人物評伝 - 彩流社作品一覧

  • アンドレ・ジッドとキリスト教
    -
    本書は、1890年代から1930年代までのジッドにおける「悪(le mal)」をめぐる 思想的展開を、「病(le mal, la maladie)」と「悪魔(le diable, le démon, le Satan, le Malin)」という二つの軸となる観念の検討を通じて明らかに しようとしたものである。ジッドの著作を読み解くと、彼が「病」と徹底的に 向き合わねばならなかったからこそ、「悪魔」をめぐる関心や思索の展開が 開かれた様子が浮かび上がる。「病」も「悪魔」も、彼の実存のみならず、 文学創作においても避けては通れない課題であった。これら「悪」との対峙を 通じて形成されたジッドの思想的独自性を浮かび上がらせることが狙いである。 「悪」をめぐってジッドが示した思索が、彼個人またキリスト教社会に留まらない 普遍的射程を有していたことを最終的に結論づける論考である。
  • カマラ・ハリスの流儀
    -
    次期アメリカ大統領に一番近い女性! カリフォルニア州の地方検事から州司法長官、そして連邦上院議員となり、大統領選に出馬。途中撤退するも副大統領候補としてジョー・バイデンと共にトランプを破る。 アジア系移民の子であり、ガラスの天井を破った「政治家」としての足跡! 自伝「私たちの真実アメリカン・ジャーニー」(光文社、2021年6月刊)では触れられていなかった「暗部」にも迫る、読み応えある評伝。
  • 斎藤茂吉の人間誌
    -
    「性」と「生」への強固な執着 人間探究者・茂吉の真相! 斎藤茂吉は高名な歌人で文化勲章受章者であり、青山脳病院の院長として、 その重責を全うした精神科医だった。茂吉が精神医学を学ぶようになったのは、 自らの志望というよりも、養父・斎藤紀一(茂吉は山形の守谷家の生まれ)との 関係での宿縁と言わざるをえない。 茂吉は宿縁に逆らうことなく、当時は「感謝せられざる医者」と呼ばれた精神科医 として、世間から否定的な眼差しを向けられていた病者に寄り添い、 近代国家による衛生国家が推進され、病者への差別や排除があった時代に、 病者の「負のエネルギー」を自ら吸収すべく、責務を誠実に果たした。 また、自身の歌業を「業余のすさび」と称しながらも歌人として認められるに従って、 文学者で医者の先駆者として陸軍統監医になった森鷗外は大きな存在であり、 その影響を受けたのであった。本書では、茂吉の病者への眼差しのみならず、欲望に溢れた「人間」茂吉に焦点を当て、彼の病気観の底流にある死生観を深く考察する。 [目次] 第1章 茂吉の性の諸相 第2章 茂吉のユーモア 第3章 茂吉と手帳  第4章 精神病医茂吉と精神科医北杜夫 第5章 茂吉の戦争詠 第6章 茂吉の晩年 第7章 茂吉の仏教観 第8章 茂吉と浅草寺
  • 社会福祉の先駆者 安達憲忠
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 慈善事業と救民事業を合体させた東京市養育院の幹事として社会福祉の黎明期を支えた安達憲忠の足跡。岡山県の自由民権運動の挫折から社会福祉の道に進んだ憲忠に大きな影響を与えた渋沢栄一をはじめとする多彩な人物交流の全貌。

    試し読み

    フォロー
  • 新十和田湖物語 神秘の湖に憑かれた人びと
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 本書は、風光明媚な神秘の湖に魅かれた大町桂月、大塚甲山をはじめ高村光太郎、石川啄木にいたるまで十余人の文人・墨客の湖とのかかわりを中心に、十和田湖がどのように愛され、世に紹介されたかを中心に人物評伝としてまとめた好著。

    試し読み

    フォロー
  • 『天の夕顔』のかげで 不二樹浩三郎 愛の一生
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 戦中・戦後のベストセラー『天の夕顔』のモデル、不二樹浩三郎と作者、中河与一の確執…。資産家の子として何不自由ない生活に入り込んだ愛と葛藤の世界とは。自らの半生を語って戦地に赴いた不二樹の心情と足跡を辿る異色の評伝。

