ビジネス・実用 - 筑摩書房作品一覧

  • 結婚の社会学
    NEW
    5.0
    結婚をめぐる常識は、日々変化しています。事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングルなど、一対の男女による結婚→出産というモデルではとらえきれない家族のかたちがたくさんあるのです。この本では、国際比較、歴史的比較、理論という三つの視点から、結婚というものを解き明かしていきます。当たり前を疑ってみることで、「ふつうの結婚」「ふつうの家族」という考え方を相対化できるはずです。
  • ふらり珍地名の旅
    5.0
    「浮気」「見物」「瓦葺」「駅部田」「昼飯」「未明」……難読だったり、およそ地名とは思えない地名の数々。味あるそれら珍地名をたずねる旅に出る。地形図片手に、場所を眺め、地名を声に出して読み、土地の人と語り継がれる歴史や生活について話をする。珍地名と過去・現在・未来を生きる人の物語を辿る旅の記録。
  • 映像のポエジア ──刻印された時間
    5.0
    「それ独自の事実のフォルムと表示のなかに刻み込まれた時間――ここにこそ、私にとって芸術としての映画の第一の理念がある」。その理念が有機的統一をもって結晶する“イメージ”。『惑星ソラリス』『鏡』『サクリファイス』など、生み出された作品は、タルコフスキーの生きた世界の複雑で矛盾に満ちた感情を呼び起こす。俳優や脚本のあり方をはじめとする映画の方法は、現代において涸渇した人間存在の源泉を甦らさんとする意図とともに追求された。戦争と革命の時代である20世紀に、精神的義務への自覚を持ち続けた映画作家の思考の軌跡。
  • 「家庭」の誕生 ――理想と現実の歴史を追う
    5.0
    イエ、家族、ホーム、ファミリーなど、多くの名が生まれた理由は、その言葉を用いないと表現できない現象や思いがあったためだ。「家庭」には、リベラル、保守、それぞれの理想が託されてきたが、一方でその理想と現実には様々な乖離があった。明治から昭和、平成、現代まで、それらをめぐる錯綜した議論をときぼぐしていくことで、近現代日本の新たな一面に光をあてる。
  • 道徳的に考えるとはどういうことか
    5.0
    その考えは正しいか正しくないか、あるいはそれをすべきか否か――。私たちは日々、様々な道徳的判断を迫られ、あるときは自然に、また別のときには悩みに悩んで結論を下す。こうした判断はしばしば、自分たちの外部にある絶対的な規準を個別の現実に当てはめるものとして思い描かれる。だが、そんなふうにすべてを一刀両断できる規準などありうるだろうか。「非主流派倫理学」の立場からプラトン、ウィトゲンシュタイン、一ノ瀬正樹、槇原敬之らの実践を取り上げることで、道徳的思考の多様で奥深い内実を浮き彫りにする哲学的探究。
  • 中世の覚醒
    5.0
    12世紀の中世ヨーロッパ、一人の哲学者の著作が再発見され、社会に類例のない衝撃を与えた。そこに記された知識体系が、西ヨーロッパの人々の思考様式を根底から変えてしまったのである。「アリストテレス革命」というべきこの出来事は、変貌する世界に道徳的秩序と知的秩序―信仰と理性の調和―を与えるべく、トマス・アクィナスをはじめ、キリスト教思想家たちを激しい論争の渦へと巻き込んでいった。彼らの知的遺産は、現代にどのような意義を持つのであろうか。政治活動の発展と文化的覚醒が進んだ時代の思想を物語性豊かに描いた名著。
  • 現代フランス哲学
    5.0
    1968年五月にパリで起こった「革命」を起点に、若者や労働者を巻き込み、時代や経験に深く根ざす思想運動として発展した現代フランス哲学。資本主義の矛盾や構造的な抑圧がさまざまに露呈する1980年代以降、それは大きな変化を遂げた。構造主義からポスト構造主義を経て、政治や宗教、労働、ジェンダー/フェミニズム、科学と技術、エコロジーをめぐる諸思想にいたるまで。フーコー、ドゥルーズ、デリダに続き、変容する社会を鋭くとらえる強靭な思想の広がりを一望する。
  • 科学的探究の喜び
    5.0
    私たちの周りにあるたくさんの不思議。先入観なく幼児がつぶやく質問、大人の持つ疑問。「何を知りたいか」、「いかにして答えを出すか」。どんな仕事も、ここから探究の喜びが始まる。科学者は自然界にある難問を明らかにしようと、疑う自由から生まれる想像力を武器に探究し、結果は「論文やレポート」によって知識となり、技術として社会に貢献する。生物のエネルギー産生・消費のメカニズムに、先駆的・独創的研究をしてきた生化学者が、自身の経験と知識をもとに問いの発見から解決、発表までのプロセスをつぶさに語る。文庫オリジナル。
  • 東京史 ──七つのテーマで巨大都市を読み解く
    5.0
    明治維新による誕生から今日までの約150年間、破壊と再生を繰り返しダイナミックに発展してきた帝都/首都東京。巨大都市はいかに形作られ、人々はどのように暮らしてきたのか? 関東大震災や太平洋戦争からの復興、高度成長とオリンピック、バブル経済とその崩壊、住まいとインフラ、自治と首都機能、工業化と脱工業化、繁華街と娯楽、高層化と臨海副都心開発――今や世界的都市となった東京を様々な角度から見つめ、読み解き、その歴史を一望する。まったく新しい東京史。
  • よみがえる田園都市国家 ──大平正芳、E・ハワード、柳田国男の構想
    5.0
    1980年に当時の大平正芳首相のもと、当代一流の知を結集してつくられた「田園都市国家構想」。それは人間的で文化的な国家を目指すすぐれた長期的国家ビジョンであった。その構想の原点となったエベネザー・ハワードの田園都市構想、それを発展させた農政学者・柳田国男による知られざる日本独自の分権的田園都市構想を検証。大平構想にあった家庭や地域コミュニティ、自然や文化の回復、そして国家と都市、地方が調和して発展するというビジョンを21世紀に再生させる試み。
  • 着眼と考え方 現代文解釈の方法〔新訂版〕
    5.0
    伝説の現代文教本には続きがあった! 『現代文解釈の基礎』の著者二人による発展編であり、長年読み継がれた定評のある参考書。現代文を読むには、特殊な知識は必要ない。「考える力」という武器が必要なのだ──。70の小説や評論、詩歌などを題材に、まずは何が書かれているかを理解する「内容的意味の把握」、次にその内容がどのように表現されているかを理解する「表現的意味の把握」、そして両者の総合に必要な「考え方」を丁寧に説く。受験生だけでなく、簡単には正解の出せない問題を、言葉をつかって考えようとする全ての人へ贈る現代文参考書。
  • ソ連核開発全史
    5.0
    第二次世界大戦後、大規模な軍拡競争を伴う東西冷戦下のソ連において推進された原子力政策は、人類史をどう変えたのか。最初期の放射線研究、史上最大の水爆実験から、世界初の原子力発電所稼働、東側同盟国への技術提供、原子力ビジネス、そして史上最悪のチェルノブイリ原発事故に至るまで。危険や困惑を深めながらも試行錯誤を重ね、科学者・技術者を総動員して推し進められた知られざる数々のプロジェクト。現代ロシアの基礎をなすその計画の全貌に迫る、はじめての通史。
