小説 - 集英社文庫作品一覧

  • 光の帝国 常野物語
    4.1
    1~3巻495~605円 (税込)
    膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから――「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか? 不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。
  • 怪物
    3.5
    定年を間近に控えた刑事、香西には〈死〉の匂いを嗅ぎとる不思議な能力があった。その力を手掛かりに不審な失踪事件を調べるうち、彼はゴミ処理施設で働く青年、真崎に辿り着く。「処理場で人間の身体くらい溶かせる」とこともなげに言う真崎。端正な顔立ちのこの男が事件の犯人なのか。二人の息詰まる攻防戦が幕を開ける――。正義と悪の概念が根底から覆される! 著者渾身の長編ミステリー。
  • 東京バンドワゴン
    4.2
    東京、下町の古本屋「東京バンドワゴン」。この老舗を営む堀田家は、今は珍しき大家族。60歳にして金髪、伝説のロッカー我南人。画家で未婚の母、藍子。年中違う女性が家に押しかける美男子、青。さらにご近所の日本人好きのイギリス人、何かワケありの小学生まで、ひと癖もふた癖もある面々が一つ屋根の下、泣いて笑って朝から晩まで大騒ぎ。日本中が待っていた歴史的ホームドラマの決定版、ここに誕生!!
  • 桜のような僕の恋人
    4.7
    美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は……。桜のように儚く美しい恋の物語。
  • あなたが愛した記憶
    4.0
    興信所を営む曽根崎栄治の前に、女子高生・民代が現れる。十九年前に突然姿を消した恋人・真弓が産んだ栄治の娘だと主張する彼女は、二人の人物を探して欲しいと依頼する。半信半疑ながら栄治が調査を進めるうち、民代は、調査対象者のどちらかが世間を騒がす残虐な連続監禁殺人事件の犯人だと言いだし……。この子は一体、何者なのか。犯人の正体は何なのか。ノンストップ恋愛ホラーサスペンス!
  • 東京ロンダリング
    3.6
    1~2巻451~814円 (税込)
    内田りさ子、32歳。訳あって夫と離婚し、戻る家をなくした彼女は、都内の事故物件を一ヶ月ごとに転々とするという、一風変わった仕事を始める。人付き合いを煩わしく思い、孤独で無気力な日々を過ごすりさ子だったが、身一つで移り住んだ先々で出会う人人とのやりとりが、次第に彼女の心を溶かしてゆく――。東京の賃貸物件をロンダリング〈浄化〉する女性の、心温まる人生再生の物語。
  • プリズンホテル 1 夏
    3.9
    1~4巻495~660円 (税込)
    極道小説で売れっ子になった木戸孝之介の身内で、ヤクザの大親分の仲蔵が、温泉リゾートホテルのオーナーになった。招待された孝之介は驚いた。なんとそのホテルは任侠団体専用だったのだ。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ。さまざまな人たちがこのホテルで交差する。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家などなど、奇妙な人々が繰り広げる、涙と笑いの物語。シリーズ第一作。
  • オロロ畑でつかまえて
    3.5
    1~2巻495~605円 (税込)
    【第10回小説すばる新人賞受賞作】人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった! ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦『牛穴村 新発売キャンペーン』が、今始まる――。ユーモア小説の傑作。
  • 双面の天使
    4.0
    絵のように美しい兄妹、潤と茜。幼い二人に芽生えた“新しいママ”への小さな嫌悪がやがて恐ろしい惨劇を招いてしまう…、表題作「双面の天使」他、牝猫と暮らす独身中年の身近で起きる謎の完全殺人を描く「共犯関係」。都市に住む人々の孤独と狂気が思いがけない殺意を呼び起こす…サイコスリラー4編を収録。
  • 検証捜査
    3.7
    1~3巻722~880円 (税込)
    神谷警部補は、警視庁捜査一課の敏腕刑事だったが、伊豆大島署に左遷中。彼に本庁刑事部長から神奈川県警に出頭命令が下る。その特命は、連続婦女暴行殺人事件の犯人を誤認逮捕した県警そのものを捜査することだった。本庁、大阪、福岡などから刑事が召集されチームを編成。検証を進めるうち、県警の杜撰な捜査ぶりが……。警察内部の攻防、真犯人追跡、息づまる死闘。神谷が暴く驚愕の真実! 警察小説。
  • 鉄道員(ぽっぽや)
    4.2
    娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた……。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収録した傑作集。日本中、150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラーに、あらたな「あとがき」を加えた。第117回直木賞を受賞。
  • 桐島、部活やめるってよ
    3.7
    映画化大ヒット小説! きっかけは、キャプテンの桐島が突然バレー部をやめたことだった。そこから波紋が広がっていく。地方の県立高校のバレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部、野球部――。それぞれの部活で、教室で、グラウンドで、5つの物語がリンクする。彼らがそれぞれ抱える問題は? 桐島はなぜ部活をやめたのか? 第22回小説すばる新人賞受賞作。
  • 能登怪異譚
    4.1
    市助には8人の子がいた。その子らが夜ごと寝間を抜け出して、朝まで箪笥の上に坐っている。そのうちに市助を除く家族全員が夜な夜な箪笥に上がるようになって――。(「箪笥」)。能登を舞台に玄妙な語り口で綴る9つの不思議な物語。恐怖と戦慄の半村フォークロア。
  • 山嵐
    3.8
    時は明治期。会津の地から、ひとりの若者が上京してきた。五尺に満たない小兵ながら、その才能を講道館創始者・嘉納治五郎に見出された彼は、柔道の修行を始める。独自の技「山嵐」を編み出し、講道館四天王のひとりに数え上げられるほどになるが、かねてから夢を馳せていた大陸への渡航を決意する。『姿三四郎』のモデルとなった天才柔術家・西郷四郎の壮烈なる半生。
  • どすこい。
    3.8
    地響きがする──と思って戴きたい……相撲取りの討ち入りを描く「四十七人の力士」、肥満ミトコンドリアが暴れる「パラサイト・デブ」などなど数々の名作を下敷きに、パロディの極北を目指したお笑い連作巨編がついに文庫化。炸裂する京極ギャグの奔流に、いつしかあなたは肉の虜となる。しりあがり寿先生の4コマも読めるし、解説には大盛肉子ちゃんがゲスト出演。全編でぶのちゃんこ盛り!
