小説・文芸 - 東京創元社作品一覧
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3.7同じ中学に通う親友・直海の祖母の住む、浅草の家を訪問した倉西美波。落語の名人の妻だった彼女は、今でも弟子の面倒をみている。二人が訪ねたときも、ちょうど稽古の最中だった。突然の来訪も歓迎してくれた彼女は、お茶うけを出そうと台所へ向かうが、そこには近所の男の子が忍び込んでいた! 家主に見つかった少年はあわてて逃げようとするが、かなわないと見て、思いもよらぬ行動を……(表題作)。周りで起きる奇妙な事件の真相を、「水島のじいちゃん」は華麗に解き明かしていく。修矢編二作、美波・直海編二作に、書き下ろしのかのこ編一作を含む、ライトな本格ミステリ短編集。好評《美波の事件簿》シリーズ、前日譚。
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-異星種族〈やつら〉との戦争に隠された真相を、全人類に向けて暴くことに成功した帰還兵ジェイコブたち。さらにシリウス系の〈やつら〉の根拠地に潜入した彼らは、激戦のすえなんとかファーストコンタクトに成功し、星間戦争を終結させた。だが平和が訪れると思われたのもつかのまだった。秘密結社(カバル)のメンバーは、〈やつら〉の先進バイオナノテクノロジーを吸収し、また最新鋭のフリゲート艦隊を奪取してコロニー星系に逃亡したのだ。人類間に新たな大戦が始まろうとしていた……。『帰還兵の戦場』の新鋭が放つ、傑作ミリタリーSF新シリーズ!/解説=岡部いさく
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4.1巨大な九重塔・法勝寺は、仏教発祥の星・閻浮提を代表する星寺にして最新鋭航行機能を備えた飛塔である。三十九光年離れた星の大仏の御開帳に向かうため、七名の宇宙僧を乗せ、四十九日の旅に出るが……飛行中の法勝寺を怪異現象が襲う。日経「星新一賞」と「創元SF短編賞」を連続受賞した新鋭が放つ、驚天動地の仏教スペースオペラ! 加藤直之によるカラー挿絵2点を収録。*本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 プロジェクト:シャーロック』(創元SF文庫版 2018年6月29日初版発行)に掲載の「天駆せよ法勝寺」のみを電子書籍化したものです。『年刊日本SF傑作選 プロジェクト:シャーロック』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.0刑事時代、逃走する犯人の車輛の前に立ちはだかったことから、集団自殺するというネズミにちなんで“レミング”と呼ばれているヴァリシュ。ある日、カフェで見知らぬ男に絡まれる。店を出て路地に逃げ込むと、そこには白い手袋をつけピストルを握った男がいた。白手袋の男は、カフェから“レミング”を追ってきた男の頭を撃ち、“レミング”にピストルを渡して立ち去った。このままでは殺人犯にされてしまう! 真相を突き止めるため、“レミング”は被害者が勤めていた療養所に患者として潜入するが……。ブルグドルファー・ミステリ大賞受賞作。
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3.5住人たちが逃げ出し、二度と戻ってこなかったため廃墟になった村、パライソ・アルト。そこを訪れるのは、人生を諦め、命を絶とうと決めた人に限られる。逆立ちで現れた、うなじにコウモリのタトゥーがある少女。車に積んだ札束を燃やしたいと言う大物銀行家のような男。口を利かず、横笛の音色で受け答えする男。廃墟に住む「天使」は、彼らになぜパライソ・アルトにやってきたのか尋ね、生い立ちに耳を傾け、「向こう」への旅立ちを見送る。生と死、日常と非日常の狭間にたゆたう不思議な場所と、幻のような来訪者たち。詩人としても高く評価されているスペインの作家が贈る、美しく奇妙で、どこかあたたかな物語。
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3.1身体も顔も河馬に似ている弁護士に案内され、一登はまだ見ぬ父親に会うため秋庭邸を訪れた。そこで一登は言語能力を持たない弟に出会う。彼は言葉を話せない代わりに、聞くものの心を癒す特殊な能力を持つ〈天使の歌声〉を発することができた。訓練では決して到達し得ない、澄みきった神秘の歌声。その弟をめぐってある悲劇が起きる。そして六年後、一通の手紙によって、一登はふたたび秋庭邸を訪れた──。静かな探偵・嶺原克哉が、調査依頼を通して出合った六つの難事件。不思議な親子関係と複雑に入り組んだ謎、多重どんでん返しが魅力の、著者初のシリーズ連作集。
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3.8ルイジアナ州デイボーン。姿を消したマロリーをさがし、彼女の故郷を訪れたチャールズは、子供を抱いた天使の石像を見て驚いた。これは確かにマロリーの顔だ。17年前に惨殺された女医を悼んで刻まれた天使。腕の中の子供は、行方不明になった彼女の娘だという。一方、デイボーンでは、自閉症の青年が両手を負傷させられ、町の一角を占拠する宗教団体の教祖が殺された。そして、容疑者としてよそ者が勾留されているという。その名は、マロリー。誰にも一言も告げず、ひそかに帰郷した彼女の目的は? いま、石に鎖された天使が翼を広げる――過去の殺人を断罪するために! 鮮烈無比なヒロインの活躍を描くシリーズ第4弾!/解説=三橋暁
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3.6わたしが結婚し、そしてこの手で殺した男は、背が高くて東大出だった――高学歴かつ高収入、長身の彼とゴールインし、少女時代からの夢を叶えたわたし。ところが結婚生活はあまりに散文的で、理想と現実の逕庭は蔽うべくもない。台風の迫る山荘の一夜を経て、衝撃的な手記を綴ることになろうとは……表題作「背が高くて東大出」のほか、実体験に材を得、長編化もされた「日曜日は殺しの日」や、殺人の目撃者捜しが二転三転、意想外の結末にもつれこむ「死神はコーナーに待つ」など、短編集成五巻目となる本書には、七一年~七六年発表の十編を収める。/【収録作】背が高くて東大出/父子像/背面の悪魔/女子高生事件/死の色は紅/日曜日は殺しの日/三枚の千円札/死神はコーナーに待つ/札吹雪/誰が為に鐘は鳴る
