国内ミステリー - 新潮社作品一覧

  • 初陣―隠蔽捜査3.5―(新潮文庫)
    4.1
    警視庁刑事部長を務めるキャリア、伊丹俊太郎。彼が壁にぶつかったとき頼りにするのは、幼なじみで同期の竜崎伸也だ。原理原則を貫く男が愛想なく告げる一言が、いつも伊丹を救ってくれる。ある日、誤認逮捕が起きたという報に接した伊丹は、困難な状況を打開するため、大森署署長の竜崎に意見を求める(「冤罪」)。『隠蔽捜査』シリーズをさらに深く味わえる、スピン・オフ短篇集。 この作品は『初陣ー隠蔽捜査3・5ー』文庫版を底本とした電子版となります。重複購入とならないようご確認下さい。
  • 隠蔽捜査(新潮文庫)
    4.2
    竜崎伸也、四十六歳、東大卒。警察庁長官官房総務課長。連続殺人事件のマスコミ対策に追われる竜崎は、衝撃の真相に気づいた。そんな折、竜崎は息子の犯罪行為を知る――。保身に走る上層部、上からの命令に苦慮する現場指揮官、混乱する捜査本部。孤立無援の男は、組織の威信を守ることができるのか? 吉川英治文学新人賞受賞の新・警察小説。

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  • 野火の夜
    4.0
    1巻2,090円 (税込)
    次々と見つかる血塗れの五千円札と、一人のジャーナリストの死。フリーの記者・木部美智子は、複雑に絡み合った事件の根を追ううちに、由良半島の村で起こった戦中戦後の悲劇を知ることとなる――。遠い昭和から渇いた現代へ、時を越えて回る火の手は何を炙り出すのか。『蟻の棲み家』に続く「木部美智子シリーズ」最新刊。
  • 片眼の猿―One-eyed monkeys―(新潮文庫)
    3.8
    盗聴専門の探偵、それが俺の職業だ。目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。楽器メーカーからの依頼でライバル社の調査を続けるうちに、冬絵の存在を知った。同業者だった彼女をスカウトし、チームプレイで核心に迫ろうとしていた矢先に殺人事件が起きる。俺たちは否応なしに、その渦中に巻き込まれていった。謎、そして……。ソウルと技巧が絶妙なハーモニーを奏でる長編ミステリ。(解説・佐々木敦)
  • 黄泉から来た女(新潮文庫)
    3.0
    山形県鶴岡市で発見された身元不明の白骨死体。即身仏が眠る出羽三山と名勝・天橋立で起きた殺人事件を繋ぐ因縁の糸。母と娘、現在と過去、優しい嘘と許されざる真実――。封印されていた秘密が「アマテラスの子」神代静香と浅見光彦を「黄泉の国」へと招き寄せる。そして「もうひとりの光彦」によって、浅見家の名前の由来も明らかに。大好評シリーズ通算第111作、待望の文庫化!
  • 蟻の棲み家(新潮文庫)
    3.6
    東京都中野区で、若い女性の遺体が相次いで発見された。二人とも射殺だった。フリーの事件記者の木部美智子は、かねてから追っていた企業恐喝事件と、この連続殺人事件の間に意外なつながりがあることに気がつく。やがて、第三の殺人を予告する脅迫状が届き、事件は大きく動き出す……。貧困の連鎖と崩壊した家族、目をそむけたくなる社会の暗部を、周到な仕掛けでえぐり出す傑作ノワール。(解説・大森望)
  • 名もなき星の哀歌(新潮文庫)
    3.3
    新卒銀行員の良平と漫画家志望の健太には裏稼業がある。人の記憶を小瓶に入れて売買する「店」だ。ノルマに追われ奔走する二人は、ある日、路上ライブで流浪の歌姫・星名と出会う。彼女の過去と歌詞に秘められた謎、一家焼死事件の生き残り、迫りくる脅迫者の影、そして、スワンプマンとは誰だ!? 絡まりあう幾多の謎が解けるとき、美しくも残酷な真実が浮かび上がる。新潮ミステリー大賞受賞作。(解説・新川帆立)
  • フィッシュストーリー(新潮文庫)
    3.9
    最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。(解説・佳多山大地)
  • 乱鴉の島(新潮文庫)
    3.9
    犯罪社会学者の火村英生は、友人の有栖川有栖と旅に出て、手違いで目的地と違う島に送られる。人気もなく、無数の鴉が舞い飛ぶ暗鬱なその島に隠棲する、高名な老詩人。彼の別荘に集まりくる謎めいた人々。島を覆う死の気配。不可思議な連続殺人。孤島という異界に潜む恐るべき「魔」に、火村の精緻なロジックとアクロバティックな推理が迫る。本格ミステリの醍醐味溢れる力作長編。(解説・村上貴史)
  • ゴールデンスランバー(新潮文庫)
    4.6
    衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(解説・木村俊介)
  • 機巧のイヴ―帝都浪漫篇―(新潮文庫)
    4.1
    浪漫(ロマン)とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形(オートマタ)・伊武(イヴ)は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語の舞台は、大陸の新国家・如洲(にょしゅう)へ――。心を持たない人形が問いかける、愛とは、魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。
  • 消えた警官(新潮文庫)
    3.5
    小幡弘海巡査部長は、二年前に忽然と姿を消した。生活安全課に異動した矢先のことだ。綾瀬署に所属する、柴崎令司警務課長代理、上河内博人警部、高野朋美巡査の三人は、小幡についての捜査を始める。ひき逃げ。老女の不審死。女子高生絞殺。足と頭脳で難事件を解決しながら、三人は底知れぬ謎へと迫ってゆく。警視庁が放棄した失踪事件に果てはあるのか。あなたの胸を貫く本格警察小説。
  • 泥の銃弾(上)(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻693~781円 (税込)
    都知事、狙撃――。新国立競技場で起きた事件は日本を震撼させた。誰が。なぜ。狂騒の中、日就新聞社会部の天宮理宇はチームを率いて真実を追うが、捜査は唐突に打ち切られる。「犯人はクルド人難民」その警察発表は国策として難民を受け入れた日本において、瞬く間に浸透した。結論ありきの手法に違和感を覚えた天宮は社を去るが……。この国の未来を予見する圧倒的エンターテインメント!
