歴史・時代小説 - 文藝春秋 - 文春文庫作品一覧

  • 戴天
    5.0
    天に臆せず胸を張って生きる男たちを描く 唐・玄宗皇帝の時代。絶対的権力者に抗おうとする若者と、人に人らしからぬ生き方を強いる体制を糺そうとする若僧の、心熱き戦い。 時は玄宗皇帝下の唐、陽物を欠いた名家の貴公子・崔子龍(さいしりゅう)は、辺境民族の征伐に赴く唐軍に従軍し、宦官・辺令誠(へんれいせい)の策略にはまる。心酔する上官・高仙芝(こうせんし)を陥れた辺への復讐を誓う崔の前に現れた僧侶・真智(しんち)。権力闘争に翻弄される男達と、虐げられても強かに生きる女達が安史の乱を機に躍動する歴史大河小説。解説・瀧井朝世 ※この電子書籍は2022年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 菊花の仇討ち
    5.0
    朝顔栽培が生きがいの同心・中根興三郎はある日、 菊作りで糊口をしのぐ御家人の中江惣三郎と知り合った。 だが帰り路、興三郎は何故か中江と間違えられ、 謎の侍たちに襲われかける。 じつは中江は金のために菊を使い悪事を重ね、恨みを買っていたのだ。 興三郎は憤りつつ、彼の行動を調べ始めるのだが……。   解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 岡っ引黒駒吉蔵
    5.0
    訳あって江戸で岡っ引をしている吉蔵は、元は甲斐の国の生まれ。 伝説の黒駒を乗り回し、本業のかたわら小さな「凧屋」を商う。 ある日街なかを暴走する馬に咄嗟に飛び乗り騒ぎを治め、 馬主の侍に怪我人がいないか調べるよう頼まれる。 そして訪ねた小料理屋の板前・仙太郎が先日も肝をつぶす目に遭ったと聞き……。 新シリーズ開幕!
  • 明治撃剣会
    5.0
    魂消える、作品集。 語り草となった太刀風がよみがえる、剣豪小説の醍醐味をいま再び! 明治七年、和歌山へきた撃剣興行一座の一番の遣い手に賭け試合を挑まれた旧幕臣の腕の冴えを描く表題作ほか、著者が剣豪作家として活躍する契機となった、現代の道場破りに息を呑む「孤独な武者振り」、新撰組外伝といえる「祇園石段下の血闘」など全八篇。太刀風鋭い剣技描写が光る、新鮮で骨太な作品集。
  • 虎狼は空に 小説新選組
    5.0
    「新撰組を描いた小説はこれまでにおびただしい数になるであろうが、津本氏のこの長編の特徴は、新撰組をあくまで非常な暗殺集団として容赦なく描き切ったところにある」(解説・桶谷秀昭) 幕末の京都、江戸より上洛した浪士組が殺人集団へ変貌していく。 敵対する者は斬る、隊規を乱す者は斬る。士道不覚悟は切腹。 新撰組の殺伐たる実像を新視点から活写した力作長篇。
  • 姫神
    5.0
    時は推古天皇の御世。混乱を極めた大陸に統一国家“隋”が誕生。 朝鮮半島は分裂したままだが、東アジアは大きく変わろうとし始めた。聖徳太子は“隋”と国交を結ぶことでアジアの安定化を目論み、そのために九州の海の民衆像の一族にその橋渡しを命じる。国内外の妨害工作に悩まされながら、若き巫女が起こした奇跡とは――。
  • 秋山久蔵御用控 野良犬
    5.0
    秋山久蔵や数馬が、袴姿の若い侍に尾行された。過去に遺恨のある者なのかと男の探索を進めると、5年前に久蔵に斬り棄てられた浪人の弟らしい。それを恨みに思っているのか。またなぜ5年前ではなく、今姿を現したのか。誰にでもかみつく“野良犬”のようなその男を前に、身重の香織がいる秋山屋敷は警戒を強めるが……。 好評シリーズ第30弾!第1部完結!
  • 猫は心配症
    5.0
    ますます快調! 化け猫まるとその仲間たち 有能すぎる与力が就任。おネエ同心・中村さまの首が危ない? そんなさなかに大事件が起きて…。大人気「猫は――」シリーズ第3弾。
  • 島原大変
    5.0
    土地の人々が「奥山」と呼ぶ普賢岳に続き、寛政四年三月一日、島原の「前山」が火を噴いた。大噴火は地震と津波を誘発し、肥前島原藩七万石の城下町は一夜にして土砂に埋まった――。大自然の猛威を目の当たりにし、恐怖におののく藩主、武士、医師、町民の姿を活写する表題作の他、歴史短篇小説の傑作三篇を収録。
  • 本朝金瓶梅 西国漫遊篇
    5.0
    おきんとお六、女ざかりの妾2人に挟まれて旅する江戸最強の色男・西門屋慶左衛門。伊勢参りのご利益か自慢のモノがついに回復! 京都で大坂で金毘羅で、西国の美女たちを相手に最高の快楽を求めるが……。色と欲にまみれた男女が豪華に繰り広げる、痛快エロティック時代小説が現代の“精力減退”に警鐘を鳴らす!? 中国四大奇書のひとつ、名作『金瓶梅』に林真理子が新たな命を吹き込んだ、ノンストップ・エンタテインメント第3弾!