  • 「魂」の思想史 ──近代の異端者とともに
    5.0
    合理主義と功利主義を基調とする近代。ゴッホ、ニーチェ、ボードレールから岡本太郎、三島由紀夫まで――、彼らは時代の趨勢に齟齬を覚えつつ、魂の声に引き寄せられ、思策と表現を行った。曖昧で無限定な概念でありながら、人々を揺り動かしてきた「魂」とはいったい何か。人間の内部と外部を通わせるその働きに、著者は現代人が見失ってしまったものを看取する。近代の異端者を通して生の息吹に触れる異色の思想史。
  • 卵のように軽やかに ――サティによるサティ
    5.0
    《3つのジムノペディ》で知られるサティ。彼はこんにちの実験音楽・環境音楽の先駆けをなす創作を試みた音楽家だったが、それだけではない。コクトーやピカソらと交流し、写真家マン・レイにインスピレーションを与えるなど、音楽の枠を超える自由な創作を楽しみ、それゆえ音楽史においては常に“異端児”のように扱われてきた。サティとは一体何者? 本書は彼の書いた音楽評論・エッセイ・詩・戯曲などを精選。時にユーモラス、時にシニカル。軽妙洒脱なエスプリをご堪能あれ。
  • 西田幾多郎『善の研究』を読む
    5.0
    『善の研究』は西田の最初の著作ながら、晩年に至るまでの思索全体を貫く考え方が示されている主著。その魅力は、西洋の哲学と格闘しながら、その不十分性を乗り越えて物事の真相に迫ろうとする西田の思いがそのまま表現されている点にある。仏教や儒教など、東洋の思想的な伝統も踏まえた広い視野で哲学の世界に新しい眺望を切り開いた本書の面白さや意義を分かりやすく解説。西田の思考を丁寧に読み解き、西田が語ろうとしたことを深く掘り下げる、格好の西田哲学入門。
  • リスクを考える ――「専門家まかせ」からの脱却
    5.0
    なぜ危機を伝える言葉は人々の心に響かず、平静を呼びかけるメッセージがかえって混乱を招くのか。日々新たなリスクが登場し、その対処に迫られる現代社会にあって、もっとも重要なのはリスクをきちんと伝え、話し合い、共有すること――すなわちリスク・コミュニケーションである。専門家や行政からの一方的な発信でなく、情報公開と透明性に基づく開かれた議論によって初めてリスクは的確に理解され、よりよい社会は可能になる。リスクと共に生きるすべを模索する入門書。
  • PTA モヤモヤの正体 ──役員決めから会費、「親も知らない問題」まで
    5.0
    子どものいる親の多くが経験するPTA。保護者間の交流などプラス面もある一方で、「?」なことも少なくない。「入退会は自由」が原則なのに、そうなっていないPTAが大半だ。個別の事情が考慮されないまま、「一人一役」などの仕組みで決められる係。そして上部団体へとその一部が「上納」されるPTA会費。各地のPTAやその上部団体で使途不明金が見つかったこともある。学校単位のPTAから、それらを束ねる「日P」まで、PTAの「モヤモヤ」に多角的に迫った渾身のドキュメント。すべての保護者、学校関係者、必読の書!
  • アイヌの世界に生きる
    5.0
    「トキさん」は1906年、十勝の入植者の子どもとして生まれ、口減らしのため、生後すぐにアイヌの家族へ養女として引き取られた。和人として生まれたが、アイヌの娘として育った彼女が、大切に覚えてきたアイヌの言葉、暮らし。明治末から大正・昭和の戦前戦後を、鋭い感覚と強い自立心でアイヌの人々と共に生き抜いてきた女性の人生を描く優れた聞き書き。
  • 産業革命史 ──イノベーションに見る国際秩序の変遷
    5.0
    イノベーションこそが世界秩序を形成してきた。技術革新が起きる現象を広く産業革命と捉え、第一次産業革命(1760~1830年代、軽工業)、第二次産業革命(19世紀後半~20世紀初頭、重工業)、第三次産業革命(20世紀後半、IT・情報)、第四次産業革命(2010年代以降、IoT・AI)の四段階に分け、世界経済の変遷をたどり直す。経済体系の変遷や社会経済発展・分業との関係など多様な論点を交え、持続的な世界経済の運動として産業革命を大局的に描き出す。
  • SDGsがひらくビジネス新時代
    5.0
    SDGsの時代が始まっている。「働きがいも 経済成長も」「ジェンダー平等を実現しよう」など17の目標からなるSDGsに取り組む企業が増えてきた。消費者たちもSNSを通じて自らの価値観を積極的に発信し、企業はその声を無視できなくなっている。そして企業側も、SNSを通じて自らの社会的価値を発信するようになってきた。こうした流れは今、巨大なうねりとなって世界を変えようとしている。経営トップから「SDGs市民」まで幅広く取材し、現代社会が、そしてビジネスがどこへ向かおうとしているのか、鋭く考察。学生からビジネスパーソンまで必読の書!
  • 日本金融百年史
    5.0
    はじまりは、株式市場でどの銘柄も軒並み暴落した1920年。その後、関東大震災、昭和恐慌に直面し、戦争へと突き進む中、日本の株式市場、金融システムは様々な政策のもと、揺れ動いていくことになる。戦後復興、高度成長、バブル、「失われた30年」といま続く流れはどのように導かれていったのか。経済・金融政策と人々の思惑はいかに影響を与え合うのか。歴史の教訓を見誤らないためにこの百年を振り返る。
  • 母と娘はなぜ対立するのか ──女性をとりまく家族と社会
    5.0
    1巻1,705円 (税込)
    母と娘が対立するのは、実は女性が生きづらい社会のありかたと関係するのではないか。体験をもとに戦後の高度経済成長期から#MeTooまでの流れを読み解く。
  • 認知症 そのままでいい
    5.0
    日本の人口の4人に1人が高齢者となった現在、高齢者の5人に1人(85歳以上ならほぼ2人に1人)は認知症という状況である。認知症は老いた人の脳に起こる「自然な現象」であり、受容し悲観しないことが、介護する人・される人双方にとって幸せにあるためのスタート地点である。本書では、治らなくていい、と心から思えるように気持ちや見方を切り替え、認知症の人を助け、いたわり、共にできることを、認知症を専門とする精神科医の立場から考える一冊である。
  • 常微分方程式
    5.0
    微分方程式は、自然現象、社会科学的現象、工学的現象等の記述・解析に広範に用いられている。本書は、微分積分学を修得した理工系学生に向けて叙述されたもので、定評あるテキストとして名高い。この本の特徴として次の五つが挙げられる。1、多くの例、それに伴って発生する問題を、多岐にわたって記述。2、行列演算を積極的に用い、行列の指数関数についても活用できるように配慮。3、解の定性的研究について、明確な方向性を提示。4、古典的な複素領域における微分方程式にも言及。5、計算困難な関数形を、多数の図版で視覚化。演習問題も多数収録。
  • ディズニーと動物 ――王国の魔法をとく
    5.0
    ウォルト・ディズニーが創造したエンタテインメントは、米国大衆文化の代名詞であり、世界中を席巻している。姫と動物たちが織りなす夢と魔法の世界はいまなお拡大を続けるいっぽう、巨大資本を投入した反自然的な世界、徹底的に飼いならされた無菌化された世界でもある。ディズニーの物語は、現代の政治、社会、文化、自然に何をもたらしたか。その映像は私たちにどのような影響を及ぼしてきたか。その世界の舞台裏を探る。
