小説・文芸 - 創元推理文庫作品一覧

  • 容疑者
    4.3
    「置いていかないで!」ロス市警の刑事スコット・ジェイムズは相棒のステファニーとパトロール中、銃撃事件に遭遇する。銃弾はふたりを襲い、ステファニーは死亡、スコットも重傷を負った。事件から九カ月半、犯人はいまだ捕まらず、スコットの耳に相棒の悲痛な叫びだけがこだまする。事件前の決定どおり警備中隊へ配属となったスコットがそこで出会ったのは、新たな相棒マギー。アフガニスタンに従軍し、そこでスコットと同様大切な相棒を失った雌のシェパードだった。心に傷を負ったひとりと一匹の新たな旅立ち。アメリカ探偵作家クラブ生涯功労賞受賞の著者、渾身の大作登場。
  • 夜のフロスト
    4.3
    【第1位『週刊文春』2001年傑作ミステリーベスト10/海外部門】新任部長刑事ギルモアが配属されたのは、しけた町だった。まあ、ここは眼も眩む高みに昇りつめるための梯子の一段目にすぎない。こき使われる心配がなさそうなのも幸いだった。だが、いざ出勤してみれば、猛威を振るう流感に、署は壊滅状態。折悪しく、町には中傷の手紙がばらまかれ、老女ばかりを狙う切り裂き犯が暗躍を開始する。なんたる不運。そのうえ、だらしない風体に、悪夢のような下ねたジョークを連発する男、フロスト警部と組む羽目になろうとは……。さすがの名物警部も、今回ばかりは青息吐息。爆走する英国警察小説、大好評第3弾!/解説=霞流一

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  • フロスト日和
    4.5
    【第1位「このミステリーがすごい!1998年版」海外編ベスト10】ウェブスターの眉間の皺は深まる一方だった。切れ者の警部として鳴らしたこの自分が、上司に鉄拳をお見舞いしたばかりに、降格のうえ、役立たずのぼんくら親爺、ジャック・フロストのお守り役を押しつけられる羽目となった。だが、肌寒い秋の季節、連続婦女暴行魔は悪行の限りを尽くし、市内の公衆便所では浮浪者の死体が小便のなかに浮かぶ。ここはひとつ、ロートル警部になりかわって事件解決に邁進しなくては……。皆から無能とそしられながら、名物警部フロストの不眠不休の奮戦は続く。笑いと緊張が堪能できる、まさに得難い個性の第2弾。/解説=温水ゆかり

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  • あの夏が教えてくれた
    NEW
    4.0
    ボーディはミズーリ州の田舎町で暮らす15歳の少年。父を亡くし母親と淋しい日々を送っている。高校に馴染めず、友達は一人もいない。静かすぎるその町で、最近大事件が起きた。町最大の企業〈ライク工業〉に勤める黒人女性が、不審な失踪を遂げたのだ。そんなとき、ボーディが慕う隣人ホークを保安官が訪ねてくる。女性は実はホークの知人で、ふたりのあいだには噂があったという。思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす―。現実に悩みつつ、少年は鮮やかに成長する。『償いの雪が降る』の著者が贈る、心震える青春ミステリ!/解説=古山裕樹
  • スリー・カード・マーダー
    NEW
    -
    被害者は、2月5日、火曜日の午後4時5分に空から降ってきた。喉には無惨な切り傷。落下してきたと思われたその男のフラット5階、バルコニーのある部屋は無人で、しかも玄関ドアは内側から釘と板で封じられていた。この不可解な密室殺人に臨むのは、サセックス警察のテス・フォックス警部補。彼女はしかし、被害者の名を知って愕然とする。その男は15年前、妹セアラを救うために罪を犯したあの夜の関係者だった。詐欺師として自分と正反対の世界で生きる異母妹を救うために……。意外な展開を見せる事件に姉妹が挑む、新シリーズ開幕!
  • 夜明けを探す少女は
    3.5
    世の中には、夜になっても鍵をかけない家があるのを知ってる?──シカゴの高校に通う黒人の少女ボーは、卒業を機にこの街を出ると決めていた。絵の才能を活かし、盗みも撃ち合いもないどこか遠くへ行くのだ。そんな十六歳の冬、姉のカティアが不法侵入の疑いで警官に射殺された。外の安全な世界に憧れ、ボーに語り聞かせてきた姉が、犯罪に手を染めるはずがない。ボーは姉の無実を証明するため、現場から消えた姉の恋人を自ら探しはじめる。少女のひたむきな調査行と姉妹の絆が胸を打つ、アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補作!/解説=吉野仁
  • 印

    3.7
    その女性は湖のほとりのサマーハウスで首を吊っているのを友人に発見された。夫によると、数年前に親密だった母親を病で失って以来、彼女は精神的に不安定になっていたらしい。また死後の世界に興味を抱き、降霊術師のもとに出入りしていたことも。自殺に見える。いや、本当にそうなのだろうか? レイキャヴィク警察の捜査官エーレンデュルは疑問を感じ、一人地道な捜査を進める。暴かれる悲痛な過去、明らかになる驚愕の真実に、心の奥底までゆさぶられる。アイスランド推理小説大賞受賞。北欧ミステリの巨人による好評シリーズ第6弾。
  • 誘拐犯 上
    3.5
    ロンドン警視庁の孤独な刑事、ケイト・リンヴィルは、敏腕警部だった父の惨殺現場となった生家を貸し家にしていたが、家の処分を決意。宿を取った近くのB&Bの14歳の娘アメリーが行方不明になる。捜査にあたるのは、ケイトの父の事件の時と同じ地元警察のケイレブ・ヘイル警部だった。その頃、1年前に失踪した少女の遺体が発見された。これは同一犯による誘拐なのか? しかし、アメリーは奇妙な状況下で発見される。防波堤から海に落ちかけていたところを男たちに助けられたのだ! 何があったのか? ケイトは管轄外の事件に再び巻き込まれる。
  • 死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選
    3.8
    “これから起こる殺人”を通報してきた男に翻弄され、不可能犯罪の謎に挑む刑事を描いた「死の警告」。『シカゴ・ブルース』で忘れがたい印象を残した青年探偵エドとアムおじが活躍する「女が男を殺すとき」「消えた役者」。検死局で起きた不可解な死体損壊事件「球形の食屍鬼(グール)」。稼ぎの10パーセントと引き換えに、ある男に自分のマネジメントを任せた俳優志望の青年の数奇な物語「死の10パーセント」など、本邦初訳3作を含む全13編。謎解きミステリ、〈奇妙な味〉等、『短編ミステリの二百年』の編者が選りすぐった多彩な名作短編のフルコース!/【目次】序文――フレッド・ブラウンを思い起こして=ウィリアム・F・ノーラン/5セントのお月さま/へま/女が男を殺すとき/消えた役者/どうしてなんだベニー、いったいどうして/球形の食屍鬼(グール)/フルートと短機関銃のための組曲/死の警告/愛しのラム/殺しのプレミアショー/殺意のジャズソング/死の10パーセント/最終列車/編者解説=小森収
  • イタリアン・シューズ
    4.7
    かつて犯した医療事故が原因で、人目を避けるようにしてひとり離れ小島に住む元医師フレドリック・ヴェリーン。ある日そんな彼のもとに、37年前に捨てた恋人ハリエットがやってくる。治らぬ病に冒された彼女は、白夜の空の下森の中に黒く浮かぶ湖に連れて行くという、昔の約束を果たすように求めに来たのだ。かつての恋人の願いをかなえるべく、フレドリックは彼女と一緒に島を出発する。だがその旅は彼の人生を思いがけない方向に導いていくことに……。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の著者が描く、孤独な男の贖罪と再生、そして希望の物語。
  • 嵐の地平
    4.5
    猟区管理官ジョー・ピケットの養女エイプリルが、意識不明の状態で発見された。頭を殴られ、道端に置き去りにされていたのだ。エイプリルはロデオ・カウボーイのダラスと駆け落ちしていたが、彼はかつて少女に暴行した疑惑があり、ジョーは交際に反対していた。だがダラスの両親から、彼は大怪我をして実家に戻っており、無関係だと言われてしまう。ジョーはダラスを疑いながらも、犯人を探しだそうとするが。一方、FBIから釈放された盟友ネイトにも危機が迫っていた。悪辣な人間と大自然の脅威に挑む猟区管理官を描いた、大人気シリーズ最新作!