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4.2田舎暮らしを願っていたヴァランダーに、同僚のマーティンソンが物件を紹介した。購入を考えたヴァランダーだったが、なんと家の裏庭で地面から人間の手の骨が突き出しているのを見つけてしまう。地面の下には骸骨と衣服の残りが埋まっていた。ヴァランダーは過去に遡って家の持ち主を調べ始める……。著者が書店キャンペーン用に書き下ろした、『霜の降りる前に』と『苦悩する男』の間に位置する中編「手」と、マンケル本人によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を網羅した「ヴァランダーの世界」を併録。シリーズファンなら絶対見逃せない一冊。/【目次】手/著者あとがき/ヴァランダーの世界/1 始まりと終わり、そしてその間になにがあったか?/2 クルト・ヴァランダーの物語/3 ヴァランダー、そして彼の家族と周辺の人々/4 人物索引/5 ヴァランダーの地理的世界/6 地名索引/7 ヴァランダーの好きなもの/8 文化索引/訳者あとがき
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3.5ロンドンに住む、貧しい孤児の少年ディッキー。ある日意地悪なおばさんの家を飛び出して、ふとしたきっかけで知り合った物乞いの男と一緒に旅に出る。だが賢く健気な少年ディッキーには、本人も知らない秘密があった。亡き父にもらったおもちゃのガラガラとムーンフラワーの種を並べると、十七世紀にタイムトラベルできるのだ。そこでは彼はアーデン家の御曹司で……。〈ハリー・ポッター〉のローリングがこよなく愛した英国児童文学の大家が贈る、愛と感動の時間旅行ファンタジー。解説=永島憲江
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4.0埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
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-絨毯乗りターリク、太守の娘サバテアは、バグダッドの宮廷魔導師、ビザンチンの狩人らとともに、第三の願いが見つかるという、伝説の都スカラバプールをめざす。一方ターリクの弟ジュニスは、兄との再会も束の間、マリヤムの最後の頼みを果たし、嵐の王の許からさらわれた童子を取り戻さんと、魔人の巣窟に向かう。そして魔人も、第三の願いの力を得ようとしていた。困難な道のりの末、スカラバプールに辿りついたターリクらを待つものは。謎の童子ジブリルの正体は。魔人に支配された世界の秘密が明らかに。ドイツ・ファンタジー3部作完結。
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-死の間際、男は仮想空間に招かれ、残りわずかな時間を“最も価値のある時間”として使うためのサポートサービスが開始された。アシスタントについたのは“絶世の美女”、しかしどんな風に美しいかがまったく分からない――第5回創元SF短編賞を「風牙」で受賞した著者が贈る時間SF短編。※本電子書籍は、『時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー』(創元SF文庫 2019年10月31日初版発行)に収録の「Too Short Notice」のみを電子書籍化したものです。『時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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3.0『ビール、枝豆、ミステリ』は夏の新しい習慣! 今年もまた「ベストセレクションフェア」の季節になりました。今回のラインナップは読み継がれている東京創元社の定番中の定番をはじめ、これから新たな定番になる新作・話題作など目白押しです。本電子書籍は、フェアのガイドブックとしてお役立ていただけるよう、ベストセレクションフェア・ラインナップ作品の立読み版(電子書籍を配信している作品に限る)を収録しております。どうぞお楽しみください。/立読み版収録作品=『体育館の殺人』青崎有吾、『アヒルと鴨のコインロッカー』『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎、『聴き屋の芸術学部祭』市井豊、『夜の写本師』乾石智子、『配達あかずきん』大崎梢、『二度のお別れ』黒川博行、『青空の卵』坂木司、『模倣の殺意』中町信、『まもなく電車が出現します』似鳥鶏、『慟哭』貫井徳郎、『ハルさん』藤野恵美、『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン/野口百合子 訳、『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン/池央耿 訳、『シャドウ』道尾秀介、『盤上の夜』宮内悠介
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5.0富める者から奪い、貧しい者に分け与える義賊、黒のジョー。伝説の宝石〈エステラの瞳〉を盗もうとして、彼はギルデアの灰色の騎士に捕らえられてしまう。密偵容疑で激しい拷問を受け、地下牢に幽閉された彼を救ったのは、同じ牢に囚われている謎めいた老人だった……。ギルデアと連合国の戦いは激化し、最果ての国に逃げたリーヴたちにも戦の足音が迫るなか、世界中で次々と未曾有の嵐が起こる。ギルデアに対抗すべくアトーリスが開発した兵器〈氷河〉の影響だった。王子ランドリアは母国の暴走を止めようと奔走するが……。好評シリーズ第3弾。/解説=辺見葉子
