横溝正史 - 角川文庫作品一覧

  • 金田一耕助ファイル 全22冊合本版
    4.5
    500人の作家・評論家・愛好家が選んだ歴代ミステリ作品No.1に輝いた「獄門島」をはじめ、「八つ墓村」「本陣殺人事件」「獄門島」「悪魔が来りて笛を吹く」そして「犬神家の一族」などなど。本格ミステリのバイブルと呼ばれる横溝正史作品が合本版で登場。ミステリ界の巨匠の名作を味わい尽くす贅沢な作品集。 本作には、以下の22冊が収録されています。「八つ墓村」「本陣殺人事件」「獄門島」「悪魔が来りて笛を吹く」「犬神家の一族」「人面瘡」「夜歩く」「迷路荘の惨劇」「女王蜂」「幽霊男」「首」「悪魔の手毬唄」「三つ首塔」「七つの仮面」「悪魔の寵児」「悪魔の百唇譜」「仮面舞踏会」「白と黒」「悪霊島(上)」「悪霊島(下)」「病院坂の首縊りの家(上)」「病院坂の首縊りの家(下)」
  • 金田一耕助ファイル1 八つ墓村
    4.3
    1~22巻506~858円 (税込)
    戦国の頃、三千両の黄金を携えた八人の武者がこの村に落ちのびた。だが、欲に目の眩んだ村人たちは八人を惨殺。その後、不祥の怪異があい次ぎ、以来この村は“八つ墓村”と呼ばれるようになったという――。大正×年、落人襲撃の首謀者田治見庄左衛門の子孫、要蔵が突然発狂、三十二人の村人を虐殺し、行方不明となる。そして二十数年、謎の連続殺人事件が再びこの村を襲った……。現代ホラー小説の原点ともいうべき、シリーズ最高傑作!! カバーイラスト/杉本一文
  • 金田一耕助の冒険
    3.0
    1巻1,034円 (税込)
    雑踏で賑わう吉祥寺駅前で、金田一耕助と等々力警部が、一人の青年を見張っていた。やがて、動き出した青年を等々力警部が尾行し、金田一は、見当をつけていた現場へ先廻りすることになった。青年は、一年前に不可解な事件に巻き込まれて失った記憶を取り戻そうとしていた。その事件の鍵を握る謎の女は、彼の瞳の中だけに存在するのである。今ようやく、事件の全貌が明らかにされようとしていた…。(瞳の中の女) 一篇ごとに趣向を凝らした、金田一耕助異色の事件簿。
  • 扉の影の女
    3.7
    築地の橋下で発見された若い女性の変死体。依頼人によると犯行現場は築地ではなく、西銀座の路地だという。事件の謎が俄然金田一の闘志を掻き立てる。金田一耕助の謎めいた日常生活も描く異色作!
  • 雪割草
    4.3
    出生の秘密のせいで嫁ぐ日の直前に破談になった有爲子は、長野県諏訪から単身上京する。戦時下に探偵小説を書くことを禁じられた横溝正史が新聞連載を続けた作品がよみがえる。著者唯一の大河家族小説!
  • 羽子板娘 自選人形佐七捕物帳1
    5.0
    正月気分さめやらぬ江戸の町に、血なまぐさい事件が勃発した。江戸三小町と呼ばれ、羽子板のモデルになった三人の評判娘のうち、深川小町のお蓮が水死体となって発見された。その後、押し絵の首を切り裂いたお蓮の羽子板が、彼女の実家に投げこまれる。だが事件は、これだけで終わらなかった。今度は音羽小町のお蝶が……。女にモテすぎるのが玉に瑕、美男目明かし人形佐七の初手柄話他7篇収録。「これだけは読んで欲しい」と横溝正史が自ら選んだ捕物傑作選第1集! カバーイラスト/杉本一文
  • 憑かれた女
    3.2
    自称探偵小説作家の井手江南に伴われ、エマ子は恐る恐る不気味な洋館の中へ入った。そして問題のドアが開かれた瞬間、彼女は恐怖の悲鳴を上げた。部屋の隅に燃えさかる暖炉の中には、黒煙をあげてくすぶり続ける一本の女の腕が! ここ数カ月間、日夜恐ろしい悪夢に悩み続けてきたエマ子は、それが実際の事件として眼前にくり広げられたと知って戦慄した……。名探偵由利先生と敏腕事件記者三津木俊助が、鮮やかな推理を展開する傑作長編、ほか首吊り船/幽霊騎手の2篇を収録。
  • 蔵の中・鬼火
    4.2
    ※2019年1月23日まで配信していた『蔵の中・鬼火』と同じ内容となっております。重複購入にご注意ください。 澱んだほこりっぽい空気、窓から差し込む光、箪笥や長持ちの仄暗い陰。蔵の中でふと私は、古い遠眼鏡で窓から外の世界をのぞいてみた。それが恐ろしい事件に私を引き込むきっかけになろうとは……。
  • 呪いの塔
    -
    軽井沢高原の朝もやの中にうっそりとそびえるバベルの塔。この塔の外側には放射線状に伸びた七つの階段がある。今、怪奇小説で有名な作家大江黒潮とその仲間たちが集い、この塔を利用して仮想犯罪劇を演じていた。殺される役は何と黒潮自身。やがて劇も終ろうとする時突然、あたりに響きわたる凄じい悲鳴が聞こえた。黒潮の声である。驚いた人々が迷路のような階段を登り、展望台に辿り着いた時、そこには黒潮の死体が――。綿密な構成で練り上げた、横溝正史の傑作長編推理! カバーイラスト/杉本一文
