BL - 仙道はるか - 講談社X文庫ホワイトハート作品一覧

  • 天翔る鳥のように
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    ここから一歩外に出たら、僕たちは異端だよ。姉さん、俺にこの人をくれよ。――匡之の舌が、自分の指に滲んだ血をなめ取る感触に、音也は目尻を紅く染めながら眉を顰める。「……僕の、血が」呟きながら見上げれば、匡之は確かな欲情のこもった瞳で、音也の顔を見つめていた。(僕らは二人とも、お互いを欲しがっている……)
  • 官能的なソナチネ
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    桐野美幸は、投稿した小説が新人賞を受賞したのをきっかけに、しばらくサラリーマンの仕事を続けながら作品を書く決意をする。その矢先、以前美幸を襲いストーカー行為を繰り返していた男の退院の知らせが入ってきた。同時に兄から、父が入院したという連絡を受けると、美幸は暗い気持ちを隠すことができなかった。そしてピアニストの里見との関係を、心臓の弱い父に打ち明けるべきか悩むのだが――。
  • 記憶の海に僕は眠りたい
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    一見すると、冴えない外見の金光章弘は、私立大学に通うかたわら、銀座の高級ホストクラブでアルバイトをしていた。その店へ一人の青年が面接のために現れた。彼は、金光が高校時代に傷害事件で怪我を負った時に出会い、それ以後、惹かれ続けた刑事だった。だが青年は、金光を覚えていない様子で――。さらに、彼が刑事を辞め探偵事務所に勤めていることを知った金光は、驚きを隠せず……。
  • 銀河鉄道通信
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    教え子の自殺にショックを受け、北海道へやってきた正人。雄大な自然と愛する人に巡り合い、頑なだった心をほどいてゆく……。――泣いてもいいのだろうか、彼の前では弱い自分をさらけだしてもかまわないのだろうか。「俺の前では強がるな」裕也はそう言うと、正人の小さな頭を己の肩口へと引き寄せて、「泣けよ」と囁いた。正人は裕也の言葉通りに瞳を閉じると涙を流した。瞼の裏に幾千億の星を見ながら……。
  • 愚者に捧げる無言歌
    1.0
    「もう、男に襲われるのこりごりだろう?」大きく見開いた美幸の目を真上から覗き込み、里見は不意にニッコリと微笑むと囁いた。ストーカーの一件以来、美貌の天才ピアニスト・里見貴士とともに生活をしていた桐野美幸は、大学時代からの親友に思わぬ告白を受け、激しく動揺する。「美幸があなたを愛しているわけがない!」そんなある日、里見の屋敷には、二人の関係を知った美幸の兄が訪れていた。
  • 月下の楽園
    4.0
    『山の神』『犬神』。そう呼ばれる一族がいた。人として生まれながら、自在に獣の姿へと転化する異形の者。代々暗殺を生業とする闇の種族。山神北斗もその一人であった。命令のままに人を殺める生き方に疑問を感じながら『仕事』を続ける北斗だったが、囚われの少年・薫との出会いは彼の心に微妙な変化をもたらす。しかし、過酷な運命が2人に迫っていて……。
  • 幻惑のリリス
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    フリーカメラマンの国塚に頼まれ、撮影の仕事を手伝っていた金光は、偶然、同じホストクラブで働くトオルと顔を合わせる。昔の知人に似たトオルを見て驚く国塚。「人違いなんかじゃない。彼は、俺の目の前で死んだはずだ」 一月前の事件をきっかけに、トオルの正体を知った金光には、その場をやり過ごした彼の言葉を素直に受け入れることはできなかった。その矢先、新たな事件が起こり始めて……。
  • 恋に至るまでの第一歩
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    名門男子校の修林学園に勤める崎谷瞬は、新入生の中にかつて家庭教師として教えていた少年の姿を認め、激しく動揺する。母を亡くし、広い屋敷で孤独に過ごす少年が初めて瞬に出会ったのは、中学2年生に上がる年の春休みのことだった。美しい黒曜石の瞳を持つ瞬の笑顔は、やがて少年の中で特別な存在になる。だが、人懐こくて無邪気な年上の瞬に、彼がとった行動はあまりに性急で――。
  • 高雅にして感傷的なワルツ
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    システム・エンジニアの桐野美幸は、連日連夜、ストーカーの不気味な気配に追われていた。だが、気晴らしのため、友人に連れられて行ったコンサート会場で、ピアニストの里見貴士に出会い、美幸の中で何かが変わり始める。かけ離れた世界で活躍する里見に憧れ、徐々に惹かれていく美幸は、突然の里見からの告白になぜか素直に応えることができなかった。絶望感を抱いて帰路についた美幸を部屋で待ち受けていたものは──!!
