学術・語学 - 筑摩書房作品一覧

  • 愛国の起源 ――パトリオティズムはなぜ保守思想となったのか
    -
    「愛国」思想は現在、右派や保守の政治的立場と結びつけて語られる。しかしその起源は、かつて古代ローマの哲学者キケロが提唱したパトリオティズムにあった。フランス革命では反体制側が奉じたこの思想は、いかにして伝統を重んじ国を愛する現在の形となったのか。西洋思想史における紆余曲折の議論を振り返り、尊王思想と結びついた明治日本の愛国受容を分析、さらに現代のグローバルな視点からパトリオティズムの新しい可能性を模索する。
  • あいだ
    4.0
    自己が生命の根拠に支えられて世界と出会う行為的原理である「あいだ」。その構造を、ゲシュタルトクライス理論に拠りつつ、ノエマ・ノエシスの円環的関係を西田哲学の「行為的直観」と関連づけて、多面的に解き明かす。自己が主体として生きるということは、生命一般の根拠の「おのずから」の動きにかかわると同時に、間主体的な世界を維持することではないか。ユクスキュル、ブーバー、レヴィナスらへの言及を通じて自他の関係を考察し、ダブル・バインド仮説の可能性を改めて問う。独自の学問的地平を切り拓いた著者の世界をわかりやすく示す。
  • アイデンティティが人を殺す
    3.9
    集団への帰属の欲求とは何を意味するのか。この欲求が他者に対する恐怖や殺戮へとつながってしまうのはなぜなのか――。グローバル化の進展は、さまざまな文化の保持者たちの基盤を揺るがし、時に偏狭で排他的な帰属意識を生み出してしまう。複数の国と言語、そして文化伝統の境界で生きてきた著者は、本書のなかで新しい時代にふさわしいアイデンティティのあり方を模索する。鍵となるのは、「言語」だ。言語を自由に使う権利を守ること、言語の多様性を強固にし、生活習慣のなかに定着させること、そこに世界の調和への可能性を見る。刊行後、大きな反響を呼んだ名エッセイ、ついに邦訳。文庫オリジナル。
  • 愛の本 ──他者との〈つながり〉を持て余すあなたへ
    4.0
    「この本を手にとってくれた君が、自分以外の人間や身の周りの世界に対して、ゴツゴツした岩みたいなよそよそしさを抱いているとしたら、そんな感覚から自由になれる考え方があることを知ってほしい。……自分を取り囲む世界と多少なりともなめらかにつながっていけるイメージを持ってくれたらいい……」。名著『友だち幻想』へと続くテーマを、やさしく深く語りかけるようにつづった「幸せ」のデザイン。
  • アインシュタイン回顧録
    -
    「想定外に当たっていたね」。アインシュタインの理論を、現代の物理学者はおおむねそう評価する。実験機器と実験法の進歩につれ、ただの予想かと見えた理論が次々に実証されてきたからだ。独創の極致ともいえる理論を彼は、いったいどうやって生み出したのか? 幼少期から執筆時までの約70年間を振り返り、何をどう考えてきたのかを語り尽くす、アインシュタイン唯一の自伝。生い立ちと哲学、19世紀物理学とその批判、量子論とブラウン運動、特殊相対論、一般相対論、量子力学に疑義を呈した真意、統一場理論への思いが浮き彫りになる。貴重な写真を多数収録。達意の新訳による文庫オリジナル。
  • 青色本
    3.9
    「語の意味とは何か」ーー本書はこの端的な問いかけから始まる。ウィトゲンシュタインは、前期著作『論理哲学論考』の後、その根底においた言語観をみずから問い直す転回点を迎える。青い表紙で綴じられていたために『青色本』と名付けられたこの講義録は、ドラスティックな思想転回が凝縮した哲学的格闘の記録である。
  • 悪の哲学 ──中国哲学の想像力
    4.0
    この世の悪は、一人ひとりがその行いを改めれば払拭できるものだろうか? 自然災害に見舞われ、多くの人が苦しめられているとき、そこに悪の問題はないのだろうか? 孔子や孟子、荘子、荀子などの中国古代の思想家たちも、悪という問題に直面し、格闘してきた。清代にいたるまでの、そうした悪をめぐる哲学的思考を辿りなおし、その可能性と限界を描き出す。悪にあらがい、その残酷さを引き受け、乗り越えるための方途を探る哲学の書である。
  • 明智光秀と細川ガラシャ ──戦国を生きた父娘の虚像と実像
    3.3
    謎の武将・明智光秀と悲劇のヒロイン細川ガラシャ。戦国時代を生きた父娘は、どのような人物だったのか。光秀が織田信長を裏切った本能寺の変の背景には、何があったのか。キリスト教を学び改宗した娘は、石田三成率いる西軍の人質になることを拒絶して死に追い込まれた「気高い美女」とされるが、本当の彼女はどのような才覚、性格、容貌の持ち主だったのか。明智家の状況、当時の布教の様子、イエズス会の置かれた立場や日本戦略、近代化の過程で変容したイメージなど幅広い観点から、彼らの実像を浮かび上がらせる。
  • 明智光秀と本能寺の変
    3.8
    なぜ明智光秀は本能寺で織田信長を討ったのか。下克上の時代とはいえ、戦国の覇王であり主君への謀叛の背景には謎が多い。光秀の経歴も秘密めいている。そのためさまざまな憶測がされ、信長への私怨説、朝廷か足利義昭か、はては徳川家康による陰謀説などが語られてきた。名門・土岐明智氏を自称しながら足軽衆としてキャリアをスタート。主君を変えながら武功を重ねて頭角を現わした「知将」の人生をたどりながら、明智光秀という戦国ミステリーの主人公を読み解く!