  • 青い外套を着た女
    3.0
    フランスから帰朝した無名の画家は、ポケットに入っていた奇妙な紙切れに気がついた。そこには「日比谷公園の入口で青い外套を着た女に会いたまえ」と書いてある。彼は、面白半分に日比谷公園へ行った。入口近くに真青なレインコートを着た美しい女が立っている。彼は、女に話しかけた瞬間から、とんでもない事件に巻き込まれてしまった……。表題作のほか、白い恋人/クリスマスの酒場/木乃伊の花嫁/花嫁富籤/仮面舞踏会/佝僂の樹/飾窓の中の姫君/覗機械倫敦綺譚を収録 カバーイラスト/杉本一文
  • 髑髏検校
    2.5
    総髪を風になびかせ、巨大な蝙蝠のように両袖をひるがえして石碑の上に立つ髑髏検校。やがて彼は妖しい呪文を唱え始めた。すると突然、墓の中からバラバラの骸骨が飛び出し、まるで生きているように躍り出した! 文化八年元旦、豊漁に賑う房州白浜で、一頭の鯨の腹からフラスコに入った長い書状が出てきた。これこそ、後日、江戸中を恐怖のどん底に陥れた、あの怪事件の前ぶれであった……。怪異の極致を描く横溝正史の異色時代小説、他1編収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 真説 金田一耕助
    3.2
    バレンタイン・デーに金田一耕助を襲った毒入りチョコレート事件! しかし金田一は無事、九死に一生を得たのである。真相はこうだ。ある編集者氏が「読者から金田一先生にバレンタインの贈り物です」と小包を届けてくれた。自称金田一の小生は遠慮なく戴く。だが中身のチョコレートを食べ終わって数日後、世間を震撼とさせた毒入りチョコレート事件が発生したのだ! 猛烈な横溝ブームの最中、その熱気にとまどいながらも淡々と日々を過ごす著者の心境を吐露した好エッセイ集。
  • 喘ぎ泣く死美人
    3.8
    昭和3年、町はずれに住んでいた60歳過ぎの女性・片岡直が殺された。行きずりの強盗が犯人だろうと思われたが、事件の真相は直の恐ろしい過去に隠されていた――。そのほか当時の交友関係をベースにした「艶書御要心」「素敵なステッキの話」、外国を舞台とした「夜読むべからず」「喘ぎ泣く死美人」、また新たに単行本未収録作品「燈台岩の死体」「甲蟲の指輪」を加えた全18作品を掲載。
  • 悪魔の家
    2.3
    武蔵野の面影をとどめた杉並木に生暖かい夜霧が立ちこめる人けのない道。帰途を急ぐ新日報社の花形記者三津木俊助は、背後に尾行者の気配を感じてふと立ちどまった。意外にもそれは若い女だった。夜道の一人歩きが怖くて、と女は詫びた。うち解けた二人が善福寺池のほとりへさしかかった時、突然女が悲鳴を上げた。「悪魔が!」と女が指さす杉木立の向こうには、グロテスクな顔がボーッと浮かび上がり、無気味な笑い声が聞こえて来た……。表題作ほか六篇を収録した傑作短編集。 カバーイラスト/杉本一文
  • 悪魔の降誕祭
    3.4
    大胆不敵! 金田一耕助の事務所で起こった殺人事件。被害者は、その日電話をしてきた依頼人だった。あまりのことにさすがの名探偵も唖然とするばかり。その時、12月20日であるべき日めくりのカレンダーが何者かにむしられ、12月25日になっているのに気がついた……。降誕祭パーティーの殺人を予告する悪魔のような犯人。屈辱的挑戦を受け、名探偵の激しい怒りが燃える。本格推理小説の最高傑作! ほか2編収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 悪魔の設計図
    -
    庭の隅に立つ大木に、セメントでギッチリ充填された洞がある。そこには一握りの長い髪が生え出し、冷たい秋風にバサリバサリと揺れていた。すぐに発掘が始まり、やがてそこから女の真っ白な脛が…。役者殺しを皮切りに、たて続けに殺人が起きた。事件解決に乗り出した由利先生と三津木俊助は、被害者が一様に或る大富豪の隠し子である事実をつきとめた。だがその時、最後の遺産相続人である盲目の娘に、犯人の魔の手が! サスペンス豊かに描く本格推理小説。表題作ほか2篇を収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 刺青された男
    4.0
