SF・ファンタジー - 創元推理文庫作品一覧

  • 竜の医師団1
    4.1
    この世は竜の創りしもの。竜のあるところに豊穣あり。だが竜が病む時、彼らは破壊をもたらす。〈竜ノ医師団〉とは竜の病を退ける者。極北の国カランバス。虐げられし民ヤポネ人の少年リョウは、憲兵から逃れ必死で飛空船の発着場を目指していた。〈竜ノ医師団〉は治外法権、飛空船で辿り着き入団できれば、ヤポネ人でも道が開ける。発着場に向かう途中リョウは、上流階級のお坊ちゃんレオニートに出会う。彼も医師団に入団したいというのだ。二人は協力して船に乗りこむが……。『水使いの森』で第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の著者が贈る、竜の医師を目指す少年たちの物語。/【目次】プロローグ/カルテ1 咽喉(のど)の痛みと、竜の爆炎/カルテ2 全身の痒(かゆ)みと、竜の爪/カルテ3 もの忘れ、ふらつき、そして竜巻(たつまき)/解説=小出和代
  • ダムゼル 運命を拓きし者
    -
    イノフェ公国は貧しかった。干魃で農耕ができず、経済は物々交換に依存する始末。そんな公国のプリンセス、エロディに、豊かな島国オーリア国の王子から結婚の申しこみがあった。エロディが嫁いでくれば、公国を援助してくれるというのだ。豪華な婚礼衣装、贅を尽くした料理、オーリア国は母国とは天と地ほども異なっていた。おまけに夫となる王子はうっとりするほど素敵なのだ。だがエロディはどこか違和感を覚えていた。そして結婚式の夜……。貧乏国のプリンセスが機知と勇気で運命を切り拓く、Netflix映画原作の異世界ファンタジイ登場!
  • 水使いの森
    4.0
    水使い、それはこの世の全ての力を統べる者――。水荒れ狂う森深くに棲む伝説の水蜘蛛族の女であるタータとラセルタは、砂漠で一人の愛らしい少女を拾う。少女は外見に似合わぬ居丈高な態度で、水を操る力を持っていた。それもそのはず、彼女は砂漠の統治者イシヌ王家に生まれた双子の片割れ、ミイア王女だった。跡継ぎである妹を差し置き、水の力を示したミイアは、自分が国の乱れの元になることを恐れ、独り城を出たのだ。そんな彼女に、水の覇権を狙う者たちが迫り……。第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞、驚異の異世界ファンタジイ。/第4回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 魔術師ペンリック
    4.2
    ペンリック・キン・ジュラルド19歳、兄が決めた婚約式のために町へ行く途中、病で倒れている老女の最期を看取ったのが、すべての始まりだった。亡くなった神殿魔術師の老女に宿っていた庶子神の魔が、あろうことかペンリックに飛び移ってしまったのだ。おかげで婚約は破棄され、ペンリックは10人の人間とライオンと馬を経てきた年古りた魔を自分の内に棲まわせる羽目に。魔はすべて庶子神に属する。魔を受け継いだペンリックは魔を制御すべく訓練をはじめるが……。中編3編を収録、ヒューゴー賞など5賞受賞の〈五神教シリーズ〉登場。
  • セーラー衿に瑠璃紺の風
    3.8
    わたしは花見堂小春、日本で(多分)唯一の魔女養成学校である横濱女子仏語塾の三年生。ある日聴講生の男子・千秋くんが、エル・ドラドオのものだという黄金の留め針を持ってきた。由来を探ろうと水晶玉をのぞいたら、そこに見えたのは密林にそびえるピラミッドと巨大なティグレの頭像、真っ黒な百合に黄金の青年像だった。さらにもう一度水晶玉をのぞいたとき、事態は大きく動きだし……。黄金郷に隠された秘密とは? 千秋くんの中にいるティグレの正体は? 大正時代の横濱(と黄金郷)を舞台に魔女の卵たちが大活躍の三部作、ここに完結!
  • イスランの白琥珀
    4.3
    「この子は稀なる闇の種を抱いている。偉大な魔道師になろう」〈星読み〉テイバドールと共にイスリル帝国の礎を築いた国母イスランにその才を見いだされた大魔道師ヴュルナイ。いまわの際のイスランに国の行く末を託されたものの、その後の後継者争いで裏切りにあい、輝かしい名声も地に堕ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが……。謎に包まれた魔道帝国イスリルの歴史が、ついに明らかになる。
  • 神々の宴 オーリエラントの魔道師たち
    3.8
    本の魔道師ケルシュが町で拾った少年は狐に似た獣を連れていた――「ジャッカル」、瀕死の者を助ける生命の魔道師が向き合うことになった過去の亡霊とは――「ただ一滴の鮮緑」など、全5編の短編を収録。自らのうちに闇を抱え、人々の欲望の澱を引き受け、黒い運命を呼吸する魔道師たち。ときに迫害を受け、ときに体制に反抗する人々に手を貸し、栄光に包まれることもなく、賞賛を浴びることもない、そんな市井に生きる魔道師たちの姿を描く短編集。巻末にこれまではっきりとは描かれてこなかった、オーリエラントの神々についての資料を付す。/【目次】セリアス/運命女神(リトン)の指/ジャッカル/ただ一滴の鮮緑/神々の宴/あとがき――神々の存在
  • 青炎の剣士 紐結びの魔道師3
    4.3
    束の間の平穏は春の訪れとともに去り、エンス一行が居を定めたオルン村に、元コンスル帝国軍人ライディネス率いる軍がおしよせてきた。エンスとトゥーラは、エンスを追ってきた邪悪な化物に立ち向かうべく〈死者の谷〉に降り、戦線を離脱。エミラーダはある目的を胸に、リコを伴いライディネス軍に寝返る。だが、事態はエミラーダの思惑を超えてとんでもない方向に動きだしていた。この世に戻ってきたエンスは事態を収拾し、トゥーラの念願どおり、魔女国千五百年の呪いを解くことができるのか。招福の魔道師エンスが活躍する三部作、ここに完結。
  • ぬばたまおろち、しらたまおろち
    4.5
    両親を失い、田舎にある伯父の家に引き取られた綾乃には秘密の親友がいた。幼いころ洞穴で見つけた小さな白蛇アロウ。アロウはみるみる成長し、今では立派な大蛇だ。十四の夏、綾乃は村祭の舞い手に選ばれた。だが、祭の当日、サーカスから逃げ出したアナコンダが現れ村は大混乱に。そんななか、綾乃は謎の男に襲われるが、そこに疾風のように箒で現れ、間一髪彼女を救ったのは、村に滞在していた民俗学者の大原先生だった。綾乃はそのまま先生の母校ディアーヌ学院に連れていかれ、そこで学ぶことになるが、そこはとても変わった学校で……。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。/第2回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 銀河英雄伝説列伝1
    4.1
    遠未来の宇宙。始祖ゴールデンバウムによる王朝樹立以降、専制君主と門閥貴族が支配する銀河帝国と、その独裁に抵抗する人々が作り上げた民主主義国家・自由惑星同盟(フリー・プラネッツ)、帝国領でありながら陰で権力を操ろうと画策するフェザーン自治領(ラント)──三つの勢力によって構成された銀河の盤面で繰り広げられる英雄たちの闘争と栄光を描いた宇宙叙事詩は、刊行から現在に至るまで日本SFの金字塔として永らく読者を魅了し続けている。『銀河英雄伝説』を愛してやまぬ作家たちが捧げる6編を収録する公式トリビュート集。/【収録作】序文=田中芳樹/「竜神滝(ドラツハ・ヴアツサーフエル)の皇帝陛下」小川一水/「士官学校生の恋」石持浅海/「ティエリー・ボナール最後の戦い」小前亮/「レナーテは語る」太田忠司/「星たちの舞台」高島雄哉/「晴れあがる銀河」藤井太洋/著者のことば
  • 熊と小夜鳴鳥
    4.2
    ルーシ北部の領主の娘ワーシャは、変わった少女だった。人には見えない精霊を見る力をもっていたのだ。だが母が亡くなり、新しい母アンナがやってきたことで、彼女の運命は一変した。アンナは熱心なキリスト教徒で、精霊を悪魔と呼び、怯え嫌ったのだ。さらに都から派遣された司祭が村人の精霊信仰を禁じたため、本来人々を悪しきものから守っていた精霊たちの力が弱くなってしまった。ある冬、村を極寒と夜の化け物が襲った。ワーシャは精霊を助け、化け物と戦うが……。心のままに自由に生きようとする少女ワーシャの闘いを描く、三部作開幕。
  • 白銀の巫女 紐結びの魔道師2
    3.7
    悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた過去の化物と、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍の両方に追いつめられた紐結びの魔道師リクエンシスたち一行は、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れる。村で冬を越すことになったエンス、星読みのトゥーラ、もと拝月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコに、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、トゥーラがさがし求める、1500年前にかけられたオルン魔国の魔女の呪いを解く方法を調べる。だがそこで浮かんだのは、オルン魔国最後の女王の血塗られた真の姿だった。〈紐結びの魔道師〉3部作第2弾。/解説=三辺律子
  • 赤銅の魔女 紐結びの魔道師1
    4.1
    凋落久しいコンスル大帝国の領地ローランディアで暮らしていた魔道師リクエンシスの平穏を破ったのは、隣国イスリル軍の襲来だった。イスリル軍の先発隊といえば、黒衣の魔道師軍団。下手に逆らわぬほうがいいと、リクエンシスは相棒のリコらと共に、慣れ親しんだ湖館を捨てて逃げだした。ほとぼりが冷めるまで、どこかに身を寄せていればいい。だが悪意に満ちたイスリル軍の魔道師が、館の裏手に眠る邪悪な魂を呼び覚ましてしまう……。招福の魔道師リクエンシスが自らの内なる闇と対決する、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ初の三部作開幕。
  • 月蝕の夜の子守歌
    3.8
    わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の三年生。うちの学校はフランス風の魔女養成学校で、生徒の半分は妖魅、つまり妖怪なの。わたしは抜け首、仲良しの宮さんは女郎蜘蛛よ。今夜は寮で月蝕の観察会なんだけど、もう一人の仲良し、幽谷響の透子さんがまだ来ない。宮さんと二人で捜しにいったら、山下町にいた透子さん、迷子の女の子を連れていた。その子は一見普通の女の子なんだけど……。折も折、横濱では分限者の子どもを狙った連続誘拐事件が発生。次に狙われるのは我が校の聴講生千秋くん? 大正期の横濱を舞台にした好評シリーズ第2弾。
  • シトロン坂を登ったら
    3.8
    わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の3年生。うちの学校はちょっと変わっていて、実は魔女学校なの。創立者のマダム・デルジュモンが魔女で、おかげでわたしたち女学生はマダムの母国語フランス語だけでなく、薬草学や占い、ダンス(箒で空を飛ぶことを、そう呼ぶ)も学んでいる。本当はもうひとつ大きな秘密があるんだけど、それはおいおい話すとして。そんなわたしのもとに、新聞記者の甥っ子が奇妙な噂話を持ち込んできた。横濱に巨大な化け猫が出没しているんですって。しかも学校の近くに……。大正時代を舞台にした魔女学校3部作開幕!
