歴史・時代小説 - 集英社 - 集英社文庫作品一覧

  • 清佑、ただいま在庄
    4.0
    室町後期、荘園の新代官として赴任することになった僧の清佑。村のものどもを愛子(あいし)と思って撫育するよう老師から言われたが、村人たちは一筋縄ではいかない。食うや食わずの生活では、どんな手を使っても生きのびることが第一なのだ。寺で純粋培養され、理想に燃える代官と、代官でさえうまく利用しようとするしたたかな村人たち。清佑の一方通行とも見える彼らへの思いは実を結ぶのか。第14回中山義秀文学賞受賞作。
  • 青藍の峠 幕末疾走録
    -
    時は文久元年。田舎の村を出た若者・弥吉は、決意を胸に大坂へ向かう。蘭学者の緒方洪庵が開いた適塾に潜入し、折を見て「暗殺」することが彼の使命だった。しかし実際に洪庵の人柄に触れるうち、考えが変わっていく。一方、郷里の村では、尊王攘夷の急進派「天誅組」に加わるため、村人たちが動き出す。弥吉は挙兵を止めようと奔走するが――。「正義」とは何か。壮大な成長物語。
  • 青嵐の譜 上
    4.0
    鎌倉時代の半ば、玄界灘に浮かぶ壱岐島で、幼なじみの二郎と宗三郎は、浜に流れ着いた一人の少女を発見する。少女の名は麗花。母国の高麗を追われ、親を失っていた。三人は島で兄妹のように育つが、やがて蒙古の大軍が壱岐を襲い、過酷な運命に巻き込まれてゆく。何のために生き、誰のために戦うのか─。元寇という巨大な時代の嵐に立ち向かう若者たちを描いた、魂を揺さぶる歴史大長編。
  • 関ヶ原連判状 上巻
    3.8
    豊臣秀吉亡き後、再び風雲急を告げる乱世。徳川家康に従うか、それとも石田三成につくか。東西両軍どちらに味方するかで、それぞれの思惑が錯綜するなか、第三の道を模索する英傑がいた。その名は、細川幽斎。足利幕府最後の将軍の異母兄にして、当代唯一の「古今伝授」の伝承者である彼は、加賀前田家、そして朝廷をも巻き込んだ一大諜報戦を仕掛けた。関ヶ原合戦の知られざる真相をあばく大作。
  • 戦国・江戸 ポンコツ列伝
    -
    吉原で快楽を知ってしまったが最後…(荻江露八「旗本たいこ」)。私は天下無双の超イケメン! お殿様に寵愛を受けていたけれど!?(森川若狭「私は腹を切りたくない」)。気の進む戦なんてない。断じてない。あぁ、とても恐い(徳川家康「わしは腹を切るぞ」)。一生に一度、なけなしの金で女郎を買いたいだと。だったらワシが(中島棕隠「色道仙人」)…… など女に溺れ、切腹から逃げ、嘘をついてでも見栄を張る歴史上の偉人の“ポンコツ”な一面にスポットを当てる、抱腹絶倒の歴史時代短編集! 日本史初心者大歓迎!!
  • 戦士の賦(上)土方歳三の生と死
    -
    幕府の浪士新徴に応じて、土方歳三は近藤勇、沖田総司らとともに京に上り、新撰組を結成した。尊攘・佐幕両派が入り乱れ騒然としていた京の巷で、不逞浪士相手に血刀をふるう新撰組の武名は、池田屋の変、蛤御門の変などの活躍で天下に響きわたった。土方は副長として近藤を助け、隊内を鉄の規律で統制してゆく……。幕末の動乱の中、己れの信条を貫き通した男の半生。
  • 全一冊 小説 伊藤博文 幕末青春児
    4.1
    貧農の子に生まれた利助(後の博文)は、吉田松陰の「社会に役立たぬ学問は学問にあらず」との教えに開眼。高杉晋作、桂小五郎、坂本龍馬らとの出会いによって自らを成長させていった。イギリス留学などで培った世界的な視野で幕末の激動を乗り切ってゆく。「日本の夜明け」の原動力となった幕末の青年たちの中で、ひときわ異彩を放つ伊藤博文の若き日々。
  • 全一冊 小説 上杉鷹山
    4.5
    九州の小藩からわずか十七歳で名門・上杉家の養子に入り、出羽・米沢の藩主となった治憲(後の鷹山)は、破滅の危機にあった藩政を建て直すべく、直ちに改革に乗り出す。――高邁な理想に燃え、すぐれた実践能力と人を思いやる心で、家臣や領民の信頼を集めていった経世家・上杉鷹山の感動の生涯を描いた長篇。全一冊・決定版。
  • 全一冊 小説 蒲生氏郷
    3.6
    かつて織田信長から受けた薫陶を忘れず、商人優遇の領地経営を心がける戦国武将・蒲生氏郷。戦場往来で出世を重ね、独自の経営哲学を実践する彼の周囲では、さまざまな商人が、新たな人生を切り拓いていく。乱世に芽吹いた、商いの道とは何か。後に「近江商人育ての親」と呼ばれる蒲生氏郷の生涯を通じて“商いの原点”を、高らかに謳い上げた異色の戦国ロマン。全一冊・決定版。
  • 全一冊 小説 新撰組
    3.5
    混迷の幕末。将軍警護のため、近藤勇は土方歳三、沖田総司ら「試衛館」一門を率いて京都に赴く。新撰組を結成し、尊王過激派が終結する池田屋を急襲、一躍京に名をはせた。「誠」の隊旗を掲げ、落日の幕府に殉じた新撰組。その精神の支柱になったのは、士道を忘れぬ鉄の規律だった。「新撰組が行く」を改題。
  • 全一冊 小説 直江兼続
    4.2
    上杉景勝の家臣でありながらも、太閤秀吉より三十万石を賜った男・直江山城守兼続。主君・景勝との深い絆を胸に秘め、合戦の砂塵を駆け抜けた彼は、戦国乱世に勇名を馳せる。だが、己の歩むべき真の道を見いだした時、天下取りの争いに夢を託すのだった。米沢の名藩主・上杉鷹山が師と仰いだ戦国武将の、凛々たる生涯を描いたロマン大作。全一冊・決定版。
  • 全一冊 小説 吉田松陰
    4.1
    外国の実情を知ろうと、アメリカ密航を企て、失敗した吉田松陰は萩の獄に幽閉された。しかし、出獄後は小さな私塾「松下村塾」で「誰でも持っている長所を引き出すのが教育である」という信念の下、高杉晋作、山県有朋、伊藤博文など、わずか2年半で幕末、維新をリードした俊傑を生み出した。「魂の教育者」松陰の、信念に基づく思想と教育観を感動的に描く長編。