  • 南の子供たち
    3.8
    「ミシシッピへ行きなさい。あの白いマントヒヒを連れて」突然の母の言葉に、私立探偵のリディアは言葉を失った。パートナーのビルとわたしが、なぜアメリカ南部に?……それは殺人の容疑をかけられた青年の無実を証明してほしいという、親戚からの依頼だった。ビルを伴い、自分たち家族が住んだかもしれない町を訪れたリディアは、そこで渦中の容疑者が脱走したことを知る。知られざる中国系アメリカ人の歴史をひもときつつ、事件の解決に奔走するふたり。現代ハードボイルドの最高峰〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ、最新作の登場!/解説=大矢博子
  • 過ちの雨が止む
    4.2
    大学を卒業し、AP通信社で記者として働くジョーは、ある日、田舎町で起きたジョー・タルバートという男の不審死を知らされる。プレスリリースには凶行の疑いがあると書かれていた。死んだ男は、ジョーが生まれてすぐに姿を消した、顔も知らない父親かもしれない。ジョーは事件に興味を抱き、その町へ向かう。判明したのは、男が実父である可能性が高く、多数の人々の恨みを買っていたことだった。ジョーは真相解明に挑むが……。家族の秘密に直面する青年を情感豊かに描く、心揺さぶるミステリ。バリー賞など三冠に輝いた『償いの雪が降る』続編。/解説=若林踏
  • ダムゼル 運命を拓きし者
    -
    イノフェ公国は貧しかった。干魃で農耕ができず、経済は物々交換に依存する始末。そんな公国のプリンセス、エロディに、豊かな島国オーリア国の王子から結婚の申しこみがあった。エロディが嫁いでくれば、公国を援助してくれるというのだ。豪華な婚礼衣装、贅を尽くした料理、オーリア国は母国とは天と地ほども異なっていた。おまけに夫となる王子はうっとりするほど素敵なのだ。だがエロディはどこか違和感を覚えていた。そして結婚式の夜……。貧乏国のプリンセスが機知と勇気で運命を切り拓く、Netflix映画原作の異世界ファンタジイ登場!
  • 平凡すぎて殺される
    3.6
    28歳のポールの特徴は“平凡すぎる”顔だ。わけあって無職のまま、ボランティアで病院を訪れて、彼を自分の息子や甥と思いこんだ老人たちを癒す日々を送っている。ある日、末期ガンの老人を見舞うと、錯乱した彼に誰かと間違われてナイフで肩を刺されてしまう。老人は亡くなり、警察は恐ろしい事実に気がついた。彼は悪名高いギャングで、有名な誘拐事件の関係者だったのだ。警察に衝撃が走る一方、ポールは爆弾で命を狙われ、さらに……。身を守るには逃げながら誘拐事件の真相を探るしかない!? 巧みな構成が光るノンストップ・ミステリ!
  • 熊と小夜鳴鳥
    4.2
    ルーシ北部の領主の娘ワーシャは、変わった少女だった。人には見えない精霊を見る力をもっていたのだ。だが母が亡くなり、新しい母アンナがやってきたことで、彼女の運命は一変した。アンナは熱心なキリスト教徒で、精霊を悪魔と呼び、怯え嫌ったのだ。さらに都から派遣された司祭が村人の精霊信仰を禁じたため、本来人々を悪しきものから守っていた精霊たちの力が弱くなってしまった。ある冬、村を極寒と夜の化け物が襲った。ワーシャは精霊を助け、化け物と戦うが……。心のままに自由に生きようとする少女ワーシャの闘いを描く、三部作開幕。
  • 影を呑んだ少女
    4.3
    メイクピースはずっと母とふたりで暮らしていた。悪夢にうなされるたび、母は怒った。メイクピースは幽霊を憑依させる体質だから、抵抗しなければいけないというのだ。そんなある日、ロンドンで暴動に巻きこまれ、母が命を落としてしまう。残されたメイクピースのもとへ会ったこともない亡き父親の一族から迎えが来た。父は死者の霊を取り込む能力をもつ旧家の次男だったのだ。父の一族の屋敷で暮らし始めたメイクピースだったが、屋敷の人々の不気味さに嫌気がさし、逃げだす決心をする。『嘘の木』の著者が17世紀英国を舞台に描く歴史大作。/解説=杉江松恋
  • 地球の中心までトンネルを掘る
    4.0
    代理祖父母派遣会社のエースとして、核家族の子どもの「ばあば」を演じて報酬を得ている女性(「替え玉」)。自分の中の発火遺伝子に怯えながら、製菓店の娘に恋する青年(「発火点」)。折りヅルを用いた遺産相続ゲームに挑む一族の男たちと、その審判を務める孫のぼく(「ツルの舞う家」)。大学を卒業し、何者にもなれず生きてきたある朝、ふと裏庭にトンネルを掘り始めた三人の若者(表題作)。――とびきりヘンで、優しく、がむしゃらな人々を描いた11の物語。シャーリイ・ジャクスン賞と全米図書館協会アレックス賞を受賞した珠玉の短編集。/【目次】替え玉/発火点/今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き/ツルの舞う家/モータルコンバット/地球の中心までトンネルを掘る/弾丸マクシミリアン/女子合唱部の指揮者を愛人にした男の物語(もしくは歯の生えた赤ん坊の)/ゴー・ファイト・ウィン/あれやこれや博物館/ワースト・ケース・シナリオ株式会社/謝辞/特別エッセイ=津村記久子/解説=倉本さおり/収録作原題・初出情報
  • その罪は描けない
    3.8
    「証明してくれよ、おれが犯人だと」銃を持って私立探偵ビル・スミスの家に押しかけてきた男はそう言った。彼の名はサム・テイバー。かつての依頼人で殺人者だ。収監された刑務所で絵の才能を見出されて仮釈放となり、現在は画家として活躍中。記憶も証拠もないが、最近ニューヨークで起きた二件の女性殺害事件は自分の犯行だと主張するサムの話の真偽を調べるため、ビルはサムと交流のある美術業界の関係者を相棒リディアと訪ねる。だがその矢先に、第三の犠牲者が……。必読の現代ハードボイルド〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ!/解説=吉野仁
  • 熱砂の果て
    4.4
    ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケットの盟友ネイトのもとへ、連邦政府の秘密組織の男たちが人質を取って現れた。彼らは政府に追われているネイトの容疑を抹消することと引き換えに、ある任務を依頼した。州南部の砂漠地帯で大規模テロを計画している可能性がある、駐米サウジアラビア大使の息子の動静を探れ、と。ネイトは引き受けざるを得なかったが、この件には何か裏がありそうで……。一方のジョーも、ネイトが失踪したという情報を受けて、砂漠地帯へと向かう。不毛の荒地を舞台に、大迫力のアクションが繰り広げられる冒険サスペンス!/解説=堂場瞬一
  • ヴァイオレットだけが知っている
    3.2
    停職中のロンドンの警察官ビッシュは、娘の乗ったバスが爆破されたと連絡を受ける。フランス北部へのバスツアーに参加していたイギリスの子供が、大勢巻きこまれたらしい。娘は無事だったが重傷者多数、数人が死亡した。さらにツアー参加者のひとりが、かつて23人を殺害した“ブラッケンハムの爆弾魔”の孫だと判明。その17歳の少女ヴァイオレットは、事情聴取のあとでツアー参加者の少年とともに姿を消してしまう。ビッシュは被害者の家族として、彼女たちの行方を追うが……。多数の受賞歴を持つ名手が放つ、謎に満ちた追跡サスペンス!