  • 妖たちの四季
    4.3
    太鼓長屋に住む弥助のもとには、今日も妖怪たちがやってきて大賑わい。妖怪に季節外れの花見に誘われた弥助と千弥だが、ふたりのあとをこっそりつけていた久蔵までもが紛れ込んでしまい……。(「春の巻」) 心配性の叔父、月夜公に屋敷に閉じ込められてしまった津弓。ふてくされた甥をなぐさめようと月夜公は弥助をさらってくるが……。(「夏の巻」) 小妖怪の身でなぜ玉雪は立派な栗林をもっているのか?(「秋の巻」) 千弥と月夜公の過去の物語。(「冬の巻」) 妖怪の子預かり屋の弥助と妖怪たちの心温まる四季の交流を描く、人気シリーズ第3弾。
  • うそつきの娘
    3.8
    うぶめに気に入られ、正式に妖怪の子預かり屋となった弥助。妖怪除けの札に悩まされるあかなめの親子や、母を捜す健気な子猫の妖怪りん、千弥を婿にと望む華蛇族のわがままな姫君初音など……。養い親である千弥の助けも借り、弥助は次々とやってくる妖怪達の問題を解決していく。そんなとき、妖怪の子供達が行方不明になるという事件が発生。仲良しの梅の子妖怪梅吉に頼まれ、行方不明の友達を捜しに浅草に行った弥助は、そこで一人の娘に出会った……。妖怪達と少年の交流を描いた、ちょっと怖くて心温まる、お江戸妖怪ファンタジー第2弾。
  • 猫の姫、狩りをする
    4.2
    我ら猫のあやかしの、人のそばにいたがるものの多いことよ。人とはそれほどに良いものであろうか。ならば試してみようではないか。そう言って王蜜の君がやってきたのは、なんと太鼓長屋の弥助のところ。気まぐれな妖猫族の姫の居候に、弥助べったりの千弥がいい顔をするはずはなく、小妖の玉雪に至っては、弥助の家に近づけなくなる始末。そんななか、弥助の周辺で猫絡みの事件が頻発、おまけに子猫を狙う不気味な女が出現するに至って、猫の守り手たる王蜜の君は放っておけず、事件の裏を探り始める。猫だらけのお江戸妖怪ファンタジー第6弾。
  • 妖怪の子預かります
    3.9
    弥助は十二歳。養い親である按摩、千弥と共におんぼろ長屋暮らしをしている。貧乏ながらも平和な毎日を過ごしていたが、ある夜、いきなり恐ろしげな烏天狗にさらわれ、妖怪奉行所に連れていかれる。悪夢を見た弥助が鬱憤晴らしに割ってしまった石が、子預かり妖怪うぶめの住まいだったというのだ。妖怪の御奉行に、「罰として、新たな住まいが見つかり、うぶめが戻るまで、うぬが妖怪子預かり屋になれ」と命ぜられる弥助。それからというもの、次々と家にやってくる子妖怪達に振り回される日々が始まるが……。心あたたまるお江戸妖怪ファンタジー。
  • 妖怪奉行所の多忙な毎日
    4.1
    妖怪奉行所は、日夜様々な妖怪がやってきては、助けを求める場所。烏天狗一族が与力、同心から牢番までを代々務めている。飛黒はそんな烏天狗の筆頭であり、奉行の月夜公の右腕だ。ある日飛黒が双子の息子右京と左京を奉行所に連れてきた。双子も将来は奉行所でお役目につく身、今のうちに見学させておこうというわけだ。夫婦喧嘩の仲裁、淵の主の脱皮の手助けと、今日もてんてこ舞いの烏天狗達。だが、その陰で双子だけでなく、月夜公の甥の津弓、妖怪の子預かり屋の弥助まで巻き込む、とんでもない事件が進行していた。大人気シリーズ第7弾。
  • 半妖の子
    3.9
    しとしとと雨降る梅雨の夜、太鼓長屋で養い親の千弥と暮らす弥助のもとに、一人の客が訪ねてきた。化けいたちの宗鉄と名乗る男は、妖怪の子預かり屋の弥助に、八歳になる娘を預けたいという。山奥で、他人と接することなく暮らしていたのだが、母親が亡くなり男手ひとつではどうにもならなくなったのだ。女の子の名はみお。母親が亡くなる少し前から、父に対して心を閉ざしていた。白いお面をつけ、ひたすら周囲を拒絶するみお。だが、弥助のもとに預けられる子妖怪達と接するうちに、みおに変化が……。大人気のお江戸妖怪ファンタジー第4弾。
  • 妖怪姫、婿をとる
    4.1
    「許嫁がさらわれた! 取り返すから手を貸してくれ」飛びこんできた久蔵の絶叫に、弥助は仰天した。人さらいなら、十手持ちにでも訴えるのが筋ではないか。だが、聞けば許嫁は妖怪、しかもいいところのおじょうさんだと言う。え? 許嫁が妖怪? 驚きのあまり言葉を失う弥助だったが、真剣な面持ちで頼みこむ久蔵に、千弥は厄介事が大好物の大妖である妖猫族の姫、王蜜の君を紹介する。王蜜の君の手引きで許嫁の初音がさらわれたと思しき、華蛇族の屋敷に忍びこんだ久蔵だったが……。遊び人久蔵に降りかかる試練を描く、人気シリーズ第5弾!