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5.0十四年前に発生した連続放火事件。その中で能勢幸春と竹島千鶴はそれぞれの母を失った。後に再会した二人は交際を始め、千鶴が妊娠、幸春は結婚の承諾を得るため千鶴の父・久信に会いに行くが、久信は交通事故で記憶障害──前向性健忘に陥り、事故以来六年もの間毎日同じ日を繰り返していた。対面の数日後、幸春の知人で放火事件の関係者でもあった木村泰典が、公園で頭から血を流して倒れているのを発見される。当初は強盗事件と思われたものの、悲劇はこれだけでは終わらなかった……。次第に疑心暗鬼に駆られてゆく幸春と千鶴の未来の行方は? 鬼才が放つ驚愕と感動のミステリ。
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-目指せチャンネル登録1000人! 動画配信サービスをはじめたさくらのレギュラーゲストは、同居人のマッドサイエンティスト。ライブ中継感満載で語られる、当方もないアイデアSF。第6回創元SF短編賞を「神々の歩法」で受賞した著者が贈る宇宙SF短編。※本電子書籍は、『宙を数える 書き下ろし時間SFアンソロジー』(創元SF文庫 2019年10月31日初版発行)に収録の「ときときチャンネル#1【宇宙飲んでみた】」のみを電子書籍化したものです。『宙を数える 書き下ろし時間SFアンソロジー』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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-22日後に全人類の意識が停止することが、世界最新の生体コンピューターによって予知され、ひとつの研究所に対策が託された。彼らは「全人類を加速させる」ことで人類の延命をはかろうとするが……。まったく新しい終末の姿。第9回創元SF短編賞を「天駆せよ法勝寺」で受賞した著者が贈る時間SF短編。※本電子書籍は、『時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー』(創元SF文庫 2019年10月31日初版発行)に収録の「時は矢のように」のみを電子書籍化したものです。『時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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-【東京創元社文庫創刊60周年記念刊行】創元SF短編賞正賞・優秀賞受賞者、佳作入選者が競演。〈時間編〉には松崎有理(第1回正賞)、空木春宵(第2回佳作)、高島雄哉(第5回正賞)、門田充宏(第5回正賞)、石川宗生(第7回正賞)、久永実木彦(第8回正賞)、八島游舷(第9回正賞)の7名の傑作を収録。正統派のタイムリープものから、古典落語をモチーフにした幽霊譚、全人類がみなバーチャル世界で生きる未来での引っ越し騒動まで。2020年代のSF界を牽引する“東京創元社生まれ”の気鋭作家たちが贈る、書き下ろしテーマ・アンソロジー。【収録作】はじめに 東京創元社編集部/「未来への脱獄」松崎有理/「終景累ヶ辻」空木春宵/「時は矢のように」八島游舷/「ABC巡礼」石川宗生/「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」久永実木彦/「ゴーストキャンディカテゴリー」高島雄哉/「Too Short Notice」門田充宏/ちいさなあとがき
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-愛妻を亡くし、ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのわたしに届いた、不思議な猫についてのメール。なぜか人の言葉をしゃべるその猫は、死ぬたびに生き返る数奇な半生を送ってきたらしい。おまけに猫の飼い主は行方不明になっていて――。本を愛し、へらず口をたたき、永遠の命を生きる猫。その周囲で起こる不可解な事件。メールに綴られた出来事は現実か、創作か。わたしは好奇心をくすぐられて調査に乗り出すが、その先には意外な展開が待ち受けていた。元・図書館司書と謎に包まれた猫が織りなす、ブラックで奇妙で、なのに心躍る物語。/解説=金原瑞人
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3.5文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。/解説=乾石智子
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-帝国オロンドリアを二分した大乱は、書物と言葉を巡る戦いでもあった。そのただ中を生きた四人の女性たち――貴族出身ながら戦いにその身を投じた剣の乙女、彼女を愛した遊牧民の歌い手、帝国を支配する思想を創り上げた男を父に持つ女司祭、そして反乱の指導者である王子の秘密を知る王家の娘。彼女たちは正史から葬られようとしているそれぞれの物語を、自らの言葉で語り始める。響きあう四つの物語からやがて立ち上がるのは――デビュー長編にして世界幻想文学大賞など四冠『図書館島』の著者が贈る、書物と言葉を巡る傑作本格ファンタジイ。/解説=河野聡子
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3.5中世史学者のジャック・トレガーデンは、オクスフォード大学時代の友人サイモンから、久々に連絡を受けた。サイモンが住むアシュコーム・アビーの図書室の蔵書目録の改訂を任せたいというのだ。稀覯本に目がないジャックはふたつ返事で引き受ける。だが、アシュコームに到着したジャックを迎えたのは、人が変わったようにやつれ、衰えた友人の姿だった。そこで彼に見せられた、彼の亡き妻の手記には騎士の幽霊を見た体験が書かれていた。表題作「図書室の怪」を始め4編を収録。ポオの研究家でもある著者が描く、クラシックな香り高い英国怪奇幻想譚。/【収録作】「図書室の怪」/「六月二十四日」/「グリーンマン」/「ゴルゴタの丘」
