のマスコットの黒猫ハムレットの元気がない。愛想がないのはいつもどおりだけれど、お客をひとりも追い出していないし、買い物袋を爪で引き裂いたりもしていない。これはおかしい。“猫の行動の共感力者”と名乗る猫のセラピストによると、自分を出来損ないのように感じているという。あのふてぶてしいハムレットがそんなふうに思っているとは! 愕然とするダーラだったが、通っている武術道場で、さらに驚きのできごとが……。名探偵(かもしれない)黒猫が大活躍するコージー・ミステリ! シリーズ第2弾。
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4.0
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3.2ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。その書店にはマスコットの黒猫ハムレットがいた。かごにかわいらしく丸まり、ゴロゴロと喉を鳴らして客を迎える――ことは決してなく、堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫が。ハムレットが気に入る従業員を確保できてほっとしたものの、ダーラはある工事現場で書店の常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡。最近夜に外を出歩いているらしいハムレットのもの?! 黒猫ハムレットが必殺技で犯人を告げる! コージー・ミステリ第1弾。
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3.0わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は、アガサ・クリスティなどの初版本の蒐集家だった故レディ・ファウリングが設立した。事務局は彼女の住まいだった館にあり、図書室にはその膨大なコレクションが所蔵されている。自分がこの職にふさわしいと証明しようと試行錯誤していたところ、ある朝、図書室でなんと死体が発見される。被害者は、勉強会で館を使っていた創作サークルのひとりだった……。本を愛する人々に贈る、ミステリ・シリーズ第1弾!
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4.0小学四年生の「白野真澄」は、強い刺激や予想できない出来事が苦手だ。横断歩道も黒いところを踏むと心に影が差すような気がして、いつも白いところだけを渡って歩いている。なるべく静かに日々を過ごしたいと思っているのだが、翔が転校してきてから、その生活は少しずつ変化していき……(表題作)。頼れる助産師、駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、恋人への不満を紛らわすように浮気をする女子大生。五人の不器用な「白野真澄」たちが抱える五者五様の生きづらさを、曇りのない眼差しでまっすぐに見つめた傑作短編集。/【目次】名前をつけてやる/両性花の咲くところ/ラストシューズ/砂に、足跡/白野真澄はしょうがない/解説=大矢博子
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4.3ドイツ、2008年11月。空軍基地跡地にあった空の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明する。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、生まれ育った土地へ戻ってきていた。彼はふたりの少女を殺害した罪で服役したが、寃罪だと主張しつづけていた。だが村人たちに受け入れてもらえず、正義という名の暴力をふるわれ、母親までも何者かに歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。閉塞的な村社会を舞台に、人間のおぞましさと魅力を描き切った衝撃の警察小説!
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3.0「我々は知りすぎているんです。お互いのこと、自分のことを知りすぎている。だから、僕は今、自分の知らない一つのことに本当に興味をおぼえるんです──あの気の毒な男がなぜ死んだか、ですよ」新進気鋭の記者ハロルド・マーチは財務大臣との面会に向かう途中で出会った奇妙な釣師とともに自動車が断崖から転落するさまを目撃する。後に残されたのは車の残骸と男の死体だった。なぜ彼は昼日中見晴らしの良い崖から転落したのか? 国際情勢への鋭い眼差しが光る、英国的諧謔精神に満ちた連作ミステリ集を新訳にて贈る。創元推理文庫初収録作。/【収録作】「標的の顔」/「消えたプリンス」/「少年の心」/「底なしの井戸」/「塀の穴」/「釣師のこだわり」/「一家の馬鹿息子」/「彫像の復讐」/解説=大山誠一郎
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3.3香芝涼子は今日も、閑古鳥の鳴く店でひとり店番をしている。二年前、店主の祖父が病で倒れた際、美術館の学芸員という職と恋人を捨て、実家の『藤屋質店』に戻ってきた。将来に漠然とした不安を感じつつ、看板猫を撫でていると、外国製の陶製人形を男子大学生が持ち込んでくる。男性二人組という質屋には珍しい客に当惑しつつも、品物を預かって貸し付けしたところ、後にそれが盗品だったと分かり……。人間国宝作の萩焼の写し、いわくありげな櫛とかんざし、未発表の藤田嗣治の絵画など、不思議な縁で質屋に持ち込まれた品々を巡る謎、揺れ動く涼子の思いを優美に描く連作ミステリ。
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4.1春の祭典を目前にしたスウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が行方不明になった。良き妻、幸せな母、教会の熱心な信徒がなぜ? 失踪か、それとも事件か、事故か。ヴァランダー警部らは彼女の足取りを追い、最後に向かった売家へ急いだ。ところがその近くで謎の空き家が爆発炎上、焼け跡から発見されたのは、黒人の指と南アフリカ製の銃、ロシア製の通信装置だった。二つの不可解な事件の関連は? スウェーデンとロシア、そして南アフリカを結ぶ糸は? EU各国で爆発的な人気を誇るベストセラー作家の、CWAゴールドダガー受賞シリーズ。/解説=吉野仁