  • 阿含経典1
    4.7
    ブッダはなにを語り、どのように説いたのか。その教えを最も純粋なかたちで伝える最古層の重要な仏教経典の集成。阿含=アーガマとは伝承されてきた聖典を意味する。これらの経典群のなかには、あらゆる宗派を超えた仏教の原初のすがたがあり、その根本がある。本書は厖大な阿含経典群のなかから、よく古形を保ち、原初的な経と判定される諸経をとりあげ、パーリ語原典からの現代語訳と注解で構成。第1巻は、ブッダの悟りの内容を示す「存在の法則(縁起)に関する経典群」と、その法則に即して人間をかたちづくる要素を吟味した「人間の分析(五蘊)に関する経典群」を収録する。
  • 朝から晩までつぶやく英語表現200
    4.3
    朝から晩まで、とにかく思ったことを英語で口に出すことが、英語上達への近道。家、会社、食事、ショッピング、天気……日常のさまざまな場面で使うけど、意外と知らない必須フレーズを200個紹介。10万部超のロングセラー『日本人の9割が間違える英語表現100』の著者が、シンプルだけど、とっておきの表現を紹介します。
  • アジア主義全史
    -
    江戸中期~明治期日本に起源を持つアジア主義は、中国などアジア諸国と連帯して西洋列強に抵抗し、アジア解放を目指すものだった。それは1930年代以降の日本のアジア侵略に名目を与えてしまった。だが大東亜共栄圏の思想は興亜論に形を借りた脱亜論であり、決してアジア主義ではない。戦前の中国のアジア主義や、現代日本の「東アジア共同体論」などに形を変えた左右両極のアジア主義的言説にも注目。真のアジア共生への道を探るべくアジア主義の全貌を描き、その再評価を試みる。
  • アジールと国家 ──中世日本の政治と宗教
    5.0
    世俗の権力の及ばない避難所、聖なる別天地としてのアジールは、人々を魅了し歴史の中で大きな役割を果たしてきた。比叡山、高野山、東大寺などは、個人支配者を持たないまま、国家権力と鋭く対峙する存在であった。また、天皇を超える権威を仏神に認めた彼らは、時には内裏にまで押し入って自らの要求を押し通した。寺社勢力を中心に無名の大衆の実力を探る。日本中世を舞台に、アジールの在り方と意義、盛衰を跡付ける一冊。
  • 汗はすごい ──体温、ストレス、生体のバランス戦略
    4.0
    もっとも身近な生理現象なのに、誤解される汗。風邪の高熱は汗をかけば解熱する、汗っかきは持久力がひくい、わきの下や喉元や頭皮は汗をかきやすい……。どれもこれも科学的には真逆である。いい汗とは何か。暑さになれると上手に汗をかくことができ、暑い夏もへっちゃらに乗り切れる! 最新の脳科学の成果からさまざまな疾患による影響まで、汗のすべてを発汗生理学の権威が解き明かす。
  • 新しい自然学 ──非線形科学の可能性
    3.5
    非線形科学──それは近代科学が久しく避け続けてきた「自然の生きた姿の記述」に挑む新しい科学だ。例えばホタルたちの明滅が揃う同期現象や、物質の濃淡が形作る自己組織化のしくみはこの科学によって解き明かされる。本書では、非線形科学を一つの切り口としつつ、この分野の第一人者がより豊かでみずみずしい科学の可能性を探る。そして、科学知をも超えた新しい時代の知のあり方にまで思考の翼を広げる。
  • 新しい道徳
    3.7
    情報化し、多様化した現代社会には、道徳を感情的に押しつけることは不可能だ。バラバラに生きる個人を支えるために必要な「理性的な道徳観」を大胆に提案する!
  • 「新しさ」の日本思想史 ――進歩志向の系譜を探る
    -
    「新しい」が現在のような「進歩的だ」「新鮮である」という意味になったのは近世になってからであり、古代や中世では単に「現在」を示すものだった。「新しさ」が江戸時代に評価を高め、いかにして幕末維新期に大衆をリードするキャッチフレーズになったのか。「本」に立ち返ろうという復古思想とのせめぎ合いの中、明治以降の高度な外来の文化を受け入れる下地となる学術や思想がどう育ってきたかを、「新」や「本」の字義の変化をたどって検証。この国の進歩への志向の系譜を探る。
  • アナキズム入門
    4.0
    国家なんて要らない。資本主義も、社会主義や共産主義だって要らない。いまある社会を、ひたすら自由に生きよう──そうしたアナキズムの思考は誰が考え、発展させてきたのか。生みの親プルードンに始まり、奇人バクーニン、聖人クロポトキンといった思想家、そして歩く人ルクリュ、暴れん坊マフノといった活動家の姿を、生き生きとしたアナーキーな文体で、しかし確かな知性で描き出す。気鋭の思想史家が、流動する瞬間の思考と、自由と協働の思想をとらえる異色の入門書。
  • あなただけの人生をどう生きるか ──若い人たちに遺した言葉
    4.7
    大学学長時代に、学生たちに向けて語った講演の数々。そこには、決して生きやすいとは言えない現代、どんな境遇でも、若者一人ひとりが自分らしく輝けるように、と切に願う、愛に満ちた言葉が溢れていた。人生を深く考えるための珠玉のメッセージ集。
  • あなたの勉強法はどこがいけないのか?
    4.2
    勉強ができない理由を、「能力」のせいにしていませんか? 「できる」人の「知識のしくみ」が自分のものになる方法を、認知心理学から、やさしくアドバイスします。
  • あなたは自由か
    -
    「奴隷」哲学者エピクテトスからルターとエラスムスの「自由意志」論争にまで説き及ぶ本書は、「自由」をめぐる歴史上のピークをなす白熱の瞬間をとらえる一方、相異なる多様な考察をあえて並列するにとどめてもいる。今や人工知能が本格化し、監視社会化が進む時代を迎えて、自由の実態はますます不透明になりつつある。原理的な考察とともに、日本の近代を世界史の中で再検証し、自由の動的で、かつ多面的な姿を展望する。
  • アナーキズム ――名著でたどる日本思想入門
    3.7
    大正ロマン香る革命家の伝説。破滅と頽廃に縁どられたテロリスト列伝。祝祭としての群集蜂起……。あまりの純粋さと単純さゆえに、多くの若者たちを魅了してきた思想史上の異色、アナーキズム。そこにかいま見える近代の臨界とは何か。十冊のテキストをステップとして大胆に講釈される、根源的に考え生きるためのレッスン。
  • あぶない脳
    4.0
    羞恥心がない、すぐキレる等近頃あぶない人が増えている。しかし、われわれの脳は、本来かなりあぶないものである。脳は働き者で精密だが、その分実に繊細で、構造も機能も、微妙なバランスの上に成り立っている。ひとつ間違えば、取り返しのつかないことも起こる。その一方で、適切に育み、うまく扱えば、人生を成功と幸福に導いてくれるものとなる。身近な話題をもとに脳科学の知見を敷衍、「あぶない脳」から浮かび上がる、武器としての脳科学。
  • 安倍晴明伝説
    3.0
    「陰陽師」安倍晴明にはいくつもの顔がある。「宮廷に仕える高級官僚」「超能力者」「中性的な魅力を持つ美青年」…。だがそのいずれも真の晴明像を正確に伝えてはいない。天皇の運命まで左右した数々のエピソードを持つ「高級官僚」としての晴明像と、「狐から生まれた子」という超人伝説は、どのように結びついていくのか。晴明を祖とあおぐ二つの系統の陰陽師たちがつくりあげた虚像の形成過程を丹念に読み解いていくと、新しい「もうひとつの晴明伝説」が浮かび上がってくる。