  • 16歳からの相対性理論 ――アインシュタインに挑む夏休み
    5.0
    「なぜ光の速さは変わらないのか」「どうして重力は物を落とすのか」「時間は絶対的なものなのか」物理学者である父親にヒントをもらいながら思考実験を繰り返すうちに、自然界の法則の不思議に開眼する。
  • デカルト入門講義
    5.0
    科学者であったルネ・デカルトは、自然科学の礎たりえる知識をもとめ、第一哲学=形而上学の再構築に乗り出す。なにひとつ信じられるものがない「懐疑」を出発点に、それでも絶対疑えない原理「我あり」へ、更に「神あり」「物体あり」へと証明をすすめる。本書はその哲学をまず『省察』『哲学の原理』など主著を追ってわかりやすく解説。ついで『世界論』『人間論』を通して、近代哲学の理解に不可欠な自然学的論理を説明する。スピノザ、ロック、バークリ、ライプニッツ、カント、フッサール等々、その後のすべての西洋哲学に強烈な影響力を持ち続けたのは何故か。
  • ことばは国家を超える ――日本語、ウラル・アルタイ語、ツラン主義
    5.0
    英語を初めて学んだ時、文の構造の違いや動詞の活用などに戸惑われた方も多いだろう。しかし世界には、単語を入れ替えさえすれば文意が通じる言語が多数存在する。ウラル・アルタイ語族に属する朝鮮語、トルコ語、フィンランド語、ハンガリー語、モンゴル語などだ。これらの言語は、文の構造ばかりか表現方法、つまりものの感じ方までもが共通している。このことから、言語を軸に連帯をはかろうとする運動、ツラン主義が一九世紀にハンガリーで現れた。それは虐げられた民族からの異議申し立てであり、その水脈は今も生き続けている。
  • 盆踊りの戦後史 ――「ふるさと」の喪失と創造
    5.0
    盆踊りは、戦後大きく形を変えてきた。敗戦、高度経済成長、ニュータウンの造成、バブル、東日本大震災、地域の高齢化・過疎化、そしてコロナ禍……。人が集まり、音頭にあわせて踊ることは、楽しいだけでなく、人や地域にとって大切な役割を持っている。そして、その役割も時とともに変化してきた。盆踊りを通して、日本の地域コミュニティの変遷を見つめ、その未来を考える。
  • 知的創造の条件 ──AI的思考を超えるヒント
    5.0
    なにが知的創造を可能にするのか? 批判的読書や「問い」の発見などの方法論を示す。それだけではない。社会のデジタル化が進み、知識が断片化し、大学をはじめ社会全般で知的創造のための社会的条件が弱体化する現在、各人の知的創造を支える図書館や大学、デジタルアーカイブといった社会的基盤はどうあるべきか。AIによる知的労働の代替など、ディストピア状況が到来する可能性が高まるなか、知的創造をいかにして奪還するか――。知的創造の条件を、多角的かつ原理的に論じ切った渾身の書!
  • 駒形丸事件 ──インド太平洋世界とイギリス帝国
    5.0
    1914年にカナダ・バンクーバーで起きた「駒形丸事件」。インド人移民の上陸が拒否され、多数の死者をコルカタで出した悲劇である。日本ではほとんど知られていない「駒形丸事件」であるが、この小さな事件を通して歴史を眺めると、ミクロな地域史からグローバルな世界史までを総合的に展望できる。移民史・政治史・経済史を融合させることで、インド太平洋からの新しい世界史像を提示するグローバルヒストリーの画期的な成果。
  • 定年後の作法
    5.0
    まだ老いていないから元気。しかも会社にいかなくてもよいから疲れることもそんなにない。でもその力の使いどころを間違えると、悲しい定年後を過ごすことになってしまう。話が長かったり、過去の栄光にしがみついたり、下手の横好きにお金をかけたりすると、まわりから嫌がられるに違いない。そんなことにならないために、自分を律し、先を見据えた生き方を学ぶ必要がある。人生百年時代に必須の一冊。
  • 新宗教を問う ──近代日本人と救いの信仰
    5.0
    創価学会、霊友会、大本、立正佼成会、PL教団、天理教――。日本ほど新宗教が大きな力をもつ国は世界に類例がないといわれるが、どうして日本で新宗教はこれほどの影響力をもつのか。近代に大発展した新宗教はなぜ現代において衰退しつつあるのか。救いの信仰に向けられた人々の心はどこへ向かっているのか。この三つの問いはそのまま日本の近代とは何かを問うことでもある。「宗教からスピリチュアリティへ」の転換期にある現代において、人間を救済できるのか。「新宗教」が明らかにする、時代の相貌と日本人の精神の根源に迫る。
  • 新版 数学プレイ・マップ
    5.0
    「マップとは言っても、国土地理院のような権威はない。ところどころの案内、それも案内人の勝手で連れて行かれる程度の、気ままな地図だ。そこで勝手に遊んで、そして自分の地図を、これまた勝手に作る、それでよいと思う。」(「あとがき」より)。3次曲線、群論、関数、位相解析、集合等を難易もさまざま、趣向もさまざまで遊び尽くすー刀斎流数学ワールド。30歳で執筆した幻の論考「微積分の七不思議」や壮大な数学の歴史をすっきり簡潔に素描した「数学の大いなる流れ」他全5編を増補した新版。
  • ロマネスクとは何か ──石とぶどうの精神史
    5.0
    教会堂を飾る奇怪な彫刻の群れ、異様な幻視に取り憑かれた修道士、黒いマリア像、戦いで浴びた血を浄め天を望む祈りの声……厳粛なキリスト教を笑うかのような大らかで過剰な表象に満ちたロマネスク。10世紀から12世紀半ばにかけて、豊かな自然を背景に新たな信仰を模索した人々は、天上に神を仰ぐ一神教を維持しつつ、自然界に神々の現れを見る異教を受け入れて、垂直と水平の両方の視界の「つながり」を求めた。近年の西洋中世研究の成果をふんだんに織り込み、ロマネスクの時代精神に光を当てる待望の書。
  • 緊急時の整体ハンドブック
    5.0
    地震の時に落ち着いて逃げるには? 火傷、骨折、出血、中毒などの救急法は? 放射能の不安に対してできることは? 整体と武術を学んできた著者は、阪神大震災後や、東日本大震災の原発事故後に被災地に行き、整体を行ってきた。その経験を元に、災害時の整体法や、倒れた人の運搬法、応急処置の方法を教示する。便秘、せき、食べ物のつかえ等、平常時にも使える方法も満載。
  • 元徴用工 和解への道
    5.0
    韓国人元徴用工問題を解決済とする日本政府。一方で元徴用工が補償を求める個人請求権が存在することも認めている。彼らの訴えに耳を傾けることが、戦後七十五年間、民間人の空襲被害や外国籍の人々への戦後補償を放置してきた日本社会に問われているのではないか。著者は弁護士として中国人強制労働事件の和解交渉にかかわった経験を踏まえ、元徴用工問題和解への道を探る。
  • アジールと国家 ──中世日本の政治と宗教
    5.0
