小説・文芸 - 集英社新書一覧

  • 何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から
    -
    久米宏氏、推薦! いま地方発のドキュメンタリー番組が熱い。 中でも、沖縄の基地問題、教科書問題、ネット上でのバッシングなどのテーマに正面から取り組み、維新旋風吹き荒れる大阪の地で孤軍奮闘しているテレビドキュメンタリストの存在が注目を集めている。 本書は、毎日放送の制作番組『なぜペンをとるのか』『沖縄 さまよう木霊』『教育と愛国』『バッシング』などの問題作の取材舞台裏を明かし、ヘイトやデマが飛び交う日本社会に警鐘を鳴らしつつ、深刻な危機に陥っている報道の在り方を問う。 企画編集協力はノンフィクションライターの木村元彦。
  • 落合博満論
    3.2
    2011年、圧倒的な実績を残しながらプロ野球界を去った落合博満。噂された球団との確執や過度の拝金主義といったイメージとは裏腹に今もなお、シーズンオフには落合待望論がまことしやかに語られる。孤高の天才打者にして名監督、その魅力の淵源は何処にあるのか? 2019年シーズン中には、球界を代表するスラッガー山川穂高が落合に教えを乞うた。山川の姿によって再び火がついた作家は、さらに、さらにという思いで落合の諸相を訪ね歩く。対談、俳句、エッセイ……至高の野球人を味わい尽くす一冊。
  • 出生前診断の現場から 専門医が考える「命の選択」
    -
    「胎児の異常がわかったら、あなたはどうする?」晩婚化にともない出産の高齢化が進む中、「出生前診断」を希望する妊婦が増えている。流産リスクがある羊水検査とは異なり、採血だけでダウン症等の染色体異常がわかる「新型出生前診断」(NIPT)が二〇一三年に開始されたが、そもそもNIPTとはどういう検査で、妊婦は何を判断し結果に備えればよいのか。そして医療テクノロジーの最前線はどうなっているのか。出生前診断の「現場」に長年関わり最先端研究者でもある著者が、出生前診断を受けるかどうか迷う妊婦に正しい情報を伝え、同時に「命の選択」の本質を考える。大宅壮一ノンフィクション賞『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』著者、河合香織氏推薦! 【目次より】○いわゆる「高齢妊娠」について ○上の子が染色体疾患の病気だったとき ○超音波検査で異常を指摘されたとき ○検査の原理と精度 ○遺伝カウンセリングとはなにか ○リスクの客観的評価 ○産む・産まないという選択と検査を受けないという選択 ○出生前診断の倫理的問題 ○胎児遺伝子診断の現在と未来
  • 代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳
    3.6
    不妊に悩む夫婦にとって「福音」といわれる生殖補助医療、代理出産。しかし、代理母の精神的・肉体的負担、貧困層のプリーダー階級化、親子関係の定義づけの難しさなど、現実はシビアな問題が山積みだ。日本でも法整備を進める動きがあるが、代理出産をめぐる議論はまだまだ不十分。このテーマを長年、追いかけてきた著者が複雑な代理出産の問題の核心に迫る!【目次】プロローグ―「代理出産問題」とは何か/第一章 混乱をきわめた人工授精型の時代/第二章 体外受精型代理出産の幕開け/第三章 代理母が引き受ける大きすぎる代償/第四章 代理出産で生まれた子どもたちの葛藤/第五章 各国の代理出産事情/第六章 生命操作はどこまで許されるのか/エピローグ―マーケル家からの伝言/あとがき/巻末資料―日本学術会議生殖補助医療の在り方検討委員会の提言
  • 男と女の理不尽な愉しみ
    3.7
    「ゲス不倫」叩きから、「熟年離婚」まで……。世の中は、かくも男女の問題に満ち溢れている。甘美で魅力的なはずの関係はなぜ、今や絶望的なまでに我々を追い詰めているのか? 男女の機微を知り尽くした作家とタレントが、出会いから恋愛の作法、不倫の在り方、看取りの瞬間まで、男と女を巡るあらゆる問題を徹底討論。しなやかでありながら、したたかでもある男女の「愉しみ方」を提言する。古典的男女観ともフェミニズムとも異なる視点の2人が、とかく男女に世知辛い日本社会を喝破する!【目次】まえがき/第一章 結婚したい女たち/第二章 男と女の利害関係/第三章 女は「損」なのか?/第四章 人はなぜ不倫を許さないのか/第五章 女はどう育つのか/第六章 死ぬことと、生きること/あとがき
  • 米原万里の「愛の法則」
    3.9
    稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか――〈愛の法則〉では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また〈国際化とグローバリゼーション〉では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。4つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。【目次】本書に寄せて――池田清彦/第一章 愛の法則/第二章 国際化とグローバリゼーションのあいだ/第三章 理解と誤解のあいだ――通訳の限界と可能性/第四章 通訳と翻訳の違い
  • 言い訳【無料試し読み小冊子1】
    無料あり
    3.9
    【「ヤホー!」では調べられません!】「集英社新書プラス」での著者インタビュー(1)に加え、サンドウィッチマン・伊達みきおとの対談、『言い訳』の試し読み(1)を収録した無料電子小冊子第一弾です。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、<絶対漫才感>の持ち主が存分に吠える。M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。令和の漫才バイブル、ここに誕生。

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  • 集英社電子書籍ガイド2014‐2015 集英社新書編
    無料あり
    3.0
    【無料ガイドブック】このガイドは、2014年刊行された集英社新書のベストタイトルを、10編紹介しています。各タイトルの著者のプロフィールと冒頭の一部を収録。集英社新書の魅力ある世界を、少しでも知っていただければ幸いです。収録タイトルは以下10編です。『一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教』内田 樹・中田 考/『行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由』杉山尚子/『心の力』姜尚中/『司馬遼太郎が描かなかった幕末――松陰、龍馬、晋作の実像』一坂太郎/『資本主義の終焉と歴史の危機』水野和夫/『世界と闘う「読書術」 思想を鍛える一〇〇〇冊 』佐高 信・佐藤 優/『自由をつくる 自在に生きる』森 博嗣/『成長から成熟へ――さよなら経済大国』天野祐吉/『はじめての憲法教室――立憲主義の基本から考える』水島朝穂

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  • 集英社電子書籍ガイド2015【姜尚中編】
    無料あり
    2.5
    100万部突破の話題作『悩む力』から7年。テレビやメディアで大活躍の政治学者が、困難な時代に生きる人々に贈るメッセージとは。2015年9月時点で集英社より配信されている姜尚中の電子書籍を一挙ためし読みできる無料小冊子です。【収録作】『悩む力』『続・悩む力』『心の力』『【カラー版】あなたは誰? 私はここにいる』『リーダーは半歩前を歩け――金大中というヒント』『増補版 日朝関係の克服――最後の冷戦地帯と六者協議』『ニッポン・サバイバル――不確かな時代を生き抜く10のヒント』『姜尚中の政治学入門』『デモクラシーの冒険』(テッサ・モーリス-スズキ共著)『ナショナリズムの克服』(森巣博共著)『心』『母―オモニ―』『トーキョー・ストレンジャー』

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  • アフリカ 人類の未来を握る大陸
    4.3
    2050年、アフリカ大陸の人口は25億人に迫り、世界の4人に1人が「アフリカの人」になると言われている。人口激増は食糧問題や経済発展、環境破壊に大きな影響を及ぼす。つまり、人類全体の未来は、アフリカを抜きには語れないということだ。そのアフリカは、経済発展している一方で、砂漠化、飢餓、貧困、紛争など、グローバル資本主義の矛盾も多く抱えている。アフリカはこの先どうなっていくのか? その現状と未来を、現役NHK特派員が現地からレポート!
  • 安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ
    4.5
    コロナ禍の今、日本は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故以来の国家的危機に直面している。この歴史的な国難に対して、当時首相であった安倍晋三と菅直人はどのように対処したのだろうか。危機に際して国民に何を語り、国民をどう守るかは政治家の最優先事項であり、時の政府の姿勢は、国民に対する本音を浮き彫りにする。安倍元首相は常々、民主党政権を「悪夢」と呼んでいたが、はたして安倍政権は菅直人政権をこんなに非難できるほど優れていたのか。そこで、両者の「危機の認識力」「国民への言葉」「権力の使い方」「補償」など個々の対応を徹底比較し、危機における、あるべきリーダーシップを考察。最後に安倍政権を引き継いだ菅(すが)政権のコロナ対応も評価する。10年前の記憶・記録を掘り起こすことで、今の自民党政権の“実態”が明らかになる!
  • 安吾のことば 「正直に生き抜く」ためのヒント
    3.0
    日本が焦土と化した昭和の激動期に、痛烈な批評精神で人々の心をつかんだ作家、坂口安吾。その名言は、かの「人間は生き、人間は堕ちる」だけではない。「戦争をいたしません、というのは全く世界一の憲法さ」「人間は、国家繁栄のためにギセイになってはならぬ」「家の制度があるために、人間は非常にバカになる」「夫婦は愛し合うと共に憎み合うのが当然である」等々、今もリアリティを失わず、むしろ、価値観が揺らぐこの時代だからこそ響く名フレーズの数々を、安吾を敬愛する同郷の芥川賞作家が編む。【目次】はじめに 稀有なる正直者・坂口安吾/I 生きるということ/II 戦争/III 政治/IV 文学・芸術/V 日本人/VI 家庭/VII 恋愛と性/おわりに 何かあったら海へ行け
  • 言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか
    4.2
    2018年、M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、“絶対漫才感”の持ち主が存分に吠える。どうしてウケるのかだけを40年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどりついた現代漫才論とは? 漫才師の聖典とも呼ばれるDVD『紳竜の研究』に続く令和時代の漫才バイブル、ここに誕生!