  • カッコーの歌
    4.2
    「あと七日」意識を取りもどしたとき、耳もとで笑い声と共にそんな言葉が聞こえた。 頭が痛い……。わたしは……わたしはトリス。昨日池に落ちて記憶を失ったらしい。少しずつ思い出す。母、父、そして妹ペン。ペンはわたしをきらっている、憎んでいる、そしてわたしが偽者だと言う。なにかがおかしい。破りとられた日記帳のページ、異常な食欲、恐ろしい記憶。そして耳もとでささやく声。「あと六日」。わたしに何が起きているの? 大評判となった『嘘の木』の著者が放つサスペンスフルな傑作。英国幻想文学大賞受賞、カーネギー賞最終候補作。/解説=深緑野分
  • 図書館島異聞 翼ある歴史
    -
    帝国オロンドリアを二分した大乱は、書物と言葉を巡る戦いでもあった。そのただ中を生きた四人の女性たち――貴族出身ながら戦いにその身を投じた剣の乙女、彼女を愛した遊牧民の歌い手、帝国を支配する思想を創り上げた男を父に持つ女司祭、そして反乱の指導者である王子の秘密を知る王家の娘。彼女たちは正史から葬られようとしているそれぞれの物語を、自らの言葉で語り始める。響きあう四つの物語からやがて立ち上がるのは――デビュー長編にして世界幻想文学大賞など四冠『図書館島』の著者が贈る、書物と言葉を巡る傑作本格ファンタジイ。/解説=河野聡子
  • 優等生は探偵に向かない
    4.2
    高校生のピップは、友人のコナーから失踪した兄の行方を探してくれと依頼される。兄のジェイミーは、2週間ほど前から様子がおかしかったらしい。コナーの希望で、ピップはポッドキャストで調査の進捗を配信し、リスナーから手がかりを集めていく。関係者へのインタビューやSNSなども丹念に調べることで、少しずつ明らかになっていく、失踪までのジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理が、事件の恐るべき真相を暴きだす。年末ミステリランキング第1位『自由研究には向かない殺人』続編。この衝摯の結末を、どうか見逃さないでください!/解説=阿津川辰海
  • 図書館島
    3.5
    文字を持たぬ辺境の島に生まれ、異国の師に導かれて書物に耽溺して育った青年は、長じて憧れの帝都に旅立つ。だが航海中、不治の病に冒された娘と出会ったがために、彼の運命は一変する。世界じゅうの書物を収めた巨大な王立図書館のある島で幽閉された彼は、書き記された〈文字〉を奉じる人々と、語り伝える〈声〉を信じる人々の戦いに巻き込まれてゆく――デビュー長編にして世界幻想文学大賞、英国幻想文学大賞、ジョン・W・キャンベル新人賞、クロフォード賞の四冠を制覇した驚異の新人による、書物と言葉をめぐる傑作本格ファンタジイ。/解説=乾石智子
  • 厳寒の町
    3.8
    男の子の年齢は十歳前後。地面にうつ伏せに倒れ、体の下の血だまりは凍りはじめていた。アイスランド人の父とタイ人の母の間に生まれた男の子は、両親の離婚後母親と兄と一緒にレイキャヴィクのこの界隈に越してきたのだ。母親が移民だったために人種差別からくる殺人が疑われ、エーレンデュルら捜査陣は、男の子が住んでいたアパートや通っていた学校を中心に捜査を始めるが……。CWAインターナショナル・ダガー最終候補作。世界のミステリ界をリードする著者が、レイキャヴィクを舞台に現代社会の問題にメスを入れた、好評シリーズ第5弾。
  • 越境者
    4.3
    ワイオミング州猟区管理官の職を辞したジョー・ピケットは、ルーロン知事の意向で現場に復帰していたが、新たな任務を与えられる。巨大製薬会社の跡取りスコギンズが失踪し、FBIは、州の辺境に住む富豪テンプルトンが前々から暗殺業を営んでおり、スコギンズを標的にしたのではと疑っていた。さらにスコギンズ失踪の前後、ジョーの友人のネイトらしき男が近くで目撃されていた。ジョーは知事の指令でFBIに協力し、テンプルトンの本拠地へ情報収集に赴くが……。ジョーがネイトと敵対!? 全米ベストセラーの冒険サスペンス・シリーズ!/解説=三橋曉
  • 手/ヴァランダーの世界
    4.2
    田舎暮らしを願っていたヴァランダーに、同僚のマーティンソンが物件を紹介した。購入を考えたヴァランダーだったが、なんと家の裏庭で地面から人間の手の骨が突き出しているのを見つけてしまう。地面の下には骸骨と衣服の残りが埋まっていた。ヴァランダーは過去に遡って家の持ち主を調べ始める……。著者が書店キャンペーン用に書き下ろした、『霜の降りる前に』と『苦悩する男』の間に位置する中編「手」と、マンケル本人によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を網羅した「ヴァランダーの世界」を併録。シリーズファンなら絶対見逃せない一冊。/【目次】手/著者あとがき/ヴァランダーの世界/1 始まりと終わり、そしてその間になにがあったか?/2 クルト・ヴァランダーの物語/3 ヴァランダー、そして彼の家族と周辺の人々/4 人物索引/5 ヴァランダーの地理的世界/6 地名索引/7 ヴァランダーの好きなもの/8 文化索引/訳者あとがき
  • 平凡すぎる犠牲者
    4.0
    殺されたのは、社会的に孤立し、アルコール依存症で年金生活者の男性だった。きわめてありふれた犠牲者。捜査にあたるのは、かつて精鋭揃いの国家犯罪捜査局殺人捜査特別班に所属していたベックストレーム警部以下、一癖も二癖もあるソルナ署の刑事たちだ。だが、被害者と同じアパートの住人や競馬仲間たちと、関係者は一筋縄ではいかない連中ばかり。さらに、有力な容疑者で第一発見者の新聞配達員が死体で発見されるに至り、捜査は混迷を極める。スウェーデン・ミステリ界の重鎮、『許されざる者』で5冠を獲得した著者の、シリーズ第2弾。
  • 時間旅行者のキャンディボックス
    3.8
    1967年のイギリスで、4人の女性科学者がタイムマシンの開発に成功し、300年先の未来までの時間旅行が実現した。そして、時間移動を厳格に管理すべく、国家からも独立した〈コンクレーヴ〉と呼ばれる巨大なタイムマシン運用組織が誕生した。時間旅行を独占するのはもちろん、タイムトラベラーが起こした犯罪も、この組織が独自に対処する。だが、タイムトラベルには精神に及ぼす深刻な副作用があった。ある殺人事件に遭遇した女性オデットが〈コンクレーヴ〉に潜入し、事件の調査を進めるうちに、その恐るべき事実が明るみに……異色の時間SF!/解説=堺三保
  • 発火点
    4.4