  • 春告鳥 女占い十二か月
    5.0
    江戸時代にも「占い」は流行し、女性たちはそのお告げに一喜一憂していた。実際に出版されていた占い本「女用知恵鑑宝織(おんなようちえかがみたからおり)」。女の吉凶を生まれ月ごとにズバリあてるこの本に想を得て、1月生まれから12月生まれまで、12人の女の喜びと悲哀が綴られる。月ごとの風物を織り込みながら、時代小説の名手が江戸の女の恋愛を生き生きと描き出す。切なくも愛らしい傑作時代短篇集。
  • 螢火
    5.0
    明治から大正に移り変わる小樽。活気に満ちた北の街の片隅に、つるの染み抜き屋があった。女の細腕1本で店の切り盛りをするつるのもとには、今日も訳ありの染みが舞い込んでくる。様々な染みに宿る人生と向き合うつる。たまの息抜きは、長屋の住人たちが通う「ちぎり屋」の暖簾をくぐること。消せない過去を抱えた人々が織りなす人間模様。そしてつるにも、決して消えない心の染みが……。心に染み入る連作短篇全5篇。
  • 孟夏の太陽
    4.8
    為政者の徳とは何か。 現代にも通じる王と宰相の関係を描く長篇! 古代中国・晋の宰相として国を支え続けた趙一族の盛衰を、 歴史と運命への透徹した視点をもって描いた初期の傑作長篇。 中国春秋時代の大国・晋。 この国の重臣を代々務めた趙一族。 太陽 の如く酷烈な趙盾、族滅の危機に瀕した趙朔、 名宰相・趙武、王子 朝の乱を鎮定した趙鞅、その子趙無恤……。 二百年にわたる一族の興亡を、透徹した歴史観と清冽な筆致で描いた著者初期の傑作。 指導者に求められる「徳」のありようをめぐる物語。 解説・平尾隆弘 ※この電子書籍は1994年に刊行された文春文庫の新装版を底本としています。
  • 炯眼に候
    4.7
    鉄砲をどう運用すべきか。 天候を予測することはできるのか……。 織田信長による戦の勝利の裏側には恐ろしいまでの合理的思考があった。 戦国の世、最も先を見据えていた男が最後に導き出したものは、 自らの死後、明智を破る秘策だった―。 独自の着眼で誰も見たことのない信長像に迫る、傑作短編歴史小説集。 解説・天野純希 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 朱なる十字架
    4.7
    細川ガラシヤ――。彼女の父は、謀叛を起こした明智光秀。夫は、冷ややかに父を無視した細川忠興。無垢な心と比類なき美貌を併せ持つ彼女に課せられた運命は、あまりにも過酷であった。深い苦悩の末、禁制のキリスト教に救いを見出したのも束の間、関ヶ原合戦の前夜、彼女は自らの命を絶つことになってしまう――。ガラシヤ夫人の愛と苦悩、憂愁の生涯を描く感動の長篇小説。
  • 燃えよ剣(上)
    4.7
    新選組副長、土方歳三を描いた司馬遼太郎の代表作が、ついに電子書籍で登場。無類の面白さが貴方を待ち受ける。これぞ小説だ! 不世出の小説家、司馬遼太郎さんには幕末に材を求めた作品がいくつもあります。そのなかで『竜馬がゆく』とともに特別な支持を集めてきたのがこの『燃えよ剣』。武州から出てきた土くさい田舎剣士、土方歳三。天然理心流四代目の剣豪、近藤勇と出会ったとき、歳三の人生、そして幕末史は回転し始める。近藤局長、土方副長の体制で本格始動した京都守護職配下の新選組。沖田総司、永倉新八、斎藤一ら凄腕の剣客が京都の街を震撼させる。池田屋事件などを経て、新選組とともに歳三の名もあがっていくが――。激動する時代のさなかで剣のみを信じ、史上類例を見ない強力な軍事組織をつくりあげた男の生涯を、練達の筆で熱く描きます。
  • 雲州下屋敷の幽霊
    4.6
    女の怖さ、儚さ、したたかさ、危うさ――。 江戸時代に起こった事件をモチーフに紡がれた珠玉の5篇。 単行本『奇説無惨絵条々』を文庫化にあたり改題。 「雲州下屋敷の幽霊」雲州松平家前当主・宗衍の侍女となったお幸は、 どんな酷い仕打ちを宗衍に受けても、恨む素振りを見せない。 業を煮やした宗衍が思いついたのは、彼女の背に刺青を入れさせることだった……。 「女の顔」南町奉行所の将右衛門は、 材木問屋の娘・お熊が夫に毒を盛った事件で下女のお菊を取り調べる。 彼女が頑なに口を割らない裏には恐るべき事実があった。 「夢の浮橋」見世物小屋一座の智は若い男に頼まれて、身の上話をはじめる。 貧乏漁師の家から吉原に売られた彼女は、 花魁の八橋姐さんに可愛がられていたが……。 ほかに「だらだら祭りの頃に」「落合宿の仇討」を収録。 解説・田口幹人(書店人) ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本『奇説無惨絵条々』を改題した文庫版を底本としています。
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一
    4.6
    14歳の少年は、何を見たのか。 少年の体験を通して、すさまじい沖縄戦の実相をつぶさに描いた長篇小説。 「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」 太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。 実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。 1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。 解説・森史朗 ※この電子書籍は、1911年11月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。単行本は1982年6月に筑摩書房より「陸軍二等兵 比嘉真一」として刊行されました。
  • 沈黙の王
    4.6
    夏、商、周といった古代王朝を舞台にした傑作短編集。 商王朝の王子・丁は、言葉が不自由なため、父王から追放された。しかし苦難の旅の末に、目に見える言葉――文字を創造した。 己のハンディを跳ね返し、普遍的な価値を生み出した高宗武帝を描く表題作「沈黙の王」ほか、四つの短編を収録。
  • 碁盤斬り 柳田格之進異聞
    4.5
    妻を想う男、父を信じる娘。誇りをかけた闘いの結末は!? 藩を追われ、貧乏長屋で暮らす柳田格之進。悲劇の真実を知った彼は、仇討ちを決意し……。草なぎ剛主演映画の小説を脚本家が自ら執筆。 映画『碁盤斬り』は、落語の演目として長く親しまれてきた「柳田格之進」を題材に、『日本沈没』『クライマーズ・ハイ』『凪待ち』などを手掛けてきた脚本家の加藤正人さんが、3年半の月日をかけて書き上げたストーリー。 この映画の世界を、加藤さん自身が小説として書き下ろしました。 登場人物の細かな心情の描写はもちろん、映画では描き切れなかった若き日の格之進の姿、また映画のラストの「その後」がしっかりと描かれており、小説好きの読者も十分に楽しめる作品です。 【あらすじ】 娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らす柳田格之進。 彼は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われた身だった。 しかし、かねてから嗜む囲碁にはその実直な人柄が表れ、江戸で多くの知己を得る。 ある日、旧知の藩士により、彦根藩での悲劇の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意する。 絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。 父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!
  • 色仏
    4.5
    江戸末期の京都。僧になるため上京した烏(からす)は、ある女に出会い仏の道を捨て、観音像を彫り始める……著者初の時代小説。 解説・雨宮由希夫 ※この電子書籍は2017年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 影ぞ恋しき 上
    4.5