  • 池波正太郎「自前」の思想
    3.0
    二十三回忌を迎え、なぜ今なお池波正太郎が愛されるのか。そこには池波が描き、そして生きた、たとえ貧しくとも「世間」というセーフティネットが機能し、誰もが「自前」で生きていける社会に対する我々日本人の郷愁と憧憬があるのではないか。「ワーキングプア」「孤立死」「世代間格差」……社会が個人を分断し、突き放している今の日本。辛口評論家と江戸研究家の最強コンビが、『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』など池波のヒット作はもちろん、池波自身の人生をも読み解きながら、これからの日本人に相応しい生き方を共に考える。【目次】はじめに 佐高 信/序章 池波正太郎、愛される理由/池波正太郎年譜(1) 世間に学んだ一〇代/第一章 仕事の流儀/池波正太郎年譜(2) 戦中、戦後、二〇代/第二章 遊びに磨かれて/池波正太郎年譜(3) 脚本作者から小説家へ、直木賞の三〇代/エッセイ(1) 池波ドラマの演者たち 佐高 信/第三章 家族の肖像/池波正太郎年譜(4) 『鬼平』『梅安』『剣客商売』始動の四〇代/第四章 正義は誰のため?/エッセイ(2) 『鬼平犯科帳』を歩く 田中優子/池波正太郎年譜(5) 三大シリーズ充実の五〇代と早すぎる死/第五章 江戸と東京のメンタリティ/終章 答えは池波正太郎にあり/あとがき 田中優子
  • 癒されぬアメリカ 先住民社会を生きる
    5.0
    『ヒルビリー・エレジー』では決して描かれることのない悲哀……。トランプ政権下のアメリカ、もうひとつの今。あらゆる局面を「取り引き」になぞらえる今日のトランプ政権下にあっては、アメリカ先住民社会もまた、かつてない苦境に立たされている。ネイティブ・アメリカンは何を守り、何を奪われてきたのか。貧困、ドラッグ、アルコールに染め抜かれたコミュニティを通して見える悲哀、アメリカ社会の実相に迫る。開拓者精神、古きよきアメリカ、正義の国……。今日の米国が掲げる「理想」によって徹底的に踏みにじられてきたのが、先住民の存在だ。無二の研究者が交流を通じて記録したノンフィクション。
  • 医療再生 日本とアメリカの現場から
    3.5
    医師不足や医療不信が同時多発的に拡大し、社会問題化した「医療崩壊」は、その後どのような道を辿ったのか。本書では、繰り返される医療事故をはじめ、「医療崩壊」後の日本医療が今なお抱える問題を、独自の職業観や医局運営術も交えながら検討し、米国での無給研究員時代より続く著者自身の実践から捉え直す。新医療事故調査制度や新専門医制度などの相次ぐ制度改革や、アメリカ型医療の流入といった目まぐるしい変化について、日米両国の現場で外科医療に携わった体験を交えて考察した一冊。【目次】はじめに/第一章 米国医療の光と影/第二章 日本の医療はなぜ崩壊したのか/第三章 外科医療はトキメキの宝庫/第四章 意識改革で外科医局再生――トキメキと安らぎのある村社会/第五章 日本医療の未来像/参考資料 「読売新聞」連載コラム
  • インド残酷物語 世界一たくましい民
    4.3
    世界有数の大国として驀進するインド。その13億人のなかにひそむ、声なき声。残酷なカースト制度や理不尽な変化にひるまず生きる民の強さに、現地で長年研究を続けた気鋭の社会人類学者が迫る! 日本にとって親しみやすい国になったとはいえ、インドに関する著作物は実はあまり多くない。 また、そのテーマは宗教や食文化、芸術などのエキゾチシズムに偏る傾向にあり、近年ではその経済成長にのみ焦点を当てたものが目立つ。 本書は、カーストがもたらす残酷性から目をそらさず、市井の人々の声をすくいあげ、知られざる営みを綴った貴重な記録である。 徹底したリアリティにこだわりつつ、学術的な解説も付した、インドの真の姿を伝える一冊といえる。 この未曾有のコロナ禍において、過酷な状況におけるレジリエンスの重要性があらためて見直されている。 超格差社会にあるインドの人々の生き様こそが、「新しい強さ」を持って生きぬかなければならない現代への示唆となるはず。
  • 永六輔の伝言 僕が愛した「芸と反骨」
    4.0
    中学生のときにラジオ番組に投稿を始め、放送作家への道を歩み始めた永六輔は、やがて戦後放送文化のトップランナーとして新しい時代の価値を次々と生み出していく。その道程で出会い、学び、繋ぎ、そして見送ってきた多くの先輩や仲間たち。渥美清、三木鶏郎、小沢昭一、野坂昭如、中村八大、いずみたく、三国連太郎、美空ひばり、井上ひさし……皆に共通していたのは、自由と平和への希求、そして反骨の心意気だった。半世紀にわたり永に伴奏してきた盟友・矢崎泰久が本人に成り代わって活写した、永六輔と彼らの熱い交わり。それは、不透明な時代を生きる私たちに知恵と勇気をくれる「昭和からの伝言」である。【目次】まえがき/第一章 青春の出会い/第二章 三木鶏郎の伝説/第三章 規格外れの先輩たち/第四章 中村八大の才能/第五章 昭和の歌い手/第六章 「中年御三家」の反戦/第七章 昭和の知性/あとがき/参考資料
  • 江戸の色ごと仕置帳
    3.7
    名奉行が輩出した江戸時代。彼らによって残された大量の裁判記録の中から、男女間の性的な事件・犯罪に対する仕置をまとめたのが本書である。粋な町民文化の象徴と思われがちな「色ごと」だが、不義密通はもちろん、婚前交際ですら、奉行所で一旦裁きにかかると、死刑や追放といった厳しい刑罰が待っていた。おおらかに性を楽しんでいたように見える江戸庶民。しかし実際は、身分差別や儒教による秩序原理によって縛られ、恋愛においても殆ど自由がない生活を強いられていたことが、この「色ごと仕置帳」から見えてくる。【目次】まえがき/第一章 江戸の罪と罰/第二章 密通いたせし者は/第三章 手込めの儀につき/第四章 春をひさぐ女/第五章 心中は恋の終わりか/第六章 女犯(にょぼん)せし僧は/第七章 殴る亭主/あとがき/主要参考文献/【別表】江戸時代の刑罰と対応する罪
  • EPICソニーとその時代
    4.0
    「80年代」と書いて、「EPICソニー」と読む――。先進的な音楽性により80年代の音楽シーンを席捲したレコード会社「EPICソニー」。レーベルの個性が見えにくい日本の音楽業界の中で、なぜEPICだけがひと際異彩を放つレーベルとして君臨できたのか? そして、なぜその煌めきは失われていったのか? 佐野元春《SOMEDAY》、渡辺美里《My Revolution》、ドリカム《うれしはずかし朝帰り》など名曲の数々を分析する中でレーベルの特異性はもちろん、当時の音楽シーンや「80年代」の時代性が浮かび上がっていく。佐野元春ロングインタビュー収録。
  • 沖縄を撃つ!
    4.0
    作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来上がった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。日本人であることの加害者性を露悪的なまでに引き受けたその眼差しは、南の島を過剰に持ち上げたり、そこに逃避したりする日本人と、純朴な仮面を自ら進んで被ろうとする沖縄人に対しても、等しく冷淡であり、かつ挑発的である。20年以上にわたって沖縄取材を繰り広げてきた小説家による、もっとも苛烈で真摯な沖縄論。【目次】第一章 さあ、飛行機に乗ろう/第二章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(1)/第三章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(2)/第四章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(3)/第五章 ドリフト、ドリドリ、瀬長島(補遺のようなもの)/第六章 飯でも喰うか(1)/第七章 飯でも喰うか(2)/第八章 飯でも喰うか(3)/第九章 飯でも喰うか(4)/第十章 飯でも喰うか(5)蛸飯/第十一章 飯でも喰うか(6)そば/第十二章 悲しき人買い(1)/第十三章 悲しき人買い(2)/第十四章 悲しき人買い(3)/第十五章 悲しき人買い(4)/第十六章 悲しき人買い(5)/第十七章 悲しき人買い(6)/第十八章 悲しき人買い(7)/第十九章 悲しき人買い(8)/第二十章 宮良康正/第二十一章 必ず、行きなさい(1)/第二十二章 必ず、行きなさい(2)/第二十三章 必ず、行きなさい(3)/第二十四章 必ず、行きなさい(4)/第二十五章 ゆっくりしましょう(1)/第二十六章 ゆっくりしましょう(2)/第二十七章 看板の左下には海星(ひとで)が/第二十八章 水死体倶楽部/第二十九章 波之上でアウトドア・ライフ(1)/第三十章 波之上でアウトドア・ライフ(2)/後書き
  • 堕ちた英雄 「独裁者」ムガベの37年
    4.0
    事実上のクーデターによる辞任から、わずか2年で急逝した前ジンバブエ大統領、ムガベ。マンデラになれなかった男の実相に迫る。人種差別闘争の闘士から、腐敗した権力者に、そして最後は41歳差の妻の暴走をとめられず体制転覆、異国の地でひっそりと息を引き取った。世界史上、独裁政権は枚挙に暇がないが、これほど絵に描いたような軌跡を辿った「独裁者」は類例を見ないだろう。超長期政権、容赦ない粛清、ハイパーインフレ。名だたる独裁者のなかでもジンバブエの元大統領、ムガベの特異性は際立つ。英雄はなぜ、独裁者となったのか。盤石の体制はなぜ、唐突な終焉を迎えたのか。徹底取材でその世界史的意味を探った、最強の独裁者を追うノンフィクション。
  • オリンピックと商業主義
    3.7
    オリンピックをテレビで観戦していると、他のスポーツイベントとは「風景」が違うことに気づく。それは「会場に広告看板がない」からだ。クーベルタンが理想を掲げて創始した近代オリンピックの「格式」は、そのような形で今も守られている。だが舞台裏では、莫大な放映権料やスポンサー料がIOCの懐を潤し、競技自体にまで影響を及ぼすという実態がある。一方で、その資金のおかげで税金の投入が回避され、途上国の選手が参加できるという現実もある。果たして、オリンピックが「商業主義」を実践するのは是なのか非なのか。本書は、五輪礼賛でも金権批判でもないスタンスで、この問題を深く掘り下げる。【目次】序章 三つのロンドンオリンピック/第一章 「商業主義」の起源と歴史/第二章 「商業主義」の弊害とは何か/第三章 五輪マネーは、どのように分配されるのか/おわりに―オリンピックは誰のためにあるのか
  • 俺たちはどう生きるか
    3.5
    いまだに毎日迷いながら生きている……。「需要がなくなれば芸人なんて終わり」とわかっちゃいるのに、「あのジジイ、やるな」とまだ世間から言われたい……。「若者に教訓めいたことを何か言ってやりたい」と思うけれど、「そんな立派な人生を送ってきたか?!」と躊躇する。古希・70歳。世間ではもういい大人。歳をとればもっと楽な人生になると思っていたのに……。そんな自問自答の日々を赤裸々に綴った「人生のこれまでとこれから」。自筆原稿収録。
  • 俺のロック・ステディ
    4.7
    ブルースロック、グラムロック、アメリカンロック、ジャズロック、ブリティッシュロック、ハードロック、プログレッシブロック、日本のロック――。1960~70年代の黄金期を俯瞰する、本格的なガイドブック的側面に加え、エッジの効いた文章に乗せながら「ロックとは何か?」という根本的な命題を探求した、萬月流ロック論。本書で、著者が導き出した解とは? 初心者必読、そして自称「通」のあなたも、それぞれのロック体験史の空白を埋めてくれる一冊! 【目次】まえがき/第1章 はじめにリズムありき/第2章 ブルースロック(1)/第3章 ブルースロック(2)/第4章 ブルースロック(3)/第5章 グラムロック(1)/第6章 グラムロック(2)/第7章 アメリカンロック(1)/第8章 アメリカンロック(2)/第9章 アメリカンロック(3)/第10章 ジャズロック(1)/第11章 ジャズロック(2)/第12章 ブリティッシュロック(1)/第13章 ブリティッシュロック(2)/第14章 ブリティッシュロック(3)/第15章 ハードロック(1)/第16章 ハードロック(2)/第17章 プログレッシブロック(1)/第18章 プログレッシブロック(2)/第19章 日本のロック/第20章 総括だ!/あとがきに代えて
  • 終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ
    3.9
    1999年のNATO軍の空爆により、コソボ紛争は公式には「終結」したことになっている。しかし現地では、セルビア系の民間人が3000人規模で行方不明になるなど、空爆前とは違った形で「民族浄化」が続き、住民たちは想像を絶する人権侵害の危機にさらされている。また、空爆による劣化ウラン弾の被害は甚大で、すべての回収には100年を要するという。本書は、空爆終了後6年間にわたって現地に通い続けた唯一のジャーナリストが、九・一一やイラク戦争の開始以降ほとんど報道が途絶えてしまったセルビア・モンテネグロの現状を告発した、渾身のルポルタージュである。【目次】まえがき/旧ユーゴスラビア全図/第一章 大コソボ主義(2001年~2002年)/一 消えた1300人――セルビア人拉致被害者たち/二 真っ先に見た事務局長/三 コソボへ/四 マケドニア潜入行/第二章 混迷の中で(2002年)/一 劣化ウランとユーゴスラビアの核/二 10月革命の裏側/第三章 セルビア・モンテネグロの誕生(2003年)/一 新憲章発布とモンテネグロ/二 新憲章発布とコソボ/三 誰がジンジッチを殺したのか/四 ボスニア・ヘルツェゴビナ/五 少年が殺された/終章 語り部(2004年10月)/柴宜弘教授との対話――あとがきに代えて/ユーゴスラビアとセルビア・モンテネグロに関する年表
  • 音楽が聴けなくなる日
    4.3
    電気グルーヴのピエール瀧が麻薬取締法違反容疑で逮捕された翌日、レコード会社はすべての音源・映像の出荷停止、在庫回収、配信停止を発表した。近年ミュージシャンの薬物事件ではこのような対応が即座になされ、また強化されてきたが、その「自粛」は何のため、誰のためのものだろうか? こうした「自粛」に異を唱える著者たちがそれぞれの立場から問題の背景と構造を明らかにし、現代社会における「音楽」「薬物」「自粛」の在り方について考察を深めていく一冊。巻末の音楽自粛小史は必見。
  • 女ノマド、一人砂漠に生きる
    3.6