  • 全一冊 銭屋五兵衛と冒険者たち
    -
    「海に国境はない」この言葉に動かされた加賀の豪商・銭屋五兵衛は、北方交易に情熱を注ぎ、金沢藩財政に大きく寄与した。五兵衛はその後干拓事業に絡み失脚、牢死するが、その遺志を継いだ大野弁吉がさらに事業を拡大する。幕末の激動期、国家に先んじて「国際化」の道を歩んだ男たちの冒険を感動的に描く。
  • 早雲立志伝
    -
    応仁の大乱の余燼消えやらぬ室町期。弱冠21歳で駿河・今川家の家督争い仲裁に乗り込んだ伊勢新九郎盛時。彼こそがのちの伊勢早雲庵宗瑞その人である。管領職・細川政元の助力を得て内紛を収めた盛時は、公方の側近にまで登りつめる。だが政争に敗れ、駿河に下向。これにより波瀾の宿命は、彼を小田原城奪取、伊豆平定へと導いてゆく――「乱世の梟雄」と呼ばれた早雲像を覆す超絶怒涛の歴史巨編。
  • 草莽枯れ行く
    3.9
    幕末。黒船が浦賀に現れた頃、上州浪人・相楽総三は天下を憂う志を持って仲間を集う。博徒・清水の次郎長や剣客・土方歳三とも友誼を結ぶ。次第に倒幕に傾倒して、怪物・西郷隆盛率いる薩摩藩に総三は接近して行き、薩摩の闇の左手として活動し、やがて赤報隊として倒幕軍の尖兵となるが! 時代の濁流を生き抜いた若き魂。著者が初めて幕末に舞台を設定した長編小説。
  • それからの武蔵(一)波浪篇
    4.0
    慶長十七年四月、巌流島の決闘は武蔵の一撃の勝利に終った。だが、小次郎の復讐を誓う鴨甚内とおりんは、執拗に武蔵をつけ狙う。折しも九州路はキリシタン弾圧と南蛮人の暗躍で策謀渦巻き、剣風が吹き荒れていた。果てしなく武蔵を襲う剣と短筒。そして彼を慕う美女お孝……仕官の志を棄て、剣一筋の道に己の生きる意味を求める古今無双の剣豪の物語。
  • 続 会津士魂 一 艦隊蝦夷へ
    5.0
    会津鶴ヶ城、落つ――。藩主松平容保が京都守護職を拝命して六年。幕府への忠誠を誓い正義を貫いた戊辰戦争は無惨にも敗北したが、榎本武揚率いる旧幕軍艦隊に加わった者は、新たな戦いを挑むべく蝦夷地をめざす……。故郷を奪われた会津藩士達を描き、勝者に歪められた事実を敗者から検証する。明治百年を経た今こそ必読の現代日本再生の示唆に富んだ歴史大河小説。
  • 泣くな道真 大宰府の詩
    4.1
    右大臣だった菅原道真が大宰府へ左遷された。悲憤慷慨する彼にお相手役の保積もお手上げ。そこへ美貌の歌人恬子(しずこ)が現れ、博多津の唐物商へ誘う。道真は、書画骨董の目利きの才を発揮し、生気を取り戻す。その頃、朝廷に出す書類に不正が発覚し、府庁は窮地に。事態を知った道真は、自ら奇策を……。朝廷を欺き、意趣返しなるか! 日本史上最も有名な左遷された男の活躍をユーモアのなかに描く歴史小説。
  • 韃靼の馬 上
    5.0
    【第15回司馬遼太郎賞受賞作】正徳元年(1711)、徳川幕府は29年ぶりに朝鮮通信使を迎える運びとなった。対馬藩士、阿比留克人(あびるかつんど)は通信使の警固を務める傍ら、ある極秘任務を請け負う。監察御史の柳成一(ユソンイル)、旅芸人のリョンハンらを含む通信使一行は、対馬上陸から大坂、名古屋を経て江戸へ。道中、柳は克人の行動を不審に思い監視を始めるが……。世界を股にかけて活躍した男たちを描く歴史巨編。
  • 茶坊主漫遊記
    3.8
    関ヶ原の戦いから34年後の夏、地蔵と見紛う小柄な老僧と容貌魁偉な従者の一行が街道を行く。実はこれ、京都六条河原で斬首されたはずの石田三成であった。行く先々で起こる奇ッ怪な事件をズバッと解決、高笑いを響かせながらの諸国漫遊だが、どうやら秘めたる目的があるらしい。一方、三成存命を知った将軍家光は、一行の始末を隠密・柳生十兵衛に命じるが――。ミステリ仕立ての痛快時代小説。
  • チャンミーグヮー
    4.0
    明治初期、首里士族である喜屋武家の三男として生まれた朝徳。体の小さな彼は、従兄の本部朝基と相撲をしても負けてばかりだったが、父の教える手に惹かれて鍛錬を重ねる。激変する時代のなか、東京での勉学生活の後に沖縄へ戻った朝徳は更に手の修業を積み、やがてその伝道に力を注いでゆく――。平和は武によって保たれる。琉球が生んだ伝説の唐手家の生き様を描き出す武道小説。
  • 血槍三代 青春編
    -
    三河刈屋の城主の嫡男・水野藤十郎勝成は、鉄砲の名手・孫六と城を出奔、戦乱の京へと向った。石田三成、舞女・お国ら多彩な人物と関わり合う中で、不思議な老人の片鎌の槍を貰い受けたことから、数奇な運命の糸に絡まれ、漂白の旅が始まる……。おのれの腕と力量を頼りに、戦国山野を逞しく生きる豪放無頼の青春を描く異色時代小説。
  • 蝶のゆくへ
    3.7
    旧仙台藩士の三女として生まれた星りょう(後の相馬黒光)。その利発さから「アンビシャスガール」と呼ばれたりょうは、自分らしく生きたい、何事かをなしたいと願い、明治28年に東京の明治女学校へ入学する。女子教育向上を掲げる校長の巌本善治は「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの役目」と、りょうに語りかけた。りょうが出会った、新しい生き方を希求する明治の女性たち。その希望と挫折、喜びと葛藤が胸に迫る感動の歴史長編。
  • 辻番奮闘記 危急
    3.5
    将軍家光は、長引く島原の乱鎮圧のため、老中松平伊豆守に討伐の命を下す。不穏な気配は江戸にも漂い、辻斬りが横行。藩内に和蘭陀商館を持つ平戸藩江戸家老は、幕府の疑念を逸らすため、斎弦ノ丞らを辻番に任命し、江戸の治安を護る忠誠心を見せようとする。だが、弦ノ丞は任務初日に剣戟に遭遇し、政争に巻き込まれていく…。藩の窮地を救うため奮闘する辻番達の活躍!