    夫婦の絆、親子の情愛。 葉室麟渾身の長編小説。 吉良上野介の孫娘・香也を養女に した雨宮蔵人と咲弥夫婦のもとに信州諏訪から密使の冬木清四郎が。 かの地に配流された上野介の息子・ 義周が香也に一目会いたいというのだ。 諏訪に出向いた一家は、死期迫る義周に清四郎と香也の婚儀を迫られ、承諾してしまう。 時は綱吉治世の末期。一家は再び天下の政争に巻き込まれることに。 ※この電子書籍は2018年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 三国志名臣列伝 後漢篇
    4.5
    後漢という時代は、ひとの美質のなかで、「孝心(親孝行)」を至上とした。 能力よりも徳を重視し、頭脳よりも心を尊重する国家がつくられた。 184年に始まった「黄巾の乱」により、王朝の礎が揺らぐ中、 後漢の理想を体現する名臣たちが輩出する。 大将軍の何進、 劉備の師である盧植、 曹操を支えた荀彧など7人を描く、宮城谷昌光の「三国志」シリーズ。 解説・湯川豊 目次 何進(かしん) 朱儁(しゅしゅん) 王允(おういん) 慮植(ろしょく) 孔融(こうゆう) 皇甫嵩(こうほすう) 荀彧(じゅんいく) ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 悪左府の女
    4.5
    悪左府・藤原頼長から女官に下された密命とは? 平安ピカレスク小説誕生! 平安時代の末、藤原の氏の長者・藤原頼長は冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」というという異名で呼ばれていた。 己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、下級貴族の娘だった。 琵琶の名手である娘は下された密命のため帝の傍に送り込まれる。 時代の変わり目に彼女が見たものとは。 謎とスリルに満ちた長篇宮廷小説。 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年6月9日に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 雑賀六字の城
    4.5
    負ければ皆殺し。生きのこりをかけた戦いがはじまった! 元亀元(1570)年9月。大坂石山本願寺から反信長の檄文が各地に発せられ、紀州雑賀の荘も立ち上がった。得意の海上船や銃撃戦で抵抗する雑賀衆に、信長は圧倒的な軍兵をもってひねりつぶしにかかる。雑賀衆頭領の息子・七郎丸は、将来を約した幼馴染おみつを想いながら銃弾と血風のなかで成長していく。
  • 王家の風日
    4.5
    商の紂王に仕える箕子は、王朝存続に心を砕くが、周の太公望が遂に商討伐の軍をおこした。古代中国商王朝の滅亡を描く一大叙事詩。 歴史小説家・宮城谷昌光の実質的デビュー作! 六百年に及ぶ栄華を誇る古代中国商(殷)王朝の宰相箕子は、新興国周の勢力に押されて危殆に瀕した王朝を救うため死力を尽す。 希代の名政治家箕子の思想を縦糸に、殷の紂王、周の文王、妲己、太公望など史上名高い暴君、名君、妖婦、名臣の実像を横糸にして、古代中国王朝の興亡を鮮かに甦らせた長篇歴史ロマン。 それまで活動してきた純文学系同人雑誌が終刊することになり、作家としての岐路に立った宮城谷氏が、以前から興味のあった中国の歴史に材を取り、限定500部の私家版で刊行。 そのうちの1部が司馬遼太郎氏の目にとまり、励ましの葉書を受け取る。 その後、名古屋の海越出版社から刊行され、94年3月に文春文庫化。 解説・平尾隆弘
  • 無用庵隠居修行
    4.5
    直参旗本・日向半兵衛は、出世のことしか考えない同僚に嫌気がさし、「あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって死にたい」という願いを込めた「無用庵」で隠居暮らしを始める。のんびりと過ごすはずだったが舞い込んでくる事件の数々。「口は悪いが情けにゃ弱い」日向半兵衛が難事件を解決する痛快時代小説。
  • 史伝 西郷隆盛
    4.5
    2018年、NHK大河ドラマの最高の教科書 維新の英雄、西郷隆盛の生き様は薩摩の風土・人情、 そして主家島津家の家風を抜きにしては語れない。 名君斉彬から多くの影響を受けた西郷は、維新の志士藤田東湖、 橋本佐内、月照らとの交流から次第に天下に目を向けるようになった――。 疾風怒濤時代の若き西郷の軌跡を辿り、その実像に迫る傑作歴史読物。 (解説・葉室麟)
  • 月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始
    4.5
    清酒を造ったのはあの山中鹿之助の息子だった! 尼子一族を支えた猛将の息子は、仕官の誘いを断って商人の道を歩む。 日本を代表する鴻池財閥の始祖が清酒の醸造に成功するまで。 山陰尼子家の忠臣山中鹿介の息子でありながら、叔父に育てられた新六は、父を知らず尼崎で成長する。 父の死後、武士を捨て、幼馴染のはなとともに商人として生きる道を選ぶ。 とある出来事から新六改め新右衛門は新たに酒造りを始めるが……。 豪商鴻池の祖となる男の波乱万丈の生涯を描く傑作歴史長篇小説。 解説・島内景二(国文学者)
  • 山霧 毛利元就の妻 上
    4.5
    上下巻累計100万部超えのベストセラー長編歴史小説! 小領主から名将へ駆け上がる元就を支えた妻――。 16世紀初めの戦国時代。土豪たちがひしめく中国山地の小領主だった毛利元就のもとに、<鬼>といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは支え合いながら否応なく戦国の夫婦として生きていく。やがて元就は頭角をあらわしはじめるが……。NHK大河ドラマの原作となった長編歴史小説の傑作。
  • 秋山久蔵御用控 後添え
    4.5
    五百両の値がついた天目茶碗の商談に、贔屓筋に赴いた茶道具屋の主が、大川に遺体となって上がり茶碗も消えた。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵が探索を命じると、怪しい人物が複数浮かんだ。一方、久蔵に後添えの話が持ち込まれ、亡妻の妹である香織は密かに身を引く覚悟を決めた…。 好評シリーズ第11弾!
  • 耳袋秘帖 人形町夕暮殺人事件
    4.5
    人形屋の清兵衛が胸に杭を打ちこまれて死んでいた。現場に残されていたのは、首に赤い紐が巻かれた五寸の「ひとがた」。神社の境内で亡くなった若い娘からも奇妙な「人形」が発見されて……。殺人を暗示する人形と3つの死という、シリーズ最難関の謎に根岸肥前が挑む! しめ婆さんが活躍する書き下ろし余話「気に入らない幽霊」を新収録した、殺人事件シリーズ第9弾。
  • 桂 小五郎(上)
    4.5
    長州藩主の侍医をつとめる漢方医の家に生まれ、幼くして大組士(高級藩士)桂家の養子となった桂小五郎は、嘉永五年、二十歳の秋に萩から江戸へ出た。江戸三大剣客のひとり斎藤弥九郎の練兵館に入門して修行に明け暮れた小五郎は、一年もたたずに神道無念流の免許皆伝を受ける。塾頭となって間もなく、ペリーの浦賀来航で日本中に未曾有の衝撃が走り、小五郎は砲術、造船術、西洋兵学と模索して、かつての軍学の師・吉田松陰の影響を受けながら、次第に志士としての成長を遂げていく。
  • 斬(ざん)
    4.5
    “首斬り浅右衛門(あさえむ)”の異名で天下に鳴り響き、罪人の首を斬り続けた山田家二百五十年の末路は、明治の維新体制に落伍しただけでなく、人の胆をとっては薬として売り、死体を斬り刻んできた閉鎖的な家門内に蠢く、暗い血の噴出であった。もはや斬首が廃止された世の中で、山田家の人間はどう生きればいいというのか。豊富な資料を駆使して時代の流れを迫力ある筆で描き、「歴史小説に新領域を拓いた」と絶讃を博した、第67回直木賞受賞の長篇大作。
  • 壬生義士伝(上)
    4.5
    小雪が舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、傷だらけの侍がたどり着いた。貧しさゆえ南部藩を脱藩し、壬生浪(みぶろ)と蔑称された新選組の隊士になった、吉村貫一郎であった。その剣の冴えは“人斬り貫一”と京の都で恐れられ、一方、極度の倹約のため守銭奴と蔑まれた男には、まったく異なる貌もあった。元新選組隊士や教え子たちが語る非業の隊士の生涯から、血なまぐさい時代にひとすじに生きた「誠」の人生が浮びあがる。03年映画公開。浅田次郎、渾身の名作!