    夫や子どもたちと離れ、たったひとりでラクダを連れてエジプトの砂漠で暮らす女遊牧民サイーダ。著者は、彼女と遊牧生活をともにするなかで、これまで自身で思い描いていた、素朴で自由な“ノマド”像とのギャップに困惑しながらも、彼女のたくましい生命力に惹かれていく。結婚するまでお互いの顔をほとんど見ないという「恋愛」事情や一夫多妻のリアルな内実など、急速に変容するイスラムの社会にあっても、日本とはまったく異なる価値観で力強く生きる一族の女たちを鮮やかに描いた渾身のノンフィクション!【目次】第1部 女ひとりの砂漠/第1章 もうばあさんだから男はいらない/第2章 男がいないと、どうなるか/第3章 祈りがもたらす心の安らぎ/第4章 雨で人も物も流される/第5章 お客さま扱いの頃をすぎて/第2部 うつりかわり/第6章 収入の安定とひきかえに失ったもの/第7章 記憶の彼方の砂漠/第8章 砂漠の民vs町の民/第9章 愛は結婚後/第3部 男と女/第10章 白いハンカチと赤い口紅/第11章 結婚は人生の楽しみの半分/第12章 妻はふたり/第13章 嫉妬と中傷/エピローグ これから
  • オーガニック革命
    3.9
    “話題”のクリエイターが説く新しい価値観! オーガニックとは、単なる健康食ブームではない。20世紀的資本主義からの脱却を希求する「運動」だ。金融危機に揺れるロンドンで出会った、新しい価値観への啓示を語る。【目次】はじめに/第1章 21世紀のオーガニック・ロンドン/第2章 オーガニックへ至る道――イギリス“金融帝国”の狂騒と凋落/第3章 オーガニック・ライフ実践編/おわりに/参考文献・資料
  • 海外短編のテクニック
    5.0
    長編小説が、人生という一本の木を、根から幹、枝から梢、花も葉もすべて描く営みであるならば、短編小説は、一本の枝を切り、切り口を示して生き方全体をうかがわせる試み。あらゆる技を駆使した作品はおもしろさも多彩だ。日本の短編の名手が、海外短編から厳選して、メリメの名作『カルメン』からインド系女性作家ラヒリの『停電の夜に』まで、バラエティに富んだ作品を俎上に載せ、実作者の立場になって想像し、分析し、ときには妄想までして、そのテクニックをたどる。カフカの作品は長編もあるけれど短編『変身』ひとつを読めばOK、という大胆発言も。
  • 悲しみの子どもたち ――罪と病を背負って
    4.0
    罪と病という二重の試練を背負った子どもたち。医療少年院で、精神科医として彼らと向かい合う著者が、多くのケースとの関わりを通して、異常な行動の根底にある問題に迫っていく。なぜ、彼らは自らを傷つけ、他人を害さねばならなかったのか。想像もつかない冷酷な犯罪を犯してしまったのか。損なわれた心は回復できるのか。人との絆は取り戻すことができるのか…。だが、そこに浮かび上がるのは、決して特別な子どもたちだけの問題ではない――。圧倒的な事実の重みと、子どもたちの悲しみが胸をつく、臨床現場からの痛切なメッセージである。【目次】はじめに 社会を映す鏡としての医療少年院/第一章 回避空間の病理/第二章 親という名の十字架――愛情飢餓と命がけの自己アピール/第三章 劣等感に塗れて/第四章 運命を分けるもの――非行発現のメカニズム/第五章 社会が生み出す非行/第六章 壊れた心は取り戻せるのか?/第七章 本当の希望を取り戻すために/おわりに 明るい未来は明るい子ども時代がつくる/参考文献
  • 奇食珍食 糞便録
    3.8
    世界には「トイレがない」環境で生きる人々が26億人以上存在すると言われている。タクラマカン砂漠、チベット、パプアニューギニア、シベリア、フォークランド、モルジブなど、世界の辺境を長年めぐってきた著者ならではの視点で、「人間が何を食べ、どう排泄してきたか」をテーマに余すところなく、赤裸々にルポルタージュする。カバー写真はモルジブ、マレの伝統漁法。横木に釣り師が座って魚を狙う。人間の糞が魚のエサに、魚は人間の飯に。これぞ見事な食物連鎖だ。【目次】第一章 世界糞便録/第二章 奇食珍食/最悪なるもの(あとがきにかえて)
  • 奇跡の村 地方は「人」で再生する
    4.0
    少子高齢化と人口減少により「地方消滅」が叫ばれて久しい。そんな中、長野県下伊那郡下條村は、全国の自治体関係者から「奇跡の村」と呼ばれている。少子化対策に目覚ましい成果をあげてきたからだ。「陸の孤島」と揶揄される人口約4000人の山村が、1998~2002年の5年間平均出生率で長野県トップを記録。現在でも、全国平均1.43人を上回る1.88人(2013年)と、トップクラスの高い出生率を誇る。その秘密はどこにあるのか? この下條村を中心に、独自の移住促進策で「消滅論」に抗う各地の山村を取材。この先の社会に光を点す、希望のルポルタージュである。【目次】はじめに/第一章 奇跡の村「下條村」/第二章 消滅可能性ナンバーワン? 「南牧村」を訪ねて/第三章 人をつなげる役場職員「旧・藤野町」/おわりに
  • 邱 永漢の「予見力」
    3.5
    直木賞作家として、経済コンサルタントとして一世を風靡した「株の神様」邱永漢。10年前すでに自著『マネーゲーム敗れたり』で、今日の世界市場経済崩壊を喝破した予見力の持ち主は、中国を舞台に農業ビジネス・プロジェクトに奔走する。著者は、邱永漢の率いる投資考察団に加わり、中国大陸における農業ビジネスの実際を目の当たりにする。中国の食料自給率が100%でなければアジア経済の活性化はない、と予見する邱永漢の経済哲学、生きる知恵を、「農」の人・玉村豊男が追跡ルポ、インタビューする。【目次】はじめに/第一章 波の向こうの流れを見る/第二章 アジアの農業の新しい地図を描く/第三章 中国人の和牛牧場/第四章 タバコ工場のワイナリー/第五章 フロンティアは西へ/第六章 邱 永漢の目のつけどころ/第七章 十年後の中国と世界はどうなっているか/あとがきに代えて――八十五歳の誕生日会/邱 永漢の略年譜
  • 巨大地震の日 ――命を守るための本当のこと
    3.0
    日本には地震予知のための組織が大きく分けても6つある。毎年、膨大な予算がつかわれる。しかし、マグニチュード7.3という巨大地震が予知された例は、いまだ世界にひとつしかない。1975年、中国遼寧省の地震ただひとつである。事前の警報はないと思ったほうがよい。そして、予知組織の発表する楽観的被害予測に惑わされることなく、自分の命は守らなくてはならない。本書にはそのための「よすが」となる貴重な情報と教訓が込められている。【目次】はじめに/(1)東京を襲う巨大地震/(2)巨大地震のあとに―湧き起こる多くの問題―/(3)海溝型巨大地震/(4)津波/(5)防災と減災/(6)政府が行なっていること/終わりに
  • ギュンター・グラス 「渦中」の文学者
    4.0
    小説『ブリキの太鼓』で世界的に知られる、現代ドイツを代表するノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラス。社会民主主義者であり、政治活動も厭わない「行動する作家」でもあるが、自伝的小説『玉ねぎの皮をむきながら』において、かつてナチスの武装親衛隊だったことを告白し、全世界に衝撃を与えた。近年もドイツ社会のタブーともいえるイスラエル批判を行い物議をかもすなど、80歳を超えてなお世界を「翻弄」し続けている。常に「渦中にいる」この大作家の実像を、気概のグラス研究者が明らかにする。【目次】まえがき/第一章 ふるさとを離れることはない<一九二七年から五○年>/第二章 灰色を愛す<一九五○年代>/第三章 コラボレートする<一九六○年代、七○年代>/第四章 真実はそのつど、語り直される<一九八○年代>/第五章 喪失は文学の前提である<一九九○年代>/第六章 想起とは恩寵でもあれば、呪いでもある<二一世紀>/あとがき 渦中にあるということ/ギュンター・グラス略年賦/邦訳作品リスト
  • 銀行 儲かってます!
    3.0
    この20年の間、日本経済は絶頂と絶望を経験した。その過程で銀行の不倒神話も崩れ、「大蔵省消滅」という未曾有の事態にもさらされた。一方国民の間では、リストラ・過労死・ワーキングプアという言葉も、いつの間にか定着した。これらの負の経験をもとに、銀行を中心とした我々の経済生活に、新しいビジョンが生まれるはずだった。しかし、血税注入により生き返った銀行は、なり振り構わぬ再編を繰り返し、メガバンクとしてひとり再生を果たす。結局は近年最高益を出し、相変わらず「儲けて」いる。こんな現状に苛立つ読者にとって、本書は彼らメガバンクの本音と建前がよくわかるコンパクトな一冊となる。【目次】プロローグ/第一章 銀行のここが許せない13のポイント/第二章 ゼロ金利政策の罪/第三章 銀行はこうやって儲けてます!/第四章 内部改革が進まぬ本当の事情/第五章 銀行の本音に打ち勝つ八つのポイント/エピローグ
  • 鯨人
    3.8
    インドネシア東ヌサテンガラ州に属するレンバタ島のラマレラ村は、銛一本で鯨を仕留める伝統捕鯨で知られている。写真家である著者は約19年にわたりこの村の様子を取材。世界最大の生物に挑む誇り高き鯨人達の姿と、村の営みに深く根ざす捕鯨文化の詳細を記録し、ついには捕鯨の水中撮影を敢行する。だが、この村にもまた、グローバリゼーションの波は押し寄せていた……。岐路に立つラマレラ村とその捕鯨文化を雄渾に活写する、比類なきネイチャー・ドキュメンタリー。【目次】プロローグ/第一章 鯨の島へ/第二章 鯨漁に挑戦/第三章 再挑戦/第四章 鯨漁撮影/第五章 陸の物語/第六章 鯨の眼/エピローグ
  • 慶應義塾文学科教授 永井荷風
    3.0
    『あめりか物語』や『ふらんす物語』『ぼく東綺譚』などの著者にして、稀代の好色文学者としても知られる永井荷風。その荷風は、明治末期から大正初期にかけて慶應義塾の文学科教授として後進の指導に当たり、大学の機関誌「三田文學」を創刊。それらを通じて久保田万太郎、水上瀧太郎、佐藤春夫、堀口大學ら門下生を文学者として世に送り出した優れた教育者でもあった。だが、大学教授・永井荷風についてきちんと光が当てられたことはこれまで一度もなかった。「性」と「反骨」の文学者・永井荷風の教育者としての実像と、慶應義塾、ひいては日本の文学界に与えた功績と影響を、初めて詳らかにした渾身の評論。【目次】はじめに/第一章 「黒い服」を着た紳士がもたらしたもの/第二章 真正モダニスト永井荷風の誕生/第三章 孤立する新帰朝文学者/第四章 森鴎外と上田敏の推輓で文学科教授に就任/第五章 三田山上に現出した「文学的自由空間」/第六章 「三田文學」創刊──反自然主義文学の旗手として/第七章 「三田文學」から飛び立った荷風門下生(1)/第八章 「三田文學」から飛び立った荷風門下生(2)/第九章 荷風教授、三田山上を去る/終章 永井荷風が百年後の慶應に遺したもの/おわりに/「永井荷風と慶應義塾」関連年譜/主要参考文献
  • 消されゆくチベット
    3.8
    2008年の騒乱以降、チベットの文化や伝統を消し去ろうとする圧力はより一層強められている。宗教活動の制限、チベット語教育への介入、天然資源の無秩序な採掘、厳しい言論統制など、中国による政治的、文化的弾圧は年々深刻化している。だが、チベット問題は、今、世界を覆うグローバル経済の面からも見る必要がある。そして、伝統や文化の継承は風前の灯のように見えるが、厳しい状況下でも懸命に文化や伝統を守り抜こうとするチベット人たちが多く存在するのだ。長きにわたって現地を取材してきた著者が、独自のルートでチベットの現況を詳細にルポルタージュする。【目次】はじめに/地図/第一章 ドンを探しに/第二章 変容する食文化/第三章 ダワのお葬式/第四章 子供の情景/第五章 伝統工芸の行く末/第六章 「言葉を入れておく瓶はない」/第七章 近代化の波/あとがき
  • 原子の力を解放せよ 戦争に翻弄された核物理学者たち
    -
    心震わす3人の若者の感動の青春群像。『映画 太陽の子』の背景となった事実に迫る! 太平洋戦争開戦直後、アメリカ軍の上層部にはある疑問があった。それは日本の“原爆開発”。終戦後、その実態を明らかにするため、アメリカは調査団を派遣し、大戦中の日本の核開発の実態を調べた。しかし、その調査結果は機密扱いとなり、長い間、すべてが謎に包まれてきた。NHK取材班は、当時の関係者や歴史家の取材を通じ、アメリカに没収され、戦後埋もれていた歴史的資料を発掘し検証した。そこから、激化する戦争の波に巻き込まれていった核物理学者たちの姿が見えてきた。本書では、知られざる京都帝国大学による原爆研究の真相に迫り、科学研究の「原罪」について考える。
  • 源氏物語を反体制文学として読んでみる
    3.0
    紫式部が『源氏物語』を書いた平安時代は、摂関政治(天皇に嫁いだ娘が男児を産むことで外戚として権力を得る)の全盛期にあった。しかし『源氏物語』は天皇親政の時代を舞台とし、「源」という元皇族が活躍するストーリーだ。摂関政治をあえて否定するという、いわばその時代の「反体制文学」として『源氏物語』は大ベストセラーとなり、多くの読者の支持を得た。なぜ紫式部はそのような果敢な挑戦をしたのか。紫式部が時代をどう感じ、またどのようなモチベーションで物語を綴ったのか。独自の視点で鮮やかに描く、新しい『源氏物語』論。 【目次】まえがき――『源氏物語』の謎/第一章 紫式部と『源氏物語』/第二章 源氏一族の悲劇/第三章 摂関家の権威と専横/第四章 紫式部の出自と青春時代/第五章 紫式部の恋と野望/第六章 摂関政治の終焉/あとがき/主な参考文献
  • 国対委員長
    4.0
    官邸から立法府をまもれ――。元自民党副総裁・山崎拓氏との特別対談収録。国会運営は、与野党の「国会対策委員会」(国対)という法的根拠のないシステムに依存している。事実上、与党と最大野党の、二人の国対委員長が特別な権限を持っているが、未だその実態については古い五五年体制の談合政治のようなイメージでしか捉えられていない。二〇一七年一〇月、史上初の野党第一党の女性国対委員長となった著者が野党をとりまとめ、時に与党と手を組んでも食い止めようとしたものは何だったのか。公文書の改竄・隠蔽が続き、官邸による「国会無力化計画」が進行したこの間の舞台裏を初めて明かす。
  • 「国連式」世界で戦う仕事術
    3.0
    欧州と中東の国連機関を渡り歩き、世界の難民保護に深く関わってきた著者は、シビアな競争社会でもあった二八年間のキャリアを通じ、自己の価値を高め、ポジションを上げながら、世界の公益に貢献するプロジェクトを実現させてきた。曰く、きわめて政治的な組織でもあった国連を生き抜く支えとなったのは、「世界で困っている人の役に立ちたい」という信念だった。本書は、世界に伍して<戦った>著者の仕事術と生き方論である。グローバル社会を生きるために必要な力、知恵とは何か。次代の日本人に有用な技術や視点を提供する。[国連パワーエリートの仕事と生き方の流儀]○人の役に立つために、まずは自分を知る○与えられた仕事を超える○最初の100日で成果を出す○上司を管理する○組織内の紛争からアイディアは生まれる○権力の行使を恐れないetc.