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3.7悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた過去の化物と、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍の両方に追いつめられた紐結びの魔道師リクエンシスたち一行は、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れる。村で冬を越すことになったエンス、星読みのトゥーラ、もと拝月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコに、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、トゥーラがさがし求める、1500年前にかけられたオルン魔国の魔女の呪いを解く方法を調べる。だがそこで浮かんだのは、オルン魔国最後の女王の血塗られた真の姿だった。〈紐結びの魔道師〉3部作第2弾。/解説=三辺律子
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3.5妻をモデルに描いた肖像画『東方ノ女神』で一躍時代の寵児となった画家ショーン。だが、妻のディアーナはモデルを務めるうちに、奇妙な感覚を覚えるようになっていた。夫が描いているのは自分ではない――。しかし夫も周囲の人々もディアーナの不安を理解せず、思い悩んだ彼女は次第に憔悴し、謎の死を遂げる。そして、彼女に代わってモデルとなったローズマリーも同じことを口にするように……。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞『宝石鳥』の著者がおくる、描くことにとり憑かれた画家と、彼を取り巻く女性たちをめぐる幻想譚。
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4.4廃墟の塔が林立する“塔の森”。孤児たちは、塔に棲む魔鳥が盗んできた物を集めて暮らしていた。あるとき彼らのもとに、魔鳥に盗まれた宝石を取り戻してほしいという男タスランがやってくる。孤児のひとりアイシャが宝石を見つけたものの魔鳥に襲われ塔から墜落、気がついた時には宝石は彼女の胸にはまっていた。宝石をえぐり取ることもできず、アイシャはタスランに連れられて旅に出ることに……。『青の王』の世界を舞台にした、好評シリーズ第2弾!
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3.3時は平安。都の人々の注目を集めているひとりの女性がいた――その名は紫式部。かの『源氏物語』の著者だ。式部には、あまり知られていない顔がある。彼女は都の謎を鮮やかに解き明かす名探偵でもあったのだ。折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産し、白一色で飾られ沸き立つ土御門邸。しかし、そのきらびやかな祝宴のさなか、都を騒がせている怪盗が逃げこんだとの報が入る。彰子にこわれて出仕していた式部は、『紫式部日記』編纂のかたわら、推理をめぐらせるのだが……。怪盗の行方は? そして書物にこめた式部の思いとは? 第13回鮎川哲也賞受賞作家が描く王朝推理絵巻、第2弾。/解説=細谷正充
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3.5六公国の王子デューティフルと、かつての宿敵である外島人の族姫エリアニアとの婚約。互いに根強い恨みと反感を抱く二つの国に平和を打ち立てんとするこの縁組みを成立させるためには、黒いドラゴン、アイスファイアの首を落とさねばならない。約束を守るために、王子は神呪字諸島に向け出航する。お供は王妃の顧問官シェイド、王子の従者シック、身分を隠したままのフィッツ。さらに古き血族のウェブや〈気〉をもつ貴族シヴィルも乗りこんでいる。航海の行く手に待つものは。壮大な異世界ファンタジー〈道化の使命〉最後の幕があがる。
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3.530歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第5集。本集には新訳となる3編を収録した。宝物を狙う海賊たちとの死闘を描いた「黒い異邦人」。最初に発表されたシリーズ作品として読者の熱狂を呼んだ、王となったコナンの物語「不死鳥の剣」。強大な敵の手に落ち囚われの身となったコナン王が、獄中で伝説の魔道士と遭遇する――一大合戦絵巻が繰り広げられる表題作等傑作揃い。/【収録作】「黒い異邦人」/「不死鳥の剣」/「真紅の城砦」/資料編「ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き」/「西方辺境地帯に関する覚え書き」/「辺境の狼たち(草稿)」/解説=中村融
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3.8新宿の不動産会社に勤める営業マン・澤村聡志。知識はあるが駆け引きが苦手な彼のもとにある日、成績優秀な後輩・神崎くららがパートナーとして異動してきた。以来、気が強く先輩使いの荒いくららに澤村は振り回される毎日に。さらに、担当していた大家に突然冷たくつき放されたり、入居者から部屋に現れる宇宙人を退治してほしいと無茶なクレームを入れられたり……物件に絡む謎の数々を解き明かすため、くららと二人、大忙しで走り回る! 新しくて古い街“新宿”に住む人々の悩みと謎を解決する、心あたたまる不動産ミステリ。『ツノハズ・ホーム賃貸二課におまかせを』改題文庫化。/【収録作】第一話 大家の事情/第二話 入居者の事情/第三話 入居申込人の事情/第四話 その土地の事情/エピローグ
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3.5来日中のペンシルベニア大学教授ジョゼフ・ハートマンは、古代史の世界的権威。同じく歴史学者である早乙女静香と京都へ旅行しようとしてはキャンセルの憂き目に遭い、毎晩うらぶれたバーで飲むことに。しかし、バーテンダー松永の供する酒肴に舌鼓を打ちつつ聴く宮田六郎と静香の歴史検証バトルは、不満を補って余りある面白さであった。アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像――七つの不思議を俎上に載せ、常識を覆す新解釈を披露。好評嘖嘖たる奇想天外なデビュー作品集『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編、ここに登場!