  • アメリカ言語哲学入門
    4.0
    20世紀後半の現代哲学に、最も先鋭的かつ重要な潮流をなした、アメリカ言語哲学。その最前線を形づくってきた、サール、クリプキ、デイヴィドソン、クワイン、ローティら哲学の巨人の思想を、言語行為論、指示理論、根本的解釈説、メタファー論、反表象主義などの主要な議論から精査する。その考察から、彼らの視点には、実はデカルトやロックらの近代観念説やヨーロッパの解釈学とも通底するものがある、という事実が明らかになってくる。西洋哲学全体の流れの中で最先端のアメリカ言語哲学の核心に迫る、絶好の一冊。
  • アメリカ黒人史 ――奴隷制からBLMまで
    3.0
    奴隷制が始まって以来、黒人は白人による差別や迫害に常に遭ってきた。奴隷船やプランテーションでの非人間的な扱いを生き延び、解放され自由民になっても、「約束の地」である北部に逃れても、彼らが人種差別から解放されることはなかった。400年にわたり黒人の生活と命を脅かしつづけてきた差別と、地下鉄道、公民権運動、そしてブラック・ライブズ・マター(BLM)に至る「たたかい」の歴史を、アメリカ南部出身の著者が解説する。
  • アリストテレス入門
    3.9
    プラトンとならぶ古代ギリシア哲学の巨人アリストテレス。彼はのちのヨーロッパ哲学に影響を与えただけではない。いわゆる三段論法を中心とする形式論理学の基礎を築き、具体・抽象、普遍・個別、可能・現実といった概念を創始して、近代自然科学の発展をささえる知の総合的な枠組をつくりあげた。われわれがさまざまな事柄を考える際の思考法そのものに関わる問題を、彼はどのように追求していったのか。本書は、そのねばりづよい知の探求の軌跡をたどるアリストテレス再発見の試みである。
  • アレクサンドロス大王物語
    3.0
    アレクサンドロス大王の事績は史実としてだけでなく、物語としても後世に大きな影響を与えた。中でも、「アレクサンドロス・ロマン」と称された本書は、聖書についで読まれた本とされる。基本的な史実を踏襲しつつ、鮮やかな戦闘場面、ペルシア王やインド王との書簡のやりとり、エジプトに由来する血統、裸形の哲学者との対話、アマゾネスや怪物との邂逅などを織り交ぜて、多くの一般大衆を長きにわたり魅了した。「物語」本篇に加えて、ラテン語で書かれた「アレクサンドロスからアリストテレス宛ての手紙」も収録。
  • アレント入門
    4.1
    ユダヤ人として生まれ、生涯を賭してナチス体制に代表される全体主義と対峙した思想家ハンナ・アレント。その思考の源泉を、ナショナリズムや公共性の問題から検証し、『全体主義の起原』、『人間の条件』、『イェルサレムのアイヒマン』などの代表作に跡づける。その思考は、今なお全体主義的な体制を経験している私たち自身の経験と現在を考えるための重要な手掛かりになるに違いない。
  • いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか
    4.4
    霊学研究の諸成果に関心を寄せる人々の中には、そのような人生の高次の謎を口にする者が一体どこからその知識を得たのか、という点に疑問をもたざるをえない人もいるであろう。本書はまず第一にこのような人のために役立ちたいと望んでいる。霊学は人生の高次の謎の本質に深く係わろうとする。この霊学からの発言の根底にある諸事実を吟味しようとする人は自力で超感覚的な認識を獲得しなければならない。本書はそのための道を記述しようとしている。四大主著の一冊。
  • 医学全史 ――西洋から東洋・日本まで
    4.5
    現代医学はどのようにしてできあがったのか? 古代より、伝統医学は経験から治療法を、推論から理論を創り出すと同時に、西洋では解剖学という人体の科学的探究を続けてきた。それが19世紀に、病理解剖学や実験生理学の発展に伴い実践的な治療と結びつき、劇的な変貌を遂げることになる。医史学研究の第一人者が古今東西の書物を繙き、萌芽期から現代までの歴史を丁寧に辿りつつ、その飛躍的発展の背景に迫る決定版通史。
  • 生きづらさからの脱却 ──アドラーに学ぶ
    4.3
    人が生きるのに楽であった時代はないかもしれない。それは物質的に満たされたかに見える現代も同様だ。神経症となって現れるわれわれの悩みや不安を解消するには、それらがどんな成り立ちを持っているかを知り、従来の考え方を根本的に転換しなければならない。アルフレッド・アドラーの個人心理学は、そのきっかけを与えてくれる知恵の宝庫である。長らくアドラーの研究と紹介に従事してきた著者が満を持して贈る現代人のための幸福論。
  • 生きているとはどういうことか
    4.5
    あるものが生物か無生物か、私たちは直感的にわかる。ところが「生物とは何か」を定義しようとすると、きわめて難しいことに気づく。生物には、物理化学法則とは別の「生きもののルール」があるからだ。それはどういうものか。本書は、生物の起源、発生、進化、免疫、性、老化と死といった生命現象から、「生物とは何か」を解く試みである。生きものとは、ものすごくしたたかで案外いい加減である。それがわかるとき、きっと世界が違って見える(はずだ)。
  • 生きのびるための流域思考
    3.3
    かつてない量の雨が日本列島を襲っている。頭上の雨だけを見ていても水土砂災害は分からない。雨は流域で集められ、災害を引き起こすからだ。生きのびるために、いまこそ、流域思考を身に着けよう!
  • 生きものとは何か ──世界と自分を知るための生物学
    4.5
    自分を知るには、まず生きもののことを理解しておく必要がある。生きものの形や時間にはどのような特徴があるのだろう? 何のために生きているのだろう? 生きものの本質を明らかにする冒険的な試み。
  • 生き物と向き合う仕事
    -
    命は決して平等ではない。獣医学は元々、人類の健康と食を守るための学問だから、動物を救うことが真理ではない。冷静な頭と温かい心で日々、生き物たちと向き合う獣医師が伝える命とは、病気とは、生きるとは?
  • イギリス英語の裏表
    3.7
    ビジネスであれ映画や音楽であれインターネットであれ、我々の周囲に充ち溢れる英語のほとんどはアメリカ英語である。今では、英語は元来イギリスの言葉である、などと言えばかえって奇異に思われるほどに、イギリス英語は実用の舞台から消え去ってしまった。とはいえ、いくたの歳月をへて他のヨーロッパ諸国のみならず世界のあらゆる言語と接触するなかで、イギリス英語は諸言語の語彙を貪欲に取りこみつつ実りゆたかな発展をとげてきた。独得の風土と歴史を通して育まれたイギリス英語の面白さを軽妙な筆致で描く快著。
  • 意識とはなにか ――〈私〉を生成する脳
    3.7
    太陽の輝き、朝のコーヒーの香り、小鳥のさえずり……私たちの意識は鮮やかな質感(クオリア)に満ち満ちている。物質である脳が、心の中に、そうしたユニークな感覚を生み出すのはなぜか? そして、すべてを感じる存在としての<私>とは何者なのか? 人類に残されたこの究極の謎を解きほぐす鍵は、他者との関係性の中でダイナミックに変化する脳の働きにある。気鋭の学者が、脳科学、認知科学、哲学の領域を横断する新しいアプローチにより難問に新境地を展開した画期的論考!