    灼熱の外洋でも、絶対にシャツを脱がない大男の船乗りがいた。他人に見せられない刺青をしているという噂がある男だ。ある日、私が船医をしている船で、船員同士の傷害事件が起きた。被害者は日頃、仲間からゲジゲジのように嫌われている腕自慢の水夫である。片目をつぶされ、肋骨をヘシ折られた瀕死の状態で運ばれてきた。喧嘩の相手はなんと、あの謎の船乗りだった。彼はいつの間にかボートを盗み、船から姿を消していた。表題作ほか9篇を収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 空蝉処女
    4.0
    終戦によって、ようやく人間らしい感情を取り戻していた私は、何年かぶりで中秋名月を愛でる気になった。五分あまり歩いて大きな池のあたりにさしかかった時、突如として、うら若い女性の美しい唄声が聞こえてきた。声に誘われ竹藪の中へ歩を進めた私は、はたとその場に立ち止まった。行く手の小高い段の上に、月光で銀色に輝くワンピースに竹の葉影を斑々とさせて、神秘なまでに美しい女性が佇んでいた……。ロマンチシズムの極致。数奇な運命を辿り、今蘇った横溝文学異色の名作。 カバーイラスト/杉本一文
  • 恐ろしき四月馬鹿
    3.2
    四月一日の朝、M中学寄宿舎内で恐ろしい事件が起きた。学生の一人が自室で、何者かに殺されたらしいのだ。現場は惨澹たる有様で、机は覆り、インクが流れ、破壊された石膏細工の破片が部屋一面に飛び散っていた。そして夜具の白いシーツには、ベットリしみついた生生しい血潮が! しかし不思議なことに、肝心の死体が部屋のどこにもなく、また夜中に物音を聞いた学生は一人としていなかった……。処女作「恐ろしき四月馬鹿」を初めとした横溝正史初期短編傑作選(大正編)! カバーイラスト/杉本一文
  • 女が見ていた
    2.5
    酔い痴れて夜の歓楽街をさまよい歩く啓介は、絶えず女の視線を感じていた。それも三人が入れ替わりながらあとを執拗につけてくる。朦朧とする頭の中で、彼はそのことだけをはっきりと意識していた。外出中に妻を殺害され、現場にいつも持ち歩いていたシガレット・ケースがあったために妻殺しの重要容疑者にされた作家の風間啓介。自分のアリバイを証明する謎の三人の女を必死に探索する。だが、その中の一人を見つけた時、彼女は……。横溝正史が描く本格ミステリーの最高傑作! カバーイラスト/杉本一文
  • 怪獣男爵
    -
    瀬戸内海の真ん中に浮かぶ奇妙な小島、男爵島。そこには、得体の知れない怪物が住んでいるという噂があった。史郎と二人の少年は、ヨットで島の沖合を走っているところを突然の嵐に襲われる。三人が島へ逃げ込んだそのとき、彼らのヨットを奪って何者かが逃げ出した。それこそが噂の怪物だったのだ! 島の所有者・怪獣男爵は何を隠しているのか。等々力警部と小山田博士がタッグを組み謎に迫る、サスペンス溢れる傑作長編。
  • 怪盗X・Y・Z
    4.0
    「先生、起きてください、先生!」進が声をかけたが、永利はデスクにうつぶせになったままだ。たまりかねた進は、永利の背後からのぞきこんだ。だが次の瞬間、進は背筋の凍る衝撃を覚えた。原稿は鮮血に染まり、デスクの上に血だまりができていたのだ……。新日報社の少年社員御子柴進は、有名な画家永利の所へ随筆原稿を受け取りに行き、恐ろしい事件に巻き込まれてしまった。事件の前後に出没する怪人X・Y・Zとは敵か? 味方か? 探偵小僧御子柴少年の大活躍を描く連作推理。 カバーイラスト/杉本一文
  • 仮面劇場
    4.3
    瀬戸内海のまっただなかに木の葉のように浮かぶ一艘の小舟。だが、その上にしつらえた大きなガラスの柩の中には、一人の美少年が身動きもせず横たわっていた! 助け出された少年が盲聾唖の三重苦とわかった時、ひどく同情した富裕な未亡人が彼を引きとった。しかし、それが恐ろしい連続殺人事件の発端になろうとは……。無気味な背景に潜む見事なトリック。横溝正史の傑作本格推理、他2編収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 夜光怪人
    3.5
    ホタル火のような妖しい光を放つ怪盗・夜光怪人は秘蔵のダイヤの首飾りに狙いをつけた。警備にあたった三津木俊助だったが、夜光怪人に裏をかかれて失敗。金田一耕助が事件の解決に乗り出すこととなる……。
  • 金色の魔術師
    -
    名探偵・金田一耕助の一番弟子を自認する立花滋は、冒険好きな友人二人と少年探偵団を結成。だが、彼らの前に「わしはな、七人の少年少女をもろうていくつもりじゃ」と語る、謎の魔術師が現れる。金色のフロックコートに身を包んだ、奇妙な鷲鼻男の狙いとは? 立花少年たちは、同級生が魔術師に連れ去られ、悪魔の生贄にされようとしている世にも恐ろしい場面に遭遇し……! 横溝正史による、推理ジュブナイルの傑作。