  • 9つの人生 現代インドの聖なるものを求めて
    5.0
    全編にわたって、むせかえるような聖性。 それが、猥雑で、エロスに溢れており、実に尊い。 ちまたにあふれている宗教の概説書を読むより、本書の読破をお勧めする。 ――釈徹宗氏(僧侶、宗教学者) 紀行文学の名手が紡ぐ 魂の救済の物語。 鮮烈な伝統、信仰、霊性と歌の世界 ◆内容◆ 急速な経済発展を遂げ変化し続ける現代インド。その村々で伝統や信仰を受け継ぐ人々を取材した、紀行・歴史文学の名手による、19か国で翻訳出版されたノンフィクションの傑作。 死への断食に臨むジャイナ教尼僧。祭りの間、最下層の人間が神になる憑依芸能テイヤム。神に捧げられ娼婦となった女たちを守護する女神信仰。叙事詩を伝承する沙漠の歌い手。スーフィーの聖者廟に身を寄せる女性。かつてダライ・ラマ14世の警護をつとめ、亡命し兵士として人を殺めたことを懺悔するチベット仏教の老僧。約700年以上の伝統を汲む職人による官能的神像の世界観。女神信仰のもと、しゃれこうべを重用するタントラ行者。そして吟遊行者バウルとなった人々の遊行の半生――。 現代文明と精神文化の間に息づく、かけがえのない物語。 ◆海外評◆ 「文句なしにうつくしい本。高潔で誠実、そして啓蒙的で感動的。大好きな本、読めることが純粋に喜び」『食べて、祈って、恋をして』著者、エリザベス・ギルバート氏 「ジャーナリズムと文化人類学、歴史、宗教史の見事なまでの調和が、すばらしい小説作品のような描写力で文章に結実している。キプリング以来これほどインドの農村を魅力的に描き出した人はいない」インド学者、ウェンディ・ドニガー氏“Times Literary Supplement”紙
  • 国家と記録 政府はなぜ公文書を隠すのか?
    4.0
    公文書は歴史の記述に不可欠であり、後世の政策選択のためにも参照されるべき国民共有の知的資源。そして、国民の知る権利や行政の説明責任を担保するものです。このような理由から公文書管理法は制定されましたが、この数年来、その法の精神を裏切るように、皇室会議の議事録未作成、自衛隊日報の隠蔽、統計偽装問題が起き、森友・加計問題等、公文書が意図的に記録されず、隠蔽、改竄される事態が続発しています。情報公開法と公文書管理法があるにも関わらず政府が公文書を恣意的に作成せず、破棄したり、隠したりする理由は何なのでしょうか。本書はこの問題を概観し、あるべき公文書管理体制を展望します。◆主なトピック◆◎政府の統計がおかしい◎金融庁報告書問題◎新自由主義時代の情報公開と公文書管理制度◎公文書管理法はなぜ骨抜きにされるのか◎森友学園問題の再燃◎文書「改竄」と民主主義の危機◎文書主義と公文書管理法◎イラク日報問題に見る公文書管理の歪み◎加計問題に見る公文書公開のあり方◎皇室会議の議事録未作成◎電子メールは行政文書か◎対談 情報公開と公文書管理の制度をどう機能させるか 三木由希子氏(特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長)
  • 国家と秘密 隠される公文書
    4.7
    国民の「知る権利」を軽んじ、秘密が横行する権力は必ず暴走する――。第二次世界大戦敗戦直後の軍部による戦争責任資料の焼却指令から福島第一原発事故にいたるまで変わらない、情報を隠し続けて責任を曖昧にする国家の論理。この「無責任の体系」を可能にするものは何か? 本書はその原因が情報公開と公文書の管理体制の不備にあることをわかりやすく説明する。そして、世界の情報公開の流れに完全に逆行した形で、二〇一三年末に可決された特定秘密保護法の問題点と今後を展望する。行政の責任を明確にし、歴史の真相を明らかにするための一冊。【目次】序章 もともと秘密だらけの公文書―情報公開の後進国日本 久保 亨/第一章 捨てられる公文書―日本の公文書管理の歴史 瀬畑 源/第二章 情報公開法と公文書管理法の制定 瀬畑 源/第三章 現代日本の公文書管理の実態と問題点 瀬畑 源/第四章 公文書館の国際比較 久保 亨/第五章 特定秘密保護法と公文書管理 瀬畑 源/おわりに 公文書と共に消されていく行政の責任と歴史の真相 久保 亨・瀬畑 源/付録1 特定秘密の保護に関する法律/付録2 公文書等の管理に関する法律/付録3 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
  • コロナとWHO 感染症対策の「司令塔」は機能したか
    3.0
    感染症対策の世界的な司令塔であるWHO(世界保健機関)は、2019年12月31日の「第一報」から現在に至るまで、新型コロナウイルスに対して的確な対応をとってきたのだろうか? WHOが「人から人」への感染を認めて国際緊急事態を宣言したのは2020年1月30日。 なぜこんなに時間がかかったのか? ジュネーブ駐在時にWHO取材を担当し、その内情に通じる著者が「初動」について詳細に検討し、感染拡大の節目における判断の経緯、国際的なワクチン供給体制をどうやって確立したのかなど、WHOの施策を緻密に検証。 また、私たちの命と健康に密接に関係する国際保健体制の現状についても解説する。
  • 五輪スタジアム 「祭りの後」に何が残るのか
    -
    祭りが終わった後、巨大施設はどうなるのか? 誇らしい「遺産」として残るのか、それとも、使い道のない「廃墟」になってしまうのか。二〇二〇年東京五輪の終了後に残されるのは「施設の後利用」という困難な課題である。著者はハーバード、オックスフォード留学時に「五輪スタジアムの維持・運営」を研究テーマとし、一九七二年ミュンヘン大会以降の夏季五輪開催地について、メインスタジアムの「五輪後」の稼働状況、運営形態、維持費の実態等について調査を行った。世界中の五輪開催都市が巨大スタジアムの扱いに苦闘している現状を具体的に明らかにするとともに、新国立競技場をめぐる東京の近未来について提言を行う。【主な内容】○「建て替えできない」スタジアムの生存戦略(1972ミュンヘン) ○30年間の「空き家」が企業オフィスに変貌(1976モントリオール) ○固く門が閉ざされた巨大スタジアム(1980モスクワ) ○築90年の「遺産」を大学が引き受けた(1984ロサンゼルス) ○7万の観客席で観衆1000人のホームゲーム(1988ソウル) ○バルセロナ再生の落ちこぼれ(1992バルセロナ) ○球団に逃げられたスタジアム(1996アトランタ) ○政府が買い戻して大改修に着手(2000シドニー) ○そして「廃墟」だけが残った(2004アテネ) ○商業化は頓挫し、維持費は観光客頼み(2008北京) ○建設費は602億円、改修費は452億円(2012ロンドン) ○公共料金も払えないスタジアム(2016リオデジャネイロ) ○そして、新国立競技場
  • 最後の文人 石川淳の世界
    -
    グローバリズムと新自由主義が世界を制覇しつつある今日、人々の自由はむしろ制限されつつあり、閉塞感や分断が拡大している。今、なぜ石川淳なのか? この孤高の作家を読み解くキーワードは「自由」。古今東西の書物世界を軽快な「精神の運動」で往還した石川の姿勢は知的自由の体現であった。だから、多くの知識人が戦時体制になびいた時代にも、石川は黙らなかった。かくして作品の発禁後、石川は自由を求め江戸の世界に向かう。石川作品には不自由に抗する不服従の精神が刻まれている。本書は5名の識者の解説を通じ、その作品と「絶対自由」の世界に誘う。
  • サハラ砂漠 塩の道をゆく
    4.0
    8~16世紀、西アフリカ内陸部の地に興隆したいくつかの黒人国家は、サハラ砂漠を越えて北から運ばれて来る岩塩と南からの金や象牙、奴隷などの交易で繁栄したという。そして、その中心には伝説の“黄金の都市”があった。それらの国家はすべて消え去ったが、往時のままに岩塩が切り出されるタウデニ鉱山と、ラクダのキャラバン「アザライ」によってかつての黄金の都・トンブクトゥに運ばれる塩の交易は、21世紀の現在も続いている。写真家の著者は、30年来の夢を叶え、トンブクトゥからタウデニ鉱山へ往復1500キロ、アザライに密着する命懸けの旅を敢行した。これは、美しい写真と共に綴られた42日間の過酷なキャラバンの記録である。【目次】はじめに/第一章 タウデニ岩塩鉱山への旅立ち/第二章 タウデニ岩塩鉱山/第三章 タウデニからの帰り道/第四章 旅の終わりの試練/あとがき
  • 財津和夫 人生はひとつ でも一度じゃない
    3.0
    同世代の小田和正と比較され「動の小田、静の財津」と言われるなど、物静かなイメージの財津和夫。 本書では、そんな財津が癌や更年期障害を乗り越え、サウンド志向だった過去の自分から脱却し、詞の重要性に目覚めて新たに曲を書き下ろすまでを描き切る。 コロナ禍で苦闘する財津の生き様を通し、往年のファンに勇気を与えたNHK「ザ・ヒューマン」の番組内におけるインタビューを担当ディレクターが全面改稿。 番組未収録エピソードや本書独自インタビューも満載した、財津和夫の現在を描く決定版的一冊。
  • 「在日」を生きる ある詩人の闘争史
    4.0
    日本の植民地時代の朝鮮釜山に生まれ、熱烈な皇国少年として育った詩人・金時鐘。1945年8月15日、日本の敗戦を境に、強制された日本語でしか言葉の彩を感じ取れない自身の分裂したアイデンティティに気づく。そして朝鮮戦争前夜の米軍の政庁下で勃発した済州島での凄惨な弾圧から脱出し、日本に暮らすことになった金。古里との分断、在日社会における南北の断層、差別、数多くの歴史の修羅場を詩人として、教師として越えてきたその抵抗と創作の闘争史を、反骨の言論人・佐高信が聞く。ヘイト事件が後を絶たない現代日本において「在日」を生きることの意味を投げかける、在日一世の闘う表現者の戦後史。 【目次】はじめに 金時鐘/第一章 戦前回帰の起点/第二章 歌との闘い/第三章 社会主義と祈り/第四章 差別を越える/第五章 文学の戦争責任/第六章 国を超える国へ/おわりに 佐高 信/資料 水平社宣言
  • 子規と漱石 友情が育んだ写実の近代
    3.5
    1895年。夏目漱石は俳句を教わるという名目で、結核が見つかり意気消沈する正岡子規を松山に呼び寄せた。子規が得意とする俳句を通して、彼を元気づけるために……。第一高等中学の同窓生である2人は、意見を戦わせながら新たな表現を模索した。本書は、そんな「文学者の友情」を描きながら、子規が俳句・短歌に持ち込んだ「写生」概念の成立過程を解説。また、子規が病床で描いた随筆『墨汁一滴』『病床六尺』『仰臥漫録』にも焦点を当て、そこに通底にする写実主義を読み解く。【目次】はじめに/第一章 子規、漱石に出会う/第二章 俳句と和歌の革新へ/第三章 従軍体験と俳句の「写実」/第四章 『歌よみに与ふる書』と「デモクラティック」な言説空間/第五章 「写生文」における空間と時間/第六章 「写生文」としての『叙事文』/第七章 病床生活を写生する『明治三十三年十月十五日記事』/第八章 生き抜くための「活字メディア」/終章 僕ハモーダメニナツテシマツタ/おわりに
  • 死刑執行人サンソン――国王ルイ十六世の首を刎ねた男
    4.4