  • 医者は患者の何をみているか ──プロ診断医の思考
    3.7
    病名よりも診断よりも大切なのが治療です。症状の原因が分からず、診断名も与えられない……ということでいろいろな病院や科へ回る患者さんがいます。それは間違っています。症状が起きている仕組みやメカニズムが推定できれば治療はできるのです。では医者はそのために患者の何をみているのか? プロ診断医が行う病態把握のための四次元思考をお見せします!
  • 維新の夢 ──渡辺京二コレクション1 史論
    5.0
    『逝きし世の面影』の著者渡辺京二は、日本近代史の考察に、生活民の意識を対置し、一石を投じてきた思想家である。その眼差しは表層のジャーナリズムが消費する言説の対極にある。本巻には、西欧的な市民社会の論理では割り切ることのできない、大衆の生活意識にわだかまる「ナショナル」なものを追求した「ナショナリズムの暗底」、明治国家への最大の抵抗者としての西郷隆盛を常識的定説から救抜する「逆説としての明治十年戦争」、北一輝と日本近代の基本的逆説の関連を問う「北一輝問題」など、日本近代史を根底から捉え返すことを試みた論考を集成する。
  • 「いじめ」や「差別」をなくすためにできること
    3.8
    自分が直面しなくても、誰かが「いじめ」や「差別」の被害にあっていると気づいた時、どうすればいいの? 見ないふりをしないで、見ること、そして同意しないこと。そして、もしも被害にあったら逃げ出すことも大事!!
  • イスラームから世界を見る
    4.0
    誤解や偏見とともに語られがちなイスラーム。その本当の姿をイスラーム世界の内側から解き明かす。イスラームの「いま」を知り、「これから」を考えるための一冊。誕生・発展の歴史から、各地で相次ぐ民主化運動の背景まで、知っておきたい基礎知識をしっかり解説。
  • イスラーム思想を読みとく
    3.7
    現代イスラームの「過激派」と「穏健派」の争点はどこにあるのか? なぜ、同じスンナ派同士で争うのか? 「穏健派」のムスリムは、なぜ「過激派」を「破門」しないのか? イスラーム神学、古典イスラーム法学、現代イスラーム思想を横断し、問題の背景と核心に迫る。「イスラームのテロ」に警鐘を鳴らすのでも、「平和な宗教」としてイスラームを擁護するのでもなく、対立の思想的争点を浮き彫りにする一冊。
  • イスラームと世界史
    4.5
    世界は新たな対立と緊張に直面している。中東和平や中央アジアの動向は今後どのような展開をみせるのだろうか? 世界史への登場以来、先進的な文化を誇ってきたイスラームは、けっして異質で非寛容な文明などではない。世界史と日本史をつなぐ歴史的な視点を軸に、21世紀の国際政治を世界史的視点から問う。
  • イスラームの論理
    4.0
    現代世界が直面しているテロの背景には、やむを得ない実力行使の側面がある。けれど、そもそもイスラームは本当に好戦的なのか。激しい攻撃にさらされてもなお、信仰者を増やし続ける魅力はどこにあるか。イスラームを貧困と暴政に陥れた“真犯人”は誰なのか。日本人がイスラームを理解することはできるのか―。日本人研究者、信仰者としてイスラームを30年以上見つめてきた第一人者が、イスラームの深奥を明らかにする。異文化を知ることは、自文化を知ることである。そこに立ち現れる日本の姿とは。【電子書籍オリジナルまえがき付き】
  • 伊勢神宮の謎を解く ──アマテラスと天皇の「発明」
    4.1
    日本全国の神社の筆頭に君臨する伊勢神宮。しかし、その成立の背景には、さまざまの「謎」がつきまとう。伊勢神宮の誕生は、はたしていつだったのか。大和の王権がなぜ伊勢に最高神をまつるのか。当初そこにまつられた国家神とは何か。皇祖アマテラスはなぜ「発明」される必要があったのか。そして、心の御柱と神鏡という二つの御神体が共存するわけとは……本書では、こうした難問を、列島における神話と神社誕生の根源にまでさかのぼり、あざやかに解き明かす。
  • 異説 数学者列伝
    3.5
    数学の歴史をつくった大数学者30人の生涯。しかし、そこは森先生、エライ人ばかり登場する「数学主義史観」の本は大きらい、「ボロボロ史観」で迎え撃つ。彼らはみな、悲劇的で喜劇的なのである。数学者を序列化して30番までを選ぼうなどという趣味はないので、その選択はかなり恣意的である。各篇はまったく独立で、関心は数学者たちの“数学”にではなく“人間”のほうにある。数式は出てこないから、ご安心。昨今の理科ばなれ、学力低下を嘆くあなたには、きっとキツイ一服に。そんな異色の数学者列伝。
  • 位相のこころ
    5.0
    位相は“近い”という日常感覚を数学的に厳密にとらえ直したもの、といってよく、現代数学において最も基本的で重要な概念の1つである。歴史的には、18世紀から19世紀末にかけて解析学が進展していくなかで、極限・収束・連続性などをめぐる議論から位相空間論が生まれ、20世紀における関数解析学の展開によって、より抽象的に定式化されていった。本書は、数学の意味・こころを語る達人である著者が、1950年代、60年代、70年代に、位相をめぐって書き綴った「位相解析入門」「位相用語集」「位相構造」という3つの文章からなる。著者の名調子に乗せられて、位相のこころを体感してみよう。
  • イタリア・ルネサンスの文化
    3.5
    精緻な構築体としての国家(der Staat als Kunstwerk)の成立、陰謀、同盟、裏切り、買収、そして冷徹な打算に基づく外交政策。ルネサンス期のイタリアを舞台に、近代的な文化と社会の出現をスリリングに活写した畢生の大著。
  • 偉大な数学者たち
    4.3
    ガウスは50桁ぐらいの計算はものともしなかった。むしろ楽しみですらあった。しかも数字に異常な記憶力があり、いちど計算したことのある数は自在に取り出すことができた。整数の研究にも熱情を注ぎ、法則の発見のために独力で大きな数表をつくった。素数の表、二次剰余・非剰余の表、1000以下の素数の逆数の表……。このように数学の神に導かれたガウスもいたし、一生を数学に生きたオイラーもいた。狂熱に引きまわされ短い生涯を駆け抜けたアーベルやガロアもいた。他にアルキメデス、ニュートン、ライプニッツなど全20人が登場。天空を舞うような彼らの高揚感を熱くつづった「数学者物語」。
  • いちばんさいしょの算数1 ──たし算とかけ算
    5.0
    なぜ1+1は2なの? なぜ2や3は、ブタとかカバじゃいけないの?──「考えたこともない」が、つまづきの始まりなのです。「知らないことを知っていく」がわかる本。
  • いちばん大切な食べものの話 ――どこで誰がどうやって作ってるか知ってる?