  • 赤い靴の誘惑
    4.4
    ケイティ・チャンドラー26歳。ニューヨークに出てきて1年余り。やっと自分の能力をいかせる職場と巡り合い、どうやら彼氏のいない生活からも卒業の気配。一見順風満帆のようだが、やはり人生そううまくはいかないもの。スパイ事件が発生し、社内の雰囲気は最悪に。魔法に免疫のあるケイティがスパイ事件の調査を任され、ただでさえ目が回るほどの忙しさのなか、なんとテキサスからパパとママがやってくるという。つき合いはじめたばかりの、会社の顧問弁護士で免疫者(イミユーン)仲間イーサンの協力で、なんとか無事乗りきれると思った矢先、ママが変なものが見えると言い出した。危うし、ケイティ! 好評〈(株)魔法製作所〉第2弾。
  • 赤ずきんの森の少女たち
    4.3
    神戸に住むかりんはお菓子作りが得意な高校生。祖母の遺品の中にあったドイツ語の本を従兄の慧に訳してもらい、一緒に読んでいくことにする。そこに書かれていたのは、19世紀末の寄宿学校を舞台にした少女たちの物語だった。赤ずきん伝説の残るドレスデン郊外の森、学校で囁かれる幽霊狼の噂。校内に隠された予言の書と宝物の言い伝え。読み進むうちに、二人は物語と現実を結ぶ奇妙な糸に気づく。そして浮かんできたひそかな悪意……。『ぬばたまおろち、しらたまおろち』の著者がグリム童話をもとに描いた神戸とドイツの不思議な絆の物語。
  • 妖たちの祝いの品は
    4.3
    危ういところを助かったものの、なかなか体力が戻らない弥助を心配した兎の妖怪、玉雪は、弥助に食べさせる雪を探すうちに、鈴白山に棲む冬のあやかし、細雪丸に出会う。そこで玉雪が聞いた子守唄は……「玉雪の子守唄」。鈴白山をさまよう幼い姉妹の死霊が子供を守る妖怪、うぶめに出会う「うぶめの夜」。久蔵の女房、初音姫の出産を前に、心づくしの祝いの品を贈ろうと奔走するあやかしたち。萩乃が、津弓が、右京と左京が、王蜜の君が、そして弥助が考えに考えた末に選んだ贈り物は……「祝いの品」。全6編を収録した大人気シリーズ第9弾。
  • 妖たちの気ままな日常
    4.0
    江戸の片隅で養い子の千吉と暮らす青年弥助は、実は妖怪の子預かり屋。夜な夜な妖怪達が子供を預けにくるのだった。そんな弥助の家の外にそっとたたずむひとりの妖怪、人恋しそうな彼女を弥助は家に招き入れるが……「軒先にたたずむもの」、石地蔵そっくりの妖怪が子供を預けにきた。だが三人の兄弟は仲が悪く喧嘩ばかり……「仲の悪い三兄弟」、へちまそっくりの貸し道具屋の若旦那が拾った手鏡、そこには……「迷子のへちま」等、妖怪達のにぎやかで不思議な日常を描いた短編9編を収録。可愛くてちょっぴり怖いお江戸妖怪シリーズ第3弾。/【目次】プロローグ/軒先にたたずむもの/仲の悪い三兄弟/迷子のへちま/蛍狩り/秘密の茶飲み仲間/蛙達の家探し/冬の訪れ/年末の餅つき/鼓丸(つづみまる)の毛/あとがき
  • アーサー王ここに眠る
    4.7
    ブリテン島、紀元五百年頃。ひとりの司令官に率いられた、荒々しい騎馬の男たちの集団が農場を襲い火を放った。燃えさかる屋敷から、命からがら逃れたみなしごの少女グウィナは、奇妙な風体の男に救われる。鷹のような風貌の男の名はミルディン。ブリテン島の統一を目指す司令官、アーサーに仕える吟遊詩人だった。言葉を巧みに操り、人々の心を手玉に取る不思議な男。グウィナはミルディンのもとで、彼の企みに手をかすことになる。カーネギー賞受賞。『移動都市』の著者がアーサー王伝説を新たな視点から語り直した傑作ファンタジイ。
  • 石と星の夜
    4.5
    ギルデアの使節が暗殺されたことで、ギルデアとアトーリスの和平交渉は決裂。アトーリス王室の諜報員ステランは、仲間内に敵に通じている裏切り者がいるとの情報を得て、懸命に捜査を行う。一方、戦火を逃れて最果ての地フォーディル村に身を寄せていたリーヴたちは悲しみに包まれていた。故郷テス王国を守るべく戦っていた父が戦死したのだ。迫りくるギルデアの脅威に、立ち向かう連合国。フィーンの預言者が謳った英雄はどこにいるのか? アトーリス王国が極秘裏に開発を進める恐るべき兵器の正体は? 風雲急を告げる、好評シリーズ第2弾。
  • 飢え渇く神の地
    3.3
    死の神ダリヤが支配する西の砂漠。遺跡の地図を作ることを生業とする青年カダムは、探索を終えて落胆しながら帰宅した。十年前、遺跡の調査に行くと言い残したまま、西の砂漠に消えた家族の行方を探し続けているのだ。もう見つからないのかもしれない。そんなある日、レオンという若い宝石商が、カダムを道案内に雇いたいと言ってきた。どうやら治安警護隊に追われているらしい。カダムは渋々引き受けるが、彼らが砂漠の奥深くに迫ったとき、そこに眠る恐るべき秘密が目を覚ます……。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞の著者が贈る意欲作!/解説=乾石智子
  • 失われたものたちの本
    4.2
    第二次世界大戦下のイギリス。本を愛する12歳のデイヴィッドは、母親を病気で亡くしてしまう。孤独に苛まれた彼はいつしか本の囁きを聞くようになったり、不思議な王国の幻を見たりしはじめる。ある日、死んだはずの母の声に導かれて、その王国に迷い込んでしまう。狼に恋した赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……。そこはおとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な物語の世界だった。デイヴィッドは元の世界に戻るため、『失われたものたちの本』を探す旅に出るが……。本にまつわる異世界冒険譚!/【収録作】失われたものたちの本/シンデレラ(Aバージョン)
  • 黄金の狩人1
    4.0
    六公国を危機に陥れた外島人の“赤い船団”が撃退されて十五年。王ヴェリティが去ったあと、王妃が一粒種の王子を守り育てながら、なんとか平穏に国を治めてきた。一方、ヴェリティの兄であった第一王子の庶子フィッツ、暗殺者の弟子で、今やファーシーア一族の〈技〉を継承する唯一の生き残りとなった彼は、絆を結んだ狼と、訳あって育てている孤児の少年とともに、隠遁生活を送っていた。だが、かつての師シェイドの突然の来訪が、彼を再び運命の渦に投げこむことに……。圧倒的なスケールの異世界ファンタジー〈ファーシーアの一族〉続編、壮大な三部作、堂々開幕。
  • おせっかいなゴッドマザー
    4.2
    あこがれの彼と晴れて両思いになったケイティ。ところがはじめてのデートの朝、待ち合わせ場所に現れたのはおせじにも有能そうには見えないフェアリーゴッドマザー。よりによって生涯でいちばん必要のないときに「本物の恋を見つける手助けをする」とは。なんとかお引き取り願ったものの、肝心のデートは緊急事態発生でお流れ。前途多難だ。一方、魔法の悪用を企む一味が派手な広告戦略に打って出たため、対策を講じることになった(株)MSI。ケイティはまたしても危険な任務につくはめに。だが、それがふたりの仲に早くも亀裂を生じさせることになろうとは……。おしゃれでロマンチックなファンタジー。好評シリーズ第三弾。/解説=妹尾ゆふ子
  • 穏やかな死者たち シャーリイ・ジャクスン・トリビュート
    -
    『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』『処刑人』「くじ」など数々の名作を遺した鬼才シャーリイ・ジャクスン。日常に潜む不安と恐怖、目には見えない邪悪な超自然的存在との出会いや家族間の複雑な関係、人間心理の奥底に流れる悪意を鮮やかな筆致でえぐりだした彼女に敬意を表し、ケリー・リンク、ジョイス・キャロル・オーツ、ジェフリー・フォード、エリザベス・ハンドら当代の錚々たる幻想文学の名手たちが書き下ろした傑作18編を収録する、珠玉のトリビュート・アンソロジー。シャーリイ・ジャクスン賞特別賞、ブラム・ストーカー賞受賞作。/【目次】序文=エレン・ダトロウ/弔いの鳥=M・リッカート/所有者直販物件=エリザベス・ハンド/深い森の中で――そこでは光が違う=ショーニン・マグワイア/百マイルと一マイル=カルメン・マリア・マチャード/穏やかな死者たち=カッサンドラ・コー/生き物のようなもの=ジョン・ランガン/冥銭=カレン・ヒューラー/鬼女=ベンジャミン・パーシィ/ご自由にお持ちください=ジョイス・キャロル・オーツ/パリへの旅=リチャード・キャドリー/パーティー=ポール・トレンブレイ/精錬所への道=スティーヴン・グレアム・ジョーンズ/柵の出入り口=ジェフリー・フォード/苦悩の梨=ジェマ・ファイルズ/晩餐=ジョシュ・マラーマン/遅かれ早かれあなたの奥さんは……=ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン/抜き足差し足=レアード・バロン/スキンダーのヴェール=ケリー・リンク/謝辞/解説=深緑野分/編者紹介/訳者紹介
  • 落ちこぼれネクロマンサーと黒魔術の館
    -