    ワイオミング州の猟区管理官ジョー・ピケットの知人で、工務店経営者ブッチの所有地から、2人の男の射殺体が発見された。殺害されたのは合衆国環境保護局の特別捜査官で、ブッチは同局から不可解かつ冷酷な仕打ちを受けていた。逃亡した容疑者ブッチと最後に会っていたジョーは、彼の捜索作戦に巻きこまれ……。大自然を舞台に展開される予測不可能な追跡劇の行方と、事件に隠された巧妙な陰謀とは。手に汗握り、一気読み間違いなしの大迫力冒険サスペンス! 全米ベストセラー作家が贈る大人気〈猟区管理官ジョー・ピケット〉シリーズ新作登場。
  • 湖の男
    3.9
    その白骨は干上がった湖底で発見された。頭蓋骨には殴られたらしい穴があり、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。30年以上前の事件らしいことから、エーレンデュル捜査官の手に捜査が委ねられた。丹念な調査の末、ある失踪事件が浮かび上がる。アイスランド全土をまわっていた農業機具のセールスマンが、婚約者を残し消息を絶っていたのだ。男の名は偽名で、彼の身分証明記録は一切なかった。男は何者で、何故消されたのか? 捜査が浮かびあがらせたのは、時代に翻弄された哀しい人々の真実だった。北欧ミステリの巨人渾身の大作。ヨーロッパミステリ大賞、バリー賞受賞!
  • スコットランドの危険なスパイ
    4.3
    1942年、わたし、マギー・ホープは、特別作戦執行部への協力を拒んだため、スコットランド西海岸の孤島にある城に囚われていた。忌まわしい過去を持つこの城は、外部と隔絶した極秘の収容所として機能しており、ほかにも9名が囚われている――いずれもなんらかの理由で隔離が必要と判断されて。無為な日々を過ごしていたわたしたちだったが、新たな工作員が島にやってきた日から、ひとりまたひとりと謎の死を遂げていき……。この島でいったい何が起きているのか? 世界的ベストセラー・シリーズ最新刊!
  • 指名手配
    4.3
    ロスの私立探偵エルヴィス・コールは、最近妙に金回りがいい息子タイソンのことを調査してほしいという母親からの依頼を受ける。どうやら少年は仲間ふたりとつるんで裕福な家からの窃盗を繰り返しているらしい。警察に捕まる前に逃亡中のタイソンを確保し、なんとか自首させたいという母親。だが、タイソンを追うコールの先回りをするかのように、何者かが少年の仲間を殺し、証人の口を塞いでいた。少年らが盗んだものに何か重大な秘密が隠されている? そしてタイソンの身にも危険が……。大評判となった『容疑者』『約束』に続く第3弾登場。
  • 終焉の日
    4.1
    1980年のバルセロナ。弁護士のマリアは数年前に、悪徳警官セサルが情報屋を制裁した殺人未遂事件で、セサルを刑務所送りにしたことで脚光を浴び、名声を得た。だが今、その事件が何者かの陰謀によって仕組まれていたと判明する。マリアは服役中のセサルに面会して事件の再調査をはじめ、自らの血の桎梏と体制側の恐るべき策略を知る。次第に明らかになる、マリアが背負わされた想像を絶する罪とは。殺人、偽証、復讐に運命を狂わされた人間たちの悲哀が胸を打つ。欧州読書界で絶賛された圧巻の大河ミステリ。ヨーロッパミステリ大賞受賞作。
  • 悪しき狼
    4.4
    マイン川で少女の死体が発見された。司法解剖の結果、年齢は14歳から16歳、長期間にわたって虐待された痕があり、死因は溺死だと判明する。だが不可解なことに、少女は淡水ではなく塩素水で溺れていた。おぞましい犯罪に、刑事たちは必死の捜査をはじめるが、二週間たっても少女の身元が判明しない。さらに新たな殺人未遂事件が発生し、捜査は混迷を深めていく。少しずつ明らかになる、警察関係者の想像を絶する凶悪犯罪の全貌。刑事オリヴァーとピアにかつてない危機が迫る! 〈ドイツミステリの女王〉による大人気警察小説シリーズ第6弾。
  • ホテル・リッツの婚約者
    4.0
    1942年、イギリスの特別作戦執行部の工作員であるわたし、マギー・ホープは亡き友になりすまし、ドイツ占領下のパリに潜入していた。異父妹のエリーゼをイギリスへ連れ帰るため。さらには、戦局の行方を左右する重大な情報を持っているはずの工作員を救うため。滞在先の〈ホテル・リッツ〉で高名なデザイナーのココ・シャネルと知り合ったわたしは、一瞬たりとも気を抜けない日々の連続を過ごしていた。そんな折、イギリスの工作員ネットワークに亀裂が生じる。裏切り者がいるのか? ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの大人気シリーズ!/解説=上条ひろみ
  • ローズ・アンダーファイア
    4.2
    1944年9月。英国補助航空部隊に所属する飛行士のローズは、戦闘機を輸送する途中でドイツ空軍機に捕まり、航空基地に連行された。そしてスパイの疑いをかけられ、主に女性を収容しているラーフェンスブリュック強制収容所に送られてしまう。飢えや寒さに苦しみながら、苛酷な労働に従事するローズ。地獄で見つけた支えあえる“家族”と生き延び、窮地を脱するための意外な方策とは――。MWA賞受賞作家が描いた、戦争に翻弄される女性たちの強い絆と闘い。日記や手紙で構成された、先の見えない展開の果てに待つ圧巻の結末が胸を打つ傑作。
  • 影の歌姫 上
    4.0
    アリーことアルキュオネー、レマン湖のほとりに建つおとぎの城のような館〈アトランティス〉で育った血の繋がらない六人姉妹の次女、フルート奏者にして、ヨット選手。父の死の知らせを聞いたとき、アリーは最愛の人と、地中海の島の湾に錨をおろしたヨットの上にいた。父が死んだ? だがアリーはその前日、父の豪華ヨット〈タイタン号〉を目撃したばかりだった。いったい何が起きていたのか。悲しみをこらえ、前に進もうとするアリーにさらなる悲劇が襲いかかる。世界的ベストセラー作家が謎に満ちた姉妹の運命を描く、好評シリーズ第2弾。
  • 遭難信号
    3.7
    アイルランドの小さな町で、ハリウッドを夢見て脚本を書き続けてきたアダム。恋人のサラが仕事でバルセロナに出張し、まったく連絡がとれなくなってしまう。だが出発から数日後、アパートにサラのパスポートが郵送されてくる。それには「ごめんなさい――S」とサラの字で書かれた付箋が貼ってあったが、封筒の文字は別人のものだった。彼女に何があったのか? アダムは恋人を追い、手がかりをもとに地中海クルーズ船に乗り込む。千以上もの客室を持つ豪華客船で暴かれる、予想外の真実。巧みな構成力と謎解きの妙味を味わえる衝撃のサスペンス!/解説=穂井田直美
  • 星水晶の歌 上
    -
