理工 - 講談社 - 講談社学術文庫作品一覧

  • 宇宙の哲学
    NEW
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    宇宙の歴史は有限か無限か? 「この宇宙」はどのように生まれたのか? 時間以前には何があったのか? …… 宇宙の謎をめぐる人類の探究の歴史を、ケプラーのSF的宇宙探索物語、パスカルの無限空間への恐怖、ニュートンの普遍力学、カントのコペルニクス的転回、ラプラスの魔、パースの進化論的宇宙論といった魅力的なトピックとともに、コンパクトかつ深く辿る! ビッグバン宇宙論や多宇宙論など、物理学の最新成果を踏まえた、哲学の泰斗による「新しい自然哲学」構築の試み。 解説は、『なぜ宇宙は存在するのか』の野村泰紀氏(理論物理学/カリフォルニア大学バークレー校教授)。 [目次] ■講義 自然哲学の行方 第一講 コスモロジーの自立 (われわれの生きる宇宙/…新しい自然哲学の時代のとばぐち/…) 第二講 ケプラーの夢 (伝統的思考法からの独立/…世界初のサイエンス・フィクション/…) 第三講 無限宇宙の永遠の沈黙 (…沈黙する宇宙と人間の孤独/…パスカルの根源性と先駆性) 第四講 時空をめぐる論争 (ニュートン力学が切りひらいた問い/カントによる時空論の総合/…) 第五講 レヴォリューションーー回転か革命か (世界観の転換/…時空やカテゴリーは固定的か) 第六講 決定論の崩壊 (ラプラスの魔/…非決定論の方へ) 第七講 ビッグバンの方へ (「人類の偉大な一歩」/…哲学に役割は残されているか/…) ■補講 宇宙の時間、有限か無限か 補講一 有限説と無限説 (カントの「誤り」を超えて/…宇宙の歴史は無限か/…) 補講二 カントのアンチノミー (アンチノミーが暴くもの/…ゼノンのパラドクスから一九世紀の数学・論理学へ) 補講三 パースの宇宙論 (進化論的宇宙論ーーカオスからコスモスへ/…現実の「外」へと目を向ける方法) ■解説 新しい自然哲学は未解決問題に挑めるか 野村泰紀 ■人名索引
  • 数学史入門
    -
    円周率、√2、微分・積分、時間、無限……人類はこうして「問題」を解いてきた! 大家による究極の歴史ガイド。 数学がイデアの世界の産物だった古代ギリシアから、現実世界に埋め込まれたルネサンスを経、「時間」を取り込んだニュートンとライプニッツの微積分、そして「無限」を導入し両者の統合を果たした解析学へ――。数学が2000年以上にわたって切り拓いてきた歴史の道程を、「問題」と格闘する精神の軌跡として簡潔明瞭に描く、啓蒙の大家による入門書の決定版!(解説:上野健爾) [目次] はじめに 序章 聞いてみたいこと 第1章 深い森へ 1 円周率 2 ピタゴラスの定理 3 平行線の公理 4 ツェノンの逆理 第2章 近世に向けての旅立ち――文明の流れのなかで 1 中世から近世へ 2 火薬と大砲――運動に向けての視線 3 コンパス 4 活版印刷 5 時計 第3章 ヨーロッパ数学の出発 1 デカルトの“方法” 2 ニュートンの『プリンキピア』 3 微分・積分の創造――ニュートンの流率 4 ライプニッツの無限小量 第4章 数学の展開 1 開かれた社会へ 2 バーゼル問題の解と『無限解析』 3 オイラー――無限のなかの算術 4 無限小量への批判 第5章 関数概念の登場 1 変化するもの 2 関数、グラフ、極限 3 微分――関数への作用 4 積分――関数のひろがり 5 微分と積分――数学の2つの方向 第6章 解析学の展開 1 テイラー展開と因果律 2 複素数 3 正則性 4 波立つ変化 おわりに 数学の歩みをふり返って (解説 数学の世界の爽やかな拡がり 上野健爾)
  • 物理学と神
    4.3
    かつて神の存在証明を果たそうとした自然科学は、その発展とともに神の不在を導き出した……というのは、本当だろうか? 現代物理学の描く世界からは、宇宙に最初の一撃を与え、サイコロ遊びに興じる至高の存在はいまだ消え去っていないのではないか? 古代ギリシアから近代科学の黎明、そして量子力学まで、「神という難問」に対峙し翻弄される科学の歴史を、名手が軽妙かつ深く語り切る。唯一無二のサイエンス・ヒストリー!