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3.7酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。/解説=吉野仁
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4.0相も変わらずの天才的なテナーサックスの演奏と、鮮やかな推理を披露するいっぽうで、世事にはうとい永見緋太郎だが、クインテットを活動休止にして、海外で原点を見つめ直すという唐島に同行することになった。ニューヨークを皮切りに、シカゴ、そしてジャズの聖地ニューオリンズで永見と唐島が出合った不思議な出来事。あこがれのミュージシャンが遺した楽器を手に入れた唐島を襲った災難、ニューヨークで管楽器の盗難事件に巻き込まれた永見が見いだした真相など、全7編を収録。ジャズと不思議に満ちた、日本推理作家協会賞受賞シリーズ第3弾。/解説=法月綸太郎
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3.3大昔、日本は北と南でアジア大陸と地続きだったが、温暖化によって……。ところで「日本」はニホンかニッポンか、日本人の要件って何だろう? バーのカウンター席で始まった歴史談義は、漠然と受け止めていたけれど実は全然知らなかったんだと気づかされることのオンパレード。八幡平や桶狭間などの現地踏査も交え、数々の不思議に理論で迫る。原日本人、邪馬台国、柿本人麻呂、空海、織田信長、東州斎写楽、太平洋戦争――日本人なら知っておきたい7つのテーマに、鯨史観は如何なるアプローチを試みるか。好評を得た『邪馬台国はどこですか?』『新・世界の七不思議』に続く、第3弾。
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3.0昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。
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3.3昭和12年(1937年)5月、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家になる夢を追いかける那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いてほしいというのだ。超特急燕号で名古屋へ向かい、華やかな博覧会を楽しむ最中、一報がもたらされた殺人事件。名古屋にいた女性の足だけが東京で発見された!? 同時に被害者の妹も何者かに誘拐され――。名古屋と東京にまたがる不可解な謎を、一兵はどんな推理を巡らせて解くのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風に描く長編ミステリ。/解説=大矢博子
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3.2ロンドンの医師で“心霊博士”でもあるジョン・サイレンスのもとには、超自然現象に悩む患者たちが訪れる。屋敷の悪霊に取り憑かれた作家の災難を描く「霊魂の侵略者」、前世の記憶から猫の街に引き寄せられた男の妖しい体験が語られる「古えの妖術」、旅の途中で30年ぶりに母校を訪れた商人が引きずり込まれた黒魔術の恐怖「秘密の崇拝」、青年の激しい恋情が驚愕の人狼事件へと発展する「犬のキャンプ」など、英国恐怖文学の巨匠ブラックウッドのジョン・サイレンスもの6編を完全収録した傑作短編集。/【目次】/事例一 霊魂の侵略者/事例二 古えの妖術/事例三 炎魔/事例四 秘密の崇拝/事例五 犬のキャンプ/事例六 四次元空間の虜/解説=朝松健
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3.61巻1,629円 (税込)創刊号はベテラン堀晃を筆頭に、松崎有理、宮内悠介、高山羽根子、倉田タカシなど現在の日本SF界を牽引する俊英のほか、次世代を担う新鋭・久永実木彦、ライトノベル界で活躍する秋永真琴・宮澤伊織の新作短編を収録。日本SFの新たな潮流を創るオリジナル・アンソロジー誕生。【収録作】久永実木彦「一万年の午後」/高山羽根子「ビースト・ストランディング」/宮内悠介「ホテル・アースポート」/加藤直之 エッセイ「SFと絵」/秋永真琴「ブラッド・ナイト・ノワール」/松崎有理「イヴの末裔たちの明日」/吉田隆一 エッセイ「SFと音楽」/倉田タカシ「生首」/宮澤伊織「草原のサンタ・ムエルテ」/堀晃「10月2日を過ぎても」
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4.0日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編。全編書き下ろし。第13回創元SF短編賞受賞作を収録。創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」が12,000ダウンロードを記録した八島游舷。『神々の歩法』が話題、日本初の動画配信SFシリーズを生み出した宮澤伊織。《ユア・フォルマ》シリーズで人気、今回初の短編小説に挑んだ菊石まれほ。『マインド・イーター』で知られ、人間と音楽と宇宙をテーマに描いた水見稜。『感応グラン=ギニョル』でデビュー、注目の怪奇幻想SF作家・空木春宵。三選考委員絶賛の第13回創元SF短編賞受賞者・笹原千波。ベテランから日本SFの未来を担う新鋭まで、6人の作家が集結!/【目次】はじめに/八島游舷「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」/宮澤伊織「ときときチャンネル#3【家の外なくしてみた】」/菊石まれほ「この光が落ちないように」/水見稜「星から来た宴」/空木春宵「さよならも言えない」/笹原千波「風になるにはまだ」〔第13回創元SF短編賞受賞作〕/第13回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より