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3.7高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉にちょっとした変化が起きた。長年暮らしていたトッツィが、近くにできた老人ホーム〈黄金の日々〉に引っ越したのだ。そして三週間がたち、〈カムデン〉に勇名を轟かすアンジェラとキャレドニアのもとを、そのトッツィが相談に訪れる。どうやら〈黄金の日々〉に幽霊が出るらしく、正体を見極めてほしいと言うのだ。かつて同じ屋根の下にいたよしみで……というよりは退屈しのぎが目的で、名物コンビふたりは体験入居を装い“潜入捜査”を開始するが、思わぬ大事件が待っていた!老人探偵団シリーズ第7弾。
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3.3クレメットとニーナは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドにまたがるサーミ人居住地でトナカイ関連の事件を扱うトナカイ警察の警察官。二人が配置されたノルウェーのカウトケイノで、サーミ人のトナカイ所有者マッティスが殺された。直前にクレメットたちが、隣人からの苦情を受けて彼のもとを訪れたばかりだった。トナカイ所有者同士のトラブルが原因なのか? サーミ人を排斥しようとする勢力、サーミ人の権利を主張する勢力、様々な思惑が入り乱れるなか彼らは捜査を進めるが……。フランス批評家賞など23の賞を受賞した傑作ミステリ。
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3.8ジャクリーンとジリアンは双子の姉妹。ジャクリーンは女の子がほしかった母親の希望通りのかわいい少女に、ジリアンは男の子がほしかった父親の期待を背負い活発な少女に育った。だが実のところ、どちらも両親から押しつけられた役割にうんざりしていたのだ。そんなある日、双子は空き部屋のトランクの中に階段を発見する。この前見たときには何の変哲もないトランクだったはず。冒険心に突き動かされて階段をおりたふたりが見たのは、赤い月に照らされた荒野が広がる、奇怪な世界だった。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞受賞シリーズ第2弾。
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3.6豪商天鵺家の跡継ぎ、鷹丸の遊び相手として迎え入れられた勇敢な少女茜。だが、屋敷での日々は、奇怪で謎に満ちたものだった。天鵺家に伝わる数々のしきたり、異様に虫を恐れる人々、鳥女と呼ばれる守り神……。茜がようやく慣れてきた矢先、屋敷の背後に広がる黒い森から鷹丸の命を狙って人ならぬものが襲撃してくる。それは、かつて富と引き換えに魔物に捧げられた天鵺家の女、揚羽姫の怨霊だった。一族の跡継ぎにのしかかる負の鎖を断ち切るため、茜と鷹丸は黒い森へ向かう。〈妖怪の子預かります〉シリーズで人気の著者が放つ時代ファンタジー。/解説=井辻朱美(単行本版タイトル『鵺の家』を改題した文庫版を底本といたしました)
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3.9シェナンドアの一族に生まれ、生物学者を目指す青年デイヴィッドは、あと数年のうちに地球上のあらゆる生命が生殖能力を失うことを知る。一族は資産と人員を集結し、クローン技術によって次世代を作り出すための病院と研究所をシェナンドアに建設した。動植物のみならず、人間のクローニングにも成功したデイヴィッドは、クローンたちが従来の人類とは異なる性質を帯びていくことに危惧を覚えるが……。滅びゆく人類と無個性の王国を築くクローンたち、それぞれの変遷を三部構成で描く、ヒューゴー/ローカス/ジュピター賞受賞作、待望の復刊。/解説=渡邊利道
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4.0アメリカ実業界の巨人マンダースンが、イギリスにある別邸で頭を撃たれ殺害された。突然の死を受け、ウォール街はじめ世界の投機市場は大混乱に陥る。画家にして名探偵のトレントは懇意の新聞社主に依頼され、この事件を解決して記事にするべく、特派員として現地に赴いた。そこで彼は最重要容疑者である、被害者の美しき妻メイベルと出会うのだった。盟友チェスタトンに捧げられた本書は、独創的な大トリックを有し、恋愛の要素をミステリに持ちこみ成功している。推理小説を旧来の型より大きく前進させ、黄金時代の黎明を告げた記念碑的名作。/解説=杉江松恋
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-アルスターの地クアルンゲにいる無双の雄牛を求めて、絶世の美女メーヴはアイルランド全土から五万を超える連合軍を召集、略奪を目論む。アルスターの男たちが呪いに臥すなか、ただひとり大軍勢に挑むのは若き英雄クー・フリン。アルスター神話群のなかでも名高き英雄譚を日本語による完訳で贈る決定版/解説=井辻朱美
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4.1手話通訳士・荒井尚人は、結婚後も主夫業のかたわら通訳の仕事を続けていた。そんなある日、ろうの妊婦から産婦人科での通訳を依頼される。荒井の通訳は依頼者夫婦の信頼を得られたようだったが、翌日に緊急のSOSが入り――(「慟哭は聴こえない」)。旧知のNPO法人から、荒井に民事裁判の法廷通訳をしてほしいという依頼が舞い込んだ。原告はろう者の女性で、勤め先を「雇用差別」で訴えているという。かつて似たような立場を経験した荒井の脳裏に、当時の苦い記憶が蘇る。法廷ではあくまで冷静に自分の務めを果たそうとするのだが――(「法廷のさざめき」)。コーダである手話通訳士・荒井尚人が関わる四つの事件を描く、温かいまなざしに満ちた連作ミステリ。『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』に連なるシリーズ最新作。