  • 雨の科学
    -
    「雲から雨が降る」という、一見あたりまえの自然現象の仕組みと奥深さを探究した、気象学の入門書。 なぜ雨は、滝のようにつながって落ちてこないのか。雨粒はどんな形をしているのか。小雨の雨粒と、大粒の雨粒は、どのくらい大きさが違うのか。雲粒と雨粒の境目はどこにあるのか。なぜ、雨が降りやすい雲と、降りにくい雲があるのか。水蒸気が凝結するための「雲粒の種」とは。自己増殖し、自己組織化して雨を降らせる、生物のような積乱雲の生涯とは――。 傘とレインコートで日常的な雨対策をし、冬にも豪雪に見舞われる日本列島の降雨事情は、地球上でも特異なものだという。その地形的特質から、近年多発する集中豪雨のメカニズムとエルニーニョ現象、温暖化のカギを握る雲の種類、さらに、「人類の夢」である人工降雨や気象の人工調節の可能性まで、雲・雨・雪の研究に尽くした第一人者が、平易に解説する。北海道大学名誉教授・藤吉康志氏が巻末解説を執筆。〔原本:『雨の科学――雲をつかむ話』2005年5月、成山堂書店刊〕〈目次〉1 地球に降る雨のミクロな特徴第1章 雨粒の形と大きさ第2章 雨の強さと雨粒の大きさ分布第3章 雨が降る雲、降らない雲第4章 多くの雨は雪が融けたもの第5章 雨の降り方は人間活動によって変わる2 雲の組織化第6章 積乱雲の生涯第7章 生物のような積乱雲第8章 集中する豪雨第9章 人工衛星から観る雲の群第10章 地形の働きによる降雨の強化と集中3 雨の気候学第11章 気候域と雨量第12章 亜熱帯域の降雨第13章 雨のテレコネクション第14章 雨の経年変化第15章 水惑星の水問題解説 藤吉康志索引
  • 暗号 情報セキュリティの技術と歴史
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ソーシャル、モバイル、クラウド、スマート……。爆発的発展を遂げる情報化社会は、有史以来、軍事・外交の「秘匿」を担った暗号の役割を、「認証」へと一変させた。情報セキュリティを担う現代暗号の特性とは? 「共通鍵暗号」「公開鍵暗号」「零知識対話証明」の数理も平易に解説。暗号の歴史と倫理、その技術基盤のすべてがわかる格好の入門書。(講談社学術文庫)
  • 科学史・科学哲学入門
    3.3
    私たちが生きている現代世界において、決定的な役割を果たしているのは、「西欧近代科学」であるといえるでしょう。しかし一方で「科学」は、時間的・空間的な規定を受けており、普遍的・絶対的ではないことを認識する必要があります。 本書では科学の起源を問い直します。ラテン語の《scientia(知識)》に淵源し、古代ギリシアに生まれた「自然現象を自然現象として認め、ある原理的な体系から、そうした個々の現象の説明を与える」という思惟構造が、西欧で独自の発展を遂げたものです。 キリスト教敵世界では、「神の意志」と「理性による世界支配」が、自然界と人間界両方の秩序の根幹であるとの考え方が」だんだんと支配的になります。そして中世ラテン世界は、十字軍を経て、アラビア文化圏から流入したギリシア・ローマの「科学」的遺産を吸収し、本格的な「西欧・近代・科学」へと発展していきました。その流れの中で、アニミズムの否定、自然の世俗化、それが進展しての実証主義が支配的になります。魔術から技術へという流れです。そして未来はつねに「進歩」をもたらすものでなければならないというドグマのようなものが支配的になったのです。 そしてこの科学の考え方が、私たちの思考法をどのように呪縛しているのかを、点検していきます。「観測の問題」「言語による外界の把握」「造られた科学」「《整合性》と《簡潔性》」などなど、実際の例を取り上げながらやさしく解説していきます。まさに「科学史」の入門書といえる一冊です。 【原本】 村上陽一郎『科学・哲学・宗教』(レグルス文庫)第三文明社 1977年刊 【目次】 I 科学・哲学・神学  1 科学を準備したもの  2 科学のなかのヴェクトル  3 科学の反省  4 未来への展望 キリスト教の自然観と科学  1 キリスト教と近代合理主義  2 キリスト教からの科学の「離脱」  3 現代への示唆 II 科学的知識と信仰との異同   植木屋の譬え話   自然科学での実際の話   誰が素粒子を見たか  「見える」ことが「存在する」ことか  「……を見る」と「……として見る」  「……として見る」の基礎構造  「ことば」による把握  「……を見る」ことと「……を存在させる」こと  科学は何によって造られるか  自然科学的理論の「流行」  簡潔性と整合性  価値の世界との「整合性」  「心」の私秘姓  「こころ」の存在  こころと素粒子  自分の「こころ」と他人  人間の「こころ」の特殊性  こころの普遍化への二つの方法 あとがき 学術文庫版あとがき
