堀田善衞 - 集英社文庫作品一覧

  • 広場の孤独 漢奸
    -
    【第26回芥川賞受賞作】朝鮮戦争勃発にともない雪崩のように入ってくる電文を翻訳するため、木垣はある新聞社で数日前から働いている。そこには「北朝鮮軍」を“敵”と訳して何の疑いを持たぬ者がいる一方、良心に基づき反対の側に立とうとする者もいた。ある夜、彼は旧オーストリー貴族と再会し、別れた後ポケットに大金を発見する。この金は一体何か。歴史の大きな転換期にたたずむ知識人の苦悩と決断。日本の敗戦前後の上海を描く「漢奸」併収。
  • ミシェル 城館の人 第一部 争乱の時代
    3.0
    不朽の名著「エセー」の著者モンテーニュはどのようにして自らの精神を確立していったのか。彼が生きた16世紀は後にルネサンスと呼ばれたが、この時代はまた、イデオロギー抗争が渦を巻き、暴動、虐殺、陰謀がうごめく時代でもあった。モンテーニュは、樅の巨木の生い繁る城館で、自らの思想を深めていった。長編“モンテーニュ三部作”第一部。和辻哲郎文化賞に輝く名作。
  • ラ・ロシュフーコー公爵傳説
    -
    「太陽も死もじっと見詰めることは出来ない」(『マキシム』)17世紀のモラリスト、ラ・ロシュフーコー。深く鋭いシニカルな人間洞察から生まれたその著書、『マキシム(箴言集)』は、今日まで広く読み継がれている。争乱の世紀に名門貴族として生まれ、戦闘と陰謀と恋愛に明け暮れた彼が、なぜ厭世的な思想を持つにいたったか? 波乱の生涯を、文明と歴史を軸に描く評伝小説。
  • 上海にて
    4.5
    1945年3月。東京大空襲の後、日本の敗色濃いにもかかわらず、上海に渡った青年がいた。堀田善衛、27歳。彼はこの国際都市で祖国の敗戦を経験する。国民党に徴用されて、その後1年ほどを上海で過ごした彼が見たものとは――。国民党の腐敗、勃興する共産党。迫り来る内戦、そして革命。本書は10年後に上海を再訪した著者が透徹した視座で上海と中国とを語る、紀行エッセイの歴史的名作である。
  • バルセローナにて
    4.0
    スペインを旅し、住まうこと20数年。人間がこの地にしるした歴史を冷徹に見据え、自らの魂の遍歴を語る連作小説集。幼い子供が歌う赤旗の歌、ムッソリーニの失業対策によりフランコ側で闘った老人の話等、今なお残るスペイン内戦の影を見つめた『バルセローナにて』。アラゴン、カスティーリア両王国の王位継承者、狂女王と呼ばれたフアナの数奇な運命を辿る『グラナダにて』他一編。
  • キューバ紀行
    4.7
    「祖国か、死か、われらは勝つ」至るところで見受けられるこの標語には、キューバ革命の切実さがこめられていた。独特の人種構造と砂糖生産に限定された経済構造。それがつくりだしたキューバの人々の気質。政治的にも経済的にも大国の影響下にあった国家の、宿命からの脱出の歴史に、20世紀後半の最大の特徴を見る。国家と国家の支配関係における本質的な問題を見据えた紀行文学の最高峰。
  • 若き日の詩人たちの肖像 上
    -
    1~2巻605~715円 (税込)
    北陸の没落した旧家から骨董を学費がわりに持って上京した少年は、その夜雪の東京の街に響く銃声、血ぬられた2・26事件に遭う。暗い夜の時代をむかえる昭和初年に目覚めた青春の詩情と若者の群像を描く長篇(第一部・第二部)。
  • ゴヤ I スペイン・光と影
    3.9
    『巨人』『裸のマハ』等で知られる画家フランシスコ・デ・ゴヤ。1746年、荒涼としたスペイン北東部に生まれ、17歳でマドリードへ。下絵描きを経て、宮廷画家の地位を得るが……。大病や相次ぐ子供の死と、苦難に満ちたゴヤの82年の生涯を、数々の絵画・版画作品と共にたどる。著者の並々ならぬ情熱と、徹底した踏査に基づく長編評伝。第1巻では、ゴヤ40歳までを描く。大佛次郎賞・ロータス賞受賞の傑作。

最近チェックした本