  • 九十九藤
    4.4
    江戸の人材派遣業、口入屋・冬屋の女主人となったお藤。「商いは人で決まる」が口癖の祖母に口入稼業を仕込まれ育ったが、実家の不幸が重なり天涯孤独の身に。義母から女衒に売られるも必死に逃げ、江戸で生きてきた。お藤は、払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救うため、ある勝負に打って出る。取り扱う客を商家に絞り、男の奉公人志願者に徹底した家事指南を行い、大店へ送り込む。前代未聞の大転換は周囲の猛反発を呼んでしまう。そんな折、お藤は女衒から逃げていた時に助けてくれたお武家によく似た男と出会う。男は黒羽の百蔵と呼ばれ、江戸中の武家奉公人の上に立つ恐ろしい人物だった。冬屋の挑戦がようやく成果をあげはじめた頃、その好調ぶりを忌々しく思う人宿組合の顔役たちは百蔵を相談役に据え、冬屋潰しを目論む。お藤たちは真っ向勝負を挑むが――。人は何のために働くのか、仕事の喜びとは何かを問い直す渾身の長編時代小説。
  • 天空の城 竹田城最後の城主 赤松広英
    4.5
    雲海に浮かぶ姿から「天空の城」と呼ばれる竹田城。現在は石垣とわずかな遺構を残すのみだが、この城を完成させたのは赤松広英という武将だった。名門の家に生まれ、少年時代に家督を継いで以来、信長、秀吉、家康と続く戦乱の世を全力で生きた。その真摯な人柄ゆえ領民に愛されるも、三十九歳の若さでこの世を去った。あまり知られていない赤松広英の生涯を丹念に描きだした長編歴史小説。
  • 天に星 地に花 上
    3.8
    享保十三年、久留米藩領井上村。大庄屋、高松家の長男である甚八と次男の庄十郎は、父に連れられて訪れた善導寺で、何千と集まる人々の姿を目の当たりにする。「ようく見とけ。これが百姓の力ぞ」。藩主から言い渡された増税に抗議して集まる群衆。あわや一揆かと思われたそのとき、あるお達しが下り――。九州の田舎で飢餓と圧政に苦しむ百姓のために医者を志した少年の成長を描く歴史巨編。
  • 天馬、翔ける 源義経 上
    4.0
    【第11回中山義秀文学賞受賞作】平安末期。平氏追討の決起を促す以仁王の令旨が兄弟の運命を変えた。奥州藤原氏の下に逼塞していた弟・義経、そして伊豆に流罪となっていた兄・頼朝。黄瀬川で対面を果たし、力を合わせて源氏再興を図る二人だったが、かたや類いまれな政略家、かたや知勇並びなき天才武人。兄弟の溝は深まる一方だった。源平合戦の固定観念を打ち破った歴史大作。風雲急を告げる波瀾の第1巻。
  • なでしこ御用帖
    3.6
    江戸、町医者の娘お紺の意地と恋心を描く。八丁堀の町医者の末娘、お紺は父の仕事を手伝うお転婆娘。医者修行中の長男や、仕立て屋を目指す次男、父の元を訪れる患者たちが持ち込む騒動に巻き込まれつつ、成長する姿を描く。
  • 浪花ふらふら謎草紙
    3.3
    商人の町として賑わう大坂の旅籠「さと屋」の看板娘・花歩は十七歳。実は幼い頃、さと屋に置き去りにされた娘だ。父親らしき男が残した数枚の風景画に描かれた景色を探して町のあちこちを歩くうち、すっかり町に詳しくなり、町の人たちにも何かと親切にしてもらえるようになった。それを生かして、花歩は大坂の名所案内を始めることにするのだが……。浪花の人情溢れる書き下ろし時代小説。
  • 鍋奉行犯科帳
    3.5
    大坂西町奉行所に型破りな奉行が赴任してきた。名は大邉久右衛門。大食漢で美食家で、酒は一斗を軽く干す。ついたあだ名が「大鍋食う衛門」。三度の御膳が最優先で、やる気なしの奉行に、与力や同心たちはてんてこ舞い。ところが事件が起こるや、意外なヒラメキを見せたりする。ズボラなのか有能なのか、果たしてその裁きは!? 食欲をかきたてる、食いだおれ時代小説。オリジナル文庫。
  • ナポレオン 1 台頭篇
    3.6
    1769年、コルシカ島の貧乏貴族・ボナパルト家の次男として生まれたナポレオンは16歳でパリ陸軍士官学校を出ると、地元の英雄・パオリの親衛隊となる。時はフランス革命真っただ中、コルシカにも革命をと勇み立つナポレオンだったが、過ぎた才知と熱意ゆえ故郷を追われる羽目に。だが、フランス共和国軍の砲兵指揮官として頭角を現し、革命の実力者・ロベスピエール兄弟や派遣委員バラスと知り合う。トゥーロンの戦闘でイギリス軍、スペイン軍に大勝利を収め名をあげるが、情勢は急転。クーデターでロベスピエール兄弟が処刑され、ナポレオンも投獄された。が、男はそこで終わらない。パリが、革命が、彼を求め、ふたたび表舞台へ――。
  • 波に舞ふ舞ふ 平清盛
    3.3
    武士が貴族よりも一段下に見られていた、平安末期。平家の総領息子・平清盛は、瀬戸内の海賊討伐の際、流れ矢に当たって命を落とした厳島神社の宮司の娘のことを忘れられずにいた。そんなある日、ふとしたきっかけで出会った幼い四の宮から「ホトトギスの子か」という言葉を投げかけられる。それはつまり、清盛が、父・忠盛の本当の子ではないという意味で、白川上皇を父に持つということだった。自分だけがそれを知らなかったという事にショックを受ける清盛だが……。傷つき、迷いながらも成長する青年・清盛を鮮やかに描く書き下ろし大河ロマン!