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3.6ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第3巻。/【収録作】宮澤伊織「エレファントな宇宙」/空木春宵「メタモルフォシスの龍」/オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」/池澤春菜×下山吉光〔対談〕「プロの覚悟を届けたい――朗読という仕事」/松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」/堀晃「循環」/宮西建礼「されど星は流れる」/折輝真透「蒼の上海」/第11回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より
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3.5ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する7名が集結! 新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ、第2巻。【収録作】高島雄哉「配信世界のイデアたち」/石川宗生「モンステリウム」/空木春宵「地獄を縫い取る」/中村融〔エッセイ〕「アンソロジーの極意」/川野芽生「白昼夢通信」/門田充宏「コーラルとロータス」/西崎憲〔エッセイ〕「アンソロジストの個人的事情」/松崎有理「痩せたくないひとは読まないでください。」/水見稜「調律師」/ちいさなあとがき/編集部より
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-「恥辱を与えて殺害せよ」――ソ連国家保安省内の殺害実行機関SMERSH(スメルシュ)へ、死刑執行命令が下った。標的は英国秘密情報部の腕利きのスパイ、007のコードを持つジェームズ・ボンド。かつてソ連側に敗北をもたらした彼を陥れるために、SMERSHの作戦計画立案者が送りこんだのは、英国秘密情報部が飛びつくに違いない、魅力的な餌を抱えた国家保安省の美女だった。ヨーロッパとアジアが交わる混沌の都市イスタンブールやオリエント急行を舞台に、巧妙に張りめぐらされた二重三重の罠。最大の危機がボンドを襲う! 新訳で贈るシリーズ最高傑作。/解説=戸川安宣、小山正
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3.81967年のイギリスで、4人の女性科学者がタイムマシンの開発に成功し、300年先の未来までの時間旅行が実現した。そして、時間移動を厳格に管理すべく、国家からも独立した〈コンクレーヴ〉と呼ばれる巨大なタイムマシン運用組織が誕生した。時間旅行を独占するのはもちろん、タイムトラベラーが起こした犯罪も、この組織が独自に対処する。だが、タイムトラベルには精神に及ぼす深刻な副作用があった。ある殺人事件に遭遇した女性オデットが〈コンクレーヴ〉に潜入し、事件の調査を進めるうちに、その恐るべき事実が明るみに……異色の時間SF!/解説=堺三保
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3.3深夜、ロンドンの街角でエンフィールド青年は奇怪な光景を目撃する。十字路で少女を平然と踏みつけ、高名な医師ジキル博士の屋敷に悠々と入っていく異様な男ハイド。彼は何者か? アタスン弁護士の疑念を裏付けるように、続いて殺人事件が……。『フランケンシュタイン』『吸血鬼ドラキュラ』と並び称されるホラーの古典的名作、新訳決定版。ミュージカル『ジキル&ハイド』原作。
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-近未来のアメリカ。〈蜘蛛の糸(スパイダーズ・スレッド)〉と呼ばれる官能伝達デバイスや〈エンパス〉という特殊技術の普及により、首筋のスロットにケーブルをつなぐことで他人が体験した匂いや味、皮膚感覚、さらには感情までも追体験することが可能になった。ジェーンとクロエは二人きりのラボで少女のAIを開発しているが、その正体は……。美しく艶やかな文章で紡がれる、断罪と復讐の物語。※本電子書籍は、『Genesis 白昼夢通信』(東京創元社 2019年12月20日初版発行)に収録の「地獄を縫い取る」のみを電子書籍化したものです。『Genesis 白昼夢通信』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.6「美しく強かな継母が父を殺した」再婚してわずか一年半足らずで父が急死。遺産とビジネスを受け継ぎ生き生きと活躍する継母の姿に、女子高生の瑠璃はそう確信した。彼女は自らの死をもって継母の罪を告発しようと決意する。しかし自殺の名所として有名な山奥の森で首を吊ろうとしたところ、かつて同じ森で首吊り自殺したという“幽霊”と出会い、裕章と名乗る彼に継母の罪の証拠を一緒に探そうと提案される。瑠璃が決めた期限以内に見つからなければ、その時死ねばいいと。六日後──それが瑠璃の自殺予定日となった。継母の罪を暴き、父の無念を晴らせるのか?! すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ!/解説=池上冬樹
