国内ミステリー - 中央公論新社 - 中公文庫作品一覧
-
-
-
4.7
-
3.0一篇の詩を生むためには、 我々はいとしいものを殺さなければならない これは死者を甦らせるただひとつの道であり、 われわれはその道を行かなければならない ――(「四千の日と夜」より) 『荒地』同人として鮎川信夫らとともに日本の戦後詩をリードした国際的詩人にして、早川書房の初期編集長兼翻訳者として海外ミステリ隆盛の基礎を築いた田村隆一(1923-1998)。 アガサ・クリスティの翻訳に始まり、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の出発、「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の創刊……その比類なき体験による、彼にしか語りえない数々の貴重なエピソードとユーモアは、詩(ポエジー)と戦慄(スリル)の本源的考察を通して、やがて21世紀の我々をも刺し貫く巨大な文学論・文明論へと至る――人類にとって推理小説(ミステリ)とは何か? 聞き書き形式でポーからロス・マクドナルドまでのクラシック・ミステリをガイドするロング・インタビュー(旧版『ミステリーの料理事典』『殺人は面白い』所収)を中心に、クロフツ『樽』やクイーンの四大『悲劇』といった翻訳を手がけた名作の各種解説、クリスティとの架空対談、江戸川乱歩や植草甚一にまつわる回想、生島治郎・都筑道夫ら元早川出身者との対談など、推理小説に関する著者の文章を単著初収録作含め精選し大幅増補した、まさに田村流ミステリ論の決定版。生誕100年記念刊行。 【目次】 Ⅰ クラシック・ミステリ・ガイド(インタビュー) Ⅱ 訳者解説(F・W・クロフツ/アガサ・クリスティ/ジョルジュ・シムノン/エラリイ・クイーン) Ⅲ エッセイ・対談(×生島治郎「諸君、ユーモア精神に心せよ」/×都筑道夫「EQMMの初期の頃」) Ⅳ 資料編 〈解説〉 押野武志
-
4.0「日本最凶」の古典怪談、ここに甦る……。 ある地方の古着屋が入手した、青海波模様の縮緬布団。以来、その周囲では血塗れの美女が出現する怪現象が続発し、ついに死人まで――読む者を虚実のあわいに引きずり込む、独特の恐怖世界。日本怪談史上屈指の名作として読み継がれる表題作ほか、現代ホラー界の先駆的存在である著者初の怪談ベスト・セレクション全七篇。 【目次】 Ⅰ 蒲団(1937) 棚田裁判長の怪死(1953) 棺前結婚(1952) Ⅱ 生不動(1937) 逗子物語(1937) 雨傘の女(1956) 帰らぬ子(1958) 〈解説〉朝宮運河
-
4.0
-
3.9
-
4.3
-
3.4
-
4.0果てしなくくりかえされる愛憎。反転する虚実。そして待ち受ける驚愕の結末――。 騙りの巨匠の大技が冴え渡る、これまで単著未収録だった貴重な恋愛×ミステリ短篇14篇を初書籍化。 文庫オリジナルアンソロジー、没後十年刊行。 解説=浅木原忍 【目次】 Ⅰ/短篇 黒真珠(1990) 過剰防衛(1982) 裁かれる女(1996) 紫の車(2008) ひとつ蘭(1997) 紙の別れ(1998) 媚薬(1994) Ⅱ/掌篇 片思い(1993) 花のない葉(1994) 洗い張り(1988) 絹婚式(2000) 白い言葉(1996) 帰り道(1996) 初恋(1996)
-