  • 相剋の森
    3.9
    1~2巻825円 (税込)
    「山は半分殺してちょうどいい――」現代の狩人であるマタギを取材していた編集者・美佐子は動物写真家の吉本から教えられたその言葉に衝撃を受ける。山を殺すとは何を意味するのか? 人間はなぜ他の生き物を殺すのか? 果たして自然との真の共生とは可能なのか――。直木賞・山本賞受賞作『邂逅の森』に連なる「森」シリーズの第一弾。大自然と対峙する人間たちを描いて感動を呼ぶ傑作長編。
  • 花のさくら通り
    4.2
    倒産寸前のユニバーサル広告社。コピーライターの杉山を始め個性豊かな面々で乗り切ってきたが、ついにオフィスを都心から、“さくら通り商店街”に移転。ここは、少子化やスーパー進出で寂れたシャッター通りだ。「さくら祭り」のチラシを頼まれた杉山たちは、商店街活性化に力を注ぐが……。年代も事情も違う店主たちを相手に奮闘する涙と笑いのまちづくり&お仕事小説。ユニバーサル広告社シリーズ第3弾。
  • 鏡の花
    3.6
    少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物語る夫の過去、製鏡所の娘が願う亡き人との再会……。「大切なものが喪われた、もう一つの世界」を生きる人々。それぞれの世界がやがて繋がり合い、強く美しい光で、彼らと読者を包み込む。生きることの真実を鮮やかに描き出すことに成功した、今までにない物語の形。ベストセラー『光媒の花』に連なり、著者の新しい挑戦が輝く連作小説。
  • 失踪(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.0
    鶴見弁護士の中学の恩師夏川が、札幌から上京した。城巡りが趣味の夏川は、雲海に浮かぶ城として有名な竹田城へ行く予定だという。数日後、神戸から竹田城へ向かった夏川が、忽然と消えたと連絡が入る。事故か事件か、恩師の安否を心配し鶴見は竹田城へ。やがて、教育熱心で生徒に慕われた男が抱えた暗い秘密を突き止めるが……。驚愕の真実を前に若き弁護士が下した決断とは?
  • 白ゆき姫殺人事件
    3.3
    化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人々への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。
  • 旅屋おかえり
    4.2
    あなたの旅、代行します! 売れない崖っぷちアラサータレント“おかえり”こと丘えりか。スポンサーの名前を間違えて連呼したことが原因でテレビの旅番組を打ち切られた彼女が始めたのは、人の代わりに旅をする仕事だった――。満開の桜を求めて秋田県角館へ、依頼人の姪を探して愛媛県内子町へ。おかえりは行く先々で出会った人々を笑顔に変えていく。感涙必至の“旅”物語。
  • 鎮魂(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.7
    森塚翔太は、包丁で隣人を刺殺し、現行犯逮捕された。だが、凶器は被害者が持ってきたと主張し、殺意を否認。担当弁護士の鶴見は、接見のたびに供述を二転三転する森塚に不審を抱く。さらに森塚のDVから逃げている女性の存在が明らかになり……。阪神淡路大震災から20年の時を経て明らかになる驚愕の真実! 償いとは何かを、犠牲者たちへの祈りを込めて描く、号泣ミステリー。
  • 貴族探偵
    3.6
    信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生! 傑作5編を収録。
  • 夏と花火と私の死体
    3.8
    九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか? 恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作品。
  • 嘘つき女さくらちゃんの告白
    3.7
    盗作疑惑が持ち上がる中、美人イラストレーターsacraが失踪した。彼女の幼馴染みでライターの朝倉は、クラスメイトや恩人、恋人などsacraに関わってきた人々にインタビューすることで彼女の真実に迫ろうと考える。盗作、経歴詐称、結婚詐欺など、息をするように繰り返した嘘の果てに姿を消したsacraは今、どこで何をしているのか。そして、彼女が本当に欲しかったものとは――?