    試し読み

    フォロー
  • 緋衣の女王
    -
    強さが私を惹き付ける! メアリ・ステュアートは生後6日でスコットランドの女王となった。のちに仏王太子と結婚するため5歳で渡仏。仏王宮は文藝復興の香りに満ちてあふれていた。アンリ2世が崩御すると王太子はフランシス2世となり、メアリはスコットランド女王でかつ仏王妃となる。18歳で統治者としてスコットランドに戻ったがカトリックのメアリはプロテスタントの国との分裂に苦悩する。貴族や地主は部族間闘争に明け暮れ、富と権力を増大させていた。美しく情熱的でカリスマ性のあるメアリは国民から慕われ敬意を持たれた女王であった。女王として精一杯統治に務めたつもりであったが、次第に国民からそっぽを向かれるようになってしまう。英国史上最も悲劇的な女王といわれたメアリ。美貌とともに強い意志と信念を持ち、何事も全身全霊で事に当たったメアリ。心の花であったアザミもマリゴールドも「運命」の嵐にもぎ取られそうになりながらも、存在の全てをかけて、与えられた命を全うしようとした。鉄の意志を持ったメアリと「運命」との壮絶な闘いそのものである。最期は断頭台に露と消えた。人びとの心のなかで2つの花を咲かせ続けたいと思うのは、メアリの祈りだったのかもしれない。エリザベスの死でテューダー朝は終焉。その後スチュアート朝は約111年続いていった。本書は、英国在住の著者によるメアリ・ステュアートの史的評伝である。 【目次】 第1章 零歳の女王 第2章 フランスへ 第3章 フランス宮廷の華 第4章 祖国への帰還 第5章 激情の支配 第6章 腹心の秘書 第7章 逃避行 第8章 自堕落な王 第9章 黒い宿命 第10章 消えた決闘 第11章 王冠喪失 第12章 イング ランドへ 第13章 陰湿な幽閉 第14章 小宮廷 第15章 魂の大聖堂を建てる  第16章 女王救出作戦 第17章 祈る人
  • 三島由紀夫外伝
    -
    その、あまりにもスキャンダラスな半生! 11 月25 日の「憂国忌」にあわせて発売!!! 《瑤子夫人とUFOを目撃》 《三億円事件の犯人は三島由紀夫だ!》 《三島の霊と話をしていた川端康成》 にわかには信じられないような話であるが、いずれも〝ガセネタ〟ではなく、 〝トンデモ話〟でもない。 没後四十余年、未だに多くの謎を秘めた〝三島由紀夫〟という存在――。 そのスキャンダラスな半生を、本書ではあらゆる角度から拾い集め、 その裏に見え隠れする三島像を概観する!
  • フレデリック・ショパン
    -
    ショパンの芸術と生涯を描いた傑作! 世界中の誰もが知る超一流音楽家フレデリック・ショパンの生涯を、その友人にして大音楽家であるフランツ・リストが敬愛をもって書きのこした伝説的名著。72 年ぶりの新訳。 リスト自筆の雑誌連載記事の付録つき! 本書は「ピアノの詩人」と評されたショパンの生涯について、彼と生前に切磋琢磨して「ピアノの魔術師」と呼ばれたフランツ・リスト自ら書き下ろした、重要な歴史的資料であり、邦訳版にはリスト自身が音楽家の地位などについて語った記事、関連図版を独自に追加!
  • ボストン美術館 富田幸次郎の五〇年
    -
    なぜボストン美術館はアジア美術の宝庫なのか! そのキーマン富田幸次郎の全貌! 富田幸次郎(1890~1976)は東洋美術コレクションで名高い、 米国ボストン美術館のアジア部長を戦前、戦中、戦後の32年間 (1931~1963)勤めた人物である。 「岡倉覚三(天心1863~1913)最後の弟子」と伝えられながらも、 日本では、その経歴や業績はあまり知られていない謎の人物でもある。 本書は、富田幸次郎の生い立ち、アメリカに渡った経緯、アメリカで どんな人々に出会い、どのような活動をしたのかを探りながら人物像に迫り、 また、彼のアメリカにおける活動を解明することによって、20世紀前半の 日米間の緊張が高まるなかにあって、「ボストン日本古美術展覧会」という 一大イベントを成功させ、欧米人の日本文化への関心を多いに高めるとともに、 その後の日米文化交流の道を切り拓いた知らざる歩みを明らかにするものである。 目次内容 はじめに  第一部 ボストン美術館アジア部キュレーターへの道のり 第一章 父親、蒔絵師富田幸七──漆の近代を見つめて(1854~1910) 第二章 幸次郎の生い立ちと米国留学(1890~1907) 第三章 ボストン美術館──めぐり合う人々(1908~1915) 第四章 目覚め──美術史家として(1916~1930)      ──アーサー・ウエーリと司馬江漢の落款をめぐる論争考  第二部 富田幸次郎の文化交流──日米戦争のはざまを米国で生きる 第五章 祖国に国賊と呼ばれて(1931~1935)      ──『吉備大臣入唐絵詞』の購入 第六章 1936年「ボストン日本古美術展覧会」の試み(1936~1940)      ──戦間期における日米文化交流の一事例として 終 章 太平洋戦争とその後(194 ~1976) 富田孝次郎年譜

最近チェックした本