  • 忍者群像
    4.5
    わが手にかけたはずの明智光秀が「生きていたぞよ」と聞いた忍びの小五郎。噂がまことなら、今度こそ討ち果たして忍びの名誉を取り返さなくてはならない。しかしその道筋は意外な方へ(「首」)。潜入先で忍びの正体を見破られ、恐れ入って寝返った寅松。だが、その寝返りを自分の味方に知られ…(「寝返り寅松」)。歴史の裏で活躍した「忍び」同士の因縁の対決、哀愁、恥、名誉など、非情な宿命の中で熱い血をもって生きる姿を描く。全七篇。
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記
    4.4
    シリーズ化も決定! 西條奈加の〈ど真ん中〉傑作人情時代小説 「もう、嫌だ!」定職にもつかず浮気と借金を繰り返す亭主の元を飛び出した絵乃は、ひょんなことから離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代見習いとなる。そこに舞い込んでくるのは、いずれも家族の“情”がこじれた難題ばかり。果たして絵乃は一人前の公事師となり、自身の離縁も成し遂げられるか!? 解説・大矢博子 ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部
    4.4
    奇怪な衣装で宇宙哲学を語り、あの手この手で自分の臥竜伝説を作ろうとする 諸葛孔明はそんなアブなくてセコい男だった! 口喧嘩無敗を誇り、いじめた相手には得意の火計(放火)で恨みを晴らす―― なんともイヤな子供だった諸葛孔明。 奇怪な衣装に身を包み、宇宙の神秘を滔々と説いて人を煙に巻くアブナイ男に、 どうしてあの劉備玄徳がわざわざ「三顧の礼」を尽くしたのか? 新解釈にあふれ無類に面白い酒見版「三国志」第一弾!
  • 新・御宿かわせみ
    4.4
    ついに「御宿かわせみ」復活! 時は移り明治の初年。維新の激動の中で「かわせみ」ファミリーにも数々の厄難が降りかかっていた。東吾は戦乱で行方不明、源三郎は凶賊の手にかかり落命、麻生家も源右衛門ら3名が殺害された。しかし、麻太郎や花世、源太郎らは、悲しみを胸に抱えながら雄々しく歩み始める。いまだ江戸の名残を色濃くとどめ、舶来の風俗が異彩を放つ新しい舞台で、力いっぱい立ち向かっていく次代を背負う若者たち。大河小説第2部、堂々のスタート!
  • 宇喜多の捨て嫁
    4.4
    五冠達成! 驚異の新人、衝撃のデビュー作 戦国時代の備前の国で宇喜多直家は権謀術策を縦横無尽に駆使し、成り上がっていった。 腐臭漂う、傑作ピカレスク歴史小説見参! 娘の嫁ぎ先を攻め滅ぼすことも厭わず、権謀術数を駆使して戦国時代を駆け抜けた戦国大名・宇喜多直家。 裏切りと策謀にまみれた男の真実の姿とは一体……。 高校生直木賞、オール讀物新人賞、舟橋聖一賞、咲くやこの花賞、歴史時代作家クラブ賞の5冠達成! 特別収録・高校生直木賞ルポ。 【目次】 宇喜多の捨て嫁 無想の抜刀術 貝あわせ ぐひんの鼻 松之丞の一太刀 五逆の鼓
  • 常在戦場
    4.4
    急逝した著者の遺した傑作短篇集 家康を支えた異能異彩の七人の家臣を描いた作品集。戦国武将を最も愛した作家・火坂雅志の人生もまさに「常在戦場」だった。
  • 秘本三国志(一)
    4.4
    群雄並び立つ乱世を描く中国古典「三国志」を語るに、著者に優る人なし──世は前漢、後漢あわせて四百年、遂にその巨木も朽ちて、まさに倒れんとする時代。相続く天変地異、疫病の流行は悪政の報いか。ところが天子たる霊帝は遊び呆けてばかり……。道教『太平道』による造反、黄巾の乱をきっかけに、まずは、曹操、孫堅、劉備、関羽など天下制覇を夢みる梟雄、智将の登場。道教『五斗米道』からの視点を加え描く壮大な戦国ドラマ、陳三国志の幕開けである。
  • 恋女房 新・秋山久蔵御用控(一)
    4.3
    “剃刀”の異名を持つ南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵。長男・大助を従えて許せぬ悪に立ち向かう。大人気シリーズ、待望の第二幕スタート! 南町奉行所吟味方与力の“剃刀”こと秋山久蔵。前作から約10年。久蔵の嫡男・大助は元服前、岡っ引の弥平次は隠居して幸吉が跡を継ぐなど、それぞれ年を重ねていた。ある日、定町廻り同心の神崎和馬が下手人の似顔絵を家に持ち帰ると、それを見た姉さん女房の百合江は何故か動揺する……。 全30巻で完結した「秋山久蔵御用控」シリーズの第2シーズン開始。
  • 虹の翼
    4.3
    人が空を飛ぶなど夢でしかなかった明治時代―― ライト兄弟が世界最初の飛行機を飛ばす十数年も前に、 独自の構想で航空機を考案した男が日本にいた。 奇才・二宮忠八の、世界に先駆けた「飛行器」は夢を実現させるのか? ひたすら空に憧れた忠八の波瀾の生涯を、 当時の社会情勢をたどりながら緻密に描いた傑作長篇。 解説・和田宏
  • その男(一)
    4.3
    1981年に文庫化されて以来、46刷まで重ねている池波正太郎のロングセラーが新装版に。 池波正太郎の“もっとも愛着のふかい”長篇小説! 過酷な運命の少年、杉虎之助が、動乱の世を斬り開く――。 杉虎之助は微禄ながら旗本の嫡男。生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで十三歳のとき大川に身を投げるが、謎の剣士・池本茂兵衛に助けられた。この日が波瀾の人生の第一歩だった。 幕末から明治へ、数奇な運命を辿った直参の剣士の生涯を描きつつ維新史の断面を見事に剔る異色の長編小説。 ※この電子書籍は1981年に文藝春秋より刊行された文庫版を、新装版として刊行したものを底本としています。
  • 池波正太郎と七人の作家 蘇える鬼平犯科帳
    4.3
    永遠のヒーロー「鬼平」再来! 人気作家7名が、伝説の男に新たなる命を吹き込みます。 池波正太郎が長谷川平蔵を主人にした短篇小説「浅草・御厨河岸」を書いたのは、昭和42(1967)年のこと。 オール讀物12月号に掲載されたその短篇は大きな反響を呼び、「鬼平犯科帳」としての連載が始まりました。 「鬼平」誕生50周年を迎えた2017年。この記念すべき年に、7人の作家が「鬼平」へ新たな命を吹き込みます。 逢坂剛は「逢坂・平蔵シリーズ」の特別版、上田秀人は武家という官僚社会で生きる平蔵の立場を、諸田玲子は妖盗・葵小僧と鬼平の再対決、風野真知雄は人気シリーズ「耳袋秘帖」鬼平版。 門井慶喜が木村忠吾の食欲の夏を描けば、土橋章宏は平蔵と料理人の味対決、梶よう子は史実の長谷川平蔵に迫ります。これらの短篇に加え、池波正太郎が自らベスト5に選んだ鬼平作品の中から「瓶割り小僧」を特別収録。 各作品に池波正太郎のカット画を使用した、豪華な競作短編集をお楽しみください。
  • おたふく 山本周五郎名品館I
    4.3
    没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。 山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができる傑作短篇集の決定版! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。 その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。 市井に生きる庶民の哀歓、弱き者の意地、男と女の不思議など、特に時代小説に傑作が多く、その数も膨大なものがある。 山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻は「一丁目一番地のひと」と題して、周五郎作品に登場する女性像を分析する。 本書の収録作は以下の9篇。 「あだこ」(絶望した武士を立ち直らせるけなげな娘) 「晩秋」(仇である老臣の立派さ) 「おたふく」(かわいい女) 「菊千代抄」(男として育てられた君主の哀しみ) 「その木戸を通って」(ふっと来て、ふっと消えた女) 「ちゃん」(酔っ払いだが腕のいい職人の父親) 「松の花」(妻に死なれて初めて知る妻の偉さ) 「おさん」(自分の性に翻弄される女を追って) 「雨あがる」(おおらかな浪人とその妻)
  • 戦国 番狂わせ七番勝負
    4.3
    この結末、すべて想定外にして予測不能! 戦国時代に起きた、島津義弘、織田信長、真田昌幸など想定外、七つのストーリーを歴史小説界気鋭の作家たちが描く傑作短編集。 歴史に残るような戦国武将は、戦いに勝つべくして勝つのみにあらず。 時として味方は寡勢、敵は数倍という絶体絶命の場面を潜り抜けて来て、世に名を残したのだ。 織田信長、伊達政宗、浅井長政、島津義弘など七人の武将たちの驚愕の逆転の打開策を、当代きっての名手七人が描く、珠玉の短編アンソロジー。
  • 夢をまことに(上)
    4.3
    江戸時代に空を飛ぼうとした男がいた! 近江国友の鉄砲鍛冶の一貫斎は旺盛な好奇心から、失敗を重ねながらも反射望遠鏡を日本で最初に作り上げる。 「日本のダ・ヴィンチ」と呼ばれた男、稀代の発明家の生涯。 直木賞作家、山本兼一さんの遺作が文庫で登場。 近江国友村の鉄砲鍛冶である一貫斎は村の訴訟に巻き込まれ江戸に出ることになった。 太平の世に鉄砲の注文は減り、村は景気が悪く寂れた状況にあった。 江戸に出た一貫斎は持ち前の好奇心で交友を広げ、オランダ渡りの新式鉄砲の修繕を依頼される。 見事に鉄砲を直した一貫斎は独自の工夫によって改良型まで作ってしまう。
  • 崖っぷち侍
    4.3
    本屋が選ぶ時代小説大賞2014「異国合戦」より面白い! 理不尽な形で主家を滅ぼされた下級武士・金丸強右衛門。戦国から江戸に世の中が変わっても逞しく生きる道を探す新しい武士像を描く!