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4.0真敷市公民館で行われている奇術ショウの舞台で、仕掛けの中から飛び出すはずの水田志摩子が現れない。それどころか彼女は自分のマンションで殺されていた。しかも死体の周囲には、同じ奇術クラブの仲間、鹿川舜平が書いた「11枚のとらんぷ」に鏤められた11のトリックを構成する小道具類が毀されて置かれていた。秘密の儀式めいたトランプ奇術殺人は何を意味するのか。著者の鹿川舜平が辿りついた事件の真相とは。自らも数多くの奇術を生み出し、石田天海賞を受けているマジシャン泡坂妻夫が、小説家としてのスタートを飾った記念すべき第一長編。/解説=相沢沙呼
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-2018年6月、大阪は地震に見舞われた。7月に西日本豪雨と猛暑と台風12号、8月9月に台風20号、21号。だが私の周囲では、地震も水害もほとんど被害がなかった。マンション理事の私は、そのたびごとに自転車で見回りに出るが……。関西地方を連続して襲った夏の天災を素材に、実際に日々自転車で散策している著者が、日記風に物語る。第1回日本SF大賞受賞作家の大阪SF。※本電子書籍は、『Genesis 一万年の午後』(東京創元社 2018年12月21日初版発行)に収録の「10月2日を過ぎても」のみを電子書籍化したものです。『Genesis 一万年の午後』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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4.0古の神の眷属と信じられている『神王』一族が治めるシオン神王国。その最北に位置するラダッカでは、原因不明の死病が流行していた。極北での任務から帰還した〈蛇の目〉団の若き長ソローは、神王家から派遣された地形官の護衛と監視を命じられる。百二十年ごとに繰り返される吹雪と死病の原因は、神王国の根幹に関わる秘密にある、と地形官は語る。ラダッカを襲う異変はソローのみならず、彼の幼なじみ――騎士を目指す少女エネミアと、神王国を守護する〈剣の天使〉の後継者という宿命を負うゼンの未来をも変えようとしていた。圧倒的筆力で描く、ヒロイック・ファンタジーの傑作。解説=三村美衣
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3.8命を助けた若者に、つらい人生を歩んできたゆえの奇怪な風貌を罵倒され、心が折れてしまった老姉妹。10年の長きにわたり、部屋で安らかに眠り続ける少年。屋敷の敷地内に薄暗い洞窟を持つ金持ち夫婦に雇われて、“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、古物店で見つけた手術道具を使って博物館に展示されている標本の蝶を蘇らせようとする少年。家の近くの丘で掘り出した骨を集め、ネックレスを作る少女。――ブッカー賞最終候補作の著者が、日常と異常の境を越えてしまい異様な事態を引き起こした人々を描く、奇妙で愛おしい珠玉の短編集。/【目次】ピアース姉妹/眠れる少年/地下をゆく舟/蝶の修理屋/隠者求む/宇宙人にさらわれた/骨集めの娘/もはや跡形もなく/川を渡る/ボタン泥棒/訳者あとがき/解説=石井千湖
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-植物写真家の猫田夏海は北海道の撮影旅行の最中、「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という話を聞き、興味を覚えて日高地方最奥部の古冠村へ向かう。役場の青年の案内で夏海が目にしたのは、テーマパークのために乱開発された森だった。その建設に反対していたアイヌ代表の道議会議員が失踪する。折しも村では、街路樹のナナカマドが謎の移動をするという怪事が複数起きていた。三十メートルもの高さの巨樹までもが移動し、ついには青年の墜落死体が発見されたとき、夏海は旧知の〈観察者〉に助けを求めた! 〈観察者〉探偵・鳶山が鮮やかな推理を開陳する、謎とトリック満載の本格ミステリ。/解説=村上貴史
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5.0大阪湾の淀川河口から10キロほど上流にある毛馬閘門(南の大川へ分流させるために水面の高さを調節するエレベーター機構)のほとりで語られる、半日たらずの静かな物語。著者自身を思わせる語り手が半生を回想しつつ、水の街・大阪をめぐる歴史と幻視が挿入される。物語の鍵となるのは、毛馬閘門の最初の設計者となった人物と、語り手が二十代のころに会社の片隅で見つけた奇妙な道具。大阪キタの歴史に思いを寄せ、水の流れとともに語る忘れがたい好編。※本電子書籍は、『Genesis されど星は流れる』(東京創元社 2020年8月28日初版発行)に収録の「循環」のみを電子書籍化したものです。『Genesis されど星は流れる』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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4.1徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔科医・伝城英二。空腹は感じるがそれを不快には感じない。うまくもまずくもないので、食べ物にも興味がなくなった。ファッションや人間関係についても同様だ。毎日同じ料理を食べ、人付き合いも最低限にして暮らしていた英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る〈情無連盟〉から加入の誘いを受ける。だが英二が泊まりがけで見学に訪れていたさなか、連盟員の一人が殺害されてしまう。不可能状況下、しかもあらゆる欲求を失い、怒りも悲しみも感じない「情無」たちが集う屋敷で、なぜ殺人事件は起こったのか? 現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒・眞庵と共作した、本格犯人当て長編。