  • 南海の翼 長宗我部元親正伝
    4.3
    戦国時代。土佐の名門、長宗我部家の若き当主・元親は、領民が安らかに暮らせる戦のない国を目指して四国統一に乗り出す。巧みな戦略で着実に領土を広げてゆくが、戦で多くの部下を失い、肉親をも殺めたことで、元親は自身の器量と夢との間で苦しみ始める。さらに、天下を目指す信長、秀吉の脅威が迫り――。四国の覇者、長宗我部一族の栄光と挫折を真正面から描く、圧巻の歴史小説。
  • 日本大変 小栗上野介と三野村利左衛門
    -
    アメリカとの条約取り交わしの一員として渡米した小栗上野介忠順は帰国後、幕府最後の勘定奉行となる。その忠順の若いころからの知人で、金平糖売りの利八は、忠順との関係の中で、次第に商人としての頭角を現わし両替商を営むことになる。上野介は幕末の経済危機に立ち向かい、利八は三野村利左衛門と改名し、三井両替店建て直しのために入店する。幕末の混乱期を舞台に描く時代経済小説の傑作。
  • 猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記
    3.8
    旗本の跡取りだが、ある事情で白猫の姿になってしまった宗太郎(通称:猫太郎)。善行を積んで元の人の姿に戻るため、裏長屋でよろず請け負い家業「猫の手屋」を営んでいる。同じ長屋に暮らす賑やかな面々と日々を過ごす彼のもとには、鼠退治から果ては幽霊供養まで、様々な依頼が舞い込んで……。奇妙奇天烈な猫のサムライが活躍する、泣いて笑えるあやかし人情時代劇、開幕。
  • 眠狂四郎異端状
    4.0
    ふらり秋田藩佐竹家領内へ入った眠狂四郎。そこでは、飢饉打開に清国の銀貨を私鋳し、密貿易がたくらまれていた。一方、水野越前守忠邦の側用人・武部仙十郎はその動きを利用し、軍資金捻出のための阿片貿易をはかる。秋田藩と仙十郎、両者の思惑をのせた抜荷船で、異人の占星学者にみちびかれ、狂四郎は清国へ。隠密との闘い、嵐、海賊…。南支那海での危機を描くシリーズ最終作にして最高傑作!!
  • 信長 暁の魔王
    4.0
    「その赤子を殺せ」生まれ落ちたその瞬間から実母・久子に呪詛されて育った信長。癇癪もちで傾いた姿で闊歩する“大うつけ者”は、元服直後の初陣で勝利する。十九のとき父・信秀が病に倒れ、死去。織田の家督を譲られた信長だったが、久子と弟・信行から壮絶な跡目争いを仕掛けられる――。親子の情を知らずに育ち、強くなりたいと切望し続けた、傑出の戦国武将の生き様を描いた歴史長編!
  • 信長の女
    4.0
    和歌や蹴鞠は古くさいと無視、少年たちに菓子を配って家来に従え、馬で駆け回った元服前。織田信長が心惹かれたのは、各地から船で物資が集まる港町だった。商いで世を制することができ、海の道でつながる遠い異国が攻めてくるかもしれない。新しいものに憧れる信長が、明の衣装をまとった美しい少女と出会い、ひと目で虜に……。戦国のカリスマの初恋と青春時代を描く、新釈・信長伝。
  • 波王の秋
    4.1
    時代は南北朝。肥前のとある浜辺に一人の男が泳ぎついた。密使だった。済州島のナミノオオは、上松浦党水軍に手を結ぼうと持ちかける。やがて両軍の後押しで、波王水軍が旗揚げされた。若き上松浦党の後継・小四郎を大将として。海を祖国を護らねばならない。熱き思いを胸に秘め、小四郎が立ちあがる。敵は、強大な元朝。そして決戦の時は、今。大海原を舞台に描かれる北方歴史ハードボイルドの会心作。
  • はぐれ馬借
    -
    その若者、並外れた体躯であった。名は獅子若。比叡山領坂本で馬による陸運業・馬借をしている。世は混迷の室町期、貧者は自力で身を守らねばならぬ。己の腕力のみを信じて生きてきたが、権力者の逆鱗に触れる出来事により叡山領追放の身に。愛馬を連れ、失意のうちに彷徨うなか現れたのは「はぐれ馬借衆」を率いる美少女・佐保だった。彼女の誘いに行動を共にするが、一団を追う刺客の影が――。
  • 破軍の星
    4.4
    建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏討伐の軍を再び起こすが……。一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。
  • 箱根たんでむ 駕籠かきゼンワビ疾駆帖
    5.0
    東海道随一の難所、箱根路。箱根山を越えて西を目指す旅人で賑わう小田原宿で、ひときわ威勢のいい駕籠かきが侘助と漸吉の二人組だ。年の頃と背丈が近いという理由で親方に組まされた二人だが、とにかく息が合わず、喧嘩ばかりの問題児。そんな二人が、商売敵と「箱根一」をかけて勝負することになり――。箱根を舞台に、少年たちの成長と友情を生き生きと描く青春時代小説。
  • 華、散りゆけど 真田幸村 連戦記
    4.0
    時は慶長、大坂の陣。眼下には大地を埋め尽くさんばかりに徳川勢の旗幟がはためく。真田幸村は己の造った出丸に立ち、苛烈な戦場を見据えていた。身に纒うは朱一色の戦装束。狙うは家康の首級ただひとつ。武士に生まれし者の宿命、見事に命の華を咲かせ、武名の芳香を遺そうぞ――たったふたつの戦にすべてを賭けた、稀代の智将の壮烈な生きざまを、濃密かつ流麗な筆致で描ききる戦国歴史巨編。
  • 花の十郎太
    4.0
    時は戦国。春たけなわの合戦日和。大身の槍で花舞う如く敵を薙ぎ払う無双の偉丈夫、修羅十郎太。唯一の憂いは顔の中央に鎮座する巨大な鼻。父亡き後、故郷の飛騨を離れ、命を捧げるに足る君主を求め流浪の旅を続けていたが、偶然救った少女・由香里に心奪われ、叶わぬ恋に身を焦がす。そしてその強さ故、乱世の様様な思惑に巻き込まれ……。名作古典戯曲〈シラノ・ド・ベルジュラック〉を翻案してシバレンが描く、粋で儚い究極の戦国物語を綴った痛快時代小説が電子版で登場!