  • 蝋面博士
    -
    怪しい男を追いかけてアトリエに入った御子柴進は、異様な物体を見つけて驚いた。それは裸の男の蝋人形で、しかも剥がれた蝋の下から本物の人間の手がのぞいていたからだ! 人間を殺して蝋人形に仕立て上げる、蝋細工の面のような顔をした蝋面博士の暗躍に、等々力警部と御子柴少年は手も足も出ずに苦しむ中、アメリカ旅行中の金田一耕助が予定を繰り上げ帰国した――。表題作のほか「黒薔薇荘の秘密」「燈台島の怪」「謎のルビー」を収録した傑作集。
  • 仮面城
    3.0
    朝の尋ね人コーナーに、突然自分の名前が出てきたのを見て、文彦少年は驚いた。不思議に思いつつその人物に会いに出かけ、雑木林を抜けて古びた洋館にたどり着いたその時、館の中から少女の悲鳴が聞こえた。夢中で中へ飛び込むと、そこには頭に鮮血を滲ませ、床に倒れた老人が! ふとしたことで恐ろしい事件に巻き込まれる少年たちと、金田一耕助の活躍を描いた表題作の他「悪魔の画像」「ビーナスの星」「怪盗どくろ指紋」を収録。
  • 大迷宮
    -
    避暑のため軽井沢に滞在する滋と謙三。サイクリングに出かけた先で急な夕立にあい、古びた洋館に泊めてもらうことに。2人を手厚く出迎えたのは、10年前に行方不明になった世界的サーカス王の遺児、剣太郎だった。ところがその夜、怪しい足音を聞いた滋と謙三が剣太郎の寝室をのぞくと、ベッドの天井が突然下がってきて……? 名探偵・金田一耕助の大人気シリーズ。金田一と怪獣男爵の対決が、ここに幕を開ける!
  • 黄金の指紋
    -
    「君に預けておく。これを金田一耕助という人に渡してくれ……」そう言って難破船の遭難者が死ぬ前に言付けた黒い箱。邦雄少年が中を開けて見ると、それは燦然と輝く黄金の燭台だった。思わず息をのみ慌ててしまおうとした時、彼は妙なことに気がついた。燭台の火皿に指紋が一つ焼きつけられていたのだ。邦雄は知らなかったが、これこそ一人の少女の運命を握る大切な証拠の品だったのである……。巧みな変装術と鮮やかな推理で事件の核心に迫る金田一耕助の活躍!
  • 迷宮の扉
    -
    金田一耕助の行く所、必ず事件あり。三浦半島巡りを楽しんでいた金田一は、嵐に遭い、竜神館という屋敷へ逃げこんだ。直後、一発の銃声と共に背中を撃たれた男が土間に倒れこんできた。殺された男は、毎年この屋敷の主、東海林日奈児少年の誕生日に、カードを届け、ケーキを切りにくる男だった。莫大な財産をめぐる人々の葛藤をテーマに、完璧なトリックと緻密な構成で描く傑作本格推理、ほか二篇。
  • 幽霊座
    4.0
    ※本書は、昭和48年9月に刊行された角川文庫『幽霊座』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。 人気随一の若手歌舞伎俳優が失踪、17年後の追善興行で、またしても殺人事件が……。梨園にわだかまる因習と確執、激しい親子の愛憎の中に謎が隠されていた! 表題作に「鴉」「トランプ台の首」を収録。
  • 死仮面
    3.8
    ※本書は、昭和59年7月に刊行された角川文庫『死仮面』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。 昭和23年秋、「八つ墓村」事件を解決した金田一耕助は、岡山県警へ挨拶に立ち寄った。ところがそこで、耕助は磯川警部から、無気味な死仮面にまつわる話を聞かされる。東京で人を殺し、岡山に潜伏中の女が腐爛死体で発見され、現場に石膏のデスマスクが残されていたのだ。デスマスクはいったい何の意味なのか。帰京した耕助は、死んだ女の姉の訪問をうけ、さらに意外な事実を聞いて、この事件に強い興味をそそられた。三十年ぶりに発掘された巨匠幻の本格推理に絶筆「上海氏の蒐集品」を併録する。
  • 吸血蛾
    3.7
    木箱のふたをこじあけた瞬間、思わず縫い子たちは後ずさりした。箱の中には、乳房をえぐりとられ、その血だまりに一匹の蛾を浮かべた若い女の死体が……。服飾界の女王として君臨する美人デザイナー浅茅文代。だが、突然アトリエに死体入りの木箱が送り込まれたのを手始めに、彼女の大事な専属モデルたちが次々と殺されていった。犯人の目的は何か? そして、灰色ずくめの服装で暗躍する無気味な狼男とは何者? 全編にあふれる怪奇とロマン、横溝正史の傑作長編推理!