    世俗の権力の及ばない避難所、聖なる別天地としてのアジールは、人々を魅了し歴史の中で大きな役割を果たしてきた。比叡山、高野山、東大寺などは、個人支配者を持たないまま、国家権力と鋭く対峙する存在であった。また、天皇を超える権威を仏神に認めた彼らは、時には内裏にまで押し入って自らの要求を押し通した。寺社勢力を中心に無名の大衆の実力を探る。日本中世を舞台に、アジールの在り方と意義、盛衰を跡付ける一冊。
  • 数学と文化
    5.0
    記号の運用方法である代数学と身近にある図形の研究である幾何学との結合帯が数学である。数学は、物理学や化学などの諸科学、それらにもとづく諸技術の根幹を担う。また対話や討論の前提となる「論理的・体系的な思考」も数学が培う。いったい数学とは何ものなのだろうか。数概念の始源から始め、ユークリッドの『原論』、パスカルの『幾何学的精神について』、デカルトの『方法序説』、確率論、数理統計、計画数学などを概観し、数学の歴史と思想、さらには私たちの文化の根本に迫った入門概説。
  • 新版 幼い子のいる暮らし
    5.0
    『新版 赤ちゃんのいる暮らし』姉妹編。「幼い子」の立場に立って、一緒に暮らしていくために、おとながどう接していったらいいのか、子どものからだとこころに寄りそって書かれた本。前作で不十分だった、乳幼児の病気や、身体上の心配ごとを大幅に書き加えました。
  • 〈ひと〉の現象学
    5.0
    わたしたちは何によって“ひと”として生まれ、どういう理由で「あのひとらしい」と言われ、どのようにしてときにその権利が擁護され、ときに糾弾され、やがて“ひと”として消えていくのだろうか――。他者=「顔」との遭遇、愛憎という確執、個としての自由から、市民性・多様性、死など。“ひと”をめぐる出来事には常に、知覚、自己意識、理性、権利と契約、道徳と倫理といった哲学の主題が伴走する。本書はそうした問いの数々をゆるやかに開かれたまま差しだし、共鳴し連鎖する思考を展開していく。
  • 〈現実〉とは何か ──数学・哲学から始まる世界像の転換
    5.0
    「現われの学」としての現象学と、「同じさの数学」としての圏論がひとつになる。思考と生、その両方に関わる根本原理を追究した画期的試論。
  • 仁義なき聖書美術【旧約篇】
    5.0
    「おどれら、ほんまにいたしいのぉ~!」豪快な天地創造を皮切りに、人類リセット大洪水! 息子丸焼き命令! 中間管理職モーセの苦悩! 大親分ヤハウェの気まぐれと暴力が織りなす旧約聖書の世界を、芸術家たちはどのように表現してきたのか。ミケランジェロ〈天地創造〉、キルヒャー〈バベルの塔〉、カラヴァッジョ〈ダヴィデとゴリアテ〉などの傑作を、やくざ風物語と丁寧な美術鑑賞で読み解く。画期的美術読本!! 【新約篇】と同時刊行!
  • やりなおし高校物理
    5.0
    高校の教科で高い壁として立ちはだかる物理。数式、定理、法則など、覚えなければいけないことが多く、かつ理解しないと問題は解けないため、苦手なまま終えた人も多いだろう。そんな人も安心してほしい。図と文章で理解したのち、最低限の数式さえ確認できれば、もう物理は怖くない。得意だった人もその背景を知れば、より楽しくなるはず。物理の勘所をざっくりとつかまえて、やさしく、そして面白く解説する一冊がここに誕生した。
  • いちばんさいしょの算数1 ──たし算とかけ算
    5.0
    なぜ1+1は2なの? なぜ2や3は、ブタとかカバじゃいけないの?──「考えたこともない」が、つまづきの始まりなのです。「知らないことを知っていく」がわかる本。
  • 決定版 消費税のカラクリ
    5.0
    選挙のたびに、嘘をつかれている。膨れ上がる社会保障費の財源のためにというお題目で増税が繰り返されても社会保障はむしろ削減されてきた。そして、またさらなる増税が迫っている。軽減税率適用という“ニンジン”をぶら下げられたマスコミはダンマリを決め込んでいる。弱者の富を強者に移転することで格差を拡大する消費税のカラクリを明らかにしよう。
  • 関数解析
    5.0
    関数解析学は微分方程式や積分方程式などの問題を解くための方法として、20世紀初頭に誕生した分野である。現代では偏微分方程式のほか、数理経済学や数値解析など幅広い方面に応用範囲をもつ。本書はバナッハ空間の解説から始まり、一様有界性定理・開写像定理・閉グラフ定理などの基本定理を証明。そして話題はボッホナー積分や線形作用素の半群にまで及ぶ。証明の式変形は非常に丁寧で、論理展開を追いやすいように書かれている。関数解析の基礎を過不足なくおさえた名教科書。
  • 代数入門 ──数と式
    5.0
    数学では、変化する数や量を表す際に、x、y、zのような記号を用いる。この「代数的方法」なくして数学をすることはできないし、実際、高校数学でははじめに「数と式」を学ぶ。けれど、そもそも「数や量を記号で表す」とはどういうこと? 文字だらけの数式を見るだけで、たじろく人も多いはず。本書はトランプや樹形図のように具体的な例を出発点にして、種々の多項式や方程式に慣れるところまでを目指す。「たくさんの人に数学を」という著者の思いの結実した、晩年の名教科書。遠山数学の集大成がここにある!
  • 科学の社会史 ──ルネサンスから20世紀まで
    5.0
    科学(science)──それはもともと「知ること」を意味する。哲学や宗教を包含した知的営みであった中世以前の科学は、やがてルネサンスの訪れを機に次第にその姿を変えていく。啓蒙主義、フランス革命、産業革命、そして世界大戦といった政治的・文化的出来事の影響を受けた科学は、社会的位置をたえず変化させながら「制度化」の道をたどってきたのだ。複雑にからみあうさまざまな社会的要素を解きほぐし、約400年にわたる西洋科学の変遷を明快にまとめた定評ある入門書。図版多数。
  • 日本人の死生観
    5.0
    日本人は生きることと死ぬことをどのように考えてきたのだろうか。長明、芭蕉、千代女、馬琴、良寛など代表的な古典の中に日本人の死生観を辿り、「死」を前提に生き方を考え、「死」の意味をあらためて見つめなおす。日本人の心性の基層に今日も生きている伝統的な死生観を現代に生きる私たち自身の問題として考える指針の書。「死」の偉大な先達から「終い方」の極意を学んでみたい。
  • 負けない
    5.0
    「勝ち組・負け組」という二分法には、とりあえず否を唱えたい。生きることにおいて「勝ち」も「負け」もないからだ。「強いか弱いか」や「損か得か」だけで人を測らず、「美しいか醜いか」という基準を見失わない。それが「負けない」である。
  • チベット仏教入門 ──自分を愛することから始める心の訓練
    5.0
    チベットの仏教はいま世界的に深く浸透しつつある。とくにその生と死の教えに関心が向けられている。チベットの伝統は古い形の仏教を残しており、それが現代の諸問題に対応しうるものとして大きく注目されているのだ。本書はチベットにおける仏教の正統的な教えを解説した初めての入門書。最初に必要最小限の知識を紹介したうえで、それを踏まえて仏教の実践へと進めるように、教えの本質をやさしく説き明かす。読者を、チベットに今も残る仏教の豊かで深い心の世界へと誘う。
  • 人知原理論
    5.0