  • 幕末維新傑作選 最後の武士道
    3.0
    現代の日本が忘れてしまった武士道の有りよう、永遠に語り継ぎたい日本男児の生きざまがここにある! 坂本龍馬、陸奥宗光、西郷隆盛ら、幕末を生きぬいた志士たちの肖像。土方歳三に見込まれた新選組の隊士、天覧のもと兜割りを成し遂げた日の本一の剣豪、西南戦争を闘う薩摩軍兵士ら、維新の動乱を駈けぬけた剣客たちの肖像を描き上げた逸品ばかりを収録。歴史小説の大家が自ら厳選した力作短篇集。
  • 幕末遊撃隊
    4.2
    心形刀流・伊庭道場の後つぎ伊庭八郎。ある理由から剣ひとすじに生きると決め、精進を重ねてきた腕は、不羈の才と評判をとっていた。動乱騒擾の絶え間ない幕末を迎え、八郎は将軍上洛に伴って京へ。幕府の崩壊を目の当たりにし、江戸っ子侍気質そのまま、同士を募って遊撃隊を組織し、怒涛の進撃を続ける官軍に挑む。武士の矜恃を胸に、短く壮烈に生きた美剣士の意気地を雄渾に描く青春幕末秘伝。
  • 幕末牢人譚 秘剣 念仏斬り
    4.0
    嘉永六年、品川宿。何とかなるの一念で江戸に出た針谷清蔵。侍を気取っているが実は貧農の三男で、剣の腕はからっきし。かたや南部権十郎。剣の腕はたしかだが、その日の食にも難儀している牢人者。折しも黒船来航で視察に来ていた佐久間象山、供侍の勝麟太郎との邂逅が、ふたりの運命を大きく変えていく――。時代のうねりに搦めとられた牢人たちの渡世を通して幕末を描く時代小説。
  • 婆娑羅太平記 道誉と正成
    4.7
    時は鎌倉末期。後醍醐天皇率いる軍勢が挙兵し、倒幕の機運が高まっている。強い者につく変節漢としてののしられても己の道を貫いた「バサラ大名」佐々木道誉。そして、天皇への忠節を貫いて華々しく散り、愛国の士としてもてはやされる「悪党」楠木正成。この国の未来を案じ、乱世を治めるべく闘った両雄の行く末は──。この国の礎が築かれた南北朝史に熱き一石を投じる大シリーズ、堂々開幕!!
  • 悲愁中宮
    4.0
    平安時代、権力をほしいままにした藤原一族の中宮定子は、関白・藤原道隆(道長の兄)の娘で、一条帝の皇后となった。幸せそうに見えた定子の運命は、父の死を境に、道長の老獪な陰謀にかかり、あえなく散った……。政略結婚の悲劇をまざまざと描いた、直木賞作家による長編ロマン。
  • 人斬り弥介 その一
    5.0
    享保年間、江戸は禄を求める浪人であふれていた。版木職人・小田丸弥介は、深川界隈の浪人がひとり、またひとりと姿を消していることに気づく。浪人同士の斬り合いが、何者かの意志のもとで行われているらしい。かつては“人斬り”と異名をとった弥介も、百造と名乗る謎の男から浪人を斬るよう強要されるが…。
  • ひとり白虎 会津から長州へ
    4.8
    戊辰戦争に参戦した会津藩白虎隊士・飯沼貞吉。仲間達と自刃したが、唯ひとり蘇生する。江戸の謹慎所で、生き残りと謗りを受ける貞吉に、捕虜受け取り責任者楢崎頼三が、自分の故郷長州へ行こうと誘う。会津を失った貞吉は、敵だった長州へ楢崎と旅立つが……。異郷でもがき苦しみながらも、恩愛を知り、明治の日本人として誇り高く生きた実在の男の波乱の生涯。幕末維新に新しい光を当てる傑作歴史小説。
  • 緋の天空
    3.5
    時は奈良時代。藤原家の一族として生を享け、美しく光り輝くように成長した姿から、父・藤原不比等に光明子と名付けられた一人の少女がいた。成長とともに激しさを増す朝廷の権力争い、貧窮者の救済、仏教の広布、相次ぐ災害や疫病……数々の混迷を乗り越え、夫・聖武天皇を支え、国と民を照らす大仏の建立を目指す。時代を大きく動かし、国の礎を築いた光明皇后。その生涯が鮮やかに蘇る歴史長編。
  • 漂砂のうたう
    3.8
    【第144回直木賞受賞作】御一新から10年。武士という身分を失い、根津遊郭の美仙楼で客引きとなった定九郎。自分の行く先が見えず、空虚な中、日々をやり過ごす。苦界に身をおきながら、凛とした佇まいを崩さない人気花魁、小野菊。美仙楼を命がけで守る切れ者の龍造。噺家の弟子という、神出鬼没の謎の男ポン太。変わりゆく時代に翻弄されながらそれぞれの「自由」を追い求める男と女の人間模様。
  • 貧乏同心御用帳
    4.5
    独身なのに、14歳から6歳までの孤児9人を同居させているかわり者、江戸町奉行所の町方同心、大和川喜八郎・32歳。めっぽう腕は立つが、情には弱い。同僚の妻をはじめ美女が次々失踪する謎を追う「南蛮船」。巾着切が浪人者からすりとった小判には秘密があり……「埋蔵金十万両」。ほか2編の連作短編を収録。喜八郎を居候の子どもたちが助け、事件解決に大活躍する痛快大江戸人情捕物帳!