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3.7AIの独立と内戦に揺れるラドチ圏から遠く離れた、辺境の星系国家。有力政治家の娘イングレイは兄との後継争いにおける大逆転を狙い、政敵の秘密を握る人物を流刑地から脱走させる。ところが、引き渡されたのはまったくの別人だった。進退窮まったイングレイは、彼人になりすましをさせるという賭けに出る。だが折も折、来訪中の隣国有力者の殺人事件が発生。次から次へと想定外の事態が展開し、異星種族をも巻きこむ一触即発の危機に……。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞など全世界計13冠制覇の《叛逆航路》ユニバース、待望の新作登場!/解説=山之口洋
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3.4ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、手掛りがわずかしかなく、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食したベンディックス夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫人は死亡、ベンディックスは一命を取り留めた。しかし、そのチョコレートは知人のペンファーザー卿へ送られたもので、ベンディックスはそれを譲り受けただけだったのだ。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。誰がこの推理合戦に勝利するのか。本格ミステリ史上に燦然と輝く、傑作長編。
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3.3地方都市・月影市で探偵業を営む十村は、亡くなった元恋人の妹から「殺人事件の容疑者となっている男の無実を証明して欲しい」と依頼される。久しぶりの依頼に、十村は旧友の警察署長も巻き込んで、癖のある月影市の住人たちを相手に早速調査に着手する。しかし調査を進めていくうちに、過去に月影市で起きた別の未解決殺人事件との奇妙な共通点が見つかり、さらに別の殺人事件との繋がりも浮かび上がる。ドミノ倒しのように真実を追えば追うほど異様に広がっていく事件。その真相に探偵が迫るとき、恐るべき結末が待ち受ける――。人間の歪みと捩れを浮き彫りにする、衝撃の長編ミステリ。/解説=三島政幸
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3.5ナポレオン戦争直後、パリへの途上で謎めいた美貌の伯爵夫人と出会った英国人青年が奇怪な犯罪と冒険に巻き込まれていく過程が、息もつかせぬサスペンスの連続のうちに語られる中篇「ドラゴン・ヴォランの部屋」。悪魔と取引した男の凄惨な最期を迫真の筆で描く「ロバート・アーダ卿の運命」。森から現れた黒衣の男に見初められた村娘の運命は……民間伝承の妖精譚に取材した「ローラ・シルヴァー・ベル」ほか全5篇を収録。M・R・ジェイムズ、セイヤーズが絶賛する〈謎と恐怖の巨匠〉レ・ファニュの傑作選。
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4.5酔っぱらい男、テリー・レノックスと友人になった私立探偵フィリップ・マーロウ。大富豪の娘との夫婦関係が破綻したテリーは、なんとか彼女と元の鞘に収まったようだったが、ある日、突然現われ、メキシコまで送ってほしいとマーロウに頼んできた。そして彼を送り届けて戻ったマーロウは勾留されてしまう。テリーには妻殺しの嫌疑がかっていたのだった。彼は自殺、マーロウには、ギムレットを飲んですべて忘れてほしい、という手紙が届く……。男の友情を描いたチャンドラー畢生の大作を、これ以上望むべくもない名手渾身の翻訳で贈る新訳決定版。/解説=杉江松恋
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4.3三度笠を被り長い楊枝をくわえた姿で、無宿渡世の旅を続ける木枯し紋次郎。己の腕だけを頼りに、人との関わりを避けて孤独に生きる紋次郎だが、否応なしに旅先で事件に巻き込まれてゆく。兄弟分の身代わりとして島送りになった紋次郎が、ある噂を聞きつけ島抜けして事の真相を追う「赦免花は散った」。瀕死の老商人の依頼で家出した息子を捜す「流れ舟は帰らず」。脱走した女郎たちとの逃避行の意外な顛末を綴る「笛が流れた雁坂峠」。ミステリと時代小説、両ジャンルにおける名手が描く、凄腕の旅人にして名探偵が活躍する珠玉の10編を収録。【収録作】「赦免花は散った」「流れ舟は帰らず」「女人講の闇を裂く」「大江戸の夜を走れ」「笛が流れた雁坂峠」「霧雨に二度哭いた」「鬼が一匹関わった」「旅立ちは三日後に」「桜が隠す嘘二つ」「明日も無宿の次男坊」/編者解説=末國善己
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4.5第三次世界大戦が勃発し、世界各地で4700個以上の核爆弾が炸裂した。戦争は短期間に終結したが、北半球は濃密な放射能に覆われ、汚染された諸国は次々と死滅していった。かろうじて生き残った合衆国の原潜〈スコーピオン〉は汚染帯を避けてメルボルンに退避してくる。オーストラリアはまだ無事だった。だが放射性物質は徐々に南下し、人類最後の日は刻々と近づいていた。そんななか、一縷の希望がもたらされた。合衆国のシアトルから途切れ途切れのモールス信号が届くのだ。生存者がいるのだろうか? 最後の望みを託され、〈スコーピオン〉は出航する……。読者に感動をもって迫る永遠の名作。/解説=鏡明
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3.2【倉知淳ノンシリーズ作品集成第一弾】死神を思わせる風貌の警部が、完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく――倒叙ミステリ「運命の銀輪」をはじめ、残虐な場面が映し出されているにもかかわらず観客席の闇の中で微笑を浮かべる女性の謎を追いかける「闇ニ笑フ」、米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎をファンタスティックな筆致で描く力作本格推理「幻の銃弾」など7編収録。たくらみに満ちたミステリ・ワールドを二分冊で刊行!【収録作】「運命の銀輪」「見られていたもの」「眠り猫、眠れ」「ナイフの三」「猫と死の街」「闇ニ笑フ」「幻の銃弾」/単行本版あとがき