  • 科学とオカルト
    3.6
    ニュートンもケプラーも錬金術師だった。客観性を謳う科学の登場は、たかだか数百年前のことである。近代産業社会が、オカルト理論に公共性を要請した時、秘術は「近代科学」として生まれ変わった。「万能の学=科学」と現代オカルトは、原理への欲望とコントロール願望に取り憑かれ、どこまで行くのだろうか。社会と科学とオカルトの三者の関係を探究し、科学の本質と限界に迫る。(講談社学術文庫)
  • 形を読む 生物の形態をめぐって
    4.0
    「この本では、生物の形態を、一般にヒトがどう考え、どう取り扱うかについて、私の考えを述べた。いままで、形態そのものを扱った本は多いが、こういう視点の本はないと思う。」 生物の形に含まれる「意味」とはなにか? 形を読むことは、人間の思考パターンを読むことである。解剖学、生理学、哲学から日常まで、古今の人間の知見を豊富に使って繰り広げられる、スリリングな形態学総論。ものの見方を変える一冊!
  • 構造主義進化論入門
    4.0
    なぜ遺伝子操作で新生物を作れないのか? なぜ同じ遺伝子が、ハエでは複眼を、哺乳類では単眼を出現させるのか? ネオダーウィニズムでは説明不能な進化現象の数々。プラトン、ラマルク、ダーウィン、メンデル、ドーキンス……。進化論の系譜を再検証し、生物を記号論的に環境を解釈するシステムと定義することで、もう一つの進化論を構想する。(講談社学術文庫)
  • 暦と占い 秘められた数学的思考
    3.5
    一週間は7日、一年が12ヵ月、なんで? 年・月・日から曜日や干支をはじき出す計算式とは? 一週間が5日の暦、どんなの? 英語で1~6月は「神」、7,8月は歴史上の人物、9月から12月は数字、なぜ? 十二支のイメージはどこから? 「必ず仏滅になる日」がある? 「史上いちばん短かった年」は? 占星術の成り立ちはどこから? 「〇座の生まれ」って、つまりどういうこと? ――答えは本書で。 (原本:『暦と占いの科学』新潮選書、1982年刊)
  • 自然科学の歴史
    3.5
    地質学者として大学の教壇に立った著者は、多くの学生が、高校の自然科学4教科、地学・物理学・化学・生物学のうちの二つくらいしか履修していないことに気付いた。しかし、自然科学のさまざまな分野を独立の学問として学ぶだけでは、その学問の意味を本当に理解することはできない。全体を見渡す「自然科学史」の視点から、個別のテーマが自然科学の発達史のなかでどんな位置にあるかを知ることが必要なのである。 本書は、この4分野をそれぞれ、宇宙・地球観の歴史、物質観の歴史、技術の歴史、生命観の歴史に区分し、人間と科学・技術の歴史として描き出す。 古代、どの文化圏でも、最初に生まれた科学は天文学と医学だった。古代ギリシアの自然哲学に始まったヨーロッパ科学は、中世にはアラビア人が伝統を受け継いで発展させ、シチリア島やスペインでそれらをヨーロッパに伝えた。一方、古代以来、中国の科学と技術はヨーロッパを凌いでいたが、中世末期に中国から伝来した技術を背景に、ヨーロッパにルネサンスと科学革命が起こる。やがて産業革命は蒸気機関と、さらに電気の時代を生み出していく。そして20世紀末に至り、人類は核エネルギー開発による放射能汚染と、遺伝子操作という「神の領域」に触れる難題を抱え込むようになったのである。『自然科学史入門』(1998年、東海大学出版会刊)を改題して文庫化。 目次 まえがき 序章 科学史概観 第一章 宇宙・地球観の歴史 1 古代自然哲学における天文学 2 ニュートンによる天体力学の完成 3 二〇世紀初期までの地球観 4 現代の宇宙論 5 二〇世紀後半の地球観 第二章 物質観の歴史 1 哲学的原子論と錬金術 2 科学革命と近代的原子論・分子論 3 有機物質の化学 4 物質の究極的構造の解明│現代物理学の誕生と発展 5 二〇世紀後半の合成有機化合物 第三章 技術の歴史 1 技術の起源と古代の技術 2 中世から近世初期の技術 3 産業革命と技術の近代化 4 電磁気学の発展とその応用 第四章 生命観の歴史 1 古代・中世の医学 2 生物学の近代化 3 産業革命後の生物学 あとがき 自然科学史年表 人名索引