  • 水葬の迷宮―警視庁特捜7―(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻737~781円 (税込)
    ベテラン警官が拳銃を奪われ、両腕を切られた姿で発見された。遺体損壊の謎を追い、特別捜査班の岬怜司は、似顔絵をメモ代わりにする里中宏美とコンビを組む。連続する銃撃事件、現場に残された不可解な数字。浮上する過去の未解決事件と闇に消えた男とは……。つながる点と線、迷宮の核心、そしてクライマックスは東京駅へ! 緻密な伏線が冴える、本格捜査ミステリー。『特捜7 銃弾』改題。
  • 琴電殺人事件(新潮文庫)
    -
    香川県琴平町にある日本最古の芝居小屋、金丸座。そこで毎年開かれる「こんぴら歌舞伎」に出演する人気役者・松川市之介に執拗に脅迫状が送られる。後援者のゲーム会社社長尾形が脅迫状の送り主と思われたが、その尾形が青山の自宅マンションで刺殺死体で見つかった。そして脅迫状の予告通り、琴電琴平線の車内で殺人事件が発生する。因襲と確執が渦巻く歌舞伎界の謎に、十津川警部が挑む!
  • 新任巡査(上)(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻737~781円 (税込)
    上原頼音(ライト)、22歳。職業、今日から警察官。はじめての24時間交番勤務。立番・巡回連絡・職務質問・無線の使い方・出前の取り方……「バカヤロウ」と何度も怒鳴られながら、組織で働く社会人としての、そして地域を守る警察官としての心構えをたたき込まれる。そんな新米巡査の日常の中に、少女連続行方不明事件の手がかりが潜んでいた。圧倒的な熱量とリアリティで描き出す“警察お仕事小説”。
  • 周五郎少年文庫 南方十字星―海洋小説集―(新潮文庫)
    -
    謎の結社に入った平馬少年がチンピラ“隼の定吉”と共に某国軍器製造場爆破を目指す「囮船第一号」。キリコ蕃王の金鉱が南洋の島にあるという。大河内信之は遂に古文書の解読に成功する。黒豹、毒蛇、毒蛭等、猛獣毒蟲を繁殖させたと記録にあるその島に、士郎少年は勇敢にも乗り込むが……(表題作)。新発見四編を含む傑作八編を収録。
  • 周五郎少年文庫 少年間諜X13号―冒険小説集―(新潮文庫)
    3.0
    大和八郎少年、コードネームは〈本部X13〉。彼に下された指令は、上海郊外の米軍秘密要塞の発見・爆破であった。X13号は三つの特殊兵器を携えて単身川辺の湿原地帯に降り立つ……(表題作)。海軍少年特務員東忠三が、満洲の北方、ケルレン王国の再興に孤軍奮闘する「血史ケルレン城」等、冒険小説・スパイ小説の傑作を八編収録。
  • 周五郎少年文庫 木乃伊屋敷の秘密―怪奇小説集―(新潮文庫)
    4.0
    古代蒙古の王族の棺を持ち帰った考古学の権威厩川博士だが、木乃伊(ミイラ)が夜毎棺から出て、枕元の水差しの水を飲むことに気づいた。博士は恐怖のあまり……(表題作)。かの名探偵ホームズが来日し、財宝をめぐって悪漢たちと壮絶な戦いを繰り広げる「シャーロック・ホームズ」等、痛快探偵小説の内、怪奇性の強い名品珍品13編を精選。(解説・末國善己)
  • 周五郎少年文庫 殺人仮装行列―探偵小説集―(新潮文庫)
    -
    覆面の女性歌手の人気で沸く東都劇場に脅迫状が届いた。彼女を出演中に誘拐するという。支配人の息子榊山宗一は前夜の帝国座での女優誘拐事件をヒントにトリックに挑む(「覆面の歌姫」)。殺人光線の研究所所内親睦の園遊会で起きた惨劇と背後にあった諜報戦を描く表題作。巧妙なトリックと乱麻を断つ名推理が光る探偵小説18編。
  • 周五郎少年文庫 黄色毒矢事件―少年探偵春田龍介―(新潮文庫)
    3.0
    無燃料機関(エンジン)の実験当夜、妹が掠(さら)われ、機密をも盗まれた。龍介は二つの暗号文を解読し、犯人を追う(「危し!! 潜水艦の秘密」)。超爆液の研究所で分析表が盗まれ、次々と所員が殺される。龍介は巧妙な方法で犯人を炙り出す(「黄色毒矢事件」)。若き日の周五郎が旺盛に執筆した血湧き肉躍る少年小説のうち春田龍介ものを七編厳選。(解説・末國善己)
  • レプリカたちの夜(新潮文庫)
    3.6
    動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。卓越したユーモアと圧倒的筆力で描き出すデヴィッド・リンチ的世界観。選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。「わかりませんよ。何があってもおかしくはない世の中ですから」。(解説・佐々木敦)
  • 死者の雨―モヘンジョダロの墓標―
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    パキスタン・カラチで非業の死を遂げた人工知能学者のヒュウガ博士。そして、同時期に世界各地で発見された四博士の不可解な死体。連続死との関係、そして、博士が遺した「アトラスの謎」の真相とは? 京都、シンガポール、イタリア、インドを舞台に完全記憶を持つ孤高の天才数学者、一石豊が人類最大の秘密を暴く!