  • 家、家にあらず
    3.8
    江戸北町奉行同心・笹岡伊織の娘瑞江は、おば様と呼んでいる御年寄職・浦尾の勧めで、大名砥部奥御殿に奉公へ。否応なく、陰湿ないじめや、長局内の勢力争いに巻き込まれていく。折しも、砥部家に勤める女が役者と起こした心中事件を、伊織が探索することになり……。閉ざされた“女の城”で瑞江が遭遇する不可解な事件の数々。家と血の絆を巡る長編時代ミステリー。
  • 深川恋物語
    4.1
    大店のお嬢さんが、お仕着せの人生を捨て、真に愛する人と共に生きようとする姿が清清しい「下駄屋おけい」。互いを想う気持ちがすれ違っていく夫婦の、やりきれなさが胸に迫る「さびしい水音」。交錯する恋心に翻弄されていく男女四人の哀しみが描かれる「仙台堀」など、江戸・深川を舞台に繰りひろげられる、六つの切ない恋物語。第21回吉川英治文学新人賞受賞作。
  • 不忠臣蔵
    3.3
    元禄15(1702)年12月14日夜。赤穂浪士47名が両国の吉良邸に討入りを果たした。この事件はその後300年あまり、日本的な忠義の規範として語り継がれることとなった。しかし、旧赤穂藩士の中にはこの討入りの「義挙」に参加しなかった人々もいた。彼らはなぜ吉良邸に行かなかったのか? 厳密な歴史考証と豊かな想像力で「忠臣蔵」を問い直す歴史小説の傑作。第20回吉川英治文学賞受賞作。
  • 冬姫
    3.8
    織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な〈女いくさ〉を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
  • 鳳凰の黙示録
    -
    西暦1614年。骨肉の争いが絶えない李氏朝鮮王朝。王は異母弟の暗殺を女剣士集団・琴七剣に命じるが、彼女らは王の非道を看過できず幼い王子を譲る側に。刺客として遣わされた妖術士軍団・魔別抄と死闘を繰り広げる。最後の一人となった碧蓮は正統な王位継承者の証を求めて白頭山へ。怨敵の壮一鴻と共闘し、活路を求めて日本に渡る。折りしも時は大坂冬の陣直前だった。不羈奔放の一大伝奇ロマン。
  • 火影に咲く
    3.5
    「川というのは無慈悲なものよ。絶えず流れて一時たりとも同じ姿を見せぬのだから」(詩人・梁川星巌×妻・張紅蘭「紅蘭」)/「わしにもいつか、そねーな日が来よるかのう。日なたを歩ける日が」(長州藩士・吉田稔麿×小川亭の若女将・てい「薄ら陽」)/「死んだって、生きてるんだよ。なにひとつなくならない。あたしが、あの人を慕っていたことも、あの人があたしを何より大事にしてくれていたことも」(新選組・沖田総司×労咳病みの老女・布来「呑龍」)――。新選組の沖田総司や土方歳三、吉田松陰門下生の高杉晋作や吉田稔麿、西郷隆盛らとともに戊辰戦争へと突き進む中村半次郎……。幕末の京を駆け抜けた志士たちも喜び、哀しみ、そして誰かを愛し、愛された。激動の歴史の陰にひっそりと咲く“かけがえのない一瞬”を鮮やかに描き出す全6編を収録した短編集。
  • 真昼の心中
    -
    江戸を襲った大火で出会った寺小姓への恋心から付け火をしたといわれる八百屋お七。だが本当は、あの阿鼻叫喚の火の海の中で芽生えた、ある欲望が彼女を突き動かしていて――(「火の華お七」)。伊勢の遊女・おこん、大奥大年寄・絵島、「ご淫奔」と呼ばれた尾張藩主側室・本寿院…江戸の世で色事をめぐる事件を起こした女たちの心の内に渦巻いていた渇望とは。人間の欲望に迫る官能小説集。
  • まほろばの疾風
    3.9
    時は八世紀末。東北には、大和朝廷に服従しない誇り高い人々がいた。かれら蝦夷は農耕のために土地に縛られるのではなく、森の恵みを受け大自然と共生しながら自由に暮らしていた。だが、その平和も大和軍の侵攻によって破られる。そして、一人の男が蝦夷の独立を賭け、強大な侵略者に敢然と戦いを挑んだ。彼の名はアテルイ。北の森を疾風のように駆け抜けた英雄の生涯を描く壮大な叙事詩。
  • まぼろしの維新 西郷隆盛、最期の十年
    3.0
    首がない。それは西郷隆盛の遺骸だった――。維新の大業を成し遂げた西郷は鹿児島に帰郷していたが、社会の混乱が収まらず、弟・従道の説得により新政府に加わる。精力的に改革を進める西郷だったが、朝鮮との外交問題を巡って大久保らと対立。そして、明治十年の西南戦争に突入する。彼は自らの死と引き換えに何を得ようとしたのか。隆盛の後半生に焦点を絞り、西南戦争の全貌を活写する長編。
  • 狸穴あいあい坂
    3.3
    結寿(ゆず)は、十七の娘盛り。元火盗改の祖父と麻布狸穴で暮らしている。新春、ムジナを探す八丁堀同心・妻木と出会う。精悍だがどこか飄然とした佇まいに、ほのかな恋心を抱く結寿。だが、火盗改方と同心は、手柄を競い合う仇敵関係だ。その頃、夜道で金品を奪う“ムジナ”が出没し……。二人は、祖父に内緒で、狸穴界隈で起こる不思議な事件の謎を解いていく。恋と捕り物の行方を温かな人情のなかに描く連作時代小説。
  • 密命売薬商
    -
    時は幕末。富山藩の薬売り、於菟屋藤次が帯びた使命は薩摩への販路開拓。交渉の切り札“昆布”を求め、北前船で大坂から蝦夷へ。死と隣り合わせの道中、秘伝の忍の技で難局を切り抜けていく。一方、支藩の動きを察した加賀藩が放った刺客は必殺剣の使い手、馬渕洋之進。北から南へ呉越同舟の決死行。二人の男が求めるは生きる道か、はたまた死に場所か。圧倒的迫力で贈るハードボイルド時代小説。
  • 室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君
    4.3