  • 市民の科学
    4.0
    公害、薬害、巨大事故。我々のあずかり知らぬところで進行し甚大な被害をもたらす悲劇は、なぜ繰り返されるのか。それを防ぐため、専門的能力を持たない市民に何ができるのか。科学者として生涯、原発の危険性を訴えつづけた著者は、市民が国家・企業・アカデミズムからも独立して専門的批判の能力を組織・維持・育成する方策を構想し、その実践報告とともに本書を遺した。三・一一後の日本に向けた最もポジティブな提言。(講談社学術文庫)
  • 心臓の動きと血液の流れ
    -
    血液循環説を確立 科学革命の先鞭をつけた名著 ラテン語からの新訳 私たちの体内の血液はどのように流れているのか。広汎な解剖学的探索と精密な実験によって、血液は血管の中を絶えず循環している事実を発見、今では自明とされる血液循環説が確立した。科学革命の先鞭をつけ、近代医学への道筋を開いたハーヴィの名著のラテン語からの画期的な新訳。著者略伝、心臓血管系理解への便覧、詳細な解説付き。
  • 時間の分子生物学 時計と睡眠の遺伝子
    4.0
    ほぼすべての生物の遺伝子が、「24時間」のリズムを刻む謎。 生物はなぜ眠るのか? この生命最大の謎にまだ完全な答えはありませんが、約24時間のリズムを刻む生物時計は、人間や高等動物だけではなく、昆虫、草木、単細胞生物にも備わっていて、ほとんど同じ遺伝子を使っていることがわかってきました。 なぜか午前中は時間が早く経つように感じられる。目覚まし時計の少し前に目が覚める。時差ボケがつらい――こうした多くの人の経験は、春になると桜が咲くこと、渡り鳥が方角を間違えないこと、蛹がかならず早朝に羽化することと同じ、この生物時計のリズム(サーカディアン・リズム=既日周期)によるものです。そして、地球上のほとんどすべての生物の遺伝子には、先天的にこのリズムが組み込まれています。 この生物時計はどういう仕組みで動き続けているのか。そこで「眠り」はどういう役割を果たしているのか―ー? 生物時計と睡眠研究の第一人者である著者が、解明されてきた謎といまだ解明されない謎をわくわくする筆致で描いたベストセラー。日々の実感と地球生物全体が遺伝子でつながる感動に、最新の成果を盛り込み、待望の文庫化! ・平成16年、講談社出版文化賞・科学出版賞受賞作 ・本書のテーマのひとつ、「概日周期を制御する分子機構の解明」は、2017年のノーベル医学生理学賞受賞 【目次より】 1章 なぜ生物時計があるのか 2章 脳の中の振り子 3章 生物時計の部品の発見 4章 分子生物学が明かした驚異のしくみ 5章 不眠症のハエから睡眠遺伝子を探る 6章 睡眠の謎 7章 生物時計は睡眠をどう制御しているか 8章 睡眠研究の突破口 ナルコレプシー ■生物時計と睡眠をもっと知るためのブックガイド
  • 星界の報告
    4.3
    ガリレオにしか作れなかった高倍率の望遠鏡に、宇宙はどんな姿を見せたのか?──1609年7月に初めて製作した望遠鏡の倍率は3倍。その4カ月後には、他の誰にも追随できない20倍の倍率を実現したガリレオは、翌年初頭から天体観測を開始した。人類が初めて目にしたレンズの先には、月の表面の起伏が、天の川をなす無数の星が、そして木星をめぐる四つの衛星が現れた。人類初の詳細な天体観測の貴重な記録、待望の新訳!※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 生命誌とは何か
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 私とはなにか、私たちはどこからきてどこへ行くのか――。この根源的な問いにたいし、分析と還元を旗印とする科学、とりわけ「生命科学」は、有効に答えてきただろうか。「生命誌」は、科学によって得られる知識を大切にしながら、生き物すべての歴史と関係を知り、生命の歴史物語を読み取る作業である。博物学や進化論、DNA、ゲノム、クローン技術など、人類の「生命への関心」を歴史的に整理し、科学を文化としてとらえる。(講談社学術文庫)