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3.0大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。
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4.0酔った元小児科医がマンホールにはまって死亡。市会議員が山道を運転中にエアバッグが作動し、運転をあやまり死亡。どちらもつまらない案件のはずだった。事故の現場に、ひとりの娘の姿がなければ。片方の案件を担当していた先輩弁護士が、謎の死をとげていなければ。一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。弁護士エヴェリーンはしだいに事件に深入りしていく。一方ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、病院での少女の不審死を調べていた。オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたりの軌跡が出合うとき、事件がその恐るべき真の姿をあらわし始める。ドイツでセンセーションを巻き起こした、衝撃のミステリ登場。
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4.2団地に住む小学生が失踪しては数日で戻ってくる出来事が立て続けに発生している。ついては事件解明に力を借りたい。そんな匿名の情報提供を受けたゴシップ誌『月刊ウラガワ』の新人編集者・猿渡は、フリー記者の佐々木とともに現場となった城野原団地での取材を開始した。状況から家出かいたずらであることは明らかだったが、猿渡らが失踪方法を調査する最中に、別の子供が教師に見張られた授業中の学校から忽然と姿を消してしまう。彼らはどのように失踪しているのか、そしてその目的とは――。子供たちの切実なる闘いを描いた傑作ミステリ。/【目次】プロローグ/第一章 失踪する子供たち/第二章 光の密室/第三章 春は戻らない/第四章 秋分の決戦/第五章 夏を取り戻す/第六章 冬が終わるまで/エピローグ/単行本版あとがき/解説=辻真先
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4.0宇宙空間でのワープに際して生じる、空白の七十四秒間。この時間の存在を認識し、襲撃者の手から宇宙船を守ることができるのは、マ・フと呼ばれる人工知性だけだった――ひそやかな願いを抱いた人工知性の、静寂の宇宙空間での死闘を描き、第8回創元SF短編賞を受賞した表題作と、独特の自然にあふれた惑星Hを舞台に、乳白色をした8体のマ・フと人類の末裔が織りなす、美しくも苛烈な連作長編「マ・フ クロニクル」を収める。/【目次】七十四秒の旋律と孤独/マ・フ クロニクル/一万年の午後/口風琴/恵まれ号 Ⅰ/恵まれ号 Ⅱ/巡礼の終わりに/文庫版解説=石井千湖/*本電子書籍は、『七十四秒の旋律と孤独』(創元SF文庫 2023年12月初版発行)を電子書籍化したものです。
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3.8〈空間めくり(リーフ・スルー)〉と呼ばれる時空転移技術が開発され、宇宙交易が活発になった未来。紅葉は宇宙貨物船グルトップ号に搭載された人型戦闘兵器。〈空間めくり〉の際に生まれる、人間が認識できない七十四秒の“閉じられた時間”、貨物船を襲撃から守っている。しかし、運行開始から一度も襲撃を受けたことのないグルトップ号の乗組員たちは、紅葉のことを“空焚きのポット”と揶揄し、その存在をほとんど無視していた。自らの存在意義に疑問を持つ紅葉だったが、あるときグルトップ号が〈空間めくり〉中に海賊に襲われ……。応募総数417編から大森望・日下三蔵・長谷敏司が全員一致で選出した、リリカルな宇宙SF。第8回創元SF短編賞受賞作。/イラスト=加藤直之
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4.1様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園では、少女にまつわる七つの怪異が言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。行き止まりの階段から、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル……勤めて二年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王の力を借り、謎解きを通して子どもたちが直面する悩みを解決すべく奮闘する。過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして七番目の謎が解かれる時明らかになるもう一つの真実とは。第18回鮎川哲也賞受賞作。/解説=宇田川拓也
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4.1ファンレターとラブレターは、勢いで出すに限るのだ。――短大に通う十九歳の入江駒子は『ななつのこ』という本を衝動買いし、読了後すぐに作者へファンレターを書こうと思い立つ。先ごろ身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、思いがけなく「お手紙、楽しく拝読致しました」との返事が。さらには、件(くだん)の事件に対する、想像という名の“解決編”が添えられていた! 駒子が語る折節の出来事に打てば響くような絵解きを披露する作家佐伯綾乃、二人の文通めいたやりとりは次第に回を重ねて……。伸びやかな筆致で描かれた、第三回鮎川哲也賞受賞作。