  • 毒の矢
    4.0
    高級住宅街緑ヶ丘町一帯に、突然、悪意に満ちた奇怪な密告状が舞い込み始めた。差出人は黄金の矢と名乗る謎の人物。はじめは、たちの悪いイタズラと笑い過していた人々も、殺人事件が起こるにいたり、たちまち恐怖のどん底に叩き落された。被害者はアメリカ帰りの富裕な未亡人で、むき出しの背中に彫られたトランプ散らしの刺青のうちハートのクイーンの部分を、無気味なからす羽根の矢が深々と刺し貫いていた! 金田一耕助の名推理が冴える奇怪ミステリーの傑作、ほか一篇を収録。
  • 華やかな野獣
    4.3
    ※本書は、昭和51年8月に刊行された角川文庫『華やかな野獣』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。 臨海荘の大ホールでは、大勢の男女が集うパーティが催されていた。 一夜限りの相手を物色する享楽的な宴が終わろうとした矢先、ベッドルームで死体が発見!  被害者は美しい女主人で、左の乳房をえぐられていた。ボーイに変装し潜入していた金田一耕助は駆けつけた警官たちと取り調べを開始する。 だが、事件の裏には大規模な麻薬密売が複雑にからんでいて……。 表題作に「暗闇の中の猫」「睡れる花嫁」を加えた傑作本格推理。
  • 壺中美人
    4.0
    ※本書は、昭和51年7月に刊行された角川文庫『壺中美人』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。 陶器収集で有名な画家が自宅のアトリエで何者かに殺害された。 現場におもむいた金田一耕助は、聞き込みを続けるうちに数日前、テレビで見た“壺中美人”と称する曲芸を思い浮かべる。 なんと発見者のたえは、血にまみれたパレットナイフを握りしめたまま、身体をねじまげ壺の中へ入っていく女の姿を見たというのだ!  表題作ほか奇妙な廃墟で起きた殺人事件を追う「廃園の鬼」を収めた、愛と裏切りを映し出す、横溝正史の傑作推理。
  • 死神の矢
    3.5
    ※本書は、昭和51年5月に刊行された角川文庫『死神の矢』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。 弓の収集家として名高い考古学者の古館博士が、三人の若者を招き弓遊びに興じていた。見事的を射た者を、愛娘早苗の婿とするというのだ。 だが、その直後、競技に参加した若者の死体が発見される。浴室の中でシャワーを浴び続ける男の胸部には、白塗りの矢が射ちこまれていた……。 解決不能と思われた密室トリックを名探偵・金田一耕助が解き明かす。 一風変わった隣人の嫌疑に挑む「蝙蝠と蛞蝓」を併録したファン必読の小説集。
  • 貸しボート十三号
    3.6
    ※本書は、昭和51年3月に刊行された角川文庫『貸しボート十三号』(電子版発売日:2012年8月3日)を改版した作品となります。重複購入にご注意ください。 白昼の隅田川に漂う一艘の貸しボート。中を見た人々は一斉に悲鳴を上げた。そこには首を途中まで挽き切られ、血まみれになって横たわる、男女の惨死体があったのだ。 名探偵・金田一耕助による聞き込みで、事件直前に、金ぶち眼鏡をかけ、鼻ひげを蓄えた中年紳士がボートを借りたことが判明。謎の人物を追って捜査が開始されたが、事件は意外な方向に……。 表題作に「湖泥」「堕ちたる天女」を加えた、横溝正史の本格推理。
  • びっくり箱殺人事件
    5.0
    箱の蓋をはね上げ、バネ仕掛けの人形のように男が飛び出した。だが瞬間、まえのめりに倒れこむと激しく痙攣し始めた。男の胸には、箱の中に強いスプリングでとめられた鋭い短剣が突きささって……。スリラーふう軽演劇『パンドーラの匣』の舞台で起った、恐怖の殺人事件! 名推理で犯人を追いつめる等々力警部の活躍は? 本格推理小説の異色傑作。ほか「蜃気楼島の情熱」を収録。
  • 支那扇の女
    3.5
    鮮血が飛び散る部屋の中で、血溜りに鼻を押しひしゃげて突っ伏す寝巻姿の女。そして隣の部屋には、額をざくろのように割られ、凄まじい形相をした老婆が死んでいた! 駆けつけた等々力警部と金田一耕助はただちに聞き込みを開始。だが、使用された凶器の意外な捨て場所、さらに70年前、世間を恐怖のどん底に陥れた毒殺事件とのからみが、事件をますます複雑にしていった。謎の因縁話に秘められた斬新なトリック、横溝正史の傑作長編推理。ほかに「女の決闘」を収録。
  • スペードの女王
    3.8
    片瀬の沖に浮かんでいた若い女の首なし変死体。内股にはスペードのクイーンをあしらった名人彫物師による刺青が! もう一人、同じ刺青をもつ女がいるようで……。複雑に絡み合う謎に金田一耕助が挑む