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4.4公園で見つかった奇妙な死体。70年代のディスコ全盛期の服装で、外傷はないが、怯えた表情をしている。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。死体の男も、妖精界から追放された人間だった。だが、新たな女王になったソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか? マイケルは新米女王のソフィーと共に妖精界に乗りこむ。〈(株)魔法製作所〉の著者の新シリーズ第2弾。
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4.4リトル探偵事務所にある母親から持ち込まれた事件は高校生の娘の失踪だった。元刑事でバツイチの探偵バーニー・リトルは誘拐事件と判断、相棒の大型犬チェットと調査を開始したが、身代金要求はない。父親は単なる家出としてバーニーを解雇してしまう! 警察犬訓練所を優秀な成績で卒業、はできなかったが、それでも優秀な相棒犬チェットは、おのれの嗅覚を信じ、危険もかえりみず、バーニーをサポートする。チェットが犬の視点、犬の心ですべてを語り全世界の犬好きの心を鷲掴みにした史上最強の犬ミステリ『ぼくの名はチェット』(単行本版)改題。/解説=杉江松恋
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3.7J・D・カー生誕百周年の記念祭に伴い日本に上陸した幻の本――とある未解決犯罪実録集に、カーが解決を示唆する走り書きを残したことによって『カーの設問詩集』と呼ばれている一冊だ。そこには、巨匠は真相に至ったものの、なぜか未解決のままとなっている「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれる不可能犯罪の概要が載っていた。この書物を持ち主から借り受けた大学生・友坂は、所属するゼミの教授や友人たちを別荘に集めて推理合戦を楽しむが、彼らは想像しえない“不可能犯罪”の渦中に巻き込まれる。短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿のうえ長編化した傑作ミステリ。/解説=宇田川拓也
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3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 囲碁は深遠なゲームであり、人工知能にはこれから10年は負けないと言われていた。ところが昨年ヨーロッパでファンフ二段が、アルファ碁に負けた。それでも、イ・セドルには勝てないだろうとほとんどのプロが予想した。しかし4勝1敗で負けてしまった。ディープ・ラーニングという方法で、人工知能は進化していたのだ。本書は、対局に臨んだイ・セドルの苦悩とアルファ碁の強さを棋譜によって解説した。※本作品は固定レイアウト型の電子書籍です。文字のハイライト及び検索や辞書の参照などの機能が使用できません。ご利用の端末で、無料サンプルをお試しいただいた上でのご購入をおすすめいたします。
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3.0百貨店の催事で古書展覧会が行なわれるようになった昭和42年春。詩集のコレクターである大沢から、古書収集の極意は「殺意」と聞かされた喜多は、彼が本を借りてはそのまま私物化しているという噂を耳にする。その後大沢が居合わせた展覧会で、稀覯書が忽然と消え失せた……本を手に入れるためなら手段は選ばない収集家の闇を描く「展覧会の客」、古書オークション開催者に翻弄される喜多が最後に意外な真相に辿り着く「『憂鬱な愛人』事件」、古書店で起きた盗難事件と、図書館での司書強殺。「電網恢々事件」の三編を収録する。/【目次】第一話 展覧会の客/第二話 『憂鬱な愛人』事件/第三話 電網恢々事件/あとがき/文庫版刊行にあたって/解説=北原尚彦
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3.8近未来。人類は異星文明ロジアと接触し、友好的な関係を築いていた。音声ではなくテレパシーを用いて会話する彼らロジ人との意思疎通のため、専門の通訳が養成されており、そのひとりであるリディアは、ロジア大使館の文化担当官フィッツの専属通訳を務めていた。ロジ語の通訳をつづけると酩酊に似た状態になってしまうという副作用があるのだが、あるときリディアが酩酊しているあいだに、フィッツが何者かに殺害されてしまう。重要容疑者にされたリディアは、真犯人を突きとめるべく動きはじめるが……全米図書館協会RUSA賞SF部門受賞作。/解説=渡邊利道