  • 相対性理論の一世紀
    4.0
    「ニュートンよ許したまえ……」。二世紀以上にわたり絶対的権威として君臨してきたニュートン力学の常識を根底から覆したアインシュタイン。そのきっかけは、少年時代の「光を、光の速さで追いかけたらどうなるだろう」という疑問だった。「力の統一」「宇宙のしくみ」など現代物理学の起源となった研究はいかに生まれたか。最先端の物理学にまで影響を及ぼす相対性理論の本質を、わかりやすく解説する。(講談社学術文庫)
  • そば学大全 日本と世界のソバ食文化
    -
    日本が誇る伝統食にして健康食、そば。しかし、植物であると同時に作物でもあるソバの文化は、日本だけのものではない。ソバの本場・信州で研究を積んだ農学者が、世界のソバ食文化を探訪して日本のそばの魅力を再発見する。さらにその栄養と味覚、健康食品としての機能や、品種改良についても解説。 江戸の農書に表れる「ソバめくそ」「めくそ飯」とは何か? 「普通種」よりも収量が多くて安定しているダッタンソバ、ニガソバは、なぜ日本で栽培されなかったのか? なぜ「手打ちそば」が上等なのか? 朝鮮半島のシミョン、カルクッス、中国の「猫の耳たぶ」マオアルドウ、ネパールのソバの腸詰、ウクライナのソバカーシャ、スロベニアのソバ団子、フランスのガレットに、イタリアのポレンタ・・・各地のソバ食レシピをみれば、日本の「そば切り」を本流とする麺食ばかりがソバではない。縄文時代から親しまれる、ソバをもっと楽しむ本。〔原本:平凡社、2002年刊〕
  • 天球回転論 付 レティクス『第一解説』
    -
    地球は動いている――。プトレマイオスからおよそ1400年続く天文学を覆したコペルニクス(1473-1543年)。ケプラー、ガリレオ、そしてニュートンへと続く「科学革命」は、この発見に始まる。それは「革命」という言葉の華々しさとは裏腹に静かに、本人さえその帰趨を自覚しないままに始まった。 コペルニクスはいかにして地動説に至ったのか。『天球回転論』全6巻のうち、地球の運動について記された第1巻と、『天球回転論』の公刊に先立ってコペルニクスの地動説を初めて世に知らしめた弟子ゲオルク・ヨアキム・レティクス(1514-74年)の『第一解説』の本邦初訳をあわせて収録。 コペルニクスが生涯をかけた書物『天球回転論』が、ニュルンベルクの出版社から届けられた1543年5月24日、それを待っていたかのように同日コペルニクスは他界する。「プトレマイオスを模倣しようとした」、「天文学の再興者」と言われるほどに、その構成や研究に対する姿勢は、プトレマイオスの『アルマゲスト』に倣ったものだった。ただ一点、「地球が動いている」ということを除いては――。 1400年の長きにわたって支配的であったプトレマイオスの天文学およびアリストテレスの自然学体系に、『天球回転論』がうがった小さな穴は、やがて大きなひび割れとなって従来の伝統的宇宙観を根本から打ち破り、人間の世界に対する認識を大きく変容させることになった。 神学者や世間の反応をおそれて長らく原稿の公開をためらっていたコペルニクスに、出版を強く勧め最終的に承諾させたのが唯一の弟子レティクスである。かたくなに出版を渋るコペルニクスは、レティクスがまず『天球回転論』を簡潔にまとめたものを世に出すことで妥協した。この『第一解説』の好評に力を得て、コペルニクスはついに公開を決意する。『第一解説』は、その後もコペルニクス説の入門的概説として版を重ねることになった。 コペルニクスはいかにして地動説を導き出し、前代未聞の「地球の運動」をどのように語ったのか。文字通り「世界を動かした」書物の最重要部分と本邦初訳となる『第一解説』を収録!  (『完訳 天球回転論』みすず書房、2017年より第一巻を収録、レティクス『第一解説』は新訳) 【本書の内容】 『天球回転論』第1巻目次より 宇宙は球形であること/大地もまた球形であること/地球の大きさに対する天の広大性について/地球が、いわば中心として、宇宙の真中に静止しているとなぜ古代の人たちは考えたのか/地球に複数の運動が付与されうるか、および宇宙の中心について/地球の三重運動についての論証……など。 レティクス『第一解説』目次より 恒星の運動について/古代の天文学者たちの仮説が廃棄されねばならない主な理由/天文学全体の新仮説……など。