3.5アリバイが消えたとき、笑うのは誰だ? 没後20年。「木枯し紋次郎」だけじゃない、ミステリ作家の面目躍如。本格推理から、サスペンス、そして著者の真骨頂たる宿命小説まで、バラエティに富んだ作品8篇をセレクトする。 *収録作品 殺してやりたい 十五年は長すぎる お嫁にゆけない 第三の被害者 不安な証言 鏡のない部屋 アリバイ奪取 「笹沢左保君の活動ぶりはまことに驚異である。ここに集録されている作品などは笹沢君の実力を示すものであろう。「鏡のない部屋」は醜女の悲劇を扱った傑作だ(中略)。それにしても笹沢君の力量は、はかり知れないものがある。現在、推理作家中、最も多作をしているようだが、それでいて、駄作が見当らないから敬服のほかはない。」(『鏡のない部屋』〈宝石社、1963年〉に寄せた江戸川乱歩のコメント)
-
-アパレル企業社長の父親から一億円を渡され、京都へ人間修業に来た平松青年。会社を継ぐには京文化や女心を学ぶ必要がある、というのだ。祇園甲部の芸妓・小万や弁護士、骨董の目利き、影の実力者らが平松の周りに集まってくる。そんなある日、都をどりを見に来た女性が小万の点てたお茶を口にすると急死した。さらに彼の周囲に事件が相次ぐが!? 殺人、ストーカー、誘拐――事件の渦中にある平松に、京都府警の木下が東京から来た男を紹介した。自分も京都遊びを覚えたいと、西陣の旦那衆と日夜豪遊を繰り広げる十津川警部であった。彼は身分を隠し、ある男の行方を捜していた。やがて平松の周辺で起きる事件と十津川が追う事件とを結ぶ糸が!? 真相に迫る十津川を京文化の闇が翻弄する!!
-
3.5
-
3.3
-
4.3
-
4.5与党・明正党の総裁選で惜敗しながら、野党議員の投票により日本初の女性総理大臣となった三崎皓子。党の重鎮議員の反対で組閣もままならない。そんななか、危機管理官より、「秩父に大雨が降っており、このままでは荒川が決壊、都心が水に沈む可能性がある」との情報が入る。さらに追い打ちをかけるように、台風八号と九号が発生。皓子は日本では例がない「緊急事態宣言」を提案するが、経済の停滞を理由に閣内で反対の声が上がり――。 荒川河川事務所の所長・里見はその頃、隅田川流域への被害を回避すべく奮闘していた。刻々と上がる水位、そしていよいよ、水門を閉める決断をするときが来た――。 あかね銀行のディーリングルームではその頃、「なんだこれは!」絶叫が響いていた。一瞬でドル円相場が20円も飛び、159円をつけたのだ。「ガラだ! 大暴落だ!」――。 東京都心を直撃する大規模な自然災害、ゼロ金利政策を続ける日銀への信用不安。いつ現実のものとなってもおかしくない二つの危機に襲われた日本を、皓子はどのように救うのか?
-
4.0
-
3.9
-
4.0
-
-
-
3.7
-
3.7
-
3.5
-
3.6
-
3.5
-
3.5
-
3.5
-
3.8
-
3.5
-
3.5
-
3.8
-
3.7
-
4.1
-
3.2
-
3.953歳の真行寺弘道は、「巡査長」という肩書きが警視庁捜査一課で異例なだけでなく、きっちり公休を取り自宅のオーディオでロックを聴くのが楽しみという、刑事としてはかなりの変わり種。捜査の「お約束」である所轄刑事との相勤を避けて単独行動するなど、型破りな行動・言動で知られている。これまた異例ながら、キャリアで捜査一課長の水野玲子警視に命じられた真行寺は、八王子の高級老人介護施設で起きた入居者死亡事件を捜査する。AI搭載の人型介護支援ロボットが関わっているらしいその事件を調べるうちに、真行寺は、自らの職業を「ハッカー」と称するオーディオマニアの青年・黒木良平と親しくなった。同事件の捜査が一段落したところに、水野課長から連絡が入る。元警察官僚で衆院議員の尾関一郎が新宿のホテルで変死したという。捜査を進めるうちに、この事件の背後に政界・芸能界・反社会的勢力などが連なる大きな組織の存在をかぎ取った真行寺は、黒木の力を借りて真相に迫るが――。 ゲノム編集や文明社会など幅広くリアルな知見に裏打ちされた、圧倒的なスケールの痛快エンターテインメント!