    季節外れの嵐、雨のない雷、全てを覆い尽くす白い霧。世界を襲う異常気象は、アトーリス王国が秘密裏に開発した兵器〈氷河〉の影響か。敵国ギルデアがその兵器を奪おうと画策するなか、王室の諜報員ステランは危機感を募らせる。内外から迫る脅威。立ち向かうすべはあるのか。ランドリアはひとつの覚悟を胸にギルデアに赴き、ウィルナーは故国の激戦に身を投じる。一方、サラファーンの星の雫を預言の英雄に届ける途上、砲弾に倒れたジョーは、九死に一生を得るが……。戦乱に翻弄されながら精一杯いまを生きる人びとを描く壮大な四部作ついに完結。
  • グリーン車の子供
    3.9
    7年ぶりに、「盛綱陣屋」の微妙役への出演依頼があった老歌舞伎俳優・中村雅楽。しかし、雅楽は子役の配役が気にいらず、出演をなかなか快諾しない。そんな中、法要のため大阪を訪れた雅楽は、友人の竹野記者とともに帰京する新幹線のグリーン車で、一人の幼い少女と隣同士になる。東京へ到着する直前に「陣屋」への出演を決意した理由とは? 《中村雅楽探偵全集》第二巻は、第29回日本推理作家協会賞を受賞した「グリーン車の子供」を含む全18編。日本推理作家協会賞受賞時の著者の言葉など、資料も併録。【収録作】「ラッキー・シート」/「写真のすすめ」/「密室の鎧」/「一人二役」/「ラスト・シーン」/「臨時停留所」/「隣家の消息」/「美少年の死」/「八人目の寺子」/「句会の短冊」/「虎の巻紛失」/「三人目の権八」/「西の桟敷」/「光源氏の醜聞」/「襲名の扇子」/「グリーン車の子供」/「日本のミミ」/「妹の縁談」/徳間ノベルズ版『グリーン車の子供』 あとがき=戸板康二/受賞の言葉=戸板康二/創元推理文庫版解題=日下三蔵
  • 弁護士アイゼンベルク
    3.8
    凄腕の女性刑事弁護士アイゼンベルクの元に、ホームレスの少女から弁護の依頼が持ち込まれる。少女の友人のホームレスの男が若い女性を殺害し、死体を損壊した容疑で逮捕された件だという。驚いたことに、その男がアイゼンベルクの元恋人だったという衝撃の事実が判明する。若くして名声を得た物理学教授だった彼が、なぜ路上生活を送り、殺人の被疑者となったのか? 二転三転する事態と、熾烈極まりない裁判の果てに姿をあらわす、あまりに意外な真実。ドイツ推理作家協会賞受賞作家が放つ傑作ミステリ!/解説=川出正樹
  • ピラミッド
    4.1
    北欧ミステリの帝王、ヘニング・マンケルが生んだスーパースター、イースタ署の刑事クルト・ヴァランダー。そんなヴァランダーが初めて登場したのは、ガラスの鍵賞受賞の『殺人者の顔』だが、本書は、ヴァランダーがまだ二十代でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」「裂け目」から、イースタ署に移り、ベテランとなった「海辺の男」「写真家の死」を経て、『殺人者の顔』直前のエピソードで、飛行機墜落の謎と手芸洋品店放火殺人事件を追う「ピラミッド」に至る、5つの中短篇を収録。ヴァランダーの知られざる過去を描いた、贅沢な作品集。
  • 生贄の木
    4.2
    森の中で、袋に入れられ木から吊るされていた三人の人間が発見された。イカれたパーティー・ガール、狂気に冒された配給所の聖女、そして小児性愛者。ひとりは助かり、ひとりは手遅れ、ひとりは瀕死の状態だった。同じ頃、小児性愛者に誘拐されていたと見られる女の子がマロリーに保護される。ココと名乗るその少女は妖精のような顔立ち、音楽的才能などからウィリアムズ症候群と診断された。ココの心を思いやるチャールズと対立しながらも、マロリーはココに犯人を思い出させようとする。マロリーと少女の奇妙な絆を描く、好評シリーズ。/解説=大矢博子
  • 狩人の手
    4.0
    海岸にある洞窟遺跡近くで先史時代専門の女性考古学者の無惨な遺体が発見された。殺害され海に投げ込まれ、魚たちに食い散らされた遺体。そして連続する女性の惨殺事件。事件現場には謎の手形の描かれた紙片が残されていた。謎の殺人者を追うマルセイユ警察主任警部ド・パルマはオペラを愛しアリアを口ずさむ優雅さから、男爵(バロン)と呼ばれる一方、違法すれすれの荒っぽい手法で部下を戸惑わせる。事件の鍵は学者の研究テーマである先史時代のシャーマニズムにあるのか? フランスのミステリ・マニアたちが交流サイトで選出するロンポル賞受賞の傑作。
  • バッキンガム宮殿のVIP
    4.3
    1942年、戦争がつづくロンドンに戻ったわたし、マギー・ホープは、ドイツの強制収容所に収監されている異父姉妹と再会できる日を心待ちにしつつ、特別作戦執行部(SOE)で事務の仕事についていた。そんななか、MI‐5の長官から、ある事件の捜査協力を要請される。SOEの訓練を受けた女性ばかりが行方不明になり、そのうちの一人の死体が発見されたというのだ。死体の状態から、犯人はあのいまわしい事件を模倣しているとしか思えないのだが……。マギー・ホープ、今度は戦時下のロンドンで勃発する連続殺人事件に挑む! 大好評のシリーズ第6弾。
  • 穢れた風
    3.6
    風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が発見された。一見、階段を踏み外したための事故死に思われたが、監視カメラに侵入者が写っていたことで、にわかに殺人の様相を呈する。奇妙なことに、社長室のデスクの上になぜかハムスターの死骸が残されていた。これは一体何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに第二の殺人が。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか? 人々の欲望と、巨大な陰謀に呑み込まれる刑事オリヴァーとピア。〈ドイツミステリの女王〉による新たな傑作が誕生!/解説=大矢博子
  • フロスト始末 上
    4.2
    今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署内に居合わせたフロスト警部は人間の足遺棄事件と連続強姦事件、スーパー脅迫事件を押しつけられる。そこへ赴任してきたスキナー主任警部は、さながらマレット署長の小型版(体型は大型版)で、フロストを異動させるべくやってきた御仁だ。署長と主任警部のイヤミ二重唱を聞かされ続け、超過勤務をぼやきつつも、フロスト警部は捜査をやめない、やめられない。経験の浅い見習い婦人警官や、頼りにならない駄目刑事と行動を共にするうちに、さらなる難事件が……。超人気警察小説シリーズ最終作。