  • 天災と国防
    4.1
    標題作「天災と国防」ほか、自らの関東大震災経験を綴った「震災日記より」、デマに対する考察「流言蜚語」など、地震・津波・火災・噴火などについての論考やエッセイ全十二編を収録。平時における備えと災害教育の必要性など、物理学者にして名随筆家ならではの議論はいまだに有効である。天災について再考するための必読書。(講談社学術文庫)
  • 東京の自然史
    4.5
    地殻変動(巨大地震で、地表面は数メートル移動)、氷期と間氷期の海水面変化(一〇〇メートル以上)、火山灰の堆積(数メートル以上)、河川による砂礫の堆積……。一〇〇万年超の東京の形成過程と江戸以来の開発による地形変化を解明。過密集住の東京を脅かす様々な災害。散歩ガイド・災害マップとして、必携の地形学による東京史。(講談社学術文庫)
  • 時とはなにか 暦の起源から相対論的“時”まで
    3.0
    人々の生活の基本にあり、日常を区切り律する「時」。その成り立ちや仕組みはあまり知られていない。幾多の不備があっても習慣として使い続けられる暦がある一方、高い精度が求められ原子単位となっていく「時」もある。一体「時」はどのように決められているのか。先人たちが苦労を重ね定めてきた歴史とともに、現代的な観点も含めて、「時」の専門家が壮大なテーマを易しく解説する。(講談社学術文庫)
  • 日本近代科学史
    -
    鉄砲伝来、江戸期の蘭学、洋学、明治期以降のダーウィニズム、太平洋戦争の軍事科学から高度成長期へーー。西欧科学を受け容れ、科学的思考を吸収しながら、日本人はいかに変わっていったのか? 科学史研究の第一人者、村上陽一郎の初の単著『日本近代科学の歩み』(三省堂選書 1968年刊を、改題、文庫化。
  • ニホンザルの生態
    -
    サルの社会に分け入り、文化を見出し、人間性の起源に迫る―― 世界をリードした日本の霊長類学(サル学)の原点がここにある! 今西錦司・伊谷純一郎らとともに日本の霊長類学のオリジネーターの一人として活躍した河合雅雄。意匠を凝らした筆致でもって生き生きと描かれる、サルの群れのリーダー交代劇、メスの巧みな繁殖戦略、イモ洗い行動の伝播などのありさまに、読者はきっと「息をのみ、眉をひそめ、思わず膝を打って微笑むことになる」(山極壽一氏解説より)でしょう。 加えて強調すべきは、何より研究者本人たちが実に生き生きと、楽しそうに研究に没頭している様子が紙面からありありと伝わること。ゆえに本書は、日本の学問が一番元気だった時代の「生きられた記録」でもあるのです。 解説:山極壽一 [目次] ○ニホンザルの生態 1 ニホンザル/2 ニホンザルの生活/3 ポピュレーションの動態 ○社会構造 1 社会構造/2 群れ社会の諸形態/3 社会構造の変容 ○社会構造を支えるもの 1 幸島の群れ/2 順位制/3 社会関係の調整機構/4 駆け落ちしたリーダー候補 ○クラスとグループ 1 リーダークラス/2 サブリーダー/3 ナミオス/4 ヒトリザル/5 メス/6 母と子/7 社会的成長 ○性 1 その生理/2 性行動 ○ニホンザルの文化[カルチュア] 1 一般に見られるカルチュア的現象/2 幸島の群れのカルチュア/3 知能とカルチュア ○コミュニケーション 1 音声によるコミュニケーション/2 行動による伝達 ○日本のサル学 ○あとがき ○再版にあたって ○解説 ニホンザル研究の一里塚――河合さんのやり方 山極壽一
  • 人間の由来 上下合本版
    値引きあり
    -
    センセーションを巻き起こした『種の起源』から12年、ダーウィンは本書で初めて人間の「由来」と「進化」を全面的に扱った。人間は、肉体的形態、心的能力、知的能力、道徳的性質のすべてにおいて「下等動物」と連続性をもっている。そして、お互いに助け合い、守り合う「種」こそが「存続をめぐる争い(生存競争)」を生きのびる。ダーウィンが進化論に託した希望が示されるもう一つの主著、待望されてきた文庫版初の全訳!