  • 暗黒童話
    4.1
    突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ち構えているとも知らずに…。乙一の長編ホラー小説。
  • 夜を急ぐ者よ
    3.6
    原口泰三。非合法組織に追われる彼は、嵐が接近する沖縄那覇空港に降り立ち、追っ手の目から逃れるためにうらぶれたホテルに投宿する。東恩納順子。ホテル経営責任者。以前は経営に情熱を燃やしていた彼女だったが、夫との死別で今は流されるままに生きている。泰三と順子はかつて愛し合う仲だった。交わることのなかった二人の人生が、緊迫した事態のなかで劇的に交錯する。傑作サスペンスロマン。
  • 雨の降る日は学校に行かない
    3.6
    保健室登校をしているナツとサエ。二人の平和な楽園は、サエが“自分のクラスに戻る”と言い出したことで、不意に終焉を迎える――(「ねぇ、卵の殻が付いている」)。学校生活に息苦しさを感じている女子中学生の憂鬱と、かすかな希望を描き出す6つの物語。現役の中高生たちへ、必ずしも輝かしい青春を送って来なかった大人たちへ。あなたは一人きりじゃない、そう心に寄り添う連作短編集。
  • ジヴェルニーの食卓
    4.2
    ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。身を持ち崩したパトロン一家を引き取り、制作を続けた彼の目には何が映っていたのか。(「ジヴェルニーの食卓」)新しい美を求め、時代を切り拓いた芸術家の人生が色鮮やかに蘇る。マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌら印象派たちの、葛藤と作品への真摯な姿を描いた四つの物語。
  • 残り全部バケーション
    4.2
    当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯電話の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった相手は離婚寸前の男。かくして岡田は解散間際の一家と共にドライブをすることに――。その出会いは偶然か、必然か。裏切りと友情で結ばれる裏稼業コンビの物語。
  • 嗤う名医
    3.5
    脊柱管狭窄症で尿道に管を入れられ自宅で寝たきりの状態を強いられている男性は、嫁に浣腸を頼むのが憂鬱だ。あげくに嫁は看護婦や医師にわたしが痴呆だと嘘をついて嫌がらせをしている。きっと施設送りにしようと企んでいるに違いない。そんなことはさせないと叫ぶが――「寝たきりの殺意」。豊胸手術に失敗した運の悪い女を描いた「シリコン」他、現役医師による背筋が凍るミステリー全6篇。
  • 箱庭図書館
    3.6
    僕が小説を書くようになったのには、心に秘めた理由があった(「小説家のつくり方」)。ふたりぼっちの文芸部で、先輩と過ごしたイタい毎日(「青春絶縁体」)。雪面の靴跡にみちびかれた、不思議なめぐり会い(「ホワイト・ステップ」)。“物語を紡ぐ町”で、ときに切なく、ときに温かく、奇跡のように重なり合う6つのストーリー。ミステリ、ホラー、恋愛、青春……乙一の魅力すべてが詰まった傑作短編集!
  • 今夜 誰のとなりで眠る
    3.6
    その自由で奔放な生き方で女たちを魅了した男、高瀬秋生の突然の訃報。大学の同級生だった真以子と協子、秋生の友人と結婚した七恵、一緒に暮らしていた佑美、その職場の同僚じゅん子。ひとりの男の死が、彼と関わった5人の女たちの人生に、さざ波をたててゆく――。30代半ば、もう若くはない、でもやり直せる。それぞれの事情を抱えながら生きてゆく女たちの、新しい旅立ちを描く長編小説。
  • 復讐はワイングラスに浮かぶ
    3.7
    中堅事務器会社の新人OL洋子は入社してすぐ、先輩の村上に一目ぼれ。独身でハンサムな彼と付き合うことになる。しかし、村上には秘密があった。彼は次々とやめていく女子社員をつなぎとめておくためのオトリだったのだ。逢うたびに彼にのめりこむ彼女は、ある日、その秘密に気づいてしまう。密かに復讐を決意する彼女は……。表題作含め珠玉の4編を収録した傑作サスペンス・ミステリー短編集。
  • 葡萄物語
    3.6
    ワイン工場と葡萄園を経営する夫と平凡な暮らしを送る映子だが、子どもができない負い目から夫婦の関係は次第にすれ違っていく。そしてお互い別の相手に思いを寄せ始める。優しい夫に愛されている女はいくらでもいるが、夫以外の男から激しく思われている女はどれだけいるのだろうか。結婚生活の苦さと、不倫の甘さ。大人のための恋愛小説。
  • 浮雲心霊奇譚 赤眼の理
    3.6
    1~7巻572~781円 (税込)
    時は江戸末期。絵師を目指す青年・八十八は、夜道で幽霊に出くわして以来、奇妙な行動を取るようになった姉を救うため、憑きもの落としの名人に会いに行く。肌が異様に白く、両眼を覆うように赤い布を巻いた男。名を、浮雲という。布の下に隠した赤い両眼で死者の魂が見えるという破天荒な浮雲と行動を共にするうち、八十八の前には新たな世界が見えてきた――。幕末ミステリー、堂々開幕!
  • さよならバースディ
    3.6
    霊長類研究センター。猿(ボノボ)のバースディに言語習得実験を行っている。プロジェクトの創始者安達助教授は一年前に自殺したが、助手の田中真と大学院生の由紀が研究を継いだ。実験は着実に成果をあげてきた。だが、真が由紀にプロポーズをした夜、彼女は窓から身を投げる。真は、目撃したバースディから、真相を聞き出そうと…。愛を失う哀しみと、学会の不条理に翻弄される研究者を描く、長編ミステリー。
  • アジア新聞屋台村
    4.2
    ワセダの三畳間に沈没するライターのタカノ青年は、台湾の美人社長に見込まれ、なぜか多国籍新聞社の編集顧問に就任。勇み立ったはいいが、アジア各国のツワモノたちに翻弄され、たちまちハチャメチャな屋台的世界に突っ込んで行く。果たして彼と新聞社の未来は? 在日アジア人と日本人の夢と現実を痛快に描く自伝的トーキョー青春物語。『ワセダ三畳青春記』『異国トーキョー漂流記』の姉妹篇。
  • 美ら海、血の海
    3.9
    東日本大震災発生から3日後、石巻に入った老人・真栄原幸甚(まえはらこうじん)は眼前の惨状に、60数年前、戦時下の光景を思い出す。1945年、日本は敗色濃厚。14歳、沖縄一中の生徒だった幸甚は、鉄血勤皇隊として強制的に徴用される。ついに米軍は沖縄へ上陸。激しい砲撃・爆撃に本島南部への撤退を余儀なくされた日本軍の道案内を命じられ、あまりに苛酷な地獄を見る! 慟哭の沖縄戦を描く異色の力作長編!