  • 太公望(上)
    4.3
    古代中国史の中で、この男ほど謎と伝説に彩られた武人はいない……。羌(きょう)という遊牧の民の幼い集団が殺戮をのがれて生きのびた。年かさの少年は炎の中で、父と一族の復讐をちかう。商王を殺す――。それはこの時代、だれひとり思念にさえうかばぬ企てであった。少年の名は「望(ぼう)」、のちに商王朝を廃滅にみちびいた男である。中国古代にあって不滅の光芒をはなつこの人物を描きだす歴史叙事詩の傑作!
  • 富士に死す
    4.3
    いま、改めて富士山を知る――。著者の「富士山もの」の掉尾を飾る傑作。 霊峰富士に対する民間信仰は昔からあるが、急速に大衆化したのは「富士講」の始まった天正年間である。しかし、大衆化は同時に信仰の俗化、形骸化を招いていった。富士講の荒廃に反発する行者・月行に見出され、のちに富士講中興の祖と称されるまでになった身禄の、感動的な波乱の一代を描いた長篇歴史小説。
  • 真田幸村 真田十勇士
    4.3
    柴錬先生の奔放自在な筆がほとばしる、伝奇ロマンの傑作! 家康がもっとも怖れた男、真田幸村。彼のもとには忍者・猿飛佐助や霧隠才蔵、石川五右衛門の一子・三好清海入道らをはじめとする十勇士がいた。忍術、知略を駆使した奇想天外の戦いで徳川方を苦しめるが、やがて最後の決戦、大阪夏の陣が迫る――。幸村たちの超人的な活躍に刮目せよ!
  • 越前宰相秀康
    4.3
    家康が恐れたただ一人の息子――父・家康に疎まれ、秀吉の養子に出された秀康。関ヶ原の戦いの後に越前、福井藩の藩祖となり徳川幕府を支えた男の波乱に満ちた生涯。 家康を父に持つ於義丸は双子で生まれたため、忌避される。兄信康のとりなしで家康に息子として数年後に認知させた。しかし、秀吉の養子として徳川家を出され、豊臣秀康と名乗らされた。それも束の間、関東の名族結城家に養子に出され、父・家康の監視役とされる。家康が恐れた息子の短くも波乱の生涯を描く歴史巨編。
  • 竜馬がゆく(一)
    4.3
    総発行部数2500万部超! 坂本竜馬の奇蹟の生涯を壮大なスケールで描く、司馬文学の金字塔、遂に電子化! 土佐の郷士の次男坊に生まれながら、ついには維新回天の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。司馬遼太郎の永遠のベストセラーが半世紀の時を経て、電子版で新たによみがえる! 第1巻/生まれ落ちたときから背中一面に旋毛がはえていたため、豪気な父は、“千里の駿馬”になるかもしれないと、竜馬と名付けた。が、十二になっても寝小便する。近所の子から「坂本の寝小便ったれ」「坂本の泣き虫」 とからかわれ泣かされて帰ってくる。字を満足に覚えられず、寺子屋の師匠に見捨てられる。そんな竜馬は、十四歳の時に小栗流の道場に通いはじめてから、にわかに顔つきまで変わっていった。竜馬は強い――。幼年時代から、江戸での剣術修業、奥手だった青年時代、人斬り以蔵、桂小五郎との出会いなどを描くシリーズ第1作
  • マルガリータ
    4.3
    第17回松本清張賞に輝いた本作の主人公は、戦国末期、天正遣欧少年使節団の1人としてローマに派遣された千々石ミゲル。8年後、帰国した彼らを待ち受けていたのはキリスト教の禁教と厳しい弾圧。信仰に殉じた他の3人に対し、ミゲルは棄教という選択をする。なぜ彼は信仰を捨て、生き抜こうとしたのか? その生涯をミゲルの妻、珠の視点から描く。「物語を押しすすめる筆力は素晴らしいものがあるし、後半に四人の使者が交わす会話などは作者の熱気が伝わってきた。生身の人間が見えた気がした」(伊集院静氏の松本賞選評より)。新人離れした練達の筆が冴える、傑作歴史小説。
  • 耳袋秘帖 新宿魔族殺人事件
    4.3
    宿場町の内藤新宿で、やくざが次々に殺害された。大石田一家率いるブケの千蔵と、大橋本一家の陣五郎親分の抗争のさなか浮かび上がってきた、忍びの者の影──「ふまのもの」とは、いったい何者なのか? 荒ぶるやくざ者たちを恐慌に陥れた連続殺人事件に、根岸肥前がシリーズ最大の大捕物で挑む! 佐渡奉行時代の根岸が金塊の密輸事件の謎を解く、短編「黄金の海」を新たに収録。殺人事件シリーズ第7弾。
  • はだか嫁
    4.3
    美貌と気立てを見込まれ、江戸で指折りのリサイクルショップ・献残屋に嫁いで十二年。夫が外で生ませた子を育てながらも懸命に店を守るおしのは、ある日、またも夫の裏切りを知り、店を出る決意をするのだが…。時の将軍の寵姫「お琴の方」との交流、女主人としての迷いと決断。それらを経験し成長していく女性を鮮やかに描く時代小説。
  • だましゑ歌麿
    4.3
    江戸の町を高波が襲った夜、当代の人気絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。歌麿の幕府風刺を憎む上からの圧力に抗いつつ、事件の真相を追う南町奉行所の同心・仙波。仙波の前に、やがて明らかとなる黒幕の正体と、歌麿のもう一つの顔とは!? 時代はまさに「鬼平」こと長谷川平蔵が火附盗賊改(ひつけとうぞくあらため)の重職を担っていた当時で、鬼平もたっぷり登場します。浮世絵を愛する著者が、江戸の町が見えるように生き生きと語る、恋あり仁義ありの傑作時代ミステリー!