  • 迷路の花嫁
    4.0
    かけ出しの小説家松原浩三は、ふとしたことからとてつもない恐ろしい事件に巻き込まれていった。暗い夜の町を散策していた彼は、偶然行き会った若い女の異常な様子に不審を抱き、後を追いかけた。だが、通りがかりの警官と共に、女が消えた路地へ踏み込んだ彼は戦慄した! 軒灯にヤモリが這うクモの巣だらけの無気味な家、そして縁側からまっ赤な猫の足跡が続き、血の海と化した座敷には、無数の切り傷から鮮血をしたたらす全裸の女の死体が……。横溝正史の傑作長編推理小説。
  • 魔女の暦
    3.5
    浅草のレビュー小屋舞台中央で起きた残虐な殺人事件。魔女役が次々と殺される――。不適な予告をする犯人「魔女の暦」の狙いは? 怪奇な雰囲気に本格推理の醍醐味を盛り込む、傑作長編推理
  • 夜の黒豹
    3.3
    金田一耕助は等々力警部とともに、異様な事件現場に急行した。連れ込み宿のベッドに女が縛り付けられて縊死している。その胸部には殴りがきのトカゲの絵が残され、部屋はなぜか水浸し。さらに事件の直前、近くのホテルでは、未遂に終わった同様の事件をベルボーイが目撃していた。だが、警察に事情を話した直後、彼は何者かに轢き逃げされてしまい……。愛と欲にまみれた連続殺人事件の真相に金田一が挑む、名作本格ミステリ。
  • 金田一耕助のモノローグ
    1.0
    昭和20年4月1日から始まった約3年半にわたる岡山での疎開生活。横溝正史は肥たごをかつぎ、畑を耕しながら、土地の人々との交流を深めた。彼は日本の敗戦を予測し、もし戦争協力を求められたら一家心中も辞さず、と常に青酸加里を携帯していた。玉音放送を聞いた時、彼は快哉を叫んだ。正史の猛烈な創作がこの時から始まる……。「本陣殺人事件」「蝶々殺人事件」「八つ墓村」「獄門島」等、数々の名作が生まれた背景を、横溝正史が自ら綴った想い出の記。横溝ファン必読の1冊! カバーイラスト/杉本一文
  • 殺人鬼
    3.7
    ある説によると、我々の周囲には五百人に一人の割合で、未だ発見されていない殺人犯がいるという。あなたの隣人や友だちは大丈夫ですか? あの晩、私は変な男を見た。黒い帽子をかぶり黒眼鏡をかけ、黒い外套を着たその男は、片脚が義足で、歩くたびにコトコトと無気味な音をたてる。男は何故か、ある夫婦をつけ狙っていた。彼の挙動が気になった私は、その夫婦の家を見はった。だが数日後、夫の方が何者かに惨殺されてしまった! 表題作ほか三篇を収録した横溝正史傑作短篇集。
  • 殺人暦
    5.0
    大新聞に掲載された5人の人々の死亡広告。大実業家、宝石王、有名女優等、いずれも今を時めく知名人。悪戯にしては余りに無気味な広告に、全員が実業家の 屋敷に集まった。実は彼らには重大な共通の秘密があった。それは莫大な利権を生む人造ダイヤの製法に関する機密で、15年前の忌まわしい事件に繋っていた のだ。そして今、部屋にある鏡にいつのまにか血のような真紅の紙が貼られ、そこには第一の殺人予告が! サスペンスに富む表題作をはじめ、傑作を網羅した 珠玉の推理短編集。?
  • 真珠塔・獣人魔島
    -
    翼から鬼火のような青白い光を放ち、夜空に舞う無気味な金色のコウモリ。探偵小僧の御子柴進少年は、金コウモリが自動車の中から銃を発砲し、女性を殺害する現場を目撃した。三津木俊助とともに事件の調査を行う進少年のもとに、催眠術を駆使する金コウモリの魔の手が迫る……(「真珠塔」)。刑務所を脱走した悪党を追いかけた先で、脳の移植手術が秘密裏に研究されている骸骨島を見つける進少年の冒険劇「獣人魔島」を併録。
  • 真珠郎
    4.2
    ※2018年11月21日まで配信していた『真珠郎』と同じ内容となっております。重複購入にご注意ください。 鬼気せまるような美少年「真珠郎」の持つ鋭い刃物がひらめいた!浅間山麓に謎が霧のように渦巻く。無気味な迫力で描く、怪奇ミステリーの最高傑作。他1編収録。
  • 姿なき怪人
    4.3
    床に残るどす黒い血だまり。その横にナイフを突き刺した写真が一枚。写真の主は法医学者、板垣博士の旧友の娘、吾妻早苗だった。電話で早苗の悲鳴を聞き、駆けつける三津木俊介と。犯人は早苗との結婚を博士に反対された木塚陽介か?だが早苗から電話が掛かってきたとき、木塚は博士の部屋にいた……。「“姿なき怪人”となって、博士に復讐してやるのだ」と不敵な挑戦状を突きつけてきた犯人は。 カバーイラスト/杉本一文
  • 青髪鬼
    3.0
    新聞にいっせいに掲載された三つの死亡広告。うちの一人、宝石王古家万造氏が何者かに殺害された。光る無気味な目や大きくさけた口。復讐の怨念に燃える青髪鬼を、三津木俊助は捕らえることができるのか?