  • 共喰い
    3.5
    一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。セックスのときに琴子を殴る父と自分は違うと、自らに言い聞かせる遠馬だったが、やがて内から沸きあがる衝動に戸惑いつつも、次第にそれを抑えきれなくなって─。川辺の田舎町を舞台に起こる、逃げ場のない血と性の問題。第146回芥川賞受賞作。文庫化にあたり、瀬戸内寂聴氏との対談を収録。ほか「第三紀層の魚」併録。
  • 赤と白
    3.7
    【第25回小説すばる新人賞受賞作】冬はどこまでも白い雪が降り積もり、重い灰白色の雲に覆われる町に暮らす高校生の小柚子と弥子。同級生たちの前では明るく振舞う陰で、二人はそれぞれが周囲には打ち明けられない家庭の事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ、日常がより一層の閉塞感を帯びていく……。絶望的な日々を過ごす少女たちの心の闇を抉り出す。
  • 処女連祷
    4.2
    卒業を間近に控えた女子大生仲良しグループ。珠美は秘書、文代は教師、トモ子は編集者など、7人それぞれの進路へ巣立とうとしている。恋愛に憧れつつも、まだ見合い結婚が主流の終戦直後、彼女達が常に盛り上がるのは、唯一婚約者のいる祐子の話だ。卒業後、婚約者の誕生日に全員が祐子の家に招待されるが――。若い女性の心の葛藤を、瑞々しく描く。有吉文学の原点となった、初の長編小説。
  • 家日和
    3.8
    会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは……。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。
  • 魚神
    4.3
    かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし、年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。
  • おとぎのかけら 新釈西洋童話集
    3.6
    母親から育児放棄されかけている幼い兄と妹は、花火大会の夜にデパートでわざと迷子になる。公園で出会った女に連れて行かれたマンションで待っていたのは、甘いケーキと、そして……(迷子のきまり ヘンゼルとグレーテル)。「白雪姫」「シンデレラ」「みにくいアヒルの子」など誰もが知る西洋童話をモチーフに泉鏡花文学賞受賞作家が紡いだ、美しくも恐ろしい7編を収録した短編集。
  • 学校の怪談
    3.8
    夏休みを明日に控えた終業式の夜、取り壊しが決まり、立ち入り禁止の旧校舎に、一人の先生と数人の生徒が迷い込み、閉じ込められる! なぜか出られない校舎の中、トイレから聞こえるのは行方不明の女の子の声、追いかけてくるのは死んだはずの用務員さん……!? 子供たちの間で囁かれる恐ろしい噂話が、現実になって彼らを襲う! ある夏の夜に子供たちが経験する、謎と、恐怖と、友情の物語。
  • 光媒の花
    3.9
    一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界――。認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄弟が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束……。心の奥に押し込めた、冷たい哀しみの風景を、やがて暖かな光が包み込んでいく。すべてが繋がり合うような、儚くも美しい世界を描いた全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。
  • 妻の女友達
    3.9
    市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく…。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。傑作サスペンス6編。
  • 少女は卒業しない
    4.1
    今日、わたしは「さよなら」をする。図書館の優しい先生と、退学してしまった幼馴染と、生徒会の先輩と、部内公認の彼氏と、自分だけが知っていた歌声と、たった一人の友達と、そして、胸に詰まったままの、この想いと――。別の高校との合併で、翌日には校舎が取り壊される地方の高校、最後の卒業式の一日を、7人の少女の視点から描く。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。
  • 吸血鬼と切り裂きジャック(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    濃い霧の夜、女子高生がナイフで切り裂かれて殺されるという事件が起こった。あの“切り裂きジャック”が、100年以上の時を経て現代に甦ったのか……!? 事件の背後に禍々しい“血の匂い”を感じて調査に乗り出したクロロックとエリカ。そんなある夜、また霧が立ち込めてきて――!? 表題作のほか『吸血鬼は夜中に散歩する』『吸血鬼の優雅な休暇』の2編を収録。大好評シリーズ第13弾!!
  • 暗黒街の吸血鬼(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.0
    駅のホームで、突然見知らぬ男たちに囲まれたクロロックとエリカ。黒のマント姿といういかにも怪しい格好のために、人違いされてしまったのだ。彼らが探していたのは、恐ろしい復讐心を燃やす父娘らしいのだが……!? 暗黒街の掟に立ち向かう、正義の吸血鬼父娘が大活躍! 表題作のほか『吸血鬼は時給八八〇円』『吸血鬼の祭典』の2編を収録した、〈吸血鬼はお年ごろ〉シリーズ第15作!
  • 忘れじの吸血鬼(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    -
    閉館日が近づく映画館で『吸血鬼もの』の映画を見ていたエリカは、妙な冷気を感じる。上映終了後、近くの席で女性が気を失っていて!? その女性は、映画のロケ地だった村で生まれ育ち、子供の頃に吸血鬼に襲われたという。事件の予感に、吸血鬼父娘が立ち上がる!! 表題作のほか〈忘れじの吸血鬼〉第2話『過去の眠る村』、『吸血鬼の初恋物語』の2編を収録。大好評シリーズ第14弾!!