  • 陰陽師
    4.2
    1~25巻570~1,700円 (税込)
    時は平安時代、京の都に安倍晴明という名高い陰陽師がいた。まだ闇が闇として残り、夜になれば人も、鬼も、物の怪も、同じ都の暗がりに、息をひそめて住んでいた時代だ。安倍晴明は従四位下、大内裏の陰陽寮に属する陰陽師。死霊や生霊、鬼など、普通の人間には見えない、妖しのものどもを相手に、この世ならぬ不可思議な難事件をあざやかに解決する。親友の源博雅は、霊感はまるでないが、刀では敵なしの強さ。力を合わせて物の怪に挑む。野村萬斎・主演で映画化された原作!
  • 駆け入りの寺
    4.2
    悩みを抱える人々が門を叩く、一風変わった駆け込み寺。 平穏で優雅に暮らす尼たちの元へ、ある日飛び込んできたのは「助けてほしい」と叫ぶ若い娘……。雅やかで心に染み入る連作時代小説。 ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 将軍の子
    4.2
    名君・保科正之の来歴を、爽やかに描きだす。 生まれた直後に養子に出された徳川秀忠の庶子、保科正之。 不遇にも見える生い立ちの陰には、彼を思いやる多くの人々がいた。 養母となった武田信玄の娘、見性院。 人徳の高さを買われ、養父となった高遠藩主、保科正光。 そして陰に日向に力になってきた老中、土井利勝。 江戸城の外で育った「将軍の子」は、 いかにして稀代の名君と呼ばれるに至ったのか。 今もっとも注目される歴史時代小説の新鋭が、その半生を辿る。 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 銀の猫
    4.2
    出戻り介抱人・お咲は今日も寝不足! 江戸の介護を通して描かれる絶品小説。 嫁ぎ先を離縁され、「介抱人」として稼ぐお咲。 百人百様のしたたかな年寄りたちに日々、人生の多くを教えられる。 一方、妾奉公を繰り返し身勝手に生きてきた自分の母親を許すことができない。 そんな時「誰もが楽になれる介抱指南書」作りに協力を求められ――。 長寿の町・江戸に生きる人間を描ききる傑作小説。 解説・秋山香乃 ※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 葵の残葉
    4.2
    新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞W受賞! 維新に放浪された高須松平家の四兄弟。 石高わずか三万石の尾張高須の家に生まれた四兄弟は、縁ある家の養子となる。 幕末の激動期、官軍・幕府に別れて戦う運命に。 御三家尾張藩主となり、いち早く官軍についた次男・慶勝。 一橋家を継ぎ維新派と交渉した五男・茂栄。 美貌と高潔で知られた会津藩主、六男・容保。 京都所司代として兄・容保を補佐し、最後まで転戦した八男・定敬。 兄弟の誰か一人でも欠けていれば、幕末の歴史は変わった――。 埋もれた歴史を活写する傑作長篇小説! 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 天下 家康伝 上
    4.2
    天下は一人のためにあらず! 惜しまれつつ急逝した著者最後の文庫本。 信長の着想力も、秀吉の魅力もない家康が何故天下人になりえたのか、その謎に挑んだ意欲作。 幼いころに父を失い、織田、今川両家の人質となり、苦労を重ねる家康。 桶狭間の戦いで、今川から自由となったが、織田と同盟を結んだことにより戦はまだまだ続く。 越前朝倉攻め、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い、甲州討入り、上田合戦。 この時代に生きる事とは戦う事であった。 戦無き世を夢見て、家康は戦い続ける。
  • 最後の将軍 徳川慶喜
    4.2
    ペリー来航以来、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、朝野は最悪の政治的混乱に陥ってゆく。 文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場した、のちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢にみずから幕府を葬り去った。 さまざまなエピソードを連ねて描かれる、“最後の将軍”の生涯。 解説・向井敏
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲
    4.2
    医療は平等なり。近代医療の父の高潔な生涯 パリで神聖なる医学の精神を学んだ医師・高松凌雲は、帰国後、旧幕臣として箱館戦争に参加する。近代医療の父を描いた幕末歴史長篇。
  • 耳袋秘帖 湯島金魚殺人事件
    4.2
    「金魚釣りに引っかかっちまったよ」。陰間(男娼)の集まる湯島で、謎の言葉を残して旗本の倅が死んだ。<くじら>という異名をもつ、巨漢のおかま、松平定信の特命を受けて風紀粛正に乗り出す目付、湯島の親分ぴんぞろの捨松らが入り乱れ、奇想天外なミステリが幕を開ける。根岸肥前守が難事件に挑む殺人事件シリーズ第15弾!