    京と吉野に二人の帝が存在した、南北朝の時代。南朝の帝の妹宮・透子は、北朝に寝返った武士・楠木正儀を連れ戻すべく、乳母と二人きり、吉野から京へと乗り込む。京についたとたん人買いに攫われてしまった二人を救ってくれたのは、猿楽師の美少年・世阿弥と、透子たちの宿敵である足利義満で……。世間知らずの姫君が混迷する時代の中で見たものは。瑞々しい筆致で描く時代小説。
  • 眼鏡屋直次郎
    -
    花の大江戸、文政年間。「全く新しい眼鏡を作ってやる!」と意気込む男がいた。日本橋の老舗眼鏡屋の跡継ぎ息子直次郎。蘭方医学を志し、長崎でシーボルト先生に師事したものの落ちこぼれ。自暴自棄になっていたところに舞い込んだ「女向け眼鏡を作ってほしい」という吉原一の美人太夫からの注文で目が醒めた。やっと見つけた自分の道をきわめるべく、再び長崎へ――。
  • 桃山ビート・トライブ
    4.0
    時は安土桃山。運命的に出会った四人の若者が一座を結成した。驚くべき速さで三味線を弾きこなす藤次郎。出雲のお国一座の笛役者・小平太。信長の従者だった黒人の太鼓叩き・弥介。べらぼうに喧嘩の強い天性の舞姫・ちほ。型破りな芸で熱狂的に民衆に迎えられた彼らは、やがて、庶民への支配を強める秀吉に立ち向かうことに――。エネルギッシュで爽快な、第20回小説すばる新人賞受賞作。
  • 闇の左大臣 石上朝臣麻呂
    4.5
    天智天皇、天武天皇の時代を通じ、物部連麻呂は最下級役人だった。壬申の乱では大友皇子の側に立ったこともあり出世は望めなかった。しかし天武の没後、石上の氏族名に変わり、持統天皇、元明天皇の時代には徐々に位は上がっていった。和銅元年(西暦七〇八年)には、臣下の最高位である正二位左大臣にまで上りつめた。なぜ麻呂はそこまで出世できたのか。闇の部分に迫る古代史長編小説。著者絶筆。
  • 雪の朝
    -
    日米通商条約締結による違勅の罪、安政の大獄による水戸浪士の暗躍――。死の翳りのただよう中で、大老井伊直弼の脳裏をよぎるもの、それは束の間の愛に燃えた、たか女の面影だった……。庶流から身を起こし、経倫の才をかわれ幕府の最高権力者となった直弼の、若き日の彦根藩主時代の悲恋を描く表題作ほか、香気あふれる珠玉作四編を収録。
  • 夢は荒れ地を
    4.0
    カンボジアに派遣され、そのまま行方不明になった自衛官。彼はなぜ、妻子を捨ててまでこの地に留まることを選んだのか。足跡を追う同僚が直面したのは、人身売買、汚職がはびこる腐敗しきった社会だった――。政府に抗い新たな村の建設を目指す元クメール・ルージュ大尉。独力で学校建設を進める日本人。彼らの闘いを通し、カンボジアの昏き深淵を覗く冒険巨編。第22回日本冒険小説協会大賞受賞作。
  • ゆめ結び むすめ髪結い夢暦
    4.0
    代々八丁堀与力をつとめる浅岡家の娘・卯野は、髪を結うことが大好きで、きれいなものに目がない。武家の娘らしくないと母や周囲にたしなめられながらも、新しい髪型を試したり、町ゆく女たちの髪を眺めるのが何よりの楽しみだ。だがある日、当主である兄が、付け火の濡れ衣を着せられ……。運命に翻弄されながらも「好き」を力に変えて懸命に生きる少女の物語。
  • 許されざる者 上
    4.2
    【第51回毎日芸術賞受賞作】紀伊半島は熊野川の河口に位置する街、森宮。医者の槇隆光は貧しい者から治療費を取らないことから親しみを込めて“毒取ル先生”と呼ばれていた。ときは1903年、豊かな自然のなかで暮らす槇たちの周りには鉄道敷設や遊郭設置などの問題が起こり、一方で日露戦争開戦の足音がすぐそこに迫っていた――。歴史上の人物に材を取り、当時の情勢と熊野の人々を瑞々しく描いた第51回毎日芸術賞受賞作。
  • 妖説忠臣蔵
    3.0
    大義のために血盟を誓った3人の武士の中に、ひとりの裏切り者が。疑心暗鬼となった彼らのひとりが殺されひとりは自決し、事件は解決したかに見えたが……。仇討ち遂行のためには手段を選ばぬ大石内蔵助の冷酷さを描く「殺人蔵」ほか、おなじみ忠臣蔵を彩る人物たちの意外なエピソード。
  • 傭兵ピエール 上
    3.9
    十五世紀、百年戦争下のフランス。王家の威信は失墜、世には混沌と暴力が充ち、人々は恐怖と絶望の淵に沈んでいた。そんな戦乱の時代の申し子、傭兵隊を率いる無頼漢ピエールは、略奪の途中で不思議な少女に出会い、心奪われる。その名は――ジャンヌ・ダルク。この聖女に導かれ、ピエールは天下分け目の戦場へと赴く。かくして一四二九年五月六日、オルレアン決戦の火蓋は切られた……。
  • 義時 運命の輪
    3.2
    北条義時。鎌倉幕府第二代執権の座に就くまでの彼は、あまりにも無力だった。姉・政子と義兄・頼朝の非情かつ強烈な個性に翻弄され、父・時政にはないがしろにされ続ける。己が権力を持つことなど、考えることさえできなかった。運命の輪が回り始めるまでは──。頼家の乳母一族として権勢を振るう比企氏を滅ぼし、頼家を幽閉、暗殺した事件から、義時はその本領を発揮し始める。繰り広げられる血で血を洗う抗争。権力者の死、仲間の叛乱、数々の権謀術数、そして、叶わぬ恋。2022年NHK大河ドラマの主人公・北条義時の半生を静謐な熱を込めた筆致で描く歴史小説。
  • 寄席品川清洲亭
    3.5
    時は幕末、ペリー来航の直後の品川宿。落語好きが高じ寄席の開業を思い立った大工の棟梁・秀八。腕はいいが、けんかっ早い。駆け落ちして一緒になったおえいは団子屋を切り盛りするいい女房だ。芸人の確保に苦労するも、寄席の建物は順調に出来上がってきていた。そんな中、突然お城の公方さまが――。秀八の清洲亭は無事柿落しができるのか? 笑いあり涙あり、人情たっぷりの時代小説、開幕!