  • 約束
    4.3
    ロス市警警察犬隊スコット・ジェイムズ巡査と相棒の雌のシェパード、マギーは、とある住宅街で逃亡中の殺人犯を捜索していた。匂いを頼りにマギーがたどり着いた家のなかには、容疑者らしい男が倒れており、さらに大量の爆発物が。同日、同時刻、同じ住宅街。私立探偵のエルヴィス・コールは失踪した会社の同僚を探しているという女性の依頼を受けて調査をしていた。単なる偶然か、それとも? 嘘をついているのは誰か。幾重にも重なる偽りの下に真実はあるのか。警察と探偵、スコット&マギーとコール&パイク、固い絆で結ばれたふた組の相棒の物語。
  • 海岸の女たち
    4.0
    「あなた、父親になるのよ――」それを伝えるために、舞台美術家のわたしは、単身ニューヨークからパリへ飛んだ。取材に行ったフリージャーナリストの夫の最後の電話から十日以上が過ぎていた。その間、夫から届いた封筒には、“あとひとつだけやることがあるんだ”という手紙と、謎めいた写真を保存した一枚のディスクが入っていた。夫の行方を追ううちに、それまで普通の舞台関係者だったわたしは、ヨーロッパに広がる底知れぬ闇と対峙することになる――。世界十六ヵ国で翻訳された、北欧ミステリの新女王の、息をもつかせぬデビュー作!
  • 楽園
    -
    シドニー州都警察殺人捜査課の刑事フランクとエデンは、3人の若い女性の失踪事件を調べ始める。彼女たちの共通点は、ジャッキーという男が経営する農場に滞在していたことだった。日雇いで80人ほどが働く、犯罪者や前科者のたまり場。そこでの凶悪犯罪を暴くため、エデンは変装し、おとり捜査員として閉ざされたコミュニティに潜り込み、フランクは監視チームの指揮を執ることになる。危険と隣り合わせの潜入捜査の行方は――。悪人を狩るためなら手段を選ばないエデンと、彼女の秘密を握る相棒のフランク。オーストラリア推理作家協会賞受賞作!
  • 刺青の殺人者
    3.4
    全身の骨が折られ、血が抜かれた若い女性の遺体が、ライプツィヒの貯水池で見つかった。娘の遺体の確認にベルリンからやってきた母ミカエラは、自分一人でも娘が殺された理由をつきとめ、姉と一緒に家出したまま行方不明のもうひとりの娘を捜し出そうと堅く心に決めていた。事件を担当する上級警部ヴァルターは、ともすれば暴走しようとするミカエラに手を焼きつつ調べを進める。一方ウィーンの弁護士エヴェリーンは、女性殺害の嫌疑をかけられた医師からの弁護依頼を受けていた。『夏を殺す少女』続編。ドイツで爆発的な人気を博した話題作登場。
  • パリの骨
    -
    1929年パリ。私立探偵スタイヴサントは失踪した22歳のアメリカ人女性を捜索していた。ピカソら名だたる芸術家と交流があり、人気絶頂の写真家マン・レイのモデルをつとめていた彼女は、何らかの事件に巻き込まれたのか。パリ警視庁のドゥーセ警部は、犯罪的行為を繰り広げる奇抜な前衛芸術家の“芸術的表現としての殺人”を疑っていた。スタイヴサントは、“嘘を見抜く力”を持ち世捨て人のように暮らす友人ベネットの力を借り、死の帝国たるパリの闇へと踏み込んでいく。MWA賞受賞作家が贈る雄編。
  • 偽りの書簡
    4.0
    1952年、独裁政権下のバルセロナ。上流階級の未亡人が扼殺され、新人記者のアナが独占報道の担当に抜擢された。警察は強盗殺人として早期解決させようとするが、納得できない彼女は被害者宅から押収された書類を調べ、恋文を発見する。差出人がわからなかったが思わぬ援軍を得る。はとこの文献学者ベアトリズは、文章の綴り方、言い回し、形容詞等からその手紙を書いた人物像を巧みに導き出し、驚くべき手がかりを見つけ出してみせた。言語と文学をこよなく愛する文献学者と猪突猛進の新人記者、姉妹のようなふたりが織りなす傑作ミステリ!/解説=大矢博子
  • 埋葬された夏
    4.3
    1984年6月。16歳の少女コリーンは殺人容疑で逮捕される。イギリスの海辺の町アーネマスの異分子だった彼女は、有罪となり治療施設に収容された。そして20年後、進歩した科学技術が当時の証拠品から未知の人物のDNAを検出し、勅撰弁護人が再審を求めて動きだす。調査を依頼された私立探偵が町を訪れ、かつての関係者たちと会うことで甦る日々。悲劇に至るまでの1年ほどのあいだに何があったのか――現在と過去が交錯する構成が読者に投げかける、被害者捜しの趣向と衝撃の真相――そして鮮烈な幕切れ。感嘆をもたらす傑作英国ミステリ。/解説=霜月蒼
  • ラスト・ウィンター・マーダー
    4.5
    ジャズが目を覚ますと、あいかわらずトランクルームのユニットに閉じこめられたまま。そばにはふたつの死体が……。これではジャズが殺したと疑われることは必至だ。一方、コニーは、脱獄してニューヨークに潜伏しているビリーの手に落ちてしまう……。ジャズの、コニーの運命は? ハット・ドッグ・キラーの黒幕は? みにくいJとは? 祖父の墓に納められていたビリーの本に書かれている謎の言葉〈カラスの王〉とは? ジャズはシリアルキラーであるビリーの跡継ぎとなってしまうのか? そして驚愕の……。驚異の青春ミステリついに完結。
  • ウィンター家の少女
    3.8
    ウィンター邸で男が殺された。男は保釈中の殺人犯で、裁縫用の鋏で胸を刺されていた。屋敷にいたのは70歳の老婦人と、小柄な聖書マニアの姪だけ。どちらかが侵入者を正当防衛で殺したのか? だが老婦人ネッダは58年前、この屋敷で9人の人間が殺された“ウィンター邸の大虐殺”以来行方不明になっていた女性だった。ネッダは当時12歳。果たして彼女が事件の犯人だったのか? 今までいったいどこにいたのか? 今回の事件との関わりは? 謎が謎を呼ぶ迷宮のような事件に、完璧な美貌の天才ハッカー、ニューヨーク市警のマロリーが挑む。/解説=若林踏
  • 月の夜は暗く
    3.5
    「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは、離れて住む父から知らせを受ける。母親は見つかった――大聖堂で、パイプオルガンの演奏台にくくりつけられて。遺体の脇にはインクの入ったバケツが置かれ、口にはホース、その先には漏斗が。処刑か、なにかの見立てなのか? おまけに父が容疑者として勾留されてしまった。ザビーネは父の嫌疑を晴らすべく、連邦刑事局の腕利き変人分析官の捜査に同行する。そして浮かび上がったのは、ひと月半のあいだに、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む!