    落ちこぼれネクロマンサーのワードと死から蘇った美女シーリアは、彼女の父親、闇社会のプリンス殺しの濡れ衣を着せられてしまう。暗殺者に追われ這々の体で飛びこんだ先が邪悪な黒魔術師マセリオの屋敷。どうやらワードはマセリオの弟子候補と間違えられているらしい。となればさっさと逃げたほうが身のためだ。なのにいきなり現れた旧知の猟官には盗みを命じられ、召使の娘には助けを求められ、どんどん深みにはまっていくワード。気が弱いくせに正義感が強く頑固なワードにシーリアは苛立ちを隠せない。闇と魔法の異世界ファンタジー第2弾。
  • オーリエラントの魔道師たち
    4.3
    人はいかにして魔道師になるのか……。注文を受けて粘土をこね、ろくろを回して魔法を込めた焼き物に焼く。はたして魔道師は職人か否か……「陶工魔道師」、女たちの密かな魔法組織を描く「闇を抱く」、死体を用いる姿なきプアダンの魔道師の復讐譚「黒蓮華」、そして魔道ならざる魔道を操る者、もう一人の〈夜の写本師〉の物語「魔道写本師」。異なる四つの魔法を操る魔道師たちの物語四篇を収録。『夜の写本師』で一躍脚光を浴び、日本ファンタジーの歴史を塗り替え続ける著者の人気シリーズ〈オーリエラントの魔道師たち〉初の短篇集。/解説=三村美衣
  • カエルの魔法をとく方法
    4.3
    愛しのオーウェンと晴れて婚約したケイティ。結婚式の準備に心弾む毎日だ。そんな折、魔法界のマフィアのような謎の組織、コレジウムのメンバーが接触してくる。コレジウムは以前からMSIの乗っ取りを企てていたが、マーリンがMSIのトップに返り咲いたことで、目論見を挫かれたらしい。だがコレジウムの息のかかった社員は、いまだMSI内部に多数いるはず。マーリンは一計を案じ、逆にスパイを送り込むことに。となれば適任なのはケイティしかいない。結婚式目前で潜入捜査? どうなるケイティ。お待たせしました、大人気シリーズ第8弾。/解説=池澤春菜
  • 影王の都
    3.2
    【第1回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞作】村はずれに一人住む少女リアノ。両親が相次いで亡くなり、兄も夢を追って家を出ていってしまった。そんな孤独な彼女のもとにある日やってきたのは、口をきく髑髏。図々しいことに髑髏はリアノに砂漠に連れていって欲しいと求めた。若く美しい娘としゃべる髑髏の奇妙な道行き。だが砂漠で待っていたのは、〈影王〉が統べる呪われた〈影の都〉。不老不死を望んで神の怒りにふれ、永遠に砂漠を彷徨う運命になったという伝説の都だった。捻れた運命の糸に搦め捕られるリアノ。〈影王〉とは何者か。/第1回創元ファンタジイ新人賞選考経過、選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 仮面の貴族1
    4.0
    ファーシーア一族を恨むパイボルド一派から、デューティフル王子をとりもどしたフィッツ。赤船の乱で六公国に大惨事をもたらした外島人とのあいだに平和を築くべく王妃ケトリッケンがとりまとめた神呪字諸島の族姫との婚約の儀は、つつがなく執り行われることになった。バックキープにやってきた族姫エリアニアはまだ十一歳。だが並々ならぬものを内に秘めた少女だった。華やかな婚約の宴の陰に潜む外島人の思惑は? かつての暗殺者兼間諜のフィッツはなんとか探りだそうとするが……。圧倒的スケールの異世界ファンタジー〈道化の使命〉第二部。
  • 綺譚集
    4.1
    散策の途上で出合った少女が美しく解剖されるまでを素描する「天使解体」、白痴の姉とその弟が企てる祖父殺し「サイレン」、陵辱された書家の女弟子の屍体が語る「玄い森の底から」等、妖美と戦慄が彩る幻想小説や、兎派と犬派に分かれた住民たちの仁義なき闘争を綴る「聖戦の記録」の黒い笑い、失われた女の片脚を巡る「脛骨」の郷愁、ゴッホの絵画を再現した園に溺れゆく男たちの物語「ドービニィの庭で」の技巧等々。文体を極限まで磨き上げた十五の精華を収める。孤高の鬼才による短篇小説の精髄。※紙書籍版とはカバー画像が異なります。/【収録作】「天使解体」/「サイレン」/「夜のジャミラ」/「赤假面傳」/「玄い森の底から」/「アクアポリス」/「脛骨」/「聖戦の記録」/「黄昏抜歯」/「約束」/「安珠の水」/「アルバトロス」/「古傷と太陽」/「ドービニィの庭で」/「隣のマキノさん」/解説=石堂 藍
  • 玉妖綺譚
    3.3
    異界と現実世界との間にある“はざま”。そこで産する竜卵石は妖力をもち、主の“気”を受けて玉妖と呼ばれる精霊を宿す。中でもその美しさ、知性から伝説的な存在とされるのが、難波俊之が育てた“難波コレクション”の七つの玉妖たちだ。そのひとつ〈くろがね〉を受け継いだ修業中の驅妖師・彩音は、玉妖に魅入られ眠り続ける姉を救おうとする……。人々の目に見えない異界妖が跋扈する皇国大和の首都・櫂都を舞台に、少女驅妖師・彩音と相棒の玉妖くろがねが、妖がらみの摩訶不思議な事件に挑む。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。/解説=井辻朱美
  • 玉妖綺譚3 透樹の園
    -
    妖力を奪われ眠りについた相棒の玉妖を目覚めさせる方法を知る唯一の人物、難波俊之の行方を捜し“はざま”をめぐっていた彩音は、ある“はざま”で奇妙な光景を目にする。男たちが異界妖を檻に追い込み、こちらの世界に連れ込んでいたのだ。妖は人間界では実体をもたず、檻をすり抜けてしまうのに、なぜ? 折しも都では“はざま”や異界妖の出現が増え、その存在を隠そうとする政府を悩ませていた。俊之捜しを続ける彩音は、いつの間にか遷都をめぐる陰謀に巻き込まれる羽目に……。石に宿る精霊、玉妖と驅妖師の絆を描く、シリーズ第3弾。
  • 玉妖綺譚2 異界の庭
    4.0
    ずっと傍らにいた玉妖くろがねが妖力を失い眠りについて以来、ただでさえ半人前の驅妖師・彩音は、十分な仕事をこなせずにいた。そんなとき、難波コレクションの創り主難波俊之の甥彬良から、コレクションの玉妖で唯一まだ会ったことのなかった蒼秀に会える、との知らせを受ける。異界の知識をため込んでいる蒼秀ならば、くろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれない。彩音は期待を胸に、蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねるが……。心の傷を隠して玉妖がらみの事件に挑む少女驅妖師・彩音。彼女は過去を清算し相棒を取り戻すことができるのか。/解説=卯月鮎
  • 銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/奇妙という名の五人兄妹
    3.7
    妻が奇妙な強盗事件に遭遇した。犯人はお金に興味を示さず、居合わせた人々から「もっとも思い入れのあるもの」を奪っていったという。以来、なぜだか妻の身長は縮んでいき……(『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』)。祖母の授けた不思議な〈力〉に悩まされてきた五人兄妹。ある日、祖母から〈力〉を消してやると告げられた三女は、ひと癖もふた癖もある兄妹たちを集めるために奔走する(『奇妙という名の五人兄妹』)。――おかしな運命が照らし出す、夫婦の、兄妹の、家族のつながり。カウフマンの輝きに満ちた小説世界を2冊合本で贈る。/解説=牧眞司
  • 吟遊詩人の魔法 上
    4.0
    かつてエイヴァールでは、吟遊詩人が学ぶ学院の〈視者〉たちが強大な魔法の力をふるい、王権とならびたつ権力を握っていた。だが〈視者〉の一部が禁断の魔法に手を染めたために争いがおき、学院は弱体化し、吟遊詩人の魔法は失われてしまった。……十二年に一度、タムリュリンの都では、盛夏祭に行われる競技会で最も優れた技を披露し優勝した吟遊詩人に〈銀の枝〉が与えられる。いまや王に絶大な影響力を及ぼす宮廷詩人も、競技会の優勝者だった。秘められた魔法と、陰謀が渦巻く都を舞台に、吟遊詩人たちの密かな戦いを描く本格ファンタジイ。
  • 久遠の島
    4.3
    〈久遠の島〉そこは世界中のあらゆる書物を見ることができる不思議な場所、心から本を愛する人のみが入ることを許される楽園だった。あるとき、ひとりの王子が島を訪れた。魅力的で、島を守る氏族の少年ともすぐに打ち解けたが、その真の姿は強欲で身勝手で目的のためなら手段を選ばない人物だったのだ。そして彼の野心が島に悲劇をもたらした……。書物の護り手である氏族の兄弟がたどる数奇な運命とは。連合王国フォト、呪法の国マードラ、写本の都パドゥキアを舞台におくる、著者のデビュー作『夜の写本師』に連なる本の魔法と復讐の物語。/【目次】久遠の島/テズーとヨーファン/あとがき
  • 九年目の魔法
    4.3
    ため息をつき、本をベッドに伏せる。前に読んだはずだけど、こんな題名だったろうか? 壁にかかった写真の額を見上げる。これもこんな写真じゃなかったはず。この九年間で本当にあったことと、今おぼえていることが喰い違っている。まるで過去が変えられてしまったかのよう。大学生のポーリィは、十歳のころの思い出をたぐり寄せた。そうだ、近くの屋敷でお葬式が! そこで、あの人、リンさんと出会って、ずっと歳上の男の人なのに仲良しになって、それから……それから、とても恐ろしい何かが起こりはじめた……失われた時を求める少女の、愛と成長と闘いをつづる現代魔法譚!