  • 琥珀色の迷宮
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    考古学研究部に所属する市東空は、学園祭の出し物で、劇のヒロイン役に選ばれてしまう。相手役は、“学園のプリンス”天王寺甲斐。友達以上恋人未満な甲斐との関係を悩む空のもとに、ある日、劇の上演中止を求める一通の脅迫文が送られてきた。だが、手紙を見せられた甲斐は、なぜか口を閉ざしたままで――。そして、花屋を営む空の兄・陸の前からは、最愛の人物が姿を消してしまった!
  • 贖罪の系譜
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    俳優養成所を卒業したばかりの深津朔也のもとに、映画出演の話が舞い込んだ。かねてからファンであった、若手映画監督の作品に出られると知り、驚きを隠せない朔也だが、監督から思わぬ条件を突きつけられてしまう。それは、舞台俳優・大槻冬司を、同じ映画へ出演するよう口説き落とすというものだった。大槻との出会いを重ねるうちに、なぜか朔也には幼い頃の記憶が蘇ってきて……。
  • シークレット・ダンジョン(1)
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    「先生、そういう顔をね、初対面の、ましてや俺みたいな男の前でしちゃ駄目ですよ」草介は、まるで怒ったような厳しい表情で真生のことを見つめて言った。「葛城さ……!」彼の名を呼ぼうとした真生は、それを思いもよらない方法で強引に遮られてしまい――。葛城草介はゲーム・クリエーターとしての新たな仕事の取材のため、小学生の甥っ子に、担任教師の椎名真生を紹介されるのだが……。
  • 天蠍宮の誘惑
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    金光が、ホストクラブでアルバイトをする傍ら、恋人である由貴の勤める柊探偵事務所で働き始めて半年。彼らのもとに、大きな事件の依頼が舞い込んできた。やがて二人は、時代錯誤の『怪盗』を追うことになったのだが……。「あんた、ずっと俺のこと騙してたのか?」 金光の前に、思わぬ人物の裏切りと過去が明らかになる。
  • 刹那に月が惑う夜
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    久我山由貴は、数年前まで将来を嘱望された本庁勤務の刑事だった。しかし、ある事件で記憶を失い、刑事を辞め、現在、友人の探偵事務所を手伝っていた。やがて記憶を取り戻した由貴は、それまでも運命的な出会いを繰り返してきた、大学生の金光と恋愛関係になっていった。その金光が最近、隠し事をしているのが由貴には気になって仕方がない……。そんな折、事務所に思わぬ依頼人が現れ……。
  • 怠惰な情熱
    -
    芸能界期待の若手俳優、鮎川和弥と兵頭瑛。恵まれた家庭に育ち、天真爛漫で屈託のない瑛とは反対に、周囲に明らかにできない過去の秘密を持つ和弥。そんな瑛に惹かれ、片思いを続けていた和弥のもとへ、過去にかかわりのある男が突然現れる。カメラマンとしてしばらく海外で活動していた男が帰国した理由は、和弥を自分のものにするためだった。男との関係を瑛に知られたくない和弥だが……。
  • ネメシスの微笑
    -
    星宮学園に突然現れた名門女子校のお嬢様。彼女が甲斐の婚約者だと知ってから、空は甲斐の気持ちを素直に信じることができなくなっていた。「空は、僕の反応が面白くて、からかっているだけなのか?」腹を立てたように表情を険しくした甲斐に楽々とベッドに押し倒されてしまい、空は悔しさに大きな目から涙を零した。「嫌だよ、甲斐。こんな無理やりなんて……」
  • 背徳のオイディプス
    -
    このあとの丹野の台詞は、聞いてはいけないような気がした。聞いたら最後、もう二度と幸せにはなれないような予感がする。静流は無意識に耳をふさごうとしたが、無情にも間に合わなかった。「静流くんの父親は、国塚じゃないか」その瞬間静流の周りからすべてが消えた。……愛していたのだ。血のつながりがあると知った今でも、まだ国塚を愛している。なんて、なんて罪深い……!