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4.21歳の娘の理想の子育て環境を求めて、9年前、家族3人で東京からスウェーデンへ移住した著者。スウェーデンの保育園に持っていくものは? 育児休暇は何日とれて、その間のお給料は? スウェーデンのママたちに教わった手抜きメニューって? 実際に日本から移住した著者だから書ける、スウェーデンで暮らして良かったところ、悪かったところ。無理なく共働きで子育てできるとされる国での移住・子育て・日常生活を綴った、楽しく気軽に読めるエッセイ。/はじめに/《スウェーデンに移住を決める》/東京での共働き生活/移住先はどこに?/高まる移住への不安/東京を引き払う/【コラム】スウェーデン語って?/《見知らぬ街での新生活》/これから暮らす街に到着……/スンツヴァルってどんな街?/引っ越し後の手続きとアパート探し/民間の託児施設がない!?/二度目の育児休業生活/洗濯事件とスウェーデンの三大タブー/スウェーデンの週末の過ごし方/専業主婦イコール失業者/意を決して起業!/これがうわさのフィーカ(お茶)タイム/やっと春に/【コラム】Gumman/《とうとう保育園に入園!》/テンションの低い娘/持ち物がない!?/入園式のない入園日/あくまでマイペースな慣らし保育/慣らし保育期間終了、のはずが……/親も試練のとき/やっと慣れてきた日常/保育園での一日/ヴァルプルギスの夜/慣れたと思ったら長い長い夏休み/娘とスウェーデン語/数少ない保育園のイベント/保育園は何を学ぶところ?/子供主体のプロジェクト/保育園の先生たちの労働環境/【コラム】Mysig/《スウェーデンで子育てするということ》/スウェーデンに来て楽になったこととは/慣れない海外暮らしにやられる/スウェーデン式子育てに思うこと/スウェーデンのお誕生日会/離婚率の高さ/なぜ男も家事ができるのか/ママ友がいない!/転勤のない社会/風邪は寝て治せ/スウェーデンの病院事情/育児休業とVABについて/子育てとキャリア形成の両立例/夢の一軒家購入/ついに見つけた!/かくして引っ越しへ/そして保育園卒業/【コラム】Lagom/《本当のところ、スウェーデンって住みやすいの?》/この本の最後に/スウェーデンの女性はなぜ働くのか/隠された専業主婦願望/それではスウェーデンは本当に男女平等か?/消費者の我慢の上に成り立つ快適な社会/地方暮らしで得たもの/子供は社会が育てるもの──スウェーデン人のお金の使い道/あとがき
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4.3母さんは今年、マーズ・ヒルから戻らないつもりだと、出かける前からムーニーにはわかっていた――毎年夏に訪れる海辺のコミュニティでの謎めいた存在との遭遇、名女優の血を引く6人姉妹の末妹と6人兄弟の末弟が屋敷の屋根裏で出会う不思議、スミソニアン博物館同僚の余命わずかな元学芸員のため、幻の飛行機械の動画を特撮で再現しようとする友人たちが邂逅した奇跡……ネビュラ賞・世界幻想文学大賞受賞の作品4編を収めた、不世出の天才作家による珠玉の抒情SF選集。/【収録作】過ぎにし夏、マーズ・ヒルで/イリリア/エコー/マコーリーのベレロフォンの初飛行/訳者あとがき
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4.0邪険な扱いしかしなかった亡き妻に謝罪したい――一代で財を成した傑物・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのはなんと霊媒師。自宅で降霊会を開いて霊魂を呼び寄せようというのだ。霊媒のインチキを暴こうとする超常現象の研究者までもがやって来て、方城家に騒然とした空気が広がる中、兵馬が密室状態の離れで撲殺されてしまう。霊媒は方城家に悪霊が立ち籠めていると主張、かくて調伏のための降霊会が開かれるが、その席上で第二の惨劇が起きた――方城家を襲う奇怪な連続不可能殺人の謎に挑むのは、飄々とした名探偵・猫丸先輩! 著者初期を代表する傑作長編。/解説=巽昌章/新版刊行によせて=倉知淳
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4.31942年、わたし、マギー・ホープは、特別作戦執行部への協力を拒んだため、スコットランド西海岸の孤島にある城に囚われていた。忌まわしい過去を持つこの城は、外部と隔絶した極秘の収容所として機能しており、ほかにも9名が囚われている――いずれもなんらかの理由で隔離が必要と判断されて。無為な日々を過ごしていたわたしたちだったが、新たな工作員が島にやってきた日から、ひとりまたひとりと謎の死を遂げていき……。この島でいったい何が起きているのか? 世界的ベストセラー・シリーズ最新刊!
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3.4観客席で不審な行動を連発し、遂には風に舞う紙吹雪の中で無数の一万円札をばら撒き始めた男の真意は? 自分が高校教師殺害事件の真犯人だと唐突に名乗り出た青年の運命は? アルバイトの女の子が遭遇した奇妙な出来事の意味は? そして、“結婚”の二文字を前にして揺れ動く女性が巻き込まれた事件の行方は? プロ野球球団・東海レインボーズのスタジアムで、不思議な事件を次々と解決に導くのは、筋金入りの野球音痴の球団オーナー虹森多佳子。優勝の夢に向かって走り始めた万年最下位球団の奮闘と、安楽椅子探偵の名推理を軽やかに描いた愛すべき本格ミステリ。ユーモアミステリに新風を吹き込む青井夏海のデビュー作。
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4.5画期的エネルギー源“ライン”の発見により人類は光速の壁を破り、銀河系全域に進出した。ただし原理も正体も不明のラインを扱えるのは選ばれた“ラインズマン”だけ。イアンは優れたラインズマンだが、ラインと歌で意思疎通できると信じているため周囲にバカにされている。だがそんな彼が皇女ミシェルに強引に連れ出され、近づくものすべてを消滅させる謎のエイリアン船を調査することに。人類が初遭遇した異星種族の物体とラインの関係は? 星間勢力同士の激しい対立も絡み、事態は急展開。『歌う船』×『戦士志願』の傑作スペースオペラ!