-
3.8
-
-
-
3.7
-
-寛政の改革を主導したものの失脚した、元老中の松平楽翁(定信)が立ち上げた幕府の新たな探索組織・御蔵入改。「お蔵入り」した難事件や奉行所・火付盗賊改が取り上げない事件に挑む五人組のもとに、新たな依頼者が現れた。御家人の本郷竹次郎によれば、決して裕福ではない周囲の者たちが老後に備えて貯えていた銭金を、新たに発見された甲斐金山の採掘資金を募る「信玄講」という集団に騙し取られたというのだが……(「消えた隠居資金」)。 表題作のほか、古典落語に材を取った「千両みかん」など全四篇を収録。 【目次】 第一話 切り裂き内蔵助 第二話 千両みかん 第三話 不幸を呼ぶ大黒像 第四話 消えた隠居資金
-
3.5
-
3.6羽田法律事務所で調査員として働く風町サエは、殺人罪で服役経験のあるシングルマザー。ある日、芸能界のフィクサーと呼ばれる小田崎が、羽田法律事務所を訪れた。小田崎は、アイドル候補生を店頭に立たせる安売りピザ店で大儲けをした男。店頭に立つアイドル候補生は、ファン投票の結果でメジャーグループに昇格できる仕組みで、自分が応援する候補生をメジャーにするため、ファンはピザを注文し投票券を獲得するのだ。このピザ店でアルバイトをしていたひとりの少女が自殺をし、両親が1億2千万円の賠償金を要求しているという。賠償金額を減額させたいという小田崎の依頼に調査を始めるサエだったが、次第にある人の過去にも迫ることになり――。 『笑う少年』を改題。
-
3.7
-
3.9
-
3.8
-
3.8
-
4.2
-
4.1
-
3.0生放送のバラエティー番組収録中に、お笑い芸人が予定外のネタを始めた。大スポンサーの商品を貶める内容に、スタジオは騒然となる。怒り心頭のプロデューサー、対応に走る広告営業マン。芸人は、家族の命をたてに脅迫されたとうなだれた。一体誰が、何のために? 再発防止策がとられるものの、同様の事件が相次ぎ、現場は混乱を極めた。しかしこれは、さらに大がかりな脅迫事件への序章に過ぎなかったのだ……。 かつてない好景気に浮かれ騒いでいたバブル期の日本。なかでも隆盛を極めていたテレビ界を襲う驚愕の脅迫殺人事件と、時代に翻弄され、生き迷う若者たちのドラマが交差する、著者渾身の長篇サスペンス。
-
3.8「仏の鳴沢」と呼ばれた祖父。 「捜一の鬼」の異名を持つ父。 その二人を継ぐ、「刑事として生まれた男」――。 堂場瞬一史上人気NO.1警察小説! 祖父・父を継いで新潟県警捜査一課の刑事となった鳴沢了は、晩秋の湯沢で殺された老女が、かつて宗教教団の教祖で、五十年前に殺人事件に関わったことを突き止めた。了は二つの事件の関連を確信するが、捜査本部長の父はなぜか了を事件から遠ざけるのだった。正義は、そして歳月は、真実を覆い隠すのか? 堂場瞬一の原点にして、警察小説の潮流を創り出した大傑作。 新装版 刑事・鳴沢了シリーズ毎月刊行予定!
-
3.6
-
4.5
-
3.0米国資本「WCR ワールドレジスター・カンパニー・リミテッド」の日本法人の営業マン若林は、4人のチーム「さそり」を率い、売上で社内トップを独走していた。売り物は高額の事務用機器(ビジネス・マシン……今で言うところの経理会計システム)。飛び込み営業のスタイルで、モットーは、「殺人以外のことは何でもやる」。ときに犯罪(詐欺)まがいのテクニックと絶妙の連係プレーで、狙った獲物は逃がさない! ターゲットは、くせ者の大地主、老舗旅館の女主人、学習塾チェーンを展開するヤクザの親分、金欲・色欲にまみれた地方都市の市長、そしてカトリック新聞発行人の修道女……。チーム「さそり」の破天荒な奮闘を描く連作長篇。 〈解説〉池上冬樹
-
3.0