  • ヴァルハラ
    -
    ああ、なんて綺麗な瞳なんだろう。春樹は目をそらさずに顔を近づけてくる。……長い口づけのあいだ、俺はずっと目を開いて春樹を見ていた。抱きしめたいと思ったが、怖かった……。――北欧神話で、死者たちの楽園を意味する「ヴァルハラ」。不思議な偶然によって俺は春樹と再会し、そこから俺たちの物語ははじまった。耽美界の新星が贈る鮮烈なるデビュー作!!
  • 柊探偵事務所物語(1)
    4.0
    4年前まで警視庁に勤務する刑事だった柊慶二郎は、従業員2名の小さな探偵事務所で所長を務めている。道楽家業の事務所には、普段あまり仕事が来ることはなかったのだが、珍しく慶二郎自身を指名する依頼が入ってきた。内容は、ストーカー行為を受けている人気男性モデルの身辺警護。自らそれをこなすことになった慶二郎は、彼の高飛車な態度に我慢ができず……。
  • 晴れた日には天使も空を飛ぶ
    -
    アイドルグループ「B-ing」解散の日から2年。メンバーだった桜井若葉、高沢勇気、如月隆行、夏切葵の4人は、俳優、モデルなど、それぞれの分野で大活躍していた。だが若葉は解散以来、それまで仲のよかった勇気をかたくななまでに避けるようになった。理由はわからない。その二人が映画の製作発表で強引に再会させられて……。待望の芸能界シリーズ、さっそうと開始!
  • 君は無慈悲な月の女王様
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    アイドルグループのメンバーだった夏切葵と如月隆行は、解散後、それぞれ俳優、モデルとして華々しく活躍している。表面的には昔と変わらない二人だが、内には“償い”というしこりを抱えていた。そんなとき隆行に、イタリアでの専属モデルの話が持ち上がる。元メンバーの桜井若葉と高沢勇気は、映画の共演をきっかけに恋人同士になったが、葵と隆行の未来は……。
  • いつか喜びの城へ
    -
    舞台で活躍する間宮武士は、初めてのTVドラマで、人気俳優・丹野兵吾と共演することになった。長いあいだ憧れていた丹野への気持ちを、隠さずに打ち明ける間宮。そんな彼のまっすぐな想いを受け入れながら、年下の間宮に親友の面影を抱く丹野は「好き」の一言が言えないまま、別れを決意する。俳優として活躍する二人と、『B-ing』のその後を描いた、芸能界シリーズ第3弾!!