  • 雪山の檻―ノアの方舟調査隊の殺人―(新潮文庫)
    3.5
    これは、怒れる神の鉄槌(てっつい)なのか。伝説の地、アララト山で、ノアの方舟調査隊隊員が次々と壮絶な最期を遂げる。背筋も凍る事態に直面したのは、あらゆる知識をその頭蓋に収めた天才学者、一石(いちいし)豊。一石はカメラマン・森園アリスと共にこの連続死の謎に挑み、同時に方舟の真実を解き明かしてゆく。気鋭の推理小説作家が構築した、美しくも壮大なミステリ大伽藍(だいがらん)。『アールダーの方舟』改題。(解説・村上貴史)
  • 七夕の雨闇―毒草師―(新潮文庫)
    4.3
    「……り……に、毒を」被害者は奇妙な言葉を遺して死んだ。毒物の正体は不明。親戚にあたる星祭家では独特な七夕祭を執り行っており、異様な事件が連続する。《毒草師》御名形史紋らは、京都に乗り込んだ。和歌に織り込まれた言霊を手掛かりに、笹・砂々・金・星の言葉を読み換え見えてくる禍々しい真相、日本人を縛る千三百年の呪。「七夕」に隠された歴史を明察する傑作民俗学ミステリー。(解説・中野信子)
  • 暗幕のゲルニカ(新潮文庫)
    4.2
    ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!(解説・池上彰)
  • 警官の掟(新潮文庫)
    3.7
    東京湾岸で男の射殺体が発見された。蒲田署の刑事は事件を追い、捜査一課の同期刑事には内偵の密命が下る――所轄より先に犯人を挙げよ。捜査線上に浮上する女医の不審死、中学教師の溺死、不可解な警官の名前。刑事の嗅覚が事件の死角に潜む犯人を探り当てたとき、物語は圧巻の結末になだれこむ。徹底したリアリティと重厚緊密な構成で警察小説の第一人者が放つ傑作長編。『犬の掟』改題。(解説・吉野仁)
  • 誘拐犯はカラスが知っている―天才動物行動学者 白井旗男―(新潮文庫)
    3.6
    誘拐された人質を発見するにはカラスの後を追え? バラバラ殺人事件を解く鍵はリスの生態? 密室殺人犯を教えてくれるのは馬? 警察犬ハンドラー原友美が頼りにするのは、大学の先輩である白井旗男。東京郊外の「動物屋敷」に隠棲する天才動物行動学者が、知られざる動物の習性に関する知識を武器に、次々と難事件を解決する新感覚ミステリ! 二人の決め台詞は「動物は嘘をつかない!」。
  • ゴーグル男の怪(新潮文庫)
    4.0
    煙草屋の老婆が殺された夜、ゴーグルで顔を隠した男が闇に消えた ……。死体の下から見つかった黄色く塗られたピン札、現場に散乱する真新しい五十本の煙草。曖昧な目撃情報に怪しい容疑者が続出し、核燃料製造会社をめぐって奇怪な噂が。そしてついに《ゴーグル男》が出現した。巧緻な伏線と戦慄の事件が、ねじれ結ばれ混線する! この上なく残酷で、哀しい真相が心を揺さぶるミステリー。
  • 神戸電鉄殺人事件(新潮文庫)
    5.0
    神戸異人館のプールで、横浜にいたはずの若手人気女優と京都の会社社長の死体が発見された。彼女の死後、何かを探すために六本木の超高層マンションの彼女の部屋を訪れた、まるで共通点のない五人の男女。そのうちの二人が、カンボジア、東京駅で殺された。そして、有馬温泉駅発の神戸電鉄の車内でも、男女が殺害される! 十津川警部が大胆不敵な連続殺人に挑む、長編トラベルミステリー。
  • 掲載禁止(新潮文庫)
    3.6
    人の死を見るツアーに参加したジャーナリストが目にした異様な光景(「原罪 SHOW」)、マンションの天井裏に潜む歪んだ愛(「マンションサイコ」)。恋愛していたら決して読んではいけない戦慄作「斯くして、完全犯罪は遂行された」の他、不気味な読み味の「杜の囚人」と、どんでん返しに言葉を失う表題作「掲載禁止」。繰り出される謎と仕掛けに、一行たりとも目を離せない衝撃の作品集!
  • あぶない叔父さん(新潮文庫)
    3.5
    寺の離れで「なんでも屋」を営む俺の叔父さん。家族には疎まれているが、高校生の俺は、そんな叔父さんが大好きだった。鬱々とした霧に覆われた町で、次々と発生する奇妙な殺人。事件の謎を持ちかけると、優しい叔父さんは、鮮やかな推理で真相を解き明かしてくれる――。精緻な論理と伏線の裏に秘された、あまりにも予想外な「犯人」に驚愕する。ミステリ史上に妖しく光り輝く圧倒的傑作。
  • 影の中の影(新潮文庫)
    4.3
    血も凍る暴虐に見舞われた故郷から秘密を抱えて脱出したウィグル人亡命団と、彼らを取材中のジャーナリスト仁科曜子が、白昼の東京で襲撃された。中国による亡命団抹殺の謀略だ。しかし警察は一切動かない。絶体絶命の状況下、謎の男が救いの手を差しのべる。怜悧な頭脳と最強の格闘技術をそなえた彼の名は、景村瞬一。冒険小説の荒ぶる魂がいま甦る。疾風怒濤のノンストップ・アクション。
  • ロートレック荘事件(新潮文庫)
    3.8
    夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが……。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か? アリバイを持たぬ者は? 動機は? 推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。
  • 14歳のバベル
    3.0
    1巻1,584円 (税込)
    担ぎ込まれた病院の診察台で、14歳の見た奇妙な夢が発端だった。ビール樽の林立する地下工場。指揮を執る少年王シルトの姿。彼は告げた。地上世界は間もなく消滅する。代わって自分たちが人類史をやり直すのだと――。ビール会社の新商品キャンペーンにカムフラージュされた黙示録的計画。今週末の金曜日が危ない!