    事物が存在するということは、それが知覚されているということである──。ジョン・ロックの経験論哲学の批判的継承者たるジョージ・バークリー(1685-1753)は本書『人知原理論』において、こう断言する。それは裏返せば、知覚されないものは存在しない、つまり私たちの心から切り離された「物質」なるものなど存在しない、ということだ。様々な批判にさらされながらも、ヒュームやカント、ドイツ観念論など後の哲学思想に多大な影響を与えたバークリーの思想とはいかなるものか。その透徹した論理にひめられた核心が、平明このうえない訳文と懇切丁寧な注釈により明らかになる。主著、待望の新訳。
  • 公共哲学からの応答 ──3・11の衝撃の後で
    5.0
    2011年3月11日に東日本を襲った大地震と大津波、それにともなう福島の原発事故は、実際上の問題だけでなく、公共哲学という“善き公正な社会を追求し、現下の公共的問題を考える”学問にも様々な問いを投げかけることとなった。それらに今どのように応えるのがふさわしいのか。日本における第一人者が、議論の手がかりとなる有力な学説を紹介しながら、3・11以降の社会を考えるための羅針盤を提示する。
  • 日本人の信仰心
    5.0
    日本人は宗教心がないとよく言われる。だが、私たちの心の底流には古来、アジア的な生産生活の秩序に根ざした、この上なく純粋で普遍的な信仰心が脈々と息づいている──。この土地に生きた人々の静かな祈りに満ちた「信仰のくらし」とはいかなるものか。保田與重郎、本居宣長、柳田國男らの思想や、列島の文化・民俗をめぐる考察を通じ、“大和心”の古層をどこまでも深く掘りおこす。
  • 帝国化する日本 ──明治の教育スキャンダル
    5.0
    日清・日露戦争に勝利した日本は帝国化に向かうべく、また青年層の贅沢化と個人主義化への懸念を払拭するために、国民教育における愛国教育を推進した。それはやがて妄想レベルにまで進み、三つの象徴的事件――哲学館事件、南北朝正閏論争、進化論問題を引き起こす。これらのスキャンダルから、明治初頭の実学優先・合理主義の教育が教養・精神主義に転換し、国家と天皇の神聖化、帝国神話強化に向かうメカニズムを解読する。教育の右傾化が危惧される今こそ必読の一冊。
  • 博徒の幕末維新
    5.0
    黒船来航後の動乱期、それまで歴史の裏に潜んでいたアウトローたちが表に躍り出てくる。なぜか? 博徒・侠客としてひと括りにされる彼らアウトローは、錦絵や講談・浪曲、大衆小説等で縦横無尽の活躍を演じていたが、それは虚実入り混じっての密着固結したイメージで、実像とはとても言い難い。著者は虚像を覆う危うい皮膜を一枚一枚剥ぎながら、島抜けをした甲州博徒の巨魁・竹居安五郎やおなじみの国定忠治、黒駒勝蔵、勢力富五郎らの実像に一歩一歩迫る。歴史学の手法にのっとって幕末維新史に博徒を位置づけ直した、記念碑的労作。
  • 立憲的改憲 ──憲法をリベラルに考える7つの対論
    5.0
    2018年3月、安倍晋三総裁率いる自民党は「九条二項を維持した上での自衛隊明記」という改憲案を発表した。戦後初の改憲発議が目前であるのに、中身はあまりにも短絡的でお粗末な構想と言わざるをえない。民意をないがしろに横暴を続ける政権への対案として、国民の意思で真に権力を縛るための憲法改正、2015年安保法制時に議論された立憲主義を取り戻す「立憲的改憲」を今リベラルの側から提起し、気鋭の論客とともに自衛権、安全保障、統治機構、違憲審査、改憲そのものの作法など多方面から吟味する。
  • 日本思想史の名著30
    5.0
    千数百年におよぶ日本思想史上には、画期となる名著が多数生まれてきた。あるときは神話や物語、説話の形をとり、またあるときは歴史書・史論、社会・政治評論、そして近現代にはアカデミズムの産物として現れてきた研究書や「日本国憲法」などの法文││それらの名著群を博捜するなかから三十点を選りすぐり読み解くことで、「人間とは何か」「人間社会とは何か」という普遍的な問いに応える各時代の思考様式を明らかにする。遠い過去の思考に、現代を考えるヒントをさぐる。
  • 骨が語る兵士の最期 ──太平洋戦争・戦没者遺骨収集の真実
    5.0
    太平洋戦争における日本人の海外での戦没者240万人のうち113万人の遺骨がいまだに見つかっていない。太平洋各地で、旧日本軍兵士及び民間人約500体の遺骨を鑑定してきた人類学者──日本随一の遺骨鑑定人が、現地の島々の発掘調査の現場でいかなるトラブルを乗り越え、骨の特徴分析・DNA鑑定や戦史記録から身元を割り出してきたのか。全ての兵士の帰還を目指して現在も続く調査を、最前線からレポートする。
  • ヨーロッパで勝つ!  ビジネス成功術 ──日本人の知らない新常識
    5.0
    2017年のEPA合意によって、ヨーロッパでの日本製品のシェアを奪い返すための格好のチャンスがやってきた。ヨーロッパ人の思考の癖を知りつくしてセールス技術を磨けば、良質な日本の製品は必ず売れる。大手商社マンとしてヨーロッパでの取引に従事したのち、現地で起業してさまざまなビジネスに関わってきた著者が、現地の商取引慣行や暗黙のルールとして横たわるビジネス作法について論じ尽くす。自らの体験に即して惜しみなく公開する、新時代のヨーロッパビジネス術。
  • 絶滅危惧の地味な虫たち ──失われる自然を求めて
    5.0
    日本には名前がついているものだけで3万種近く、推定上は10万種の昆虫がいるとされている。しかし、そのなかで、すでに滅んだもの、滅びの道を歩み始めているものがいる。その状況に対して、保護活動が行われているが、綺麗なチョウやトンボ、ホタルや大型の甲虫ばかりが重要視されており、小さくてとにかく地味な虫は、おざなりに扱われている。そこで、日本各地にそれらの虫を探しまわり、発見するまでの格闘、発見した時の喜び、そして虫への溢れる思いを綴っていく。電子書籍版では、写真をカラーで収録。
  • 陸軍中野学校 ──「秘密工作員」養成機関の実像
    5.0
    インテリジェンス教育を行う日本初の専門機関、陸軍中野学校。一九四〇年に誕生し、敗戦とともに消滅する。二千三百余名を数える卒業生は、中国大陸や南方アジアの戦地へ送られ、諜報活動、ゲリラ工作などに従事し、命を落とす者も少なくなかった。秘密戦工作のこの壮大な実験は、いまだ全貌が明らかになっていない。公文書をはじめ、新たに発見された資料を用いてその実像に迫り、歴史的意義を検証する。陸軍中野学校に関する最良の研究書である。
  • 同時代史
    5.0
    暴帝ネロの自殺後、ローマ帝国に泥沼の内乱が勃発した。各地の総督がその配下の軍隊に担がれて、次々と皇帝となったのである。紀元69年1月1日、ゲルマニア軍のウィテッリウスは、ヒスパニア総督であった元首ガルバに叛旗を翻す。アレクサンドリア軍からは、ウェスパシアヌスが皇帝として奉戴されていた。その結果、多くの市民の血が流れ、三人の皇帝が斃れた。そこには、人間の欲望が絡みあい、殺戮、陰謀、裏切りなど、凄まじい政争が繰り広げられた。本書は、希代の歴史家タキトゥスが、この同時代の壮大な歴史ドラマを、臨場感溢れる雄渾な筆致で記録したローマ史の大古典。
  • カトリックの信仰