  • 双仮面
    5.0
    日本一の造船成金といわれる大富豪雨宮万造が、喜寿の祝いに造らせた黄金の模型船。船首にはダイヤが燦然と輝やき、その豪華さには誰もが眼をうばわれた。ところが、謎の怪盗風流騎士がこの黄金船を狙っているという噂が流れ始めた。駆けつけた警察が邸の内外を監視し、黄金船のある大広間では万造の孫恭助がしっかりと見張っていた。だがその時、恐るべき怪盗はいつのまにか忍び込んでいたのである。由利先生と等々力警部の異色コンビが、狡猾な犯人と対決。表題長編ほか2篇収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 双生児は囁く
    3.8
    真鍮で作られた檻の中に飾られた真珠の首飾りは、「人魚の涙」と呼ばれ、デパートで展示されていた。ところが平日の昼すぎ、数名の客の前で、「人魚の涙」の番をしていた男が殺され、また首飾りを持ち去った女も奇妙な死を遂げてしまう。幾重にも絡んだ謎を解き明かすのは――。表題作ほか、名探偵・金田一耕助を生み出したミステリの巨匠・横溝正史が遺した短篇。汁粉屋の娘/三年の命/怪犯人/空家の怪死体/蟹/心/双生児は囁く/を収録。
  • 丹夫人の化粧台 横溝正史怪奇探偵小説傑作選
    4.0
    美貌の丹夫人をめぐる決闘に敗れた初山は、「丹夫人の化粧台に気をつけろ」という言葉を残してこと切れる。勝者の高見は、丹夫人の化粧台の秘密を探り、恐るべき真相に辿り着き――。表題作他13篇を所収。
  • 血蝙蝠
    3.4
    肝試しに荒れ果てた屋敷に向かった女性は、かつて人殺しがあった部屋で生乾きの血で描いた蝙蝠の絵を発見する。その後も女性の周囲に現れる蝙蝠のサイン――。名探偵・由利麟太郎が謎を追う、傑作短編集。
  • 黒澤明監督作品「羅生門」「蜘蛛巣城」の原作2冊を合本で読む!
    -
    【収録書籍】 『羅生門・鼻・芋粥』著者:芥川龍之介 『新訳 マクベス』著者:シェイクスピア 訳者:河合祥一郎 【映画紹介】 映画「羅生門」 芥川龍之介の同名作品を基に、1950年黒澤明監督により三船敏郎、京マチ子の出演で製作された時代劇大作。その強烈なテーマ、独特の映画手法によって公開時に大きな話題となった。1951年のヴェネチア国際映画祭でグランプリを獲得、51年度のアメリカのアカデミー賞外国映画賞を獲得し、世界の評価も集めた。 映画「蜘蛛巣城」 1957年、黒澤明監督によりシェイクスピア作「マクベス」を日本の戦国時代に翻案し、能の様式美を取り入れ制作された作品。監督が得意とする強烈な人間描写が凄まじいまでに迫り来る。特に、主演の三船敏郎によるラストシーンは圧巻!
  • 人形佐七捕物帳傑作選
    -
    神田・お玉が池に住む岡っ引きの人形佐七が江戸でおきたあらゆる事件を解き明かす! 横溝正史の傑作捕物帳全作品から厳選。冴えた謎解き、泣ける人情話……初めての読者にも読みやすい7編を集めました。
  • 花髑髏
    3.7
    名探偵由利先生のもとに突然舞い込んだ差し出し人不明の手紙、それは恐ろしい殺人事件の予告だった。指定の場所へ急行した彼は、箱の裂目から鮮血を滴らせた黒塗りの大きな長持を目の当たりにするが……。
  • 塙侯爵一家
    4.8
    霧深いロンドンの街の片隅で秘密裡に進められたある計画。それは、莫大な資産家塙侯爵の息子で欧州留学中の安道を、思い通りに操れる偽者とすり替える畔沢大佐の陰謀だった。日本へ戻った偽安道は見事にその役柄をこなし、ライバルの晴道を押えて侯爵の信頼を勝ち取った。だが、その頃から偽安道に変化が生じた。大佐の命令に従わず、勝手な行動をとり始めたのだ。そして、あの忌まわしい老侯爵殺害事件が起きた……。横溝正史の異色長編ほか「孔雀夫人」を収録。
  • 白蝋仮面
    -
    「わっ、あんな所から血が……」探偵小僧の御子柴進が悲鳴を上げた。懐中電灯の明かりに照らし出された廊下の隅には、赤黒い血が流れ出ている大きなセメント樽が! 宝石王の屋敷で起きた事件の捜査中、怪盗白蝋仮面の部下の大男をみかけた三津木俊助と御子柴少年は後を追った。だが、大男の姿はどこにも見えない。取り逃がしたと思った時、進が樽の異変に気づいた。そこにはナイフで刺された大男の死体が……。神出鬼没の怪盗白蝋仮面と、三津木俊助、御子柴少年との対決を描く傑作。 カバーイラスト/杉本一文
  • 風船魔人・黄金魔人
    -
    上野公園に集まった人々は空を見あげて驚いた。一頭の馬が空に舞いあがったのだ! 馬体には7つの風船がゆわえつけてある。それにしても馬一頭、空に舞いあがらせるとは何とすごい浮揚力だろう。風船にはどんなガスが詰められているのか? そしてそれを発明したのは何者なのか? やがて新聞紙上に次の実験を予告する広告が出た。“風船魔人”の次の実験とはいったい何なのか? ほかに、全身黄金の謎の怪人を追う御子柴進と三津木俊助の活躍を描く『黄金魔人』を収録。傑作中編集。 カバーイラスト/杉本一文
  • 不死蝶
    4.0
    「蝶が死んでも、翌年美しくよみがえるように、いつか帰ってきます」二十三年前、謎の言葉を残し、突然姿を消した一人の女。当時、鍾乳洞殺人事件の容疑者だった彼女は、成長した娘と共に疑いをはらすべく、今、因縁の地に戻ってきた。だが、その彼女の眼の前で、再び忌わしい殺人が起きた! 被害者の胸には、あの時と同じく、剣のように鋭い鍾乳石が……。迷路のように入り組んだ鍾乳洞で、続発する殺人事件の謎を追って、金田一耕助の名推理が冴える!