  • 月光の夜想曲
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    かつてアイドルグループ「B-ing」のメンバーだった桜井若葉と高沢勇気は、映画「月光の夜想曲」で再び共演することが決定した。クランクインを前に、役づくりのためピアノの個人レッスンを受けるはめになる若葉。しかし勇気は、自殺未遂の経験があるというピアノの教師・里見を快く思ってはいなかった。そんなとき、若葉と勇気の暮らすマンションで、不可解なことが起こり始めて――。
  • 星ノ記憶
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    静流は、カメラマンの国塚とともに、映画「月光の夜想曲」のイメージ写真集を撮影するため、北海道を訪れていた。写真集のモデルは、映画の主役を演じた桜井若葉と高沢勇気。だが、順調に進んでいたはずの撮影期間中、静流やスタッフの目の前で、若葉が突然倒れてしまった! 勇気と若葉、二人の出会いから9年。若葉の過去との対面が、目前に迫っていた――。
  • ファインダーごしのパラドクス
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    フリーカメラマンの国塚香は、かつて一度だけ写真集のモデルをつとめた、真田静流と共に暮らしていた。親子ほど年の離れた静流のことを、愛しく思いながら、けして束縛しようとしない国塚。――俺のほうがあんたを強く思ってるのに。自分の気持ちを素直に口に出せない性格の静流は、そのことで葛藤する毎日を送っていた。そんなある日、撮影のために訪れた夜の公園で、国塚が事件に遭遇してしまい……。
  • 僕らはオーパーツの夢を見る
    -
    高校に入学した市東空は、6年前に両親を亡くしてから兄の陸と2人暮らしをしていた。憧れの考古学研究部に入った空は、思わぬところで“学園のプリンス”天王寺甲斐に出会い、すっかり気に入られてしまう。一方、地上げ屋の嫌がらせに悩む陸は、大企業の息子である上条義隆のもとへ助けを求めに出向くのだが……!? 空と陸、整理のつかないそれぞれの想いが、やがて“場違いな恋”に生まれ変わる。
  • 真夜中にダンスを踊ろう
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    銀座の高級クラブで人気ホストとして働くトオルとカナメ。トオルとの運命的な出会い以来、カナメは自分がいつ見限られてもおかしくない不安定な存在だと気づきながらも、10年近く特別な関係を続けてきた。――トオルにとって、俺は彼を取り巻く大勢の中の一人でしかない。報われない想いに決着をつけたいカナメ。“裏の仕事”を前に二人のあいだに溝が生まれ……。
  • メフィストフェレスはかくありき
    4.0
    おまえのすべてを……知りたいんだ。――両親亡き後、高校生の弟と二人きりで過ごしてきた市東陸は、恋人の上条義隆との将来に不安を抱いていた。大企業の御曹司であり、親が決めた婚約者がいる義隆と、今の関係を続ける自信が持てない陸。そんな彼らの前に、かつて義隆とつき合っていたことがあるという美青年が現れた。「俺はあなたからリュウを絶対に取り戻します」陸は、義隆と青年の決定的な場面を見せつけられて……。
  • ヤヌスの末裔 ヤヌスの末裔(1)
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    レンタルビデオ店で偶然出会った男は、謎かけのような言葉を口にした。なぜかその男と関係を持ってしまう佑。高校に入って間もない加賀佑は、初めて見た生徒会長の克哉をその男と勘違いするのだが、彼が男の双子の弟であることを知らされる。男とつきあいながらも、佑の心はしだいに克哉に傾いていく。ところが彼らには、佑の知らない秘密が隠されていて――。
  • 夢の欠片が降る楽園
    4.0
    札幌の高校で教師を務める明智総一郎は、大雪の中、一人の男子生徒を拾ってしまった。総一郎を慕う彼は、家庭内で暴力を受け、一時的に家から飛び出してきたのだ。しかし、その傷あとに触れた瞬間、怯えたような色が彼の瞳の中に過ったのを、総一郎は訝しく思っていた。「先生になら、何をされたって平気だよ」過去の忌まわしい事件に縛られながら、彼は総一郎への思いを抑えることができず――。
  • ルナティック・コンチェルト
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    美貌の天才ピアニスト・里見貴士と一緒に出かけたコンサートホールで、以前つき合っていた女性と遭遇した美幸は、彼女の相手がかつて里見に心酔していた人物だと知り、不安を抱く。(俺じゃ、貴士のことを繋ぎ止められないのか)濡れた瞳で見つめる美幸の唇を、里見は苦く笑いながら、指先でなぞった。「俺はときどき物凄く凶暴な気持ちになって、美幸をめちゃめちゃに引き裂いてやりたくなるよ」
  • ワルプルギスの夜に啼く
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    「本当に血が繋がってたとしても、俺は国塚さんをあきらめることなんてできなかった。あの人以外はいらない。だから、お願いだから国塚さんのこと、俺から取らないでよ!」 聞いている方の胸が痛くなるような切ない懇願に、丹野は咄嗟に答える言葉もなかった。自分は、嫉妬しているのかもしれない……。俳優として活躍する丹野にとって、まだ子どものような静流を騙すことなど、簡単だった。――嘘は得意だ。

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