    【荒木飛呂彦帯カラーイラスト付】敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していたシャルル-アンリ・サンソン。彼は、代々にわたってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主であった。そして、サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王と王妃を処刑したことによってだった。本書は、差別と闘いながらも、処刑において人道的配慮を心がけ、死刑の是非を自問しつつ、フランス革命という世界史的激動の時代を生きた男の数奇な生涯を描くものであり、当時の処刑の実際からギロチンの発明まで、驚くべきエピソードの連続は、まさにフランス革命の裏面史といえる。【目次】序章 呪われた一族/第一章 国王陛下ルイ十六世に拝謁/第二章 ギロチン誕生の物語/第三章 神々は渇く/第四章 前国王ルイ・カペーの処刑/終章 その日は来たらず/あとがき
  • 司馬江漢 「江戸のダ・ヴィンチ」の型破り人生
    3.0
    1700年代の時点で西洋画をマスターし、遠近法をいち早く取り入れるとともに油絵・銅版画の技法を日本で最初に確立した天才画家。さらに、地動説を我が国で初めて紹介した科学者でもあり、ドナルド・キーン氏も絶賛する『旅日記』を著した文筆家。そんな大天才・司馬江漢は、奇行を繰り返しては周囲の人々を混乱に陥れる、稀代の「変人」でもあった。まさしく「江戸のダ・ヴィンチ」とでも呼ぶべき司馬江漢だが、生前の活躍と知名度に反して、今日ではほとんど知られることのない人物になってしまっている。本書は、そんな江漢に関する種々の記録を丹念に読み解き、没後200年にあたる2018年というタイミングで、その破天荒な生涯の全体像を描き出そうと試みた一冊である。彼が遺した絵画のみならず、スケッチや科学的メモなども選り抜いて掲載した、評伝の傑作。 【目次】はじめに/司馬江漢略年譜/著作一覧/第一章 絵の道に入るまで/第二章 町絵師江漢の誕生と成長/第三章 旅絵師江漢/第四章 窮理師江漢/第五章 地動説から宇宙論へ/第六章 こうまんうそ八/第七章 退隠・偽年・偽死/第八章 不言・無言・桃言/おわりに/参考文献
  • 司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰・龍馬・晋作の実像
    3.6
    国民的作家として読み継がれている司馬遼太郎。そのあまりの偉大さゆえに、司馬が書いた小説を史実であるかのように受け取る人も少なくない。しかし、ある程度の史実を踏まえているとはいえ、小説には当然ながら大胆な虚構も含まれている。司馬の作品は、どこまでが史実であり、何が創作なのか? 吉田松陰、坂本龍馬、高杉晋作が活躍する司馬遼太郎の名作をひもときながら、幕末・維新史の真相に迫る。【目次】はじめに/第一章 吉田松陰と開国/第二章 晋作と龍馬の出会い/第三章 高杉晋作と騎兵隊/第四章 坂本竜馬と亀山社中/第五章 描かれなかった終末/おわりに
  • 司馬遼太郎の幻想ロマン
    -
    『坂の上の雲』『竜馬がゆく』など大衆的な歴史小説家としての司馬遼太郎はよく知られているところ。また、独特の史観で書かれた数々の評論、随筆も物故後の今も多くの読者を得ている。だが、初期の作品群『ペルシャの幻術師』『戈壁の匈奴』等を読むと、司馬は卓越した幻想小説家であったことがわかる。大衆歴史小説家のイメージとは異なる、司馬のもう一つの作家性に秘められたものとは何だったのか。本書は、司馬遼太郎が遺した爛熟の幻想世界の秘密に初めて迫る評論である。【目次】はじめに/第一章 司馬遼太郎の人と文学の原風景・竹内街道(大道)/第二章 “辺境史観”によって、遠い祖先のルーツをさぐる/第三章 幻想小説(一)―雑密(雑部密教)と役行者/第四章 幻想小説(二)―純密の世界と雑密の世界を映し出す司馬文学の真骨頂/第五章 幻想小説(三)―山伏、忍者、幻術師の関連/第六章 幻想小説(四)―散楽雑伎(戯)と幻想小説のおもしろさ/あとがき/本書関連の司馬遼太郎略年譜
  • 写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩
    3.3
    凹凸、暗渠、古地図、スリバチ……。地形を愉しむのは今や、NHKの人気番組『ブラタモリ』ばかりではない。とりわけ谷が多く風景の変化も著しい東京は、土地のなりたちに親しみ、移ろいを愛する者にとっての聖地とも言える。本書では、旅する写真家と鉄道・地形ファンが信頼する地図研究家が、異色のコラボで東京の「水流」に挑戦! あらゆる地形の原点とも言える、最大の「謎」に迫る。大判カメラで撮影したモノクロの「古地形」が哀愁を誘う一冊。 【目次】まえがき/第一章 水の力、太古からの流れ──中野区弥生町/第二章 地下に現れた「神殿」と「測量の人」──善福寺川/第三章 幻の土手とのどかな風景──神田川を東中野付近から下流へ/第四章 暗渠の魅力と洪水対策のグラウンド──妙正寺川(1)/第五章 文豪の暮らしと「気の毒」が募る寺──妙正寺川(2)/第六章 土地はどのようにして人を受け容れるのか──日暮里崖線/第七章 発展する都市が目を背けた川──渋谷川/第八章 崖から一路、コンクリへ──国分寺崖線/第九章 人工河川の魅力──小名木川/第一〇章 映画の聖地と縄文海進──四谷・鮫河橋谷/第一一章 湿った土地に集う人々──四谷・荒木町/第一二章 意識にのぼらない、しかし長い──石神井川/あとがき/参考文献
  • 証言 沖縄スパイ戦史
    4.3
    【第7回城山三郎賞受賞(角川文化振興財団)・第63回JCJ賞受賞(日本ジャーナリスト会議)・第20回石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞草の根民主主義部門大賞受賞(早稲田大学)】 ◆推薦◆ 「被害者だけでなく加害側、虐殺を命じた側の視点からも語り直していくことによって、そこで起きたことが立体的に見えてくる」 ――荻上チキ氏(評論家) 「映画『沖縄スパイ戦史』を見終わった時の感慨を遥かに上回る、切迫感をともなうファクトの重みを喉元に突きつけられた。」 ――金平茂紀氏(TBS「報道特集」キャスター) 陸軍中野学校「秘密戦」の真相。証言と追跡取材で迫る、青年将校の苦悩と少年兵が戦った沖縄戦、最暗部の記録。軍隊が来れば必ず情報機関が入り込み、住民を巻き込んだ「秘密戦」 が始まる――。第二次大戦末期、民間人を含む二〇万人余が犠牲になった沖縄戦。第三二軍牛島満司令官が自決し、一九四五年六月二三日に終わった表の戦争の裏で、北部では住民を巻き込んだ秘密戦が続いていた。山中でゲリラ戦を展開したのは「護郷隊」という少年兵達。彼らに秘密戦の技術を教えたのは陸軍中野学校出身の青年将校達だった。住民虐殺、スパイリスト、陰惨な裏の戦争は、なぜ起きたのか? 二〇一八年公開後、文化庁映画賞他数々の賞に輝いた映画「沖縄スパイ戦史」には収まらなかった、三〇名余の証言と追跡取材で、沖縄にとどまらない国土防衛戦の本質に迫る。
  • 小説家という職業
    3.9
    小説家になるためにはどうすれば良いのか? 小説家としてデビューするだけでなく、作品を書き続けていくためには、何が必要なのだろうか? プロの作家になるための心得とは? デビュー以来、人気作家として活躍している著者が、小説を書くということ、さらには創作をビジネスとして成立させることについて、自らの体験を踏まえつつ、わかりやすく論じる。【目次】まえがき/1章 小説家になった経緯と戦略/2章 小説家になったあとの心構え/3章 出版界の問題と将来/4章 創作というビジネスの展望/5章 小説執筆のディテール/あとがき
  • シリーズ<本と日本史>(1) 『日本書紀』の呪縛
    3.8
    大化改新はあったのか? アマテラスのモデルは持統天皇? 歴史学の最前線が明らかにする「神話と歴史」の事実! 書物で考える歴史シリーズ<本と日本史>始動! <本と日本史>は「本」のあり方から各時代の文化や社会の姿を考え、当時の世界観・価値観がどのように成立し、変化していったのかを考察する歴史シリーズ。第一巻が扱うのは『日本書紀』。歴史は常に勝者のものだった。『日本書紀』もまた、当時の権力者の強い影響下で生まれ、書物と書物の争いを勝ち抜いてきた。今日においても歴史の記述に大きな力を持つこの「正典」を最新の歴史学の知見をもとに読み解き、相対化する。本書は歴史解釈の多様性を示す『日本書紀』研究の決定版である。※一部、電子版では収録されていない画像がございます。ご了承よろしくお願い致します。【目次】まえがき/第一章 権威としての『日本書紀』/第二章 『日本書紀』の語る神話と歴史/第三章 『日本書紀』研究の歩み/第四章 天皇制度の成立/第五章 過去の支配/第六章 書物の歴史、書物の戦い/第七章 国史と<反国史><加国史>/第八章 『続日本紀』への期待、落胆と安堵/第九章 『日本書紀』の再解釈と偽書/第十章 『先代旧事本紀』と『古事記』/第十一章 真の聖徳太子伝をめぐる争い/第十二章 『日本霊異記』――仏教という国際基準/終章 『日本書紀』の呪縛を越えて/あとがき/参考文献
  • シリーズ<本と日本史>(3) 中世の声と文字 親鸞の手紙と『平家物語』
    4.0
    <本と日本史>は「本」のあり方から各時代の文化や社会の姿を考え、当時の世界観・価値観を究明する歴史シリーズである。本書が扱うのは、親鸞聖人の手紙や『平家物語』などの「声の記録」だ。その当時、文字を知らない大多数の民衆には「声」によって文化や思想が伝えられていた。親鸞聖人が遠隔地の弟子に向けて語りかけるように書いた情感溢れる手紙を読み解き、当時の知識人と民衆の関係性を鮮やかに描き出す。また、同時期に成立した『平家物語』にも触れ、「声」が「文字」として書き留められることで成立した中世文化の誕生の背景を解き明かす。日本中世史学の泰斗による研究の集大成となる一冊。【目次】まえがき――中世を体現する本/第一章 親鸞の著述/第二章 中世の手紙/第三章 世の移り行きを書く/第四章 平家の物語/あとがき――中世の声と文学/参考文献
  • シリーズ<本と日本史>(2) 遣唐使と外交神話『吉備大臣入唐絵巻』を読む
    -
    <本と日本史>は「本」のあり方から各時代の文化や社会の姿を捉え、当時の世界観・価値観の実態を考察する歴史シリーズ。第二巻の本書が扱うテーマは「遣唐使」である。だが実証的な遣唐使ではない。12世紀末から13世紀初頭にかけて制作された『吉備大臣入唐絵巻』を中心に、19世紀にまで連なる後代に仮構された遣唐使<像>を検討する。大国への対抗意識や異国・異境への尽きぬ思いが託された幻想の中の遣唐使は、日本の劣等感と優越感がないまぜになった東アジア文化交流の象徴でもあった。そして今なお、時代を超えた国際関係のあり方を探る拠り所として、複眼的な視点を提供し続けるのである。 【目次】まえがき/第一章 吉備真備――人物と文物/第二章 『江談抄』を読み解く――絵巻への道/第三章 『吉備大臣入唐絵巻』の形成と世界/第四章 遣唐使の神話と伝説/終章 東アジアの回路へ/あとがき/参考文献
  • シリーズ<本と日本史>(4) 宣教師と『太平記』
    -
    <本と日本史>は各時代を代表する「本」のあり方から当時の文化や社会の姿を考え、その時代における世界観・価値観の成立を考察する歴史シリーズである。本書が扱うのは、宣教師と『太平記』の意外な関係だ。南北朝~室町期の武士の生きざまを描いた『太平記』は、戦国時代最大のベストセラーであり、数々の武将たちに愛好されていた。だからこそ、宣教師もこの作品を「日本を知るための最高の教科書」とみなして、必死に読み解こうとしたのであった。『太平記』と宣教師との接点に注目することで戦国時代に生きた人々の心性に迫ろうとする画期的論考。【目次】まえがき――宣教師の注目した『太平記』/第一章 中世びとの『太平記』/第二章 『太平記』と日本人の心性/第三章 『太平記』と歴史/第四章 記憶の場「日本」/終章 国家と未来/あとがき/参考文献