  • 悲素(上)(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻693~737円 (税込)
    一九九八年、和歌山市内の夏祭りでカレーを食べた住民六十名以上が中毒症状を呈し、四名が死亡した。県警から、毒物中毒の第一人者である沢井直尚九州大学医学部教授のもとに、協力要請が入る。現地入りした沢井は、事件の深刻さを前に誓う――本物の医学の力で犯罪をあぶりだすと。被害者たちの診察と診療録の解析の果てに浮上する、小林真由美の保険金詐取疑惑と過去の事件、戦慄の闇。
  • 呪術
    3.0
    1巻1,584円 (税込)
    30代のツアーコンダクター・麻衣は、アフリカで突然のテロに巻き込まれる。難を逃れたかと思われた直後、偶然に救ったのは「呪術師」に追われるアルビノの少女・ケイコだった。共に日本へ渡るも、待ち受けていたのは更なる危機。二人の運命は、そして「呪術」を生んだ力の正体とは――。手に汗握るサスペンス長編。
  • 総力捜査(新潮文庫)
    3.8
    捜査二課から異動してきた“刑事の中の刑事”上河内博人警部が相棒に指名したのは、なんと“内勤のプロ”柴崎警務課長代理だった(「秒差の本命」)。坂元真紀署長は、管内に移ってきた武闘派暴力団事務所を排除するため、総力体制を組む。対策を練り、調査を進めるうちに、柴崎たちの想像を遥かに超えた真実が浮上する(表題作)。警察小説の醍醐味、その全てを詰めこんだ、会心の連作ミステリ。
  • 騎手の誇り(新潮文庫)
    -
    十二年前の落馬事故――。その真相を知るために、息子・和輝(かずき)も騎手となり、かつての父の好敵手で、不動のトップ騎手・平賀と同じ厩舎に入った。父は、本当は平賀に殺されたのではないか……。新人競馬担当記者・仁美(ひとみ)とともに事故の謎を追う中で、平賀のある秘密に気づいた和輝は、自らの身にも迫る危険を感じ取る。亡き父と息子の絆に涙する、長編ミステリ。『サイレントステップ』改題。
  • 邪馬台国と黄泉の森―醍醐真司の博覧推理ファイル―(新潮文庫)
    3.5
    創作中に姿を消したホラーの鬼才を捜してほしい。その依頼が全ての始まりだった。邪馬台国最大の謎に挑み、最後の“女帝”漫画家を復活させる。映画マニアの少年を救い、忌まわしき過去の事件を陽光のもとに――。傍若無人にして博覧強記、編集者醍醐真司が迫りくる難題を知識と推理で怒濤のように解決してゆく。漫画界のカリスマにしか描けない、唯一無二のミステリ。『黄泉眠る森』改題。
  • 螺旋の手術室(新潮文庫)
    4.0
    純正会医科大学附属病院の教授選の候補だった冴木真也准教授が、手術中に不可解な死を遂げた。彼と教授の座を争っていた医師もまた、暴漢に襲われ殺害される。二つの死の繋がりとは。大学を探っていた探偵が遺した謎の言葉の意味は。父・真也の死に疑問を感じた裕也は、同じ医師として調査を始めるが……。「完全犯罪」に潜む医師の苦悩を描く、慟哭の医療ミステリー。『ブラッドライン』改題。
  • ドッグ・メーカー―警視庁人事一課監察係 黒滝誠治―(新潮文庫)
    3.9
    黒滝誠治警部補、非合法な手段を辞さず、数々の事件を解決してきた元凄腕刑事。現在は人事一課に所属している。ひと月前、赤坂署の悪徳刑事を内偵中の同僚が何者かに殺害された。黒滝は、希代の“寝業師”白幡警務部長、美しくも苛烈なキャリア相馬美貴の命を受け、捜査を開始する。その行く手は修羅道へと繋がっていた。猛毒を以て巨悪を倒す。最も危険な監察が警察小説の新たな扉を開く。
  • 満願(新潮文庫)
    4.0
    「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。
  • 月光のスティグマ(新潮文庫)
    3.5
    幼馴染の美人双子、優衣(ゆい)と麻衣(まい)。僕達は三人で一つだった。あの夜、どちらかが兄を殺すまでは――。十五年後、特捜検事となった淳平は優衣と再会を果たすが、蠱惑(こわく)的な政治家秘書へと羽化した彼女は幾多の疑惑に塗(まみ)れていた。騙し、傷つけ合いながらも愛欲に溺れる二人が熱砂の国に囚われるとき、あまりにも悲しい真実が明らかになる。運命の雪崩に窒息する! 激愛サバイバル・サスペンス。
  • 水底は京の朝
    4.2
    1巻1,320円 (税込)
    人見知りの新人女性監督と人間嫌いな脚本家。連続ドラマを撮影中の二人にせまる邪な闇と謎。かぶった者を乱心させるという鬼面、盗まれた呪いの人毛かつら、一瞬にして眼前から消えた祭り――。名女優や片腕の男たちも巻き込み、虚構と真実の境界線で二人が辿りついた秘密とは? 京都の四季が彩る謎が、あなたの目を惑わせる!
  • 細胞異植(新潮文庫)
    3.7
    国内二例目の赤ちゃんポストで張り込んでいた新聞記者・長谷部友美が目撃したのは、嬰児を抱いた石葉宏子の姿だった。独身だと思っていた知人の行動に戸惑う友美。慌てて姿を消した石葉の行方を追ううちに、女の抱えていた修羅が浮き彫りになってゆく。最後に掴みとった驚愕の真相とは。先端医療は新たなる福音か、人倫を揺さぶる悪魔の誘惑か――。『流転の細胞』改題、全面改訂完全版。
  • 特命金融捜査官(新潮文庫)
    3.5
    ひとりの男が失踪した。金融庁長官の特命を帯びた捜査官の伊地知耕介がマークしているベンチャー銀行の専務だった。銀行の急所を突く証拠と共に消えた金庫番を探し出し、伊地知は不正を暴くことができるのか。野望実現に驀進する会長の坂巻、銀行に巣くう闇の暴力組織。男たちは沖縄の離島へ飛ぶ……。金融界を熟知した著者が放つハードボイルド金融エンターテインメント! 『鬼忘島』改題。
  • アンタッチャブル―不可触領域―
    3.5
    1巻1,584円 (税込)
    「凡戦の帝王」と呼ばれた元プロボクサー。落魄した往年の人気俳優のマネージャー。二人が邂逅した時、その足元で暗黒の底が抜けた。ラーメン屋主人夫婦の不自然な失踪、八王子で福生で床下から次々に見つかる死体、美少女を取り巻く得体の知れない男たち。世界は二転三転、酷薄な様相を顕にする。衝撃のノワール・ミステリー。
  • かくも水深き不在(新潮文庫)
    3.2
    森に包まれた廃墟の洋館で次々と鬼に変化(へんげ)していく仲間たち。何故か見るだけで激しい恐怖に襲われるCM。想い人のストーカーを追及する男の狂気。大御所芸人の娘を狙った不可解な誘拐事件。浮かび現われては消える4つの物語は、異能の精神科医・天野の出現により誰も見たことのない局面へと変容していく。全ての謎を看破する超越的論理(ロジック)と幻想の融合で煌めく、めくるめく万華鏡(カレイドスコープ)を体感せよ!