  • 愛には少し足りない
    3.8
    結婚をして家庭をもち、夫のために食事を作る、そんな平凡な生き方が、自分の求める幸せの形だと早映は思っていた。恋人・卓之の叔母の結婚パーティで、麻紗子と再会するまでは……。麻紗子の奔放で自由な生き方に、反感を覚えながらも、自分の中に同じ欲望があることに気づく早映。卓之、彼の叔母・優子、優子の夫……。それぞれが幸せを求めて、模索していく様を描く長編恋愛小説。
  • 生きてるうちに、さよならを
    3.6
    「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔辞に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の涼子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを……。
  • かもめ
    3.9
    19世紀末ロシアを舞台に描かれる作家志望の男と女優を夢見る女の恋。35歳のチェーホフが“恋だらけの物語”として構想した戯曲は、様々な演出家や時代によって形を変え、100年以上の時を経てなお、世界各地で愛され続けている。「人生の本質を見る真の繊細なまなざしを獲得した」と評された演劇史上不朽の名作が今、現代を生きる人々のための瑞々しい名訳となって甦る。
  • ことばの国
    3.7
    日本が英・米・豪、そして中国と開戦。英語と漢語、漢字までも敵性語となったとしたら!? 偶然送信されてきた、間違いファクシミリが引き起こす大乱戦珍騒動。曖昧なファッション用語が招くフツーの生活のコンラン、ドタバタ……。氾濫する外国語。使用禁止ことわざ。スピーチ。あらすじ。手垢のついた言い回し。廃語辞典。討論。手紙などなど。ことばと言葉にたいする徹底究明的パスティーシュ小説集。
  • 白い薔薇の淵まで
    4.2
    ジャン・ジュネの再来とまで呼ばれる新人女性作家・塁と、平凡なOLの「わたし」はある雨の夜、書店で出会い、恋に落ちた。彼女との甘美で破滅的な性愛に溺れていく「わたし」。幾度も修羅場を繰り返し、別れてはまた求め合う二人だったが……。すべてを賭けた極限の愛の行き着く果ては? 第14回山本周五郎賞受賞の傑作恋愛小説。発表時に話題を読んだ受賞記念エッセイも特別収録。
  • 窓

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    一流会社に就職が内定した隅野弘之は、出世の妨げになることを恐れ、遊び半分のガールフレンドと別れる決心をする。別れ話がこじれないよう一計を案じるが――。欲と保身のための計画が、連続殺人事件の発端に! 新宿署・牛尾刑事の忍耐強い追跡がはじまる。大都会にうごめく人々の錯綜する人生を描く、ヒューマン・ミステリーの力作。
  • 弁護側の証人
    3.8
    ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子(なみこ)は八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗った。しかし幸福な新婚生活は長くは続かなかった。義父である当主・龍之助が何者かに殺害されたのだ。真犯人は誰なのか? 弁護側が召喚した証人をめぐって、生死を賭けた法廷での闘いが始まる。「弁護側の証人」とは果たして何者なのか? 日本ミステリー史に燦然と輝く、伝説の名作がいま甦る。
  • 秘密への跳躍 怪異名所巡り5
    -
    弱小「すずめバス」のバスガイド・町田藍は、霊感が強く幽霊と話せるという特技がある。これを売りにした「幽霊ツアー」は、常連の女子高生・真由美をはじめ、変わり者のお客たちに大人気。夜な夜な赤子を抱いた女教師の霊が出るという高校の池を訪ねた一行。そこで真由美が奇妙な霧に包まれ妊娠してしまい!? (「生まれなかった子の子守歌」)など6編を収録した、大人気シリーズ第5弾!
  • さよならをするために
    3.5
    約束の時間から1時間。彼はきっと来ない、来るわけはない。恋はいつしか壊れていくもの…。終わった恋にエンドマークを打つために勇気をふりしぼって一歩を踏み出した女の子たち。そして、それは新しい恋の始まり…五つの恋が壊れていくありさまを切なく描く恋愛小説集。人は、さよならをするために恋をするの?
  • 娼年
    4.1
    恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく……。いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。
  • キスまでの距離 おいしいコーヒーのいれ方 I
    3.8
    高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい! いつしか一人の女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は…。
  • ガダラの豚 1
    4.0
    1~3巻440~550円 (税込)
    アフリカの呪術医研究の第一人者、大生部多一郎は、テレビの人気タレント教授。超能力ブームで彼の著者「呪術パワーで殺す!」はベストセラーになった。しかし、妻の逸美は8年前の娘・志織のアフリカでの気球事故での死以来、神経を病んでいた。そして奇跡が売り物の新興宗教にのめりこんでしまった。逸美の奪還をすべく、大生部は奇術師ミラクルと組んで動き出す。
  • 愛しても届かない
    3.9
    「恋」という魔物にとりつかれた女は、ときに、自分自身でも思いがけないことをしてしまう。七々子の場合がそうだった。好きになった彼にはすでに恋人がいた。あきらめきることができない七々子のとった行動は、彼の恋人、美咲に近づき、友達になることだった。嘘をつき、おとしいれ、そうまでして手に入れた恋。一途に思う心には偽りはなかったはず、だけど……。女心の深淵をえぐる恋愛長編。
  • 愛してよろしいですか?