  • 新型インフルエンザ 本当の姿
    3.0
    2009年春に世界中を震撼させるパンデミック(世界的流行)をひき起こした豚由来の新型インフルエンザウイルスは、実は四つの異なるウイルスの遺伝子が混じり合って誕生したものだった。インフルエンザウイルスは有史以来人類の脅威となってきたが、その複雑な誕生システムについては意外に知られていない。強毒化も懸念されるインフルエンザウイルスはどのようにして生まれどのようなメカニズムで変異していくのか。ウイルス研究の世界的権威が、対策も含めて新型インフルエンザウイルスのすべてを明らかにする。【目次】序章 パンデミックの兆し/第1章 ウイルス予備知識/第2章 新型インフルエンザ誕生のメカニズム/第3章 新型インフルエンザウイルスの不気味な姿/第4章 「危ない」インフルエンザウイルスは他にもある/第5章 夏の北半球から去らなかった新型ウイルス/第6章 来るべき冬の大流行に備えて/付録 インフルエンザ以外の危険なウイルス
  • シングルマザー、その後
    4.0
    雇い止めや学校の一斉休校、家庭内トラブルの増加。 コロナ禍で一層、シングルマザーの生活困難が深刻になっている。 「早く子育てから解放され、自分の人生を謳歌したい」。 だが、将来を夢見て耐え忍ぶ彼女たちを待つのは、一層苛酷な現実だった……。 子どもを何とか自立させたものの、雇用や社会保障から見放された双肩には老親の介護がのしかかる。 調停マニアの前夫と戦う女性やセックスワーカーなど、国から見放された女性たちの痛切な叫びに耳を傾け、制度の不作為を告発するルポルタージュ。
  • 新・都市論TOKYO
    3.8
    景気回復の実感はいまだ薄い。にもかかわらず、東京では空前の大規模再開発が進行中だ。林立する高層ビル、変貌する街の風景。これは、本当に“東京の再生”につながるのだろうか? 「都市は失敗の集積にほかならない。失敗を重ねた都市ほど偉大な都市だ」と語る建築家が、21世紀TOKYOを象徴する、5つのスポットを巡った。汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、町田。そこに見えてきたのは、どんな「失敗」と「未来」の姿だったのか?【目次】都市開発の手法を概観する/第一回・汐留 悲しい「白鳥の歌」が響き渡る二一世紀の大再開発/第二回・丸の内 東京の超一等地に三菱の「余裕」がどこまで肉薄するか/第三回・六本木ヒルズ 森稔の執念が結実した東京の蜃気楼/第四回・代官山 凶暴な熊に荒らされる運命のユートピア/第五回・町田 「郊外」かと思っていたら「都市」だったという逆説/対話篇・そして北京/あとがき
  • 自衛隊海外派遣 隠された「戦地」の現実
    -
    自衛隊の海外派遣について定めた国際平和協力法(PKO法)が1992年に制定・施行されてから、2022年でちょうど30年が経つ。 この間、日本は40を超える海外任務に合計6万人以上の自衛隊員たちを派遣してきた。 しかしその活動の実態や危険さに関しては、十分な情報が公開されてきたとは言いがたい。 むしろ、政府は意図的な嘘や隠蔽を繰り返してきたのである。 本書は徹底した調査により今までの自衛隊海外派遣の「リアル」を総検証し、これまでの問題点を整理する。 そして今後の海外派遣のあり方をも提案した、渾身の一冊である。 内部文書や自衛官たちの証言から浮かび上がってきたのは、自衛隊は何度も銃弾が飛び交う「戦場」へと送り込まれ、死を覚悟してきたという衝撃の事実だった。 この国が隠してきた“不都合な真実”を暴き出した、驚きの告発! 《推薦》 国家にとって不都合な情報は隠され、国民には知らされない。 ウクライナの戦場で初めて真実を知った若いロシア兵の「悲劇」は、決して対岸の火事ではない。 ――望月衣塑子氏(新聞記者) 憲法9条を、命を賭けて守ってきたのは、“戦場”に送られた自衛官である。 ――伊勢崎賢治氏(東京外国語大学教授)
  • 自己検証・危険地報道
    -
    3年4カ月の拘束から得た「教訓」とは? シリアで3年4カ月にわたって拘束された安田純平。本書は、安田と、彼の救出をめぐって苦悩したジャーナリストたちが、このような事態で何をすべきだったか、家族やメディアへの対応は適切だったか、そして、ジャーナリストの仕事について政府や社会にどう訴えていけばいいのか……など、危険地報道をめぐる課題について「本音で」討議した自己検証本である。安田本人による、2002年のアフガニスタンから15年のシリアに至る取材活動の「総括」も収録。◆危険地の現場を取材することの意義は本書でも多くの執筆者が触れており、言を俟ちません。具体的に実行するにあたって、今回の私や家族が経験したものが役に立ち、危険地においてよい仕事をする人が増えていってくれたらありがたいです。――安田純平(本文より)
  • 地震は必ず予測できる!
    5.0
    地震学者は、目に見えない「地下」の動きを研究するのに対して、測量学の権威である著者は、人工衛星で測定した「地表の動きを記録した数値データ」を根拠とする、独自の地震予測法を開発した。そして、メルマガ発行を開始した2013年以来、伊予灘地震、伊豆大島沖地震、飛騨地方群発地震など震度5以上の地震を確実に“予測”し、警告を発してきた。画期的な地震予測のメカニズムが、本書で余すところなく明かされる!
  • 実録 ドイツで決闘した日本人
    4.1
    驚くべきことにドイツの学生結社は今日でも、鋭い真剣を用いた決闘が一部の学生の間で普通に行われている。一九八○年代初頭にドイツ留学した著者はふとしたことから学生結社に誘われ、そこで決闘を経験する。文豪ゲーテ、哲学者ニーチェ、政治家ビスマルクらはもちろん、現在の政財界を担うドイツのエリートの多くが決闘経験者という事実。本書は、武士道にも通じるゲルマン騎士の「高貴なる野蛮さ」を具現する決闘文化に迫るドキュメントである。【目次】プロローグ/第一章 ドイツの決闘/第二章 決闘の掟/第三章 学生結社の日常/第四章 伝承と継承 高貴なる野蛮/エピローグ/あとがき
  • 「地元チーム」がある幸福 スポーツと地方分権
    2.7
    私たちの人生を本当に豊かにするのは、「遠くのオリンピック」ではなく、「近くのチーム」である! 野球、サッカー、バスケット……スポーツの世界は一極集中から地方展開へ! かつては、「地元にプロスポーツチームがある」のは大都市圏に限られていた。ところが現在では、全国ほぼすべての都道府県に「地元を本拠地とするプロスポーツチーム」(野球、サッカー、バスケット、アイスホッケーなど)が存在する。この画期的な状況は、何を物語るのか。格差研究など、経済データに基づく社会分析の第一人者が、「中央集権から地方分権へ」という日本社会のキーワードに重ね合わせつつ、その意義を多方面から分析する。
  • ジャーナリストはなぜ「戦場」へ行くのか――取材現場からの自己検証
    3.6
    「イスラム国」による後藤健二氏、湯川遥菜氏の人質・殺害事件以降、「そんな危険な所へ行く必要があるのか」という世論に乗じて、政権は露骨な報道統制に踏み出し、メディアは萎縮してしまった。危機感に駆られたジャーナリストたちが、フリーランス、新聞社、通信社、テレビ局など立場や媒体を超えて本書に集結。海外取材の最前線に立ってきた体験を踏まえ、これまでの「事故」をシビアに自己検証し危険回避の具体的方策を提示するとともに、「それでも、誰かが“そこ”へ行かなければならない」と訴える。【目次】第一章 後藤健二氏の人質・殺害事件がもたらした影響 石丸次郎/第二章 ジャーナリストは「戦場」でどう行動したのか(紛争地を抱える中東の事実を見る「目」の役割 川上泰徳/“イスラム国”取材、その一部始終 横田 徹/戦場の人々を見つめるまなざし 玉本英子/通信社の記者は、最後まで残って取材を続ける 及川 仁/テレビの「危険地取材」はどう変わったか 内藤正彦/危険地取材をテレビに売り込む 高世 仁)/第三章 戦争報道を続けるために――過去の事例から学ぶべきこと 綿井健陽/第四章 米国メディアの危険地報道――日本との相違 高橋邦典/第五章 危険地報道とジャーナリスト 土井敏邦
  • ジャーナリズムの役割は空気を壊すこと
    -
    ジャーナリズムの劣化はその国の劣化を意味する。新型コロナの非常事態宣言下での東京五輪強行は、危惧された通り感染爆発と医療崩壊を招いた。当初から問題に塗(まみ)れたこの五輪を批判しきれず空気に迎合した大手メディアは、日本のジャーナリズムの限界を象徴的に露呈した。原発事故、森友加計、公文書改竄等、未解決のまま忘れ去られる問題が堆積する現状は権力監視の役割を果たせないメディアの追認の結果だ。本書は映画「i-新聞記者ドキュメント-」の森達也と望月衣塑子が安倍・菅時代のメディア状況を総括。一方向に暴走する「空気」の壊し方、ジャーナリズムの役割と復活の方途を語りあう。 「この国のメディアはおかしい。 ジャーナリズムが機能していない。 そんな言葉を日常的に見聞きするようになってから、 もう何年が過ぎただろう」森達也 「“鉄壁”という菅(義偉)氏の幻想を創ったのはメディアにほかならない。 もっと強い言い方をすれば、 菅首相を生み出した“共犯”でもある。 菅氏は、市民の命を預けられるような人ではなかった。 メディアの責任は重い」望月衣塑子
  • 十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」
    4.0
    昭和20年4月1日。少年・矢島喜八郎、のちの作家・西村京太郎は、エリート将校養成機関「東京陸軍幼年学校」に入学した。8月15日の敗戦までの、短くも濃密な4か月半。「天皇の軍隊」の実像に戸惑い、同級生の遺体を燃やしながら死生観を培い、「本土決戦で楯となれ」という命令に覚悟を決めた――。戦時下の少年は何を見て、何を悟ったのか。そして、戦後の混乱をどのように生き抜いて作家となったのか。本書は、自身の来歴について、著者が初めて書き下ろした自伝的ノンフィクション。いまこそ傾聴したい、戦中派の貴重な証言である。【目次】第一章 十五歳の戦争/第二章 私の戦後――特に昭和二十年(前半は戦争、後半は平和だった時代)/第三章 日本人は戦争に向いていない/主要参考文献
  • 10秒の壁――「人類最速」をめぐる百年の物語
    4.0
    陸上競技100m。かつて、この種目で「10秒」を突破することは世界中の夢であり目標だった。では、10秒の壁は、いかにして破られたのか。そこには、天才アスリートの出現、テクノロジーの進歩、競技環境の変化など、様々な要素が存在した。そして、時代背景に翻弄され、「記録」に残らなかった意外な事実も隠されている。本書は、一瞬の勝負の裏に潜む幾多のドラマを発掘するとともに、「人類最速」はどのレベルまで進化するのかを考察する。【目次】はじめに/第一章 壁に挑んだ男たち/第二章 壁を破った男たち/第三章 記録はどこまで伸びるのか/第四章 日本人にとっての「10秒の壁」/おわりに/表・100m世界記録の変遷/主要参考文献
  • 自由に至る旅 ――オートバイの魅力・野宿の愉しみ
    3.8
    不自由な日常から、自由な世界へ。オートバイを愛し、野宿旅を続けている人気作家が、その思想と実践について語る。北海道から九州までのお薦めのポイント、野宿や運転技術の具体的なノウハウなど、役立つ情報も満載。さらに、著者自身のユニークなエピソードも交えつつ、自然の呼吸を皮膚で感じるすばらしさ、速度の持つ超越的な力など、自由な旅に出ることの本質を論じていく。カラー口絵をはじめ、著者秘蔵のツーリング写真なども掲載。――さあ、あなたも旅に出よう! 【目次】まえがき/第一章 オートバイとの出会い/第二章 北海道への旅/第三章 基本は野宿/第四章 本州~九州/第五章 旅の心得