  • 脳とクオリア なぜ脳に心が生まれるのか
    -
    『脳とクオリア』に書かれていることは、それなりにオリジナルなことだと信じている。刊行から二十年以上が経った今でも、類書はあまりない。内容も古くなっていない。それは、本書の価値であると同時に、意識研究、より広く言えば脳科学研究、さらには人工知能研究の現状を示しているとも言える。――「文庫版へのあとがき」より*私たちの心の中で起こっていることは、すべてニューロンの発火である。これが、恐ろしく複雑な分子機械である脳の、単純な作動原理でもある。しかし、ニューロンがシナプス結合を通して、お互いに複雑に影響し合うことによって、私たちの心の中には、熱帯雨林の生態系のような豊かなクオリア(質感)が生じる。クオリアが多彩で、柔軟性に富んでいるということは、そのまま私たちの脳の中の情報処理の多彩さ、柔軟性の反映なのである。そして、この一つ一つのクオリアを、私たちの心は、他とは混同しようのない個性をもったものとして捉えている。つまり、私たちが感覚をとおして世界を認識するということは、クオリアの自己同一性を通して世界を認識するということである。クオリアという質的表現が、数字や量による表現とは比べ物にならないくらいの多様なものを感覚し、認識することを助けているのだ。自然科学としての「因果的自然」と、クオリアが表す「感覚的自然」――すなわち「脳」と「心」は、どのように結ばれるのか? 「クオリア」という感覚的自然にとっては自明な属性は、因果的自然と、どう結びつけることができるのか? 私が私であることの不思議、意識の謎に正面から挑む、科学者の主著!
  • はだかの起原 不適者は生きのびる
    4.5
    裸は適応的な進化だったはずはない――。では、ヒト科ではただ一種だけの例外的な形質、生存のためには圧倒的に不利な裸化は、なぜ、そしていつ起こったのか。一方で、ハダカデバネズミ、ハダカオヒキコウモリなど、ごく少数の裸小型哺乳動物は、それぞれが独特の生態を持つ。では、人類が生きのびるための術とは? 自然淘汰説や人類海中起原説などの説を検討し、遺伝学・生物学などを参照しつつ、現代人類の特質の起原を探る。
  • パラダイムと科学革命の歴史
    3.7
    科学史の第一人者による「学問の歴史」。科学革命で生まれた新たなパラダイムが学問的伝統を形成していく過程を解明する。古代以来の東西学統の比較から、学会誌などのメディアの発明、職業的科学者の誕生、現代のデジタル化まで、社会的現象としての科学と科学者集団を分析。『歴史としての学問』(1974年、中央公論社刊)を学術文庫化にあたって改題し、新たに「学問のデジタル化・グローバル化」を論じた補章を加筆。(講談社学術文庫)
  • ヒトはなぜ眠るのか
    4.1
    進化の過程で睡眠は大きく変化した。肥大した脳は、ノンレム睡眠を要求する。睡眠はなぜ快いのか? 眠りの機能とは? 大脳と睡眠、身体と睡眠の関係、睡眠にまつわる病気、睡眠と冬眠の違い、睡眠を司るホルモン、体内時計の働き、短眠者と長眠者の謎、科学的な快眠の秘訣……。最先端の脳科学で迫る睡眠学入門の決定版。最新の知見と新規文献も充実! (講談社学術文庫)
  • 物理学の原理と法則 科学の基礎から「自然の論理」へ
    3.0
    ■世界の真理は、単純明快! てこの原理からE=mc2、量子力学まで全部わかる!■ 中学校理科から量子力学まで物理学全体を見渡し、歴史のエピソードや文学作品を引きながら「基本の基本」をわかりやすく伝授。さらに、人間の思考は自然の論理をどこまで捉えられるのか、という根源的問いにまで誘う。宇宙物理学の先端で研究に取り組み、科学とは何かを深く問い続けてきた名手が放つ、画期的入門テキストにして深遠なメッセージ。 「文系のための物理学入門」の決定版! □単純、簡明、統一、原理主義□ 物理学者は、多様で複雑に見える自然だが、真理は意外に単純明快であり、論理を忠実にたどっていけば必ず真理に到達できると信じている。アインシュタインが述べたように、「神は老獪だが、意地悪ではない」のである。そのための自然を解剖していく手法は、本書に書いたような原理・法則・原則に則っている。どのような建築物もレンガ一つひとつの積み重ねから成り立っているように、壮大な物理学の成果も、最も基本的な原理の上に構築されているのである。―本書より (本書は2011年にPHPサイエンス・ワールド新書より刊行された『物理学の原理と法則』を大幅に改稿・加筆し文庫化したものです)