    -
    斉坂すみれ34歳。会社の仕事はそつなくこなし、重宝がられているのに、女もこの年齢で独身となると生きにくくなる。愛想がよければ男狂いと言われ、ちょっと冷たくすればヒステリー、質素にすれば色気がない――。ある旅先で、ひとまわり年下の大学生・矢富ワタルと出会い、不覚にも恋に落ちてしまった。若い男の子の顔色に一喜一憂する女の甘やかな恋心を笑いの渦に巻き込んで描く傑作恋愛小説。
  • 哀愁変奏曲
    5.0
    ハープの調べに愛がめばえ、シンバルの響きに、幼い日の残酷な思い出がよみがえる。ピアノのささやきは作曲家を夢みて、やがて挫折した青春の日々の追憶に誘う。懐かしきイングリッシュホルンの音色に女の哀しい人生模様が込められる。音楽と楽器を巡って奏でられる、愛と哀しみと恐怖のメロディ。連作ホラーサスペンス。
  • 愛と死の空路
    -
    国際線パイロット、志摩吾朗に思いがけない情報がもたらされた。かつて愛しあったスチュワーデスが、サンフランシスコで謎の失踪をしたという。シスコ便の場合、現地に着けば乗務員には約48時間の休みがとれる。その日から、彼女の行方を追う、志摩の執拗な追跡調査がはじまった。が、彼を待ち受けていたのは――麻薬、売春、暴力が渦まく暗黒街の罠だった…。著者会心の連作長編ミステリー。
  • あいにくの雨で
    3.9
    町に初雪が降った日、廃墟の塔で男が殺害された。雪の上に残された足跡は、塔に向かう一筋だけ。殺されたのは、発見者の高校生・祐今(うこん)の父親だった。8年前に同じ塔で、離婚した妻を殺した疑いを持たれ、失踪していた。母も父も失った祐今を案じ、親友の烏兎(うと)と獅子丸は犯人を探し始める。そんな彼らをあざ笑うように、町では次の悲劇が起こり――。衝撃の真相が待ち受ける、青春本格ミステリ。
  • 愛に似たもの
    3.4
    【第21回柴田錬三郎賞受賞作】母親のようにはなりたくない。美貌と若さを利用して、すべてを手に入れてやる(『真珠の雫』)。親友の真似をして人生の選択をしてきた。ある日を境にふたりの立場が逆転。その快感が(『ロールモデル』)。過去の失敗は二度と繰り返さない。たとえ自分を偽っても、今度こそ結婚までこぎつけなければ(『教訓』)。など、幸せを求める不器用な女たちを描きだす8編の短篇作品集。
  • 愛の風見鳥
    3.0
    愛に定義など本来ありはしない! 数人の男性から愛を打ちあけられて、ピンクムードで幸せいっぱいの亜以子が得たものは……。麻子が突然の事故を目撃したとき、その妻ある男のうろたえぶりは…。さまざまな愛と、愛のたどる道を、ある時は甘く、ある時は辛辣に、情感豊かに読者に語りかける。
  • 愛はひとり
    3.3
    目が醒める。ひとりである……。今日も平穏な日常が虚しく過ぎていく。そして、果てしのない寂しさ――。淡々と、しかし赤裸々に語られる、ある女の「ひとりであること」。孤独な生活のなかで愛を求め続ける切実な心を、フレンチ・ポップスの名曲に託し、詩情豊かに、そして幻想的に描くビジュアル短編集。すべての孤独な女性必読の「処方箋」。この本で、あなたの症状もきっと治ります。
  • 相棒はドM刑事1 女刑事・海月の受難
    3.3
    1~3巻572~880円 (税込)
    神奈川県警港みらい署の若手女性刑事・菱川海月。署内で「女の子」扱いされ捜査の蚊帳の外に置かれることを不満に思っていたところ、後輩とコンビを組むことに。その後輩・亘善は頭脳明晰なイケメンだが、気の短い海月に叱り飛ばされたり殴られるたびに悦ぶ、とんでもないドM。海月は、嫌々ながら彼と捜査をすることになり……。横浜で起きるいっぷう変わった事件にSMコンビが挑む!
  • 碧空(凜一シリーズ)
    4.3
    高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凜一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凜一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凜一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は……。好評シリーズ第2弾。
  • 青空の街
    3.7
    (自分には社長業なんか向いてない)大学を出ても親の後をつがず、守衛をしたり、タクシー運転手をしたり……。そもそも人生とは何だろうか。建設会社の社長を父に持つ成瀬弘は考える。若者らしく現代を生き抜こうとする弘と恋人キミ子。多彩で複雑な人間模様のなかに愛の哀しみと喜びと、明日への夢を爽やかな筆致で描く明朗青春編。
  • 青のフェルマータ
    3.7
    両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝って暮らす彼女に島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて――。心に傷を持つ人々が織りなすイノセントでピュアな愛の物語。
  • 青葉の旅
    -
    愛別離苦――たまさかの出会いに垣間みる人生の断片、愛の余情を描き、男と女の哀しみとわびしさを浮き上らせる珠玉集。結婚20年を迎えた妻の哀愁にみちたひとり旅を描く表題作のほか「波の音」「良夜」「トランプ占い」「別れの旅」「冬の外套」「一年契約」「春の入り江」「城あと」の八編を収録。
  • 朱鳥の陵
    4.1
    時は飛鳥。他者の夢の意を読み解く力を持つ白妙は、皇女の夢を解くため京にやってくる。しかしその夢を解こうとするたびに、見知らぬ少女の心に呑み込まれてしまう。それは最高権力者である太上天皇、後の持統天皇の過去だった。彼女の心の奥へ奥へと入り込む中で、白妙は恐ろしい秘密へと近づいていく。強大な権力を手にし、愛する者を次々と葬った古代最強の女帝の真実に迫る歴史長編。
  • 空き缶ユートピア
    -
    「老人による老人のための老人の有料老人ホーム」を目指し共同生活をはじめた八人の老人と老人候補。人情薄い時代の心あたたまるユートピア設立の話に、マスコミはとびついた。だが、これはマスコミ受けをねらった全くのお芝居。老人たちはもっと凄い事件を企んでいた……。ユーモアと風刺をきかせたドンデン返し。新しい共同体の夢を描いた意欲作。