  • ツナグ(新潮文庫)
    4.4
    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。
  • 暗号名は「金沢」―十津川警部「幻の歴史」に挑む―(新潮文庫)
    3.0
    太平洋戦争末期、連合国は、敗色濃い日本に降伏を迫るポツダム宣言を発表した。宣言を受け、日本政府中枢が、降伏か徹底抗戦かで真っ二つに割れる中、日本と中立国の間をしきりに飛び交う、謎の暗号「カナザワ」。この暗号の指し示すものはいったい何なのか? 敗戦から七十年の時を経て、太平洋戦争と現代日本を繋ぐ、恐るべき謀略に十津川警部が挑む、新機軸の長編歴史トラベルミステリー。
  • イノセント・デイズ(新潮文庫)
    4.3
    田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
  • 貘の檻
    3.8
    1年前に離婚した大槇(おおまき)辰男は、息子・俊也(しゅんや)との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子(そぎみねこ)を駅で見かける。32年前、父に殺されたはずの女が、なぜ――。だが次の瞬間、彼女は電車に撥ねられ、命を落とす。辰男は俊也を連れてO村を訪れることを決意。しかしその夜、最初の悪夢が……。薬物、写真、地下水路。昏(くら)い迷宮を彷徨(さまよ)い辿り着く、驚愕のラスト。道尾史上最驚の長編ミステリー!
  • 柩の中の猫
    3.8
    東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だった。そう、あの日、あの女が現れるまでは……丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイストが光る心理サスペンス。
  • 広域指定
    4.0
    一月十日午後九時、未帰宅者の一報を受け柴崎警部は高野朋美巡査らを急行させた。九歳の女児、笠原未希はどこへ消えたのか? 早期保護を目指し指揮を執る綾瀬署署長、坂元真紀。主導権を奪おうとする警視庁捜査一課。未解決事件の悪夢に悩まされる千葉県警。キャリアまでを巻き込んだ事件の捜査の行方――そしてその真相とは。名手が持てる力の全てを注ぎ込んだ、長篇警察小説。
  • 夜ごとの闇の奥底で
    3.9
    誤って恋人の脚本家を射殺してしまった妹をかばうため、凶器の拳銃を捨てようと山梨方面に車を走らせていたフリーライター、世良祐介。ところが車を木にぶつけ立ち往生してしまった。偶然通りかかった亜美という若い女に助けられ、彼女のペンションに連れて行かれる……雪の降りしきる山奥のペンション、蠱惑的な女、サイコパセティックなその父親。やがて狂気が全てを……。
  • 噂

    4.0
    「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。
  • サヴァイヴ
    4.0
    団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは──(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
  • エデン
    4.1
    あれから三年──。白石誓は唯一の日本人選手として世界最高峰の舞台、ツール・ド・フランスに挑む。しかし、スポンサー獲得をめぐる駆け引きで監督と対立。競合チームの若きエースにまつわる黒い噂には動揺を隠せない。そして、友情が新たな惨劇を招く……。目指すゴールは「楽園」なのか? 前作『サクリファイス』を上回る興奮と感動、熱い想いが疾走する3000kmの人間ドラマ!
  • 月光の誘惑
    4.5
    自ら命を絶つため、高校生の浅倉美紀は灯台に向かう。だが先に、若い女性が崖の向こうへと消えてしまった。幼い子を残して……。15年後、美紀は成長した涼子と母娘として暮らしていた。しかし、涼子の修学旅行のバス事故を皮切りに、浅倉家に不穏な出来事が続く。美紀の父の病、母の隠し事、妹の悲恋。そして涼子のピアノの発表会で、ついに――。一気読み必至の疾風サスペンス!
  • 一九三四年冬―乱歩
    4.6
    昭和九年冬、スランプの末、突如行方をくらました超売れっ子作家・江戸川乱歩。時に四十歳。謎の空白の時を追いながら、乱歩の奇想天外な新しき怪奇を照らす。知的遊戯をまじえ、謎の日々を推理。乱歩以上に乱歩らしく濃密で怪しい作中作を織り込み、昭和初期の時代の匂いをリアルに描いた第7回山本周五郎賞受賞作。
  • ほろびぬ姫
    3.5
    両親を事故で失くしたみさきは19歳で美術教師の夫と結婚した。それから4年。あなたはあなたが連れてきた――嵐の晩、彼女の前にふたりの「あなた」があらわれる。夫が、長い間音信不通だった双子の弟を探してきたのだ。混乱するみさきに、僕はもうすぐ死ぬんだ、と告げる夫。衰弱していく兄になりかわるように、その存在感を徐々に増していく弟。眩惑的な文体で綴る愛のサスペンス。
  • もいちどあなたにあいたいな
    3.7
    澪湖(みおこ)は大学三年生。父の妹の和(やまと)を幼少の頃から母親より慕っていた。その叔母が、最近、どこかおかしい。叔母夫婦はようやく恵まれた愛娘を生後五カ月で亡くしていた。それで、精神に変調を来したのだろうか。大きな悲嘆が彼女を壊してしまったのか……澪湖の疑惑は深まるばかり。不安な彼女を支えてくれたのは、オタク青年木塚くんだった──独自の文体で、人格変容の恐怖を探る長編。
  • 精霊探偵
    3.4
    交通事故で同乗の愛する妻を亡くして以来、なぜか私には人の背後霊が見えるようになってしまった。特殊な能力を見込まれて、人捜しを依頼された私は、どこかで妻の霊に会えることを期待して探偵のまねごとを始める。だが、手がかりの奇妙なカードをめぐり、不穏な出来事が次々と起こり――。驚きのラストが待ちうける、ちょっと不思議でほんわか切ないスピリチュアル・ミステリー。