    5.0
    人間が神の知恵と愛に与るとはいかなることか──。近代日本のカトリシズムを代表する司祭・岩下壮一が、豊かな学殖と明晰さでキリスト教の真理を闡明した記念碑的名著。公教要理(カテキズム)の概説書としていまだ類例がないだけでなく、深遠で難解な神学は本書により日常の信仰の糧へと一変した。時に表出するプロテスタンティズムや近代哲学への峻烈な批判は、人間精神を主観性の牢獄から解放し、再び霊的実在へ開かんとする著者生涯の意図から発しており、それは神の恩寵の賜物=カトリックの信仰においてこそ実現すると説く。
  • 日本の外交 ──「戦後」を読みとく
    5.0
    戦後日本の驚異的な復興と経済成長を支えたのは、軽武装・日米基軸主義の基礎を築いた吉田茂の外交路線であった。だが、憲法九条を堅持したまま日米安保条約を結ぶことでねじれを抱えた吉田路線は、左右の政治勢力からの攻撃にさらされる。その様は、日本の国家像が左右に分裂したことを意味していた。そこに潜む「戦後」の呪縛を解き、外交戦略を再設計するには、吉田による「中庸」の選択の意味を深く問いなおすことが不可欠だ。こうした視座から戦後日本の歩みに新たな光をあて話題を呼んだ『日本の「ミドルパワー」外交』を、刊行後十余年の展開をふまえ全面改訂した決定版。
  • 新・風景論 ──哲学的考察
    5.0
    川越、祇園、白川郷……。不自然なまでに「和風」に統一された風景。その実態は、本当の意味における風景の経験を閉ざす「和風テーマパーク」にすぎない。本書では、「風景を眺めるとは何をすることなのか?」という問いを、西洋精神史をたどりながら、哲学的な観点から考える。美しいだけの絶景を求めていても、風景の秘密には到達できない。風景に出会い、風景の秘密に到達する道をひらく。
  • フランス現代史 隠された記憶 ──戦争のタブーを追跡する
    5.0
    一国の今は過去を抜きに語れない。華やかに語られることが多いフランスも例外ではない。第一次大戦の激戦地では現在も、不発弾と兵士の遺体で住めない村がある。第二次大戦中のユダヤ人の強制連行への加担の事実は、その重さゆえに負い目としてフランス人の心にのしかかる。アルジェリア戦争を戦った現地兵「アルキ」への冷たい処遇は人権の国の根幹を揺るがす。それらが「悪に抵抗した少数の英雄」レジスタンスの記憶にすがりたい心情につながっている。歴史に苦悩するフランスの姿を、多くの証言から紐解くルポルタージュ。
  • 未開社会における性と抑圧
    5.0
    「エディプス・コンプレックスはあらゆる社会に存在する」とフロイトは説いたが、マリノフスキーはこの仮説に対し民族誌的資料を駆使し、それが近代西欧の家父長制的社会特有の現象であると根底から相対化してみせた。近代的社会人類学の確立者として学説史に不朽の名を刻んだマリノフスキーが、性において人類の内なる自然と文化的力との相互作用のドラマを考察した古典的名著で、家族の起源、近親相姦の禁忌、父系制と母系制との関係等いまだ多くの示唆を与えてくれる。また、文化の概念をはじめ、彼の主要な理論、概念が展望でき、マリノフスキー理解の恰好な入門ともなっている。
  • 数学的センス
    5.0
    「美しい数学とは、つまり詩なのです」いまから数学者になるつもりはないけれど、そんなふうに数学の美しさを楽しめたら……。しかし、わかりきったようなことを論証するのはなぜだろう。わからないとき、数学者はどうしているのだろう。わかったときの喜びってどんなものだろう。見えてないものをどうしてまるで実際にあるように扱えるのだろう。なぜ……。数学の美しさ、愉しみ方、考え方などを、具体的な事例を使い、ユーモアのある語り口で、ていねいに語りほぐします。コンプレックスを軽くしてくれる、心やさしい数学再入門エッセイ。
  • 位相のこころ
    5.0
    位相は“近い”という日常感覚を数学的に厳密にとらえ直したもの、といってよく、現代数学において最も基本的で重要な概念の1つである。歴史的には、18世紀から19世紀末にかけて解析学が進展していくなかで、極限・収束・連続性などをめぐる議論から位相空間論が生まれ、20世紀における関数解析学の展開によって、より抽象的に定式化されていった。本書は、数学の意味・こころを語る達人である著者が、1950年代、60年代、70年代に、位相をめぐって書き綴った「位相解析入門」「位相用語集」「位相構造」という3つの文章からなる。著者の名調子に乗せられて、位相のこころを体感してみよう。
  • 数学の好きな人のために ──続・数学をいかに使うか
    5.0
    数学好きの読者に贈る“使える数学”第2巻。前著『数学をいかに使うか』を読んでいなくても楽しめる。非ユークリッド幾何学、リー群のほかド・ラームの定理、p‐進体とハッセの原理など話題多数。有用さという視点から数学の広い世界を展望できる得難い入門書。書き下ろし文庫オリジナル。
  • 確率論入門
    5.0
    確率をめぐる数学的考察は、賭け事に関してパスカルとフェルマが交わした往復書簡に始まると言われる。組み合わせの概念に基づく古典的確率論は、20世紀になるとボレルやコルモゴロフの手により、集合論に基礎づけられた「現代数学」へと大きく飛躍した。本書はその確率論の古典と現代とを橋渡しする目的で書かれており、トランプやサイコロ投げといった初歩的な具体例を豊富に示しつつ、抽象的な数式の意味を読者にわかりやすく説く。高校数学で習う確率を、より深く学び直すことのできる入門書。
  • 思考のための文章読本
    5.0
    本物の思考力は、先人の文章を読むことによって磨かれる──。着想し、論理を練り上げ、効果的に表現するという言語表現のすべての過程に作用する「思考」。古今東西の思索者たちは、どのようにそれを働かせてきたか。本書では、彼らの文章を自在に切り取り、さまざまに組み合わせることで、そのパターンを抽出しようと試みる。そこで分類された10の思考法は、私たちが本気で何かを考え、ひとに伝えようとするときの確かな指針となるはずだ。知的実践の基礎技術を網羅した前著『知的トレーニングの技術』の応用編となる、画期的な試み。
  • 空海入門 ──弘仁のモダニスト
    5.0
    真言宗の開祖であり、傑出した思想家・芸術家。唐代の新しさを日本へ移入し、「個人」と「自由」を発見した“モダニスト”。それが空海である。9世紀、弘仁時代の先鋭的表現ともいえるこの人物は、生涯にわたり自らの探求心につき動かされていた。高野山が空海にとって特別な地であり続けた理由も、そのことを無視しては理解できない。空海における自己探求とはどのようなものであったのか? 本書では、『性霊集』『三教指帰』『請来目録』など、空海自身の著作の読解と足跡の探訪を通して彼が生きたであろう時空を共有し、その実像に迫る。稀有な個性の魅力と同時代性を深い共感とともに伝える入門書。
  • 象徴としての女性像 ──ジェンダー史から見た家父長制社会における女性表象
    5.0