  • 鬼平犯科帳<番外編> 乳房
    4.2
    「まるで不作の生大根(なまだいこん)をかじっているようだ」と男に自分の身体をけなされ、その煙管職人をお松が殺した頃、長谷川平蔵は旗本として退屈な日々を送っていた。その平蔵が火付盗賊改方に就任した直後の捕り物と、お松の数奇な人生が絡み合うことになろうとは……。平蔵が「男にはない乳房が女というものを強くするのだ」とふと洩らす。過酷な運命を背負う、女だけでなく男の生き方をも、情感ゆたかに描きだした鬼平犯科帳番外編。
  • 耳袋秘帖 浅草妖刀殺人事件
    4.2
    刀屋ばかりを狙う盗人「おたすけ兄弟」が、近所の神社に金を隠すのを見た町奉行所の中間・与之吉は、娘の薬代にとこれを奪うが、やがて兄弟に嗅ぎつけられ、身の回りに危険が迫る。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第3弾。坂巻が、初めて江戸見物をした日を描いた書き下ろし短編「ずぼんぼ」を特別収録。
  • 銀漢の賦
    4.2
    二十年を経て、身分を遥かにへだてた男たちの友情は復活するのか? 江戸の寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部(くさかべ)源五と、名家老と謳われ、南画の名手としても幕閣にまで名声が届いている松浦将監(しょうげん)。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、ながく絶縁状態となっていた。ともに五十歳をこえて二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。松本清張賞受賞の傑作時代小説。
  • 武田信玄 風の巻
    4.2
    狂乱の振る舞いで、民に怨嗟の声をあげさせていた父・武田信虎は、次男の信繁を盲愛するあまり長男・晴信(=信玄)を露骨に疎んじていた。信玄は命の危険を感じ、苦悩の末、父を駿河の国に追放する。甲斐の国の主となり、信濃の国に怒濤の進撃をはじめた信玄は、諏訪頼重を幽閉し、小笠原長時を塩尻峠に破り、さらに村上義清を砥石城に攻略する。いつか京都に上ろうと野望を燃やしながら…。圧倒的なスケールと説得力ある取材で武田信玄の生涯を描く歴史小説、第1巻。
  • おろしや国酔夢譚
    4.2
    天明二年(1782)の暮、伊勢を出帆し江戸へ向かった大黒屋光太夫率いる神昌丸は、強風に運ばれアリューシャン列島に漂着した。帰国の途を求めて光太夫はシベリアを横断し、モスクワを経由してぺテルブルグを越え、ついにロシア女帝エカチェリーナ二世の謁見を受ける。風雪十年ののち対日使節とともに故国に帰った光太夫に、幕府は終身幽閉を命じた……。鎖国の時代、運命に操られるままに世界を見た漂民の波瀾と感動の生涯を十八世紀日露交渉史、漂民史等を駆使して描いた哀切の大作。
  • 鬼平犯科帳(一)
    4.2
    斬り捨て御免の権限を持つ、江戸幕府の火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の長官・長谷川平蔵。その豪腕ぶりは、盗賊たちに“鬼の平蔵”と恐れられている。しかし、その素顔は「妾腹の子」として苦労をし、義理も人情も心得ている。昔は大いに遊び、放蕩無頼の限りを尽くしたことも。テレビに舞台に、人気絶大の鬼平シリーズ第一巻は「唖の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」を収録。
  • 幕末新選組 新装版
    4.2
    なあに、明治維新なんてえものはね、つまり薩長たち雄藩と徳川との争いさ。いまのような文明開化の世が来たのも、そいつは時勢というやつでね。つまりは日本国民がえらいのだよ──いたずら好きの腕白小僧が、父の意に反しひたすら剣術の稽古にあけ暮れて十年。折しも幕末の動乱期、永倉新八は剣道の快感に没入した青春の血汐をそのまま新選組に投じた。女には弱いが、剣をとっては近藤勇以上と噂された新八の、維新後におよぶ生涯を、さわやかに描ききった長篇。
  • 御宿かわせみ
    4.2
    江戸情緒をたたえた捕物帳でロングセラーとなった、人気シリーズの新装版の第一作。大川端にある小さな旅籠「かわせみ」。若き女主人るいは、元・同心の娘。都市を行きかう人びとがひと時のやすらぎを求めて投宿する。ときに、表沙汰にできない厄介ごとを胸に秘めて……。誘拐、詐欺、敵討ちなど、大小さまざまの事件に巻きこまれながら、るいは恋人の神林東吾と協力し、解決の途をさぐってゆく。数度にわたりテレビドラマ化され、話題をとった人情譚。
  • 本朝金瓶梅 お伊勢篇
    4.2
    姦婦おきんに続き、今度は裕福な饅頭屋の後家、そして人妻お六も妾にした西門屋慶左衛門。江戸一の色男の評判は高まるばかりだが、なんと自慢の魔羅が役に立たなくなったからさあ大変。四国のお殿様が愛用しているという噂の強壮剤を手に入れるため、お伊勢参りにかこつけて妾二人と旅に出たが…地獄の沙汰も金次第、重い荷物は運ばせ、宿は選りすぐり、美少年の陰間や「筆おろしの神さま」まで飛び出して、色欲全開の東海道中絵巻! 豪華絢爛な新・官能時代小説、第ニ弾。
  • 仇討群像
    4.2
    仇討(あだうち)といっても、理由はさまざま。この短篇集のキーワードは「色欲」と「仇討」。殿のご寵愛ただならない美男の小姓が仲間に殺された、殺人をおかし仇討におびえながらも女色にふける若者、同僚の妻への横恋慕など、それぞれの内情があり、仇討のために狂わされる人生がある。人間の本性をしたたかに描き出す傑作短篇集。それにしても、色子と呼ばれる若者を抱かせる陰間茶屋、尼姿の娼婦がいる比丘尼(びくに)宿と、江戸時代の性風俗の豊富さは驚きです。
  • 火天(かてん)の城
    4.2
    信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。安土山のいただきに巨大な城を築け、天にそびえる五重の天守を建てよ! と命じられた岡部又右衛門と息子の以俊は、その難題を形にする、前代未聞の巨大プロジェクトに挑む。いまだかつてない、南蛮風の天守にせよ。見上げれば、思わず掌を合わせとうなるほど秀麗な…信長の野望と大工の意地、情熱、創意工夫、膨大な労力──すべてをのみこんで完成した、安土城。その築城の真相に迫る、松本清張賞受賞作。
  • 御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版
    4.1
    傑作時代小説シリーズの決定版! 身の丈五尺一寸、風采の上がらない五十男。しかし実は来島水軍流の凄まじい遣い手――。赤目小籐次、たった一人の闘いが幕を開ける!
  • 陽炎ノ辻 居眠り磐音(一)決定版
    4.1
    佐伯泰英さんの代表作「居眠り磐音」決定版! 第一巻『陽炎の辻』は、豊後関前藩の若き武士3人が、国許へと帰参するシーンから始まります。 その夜、3人が直面した思いもよらなかった運命。 そして、浪々の身となった坂崎磐音は江戸・深川で長屋暮らしを始めます。 平成でもっとも愛されたエンタメ時代小説。 著者自らが再度手を入れ〈決定版〉として蘇りました。
  • 天地に燦たり
    4.1
    新直木賞作家、驚異のデビュー作 選考委員も絶賛した松本清張賞受賞作。 戦を厭いながらも、戦でしか生きられない島津の侍大将。 被差別民ながら、儒学を修めたいと願う朝鮮国の青年。 自国を愛し「誠を尽くす」ことを信条に任務につく琉球の官人。 秀吉の朝鮮出兵により侵略に揺れる東アジアを、日本、朝鮮、琉球の三つの視点から描く。 松本清張賞選考委員会でも絶賛された歴史エンターテインメント。 解説・川田未穂 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 坂の上の雲(一)
    4.1
    維新で賊軍とされた伊予・松山に、三人の若者がいた。貧乏士族の長男で風呂焚きまでした信さん(後の秋山好古)、弟で札付きのガキ大将の淳さん(真之)、その竹馬の友で怖がりの升さん(正岡子規)である。三人はやがて、固陋なる故郷を離れ、学問・天下を目指して東京に向かう。しかし、誰が彼らの将来を予見できただろうか。一人は日本陸軍の騎兵の礎をつくり、一人は日本海大海戦を勝利にみちびき、さらに一人は日本の文学に革命を起こすことになるのである。
  • 菜の花の沖(一)
    4.1
    江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。
  • 三国志 第一巻
    4.1
    宮城谷文学の集大成。現代日本の『三国志』決定版! 後漢王朝の衰亡――。建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。6代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に1人の幼い宦官がついた。その名は曹騰(そうとう)。後に8代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。
  • 花鳥の夢
    4.1
    狩野派を引き継ぎ変革した天才の生涯 安土桃山時代。権力者たちの要請に応え「花鳥図襖絵」など、次々と新境地を拓いた天才画家・狩野永徳。芸術家の苦悩と歓喜を描く。
  • 酔って候
    4.1
    幕末の混迷期、なすすべを知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた賢侯たちがいた。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」(「あとがき」より)彼らを題材に、著者ならではの視点で幕末を探る短篇連作。
  • 世に棲む日日(一)
    4.1
    2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公は久坂玄瑞の妻、文(ふみ)。文の兄であり玄瑞の師である吉田松陰こそ、『世に棲む日日』前半の中心人物です。「人間が人間に影響をあたえるということは、人間のどういう部分によるものかを、松陰において考えてみたかった。そして後半は、影響の受け手のひとりである高杉晋作という若者について書いた」(「文庫版あとがき」より) 嘉永六(1853)年、ペリー率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕かをめぐり、国内には激しい政治闘争の嵐が吹き荒れていた。この時期、骨肉の抗争を経て倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ松下村塾主宰・吉田松陰と、後継者たる高杉晋作がいた――。維新前夜の青春群像を活写した怒濤の歴史長編、ここに開幕。
  • 華栄の丘
    4.1
    司馬遼太郎賞受賞作。争いを好まず、あえて負けを選ぶことで真の勝ちを得る――。乱世にあって自らの信念を曲げることなく、詐術とは無縁のままに生き抜いた小国・宋の名宰相、華元(かげん)。出目で太鼓腹の巨漢、人をつつみこむ、あかるく磊落(らいらく)な性格。西郷隆盛をおもわせる男、とは作者の言。名君・文公を助け、ついには大国晋と楚の和睦を実現させた男の奇蹟の生涯を、さわやかに描く中国古代王朝譚の名作。人間の器量について考えさせられる一冊!