  • 伴連れ
    3.9
    高野が警察手帳を紛失したらしい。柴崎警部は頭を抱えた。彼女はその事実をあっさり認める。だが捜査を続けるうち、不祥事は全く別の貌を見せはじめた。少年犯罪、ストーカー、老夫婦宅への強盗事件。盗犯第二係・高野朋美巡査は柴崎の庇護のもと、坂元真紀署長らとぶつかりながら刑事として覚醒してゆく。迫真のリアリティ。心の奥底に潜むミステリ。警察小説の最高峰がここに。
  • ウィンチェスターM70
    -
    恐るべき威力を秘めた名銃ウィンチェスターM70。その銃声と衝撃波はビルをもゆるがし、オレンジ色の閃光は正確な死と破壊を送り続ける。分身ともいうべきM70を持ち、三人の仲間と銀行を襲い、大金を奪った登川は、警官隊の重囲を突破するが、彼等を待っていたのはボスの卑劣な裏切りだった……。
  • 血の来訪者
    -
    資本金100億の大東電機乗っ取りを企てる伊達邦彦は、社長令嬢を誘拐、身代金3000万円の強奪に成功したのを皮切りに、緻密な計算と恐るべき行動力によって着実に目標に近づいてゆく……。巨大な力にものをいわせ、甘い汁を吸うマンモス企業と資本家に対する、非情の男伊達邦彦の鉄の意志に支えられた果敢な挑戦を描く力作。
  • 蛍の森
    4.5
    ある者は朝食を用意している最中に、或いは風呂を沸かしたまま、忽然と姿を消した。四国山間部の集落で発生した老人の連続失踪事件。重要参考人となった父に真相を質すべく現地に赴いた医師は、村人が隠蔽する陰惨な事件に辿り着く。奇妙な風習に囚われた村で起る凶事。理不尽な差別が横行した60年前の狂気が、恨みを増幅して暴れ出す――。ハンセン病差別の闇を抉る慟哭の長編小説。
  • シスト
    3.8
    1巻1,584円 (税込)
    全世界を襲った原因不明のパンデミック。超大国の陰謀が見え隠れする中、一人の日本人女性ジャーナリストが真実を追う。感染はなぜ起きたのか。世界は救えるのか――。長く報道の現場にいた著者が、メディアの裏側から、国家のスパイ活動、紛争の最前線までを圧倒的リアリティで描いた、読み応え満点の社会派サスペンス!
  • 拒絶空港
    3.7
    NIA206便は、主脚タイヤをシャルル・ド・ゴール空港離陸時に損傷してしまう。整備士たちが対策を練り始めていたところに、「何者かが同機に放射性物質を持ち込んだらしい」という衝撃的な続報が飛び込んできた。航空史上最悪の状況に陥った747-400は、着陸地を求めて、日本上空を彷徨う。地上職員と機内クルー、それぞれの闘い。作家・内田幹樹が遺した、最後の航空サスペンス。
  • 機体消失
    3.4
    百億円相当のコカインを、小型機で密輸しようとする犯罪グループ。沖縄・下地島の自然に抱かれ疲れを癒す、ふたりのパイロット。結びつくはずのない両者が出会ったとき、事件は全貌を現した。激しい台風の中、忽然と姿を消したセスナの謎。そして、追いつめられた男たちによる訓練用ジャンボ機のハイジャック。世界一不運な副操縦士・江波順一は、恐るべき難局を打開できるのか?
  • 査察機長
    4.5
    新米機長、村井知洋は頭を抱えた。ミスひとつで資格を剥奪されてしまう査察飛行、その担当が氏原政信キャプテンに決定したからだ。氏原は鋭いチェックで皆から恐れられる存在だった。そして、村井の最も長い一日が、幕を開ける。目的地、雪のニューヨークは遥か彼方、前途には様々なトラブルが待ち受けていた。操縦席、そしてパイロットの真実を描き切った、内田幹樹の最高傑作。
  • パイロット・イン・コマンド
    3.9
    ロンドン発202便は、飛行機好きの小学生、護送される国際犯罪者など、様々な人々を日本へと運んでいた。だが成田が近づいたその時、突如、第二エンジンが炎上! 機長ふたりも倒れてしまう。乗員乗客の命は、副操縦士の江波が預かることに。経験不足のパイロットは、傷ついたジャンボを無事着陸させられるのか? 航空サスペンスとミステリを見事に融合させた、内田幹樹の処女作。
  • 操縦不能
    4.2
    北朝鮮からの亡命者を乗せたワシントン行き002便は、大雪のため遅れて離陸した。その直後、機長二人が倒れ、コクピットには副操縦士の江波だけが残された。そして墜落の危機が訪れる。速度と高度を示す計器がなぜか狂いはじめたのだ。万策尽きた江波に、救いの女神が現れる。元訓練生の岡本望美が、地上のシミュレーターで“一緒に飛ぶ”というのだ。最も危険な夜間飛行が、いま始まる。
  • 化生の海
    4.2
    加賀の海から水死体で発見された男。北海道・余市の自宅には、底に「卯」の字のある一体の古い素焼き人形が残されていた。事件から五年、かすかに残った男の足跡を辿る浅見光彦は、北九州・北陸・北海道を結ぶ長大なラインに行き当たる。それは江戸から明治期に栄華を極めた、北前船の航路と重なっていた。列島を縦断し歴史を遡る光彦の推理。ついに驚愕の真実が、日本海から姿を現す。
  • 生死の分水嶺・陸羽東線
    3.5
    父親らしき男とともに、なにかを探し求めて鳴子温泉を訪ね歩いていた若い女性。その死体が、一つの川の流れを日本海と太平洋に分かつ分水嶺の傍らで発見された。東京下町の名曲喫茶に勤める彼女には、六年前に殺人事件を起こし、逮捕されるという暗い過去があった。そして、喫茶店の同僚にも魔の手が――十津川警部が分水嶺に見た運命の分かれ道とは? 迫真のトラベルミステリー。
  • ドンナ ビアンカ
    3.8
    虫けら同然の人生で、初めて落ちた本気の恋。それは俺に心からの幸福と、地獄を招いた――。大手外食企業役員と店長が誘拐された。練馬署強行犯係の魚住久江は、一課時代の腐れ縁・金本らと捜査に召集される。だが身代金受渡しは失敗、切断された体の一部が送りつけられる。やがて捜査線上に浮かんだのは、一人の中国人女性。一課復帰を拒み所轄を生きる女刑事が事件の真相を追う!