  • 黒い海岸の女王
    4.2
    1万2千年の昔、アトランティス大陸が海中に没したのち、現存する歴史が記されるまでの空白の期間にハイボリア時代なるものが存在した。この時期の伝承を伝えるネメディア国の年代記は、アトランティスの末裔、キンメリア生まれの英雄コナンの事跡を記している――。30歳で夭折した天才作家が創造し、のちに数多現れるヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、著者のオリジナル原稿に遡った校訂のもと全6巻に集成して贈る。横溢する妖美、奇怪はもとより一大宇宙史までをも堪能されたい。【収録作】「キンメリア(詩)」/「氷神の娘」/「象の塔」/「石棺のなかの神」/「館のうちの凶漢たち」/「黒い海岸の女王」/「消え失せた女たちの谷」/「資料編/「死の広間(梗概)」/「ネルガルの手(断片)」/「闇のなかの怪(梗概)」/「闇のなかの怪(草稿)/「R・E・ハワードからP・S・ミラーへの手紙」/「ハイボリア時代」/解説=中村融
  • 黒い予言者
    4.0
    30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第3集。ヴェンドゥヤ国の姫ヤスミナは、兄王を呪い殺した魔術師に復讐を果たすため、7人の捕虜の命と引き換えに、山地族の首領として勇名を轟かせていたコナンをヒメリア山系の奥深くへと向かわせようとした――人跡まれな山間に棲む恐るべき魔術師との死闘を描く表題作はじめ3編を収録。解説ではハワードの生涯を詳細に紹介。【収録作】「黒い予言者」/「忍びよる影」/「黒魔の泉」/「トムバルクの太鼓(梗概)」/「トムバルクの太鼓(草稿)」/解説=中村融
  • 幻夢の聖域
    3.0
    「あたしの一族は死神に狙われているの。だからそいつを追い払うために、幻魔法師を探している」峠の宿屋で手伝いをしていたハーブラギスに、旅の薬師見習いミリナはそう告げた。だが、ハーブラギスがミリナの旅に同行することを決めたのは、彼女が持っていた金貨のせいだった。遠い昔に消えた王国エディムーンの金貨。ハーブラギスが子供の頃暮らしていた施設で、面倒を見てくれた不思議な女性が持っていた本に描かれていた紋章と同じだったのだ。エディムーンとは何なのか? 第1回創元ファンタジイ新人賞選考委員特別賞受賞後第1作!
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました
    3.6
    電灯もオイル・ランプもなく、夜がまだ謎めいていたころ、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者のための供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトを浴びせられ、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」。ロンドンの下水道で、雨水や汚れを川まで流す労役につかされた「下水熊」。──現在のイギリスに、この愛おしい熊たちはいません。彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。/【目次】1 精霊熊/2 罪食い熊/3 鎖につながれた熊/4 サーカスの熊/5 下水熊/6 市民熊/7 夜の熊/8 偉大なる熊(グレート・ベア)/訳者あとがき/解説=酉島伝法
  • 黒河を越えて
    4.0
    30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第4集。傭兵部隊で気ままな暮らしを送っていたコナンの前に現れた、海賊団の女首領ヴァレリア。彼女を追って黒人王国の奥地深く踏み入ったコナンが見たものは、何年も開かれたことのないような城門に守られた死の都であった! 勇将コナンの南方国での活躍を描く「赤い釘」など3編を収録する。【収録作】「赤い釘」/「古代王国の秘宝」/「黒河を越えて」/資料編「ロバート・アーヴィン・ハワード」E・ホフマン・プライス/解説=中村融
  • コブの怪しい魔法使い
    4.1
    故郷の田舎町、テキサス州コブに戻って三カ月、ドラゴンや邪悪な魔法使いの襲撃を心配する必要のない日々が続いている。あこがれのオーウェンと互いの気持ちを確かめ合ったのも束の間、彼の最大の弱点が自分だという、ロマンス小説のヒロインのような立場に立たされてしまったケイティ。魔法の悪用を企む一味との戦いの足手まといになるまいと、ニューヨークをあとにしたのだった。ところが、魔法とは縁のないはずのコブの町で、魔法のにおいのする事件が発生。ケイティは(株)MSIに助けを求める。大家族が繰り広げるてんやわんやをさばきつつの大奮闘、果たしてその結末は? おしゃれでロマンチックなファンタジー第4弾。
  • 砂糖の空から落ちてきた少女
    4.0
    ウサギ穴に落ちたり、鏡を通り抜けたりして異世界で冒険をしたのち、現実世界に戻ってきたものの、現実に適応できない子どもたち。そんな子どもたちに救いの手をさしのべる“エリノア・ウェストの迷える青少年のための学校”の池に、空から少女が降ってきた。彼女は、かつてこの学校にいたスミの娘だという。だが、スミは死んでいる。それを聞いた少女はスミを取りもどさないと自分が消えてしまうと訴えた。そこでスミの友だち4人がスミを取りもどすべく死者の世界に旅立つことに……。ファンタジーの醍醐味を凝縮した、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス3賞受賞シリーズ完結。/解説=三村美衣
  • 青玉は光り輝く
    4.0
    予言された12番目のタイムトラベラーであることが判明したグウェンドリンは、タイムトラベル能力の調整のために行う“時間消化”中に、若き日の祖父に出会った。絶好のチャンスとばかりギデオンや〈監視団〉のメンバーには内緒で、ルーシーとポールがクロノグラフを盗んで逃亡した謎を解明しようと画策する。クロノグラフが12人のタイムトラベラーの血を読みこんだとき、いったい何が起きるのか? そしてグウェンドリンに固執するサンジェルマン伯爵の思惑は? ドイツで100万部突破。大人気のタイムトラベル・ファンタジー3部作、第2弾!
  • 少女の鏡
    3.3
    「おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」クラスメイトに言われて驚いた。美弥は旧校舎に足を踏み入れたことはない。学校の七不思議では旧校舎の鏡に姿を映すと、鏡の中の自分が抜け出て襲いに来るらしい。その後も覚えのない場所で彼女を見たという目撃者が続出、ついに美弥自身も出会ってしまった。そのとき、助けてくれたのは大きな犬と、その犬を兄と呼ぶ少年朱鷺だった。朱鷺は各地を旅して呪物を集めているらしい。半信半疑のまま美弥は自分に起きている奇妙な出来事を彼に打ち明けるが……。『魔導の系譜』の著者の新シリーズ開幕。
  • 処刑人
    3.5
    ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分
  • 白の予言者1
    3.5
    六公国の王子デューティフルと、かつての宿敵である外島人の族姫エリアニアとの婚約。互いに根強い恨みと反感を抱く二つの国に平和を打ち立てんとするこの縁組みを成立させるためには、黒いドラゴン、アイスファイアの首を落とさねばならない。約束を守るために、王子は神呪字諸島に向け出航する。お供は王妃の顧問官シェイド、王子の従者シック、身分を隠したままのフィッツ。さらに古き血族のウェブや〈気〉をもつ貴族シヴィルも乗りこんでいる。航海の行く手に待つものは。壮大な異世界ファンタジー〈道化の使命〉最後の幕があがる。
  • 真紅の城砦
    3.5
    30歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第5集。本集には新訳となる3編を収録した。宝物を狙う海賊たちとの死闘を描いた「黒い異邦人」。最初に発表されたシリーズ作品として読者の熱狂を呼んだ、王となったコナンの物語「不死鳥の剣」。強大な敵の手に落ち囚われの身となったコナン王が、獄中で伝説の魔道士と遭遇する――一大合戦絵巻が繰り広げられる表題作等傑作揃い。/【収録作】「黒い異邦人」/「不死鳥の剣」/「真紅の城砦」/資料編「ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き」/「西方辺境地帯に関する覚え書き」/「辺境の狼たち(草稿)」/解説=中村融
  • 時間旅行者のキャンディボックス
    3.8
    1967年のイギリスで、4人の女性科学者がタイムマシンの開発に成功し、300年先の未来までの時間旅行が実現した。そして、時間移動を厳格に管理すべく、国家からも独立した〈コンクレーヴ〉と呼ばれる巨大なタイムマシン運用組織が誕生した。時間旅行を独占するのはもちろん、タイムトラベラーが起こした犯罪も、この組織が独自に対処する。だが、タイムトラベルには精神に及ぼす深刻な副作用があった。ある殺人事件に遭遇した女性オデットが〈コンクレーヴ〉に潜入し、事件の調査を進めるうちに、その恐るべき事実が明るみに……異色の時間SF!/解説=堺三保
  • 十三番目の王子
    4.0
    古の神の眷属と信じられている『神王』一族が治めるシオン神王国。その最北に位置するラダッカでは、原因不明の死病が流行していた。極北での任務から帰還した〈蛇の目〉団の若き長ソローは、神王家から派遣された地形官の護衛と監視を命じられる。百二十年ごとに繰り返される吹雪と死病の原因は、神王国の根幹に関わる秘密にある、と地形官は語る。ラダッカを襲う異変はソローのみならず、彼の幼なじみ――騎士を目指す少女エネミアと、神王国を守護する〈剣の天使〉の後継者という宿命を負うゼンの未来をも変えようとしていた。圧倒的筆力で描く、ヒロイック・ファンタジーの傑作。解説=三村美衣

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  • 10の奇妙な話
    3.8
    命を助けた若者に、つらい人生を歩んできたゆえの奇怪な風貌を罵倒され、心が折れてしまった老姉妹。10年の長きにわたり、部屋で安らかに眠り続ける少年。屋敷の敷地内に薄暗い洞窟を持つ金持ち夫婦に雇われて、“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、古物店で見つけた手術道具を使って博物館に展示されている標本の蝶を蘇らせようとする少年。家の近くの丘で掘り出した骨を集め、ネックレスを作る少女。――ブッカー賞最終候補作の著者が、日常と異常の境を越えてしまい異様な事態を引き起こした人々を描く、奇妙で愛おしい珠玉の短編集。/【目次】ピアース姉妹/眠れる少年/地下をゆく舟/蝶の修理屋/隠者求む/宇宙人にさらわれた/骨集めの娘/もはや跡形もなく/川を渡る/ボタン泥棒/訳者あとがき/解説=石井千湖
  • 女王のジレンマ
    4.4
    公園で見つかった奇妙な死体。70年代のディスコ全盛期の服装で、外傷はないが、怯えた表情をしている。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。死体の男も、妖精界から追放された人間だった。だが、新たな女王になったソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか? マイケルは新米女王のソフィーと共に妖精界に乗りこむ。〈(株)魔法製作所〉の著者の新シリーズ第2弾。
  • スーパーヒーローの秘密
    4.4
    (株)MSIに復職するため、ニューヨークに戻ったケイティ。ところが久しぶりの出勤の朝、地下鉄内でいきなり魔法を使った犯罪の現場に出くわす。どうやらライバル会社スペルワークスの仕業らしい。魔法の悪用を企む輩を阻止すべく立ちあがった、伝説の大魔法使いマーリン率いる(株)MSI。切り札はマーケティング部長に昇進したケイティのカスタマーカンファレンス。愛するオーウェンの協力も得て、計画は順調に進むかに見えた。だがカンファレンスのさなか、敵の陰謀がオーウェンを襲う。そしてついにオーウェンの出生の秘密が明らかに……。大人気のロマンチックファンタジー第5弾!