  • 芙蓉屋敷の秘密
    2.6
    夜目にも鮮やかに咲きほこる白い芙蓉の花に包まれた石畳を踏みしめながら、巡査は玄関へ入った。人の気配は感じられない。暗がりの中を探りつつ、彼は問題の部屋に辿り着いた。灯りのスイッチを押すと、バラ色の光が部屋に溢れる。だが次の瞬間、彼は殴られたような驚愕に打たれた。敷きつめられた派手な模様の絨毯の上に、胸から鮮血をしたたらせた女の変死体が……。それぞれに複雑な殺害動機を持つ7人の容疑者と、素人名探偵都築欣哉の対決を描く表題作ほか7編を収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • ペルシャ猫を抱く女
    2.5
    早春の肌寒い黄昏時、五井は墓地の隅で泣いている一人の美しい娘に気がついた。不審に思った彼がその娘に近づこうとした時、突然、低い、威嚇するような男の声が聞こえてきた。木の間がくれにみえるその男は、白い袷のうえに墨染の衣をまとい、片足が不自然にまがっていた……。古ぼけた一冊の書物が秘める事件の謎とは? 横溝文学の原点をたどる初期短編集第2弾! ペルシャ猫を抱く女/詰将棋/双生児は踊る/薔薇より薊へ/百面相芸人/泣虫小僧/建築家の死/を収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • 幻の女
    -
    「人殺し!」叫び声を聞いた俊助は部屋に飛びこみ、浴室のカーテンをまくり上げた。瞬間、彼はその場に立ちすくんだ。浴槽には胸を抉られ、鮮血を滴らせる女が浮かんでいたのだ! 全米を震撼させた殺人鬼「幻の女」が日本へ上陸との知らせを受けた敏腕記者三津木俊助は、早速真相究明に乗り出した。だがその直後、彼女の仕業と思われる殺人事件に巻きこまれてしまった……。由利先生と三津木俊助の名コンビが凶悪な女殺人鬼と対決。探偵小説の醍醐味を満喫させる傑作、ほか二篇収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • まぼろしの怪人
    -
    厳重な警戒態勢を潜り抜け、高価な宝石類を略奪して日本中を荒らしまわる、まぼろしの怪人。次々と姿を変えては行方をくらまし、正体も隠れ家も謎のままだった。そしてとうとう、警視庁の敏腕警部、等々力宛の犯行予告が届く。クリスマスの夜、警察の威信を賭けた闘いに、現場にあらわれたのは……? 神出鬼没、大胆不敵な大泥棒に、探偵小僧・御子柴進が等々力警部や敏腕記者の三津木俊助らとともに挑む、傑作ジュブナイル。
  • 山名耕作の不思議な生活
    4.0
    家並みもまばらな田舎くさい町の片隅に、十度ばかり往来に傾いたみすぼらしい家がある。その家には、天井がわりに設えた奇妙な棚があった。これこそ、あの有名な奇人山名耕作の住まいである。洗いざらしの浴衣によれよれの帯を締めたその装いは、至極この部屋に調和する。だが、頭をきれいに刈り込み、顔もきれいにそり、爪にはマニキュアを施す凄じさ。その彼が恋愛をしているらしく、私は大変興味を持った……。横溝文学の原点を探る初期短編傑作選〈昭和編〉!
  • 誘蛾燈
    -
    「蛾が舞いこんできやがったぞ。誘蛾燈に誘われて」咽喉を鳴らすような声で男が呟いた。だが、男の見つめる先には誘蛾燈などない。青年は不思議に思って男に訊ねた。「向こうに見えるあの灯がそうだよ」男が顎をしゃくって見せた先の、道一つ隔てた坂上に、薔薇色の灯をともした瀟洒な建物が見える。「あの灯が薔薇色に輝く晩は気をつけなきゃいけねえ」それから男が青年に聞かせた話は、屋敷に住む美しい女主人の、世にも恐ろしい物語だった……。表題作ほか9篇を収めた傑作短編集! カバーイラスト/杉本一文
  • 幽霊鉄仮面
    3.0
    重役室にいる折井の耳には、奇妙な口笛が聞こえてきた。不思議に思い窓を開け、身を乗り出した彼はなんと胸をナイフで刺されて殺害された! 同僚を殺害された三津木俊助は怒りもあらわに復讐を誓った……。
  • 蝶々殺人事件
    3.5
    原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然、姿を消した……。数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスの中から発見された! 次々とおこる殺人事件にはどんな秘密が隠されているのだろうか。好評、金田一耕助ものに続く由利先生シリーズの第一弾! 表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」を収録。

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