  • 殺人者たちの王
    4.1
    21世紀最悪の連続殺人犯ビリー・デントが脱獄して二カ月、ジャズのもとをニューヨーク市警の刑事が訪れた。父ビリーに施された殺人者としての英才教育を生かして、ニューヨークの連続殺人、通称ハット・ドッグ・キラーの捜査を手伝ってほしいというのだ。渋々ニューヨークに同行するジャズ。だが事件を調べるうちに、故郷で起きた“ものまね師”事件との繋がりに気づく。そして被害者の遺体に書かれた〈ゲームへようこそ、ジャスパー〉のメッセージ。まさか父が? 悩みながらも事件を解決しようとするジャズ。好評の異色青春ミステリ第2弾!/解説=穂井田直美
  • 獣の記憶
    3.6
    首のない死体。野獣に噛みさかれたような傷跡。ジェヴォーダン地方では、謎の人死にが続いていた。犠牲者は既に30人を超え、ほとんどが若い女や子どもだった。狼か未知の獣の仕業なのか。獣の正体に興味を抱いた博物学者の卵トマは、ヴェルサイユから派遣される狩人に無理矢理同行する。襲撃のあった現場付近の領主の城で、トマは“野獣”に襲われて生き延びたらしい美しい少女に出会う。だが貴族の娘である彼女は襲われたときの記憶を失っていた。18世紀のフランスを舞台に、謎に包まれたままの怪事件の真相に迫る、ゴシックミステリ決定版!
  • 悪魔の羽根
    3.6
    再読必至。誰にも真相は見抜けない!2002年、シエラレオネで5人の女性が殺害された。現地の元少年兵3人が起訴されるが、ロイター通信社の記者コニーだけはイギリス人のマッケンジーを疑っていた。2年後、バグダッドでマッケンジーに遭遇したコニーは、嗜虐趣味を持つ彼に拉致監禁されてしまう。3日後に解放されイギリスに戻った彼女は、マスコミを逃れて田舎町に隠れ住む。解放時にほぼ無傷だったうえに、あいまいな証言ばかりで監禁中の出来事を警察に話さないコニー。彼女はいったい何を隠しているのか? 圧巻の心理描写と謎解きの妙味を堪能できる英国ミステリの女王による渾身のサスペンス。/解説=松浦正人※紙書籍版とはカバー画像が異なります。
  • 銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/奇妙という名の五人兄妹
    3.7
    妻が奇妙な強盗事件に遭遇した。犯人はお金に興味を示さず、居合わせた人々から「もっとも思い入れのあるもの」を奪っていったという。以来、なぜだか妻の身長は縮んでいき……(『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』)。祖母の授けた不思議な〈力〉に悩まされてきた五人兄妹。ある日、祖母から〈力〉を消してやると告げられた三女は、ひと癖もふた癖もある兄妹たちを集めるために奔走する(『奇妙という名の五人兄妹』)。――おかしな運命が照らし出す、夫婦の、兄妹の、家族のつながり。カウフマンの輝きに満ちた小説世界を2冊合本で贈る。/解説=牧眞司
  • リトル・グリーンメン 〈MJ-12〉の策謀
    -
    ジョン・O・バニオン、大統領をも番組に呼べる、超売れっ子のテレビ・パーソナリティ。このプリンストン出の秀才は、首都ワシントンの最高レベルのセレブたちの人気者だ。ネイサン・スクラブスもワシントンの住人だったが、彼は古いビルの奥にあるオフィスにひとり、各地で主婦がUFOに拉致され暴行されたという報が入るのを待つばかり。007を夢見ていたのに、〈MJ=12〉なる怪しい機関に回されたのだ。やけになった彼の、華々しい活躍ぶりが癇に障るバニオンを拉致してやろうという思いつきがすべての始まりだった。抱腹絶倒の大陰謀小説!
  • 危険な男
    4.1
    ジョー・パイク、海兵隊あがりの元警官で、現在はロスで私立探偵を営んでいる。銀行の帰りに窓口で応対してくれた女性イザベルが拉致される現場を目撃、見過ごすことはできず、追跡して彼女を救い出す。二人組の犯人を警察に引き渡し、一件落着と安心したのも束の間、なんと二人組は保釈されてしまった。それを知ったイザベルは、犯人が再び自分を狙うのではと恐れ、パイクの電話にメッセージを残すも失踪する。だが、二人組は保釈直後に何者かに殺されていた。パイクは相棒コールの助けを借り、イザベルの行方を追うが……。実力派の著者最新作。/解説=若林踏
  • 飛蝗の農場
    -
    ヨークシャーの荒れ野で農場を営むキャロルのところに、謎めいた男が転がりこんできた。嵐の夜、雨宿りの場所を請う男を警戒してことわる一幕を経て、不幸な経緯から、キャロルはショットガンで男に怪我を負わせる。看護の心得のある彼女は応急処置をほどこし、回復までの宿を提供することにしたが、意識を取りもどした男は、過去の記憶がないと言う。何もかもが見かけどおりでないかもしれない。そんな奇妙な不安のもとに始まる共同生活――背後で繰りひろげられる異様な逃避行! 幻惑的な冒頭から忘れがたい結末まで、圧倒的な筆力で紡がれる悪夢と戦慄の物語。驚嘆のデビュー長編。/解説=三橋曉
  • サスペンス作家が殺人を邪魔するには
    3.0
    何者かが、オンラインの掲示板に、元夫スティーヴンの殺害依頼を投稿した!?――作家のフィンレイは、子育てに奮闘しつつ、遅れている原稿の執筆に取り組んでいた。だがスティーヴンの件が気になって仕事が手につかない。オンライン掲示板を眺めていると、あるアカウントの人物が、依頼に食いつこうとしているのを発見する。どうやらプロの殺人請負人らしい。フィンレイはベビーシッターで同居人のヴェロと一緒に、元夫が殺害されるのを阻止しようと奔走するが……。どこに連れていかれるかわからない、極上のジェットコースター・サスペンス!/解説=若林踏
  • 炎の爪痕
    4.2
    ヘレナ・フレミングは憂鬱だった。家族で引っ越してきたシェトランド本島の家の納屋で、まえの持ち主が首吊り自殺を遂げて以来、何者かが敷地に侵入し、謎めいた紙片をあちこちに残していくのだ。たまりかねてジミー・ペレス警部を訪れ相談をした翌日、同じ納屋で今度は女性の首吊り死体が発見される。彼女は島の旧家モンクリーフ一家の子守りだった。ふたつの死に関連はあるのか? ペレスは上司のウィローや部下のサンディとともに捜査に当たる……CWA最優秀長編賞受賞作『大鴉の啼く冬』から始まったペレス警部シリーズ、感慨無量の最終巻。/解説=古山祐樹