  • 世界のはての少年
    3.7
    子ども9人と大人3人を乗せた船が、スコットランドのヒルタ島から無人島へと出航した。孤島で海鳥を獲る旅が、この島の少年たちにとっては、大人への通過儀礼なのだ。だが、約束の3週間が経っても、迎えの船は一向に姿を現さず、このまま島から出られないのではないかと、不安が皆の心を蝕み始める。そんななか年長の少年のひとりクイリアムは、密かな決意を胸に、希望を捨てることなく仲間を励まし、生きのびるために闘うのだった。果たして迎えは来るのか? カーネギー賞受賞作。YAの名手が実際の事件をもとに描いた、勇気と成長の物語。
  • 千吉と双子、修業をする
    3.9
    千吉は大好きな兄、弥助を守るための力がほしいと、共に育った半妖の双子と一緒に妖怪奉行所西の天宮の奉行、朔ノ宮に弟子入りした。ところが仕事は雑用ばかりで一向に術らしい術を教えてくれない。ようやくひとつだけ教えてくれた術もなんの役に立つのかわからぬ始末。楽しそうな双子とは対照的に、千吉の苛立ちはつのるばかり。そんなある日、弥助に子妖を預けた化け獺が、期日を過ぎても迎えにこない。兄との時間を邪魔されて腹が立った千吉は、双子を巻き込んで化け獺を捜す決心をした。大人気の〈妖怪の子、育てます〉シリーズ第2弾!
  • 千弥の秋、弥助の冬
    4.2
    千弥の様子がおかしい。もともと弥助に対しては過保護だったが、最近度が過ぎるのだ。ぼうっとすることも多く、物忘れも激しい。心配する弥助に対し、千弥は何でもないの一点張り。互いを思いやる心がすれ違い、ふたりは初めて大喧嘩をしてしまう。以前千弥は月夜公に執着する紅珠の魔手から弥助を守りきるために、妖怪の誓いを破って力の源である目玉を取り戻したことがあった。ほんの一時のことだったが、誓いを破ったことに変わりはない、その報いは確実に千弥を蝕んでいた。そしてついに……。大人気妖怪シリーズ、第一部クライマックス。
  • 蒼衣の末姫
    4.3
    冥凮と呼ばれる怪物が跋扈する世界。空を飛ぶもの、地を這うものなど様々な種がいるが、そのどれもが無作為に人間を襲う習性を持っていた。人々は身を護るために砦を築き、軍事、工業、商業、農業などそれぞれ個別の役割を持った六つの共同体に分かれて暮らしている。少女キサは、この世で唯一冥凮を滅ぼす能力を持つ蒼衣の家系に生まれながら、力を使いこなせず、役立たずの捨姫と蔑まれていた。冥凮討伐に失敗し毒の川に落水したキサは、一人の少年に命を救われる。彼もまた大人たちから切り捨てられた孤独な存在だった。ひとりぼっちで生きてきた少女と少年が手を取り合い、過酷な運命に立ち向かう傑作ファンタジイ。
  • 大尉の盟約 上
    5.0
    イワン・ヴォルパトリル大尉。生粋のヴォルらしい黒髪にオリーブ色の肌をした、長身のハンサム。コマールで軍務についていたイワンのもとを、友人の機密保安庁職員バイアリーが訪れた。女の子を一人ひっかけてほしいというのだ。女の子ならイワンの得意分野。少々強引ながら彼女の家に押しかけたはいいが、そのあとの展開がいけなかった。いきなりスタナーで撃たれて拘束されるわ、誘拐容疑をかけられるわ……。そこで彼女が追われていることを知ったイワンは、窮地を逃れるための、偽装結婚を申し出る。マイルズの従兄弟イワンの運命やいかに!
  • 太陽の石
    4.1
    かつて繁栄を誇ったコンスル帝国の最北西に位置する霧岬。そんな霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日父と衝突し、怒りにまかせてゴルツ山に登った彼は、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟った。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになるとは……。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第3弾。/解説=金原瑞人
  • 第三の願い
    -
    三つの願いを叶えてくれるという魔人イフリートが、三つ目の願いを叶える力を失ってしまった。なぜ願いの力は消えたのか。そのせいで被害に遭った人々が作った結社〈第三の願いの環〉は何を目論んでいるのか。カリフの宮殿を放り出された絨毯乗りターリクは、魔人の首領から引き継いだ左目の奇妙な力に苦しみながら、真相を追求する。一方嵐の王たちに助け出された弟ジュニスは、かつての兄の恋人で今は嵐の王の幹部になっているマリヤムと共に、魔人との戦いに身を投じていた。そこで彼は不思議な力をもつ少年に出会う。迫力のシリーズ第2弾。
  • ダ・ヴィンチの翼
    4.0
    村外れに一人で住む少年コルネーリオは、森で瀕死の男を見つける。男はフィレンツェ共和国政府の要人でもある芸術家ミケランジェロの密偵だった。教皇と神聖ローマ皇帝の軍勢から故国を救おうと、レオナルド・ダ・ヴィンチが隠した兵器の設計図を、密かに探していたのだ。だが手がかりは謎めいた詩だけ。治癒の力をもつコルネーリオと、かつてかれが命を助けた少女フランチェスカ、そしてヴェネツィアの魔術師も加わった一行は、敵の追っ手が迫るなか、万能の天才が残した手がかりを追う。『ヴェネツィアの陰の末裔』の著者が16世紀イタリアを舞台に描く、歴史ファンタジイの決定版。
  • ダークホルムの闇の君
    4.3
    魔術師大学総長ケリーダのもとに、山のように寄せられる手紙。魔術師、吟遊詩人、傭兵隊長、はてはエルフや龍まで、誰もが資本家チェズニー氏と彼の巡礼観光団の横暴ぶりを訴えている。彼が40年前に別の世界からやってきて、この魔法世界を観光地にして以来、今や町も畑も荒れ果て、諸国の財政も危機に瀕している。風前の灯の魔法世界をチェズニー氏の手から救うのは一体誰か。ケリーダたちが神殿から授かったお告げは魔術師ダークを名指しした。巡礼観光団の到着を控え、ダーク夫妻と一男一女五グリフィンの子供たちが巻き起こす騒動の顛末は? 現代英国ファンタジイの第一人者が辛口のユーモアをたっぷり盛り込んで語る〈ダークホルム二部作〉第1弾!/解説=妹尾ゆふ子
  • 地球の中心までトンネルを掘る
    4.0
    代理祖父母派遣会社のエースとして、核家族の子どもの「ばあば」を演じて報酬を得ている女性(「替え玉」)。自分の中の発火遺伝子に怯えながら、製菓店の娘に恋する青年(「発火点」)。折りヅルを用いた遺産相続ゲームに挑む一族の男たちと、その審判を務める孫のぼく(「ツルの舞う家」)。大学を卒業し、何者にもなれず生きてきたある朝、ふと裏庭にトンネルを掘り始めた三人の若者(表題作)。――とびきりヘンで、優しく、がむしゃらな人々を描いた11の物語。シャーリイ・ジャクスン賞と全米図書館協会アレックス賞を受賞した珠玉の短編集。/【目次】替え玉/発火点/今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き/ツルの舞う家/モータルコンバット/地球の中心までトンネルを掘る/弾丸マクシミリアン/女子合唱部の指揮者を愛人にした男の物語(もしくは歯の生えた赤ん坊の)/ゴー・ファイト・ウィン/あれやこれや博物館/ワースト・ケース・シナリオ株式会社/謝辞/特別エッセイ=津村記久子/解説=倉本さおり/収録作原題・初出情報
  • 沈黙の書
    4.0
    火の時代、絶望の時代が近づいている。戦がはじまる。穏やかな日々は吹きはらわれ、人々は踏み潰され、善き者は物陰に縮こまる。神々は穢され、理は顧みられることもない。予言者が火の時代と呼んだそのさなか、いまだ傷つかず無垢である〈風森村〉に、一人の赤子が生をうけた。〈風の息子〉と名づけられたその赤子が笑えばそよ風が吹き、泣けば小さなつむじ風が渦を巻いた。だが、〈長い影の男〉がやってきたとき、すべてが変わった……。天と地のあいだ、オルリアエントの黎明の時代を描く、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ始まりの物語。
  • 伝説の都
    -
    絨毯乗りターリク、太守の娘サバテアは、バグダッドの宮廷魔導師、ビザンチンの狩人らとともに、第三の願いが見つかるという、伝説の都スカラバプールをめざす。一方ターリクの弟ジュニスは、兄との再会も束の間、マリヤムの最後の頼みを果たし、嵐の王の許からさらわれた童子を取り戻さんと、魔人の巣窟に向かう。そして魔人も、第三の願いの力を得ようとしていた。困難な道のりの末、スカラバプールに辿りついたターリクらを待つものは。謎の童子ジブリルの正体は。魔人に支配された世界の秘密が明らかに。ドイツ・ファンタジー3部作完結。