  • 看守眼
    3.7
    刑事になるという夢破れ、留置管理係として職業人生を閉じようとしている、近藤。彼が証拠不十分で釈放された男を追う理由とは(表題作)。自叙伝執筆を請け負ったライター。家裁調停委員を務める主婦。県警ホームページを管理する警部。地方紙整理部に身を置く元記者。県知事の知恵袋を自任する秘書。あなたの隣人たちの暮らしに楔のごとく打ち込まれた、謎。渾身のミステリ短篇集。
  • 背いて故郷
    3.3
    第六協洋丸、仮想敵国の領海に接近するためのスパイ船。柏木はその仕事を好まず、親友・成瀬に船長の座を譲った。だが成瀬は当直中に殺されてしまう。撮影済みのフィルムを奪われて。禁忌に触れてしまったとでもいうのか? 柏木は北の大地を餓狼の如き切実さで駆けめぐった。ただ真相に迫りたかったのだ。彼の前に立ちはだかるのは〈国家〉、そして――。日本推理作家協会賞受賞作。
  • 樹液少女
    4.0
    1巻1,408円 (税込)
    失踪した妹を捜す男が迷い込んだのは、磁器人形(ビスクドール)作家の奇妙な王国。雪に閉ざされた山荘に招かれた4人のコレクターの前で、無残な遺体が発見された。誰が何のために? 次の標的は? 鍵を握るトランプコードの秘密を知ってしまった者の運命は……。平成生まれの新鋭による新潮ミステリー大賞受賞後第一作。
  • 紅い陽炎
    -
    子供をベビーホテルに預け、デリカテッセンで夕食の献立をそろえ、ジャズダンス、小説教室へと通う。そんな新しいライフ・スタイルを楽しむ34歳の主婦が殺された。捜査が進むにつれて、主婦たちの秘められた想いが明らかにされて行く……。欲望渦巻く都会の片隅で、翔ぼうとしても翔べない女たちの怨嗟が、陽炎のように燃え上がる。日常に潜む狂気を描き出す、異色のミステリー。
  • 夢の虐殺
    -
    総合商社の中で、人間部分品として飼育されていることに、ある日突然気づかされたサラリーマンが、学生時代に生命を賭けた山に、もう一度挑戦することで、かつての自分をとりもどそうとする表題作。死体消去という方法で完全犯罪を企てる人間たちの愛憎劇「人間溶解」。ほかに「高燥の墳墓」「派閥抗争殺人事件」「侵略夫人」「殺意の造型」など、現代社会の檻にとじこめられた男たちの怒りがほとばしる、力作推理小説6編。
  • 都市の遺言
    -
    深夜、同じ番号にかかった電話が、偶然全てつながった。複数での会話が可能なことに気づいた5人の若者は、以来「混線クラブ」と称し、声だけの交遊を続けてきた。そのメンバー、新野とみゆきが次々に死体で発見された時、残された3人は初めて顔を合わせ、事件の調査に乗り出した。そして新野の同性愛、みゆきの売春などの秘密を知るのだが……。孤絶した都会人の歪んだ病巣を描く。
  • 女検事 霞夕子 螺旋階段をおりる男
    5.0
    他人の目には理想のカップルだが、終日妻への不信感に苛まれ、異常な嫉妬を露わにする弁護士の夫と、そんな夫を持った妻の孤独な悩み――。現代人が直面するさまざまな疲労・倦怠・空虚と、一歩間違えれば悲劇が生まれる現代の恐怖を題材にした表題作ほか、いずれも平穏な日常生活の下に潜む意外な犯意や、犯人の心理を鮮やかに捉えた2編を収録する。
  • 東京駅で消えた
    3.0
    大手建設会社部長・曽根寛の足どりは、帰宅途中の東京駅で見かけられたのを最後に、消えた。無断外泊などしたこともない曽根の行方を、妻と部下は必死に捜すが、やがて駅の霊安室で、死体となって発見された。続いて構内のステーションホテルの非常階段に、若い女性の死体が……。二人の死に共通点はあるか? 犯人は東京駅に詳しい人物なのか? 連続殺人の裏に潜む意外な背景。
  • 鍵のかかる棺(上)
    -
    客数四千人・従業員三千人――あらゆる欲望を秘めて呼吸する、鉄と石の超高層の棺、東京ロイヤルホテル。利益追求の巨大な機構の陰で、次々と発生する殺人事件は、想像もつかないほどの国際的な奥深さをもって展開してゆく……。この錯綜した現代社会を象徴するかのように屹立するホテルを舞台に、著者自身のホテルマン生活十年の体験のすべてをそそぎ込んだ、力作長編推理小説。
  • 青の魔性
    -
    異様な才能と魅力を秘めた教え子の女生徒に強くひかれながらも、母親と肉体関係を結ぶ小学校教師。それを知った少女が自殺した時、教師は普通の女性を愛せなくなり、精神に異常をきたす(表題作)。老朽化した橋の爆破の陰で計画された殺人事件を暴く『枕に足音が聞える』ほか、『サギ・カンパニー』『獣の償い』『褥の病巣』『途中下車』『共犯の瞳』『禁じられた墓標』『鉄筋の猿類』の、斬新な着想で読者を圧倒する推理短編、全9話。
  • 女の警察
    -
    銀座でクラブやバーを経営する暁興業に勤める篝正秋は、借金を踏み倒して逃げたホステスを、たとえ草の根をわけても探しだしてくることから〈女の警察〉とあだ名されている。彼は友人の死への疑惑から、その行動の跡をたどっていくうちに、意外な事件に遭遇する。夜の歓楽の巷を舞台に、山陽新幹線用地買収にからむ疑獄事件に立向う男の姿を描く、迫真のエロチック・ミステリー。
  • ブラックライダー(上)
    4.0
    1~2巻737~825円 (税込)
    「世界は瀕死だが、まだ息絶えちゃいない」。〈六・一六〉により文明を失ったアメリカ大陸。生き残った者は人と牛を掛け合わせた“牛”を喰って命を繋ぐ。保安官バード・ケイジは、四十頭の馬を強奪したレイン一味を追い、大西部を駆ける。道すがら出逢ったのは運命の女コーラ。凶兆たる蟲の蔓延。荒野に散るのは硬貨より軽い命。小説の面白さ、その全てを装填した新たなる黙示録。