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4.0「盗まれたんです。家族を」1846年の真冬。創設まもないニューヨーク市警の警官ティムは、黒人の血が混じった女性ルーシーから助けを求められる。妹と息子が悪辣な逃亡奴隷捕獲人に拉致されたのだ。ティムは兄ヴァレンタインの助けを得て彼女たちを助け出し、兄の家に匿った。だが翌々日の朝、その家で首にローブの紐が巻きついたルーシーの死体を発見してしまう。兄に嫌疑がかかることを恐れたティムは死体を移動し、犯人を追って捜査を開始する。弱者への暴力や黒人奴隷売買が横行する苛酷な時代に、青年警官はただ一人真実を求め奔走する。/解説=酒井貞道
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4.0
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3.6小説でしか表現できない〈奇妙な味〉が横溢した、短いけど忘れがたい、不思議なお話を読んでみませんか?――子供じみた嫉妬から仕掛けられた「いじわるゲーム」の行方、夜更けの酒場で披露される「怖い話」の意外な結末、バスの車内で静かに熾烈に繰り広げられる「勝負」、あなたの日常を見守るけなげな「洗面台」の独白、「鍵のかからない部屋」から出たくてたまらない“私”の物語――日常と非日常のあわいに見える18の情景をさまざまな筆致で描きだす、『青空の卵』や『和菓子のアン』の名手が贈る珠玉のショートストーリー集。巻末に「ホリデーが肉だと先生が困る」を特別併載。/解説=東雅夫
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-最近、わたしの周りで生首が落ちるようになった。落ちた生首はいちど視界に入るとすぐ消えてしまい、ほかのひとには見えない。やがて自分の意思で自在に生首を落とすことができるようになるが、ある日を境にその能力が消えてしまう。喪失感でいっぱいになったわたしは生首を取り戻すため試行錯誤を繰り返す。『母になる、石の礫で』の著者が紡ぐ幻想SF。※本電子書籍は、『Genesis 一万年の午後』(東京創元社 2018年12月21日初版発行)に収録の「生首」のみを電子書籍化したものです。『Genesis 一万年の午後』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。
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4.0寒さで凍えそうな老いた郵便配達夫を見かねて、自宅であたたかいココアをふるまったナンシー。ところが親切があだとなり、玄関先に置いた配達中の手紙がまるごと盗まれてしまった。中にはロンドンからの謎の手紙や、父のカーソンあての書留も入っていた。ナンシーは手紙を取り戻すべく調査を開始する。一方盗まれた中にあった謎の手紙が、ナンシーと同姓同名の別人を捜しているとの内容だったことが判明。ふたつの謎をめぐり、おなじみベスとジョージの親友ふたりにボーイフレンドのネッドも加わって、ますます好調、少女探偵シリーズ第8弾。
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4.2特徴といえば農業大学があることくらいの田舎町バラクラヴァ。この町が活気づく季節――クリスマスが今年もやってきた。ふだんは静かな町全体がクリスマス仕様に彩られ、見物客の大群が押し寄せる季節が。毎年くりかえされる大騒ぎにうんざりしていた大学教授のシャンディは、とてつもなく派手なイルミネーションで自宅を飾りつけて妨害を試みるが、それが事件を招いてしまう。休暇の船旅を早めに切りあげた教授がわが家で目にしたのは、親友の妻の死体だった……! アガサ賞生涯功労賞作家の出世作となった、万人に愛された傑作シリーズ第1弾。/解説=浅羽莢子
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4.0理想の王子さまは、なんと本物のプリンスだった! ガラスの靴とロイヤルウエディングの物語を主食に育った女の子たちがたいていそうであるように、わたしもかつて、プリンセスは生まれながらにプリンセスなのであって、あとからなるものではないと思っていた。そう、あの日までは……。わたし、エイミー・ワイルドはロンドンで庭師をしている。植物を愛することにかけては人に負けない自信とプライドがある。彼氏はいないけど、気の合うルームメイトにも恵まれ、充実した毎日だ。だが、その同居人のパーティーが、すべての始まりだった。スウィートでビターな、これぞ現代版シンデレラストーリー。
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3.0元治元年三月、筑波山で蹶起(けつき)した天狗党の首領格・藤田小四郎は、攘夷の使命に燃える水戸藩士であった。武芸に秀で責任感が強いが、向こう見ずな性格でもある。安政江戸地震で家屋の下敷きになったとされる、父・東湖の死の真相。小四郎自らが巻き込まれた蔵の中での不可能殺人。天狗党を援助する大店での傷害事件。それらを同じ手習所で学んだ昔馴染み、漢方医・山川穂継と共に検めてゆく。さらに最終話では、過酷な真冬の行軍だったとされる天狗党西上の際、戦場に度々現れた殺人鬼〈化人(けにん)〉の謎を大ボリュームで活写する。天狗党の向かう虹の涯(はて)には何が──。『恋牡丹』『雪旅籠』で注目の著者が贈る、最新連作長編。/【目次】天地揺らぐ/蔵の中/分かれ道/幾山河
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3.3ルーシーと親友のドーンは明日16歳の誕生日を迎える。これまで毎年いっしょに誕生日を祝ってきたというのに、今年はそれができなくなった。ドーンが育ての親である3人のおばたちに、明日一日家から出ることを禁じられたのだ。ドーンとは会えないし、運転免許の最終試験だしで、誕生日だというのにルーシーの気分はさえない。でも、本当の災難はそのあとに待っていた。ルーシーは試験会場に向かう途中、騎馬の男たちに拉致されてしまう。巨大な光る門を通ってたどり着いたのは、まるでおとぎ話(フェアリーテイル)の世界で……。〈(株)魔法製作所〉の著者が贈る、スイートでロマンチックなファンタジー。