    国家の象徴、男を滅ぼす悪者……男は女をどう描いてきたのか。美術史上の女性像の成立と受容をたどり、その波瀾万丈な変遷を跡づける画期的ジェンダー美術論。家庭内では出産・育児を引きうけ、また劣等であるがゆえ社会から遠ざけられ、さらに、男をたぶらかす悪者とされてきた、物言わぬ「女」たち。彼女らがどのようにとらえられ、表象されてきたか──その波瀾万丈な変遷を丹念にたどる新しい美術史。
  • 読書の学
    5.0
    言語は、事実のコミュニケーションのための媒体であるばかりではない。言語自体がまた人間的事実であり、そこに集約されている著者の態度が精密に読み込まれてはじめて、読むことは十全な読書となる。論語・史記から契沖、宣長、徂徠にいたるまで、漢籍や和書を縦横にし、著者の内部に生起し蓄積する感情・思考・論理を通して内的事実に降り立つ実践を展開する。事実に触発される意識をたどり、読書論を超えて学問論にいたる。著者の悠然たる文学的逍遙につき随って、その思考の筋道をつぶさに経験する一巻。
  • 増補 性と呪殺の密教 ──怪僧ドルジェタクの闇と光
    5.0
    性行為の歓喜が心身の力を極限まで高め、究極の智恵をもたらすという理論を根拠に、修行に導入された「性的ヨーガ」。不正義の人が悪事を成す前に、浄土に送り届けることは救済にほかならないという思想に基づく「呪殺」。チベット密教には、いまだ秘匿された教義が数多く存在する。なぜそうした奥義がチベットで歓迎されるに至ったのか。その背景を解き明かしつつ、知られざる神秘に迫る。国や地域と時代を問わず、宗教にあまねく内在する暴力とエロティシズムの原理にまで鋭く切り込んだ一章を増補。宗教の本質を抉り出す驚異の密教入門書。
  • 戦略的思考の虚妄 ──なぜ従属国家から抜け出せないのか
    5.0
    1巻1,595円 (税込)
    地政学がブームとなっている。八〇年代には戦略論がもてはやされていた。にもかかわらず、日本人に戦略的思考は身につかず、政府の外交力も向上していない。一体なぜなのか。この問いに応えるべく、ベストセラーとなった戦略論を俎上に載せ、その誤謬を明らかにしてゆく。その上で、アメリカ、中国、日本など主要国の戦略を概観し、戦略とは何かを指し示す。日本を取り巻く現実を踏まえた上で、戦略論の根本を論じた本書は、これからの日本を考える上で必読の書である。
  • 文学部で読む日本国憲法
    5.0
    憲法を読んでみよう。あえて法学の作法を用いず私たちがふだん使っている「日本語の文章」として。そこに綴られた言葉の奥に、どんな叡智が込められているのか。民主主義・平和主義・表現の自由の原点に立ち返る。
  • 私の恋愛教室
    5.0
    なぜ、総合雑誌は「恋愛論特集」をしないのか、恋愛は生のもっとも根源的なものなのにと説く福田先生が、男女がその全能力を発揮して生きる場所=恋愛について文学作品や社会現象を取り上げて解説する。『チャタレイ夫人の恋人』でロレンスは何を訴えたかったのか、「ロレンス恋愛論」の入門書としても最適。
  • ギリシア文化史1
    5.0
    現代のさまざまな国家形態、政治思想、さらに哲学、弁論、文学・芸術の諸ジャンルにおける精神活動は、原型をほとんど古代ギリシアに見いだすことができるだろう。この天才的な民族の創造物にあらゆる面から深い考察を加え、文化史家としての力をすべて結集することで、ブルクハルトの『ギリシア文化史』は成立した。その史観の類を見ぬ深刻さ、厳しく率直な人間観、深い洞察力と広い視野により、古今の史家の試みをはるかに凌駕して、この畢生の大著は歴史の真実に肉薄する。第1巻は、ギリシア人とその神話、ポリスとそこで展開された僭主制や民主制を語る。
  • 新編 分裂病の現象学
    5.0
    実践的な臨床の経験から、分裂病(統合失調症)を治療すべき異常なものとする論理に与することなく、人間という矛盾に満ちた存在そのものに内在している自己分裂に根差したものとする地平から紡ぎだされた珠玉の初期論文。西田哲学における自‐他論や時間論を敷衍し、分裂病者の自閉性や体験の基本的構造に注目することにより、自我障碍よりも人と人との「あいだ」における自己の自己性の危機、自己と身体との乖離を論じる。
  • 自己・あいだ・時間 ──現象学的精神病理学
    5.0
    精神の病態を一時的な疾患としてではなく人生全体の示す歴史的な歩みとして位置づけ、独自の思想を重ねてきた著者の代表的論考のかずかず。自己と他者の「あいだ」の病態として捉えられてきた分裂病を、「時間」の病態として、現象学的な思索を展開する。とりわけ鬱病者の“あとのまつり”的体制に対し、分裂病者が“前夜祭”的な時間体制をもつという新しい構図は世界的に大きな波紋を広げた。他者や世界との「あいだ」、自己自身との「あいだ」の歴史性における患者の生のあり方を追究した本書は、精神病理学と哲学を自由に横断する独創的な学問的達成であるといえよう。
  • 不在の哲学
    5.0
    古来、西洋哲学は確固とした普遍的「実在」を求めてきた。本書は、そうした客観的・統一的な脱自己中心的世界としての「実在」ではなく、対立概念である「不在」こそが「真にあること」ではないかという問題に取組む。言語=理性を習得してしまった人間は、客観的・統一的な「実在」こそ普遍的であり、それを、多元的・自己中心的な「私の世界」よりも優位に置く図式に、なかなか抗うことができない。そして、自分が住んでいる世界の相貌を語りつくすことができない。それはなぜなのか。不在を生み出す時間、自己と他者というトリック等、数々の哲学のアポリアに迫る、渾身の書下ろし。
  • 世界史的考察
    5.0
    1868~72年、著者がスイスのバーゼル大学で行った講義は伝説となった。普仏戦争などの大国間紛争が起こりナショナリズムが台頭する中、著者は西欧の政治的状況を俯瞰し、国家、宗教そしてヨーロッパの伝統文化について根本的考察を展開、また同時に権力の持つ悪や、自然諸科学の進歩への不信、人間生活における利便性が孕む危険など、世界が抱える不安定要素をいち早く指摘した。この講義に基づく本書は、来るべき世紀の社会的危機と頽廃の予兆を察知して警鐘を鳴らした、古典的名著。ブルクハルト翻訳の第一人者の新訳により、19世紀の香り高い文明論が現代に蘇る。
  • 東京裁判 幻の弁護側資料 ──却下された日本の弁明
    5.0
    東京裁判は、公正な裁判だったのか? 検察官や裁判長の裁量により却下処分にされ、歴史の闇に葬られてしまった膨大な弁護側記録から、清瀬一郎弁護人の冒頭陳述や、マッカーサー、グルー大使等の証言をはじめとする18編を精選。戦争犯罪者として個人を裁くことや、「平和に対する罪」という曖昧な概念をふりかざすことのそもそもの問題点。日本の戦略をナチスになぞらえることにより、とりわけ知識人層を一部の軍国主義者により騙された被害者側へとまわすことに成功した占領軍側の戦略──。東京裁判の歪曲を鋭く指摘した解説付き。隠された日本の「真実」を明かす、貴重なドキュメント。
  • 民衆という幻像 ──渡辺京二コレクション2 民衆論
    5.0