  • なんてやつだ よろず相談屋繁盛記
    3.9
    江戸の文化が花開く下町の老舗料理屋「宮戸屋」の跡取り息子は、なんとも妙な若者だ。鎖双棍とかいう武器をしのばせ、いざとなれば浪人とも渡り合う。将棋を指せば腕自慢のご隠居もひとひねり。動物と話しているのを見た、なんて噂も。そんな信吾が、店を弟に継がせて、自分は「よろず相談屋」を開くなんて言い出した…。不思議な魅力をもつ青年と、そこから広がる人の輪を描いた軽妙な時代小説。
  • 琉球建国記
    4.0
    15世紀、琉球王国。勝連半島の無頼漢の赤や氷角たちと役人の加那は、立場を超えて仲間となり、民衆に悪政を強いる勝連城主を倒した。新たな按司となった阿麻和利(加那)は、活発な交易で繁栄をもたらす。一方、王位を巡る内乱を経て国王となった尚泰久と側近の金丸は、彼らの活躍に脅威を感じ、失脚させるための計略をめぐらす。国のありようをめぐる阿麻和利と金丸の対立。琉球王朝の興亡という史実を背景に、血湧き肉踊る物語に換骨奪胎し再構築、それぞれの熱い生きざまを描く長編歴史小説。「これは琉球版、水滸伝だ!」――今野敏さん絶賛!
  • 涼州賦
    4.0
    【第4回小説すばる新人賞受賞作】中国は唐の時代末、長安の都からはるかに遠い涼州の地に赴任した若き都督・尚参。この辺境の地でひたすら私服をこやす悪人どもをむこうにまわして戦うには少々頼りない存在である。そんな彼を助けるのが謎の賞金稼ぎ・豹狄と酒場の女・小杏――。アップテンポのストーリー展開、アクションありロマンスありの新感覚中国時代活劇。第4回すばる新人賞受賞作。
  • 林蔵の貎(上)
    3.5
    激動の予兆をはらむ江戸・文化年間、越前の船頭・伝兵衛は謎の武士・野比秀麿を乗せ蝦夷地へと櫓を漕ぐ。そこに待っていたのは測量家の間宮林蔵。彼らの行ったロシア艦との秘密交渉は、徳川幕府とそれに対抗する朝廷・水戸・島津の連合勢力との抗争の口火となった――壮大な北の海にひろがる男たちの野望。
  • 海神 孫太郎漂流記
    3.6
    江戸時代、なかば。仙台を出航した伊勢丸は突風に流される。渇きと飢えと闘いながらの百日間の漂流。その果てに、はるかな南国の島に漂着した。若き水夫・孫太郎の冒険が始まった。灼熱の太陽。奴隷の日々。殺戮と恋。力尽きて死んでいく仲間たち。望郷の念。島から島へと流転を続けながら成長していく孫太郎の青春。著者が新しい地平をめざした長編時代冒険小説。
  • イザベラ・バードと侍ボーイ
    4/4入荷
    -
    三浦半島の下級武士の子・伊東鶴吉は、維新後に通訳となる。父が幕末に函館へ行き生死不明のため、家族を養う身だ。20歳となり、東北から北海道へ旅する英国人作家イザベラのガイドに採用された。彼女は誰も見たことのない景色を求めて、険しき道ばかりを行きたがる。貧しい日本を知られたくない鶴吉とありのままを世界に伝えようとするイザベラ。英国人作家と通訳の青年の北への旅は困難を極める…。対照的な二人が織りなす文明衝突旅を開国直後の日本を舞台に描く歴史小説。

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  • もろびとの空 三木城合戦記
    4/4入荷
    -
    東播磨の大名、別所家の本城である三木城。当主の長治は織田信長に反旗を翻すも、織田勢を率いる羽柴秀吉に攻められ、村人を巻き込んだ過酷な籠城戦が始まる。飢えに苦しむ領民は、究極の選択へと追い込まれ……。米十俵のために握った薙刀で、家族を守るため、戦う覚悟を決める娘。「死に損ない」と罵られ、次こそ死のうと敵を斬り続ける武士。「女らしさ」の呪縛に悩みながら、女武者組の先頭に立って陣頭指揮を執る別所家の妻。華々しい合戦絵巻の裏側に存在した、名もなき人びとのひたむきな生の物語。

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