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3.6「事件を解決するのは警察だ。ぼくは話をつくるだけ」そう宣言しているミステリ作家のシャンクス。しかし実際は、彼はロマンス作家である妻のコーラと一緒にいくつもの謎や事件に遭遇し、推理を披露して見事解決に導いているのだ。取材を受けているときに犯罪の発生を見抜いたり、殺人容疑で捕まった友人のため真相を探ったり、犯人当てイベント中に起きた『マルタの鷹』初版本盗難事件に挑んだり、講演を依頼された大学で殺人事件に巻き込まれたり……。結婚20年余りになる作家夫妻の日常と謎解き。図書館司書の著者が贈る連作ミステリ短編集。/解説=大矢博子
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3.8「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから。もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした童顔の小男こそ名探偵猫丸先輩その人である。いろんなところにひょっこり出没しては、おかしな謎を鮮やかに解き明かして去ってゆく、憎めない名探偵の最初の事件簿。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了し続ける正統派の本格推理作家、倉知淳が本格的なデビューを飾った連作集であり、最後には驚愕も待ち受けています。/解説=小野不由美/新版刊行によせて=倉知淳
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3.5ナンシー、ベス、ジョージの仲良し三人組が、お祭りで出会った母子。父親が行方不明で生活も苦しいらしい。なんとか助けてあげられないものかと相談しつつの帰り道、三人は不審な火事に遭遇する。家人が留守らしい立派な屋敷が、爆発音とともに火の手につつまれたのだ。屋敷の裏手にまわったナンシーは、あわてて逃げだすひとりの男を目撃。謎の本を拾って、がぜん探偵心を刺激される。親友ふたりに、新たに知り合った気になる男の子ネッドも加わって、少女探偵ナンシーの捜査がはじまる。世界中で愛され続けているロングセラーシリーズ第7弾。
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3.0その国に辿り着いたわたしを出迎えてくれたのは、カンノン様のありがたい巨大な微笑だった――。人生を一からやり直すため、長年憧れ続けた日本へ赴いた私立探偵トウキョー・サム。そこは、伝統と現代が奇妙に交錯し、神とホトケ、そしてサムライ・スピリットがいまなお息づく神秘の国であった。異国の風物や習慣に驚嘆し、戸惑いながらも、真のサムライにならんと意気込むトウキョー・サム。そんなサムが遭遇した奇妙なセップク事件、茶室の密室、オイラン見立て連続殺人! 徹底した趣向とアクロバティックな論理の結実が、本格ミステリのさらなる可能性を切り拓いた、山口ミステリの真骨頂。日本推理作家協会賞受賞作。
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3.8その事件は意外なところから持ち込まれた。同じアパートに住む10歳の少年が、夏のキャンプで人間の頭蓋骨をみつけたのだ。ベックストレームを師とあおぐ少年は、頭蓋骨の右のこめかみに小さな穴が開いていて、銃弾らしきものが残っていることを見逃さなかった。頭蓋骨の主は20歳から40歳のアジア系の女性、死後数年が経過しているものと思われた。ところが、警察の調べが進むうちに同じDNAを持った女性が12年前にタイで死亡していたことが判明。果たして人は二度死ぬことができるのか? 規格外の刑事ベックストレーム・シリーズ第4弾。
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3.7《黒川博行警察小説コレクション》 4月1日午前11時34分、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。400万円を奪い、客の一人をピストルで撃ったのち、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻追跡を開始したが、強奪金額を不服として犯人は人質の身代金1億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。名手の記念すべきデビュー作となった、シリーズ第1弾! ※本作品はKADOKAWA/角川書店、東京創元社、文藝春秋で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
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4.1ニューヨークは変わった街だと聞いてはいたが、これほどとは思わなかった。テキサスの田舎から出てきて一年、いまだに毎日驚いてばかりいる。宙に浮いている妖精や耳のとがったエルフ、教会の屋根にいたりいなかったりするガーゴイル……。こんなの想定外だ。でも、ニューヨーカーたちは振り返りもしない。変なのはこの街? それともわたし? ボーイフレンドはできないし、会社の女上司はヒステリーの二重人格。いい加減にうんざりしていたある日、思いもかけない転職の話が舞い込んできた。でもちょっと待って、うまい話には必ず裏がある。現代のニューヨークを舞台にした、魔法版『ブリジット・ジョーンズの日記』。(株)魔法製作所シリーズ第1弾。
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3.9俳優を夢見てNYにやってきたエミリーは、念願かなって舞台で主役を獲得し脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を訪れ、踊りを教えてもらったから。今頃になってあのときの対価を支払えというのか? とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。ソフィーは、エミリーの友人の親切な刑事マイケルの追及をかわしつつ、妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。