    4.3
    食糧自給率が38%しかない日本。今すぐ国内生産を増やさないと大変なことに。でもどうやれば? 食の問題に取り組む二人のプロフェッショナルと考えます。
  • 一揆の原理
    4.3
    一揆といえば、虐げられた民衆が農具や竹槍を手に極悪非道な領主たちに立ち向かう、そんなイメージを抱きがちだ。しかし、それは戦後歴史学が生み出した幻想に過ぎない。史料を丹念に読み解くなかで見えてくるのは、革命や暴動といった固定観念とはほど遠い、権力者とのしたたかな折衝のあり様だ。一揆とは、暴発的な武装蜂起ではなく、既成の社会関係では対応できない危機に直面した人々が「契約」によって生みだした、新たな社会的つながりなのだ──。これまで語られてこなかった一揆の実像と、現代の社会運動にまで連なる結合の原理を、新進の中世史家が鮮やかに解き明かす。
  • 一神教の起源 ──旧約聖書の「神」はどこから来たのか
    4.0
    もともとイスラエルもユダも、古代オリエント世界の辺境に存した弱小国家に過ぎず、権力や覇権とはほとんど縁がなかった。その小さな国家が滅び、新バビロニア帝国の圧倒的な支配のもとで「ヤハウェの民」が最も非力で悲惨な境涯にあった時に、彼らの中から唯一神観が生まれた。それは、弱い者が生き延びるための知恵であった。──古代イスラエルで唯一神が誕生するまでを、壮大な筆致で描く。
  • 一百四十五箇条問答 ──法然が教えるはじめての仏教
    -
    法然が登場する以前、仏教は驚くことに、一部のエリートのためだけに存在する宗教だった。漢文で書かれた難解な経典が読めること、日常生活を気にせず修行に打ち込めること、が条件だったからだ。しかし実際に苦しみ、救済を必要としたのは、文字も読めない市井の人びとに他ならない。そこで法然は、誰でも、いつでも、どこでも実践可能な「念仏」を柱とする浄土宗を打ち立てた。この『一百四十五箇条問答』は、法然の教えに惹かれながらも、従来の仏教との違いに戸惑ったり、生活を改めなければならないのかと不安に思った人びとの145の疑問に、法然がやさしく答えたもの。浄土仏教や法然その人を理解するための、またとない入門書となっている。
  • 遺伝人類学入門 ──チンギス・ハンのDNAは何を語るか
    4.5
    近年、世界中の人類集団の遺伝子のバリエーションについて大規模な研究が数多くなされている。そうした中、中央アジアから東アジアにかけてチンギス・ハンの持っていたY染色体のタイプが爆発的に拡散しているという仮説が提起された。本書ではこの仮説を追うことを糸口として、遺伝子の研究方法から、人類の祖先の辿り方、進化と遺伝の捉え方まで、ゲノム時代にわれわれのルーツを追究する意義について、縦横無尽に解説する。
  • 糸を出すすごい虫たち
    3.0
    体重の二倍もの重さを支えることができる糸を出すミノムシ、柔らかくて強い糸を出すクモ……。身近に存在していてもずっと見過ごされてきた小さな虫たち。虫たちの作り出す優れた天然繊維に今注目が集まっている。
  • イネという不思議な植物
    4.6
    植物の常識に照らすと、生態が少し奇妙なイネ。だがそれゆえに、人に深くかかわりその生活や歴史までも動かしてきた。イネとは何か、なぜ人を魅了してやまないのだろう。その秘密にせまる。
  • いのちと放射能
    4.1
    私たちは原子力に頼っていて本当によいのか。なぜ放射性物質による汚染は恐ろしいのか。放射能によって癌や突然変異が引き起こされる仕組み、大人より子どもに影響が大きい理由を、生命科学者がわかりやすく解説します。それでも核燃料サイクルへの道を突き進む行政のありかたと、命を受け継ぐ私たちの自覚を問う。
  • 異本論
    4.0
    読者は著者の意図など考えずに自由な読み方をしていいのである。理解されることで表現は変化し、そこに異本が生じる。口承文芸など長い伝承期間を経た物語や歌謡が、具体性・簡潔性を具え古典になるのはそのためである。翻訳、コピー、原形と典型など、異本化作用から、広く表現文化について考えた画期的な本。
  • 意味がわかるAI入門 ――自然言語処理をめぐる哲学の挑戦
    -
    「AIは言葉の意味を理解している」――2020年に行われた調査で、回答者の半数近くがこのように回答した。2022年に公開されたChatGPTは、当時よりいっそう自然な受け答えが可能だ。はたして現在のAIは言葉の意味を理解しているのだろうか。そもそも意味を理解するとはいかなることなのか――。AIの開発史をたどりながら、現在のAIを支える大規模言語モデルのメカニズムを解き明かし、深い霧に包まれた「意味理解」の正体に一歩ずつ迫る。哲学者によるスリリングなAI入門! 【目次】序章 哲学者、大規模言語モデルに興味を持つ/第一章 AIの歴史──心の哲学を補助線として/1 ダートマス会議にはじまる/2 第一次AIブーム──「一人で立てたよ!」/3 AIの冬(1)──「時バエは矢を好む」?/4 第二次AIブーム──「知識には力が宿っている」/5 AIの冬(2)──「あなたたち人工知能研究者はいつもそうやって噓をつく」/6 第三次AIブーム──「私たちはずっと正しかったのだ」/7 1980年代のコネクショニズム批判/8 残された疑問──ニューラルネットワークは自然言語を扱えるのか?/第二章 自然言語処理の現在──言語哲学を補助線として/1 AIは言葉の意味を理解すると思いますか?/2 意味に対する伝統的アプローチ/3 真理条件意味論に対する疑い/4 コネクショニズム化する自然言語処理/5 分布意味論の批判的検討/6 大規模言語モデルと言葉の意味理解/7 意味と意味理解についてわかったこと、まだわかっていないこと/終章 機械に心は宿るのか?