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3.7飛行船が行き交い、甲冑型の巨大な蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。天涯孤独の身であるカレンは、ゴールドラッシュに沸くこの町の高級娼館で“縫い子”として働いている。そんなある晩、町の有力者バントルに追われる少女プリヤが、モンシェリに飛びこんでくる。カレンはプリヤに強く惹かれ、彼女を守ろうとするが、バントルは怪しい機械を操ってプリヤを狙う。さらに、町には娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとい、娼館の女たちと共に立ち上がる! ヒューゴー賞作家が放つ傑作スチームパンクSF。
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 囲碁の強者は捨て石戦術に長けている。状況に応じていつでも石を捨てられるという考えを持っている。しかし下手は簡単に石を捨てられない。捨てるべき石を惜しみ、無理に活かそうとして状況を悪化させる光景が多々見られる。石を捨てることは必要不可欠の技術であり、石を捨てることを覚えれば、対局の質が飛躍的に上がる。ただ何でも捨てて良い訳ではない。活かすべき石と捨てるべき石を区別し、石を適切に捨てる手法について解説した。
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3.6父が行方不明になってから五年が経った冬。高校一年生のわたし・倉西美波は、不可抗力により「二日で五万円」という超破格のバイトをすることになった。山奥に踏み込んでは廃墟を撮影するというカメラマンの助手を請け負うことになったのだけれど、向かった先は危険だらけ。やっぱり楽には稼げないと落胆するも、なんと、ボロボロの屋敷でミイラ化した死体を発見してしまった! しかもそれが十二年もの間行方が知れなかった、カメラマンの母親だというからさらに驚いてしまって……。降りしきる雨の中、閉ざされた廃墟で次々と人が死んでいく。清新な筆致と、大胆なトリックで贈る、注目のシリーズ第三作。
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3.81941年初冬。敵国ドイツでのスパイ任務で心に癒しがたい傷を負ったわたし、マギー・ホープは、スコットランドにある特別作戦執行部(SOE)の訓練キャンプの鬼教官として、スパイのひよっこたちを鍛え上げていた。辛い記憶を振り払うかのように。そんな折、親友でバレリーナのサラから公演に招待され、エディンバラを訪れることに。けれど舞台で思わぬ事件が発生して……。運命の12月、わたしは何を目撃する? 赤毛の才媛マギーがさらなる成長を遂げていく、『国王陛下の新人スパイ』に続く、シリーズ第4弾!/解説=穂井田直美
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3.5心臓移植手術を受けながら、生物学者はどんな夢を見たのか(「デニス・ノーブルの心臓」)。ダイアナ妃に憧れた少女が語る、プリンセスの結婚から死去までの日々とは(「ダイアナを夢見て:十二フレーム」)。“聖戦”に参加するためリクルーターの電話を待つイスラム教徒の青年たちは、観光地で何を思うのか(「ラディカル・フィッシュを褒めたたえて」)。芸術家の老女が、家のあちこちにいる幽霊たちへ向ける想いとは(「すべての愛しい幽霊たち」)。幅広い分野の著名人たち、そして世間に名前の知られていない市井の人々。彼らの人生がさりげない語り口で描かれ、浮かび上がる鮮烈なイメージが、わたしたちの心を奪う。ブッカー賞候補作家が贈る、切なさと愛おしさに満ちた12編。カナダ総督文学賞最終候補作。/【収録作】「雪解け」/「ソロで、アカペラで」/「デニス・ノーブルの心臓」/「シルヴィアはあの世でピンクの服を着る」/「大切なものがある」/「オシレイト・ワイルドリー」/「ダイアナを夢見て:十二フレーム」/「ラディカル・フィッシュを褒めたたえて」/「チェーホフを思いながら」/「市民による逮捕の方法」/「わたしたちはメソジスト教徒だ」/「すべての愛しい幽霊たち」
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 囲碁で最も基本であり、重要なのは死活です。特に実戦死活の研究は、棋力を伸ばそうとする人には、避けて通れない分野です。本書は、隅の締まっているところを中心に、様々な変化を取り上げました。特に一合枡には詳しい変化図を載せ、対応しました。本書の問題に取り組むには忍耐が必要ですが、理解できれば、大きな自信と相当の実力が身に付くことでしょう。また実力が及ばず理解できなくても、解答を見るだけで十分勉強になるはずです。
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-被害者は、2月5日、火曜日の午後4時5分に空から降ってきた。喉には無惨な切り傷。落下してきたと思われたその男のフラット5階、バルコニーのある部屋は無人で、しかも玄関ドアは内側から釘と板で封じられていた。この不可解な密室殺人に臨むのは、サセックス警察のテス・フォックス警部補。彼女はしかし、被害者の名を知って愕然とする。その男は15年前、妹セアラを救うために罪を犯したあの夜の関係者だった。詐欺師として自分と正反対の世界で生きる異母妹を救うために……。意外な展開を見せる事件に姉妹が挑む、新シリーズ開幕!
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4.3(株)MSIに復職するため、ニューヨークに戻ったケイティ。ところが久しぶりの出勤の朝、地下鉄内でいきなり魔法を使った犯罪の現場に出くわす。どうやらライバル会社スペルワークスの仕業らしい。魔法の悪用を企む輩を阻止すべく立ちあがった、伝説の大魔法使いマーリン率いる(株)MSI。切り札はマーケティング部長に昇進したケイティのカスタマーカンファレンス。愛するオーウェンの協力も得て、計画は順調に進むかに見えた。だがカンファレンスのさなか、敵の陰謀がオーウェンを襲う。そしてついにオーウェンの出生の秘密が明らかに……。大人気のロマンチックファンタジー第5弾!