    冬の夜、結核療養所で聞こえた奇妙な泣き声。日中衰弱しきって運び込まれた母娘は、朝を待たずに逝った。それを知った著者は、娘の体をさする瀕死の母親のやせた腕を幻視する──「小さきものの実存と歴史のあいだに開いた深淵」、それは著者の原点にして終生のテーマとなった。近代市民社会と前近代が最深部で激突した水俣病闘争と患者を描く「現実と幻のはざま」、石牟礼道子を日本文学に初めて現れた性質の作家と位置付けた三つの論考、大連体験・結核体験に触れた自伝的文章など39編からは、歴史に埋もれた理不尽な死をめぐる著者の道程が一望できる。
  • 維新の夢 ──渡辺京二コレクション1 史論
    5.0
    『逝きし世の面影』の著者渡辺京二は、日本近代史の考察に、生活民の意識を対置し、一石を投じてきた思想家である。その眼差しは表層のジャーナリズムが消費する言説の対極にある。本巻には、西欧的な市民社会の論理では割り切ることのできない、大衆の生活意識にわだかまる「ナショナル」なものを追求した「ナショナリズムの暗底」、明治国家への最大の抵抗者としての西郷隆盛を常識的定説から救抜する「逆説としての明治十年戦争」、北一輝と日本近代の基本的逆説の関連を問う「北一輝問題」など、日本近代史を根底から捉え返すことを試みた論考を集成する。
  • 「聴能力!」 ──場を読む力を、身につける。
    5.0
    「魅力的な話し方をしたい」「コミュニケーションが下手だ」「プレゼンや面接で人を惹きつける話がしたい」……その要は「聴能力」にあり。耳には、音を聴くのみならず、微妙な感覚を感じ分けるセンサー機能が組み込まれている。それらを活用して空間を読み、その場を効果的に生かす術、舞台で上がらないコツ、覚えておくと日常的に役立つ「聴能力」のテクニックを紹介。また聴覚そのものを進化の歴史から見直し、生命にとっての「聴くことの意味」から現代社会に不足しがちな「察する力」「思いやる心」まで、多様な重要性を訴える。
  • 慰安婦問題
    5.0
    従軍慰安婦は、なぜいま大きな問題となってしまったのか。韓国は誠意ある謝罪を求め続け、日本は法的に補償は終わったと主張し続ける。果たして和解はありうるのか。問題が複雑化してしまった経緯をたどり、その背景にある戦後補償問題、そして失敗に終わったアジア女性基金問題、女性の人権問題に対する国際的関心の高まりについて解説。さらに民族主義、ポストコロニアリズム、フェミニズムの三つを重ね合わせる多面的な理解の必要性を訴え、冷静な議論のための視点を提供する。
  • 江戸の坂 東京の坂(全)
    5.0
    東京は坂の街。「その名は江戸っ子気質そのままで、単純明快、即興的で要領よく、理屈がなくて、しかもしゃれっ気があふれている」。富士を眺められる坂は「富士見坂」、海を望む坂は「潮見坂」、墓地のそばの坂は「幽霊坂」、赤土の坂は「赤坂」、急な坂は「胸突坂」…。東京の坂道と、その名前を見つめると、江戸庶民の暮らしと心が浮かび上がる。東京中を隈なく歩き、古書や古地図を渉猟して、坂道に織り込まれた歴史を辿る。「坂道」研究というジャンルを確立し、いまなお坂道ファンのバイブルと親しまれる古典的名著。本書を片手に散歩すれば、いまも江戸を垣間見られる。
  • 神秘学概論
    5.0
    本書は、シュタイナーの四大主著の一冊であり、その思想の根幹が綴られている。肉体、エーテル体、アストラル体、自我という人間存在のヒエラルキアを解明し、宇宙論、人間論の中で、めくるめくような宇宙史の壮大な展望の下にマクロコスモス(宇宙)とミクロコスモス(人間)との関わりをあとづけ、進化の法則と意識の発達史、古代秘儀の本質、輪廻転生論、悪魔論、霊的認識の方法などを記し、過去と現在と未来についての常識をくつがえした前代未聞の神秘学大系が展開される。
  • 告発の正義
    5.0
    告発によって企業不祥事や談合が発覚、または政治汚職や脱税などが明らかにされ、捜査がはじまることが増えてきた。告発をしやすくするための法的・制度的な環境も整備されつつある。けれど起訴するかしないかの判断は、従来、検察が独占するものだった。そのため「検察の正義」と「告発の正義」は、たびたび衝突・対立を繰り返してきたし、現在でも相克は続いている。本書は、告発とは何であるかをさまざまな事件や法的観点から腑分け。その問題点から可能性まで、考えるべき論点を提示する。
  • 旧約聖書の誕生
    5.0
    旧約聖書はユダヤ教・キリスト教の正典であり、また、その宗教的権威を離れても広く人類の文化のなかで大きな影響を与えてきた。しかし、その中身はそれぞれが矛盾し錯綜したテキストの集合であり、多くの現代人にとっては通読することすら困難だというのが現実だろう。本書は、旧約聖書をその歴史的状況の中に置き直し、「創世紀」「出エジプト記」「ヨブ記」「雅歌」…等々の文書が成立した時代とそれらが背負っていた思想的課題からの解読を試みる。各文書の個性から、なぜ旧約聖書というまとまりのある書物が成立し権威を持ったのかまで、イチからよくわかる旧約入門の決定版。
  • 物と心
    5.0
    著者は現象の背後に実在を想定する二元論の仮構を否定する。そして自らが見て触れて感じている現実世界にどっしりと足をつけ、それを超越しているかのごときものをどう捉えたらよいのか問い進めてゆく。独自の哲学「立ち現われ一元論」のエッセンスが詰まった、大森哲学の神髄ともいえる名著。
  • 森と文明の物語 ――環境考古学は語る
    5.0
    地中海に広がる古代遺跡から北ヨーロッパ、そしてアメリカ大陸に至る森林調査の旅の記録をもとに、花粉分析と先端考古学の成果を駆使して森と文明との関わりを考察した、もう一つの世界史。
  • ビジネス英語を学ぶ
    5.0
    グローバル時代の現在、多くの会社で英語での実務が必須となっている。学生時代の辞書を引き引きの「読む」英語とは違う、「書く」「話す」「聞く」英語は、はたしてどのように勉強したらよいのか。著者は国際ビジネスの第一線で活躍したのちビジネス英語のプロになった異色の経歴の持ち主。その著者が自らの英語学習体験と国際交渉の経験をふまえて、ビジネス英語のエッセンスを解き明かす。「英語論理にもとづくコミュニケーションがうまくなれば英語も上達する」「英語は短文かつ単文であるべし」という持論を軸に、英語上達のコツを手ほどきする実践的入門書。
  • バーチャルリアリティ入門
    5.0
    いま・ここにいながらにして、遠く隔たった世界や歴史上の一空間、さらには無限の宇宙空間まで、あたかも現実にそこにいるような感覚で再現できる。まるでSFやゲームを髣髴とさせる、そんな臨場感をもったバーチャルリアリティの世界が実現しようとしている。どのようにして、人間のあらゆる感覚・認知メカニズムを解明し、現象をシミュレーションして、異空間にリアルに再現するのか。それによって、どんな新しい世界が広がるのか。この究極のテクノロジーのすべてを、第一人者がわかりやすく紹介する。
  • 琉球の時代 ――大いなる歴史像を求めて
    5.0
    いまだ多くの謎に包まれた古琉球王国。歴史をひもといてみると、壮大な交易ルートを通じて築き上げた華やかな文化を誇っていた。中国、マラッカやポルトガル等、海外の文書に記された当時の王国の姿などを参考にしながら、その栄光と悲劇の歴史ドラマにわけいる。沖縄独自の文化と世界像に新たな光をあてた歴史的名著。

最近チェックした本