  • 盗賊と星の雫
    5.0
    富める者から奪い、貧しい者に分け与える義賊、黒のジョー。伝説の宝石〈エステラの瞳〉を盗もうとして、彼はギルデアの灰色の騎士に捕らえられてしまう。密偵容疑で激しい拷問を受け、地下牢に幽閉された彼を救ったのは、同じ牢に囚われている謎めいた老人だった……。ギルデアと連合国の戦いは激化し、最果ての国に逃げたリーヴたちにも戦の足音が迫るなか、世界中で次々と未曾有の嵐が起こる。ギルデアに対抗すべくアトーリスが開発した兵器〈氷河〉の影響だった。王子ランドリアは母国の暴走を止めようと奔走するが……。好評シリーズ第3弾。/解説=辺見葉子
  • 図書館司書と不死の猫
    -
    愛妻を亡くし、ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのわたしに届いた、不思議な猫についてのメール。なぜか人の言葉をしゃべるその猫は、死ぬたびに生き返る数奇な半生を送ってきたらしい。おまけに猫の飼い主は行方不明になっていて――。本を愛し、へらず口をたたき、永遠の命を生きる猫。その周囲で起こる不可解な事件。メールに綴られた出来事は現実か、創作か。わたしは好奇心をくすぐられて調査に乗り出すが、その先には意外な展開が待ち受けていた。元・図書館司書と謎に包まれた猫が織りなす、ブラックで奇妙で、なのに心躍る物語。/解説=金原瑞人
  • 図書館島
    3.5
    文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。/解説=乾石智子
  • 図書館島異聞 翼ある歴史
    -
    帝国オロンドリアを二分した大乱は、書物と言葉を巡る戦いでもあった。そのただ中を生きた四人の女性たち――貴族出身ながら戦いにその身を投じた剣の乙女、彼女を愛した遊牧民の歌い手、帝国を支配する思想を創り上げた男を父に持つ女司祭、そして反乱の指導者である王子の秘密を知る王家の娘。彼女たちは正史から葬られようとしているそれぞれの物語を、自らの言葉で語り始める。響きあう四つの物語からやがて立ち上がるのは――デビュー長編にして世界幻想文学大賞など四冠『図書館島』の著者が贈る、書物と言葉を巡る傑作本格ファンタジイ。/解説=河野聡子
  • トランクの中に行った双子
    3.8
    ジャクリーンとジリアンは双子の姉妹。ジャクリーンは女の子がほしかった母親の希望通りのかわいい少女に、ジリアンは男の子がほしかった父親の期待を背負い活発な少女に育った。だが実のところ、どちらも両親から押しつけられた役割にうんざりしていたのだ。そんなある日、双子は空き部屋のトランクの中に階段を発見する。この前見たときには何の変哲もないトランクだったはず。冒険心に突き動かされて階段をおりたふたりが見たのは、赤い月に照らされた荒野が広がる、奇怪な世界だった。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞受賞シリーズ第2弾。
  • 鳥籠の家
    3.6
    豪商天鵺家の跡継ぎ、鷹丸の遊び相手として迎え入れられた勇敢な少女茜。だが、屋敷での日々は、奇怪で謎に満ちたものだった。天鵺家に伝わる数々のしきたり、異様に虫を恐れる人々、鳥女と呼ばれる守り神……。茜がようやく慣れてきた矢先、屋敷の背後に広がる黒い森から鷹丸の命を狙って人ならぬものが襲撃してくる。それは、かつて富と引き換えに魔物に捧げられた天鵺家の女、揚羽姫の怨霊だった。一族の跡継ぎにのしかかる負の鎖を断ち切るため、茜と鷹丸は黒い森へ向かう。〈妖怪の子預かります〉シリーズで人気の著者が放つ時代ファンタジー。/解説=井辻朱美(単行本版タイトル『鵺の家』を改題した文庫版を底本といたしました)
  • 偽のプリンセスと糸車の呪い
    3.3
    ルーシーと親友のドーンは明日16歳の誕生日を迎える。これまで毎年いっしょに誕生日を祝ってきたというのに、今年はそれができなくなった。ドーンが育ての親である3人のおばたちに、明日一日家から出ることを禁じられたのだ。ドーンとは会えないし、運転免許の最終試験だしで、誕生日だというのにルーシーの気分はさえない。でも、本当の災難はそのあとに待っていた。ルーシーは試験会場に向かう途中、騎馬の男たちに拉致されてしまう。巨大な光る門を通ってたどり着いたのは、まるでおとぎ話(フェアリーテイル)の世界で……。〈(株)魔法製作所〉の著者が贈る、スイートでロマンチックなファンタジー。
  • ニューヨークの魔法使い
    4.1
    ニューヨークは変わった街だと聞いてはいたが、これほどとは思わなかった。テキサスの田舎から出てきて一年、いまだに毎日驚いてばかりいる。宙に浮いている妖精や耳のとがったエルフ、教会の屋根にいたりいなかったりするガーゴイル……。こんなの想定外だ。でも、ニューヨーカーたちは振り返りもしない。変なのはこの街? それともわたし? ボーイフレンドはできないし、会社の女上司はヒステリーの二重人格。いい加減にうんざりしていたある日、思いもかけない転職の話が舞い込んできた。でもちょっと待って、うまい話には必ず裏がある。現代のニューヨークを舞台にした、魔法版『ブリジット・ジョーンズの日記』。(株)魔法製作所シリーズ第1弾。
  • ニューヨークの妖精物語
    3.9
    俳優を夢見てNYにやってきたエミリーは、念願かなって舞台で主役を獲得し脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を訪れ、踊りを教えてもらったから。今頃になってあのときの対価を支払えというのか? とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。ソフィーは、エミリーの友人の親切な刑事マイケルの追及をかわしつつ、妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。
  • 人魚と十六夜の魔法
    3.3
    四月、綾乃は無事ディアーヌ学院高等部に進級した。中等部には雪之丞の従妹のまりんや、絵葉の弟大地や、人間の女の子桜子も入学してきた。そんな新学期の慌ただしい一週間が終わったころ、綾乃たちの学年に転校生がやってきた。ロシアから来た礼儀正しい水妖ヴォダーくんは、あっという間にみんなの人気者になった。だが、そのころから学院内で奇妙なことが起こり始める。学院の周辺で不審者が目撃され、寮の部屋からお八つが消える。なにかがおかしい……。妖怪と人間が一緒に学ぶ魔女学校を舞台に繰り広げられる、愉快な学園ファンタジイ。
  • 願いの桜
    3.5
    「“願いの桜”の話って本当だと思う?」駄菓子屋兼骨董店を営む宗助は、馴染の中学生亜咲美からそう聞かれた。通学路から離れた寂しい場所に一本だけ立つ桜の木、その木に願い事をすると叶うことがあるという。奇妙な言い伝えや曰くつきの品物に目がない宗助は、早速その桜を調べ始める。まもなく亜咲美の周辺で理由もなく体調を崩した生徒がいることを知り、嫌な予感を覚えた宗助は、祖父の代からの知り合いで呪物に詳しい少年朱鷺に助けを求めた。呪物を捜して旅をする少年と獣の姿をしたその兄が遭遇する不思議な出来事を綴るシリーズ第2弾。
  • 彼岸の花嫁
    3.3
    リーランは、富豪のリン家が彼女を亡き息子の花嫁に望んでいると父に言われる。年ごろの娘にとって幽霊の花嫁(ゴーストブライド)なんてあんまりな話だ。おまけに数日後リン家に招待された彼女は、そこで当主の甥である青年と恋に落ちる。彼が結婚相手ならよかったのに。やがてリーランは毎晩夢の中で、リン家の亡き息子に結婚を迫られるようになる。恐ろしさから病の床についた彼女だったが、霊媒からもらった薬のせいで幽体離脱してしまう。生霊となったリーランはどうにかして幽霊との結婚から逃れようとするが……。死者と生者の世界が交錯する幻想的な恋物語。
  • 紐結びの魔道師
    4.4
    紐結び(テイクオク)の魔道師リクエンシス。紐を蝶結び、漁師結び、釘結びとさまざまに結ぶことで、幸福をからめとり、喜びを呼びこむかと思えば、巧みに罠をしかけ、迷わせもする。あるときは腹に一物ある貴石占術師を煙に巻き、魔道師を目の敵にする銀戦士と戦い、あるときは炎と大地の化け物退治に加勢する羽目になり、またあるときはわがままな相棒の命を救わんと奮闘し、果ては写本の国パドゥキア目指して危険な砂漠を横断する。コンスル帝国衰退の時代、招福の魔道師とも呼ばれるリクエンシスの活躍を描く、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第6弾。/解説=池澤春菜