  • 意味とエロス ――欲望論の現象学
    4.0
    現象学こそがわれわれがとりうるもっともラディカルな哲学態度であり、そして、その可能性をさらに推し進めることのなかにこそ、現代思想の混迷を突破する道がある。著者の哲学的デビューの書であり、その原点をいまもくっきりと指し示す本書は、読者に哲学することの意義と歓びを感じさせずにはおかない。
  • 癒しの旅 ギリシア・エーゲ海
    -
    遺跡と神話の国、ギリシア。はるか昔から変わらぬ山河とそれをとりまく人々の生活、そしてとびきり美味な海や山の幸…。自然の恵みを受け継ぐ「古い国」の豊かさを、遺跡や廃墟を訪ね歩く合間に感じてきた著者ならではの、エーゲ海での「ギリシア風」過ごし方、アテネの街歩き、博物館の愉しみ方など。極上の旅案内。
  • 医療幻想 ―― 「思い込み」が患者を殺す
    3.9
    日本医療の実態とは、どのようなものなのか?「点滴は血液を薄めるだけ」「消毒は傷の治りを遅くする」「抗がん剤ではがんは治らない」「健康診断に熱心な人ほど早死にする」……。本書は、こうした驚くべき実態に迫り、医者と患者の間にある壁の正体を明るみにする。医師会・厚労省・マスメディアなどの生み出す幻想の実態を晒すことから、これからの日本医療のあり方を問いなおす。ベストセラー作家でもある医師による、渾身の日本医療論。
  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学
    3.9
    私たちは病院に、答えを得るために足を運ぶ。心身の不調の原因が明らかになり、それを取り去るすべが見つかることを期待する。しかし実際の医療現場は、私たちが思う以上のあいまいさに満ちており、期待した答えが得られない場合も多い。そんな時私たちは、医療者に失望するが、それは医療者も同様に悩み、考えるときでもある。本書は、医療者のそんな側面を、本人たちへのインタビューをもとに紹介する。病気になったとき、私たちは医療者とともにいかに歩むことができるのか。かれらの語りを通じて考えてほしい。
  • 医療大転換 ──日本のプライマリ・ケア革命
    4.0
    無駄な投薬や検査がない。患者のたらい回しもない。24時間体制でいつでも相談できる。日本に渦巻く医療への不信と不満、不安を一掃するプライマリ・ケアとは何か? 日本の問題点や先進国の実践例を検討し、患者中心の医療への大転換の道筋を示す緊急提言。
  • インド宗教興亡史
    -
    国民の約八割が信仰するヒンドゥー教と、少数派とはいえ有力な宗教が同居するインド。悠久の歴史において多くの宗教が生まれたこの地はまた、何度も外来の宗教勢力から侵略を受けたが、他宗教による攻撃すら飲み込みながらヒンドゥー教は拡大してきた。いく筋もの支流が集まり大河となるように、枝から延びる木根が幹となって大樹になるバニヤンのように……。仏教、ジャイナ教、ゾロアスター教、シク教、キリスト教、イスラム教など、ヒンドゥー教の歴史的ライバルとの対立や融和の関係から、インド文明を読み解く。
  • インド大反乱一八五七年
    4.0
    東インド会社の傭兵シパーヒーの蜂起に端を発し、インド亜大陸全体へと飛び火した大反乱。ムガル帝国皇帝を擁立した反乱軍はデリーに政権を樹立して闘争を繰り広げるが、内紛と分裂を経て、やがて大英帝国による直接統治という結末を迎える。この反乱を支えたのは、いったい何であったのか。農村社会の変容、ヒンドゥー教・イスラム教ほかの宗教、カースト制度など、本書は複雑なインド社会の根幹部分を丹念にすくいあげて分析しながら、そこに携わった多様な人々のリアルな姿も活写。20世紀の独立へと持ち越された、インド民族運動の真実の姿を描きだす。
  • インドネシア ──世界最大のイスラームの国
    3.0
    世界一のイスラーム人口を誇るインドネシアは、独立後、シャリーア(イスラーム法)を国法としない共和国となった。しかし、教義に厳格なムスリムと、より柔軟に教義を解釈するムスリムの溝は埋まることはなかった。そのなかで人々は何を考え、どのような社会を創り上げたのか。インドネシアに計8年間暮らし、その文化と宗教を研究してきた社会人類学者が、綿密なフィールドワークで得た多様なムスリムの声とともに、教義と実践の狭間で揺れる大国の論理と実態を描きだす。
  • インドの思想
    3.0
    長い歴史と多数の異なった民族から成り、広大な地域の中で様々な伝統文化を併存させている国インド。日本人には想像もできないほど人々の考え方の振幅は大きいが、その精神的豊かさには瞠目すべきものがある。多様でありながらインドの底流をなす思考方法とは何か。本書では、国名「インド」の由来やインダス文明の興隆から説き起こし、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教、『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』の二大叙事詩、論理学など、インドを特徴づける主要な思想のエッセンスを、仏教・インド哲学研究の泰斗が解説する。
  • インドの数学 ──ゼロの発明
    -
    サンスクリット文化圏の数学は、多様性と創造性に溢れ、数学史においても大きな足跡を残してきた。「ゼロの発明」はとりわけ有名であるが、それにとどまらない。本書は、ヴェーダ祭式の祭場設営に由来する最古層の幾何学に始まり、ジャイナ教徒の数学と哲学・世界観との関係、数学と天文学、7世紀以降のアルゴリズム数学と代数の確立など、各時代に開花した数学を概観し、その発展の過程を探る。終章では、三角関数、ホロスコープ占星術、筆算法、和算などのトピックを通して、インドと他文化圏との数学の伝播を考える。
  • インド洋海域世界の歴史 ──人の移動と交流のクロス・ロード
    -
    グローバル経済の起源は大航海時代にあると言われる。しかしそれよりはるか前、インド洋海域世界には二千年以上もの間、様々な民族、人種、宗教が交じり合う自由で自立した大経済圏が存在していた。季節風を利用した航海技術の確立により長距離交易が盛んに行われ、アフリカから地中海世界、西アジア、インド、東南アジア、中国にわたる広大な地域が一つに結ばれていたのだ。しかしレコンキスタ終結後、この経済網はヨーロッパ人に破壊され、奪われていく。イスラームの影響下で栄えた大経済圏・文化圏の全体像を、膨大な史料とフィールドワークをもとに描き出す、海域史研究の記念碑的名著。
  • ウィーン ――「よそもの」がつくった都市
    3.8
    皇帝ハプスブルク家の都、楽聖の都ウィーン。今もなお優雅で華やかな香気を放っている。だが、この都市の神話はいったいどのようにつくられたのだろうか。激動の都市形成の歴史をたどりつつ、「よそもの」を魅きつける魔力とオペレッタ的いかがわしさにみちた、ウィーン神話のもうひとつの顔に光をあてる都市の社会史。
  • ウイルスって何だろう ──どこから来るのか?