  • 人生にとって挫折とは何か
    -
    女性トップアナウンサーからフリーのキャスターへ転身、文筆活動ではベストセラーを上梓。常勝街道を突き進んで来たかに見える人生は、しかし挫折の繰り返しであった……。失意、諦め、後悔。挫折に伴う痛みと無縁の者はいない。苦い思いは後を引き、老いてなお人生の後ろ髪を引く……。人生の終盤まで誰もが引きずりがちな挫折を克服し人生の彩りへと昇華する、著者ならではの極上の哲学を披歴する。
  • 水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと
    4.3
    水道民営化とは、地域窮乏化政策だ! 欧州の水道再公営化運動が生んだ、新たな民主主義から学び、日本の水道を、グローバル資本から守る。一九八〇年代以降、民営化路線を歩んできた欧州の水道事業。しかし杜撰な管理や財務の問題にスポットがあたり、再び、水道を公営化に戻そうという大きな流れが市民運動を起点に巻き起こっている。昨今、注目されている欧州の左派ポピュリズムのうねりの中核は、実は「水道の再公営化」を求める権利運動だったのだ。水は、人々の共有財・公共財<コモン>である。資本が利潤をあげるための対象として水を扱えば、たちまちその地域は窮乏化していく。民営化で疲弊した欧州の人々の怒りが地方自治体を動かし、「ミュニシパリズム」や「フィアレス・シティ(恐れぬ自治体)」など、新しい民主主義の形を作り出しているのだ。その成果である、水道事業の再公営化はなんと178件。水を再び自分たちのものへと取り戻す欧州の運動から日本が学び、各自治体において民営化をストップさせるにはどうすればいいのか。日本人でありながら、欧州・民主主義の最前線に立つ著者が、日本再生のためのカギを明かす。
  • ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器
    4.0
    ◆日本人の知らないところで、ストライキが進化していた!◆佐野サービスエリアのスト、保育士の一斉退職、東京駅の自販機補充スト……。一九七〇年代をピークに減少した日本のストだが、二〇一〇年代後半から再び盛り上がりを見せている。しかも、かつての「国鉄スト」などと違い、これらにはネット世論も好意的だ。実は産業構造の転換により、日本でもストが起きやすい土壌が生まれていたのである。現代日本でストが普通に行われるようになれば、ブラック企業への有効な圧力となることは間違いない。一方、海外では現在まで一貫してストが起きている。特にアメリカでは、「2018年はストの年」といってよいほど頻発した。しかも【教師が貧困家庭への公的支出増額を訴える】、【AI・アルゴリズムの透明化を求める】、【性暴力を防ぐ職場環境を要求する】など「社会問題の解決」を訴える「新しいストライキ」が海外では行われ始めている。このように、ストはアップデートし、もはや賃上げ要求だけを求めるものではなくなっている。こうした新しい潮流を紹介し、日本社会を変える道筋を示す。
  • 性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困
    3.5
    「彼女たちは、なぜ、その仕事をやめられないのか?」経済的困窮におかれたシングルマザーの中で、デリヘルなどの性風俗店で働く人たちが増えている。首都圏に比べて賃金も低い、働き口も少ない、行政の公的サービスも十分でないという地方都市において、「性風俗シングルマザー」はどのように仕事と育児をこなし、貧困から脱出しようともがいているのか? 地方都市で困難な状況に直面する彼女たちと社会福祉をつなげようと、性風俗店での無料法律相談を実施する著者が、現場の声を丹念に拾いつつ、単なるルポの枠を超えて、具体的な問題解決策まで提案する。【主な内容】・子供たちがひしめきあう託児所 ・風俗で働いていることを隠して結婚 ・子育て支援の充実した隣町に引っ越し ・高時給の仕事を探し、いつの間にかデリヘルに ・離婚できない「隠れシングルマザー」 ・接客中に保育園から電話がかかってくる ・スマホで分娩の方法を調べて自宅出産 ・「最悪の客」に指名される ・最初の仕事で性暴力被害に ・足りないのは「夫」でも「お金」でもない ・財政難の地方都市が貧困の連鎖を断つためには
  • 世界大麻経済戦争
    -
    日本ではいまだに非合法薬物として厳しく禁止されている大麻。しかし、世界は今、「合法大麻」をビジネスにつなげようという「グリーンラッシュ」に沸いている。合法大麻とは、病気の治療に使用される「医療用」、ヘンプと呼ばれ、繊維・燃料・建築資材・食品など広範囲に使われる「産業用」、そして「嗜好用」の3つである。アメリカでは各州でこの3つが解禁され、新たな産業が始まっているし、カナダはG7で最初に大麻を全面解禁し、ビジネス界をけん引している。また、中国は産業用ヘンプでトップシェアを誇り、イスラエルは医療用の最先端を走っている。さらに南米、欧州、アフリカ、アジア各国も、大麻を次々と解禁・合法化し、新ビジネスを開始しているのだ。本書では、大麻の歴史と基礎知識を解説するとともに、各国別の具体的産業を紹介。この流れに完全に乗り遅れた日本は、今後どうすべきなのか、その点も検証していく。
  • 世界と闘う「読書術」 思想を鍛える一〇〇〇冊
    3.5
    世界各地で民族紛争や宗教対立が激化している。かつて覇権争いの主役だった国家は、経済的にも政治的にも巨大なパワーを持つグローバル企業によって存在自体を揺さぶられている。日本も例外ではない。ブラック企業による労働者からの収奪は進み、自由は大企業だけが独占している。沖縄の基地問題はじめ日米関係、官僚支配の問題など政権交代をへても解決の糸口は見えない。世界は激変している。こんな時代に思想のないまま世界に対峙して生きていくことはできない。自分の言葉で世界をとらえ直し、みずからの思想を鍛えるのは読書しかない。ふたりの知の巨人が実体験をひきながら、読書を武器にする方法を説き明かす。【目次】はじめに――「AKB48と宗教」 佐藤 優/第一章 宗教・民族と国家/宗教・民族と国家を読む、必読ブックリスト/第二章 家族と国家/家族と国家を読む、必読ブックリスト/第三章 戦争・組織/戦争・組織を読む、必読ブックリスト/第四章 日本とアメリカ/日本とアメリカを読む、必読ブックリスト/第五章 沖縄・差別の構造/沖縄・差別の構造を読む、必読ブックリスト/第六章 日本・日本人/日本・日本人を読む、必読ブックリスト/第七章 文学・評伝・文芸批評/文学・評伝・文芸批評を読む、必読ブックリスト/第八章 社畜とブラック企業/社畜とブラック企業を読む、必読ブックリスト/第九章 未来を読む/未来を読む、必読ブックリスト/おわりに――異能の人との連帯 佐高 信/佐高 信が選ぶ、ジャンル別・必読「新書」リスト
  • 世界文学を継ぐ者たち 翻訳家の窓辺から
    5.0
    十九世紀、文豪ゲーテは「世界文学の時代が到来した」という名言を遺した。そして現在、世界の多極化を映し出す「バベル後の光景」から、新たな文学地図が描かれている。村上春樹や吉本ばなながイタリアの街を闊歩し、イギリス国籍の日本人作家カズオ・イシグロが、かの地の精神的風土を英語のキャンバスに描き出す。多くの作品を翻訳し、最先端の翻訳理論に通暁した著者が、旧植民地からの声や、ホロコーストの沈黙から芽吹いた言葉に耳を澄まし、「悲しみから生まれた希望」を標す五つの作品を取り上げた。二十一世紀の世界文学案内。【目次】プロローグ/序章 歴史のクレバスと現代の創世記/第一章 自分を語り、他者を語る――エヴァ・ホフマン『記憶を和解のために――第二世代に託されたホロコーストの遺産』/第二章 未来への記憶――アン・マイケルズ『儚さのかけら』/第三章 現代の神話――アルンダティ・ロイ『小さきものたちの神』/第四章 漂泊の果て――記憶の回復――マフムード・ダルウィーシュ『忘却への記憶――一九八二年 ベイルート 八月』/第五章 「不思議なもの」との友情――デイヴィッド・アーモンド『スケリグ』/結び――世界文学への応答/関連図書リスト――この先へ進みたい読者のために
  • 漱石のことば
    3.8
    ミリオンセラー『悩む力』の著者が、夏目漱石没後100年の年に、満を持して“名言集”に挑戦。漱石の平易な言葉は、今なお私たちに深い智慧をもたらしてくれる。「可哀想は、惚れたという意味」「本心は知り過ぎないほうがいい」「すれ違いは避けられぬ」「みんな淋しいのだ」「病気であることが正気の証」「嘘は必要」「一対一では、女が必勝」「頭の中がいちばん広いのだ」「片づくことなどありゃしない」。半世紀以上にわたり漱石全集を愛読してきた姜尚中が、密かに会得したこれらの“教訓”とともに、148の文章を紹介。本書は、混迷の21世紀を生き抜くための座右の書である。【目次】序章 残念な人生へのやさしい讃歌/第一章 かくも「私」は孤独である 【自我】/第二章 「文明」が人を不幸にする 【文明観】/第三章 たかが「カネ」、されど「カネ」 【金銭観】/第四章 「人の心」は闇である 【善悪】/第五章 「女」は恐い?! 【女性観】/第六章 「男」は男らしくない?! 【男性観】/第七章 「愛」は実らぬもの?! 【恋愛観】/第八章 「美」は静謐の中にあり 【審美眼】/第九章 とかくに「この世」は複雑だ 【処世雑感】/第一〇章 それでも「生きる」 【死生観】/終章 上り坂の向こう側へ/あとがき
  • 「それから」の大阪
    4.2
    大阪は「密」だからこそ魅力的だった。 そんな大阪の町はこれから変わってしまうのか、それとも、変わらないのか――。 2014年に大阪に移住した著者が「コロナ後」の大阪を歩き、人に会う。 万博開催予定地、40年の営業に幕を下ろす立ち飲み店、閑散とした道頓堀界隈、自粛要請に振り回される屋台店主、ベトナムに帰れず大阪で1年以上を過ごすアーティスト、町を練り歩くちんどん行列、新世代の大衆酒場、365日朝6時から営業する銭湯、ド派手な巨大看板をつくる工芸店……。 非常時を逞しく、しなやかに生きる大阪の町と人の貴重な記録。
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ
    4.3
    “イギリスのEU離脱決定”と“ドナルド・トランプのアメリカ大統領当選”を見て、成長と拡大を求め続ける資本主義経済の終焉を確信したという橋本治。資本主義の終わりとは何か? その後を我々はどう生きるべきなのか? 「昭和の終わりと同時に日本経済は飽和した」「貿易なんて西洋人の陰謀に過ぎない」「国民はクビにできないので、企業経営感覚の政治家は容易に差別主義者になる」など、政治や経済といった枠を超えて次世代に語りかけるメッセージ。【目次】まえがき/序章 イギリスのEU離脱を見ながら考えた/第一章 バブルになるとどうなるか/第二章 「ヨーロッパ」という謎を解く/第三章 経済は飽和したら終わるものだ/第四章 バブルを経て「社会」が消えた/第五章 なにを言ってもムダな人たち/第六章 世界が終わった後に/終章 不思議な王子様のモノローグ――私は中学生のときにバブルを見た/あとがき 川喜多研
  • 谷崎潤一郎 性慾と文学
    -