  • 比類なき翠玉 上
    4.0
    「あたしのハートはルビーで、ギデオンはそれを粉々にしたのよ!」――サンジェルマン伯爵から告げられた残酷な真実に、グウェンドリンの恋心は荒れ模様。そんななか、ルーシーとポールが盗んだクロノグラフの隠し場所がついに明らかになる。〈監視団〉メンバーやいとこのシャーロットの目をかいくぐり、若き日の祖父の協力のもと伯爵の陰謀に迫ろうとするグウェンドリンだったが、相棒・ギデオンとの関係はこじれたまま。〈監視団〉はメンバーの中に潜む裏切り者の正体を暴くため、十八世紀の舞踏会に二人を送りこむ計画を進めていたが……。
  • 深い穴に落ちてしまった
    3.3
    深い森のまん中にある、深い深い穴の底。兄弟は空を見上げ、脱出の方法を思案している。土壁に階段をつくる。弟を肩にかつぎ上げる。どれほど見込みがなくとも、ふたりは生きなければならない。虫や木の根を食べ、泥水を飲む日々が綴られるなか、やがて物語は不可思議な幻覚と、めくるめく謎で満たされていく――。なぜ章番号は素数だけなのか。幻覚に隠された暗号とはなにか。そもそも兄弟はなぜ穴に落ちたのか。ふたりが辿りつく結末は、驚愕とともに力強い感動をもたらす。現代版『星の王子さま』であり、“深い穴”で生きるあなたに捧げる寓話。/解説=西崎憲
  • 不思議の国の少女たち
    3.6
    そこはとても奇妙な学校だった。入学してくるのは、妖精界や菓子の国へ行った、不思議の国のアリスのような少年少女ばかり。彼らは戻ってはきたものの、もう一度彼らの“不思議の国”に帰りたいと切望している。ここは、そんな少年少女が現実と折り合っていくすべを教える学校なのだ。死者の殿堂に行った少女ナンシーも、そんなひとりだった。ところが死者の世界に行ってきた彼女の存在に触発されたかのように、不気味な事件が起き……。不思議の国のアリスたちのその後を描いた、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞受賞のファンタジー3部作開幕。
  • 蛇苺の魔女がやってきた
    3.5
    ディアーヌ学院での水晶玉占いの授業中、綾乃は突然気を失う。雪之丞の心配をよそに、その後の夏至祭も大成功に終わり、期末テストを終えれば楽しい夏休み……のはずだった。ところが気になる噂が綾乃の耳に入る。群馬県の山奥にある五郎丸湖で、ネッシーに似た生物が目撃されているというのだ。忘れもしない二年前の夏、故郷の角田村で綾乃を襲った首長竜、あれは確かにアロウが倒したはずだ。そんなとき、綾乃たちは五郎丸温泉にある先輩の別荘に招待される。妖怪と人間が共に学ぶ魔女学校を舞台にした、人気の学園ファンタジイ第3弾!
  • 星砕きの娘
    4.1
    鬼が跋扈する地、敷島国。鬼の砦に囚われていた少年鉉太は、ある日川で蓮の蕾と刀を拾う。砦に戻ると、驚いたことに蕾は赤子に変化していた。蓮華と名づけられた赤子は、一夜にして美しい娘に成長する。彼女がふるう刀〈星砕〉は、人には殺すことのできない鬼を滅することができた。だが、蓮華には秘密があった。〈明〉の星が昇ると赤子に戻ってしまうのだ。鉉太が囚われて七年、都から砦に討伐軍が派遣されるが……。鬼と人との相克、憎しみの虜になった人々の苦悩と救済を描いたファンタジイ大作。第四回創元ファンタジイ新人賞受賞作。/解説=乾石智子
  • 星水晶の歌 上
    -
    季節外れの嵐、雨のない雷、全てを覆い尽くす白い霧。世界を襲う異常気象は、アトーリス王国が秘密裏に開発した兵器〈氷河〉の影響か。敵国ギルデアがその兵器を奪おうと画策するなか、王室の諜報員ステランは危機感を募らせる。内外から迫る脅威。立ち向かうすべはあるのか。ランドリアはひとつの覚悟を胸にギルデアに赴き、ウィルナーは故国の激戦に身を投じる。一方、サラファーンの星の雫を預言の英雄に届ける途上、砲弾に倒れたジョーは、九死に一生を得るが……。戦乱に翻弄されながら精一杯いまを生きる人びとを描く壮大な四部作ついに完結。
  • 星の羅針盤
    4.0
    人の住む六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、暗い影が世界を覆いはじめる。ギルデア王国が隣国に侵攻、戦火はいくつもの国を巻きこんでいった。戦火の迫る故国を脱し、母と兄とともに母の故郷の村に身を寄せたリーヴは、村はずれの深い森で、紫の瞳をもつ不思議な少女に出会う。永遠の友情、初恋、遙かな国の伝説、そして陰謀……。戦の影に怯えながらも、平和を願い、ひたむきに生きる少女の姿を描く〈サラファーンの星〉4部作開幕。
  • 星巡りの瞳
    3.7
    双眸に星を宿した天の申し子。人々を真なる道に導く――そう予言され生まれてきた柳宮家の嫡男白珠は、ある事件をきっかけに右目ばかりか宮城内での地位もすべて失い、世捨て人のような生活を送っていた。だが、妹の代わりに旧都香久の御所守を買ってでたことから、運命の歯車は大きく回り始める。うち捨てられ、鬼の巣窟となったかつての都。そこに巣くっていたのは、元は人でありながらも妄執に囚われ鬼と化した、鬼の王陽炎だった。『星砕きの娘』から遡ること数百年、星の目を持つ男と鬼との壮絶な闘いを描いたファンタジイ大作!/解説=東雅夫
  • 滅びの鐘
    3.9
    北国カーランディア。建国以来、土着の民で魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人が、なんとか平穏に暮らしてきた。だが、現王のカーランド人大虐殺により、見せかけの平和は消え去った。娘夫婦を殺され怒りに燃える大魔法使いが、平和の象徴である鐘を打ち砕き、鐘によって封じ込められていた闇の歌い手と魔物を解き放ったのだ。闇を再び封じることができるのは、人ならぬ者にしか歌うことのかなわぬ古の〈魔が歌〉のみ。『夜の写本師』の著者が、長年温めてきたテーマを圧倒的なスケールで描いた、日本ファンタジイの金字塔。
  • ほんものの魔法使
    4.4
    魔術師――時に奇術師や手品師とも呼ばれる人々が住まう都市マジェイア。偉大なる魔術師の娘ながら周囲からできそこない扱いされていた少女ジェインの前に、ある日ふしぎな青年があらわれる。ものいう犬モプシーとはるばる山のむこうから旅してきたという彼は、魔術師ながら肩書きのない“ただのアダム”と名乗る。魔術師名匠組合(ギルド)への加入を希望するアダムのために、ジェインは助手となって審査会に臨むことに。そこで彼女が目の当たりにしたのは、種も仕掛けもない“ほんものの魔法”だった。矢川澄子の名訳で贈る、色褪せぬファンタジイの名作。/解説=井辻朱美
  • 忘却城
    4.2
    死者を蘇らせる術で発展した亀珈(かめのかみかざり)王国。都で家庭教師を営む青年儒艮は、ある晩何者かに攫われ、光が一切入らない、盲獄と呼ばれる牢で目を覚ます。そこに集められたのは、儒艮の他に子ども、青年、老人、壮年の男性、中年の婦人の五人。彼らを集めたのは死霊術士の長である、名付け師・縫だった。縫は一同に、儒艮に従い、言葉にされない名付け師の望みを叶えるように言い渡す。儒艮は名付け師の後継者問題が絡むと推理、死霊術の祭典、幽冥祭で事件が起きると予測する。顔を見せない縫の真の目的は。第3回創元ファンタジイ新人賞佳作入選作。/第3回創元ファンタジイ新人賞選評=井辻朱美、乾石智子、三村美衣
  • 忘却城 炎龍の宝玉
    4.7
    死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。儒艮が塾を開くために買ったのは札付きの幽霊屋敷。引っ越し初日から怪奇現象が多発し、同居する金魚小僧をおびえさせていた。そんな折、瀕死の炎龍が飛来。王都を大混乱に陥れる。神をもたない亀珈王国にとって、炎龍は至高の存在だ。龍語を解するのは蘇った死者と生きた人間の間に生まれた界人だけ。そこで急遽儒艮が通訳官に指名される。彼はいまや大切な家族となった金魚小僧のため、ある目的を胸に役目を引き受けるが……。独特の世界が読む人を引きつけて放さない〈忘却城シリーズ〉第3巻。/解説=井辻朱美

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