  • 花冠の志士 小説久坂玄瑞
    4.1
    2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、主人公はこの若き志士を愛した! 幕末の乱世、尊王攘夷派の志士たちの中心人物として短い人生を駆けぬけた久坂玄瑞。長州藩医の子として生まれ、黒船来航から間もなく家族を喪い、攘夷の志に燃えた。松下村塾の双璧として高杉晋作と並び称され、師・吉田松陰の妹を妻とした。詩を愛し、武に生き、もののふとして散ったその生涯を描いた決定版。
  • 美貌の女帝
    4.1
    壬申の乱を経て、藤原京、平城京へと目まぐるしく都が遷る激動の時代。その裏では、皇位をめぐって歴史の節目となる大変革が進行していた。繰り返される裏切り、陰湿なる策略。矢面に立たされた氷高皇女が女帝・元正天皇となり、自身のすべてを政治活動に捧げ、守り抜こうとしたものとは何だったのか――。悲劇の女帝を描いた長篇歴史小説。
  • たまゆらに
    4.1
    舞台は文化3年の江戸・日本橋。青菜売りの朋乃は、橋で五十両もの大金入りの財布を拾った。この財布を巡って思いがけぬ長い一日が始まる――欲深い人間たち、真摯に生きる価値を描ききる傑作時代小説。江戸情緒満点、正直と粋の人生応援歌!
  • 野菜畑で見る夢は
    4.1
    「日経ヘルス」誌で、健康誌史上初の連載恋愛小説として話題騒然! 耕し、種を蒔き、慈しむ。野菜たちが教えてくれる恋の育て方とは?――同窓会に参加するため帰郷したまゆみは、別れた彼と再会する。プロポーズを退けて東京で働くことを選んだ彼女と、故郷で教師をしながら野菜畑を育てる彼。終わったはずの恋が10年の時を経てふたたび芽吹く……。恋愛小説の名手が描きだす、野菜のようにみずみずしく、栄養と幸せ満点の、3組の恋の物語。「空豆のコロッケ」「イタリアのおっかさん風、アラビアータ」「おばけかぼちゃパイ」など、おいしいレシピも満載!
  • 星落ちて、なお
    NEW
    4.0
    女絵師の一生を描ききった直木賞受賞作! 不世出の絵師・河鍋暁斎の娘とよは、暁翠の画号をもつ女絵師。 父亡き後、仲がよいとは言えぬ腹違いの兄・周三郎(暁雲)と共に、 洋画旋風の中、狩野派由来の父の画風を守ろうとする。 明治大正の激動の時代、家庭の生活を担いつつ、 絵師として母として、愚直に己の生を全うした女の一代記。 第165回直木賞受賞作。 解説=東山彰良 ※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 白光
    4.0
    日本初のイコン画家・山下りん その情熱と波瀾の生涯! 明治13年にロシアに留学しイコンを学ぶ。一途さゆえ周囲と衝突し芸術と信仰のはざまでもがきながら生きた女性を描く感動長編。 「絵師になりたき一念どうにも抑え難く」茨城県笠間を飛び出した15歳の山下りん。東京で工部美術学校に入学を果たし、西洋画の道を究めようと決意する。ロシヤ正教の宣教師ニコライに導かれ、明治13年、聖像画制作を学ぶため帝政ロシヤに渡るのだが――情熱に従って生きた日本初のイコン画家を描く圧巻長編。解説・酒井順子 ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー
    4.0
    練達のベテランから気鋭の若手まで、時代小説の粋 江戸の華〈祭り〉をテーマに人気時代小説作家が競作! 宮部みゆき「三島屋変調百物語」の最新作など、読み応え十分のアンソロジー。
  • 浄土双六
    4.0
    荒廃する室町時代を舞台に、男と女の欲と情念を描く。 足利八代将軍となる義政を育てた乳母の亥万(いま)。 彼女はやがて、義政に閨の手ほどきをし、 側女として政にも関わるようになっていった。 正室の日野富子が待望の子を授かるが、 産まれてきた赤子は呼吸をしていない。 富子は亥万の呪詛が腹の子を殺したのだと訴えて――。 室町時代を舞台に人間の業と情を描く傑作歴史小説。 対談・近藤サト ※この電子書籍は2020年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 孔丘 上
    4.0
    人間・孔子が生きている 孔丘は家族の情愛に恵まれずに育つが、学問を愛する青年となる。徳と礼で民を治める理想を磨き続けた儒教の祖の一生を描く大河小説。 ※この電子書籍は2020年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 猪牙の娘 柳橋の桜(一)
    4.0
    新作書下ろし時代小説4巻連続刊行! 吉原や向島などへ行き交う舟が集まる柳橋。神田川と大川が合流する一角に架けられたその橋の両側には船宿が並び、働く人、遊びに行く人で賑わっていた。柳橋の船宿「さがみ」で働く船頭の広吉には一人娘がいた。名前は桜子。三歳で母親が出奔するが、父親から愛情を受けて育ち、母譲りの器量よしと、八歳から始めた棒術の腕前で、街の人気娘に育っていた。夢は父親のような船頭になること。そんな桜子に目を付けた船宿の亭主による「大晦日の趣向」が思わぬ騒動を巻き起こし……。涙あり、恋あり、活劇あり。待望の時代小説新シリーズの幕が開く。2023年6月から9月、四か月連続刊行!
  • お順 上
    4.0
    凛としたお順と、彼女を取り巻く幕末の勇士たち 勝家の末っ子、お順は愛らしい容姿とは裏腹に気性が激しく、兄の麟太郎(のちの勝海舟)から可愛がられて育つ。嫁ぐなら「一番の男」と決めているお順は、麟太郎と交流の深い剣客・島田虎之介に心を奪われるが……。好いた男を想い続けながら、幕末の動乱期を逞しく生きるお順と、彼女を取り巻く志士たちの魅力を鮮やかに描いた時代小説。 ※この電子書籍は2014年10月に刊行された文春文庫の新装版を底本としています。

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