  • 秋の猫
    3.4
    【第16回柴田錬三郎賞受賞作】男はもうこりごりと思った私は、ついに念願の猫を飼うことにした。が、二匹のうちの一匹がどうしてもなつかない。表題作「秋の猫」。夫婦で犬を飼い始めたとたん、仕事は順調、夫は女をつくった。いざ離婚というときに、夫も私も犬の親権を主張して譲らない。「幸運の犬」ほか、犬や猫との交流をとおして、心を癒され、孤独の寂しさを埋めてゆく男女を描く、心温まる短編集。
  • 悪党どもの晩餐会
    -
    発端は、盗っ人稼業である江尻光男が富沢という偽名でホテルにチェックインしたことだった。江尻は本物の富沢と間違えられ、いきなり3人の男から襲撃を受ける。なんとかそれはかわしたものの、後日盗みに入った金庫室の前で一味と出くわし、囚われの身に。待っていたのはとんでもない罠だった。騙すか騙されるか…。壮絶な抗争を描く、長編ハードバイオレンス。
  • 悪魔が囁く教会
    3.3
    二度結婚に失敗したが多額の慰謝料を得た戸山いずみは、再婚を前提に二人の男と交際する。だが男たちはたがいに甘い言葉を囁きながら、競争相手を「結婚詐欺師」などと罵る。三たび教会で愛を誓うべき相手はどちらか。相談を受けた長谷川美枝子と弁護士向井明は人物鑑定に乗り出したが、善人か悪人かの評価に迷っているうちに、想定外の殺人が起きた! 驚愕の結末が襲いかかる心理ミステリー。
  • 明智小五郎事件簿1
    4.4
    1~12巻495~836円 (税込)
    日本を代表する名探偵の一人、明智小五郎がはじめて登場した「D坂の殺人事件」。退廃的な空気が漂う大正9年9月初旬、〈私〉はD坂にある白梅軒という喫茶点で明智小五郎と知り合った。偶然、向かいの古本屋で発生した殺人事件。二人は第一発見者となる。犯人は、明智小五郎なのか――「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」も収録。事件発生順に並べた画期的なコレクション全12巻! 配信開始!!(解説/皆川博子 クロニクル/平山雄一)
  • アゲイン 28年目の甲子園
    3.9
    もう一度、甲子園を目指しませんか――。40代半ばの元高校球児、坂町は見知らぬ女性に突然、声を掛けられる。彼は高校時代、ある出来事が原因で甲子園への夢を絶たれていた。記憶の蓋をこじ開けるような強引な誘いに苛立ちを覚える坂町だったが、かつてのチームメイトと再会し、ぶつかり合うことで、再び自分自身と向き合うことを決意する。夢を諦めない全ての大人におくる感動の物語。
  • 罅・街の詩
    5.0
    1~2巻440~550円 (税込)
    30歳を前に商社を辞めて転職した。やくざまがいの探偵稼業。それまでの自分は投げだした。なぜこんなことを始めたかも、考えないようにしていた。そして、汚れた都会の罅の間から聞こえてくる人々の呻きに耳を傾け、その声を胸底に深く沈めてきた。女に言われた。街に詩を書いている。人の心が綴る詩を書いている。探偵、浅生。32歳。哀切で情感あふれる北方ハードボイルドの名編。
  • 悪しき星座
    3.0
    OLが旅先で拾った恋が地獄の入口とは。悪魔にそそのかされて横領した四億五千万円は忽然と消え、OLの遺体のみ廃棄物として発見された。女を騙し貪り尽くした凶敵を追う捜査が始まる。ようやく焙り出したOLに繋がる男も、突如消えてしまう。嗤う真犯人に翻弄されて、捜査本部はついに解散。残った二人の刑事が、執念の追跡行の果てに掴んだ真相を降りこぼれる満天の星座が語る本格ミステリ。
  • 明日 一九四五年八月八日・長崎
    3.5
    原爆投下の前日八月八日、長崎の街にはいま現在そこに住む人々と、おなじ人間の暮らしがあった。結婚式を挙げた新郎新婦、刑務所に収監された夫に接見する妻、難産の末に子供を産む妊婦……。愛し傷つき勇気を奮い起こし、悲喜こもごも生きる人々を突然に襲う運命の「明日」。人間の存在意義を問い、核の脅威と向き合う「今日」を鮮烈に描き出す。昭和文学の金字塔。
  • 明日の約束 おいしいコーヒーのいれ方 Second Season II
    3.6
    いつのまに、彼女はここまで凛ときれいになったんだろう。久々にふたりで過ごす休日、<大人の女>になったかれんに、愛しさが募る反面、焦りや不安を感じる勝利。ひとり東京に戻り、一緒にいられない理不尽さに悶々としているころ、大家の裕恵さんの義弟が帰国する。一方、喫茶店『風見鶏』のマスターの身辺もあわただしくなる。かれんの同僚だった桐島先生の視点で描くサイドストーリーも収録。
  • 葦と百合
    3.3
    現代文明を捨て、自然との共生をめざしたコミューン運動「葦の会」。学生時代に参加し、十五年ぶりに再訪した医師・式根を待っていたのは、ブナの森深く、荒廃した無人の入植地跡だった――。理想社会を夢見て残ったはずの恋人と友人はどこへ消えたのか? そこで起こった怪死事件は果たして事故か。それとも森に潜む「誰か」が殺したのか? ミステリーとメタフィクションの完全なる融合。
  • 明日香・幻想の殺人(十津川警部シリーズ)
    -
    高松塚古墳の側で、古代貴人の衣装を纏った男の絞殺体が発見された。被害者は資産家の小池恵之介70歳。彼の口座から30億もの大金が引き出されていた。十津川警部は、小池の秘書で愛人の早川亜矢子を訪ねるが、何も知らないという。やがて、彼女も失踪し……。捜査の為、十津川警部たちは奈良へ。飛鳥時代への幻想の果てに連続する殺人! 古代史の闇に迫る名推理。旅情あふれる長編歴史ミステリー。
  • 飛鳥の怨霊の首
    -
    日本版ハッブル宇宙望遠鏡を目指す「飛鳥」プロジェクトの若きリーダー、天文学者の刈谷天空は、専門外の領域で「天武天皇は唐の天文学者に操られていた」と発言、物議を醸していた。その刈谷が、遷都千三百年でにぎわう奈良の南、明日香村にある「入鹿の首塚」の前で自殺! 第一発見者である英光大学古代史研究会のメンバーは、刈谷のキトラ古墳にまつわる禁断の研究資料を発見した!