    3.7
    歴史を見てもウイルスは人間社会に多大な影響を及ぼしたが、同時にウイルスは人間社会の鏡でもある。ではウイルスの正体とは。科学的に、社会的に、考える。
  • 内村鑑三 ──その聖書読解と危機の時代
    -
    戦争と震災。この二つの危機に対し、内村鑑三はどのように立ち向かったのか。彼の戦争論はいかに変転し、震災論はどこへ行きついたか。本書は、聖書学の視点から、内村の聖書研究に基づく現実との格闘を、厖大な文章や数々の足跡に寄り添いながら追っていく。そこから浮き上がる思想的可能性と現代的射程とはいかなるものか。近代日本を代表するキリスト者の地歩を明らかにした、碩学畢生の書。
  • 宇宙からみた生命史
    4.0
    「われわれはどこから来たのか、われわれは何者か、われわれはどこへ行くのか」。──近年、生命誕生の謎を解き明かす鍵が、「宇宙」にあるのではないか、という考え方が存在感を増している。生命の様々な可能性を考えるのには、もはや地球中心の思考を捨てなければならない。惑星探索や宇宙観測によってわかった新事実と従来の化学進化的プロセスをあわせ論じて描く、最先端にして最も説得力のある生命誕生の様相。
  • 宇宙最強物質決定戦
    4.5
    宇宙最強とは何か? 誰もが一度は想像する問いに答えるべく擬人化された天体や宇宙の物質たちがバトルを繰り広げる!! 物理学者ホーキング博士に師事した研究者が贈る前代未聞、空前絶後の宇宙論入門書。
  • 宇宙はこう考えられている ――ビッグバンからヒッグス粒子まで
    3.8
    急速に解明されつつある宇宙の成り立ちの謎。ヒッグス粒子の発見が何をもたらすかを皮切りに、宇宙論、天文学、素粒子物理学が私たちの知らない宇宙の真理にどのようにせまってきているかを分り易く解説する。
  • 宇宙はなぜ哲学の問題になるのか
    3.8
    「宇宙に果てはあるのか」「広大な宇宙の片隅に住む私たちとは何者なのだろう」──誰もが一度はとらえられるこうした問題。プラトンもカントもウィトゲンシュタインも、その哲学の原点は宇宙への問いだった。宇宙を切り口に学ぶ、いちばんやさしい哲学入門。
  • うつ病治療の基礎知識
    4.0
    患者数の多さと社会生活への影響の深刻さにおいて、「うつ病」は現代を代表する病である。だが、これほど認知されているにもかかわらず、病気の性格と対処方法が多様であるため、関係者を戸惑わせてきた。本書は、最新の研究成果をもとに病の全体像を描きながら、治療について最低限知っておきたい情報をバランスよく網羅したものである。うつ病に直面した時のまたとないガイドとしてお使いいただきたい。
  • 生まれてこないほうが良かったのか? ――生命の哲学へ!
    4.2
    「生まれてこないほうがよかった」という思想は、人類2500年の歴史をもつ。本書では、古代ギリシアの文学、古代インドの宗教哲学、ブッダの原始仏教、ゲーテやショーペンハウアー、ニーチェなど近代の文学と哲学、そして「誕生害悪論」を説くベネターら現代の分析哲学を取り上げ、徹底的に考察。人間がこの世に生まれてくることは誤りであり、生まれてこないようにしたほうがよいとする反出生主義を世界思想史の中に位置づけ、その超克の道を探っていく。反出生主義の全体像が分かる本邦初の書である。
  • 海の東南アジア史 ──港市・女性・外来者
    3.5
    近世から現代まで、ヨーロッパ諸国、中国、日本などから外来者が多く訪れ、交易をし、また植民地支配を行った東南アジア。そこでは、人喰いの風聞を広める人、現地人女性、ヨーロッパ人と現地人の間の子孫、華人などさまざまな存在が、外の世界と現地の間に介在していた。その様相を見ると、いかに多様な人々が各地に存在し、複雑な関係を持っていたか、各地の国民国家形成に影響を与えたかがよくわかる。主に東南アジア海域を舞台に、前近代と近現代、西と東をつなげる画期的な一冊。
  • 裏横浜 ──グレーな世界とその痕跡
    3.8
    みなとみらい、赤レンガ倉庫、山下公園……。横浜からはオシャレで、洗練されていて、都会的なイメージが想起されるが、それはほんの一面にしか過ぎない。悪臭で誰が泊まるともしれない船の宿、最後の居場所のストリップ劇場、革命家の隠れ家など、その裏側には猥雑で混沌したものが隠されている。生まれ育った街の歴史を掘り起こし、実体験を織り交ぜながら、横浜の真の姿をさらけ出す。
  • ウンコの教室 ――環境と社会の未来を考える
    4.2
    あなたはウンコが嫌いですか? 汚くて恥ずかしいものとして嫌われがちなウンコですが、 生産や消費と同じように、人生には欠かせません。 文理、歴史の壁を越えたウンコ探究に出かけよう。
  • 英語教育幻想
    4.4
    国際化の必要性が叫ばれ始めた1980年代以降、英語教育は常に議論され続けてきたが、特にここ数年「グローバル人材」育成に向けて様々な提言がされてきている。小学校からの早期英語教育、英語による教室指導、外部テストの導入、教員の英語力強化などだ。その裏側には、「英語は全世界の人々をつなぐ」「英語力は経済的成功をもたらす」という、ほとんど信仰のようなものが横たわっている。しかしそれは本当なのだろうか? 海外の大学で25年教鞭をとってきた言語教育学者が、日本人の中に深く根を張る「英語への信仰」と「幻想」を、10のポイントに分けてあぶりだす。
  • 英語教育の危機
    3.6
    子供たちの未来を左右する2020年施行の新学習指導要領からは、この国の英語教育改悪の深刻さが見てとれる。たとえば、中学校・高校では「英語は英語で教えなければならない」という無茶なルールを作り、小学校で「英語」は教科としてスタートするのに、きちんとした教師のあてはない。また学習指導要領以外にも、2020年度からは現在の「センター試験」は廃止されて、どれも入試として問題含みの「民間試験」を導入するという。どうして、ここまで理不尽なことばかりなのか? 第一人者が問題点を検証し、英語教育を問いなおす。
  • 英語と日本人 ――挫折と希望の二〇〇年
    4.3
    英語ができるようになりたい! 幕末に「半文明人」として西洋に蔑視された日本人は、懸命に英語を学び近代化を成し遂げる。そこには挫折と希望が交錯した紆余曲折の物語があった。独学に励む若者、日本人にふさわしい学習法の模索、辞書編纂者の苦闘、教科書の中の戦争と平和、名・珍英語参考書の数々、英会話ブーム、小学校英語への賛否、グローバル人材育成や入試改革の是非――英語教育史研究の第一人者が、日本人と英語の悪戦苦闘の歴史をたどり、未来を展望する決定版。
  • 英語に強くなる多義語二〇〇
    4.0
    多義語とは文字どおり「定義が多い語」である。ひとつの単語に、隔たりのある定義が同居しているのはなぜか? 一般的な英和辞典にその答えを求めることはできない。約二〇〇語におよぶ多義語を取り上げ、語意の変遷を丹念になどり、多義語の謎を解き明かす。