  • 目に見えないもの
    4.1
    〈わが国初のノーベル賞に輝く湯川博士、生涯の記念碑的作品〉 〈1946年の初版*以来、学問に志す多くの若者達の心をとらえ続けてきた名著!〉 「中間子」を発見し素粒子物理学を大きく前進させた著者が、現代物理学の物質観を、そして同時に、今日の自然科学的なものの見方・考え方を、だれにもわかる平易な言葉で説く、不朽の科学入門。 「目に見えないものの世界」への旅立ちを伝える諸篇には、深く豊かな知性が光り、「真実」を求めてのあくなき思索が生み出した珠玉の言葉には、ひとつの確かな思想がある。 現実は痛切である。あらゆる甘さが排斥される。現実は予想できぬ豹変をする。あらゆる平衡は早晩打破せられる。現実は複雑である。あらゆる早合点は禁物である。(本書「真実」より) *本書の原本は1946年に甲文社より刊行されました。 【本書の内容】 第一部   1.理論物理学の輪郭     1 自然哲学  2 近代物理学  3 現代物理学   2.古代の物質観と現代科学     1 古代インドの自然観  2 現代の物質観との対比  3 因果と時間の問題   3.エネルギーの源泉     1 物質の構造  2 放射線の本体  3 力とエネルギー  4 原子内のエネルギー  5 太陽のエネルギー   4.物質と精神     1 二つの通路  2 物理学的世界  3 物質から精神へ  4 科学の根源 第二部   1.半生の記   2.ガラス細工   3.少年の頃   4.二人の父 第三部   1.物理学に志して   2.科学と教養   3.真実   4.未来   5.日食   6.眼の夏休み   7.読書と著作   8.話す言葉・書く言葉   9.『現代の物理学』   10.『物質の構造』   11.『ピエル・キュリー伝』   12.目と手と心   13.目に見えないもの   14.思想の結晶
  • 「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》
    3.9
    フランスのオノレ・ブランという技術者による「互換性部品」に始まる近代の標準革命。アメリカでその技術は、困難を乗り越え、「アメリカ式製造方式」として確立された。さらにテイラーによる作業の標準化は、アメリカを製造業大国にする。公的機関が標準を決めるデジューレから市場での占有によるデファクトの時代へ。「標準」をキーワードに、製造の現場のドラマと国家、企業、市場の関係、そして背後に潜む思想を探ります。(講談社学術文庫)
  • リズムの生物学
    4.0
    地球上に生まれた瞬間から40億年近く、あらゆる生物は太陽の光、月の満ち欠け、潮の流れに同期しながら、体の中にリズムを奏で続けてきました。我々の小さな細胞がなぜ、宇宙のサイクルに呼応してしまうのか。眠り、刺激、脳波、心臓――体内で繰り返し起こるリズム発生のメカニズムとは? 「繰り返し」に安らぎを感じてしまう人間の本能を、生命の神秘にまつわる21の視点から解き明かします。 本書は1994年10月に中公新書より刊行された『いのちとリズム』を改題、加筆したものです。 目次 1天体の動きとリズム 2サーカディアンリズムの進化 3サーカディアンリズムの分子生物学 4眠りのリズム 5刺激の伝達のリズム 6脳波のリズム 7心臓の拍動 8非線形振動 9線虫の運動のリズム 10受精波 11細胞分裂のリズム 12細胞という繰り返し構造 13細胞性粘菌の集合のリズム 14ベローソフ-ジャボチンスキー反応 15体節という繰り返し構造 16進化のリズム 17DNAの繰り返し構造・ 18遺伝子の繰り返し構造 19非平衡系と生命現象 20繰り返しと心の安らぎ 21文化とリズム おわりに 参考文献 講談社学術文庫版あとがき

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