  • 頭の中がカユいんだ
    3.9
    何かワケありの僕は、ある日、突然、妻と子を残して家出する。勤める小さな広告代理店に、寝泊まりするようになった僕。TV局員をはじめ、いろんなギョーカイ人たちと、夜に、昼に、昭和最後のヒートアップする大阪を徘徊する日々。次々とトンデモナイ事件が起こる中、現実と妄想の狭間で僕は……。中島らも自身が「ノン・ノンフィクション」と銘うった記念碑的処女作品集。
  • あたらしい家族
    3.3
    医学部入学を目指し大学浪人中のアキラは、いとこの善男が営む老人グループホーム「八方園」に下宿することになる。三十半ばでバツイチ、元役者、めっぽう口が悪くて老人たちを婆ぁ呼ばわりする善男だが、なぜかホームに暮らすみんなからの信頼は厚い。赤の他人ながら共同生活を送るうち、彼らは互いにかけがえのない存在になっていく。著者の代表作『おれのおばさん』に繋がる連作短編小説。
  • 遠い迷宮 阿刀田高傑作短編集 ミステリー
    4.5
    1~7巻605~693円 (税込)
    良家の若妻・真樹子は、そろそろ1歳の娘と朝の時間を優雅に過ごしていた。そこへ、出産の時に病院で世話をしてくれた初江が、突然訪ねてくる。表面は人のいいおばさん風だが、何か薄気味悪い感じのする女。彼女が帰った午後、刑事がやって来て……「来訪者」より。人生、男女、心など、人間が生み出す数々の謎をモチーフに描く、鮮やかで洗練された珠玉のミステリー10編。
  • あとは泣くだけ
    3.4
    好きだった。でも、忘れたふりをしていた。あなたはもう隣にはいないから。けれど、ふとした拍子に見つけたあなたからの贈り物が、閉じ込めていた記憶を揺り起こし――。つきあっていた男性からの婚約指輪、一目惚れした女がくれた一冊の本、憧れていた先生にもらった赤いボールペン。大切な人に贈られた物を巡るかけがえのない思い出を綴った、いとしくて泣きたくなるほど切ない7つの物語。
  • あなたから逃れられない
    3.8
    若い豹のように美しい恭一に魅かれていく人妻の比奈子。画廊経営者の夫を欺いて二人の逢瀬を楽しんでいた別荘に不意に訪れてきた少女。そして彼女の突然の死が謎めいた事件をよびおこす。不倫の愛に溺れた比奈子を追いつめる脅迫者。また新たな殺人事件が……。緊張した男と女の愛を描くラブサスペンス書き下ろし。
  • あなたがほしい je te veux
    3.6
    【第22回すばる文学賞受賞作】男を抱くことはできても、愛せない。女を愛していても、抱き合うことをおそれてしまう――。年下の友人・留美に対する同性愛の欲望を意識しながらも、中年の建築家・小田との官能と友愛に充ちた関係に癒しと安らぎをおぼえるヒロイン・カナ。しかし留守中の留美の不在に、カナの秘めた想いは次第に募るのだった……。新感覚の性愛を鮮烈に描いた恋愛小説の傑作。
  • あなたへの日々
    3.5
    曜子、23歳。スイミングスクールのインストラクター。学生時代からの友人・徹也に求婚されるが、気持ちは固まらない。徹也のことは好きだけど、恋してはいない。そんなとき造形作家・久住のモデルをつとめ、激しく惹かれてゆく。だが彼は女性関係に奔放で束縛を嫌うタイプ――。愛してくれる優しい男と、不安で仕方がないのに愛してしまう男と。ふたりの男の間で揺れ惑う曜子の心模様。
  • 姉の結婚
    3.5
    結婚のご祝儀をめぐる、若い夫婦の人には言えない悔しい思い「御祝儀袋」。給料手取り十三万五千円のOLが家賃八万円のマンションに住むために、日々一円との闘いに明け暮れる倹約生活のなかで生まれる意外な感想「家賃」。普通と平凡が合体したような男と結婚した姉。たちまち破局がやってきて、目ざましい姉の変貌ぶりが可笑しい表題作。ささやかな見栄を支えに明るく生き抜く女たちの物語。
  • あの角を曲がって
    5.0
    19歳の女子大生の涼子はエリートサラリーマン・内島と不倫の関係にあったが、その関係が彼の妻・通江にばれてしまう。涼子は「必ず彼を奪ってみせる」と心の中で決意する。涼子を慕うが想いを告げられぬ田辺は同級生の彰子に苛立ちをぶつける。一方涼子の妹・淑子は田辺に恋している。錯綜する愛の行方を描くラブロマンス。

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