    谷崎文学の神髄、性と愛の交響。谷崎潤一郎は「無思想の作家」と称されていた。階級闘争を標榜したプロレタリア文学が隆盛をきわめた時代も、戦時体制のもとに民族主義的な思潮が台頭した時代も、谷崎は魅惑的な女性の美しさを描くためだけに命をささげ作品を紡いだ。誰しも政治、実業、学問などで身を立てることを願った、明治という立身出世の時代にあって、なぜ谷崎は社会の変革などよりも官能の充足の方がもっと大切だという人生観を抱くようになったのか。谷崎研究の第一人者が、その人生と作品群を詳細に検証する。
  • 淡々と生きる 100歳プロゴルファーの人生哲学
    -
    日本のゴルフ文化の礎をつくったと言われる白州次郎、小寺酉二に薫陶を受け、名門・軽井沢ゴルフ倶楽部に勤務した著者は、日本最高齢100歳のプロゴルファー。10歳でキャディーのアルバイトを始め、独学で身につけたゴルフ技術が評判となり、田中角栄、佐藤栄作など各界の著名人にゴルフレッスンしてきた。55歳でプロテストに一発合格した、遅咲きのプロゴルファーは今でも毎日150球のパター練習を欠かさない。「仕事ができる人間はゴルフでムダ口をたたかない」「基本こそすべて」など、人生とゴルフの真髄をあますことなく語る。【目次】はじめに/第1章 生きるために始めたのがゴルフだった/第2章 遅咲きのプロゴルファー/第3章 私のゴルフ哲学/第4章 仕事ができる人間はゴルフでムダ口をたたかない/第5章 人生の「谷」を歩く時/第6章 100歳から見える景色/おわりに
  • 短編小説のレシピ
    4.1
    800編もの短編小説を生み出してきたマエストロがみずから解説・案内する、短編小説の醍醐味。短いだけに、あらゆる技法を駆使した作品は、おもしろさも多彩。小説創りの源泉と技をも教えてくれる。向田邦子、芥川龍之介、松本清張、中島敦、新田次郎、志賀直哉、夏目漱石、ロアルド・ダール、エドガー・アラン・ポーなど10人の作家の、名作やユニークな作品を具体例として選んで特徴を解説し、短編の構造と技法に迫る。短編小説をより楽しく読むためにも、また書くためにも役立つヒントが満載。
  • 大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起
    3.6
    なぜ大学改革は失敗し続けるのか――? オックスフォード大学の苅谷剛彦と東大の吉見俊哉が徹底討論! 大学入試改革が混乱を極めているが、大学の真の問題はそこにあるのではない。日本の大学が抜け出せずにいる問題の本質に迫る刺激的な対論! 今、大学は歴史的に見ても大きな変革期にある。世界の多くの大学が、いわば瀕死の状態に陥っており、とりわけ日本の大学が抱える問題は根が深い。幾度となく改革が試みられるものの、ほとんど成果が上がらないのはなぜなのか。本書では、オックスフォード大学教授の苅谷剛彦と、ハーバード大学でも教えた経験のある東京大学大学院教授の吉見俊哉が、それぞれの大学を比較し、日本のトップレベルの大学が抜け出せずにいる問題の根幹を、対論を通じて浮かび上がらせる。
  • 誰が「知」を独占するのか ――デジタルアーカイブ戦争
    3.0
    「アーカイブ」とは、従来図書館や博物館が担ってきた、過去の文書や映像・音楽などを収集・公開する仕組み。いわば「知のインフラ」であり、その有効活用によって社会が得られる利益は計り知れない。しかし近年、アーカイブのデジタル化に伴い、これら「情報資産」を巡る国境を越えた覇権争いが激化している。グーグルやアマゾンなどアメリカ発の企業が世界中の情報インフラを掌握しつつある一方で、お粗末極まりないのが日本の現状。本書では世界を巻き込んだ「知の覇権戦争」の最新事情を紹介し、日本独自の情報インフラ整備の必要性を説く。【目次】はじめに/第1章 アーカイブでしのぎを削る欧米/第2章 日本の大規模デジタル化プロジェクトたち/第3章 知のインフラ整備で何が変わるのか/第4章 「ヒト・カネ・著作権」/第5章 最大の障害「孤児作品」/第6章 アーカイブ政策と日本を、どう変えて行くか/あとがき
  • 千曲川ワインバレー 新しい農業への視点
    3.0
    千曲川流域を活性化させたい、就農希望の若者やワイナリー開設を夢見る人の背中を押したい、という思いから始まったプロジェクト「千曲川ワインバレー」。流域にブドウ畑や新たなワイナリーを集積、更にはそのノウハウを伝授するワインアカデミーを設立するなど、本書では壮大なプロジェクトの全容を明らかにし、そこから見えてきた日本の農業が抱えている問題や展望にも迫る。様々な実践の先にあったのは「縁側カフェ」や「エシカルな生活観光」といった新しいライフスタイルの提案であり、日本農業の可能性だった。【目次】はじめに――いまはじまろうとしていること/第一章 のどの渇く風景/第二章 ワインとサッカーの新時代/第三章 ワイン農家は新人類/第四章 フランス人はなぜワインを飲まなくなったのか/第五章 農業はライフスタイルである/第六章 日本ワインの価値/第七章 ワインのある食卓/第八章 千曲川のほとり/あとがき――すでに動きはじめたこと
  • 父の文章教室
    4.3
    5歳の頃、放浪癖のあった父親と同居することになり、程なく、花村少年の地獄の日々がはじまった。『モルグ街の殺人事件』を皮切りに、古今東西の古典を読まされる毎日。飽きる素振りをみせれば、すぐさま拳が飛んできた――。4年にわたる狂気の英才教育の結果、岩波文庫の意味を解する異能児へと変貌した小学生は、父の死後は糸の切れた凧となり、非行のすえに児童福祉施設へと収容された。以来、まともに学校に通った記憶がない。本書は、芥川賞作家・花村萬月が、これまでの人生で唯一受けた教育の記憶をたどり、己の身体に刻み込まれた「文章作法」の源泉に向きあった、初の本格的自伝である。巻末に、父の死を描いた掌編『爛斑』を収録。【目次】はじめに/第一章 あなたは父が好きですか/第二章 それは山谷の旅館からはじまった/第四章 父の人柄/第五章 父が現れた! (一)/第六章 父が現れた! (二)/第七章 早期教育/第八章 筮竹/第九章 読書の時間(一)/第十章 読書の時間(二)/第十一章 読書の時間(三)/第十二章 父の芸術教室(一)/第十三章 父の芸術教室(二)/第十四章 課外授業/第十五章 父自身のこと/第十六章 断片的であること/第十七章 父の死後(一)/第十八章 父の死後(二)/第十九章 教育と強制/第二十章 キリスト教/第二十一章 父の愛/第二十二章 母の愛/終章 そして現在/爛斑/花村萬月著作リスト
  • 中国人のこころ 「ことば」からみる思考と感覚
    4.0
    日本人「あなたたちは、いま何時だかわかっているのか!?」 中国人「……夜の2時半です」。日本人バスガイドさん「皆さま、お疲れ様でした」 中国人観光客「いえ、私は別に疲れていません……」。「噛み合わない」やり取りは、今日もまたどこかの日本人と中国人との間で交わされているに違いない。それではなぜ、こうした誤解やすれ違いが生じてしまうことになるのだろうか? その答えのカギは、日本語と中国語のそれぞれの「ことば」がもつ特質と、それぞれの発想法の違いにあるのだという。本書は、30年以上にわたり中国語を研究してきた著者が「言語」を切り口にして、日本との比較を行いながら中国人に特有の思考様式や価値観について分析・紹介した、思わず笑える知識が満載のユーモア溢れる言語文化論である。グローバル化が進み、中国人との日々の接点が増えている現代日本人にとって、必読の一冊だ。【目次】序章 「ことば」は人を造り、人を現す/第1章 対話における反応──聞き手はどう対応しているか?/第2章 人間関係とコミュニケーション──「挨拶」について考える/第3章 中国語の伝達機能と受信感覚──「意味」による呪縛/第4章 中国人の価値観──現実世界の認識と行動の規範/第5章 言語システムに侵食する思考と感覚──法則の背景に存在するもの/あとがき──「ことば」は「思惟・感覚」を支配する
  • 中東民衆革命の真実――エジプト現地レポート
    3.7
    2011年、2月21日、エジプトを30年間統治してきた大統領、ムバーラクが退陣を表明した。それは、5000年にも及ぶアラブの大国の歴史の中で、民衆が初めて自らの手で体制を打倒した瞬間であった。この革命の余波はシリア、リビア、イエメン、サウジアラビアなど中東に広がり、各地で叛乱の火の手があがっている。エジプトで、ムバーラク政権を追い詰めたものはいったい何だったのか。エジプトを軸とする中東の動きを長年観察し、現地取材を続けてきたジャーナリストが、今後の中東情勢を考える。【目次】はじめに/第一章 静かな興奮/第二章 予測を超えた展開/第三章 旧世代の憂鬱/第四章 タハリール共和国/第五章 下支えした既成勢力/第六章 五十四年体制の崩壊/第七章 新しい革命/第八章 青ざめる米国/第九章 不可視の船出/おわりに
  • 創るセンス 工作の思考
    4.1
    かつての日本では、多くの少年が何らかの工作をしていた。しかし、技術の発展で社会が便利になり、手を汚して実際にものを作るという習慣は衰退し、既製品を選んだり、コンピュータの画面上で作業することが主になった。このような変化の過程で失われた、大切なものがある。それは、ものを作ったことのない人には、想像さえつかないものかもしれない。「ものを作る体験」でしか学べない創造の領域、視覚的な思考、培われるセンスとは何か。長年、工作を続けている人気作家が、自らの経験を踏まえつつ論じていく。【目次】まえがき/1章 工作少年の時代/2章 最近感じる若者の技術離れ/3章 技術者に要求されるセンス/4章 もの作りのセンスを育てるには/5章 創作のセンスが産み出す価値/あとがき
  • 妻と最期の十日間
    4.3
    世界各国の紛争地域を取材してきた著者が、最愛の妻をくも膜下出血で亡くすまでの看取りの十日間を記録したノンフィクション。世界中で多くの生と死を見続けてきた著者だったが、迫りくる妻の「死」には、ただひたすら戸惑い、動揺し、取り乱すばかりだった。回復の兆しはなく、意識も戻らぬまま、脳死に陥る妻。著者は、妻の「その瞬間」までを詳細に記録することで、過酷な現実と向き合うことを選ぶ。【目次】プロローグ/第一章 突然の知らせ/第二章 延命/第三章 家族旅行/第四章 日記/第五章 病床の聖餐式/第六章 目の前の事実/第七章 不安/第八章 鳴り始めたアラーム/第九章 二人だけの時間/第十章 桜舞う夜に/エピローグ
  • 強く生きるために読む古典
    3.9
    高校三年で肉体労働の現場に転がり込んだ著者は、一冊の古典を読む。ヘーゲルの『小論理学』だ。その哲学書は、日々の土木作業で疲れ切った若者に「未知の地平へジャンプするための勇気」を教えてくれた。正しい理解を目ざすのではなく、自分が生き延びる助けになるように本を読む。そのとき、難解・重厚と思われた古典は、人生を戦うための武器となり、仲間となる。いわば、生きるための読書だ。その実践記録である本書は、「未読の古典にチャレンジするための勇気」を私たちに与えてくれる。【目次】はじめに 「できそこない」のためのブックガイド/1 『失われた時を求めて』(プルースト)かけがえのない時間/2 『野生の思考』(レヴィ=ストロース)ゴミ捨て場からの敗者復活戦/3 『悪霊』(ドストエフスキー)もしも世界が一編の美しい文章なら/4 『園遊会(ガーデンパーティー)』(マンスフィールド)今日、リアルな死に触れて/5 『小論理学』(ヘーゲル)気がつくと見知らぬ土地に立っていた/6 『異邦人』(カミュ)夕暮れ、場違いな人/7 『選択本願念仏集』(法然)最低の人間に贈られた最高の方法/8 『城』(カフカ)成し遂げられていない物語/9 『自省録』(マルクス・アウレーリウス)春の季節に生まれいづ/あとがき

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