  • ディスコ探偵水曜日(上)
    4.1
    1~3巻770~946円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 迷子専門の米国人探偵ディスコ・ウェンズデイは、東京都調布市で、六歳の山岸梢と暮らしている。ある日、彼の眼前で、梢の体に十七歳の少女が〈侵入〉。人類史上最大の事件の扉が開いた。魂泥棒、悪を体現する黒い鳥の男、円柱状の奇妙な館に集いし名探偵たちの連続死──。「お前が災厄の中心なんだよ」。ジャスト・ファクツ! 真実だけを追い求め、三千世界を駆けめぐれ、ディスコ!! ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • 風屋敷の告白
    3.0
    定年退職して暇をもてあまし、素人のくせに事務所を立ち上げた還暦探偵コンビ、憲幸と勉。最初のお客である美しい人妻の依頼で、空き家となった洋館の持ち主を捜し始めた二人は、なんとそこで白骨死体を発見してしまう。いったい殺されていたのは誰なのか。そして屋敷に隠された秘密とは――。危なっかしくも果敢なオヤジ探偵の大奮闘。めくるめく展開が待ち受ける長編ミステリー。
  • 出署せず
    3.6
    柴崎令司警部は、今回も綾瀬署を離れることができなかった。その一方で、同世代のキャリア・坂元真紀が署長に着任。現場経験に乏しいコンビが誕生してしまった。職務にまつわる署内の不祥事、保護司による長男殺しの闇。そして、女性店員失踪事案の再捜査が、幾つもの運命を揺さぶりはじめる――。ミステリ×人間ドラマの興奮。日本推理作家協会賞受賞の名手が描く、警察小説集。
  • 最後の花束―乃南アサ短編傑作選―
    3.7
    色恋をめぐる狂気は、その女たちを少しずつ蝕み、少しずつ壊していった……。ある女は大阪に引っ越してまで愛人を追いかけ、またある女は親友の婚約者を欲しがる。職人の夫の浮気を疑った妻は夫の作る提灯に火を仕込み、OLは見る間に垢抜けた同僚への嫉妬に狂う……。サスペンス・ミステリーの名手による短編を、単行本未収録作品を加えて精選したベスト・オブ・ベスト第一弾!
  • 殺意の風景
    5.0
    断崖絶壁に立った時の、血が引いていくような戦慄、季節はずれの別荘地の静寂につつまれた時の、本能的な怯え――。北は北海道の十勝岳、シラルトロ沼から、南は九州の平尾台、高千穂峡まで、日本全国18カ所の風景を〈主人公〉にした、ユニークな旅のミステリー。非情な大自然が人間の心に呼びおこす名状しがたい恐怖を、時刻表や心理のトリックを駆使して描き出す。泉鏡花文学賞受賞。
  • 野獣死すべし
    -
    敗戦で満洲から引揚げた伊達邦彦少年は、大戦の惨害に人間性の根底まで蹂躙され、大学生の頃には計算しつくされた完全犯罪を夢見るようになる。大学入学金の強奪に成功した彼は、戦時中父の会社を乗っ取った京急コンツェルンに対し執拗な復讐を開始する。怜悧な頭脳、端正な容貌と猛獣のような体躯を持つ非情の男伊達邦彦を描くハードボイルド小説の傑作。大藪春彦のデビュー作となる正編に加え、「週刊新潮」に連載された続編となる復讐編を収める。
  • 神野推理氏の華麗な冒険
    3.3
    コント作家にして、マザー・コンプレックスの名探偵が現われた! その名も神野推理。テレビ・ディレクター星川夏彦をワトスン役に、神のごとき推理で、どんな難事件も解決してしまう。工事現場の半密室(?)殺人を扱った「さらば愛しきヒモよ」、オリエント急行ならぬ「〈降りられんと急行〉の殺人」をはじめ、知的笑いと本格推理で読者に挑戦する、12の連作推理パロディ。
  • 探偵事務所23
    -
    都心の一角に私立探偵事務所を構える田島英雄は、公安委員会から拳銃の所持を許された数少ない民間人のひとりだ。腕は極めつきだが、仕事のやり方は強引で荒っぽい。こんど警視庁捜査一課長からひそかに依頼されたのは、密輸業者たちの上前をはねている一味の組織に囮として潜入してくれ、というものだった。拳銃使用の黙認を条件に仕事を引きうけた田島は……。連作痛快譚6編。
  • 加田伶太郎全集
    3.0
    福永武彦が加田伶太郎のペンネームで発表した「完全犯罪」「幽霊事件」「温室事件」「失踪事件」「電話事件」「眠りの誘惑」「湖畔事件」「赤い靴」の傑作探偵小説8編に、随筆「素人探偵誕生記」を併せ収めた異色の一巻。文化大学古典文学科の助教授で、自ら安楽椅子探偵を以て任ずる伊丹英典氏は、ワトソン役の研究室助手久木進君を伴い、お得意の分析力・想像力・論理力を駆使して、あわや迷宮入りかと思われた難事件・怪事件を颯爽と解決する。
  • 世界でいちばん熱い島
    -
    街も人も変わりつづける東京から、逃れるように渡ってきた南の島。そこは昔のままの〈楽園〉ではなかった。副大統領の暗殺、秘密警察とゲリラの暗闘、うさん臭い日本人の来島……。一触即発の危機的状況のなか、外部との連絡は断たれた。だが、皮肉にもこのとき、理想の女性とふたりだけの、濃密で純粋な愛の時間が訪れる。南海の小国を舞台に展開するサスペンスフル・ストーリー。
  • 紳士同盟ふたたび
    -
    あのコン・ゲーム集団〈紳士同盟〉が帰ってきた! 暴力や殺人で金を奪おうとするのは、もう古い。今の世の中、頭脳こそ、腕力や凶器以上の武器なのだ。被害者に被害にあっていると思わせない機智と品格を備えた犯罪、それがコン・ゲームだ。今度の目標は二億三千万円、東京・NYを股にかけ、大胆かつ緻密なトリックをしかけるが……。スマートでユーモラスなコン・ゲーム小説。

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