  • 英語脳スイッチ! ──見方が変わる・わかる英文法26講
    4.0
    本書で解説する「英語脳」とは、英語という言語(そして英文法)の中に現れる、「世界の捉え方」や「人間関係の捉え方」のこと。英文法を「ルール」ではなく「意味を表すもの」と考えると、「なぜこの言い方(文法)を使うのか」が腑に落ち、英語学習の核をつかむことができるのです。他動詞の英語らしい使い方、助動詞の「思っているだけ」という意味、過去形と「人間関係の距離」、数えられる名詞の見分け方……など「目からウロコ」が連続の、英語話者による世界の見方(=英語脳)のポイントを凝縮し、英語学習の必携書としてお贈りします。
  • 英語の思考法 ──話すための文法・文化レッスン
    4.4
    学校、ビジネス、英会話――こんなに勉強しているのに、いつまでたっても自然な英語がしゃべれないのはなぜ? それは日本語にはない英語コミュニケーション独特の「考え方」を理解していないから! 「独立」「つながり」「対等」という三つの核心をキーワードに、様々なシチュエーションでの会話やマナーを豊富な具体例とともに徹底解説。英語をマスターするにはまずは思考から! テレビ・ラジオなどで人気の著者が上達への道を伝授する。
  • 英語の処方箋 ──「日本人英語」を変える100のコツ
    4.0
    教科書で習った“Long time no see.”は、実は使うと相手を不快にさせる場合がある!? “will”と“be going to~”って、どう使い分けるの? 会話をふくらませるコツは何? 日本人が英語を学ぶ上でつまずくポイントを熟知した著者が、改善するために必要な知識をわかりやすく解説。日本人がしやすいミス、会話・文法のポイント、マナー、英語の特徴などを知的に、愉快に講義する。英語表現の面白さが存分に味わえる一冊。
  • 英語のハノン 初級 ――スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル
    4.3
    1~4巻1,650~1,760円 (税込)
    話したい人のための、待望のドリル! ピアノの教則本「ハノン」の名に由来、英語を自然に話す力がつく学習法、それが「英語のハノン」だ!机上の英文法を、使える英語に高めるための究極パターン・プラクティス643!
  • 英語は格闘技だ ――武蔵が英語に挑戦すれば
    -
    実用会話では相手と場合に応じて重い英語、軽い英語を使い分けなくてはならない。それは武道における技の使い分けや刀の使い分けに通じる。英語をコミュニケーション・ツールとして使いこなすには、英単語だけでなくTPOに応じた戦術・戦略を身につけなければならない。当代きってのビジネス英語の使い手が、『五輪書』の流れに沿って様々な場面での英語の使い方を示す。
  • 英語は多読が一番!
    3.5
    英語を楽しく学ぶには、物語の本をたくさん読むのが一番です。単語の意味を推測する方法から、レベル別本の選び方まで、いますぐ実践できる、最良の英語習得法。
  • 英語バカのすすめ ──私はこうして英語を学んだ
    4.0
    本気で英語力を身につけたいのなら、全身全霊を傾け、「英語バカ」になることだ。自称「英語バカ」の著者の学びの道のりを追い「学ぶ方法」とその意味を考える。
  • 英語類義語活用辞典
    -
    類義語・同意語・反意語の正しい使い分けが、豊富な例文から理解できる定評ある辞典。思わぬ誤解や失礼をしないための使用例が、卓越した日本語と英語の語感をもつ著者により解説される。(1)意味がほとんど同じで、どちらを使っても大した違いのないもの。mistakeとerror、bigとlargeなど。(2)使い方をまちがえるとコミュニケーションに重大な齟齬を来たすもの。doubtとsuspectなど。(3)漠然と類義語だと信じられているがその実、異質な言葉。fortunateとhappyなど。「なるほど」と腑に落ちる効果的な使い方が、わかりやすく習得できる、学生や教師・英語表現の実務家の必携書。
  • 英単語のあぶない常識 ――翻訳名人は訳語をこう決める
    3.5
    英和辞書の訳語は役にたつ。先人の知恵がつまっているからだ。しかし過信は禁物。英語と日本語の意味の重なりとずれを知らなければ誤訳・迷訳が生まれることに。本書は、当代きっての翻訳家が基本英単語の意味を英英辞書で調べ、代表的な英和辞書の訳語を探し、国語辞典で日本語の意味を確定し、インターネット上の英文でその訳語が使えるかを判断し、使えるケースはどのくらいの比率かをはじき出すという方法で、だれもが覚えている訳語の常識を洗い直した画期的な翻訳術入門である。
  • 英米哲学史講義
    3.7
    英米哲学の諸潮流は、「経験」を基盤に据えるという発想に導かれている。それは、ロックやヒュームらの「経験論」を共通の源泉とするためだ──。ベンサム、J.S.ミルに発する「功利主義」。フレーゲとラッセルを先駆に、ウィトゲンシュタイン、クワインをへて現代に連なる「分析哲学」。パースが提唱しアメリカを体現する思想となった「プラグマティズム」。そして、ロールズやノージックらの「正義論」。本書は、こうした英語圏の哲学的系譜を、経験論を基点として一望のもとに描き出す。主要哲学のつながりを明快にとらえる、入門書決定版!
  • 英米哲学入門 ──「である」と「べき」の交差する世界
    -
    私が生まれる前にも世界は本当に存在していたのか? ものごとには原因と結果があるという確信は、実は思い込みにすぎないのではないか? この世界の当たり前のありようを疑い、立ち止まって問うてみること。それこそが哲学の入口であり核心である。ロック、バークリ、ヒューム、ラッセル、ウィトゲンシュタイン……「経験」や「言語」を足場に考え抜いた哲学者たちの議論を糸口に、素朴にして深遠な哲学の根本問題へといざなう。事実(である)と規範(べき)が織りなす世界の謎を読者とともに思考する、笑いあり涙あり(?)の入門講義。
  • 疫病の精神史 ――ユダヤ・キリスト教の穢れと救い
    3.0
    ペスト、赤痢、コレラ、スペイン風邪、新型コロナ――、古代から現代まで、人類は疫病とどのように向き合ってきたのか。律法により衛生管理を徹底し「穢れ」を排除したユダヤ教と、病者に寄り添い「魂の救い」の必要性を説いたキリスト教。二つの価値観が対立しつつ融合し、やがて西欧近代という大きな流れへと発展してゆく。聖書に描かれた病者たち、中世の聖者や王が施す治療、神なき現代社会で「健康」を消費する現代医学。疫病に翻弄される世界の歴史を描き、精神の変遷を追う。

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