  • 彼岸の花嫁
    3.3
    リーランは、富豪のリン家が彼女を亡き息子の花嫁に望んでいると父に言われる。年ごろの娘にとって幽霊の花嫁(ゴーストブライド)なんてあんまりな話だ。おまけに数日後リン家に招待された彼女は、そこで当主の甥である青年と恋に落ちる。彼が結婚相手ならよかったのに。やがてリーランは毎晩夢の中で、リン家の亡き息子に結婚を迫られるようになる。恐ろしさから病の床についた彼女だったが、霊媒からもらった薬のせいで幽体離脱してしまう。生霊となったリーランはどうにかして幽霊との結婚から逃れようとするが……。死者と生者の世界が交錯する幻想的な恋物語。
  • 半鐘の怪 半七捕物帳ミステリ傑作選
    5.0
    明治中期の東京。元・岡っ引きの半七老人が若き日に遭遇した事件を新聞記者に語って聞かせる時、江戸の捕物が鮮やかに蘇る! 毎晩、旗本の家に現れるびしょ濡れの女の幽霊の正体を暴く「お文の魂」。素人芝居の最中、舞台用の刀が本物の刀とすり替えられ、若旦那が死んだ事件の真相を探る「勘平の死」。火事でもないのに何度も半鐘を鳴らすなど、人々を不安がらせる悪戯を続ける犯人を突きとめる「半鐘の怪」など18編。〈シャーロック・ホームズ〉シリーズの影響を受けて誕生し、全ての捕物帳の原点となったシリーズからよりすぐった傑作選、降臨。/【目次】お文の魂/勘平の死/お化師匠/半鐘の怪/奥女中/朝顔屋敷/猫騒動/鷹のゆくえ/津の国屋/向島の寮/蝶合戦/筆屋の娘/あま酒売/冬の金魚/三つの声/かむろ蛇/幽霊の観世物/二人女房/編者解説=末國善己
  • 寄宿学校の天才探偵3 事件を解き明かすときがきた
    4.0
    エリンガム事件を調べていたフェントンが、自宅の火事で死亡した。二酸化炭素中毒で死んだハイエス、地下道に閉じ込められたエリー、焼死したフェントン。どれも一見事故だが、スティヴィは納得していなかった。80年前の事件の2人の犠牲者、そして行方不明のアリス。何か決まったパターンがあるはずだ。だがそんな折、アカデミーに嵐が迫る。生徒はすべて退去を命じられるが、思惑のあるスティヴィたちは勝手に居残った。天才少女探偵は過去と現在の謎を解き明かすことができるのか? 寄宿学校を舞台にしたミステリ三部作、ついに完結!
  • 自由研究には向かない殺人
    4.2
    高校生のピップは自由研究で、5年前に自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺害し、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に警察や新聞記者、関係者たちにインタビューをはじめる。ところが、身近な人物が次々と容疑者として浮かんできてしまい……。予想外の事実にもひるまず、事件の謎を追うピップがたどりついた驚愕の真相とは。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、英米で大ベストセラーとなった謎解きミステリ!/解説=若林踏
  • 地の告発
    4.0
    かつて『大鴉の啼く冬』の事件で重要な役割をはたしたマグナス老人が病死した。ペレス警部たちが参列したささやかな葬儀の最中、墓地や近くの農場が巻きこまれる大きな地滑りが発生。被害状況を確認すると、土砂が直撃した空き家から身元不明の女性の遺体が見つかる。ところが検死の結果、女性は地滑りの起きる前に死んでおり、しかもその死は他殺と判明。ペレス警部は被害者の身元割り出しを急ぐが、思わぬ事実が明らかに……。シェトランド諸島を舞台に英国現代本格ミステリの進化と深化を実証しつづける名シリーズの、新たなマイルストーン。/解説=吉野 仁
  • 寄宿学校の天才探偵2 エリンガム最後のメッセージ
    3.0
    生徒の不審死、さらに容疑者の失踪と、エリンガム・アカデミーでの事件が相次ぎ、スティヴィは無理やり家に連れもどされてしまう。せっかく学校にも馴染み、念願だった80年前の事件の再捜査も進んできたところなのに。そこに上院議員のエドワード・キングが現れ、息子のデヴィッドが放校されないように協力してくれるなら、スティヴィを学校に戻してやると言ってきた。他に手はなく、役目を引き受けたスティヴィだったが、アカデミーでさらなる事件が……。天才を集めた学校での事件に挑む、少女探偵スティヴィの活躍を描いたシリーズ第2弾。
  • 菖蒲狂い
    3.0
    柳橋の船宿に居候する、“若さま”と呼ばれる謎の侍がいた。姓名も身分も一切不明だが、事件の話を聞いただけで真相を言い当てる名探偵でもあった。扇に秘められた暗号の謎を解く「舞扇の謎」。菖蒲作りの名人の娘が殺され、些細な手がかりから犯人の異様な動機に辿り着く「菖蒲狂い」。祭りで同じ酒を飲んだ4人のうちひとりが毒殺された。犯人がどのように毒を仕込んだのかを暴く「面妖殺し」など、250編近い短編から厳選した25編を収録。「五大捕物帳」の一つにして、〈隅の老人〉に連なる、伝説の安楽椅子探偵シリーズの決定版、登場!/【収録作】「舞扇の謎」/「かすみ八卦」/「曲輪奇談」/「亡者殺し」/「心中歌さばき」/「尻取り経文」/「十六剣通し」/「からくり蝋燭」/「菖蒲狂い」/「二本傘の秘密」/「金の実る木」/「あやふや人形」/「さくら船」/「お色検校」/「雪見酒」/「花見船」/「天狗矢ごろし」/「下手人作り」/「勘兵衛参上」/「命の恋」/「女狐ごろし」/「無筆の恋文」/「生首人形」/「友二郎幽霊」/「面妖殺し」/編者解説=末國善己
  • 寄宿学校の天才探偵
    3.0
    エリンガム・アカデミー、そこは天才や革新者を輩出してきた全寮制の学校。願書も入学試験もなし、ドアを叩いた生徒のなかにきらめきが見えたら、入学が許される。新入生のスティヴィは推理マニアで、80年前に起きたアカデミーの創始者で大富豪、エリンガムの妻と娘が誘拐された事件を調べている。身代金が払われたにもかかわらず、妻は殺され、娘は行方不明のまま、犯人の正体も分からずじまいだった。入学の際の課題としてスティヴィは事件を調べ直すが、そんなとき新たに殺人が……。NYタイムズベストセラー作家が書いた本格ミステリ。
  • カメレオンの影
    3.9
    アクランド英国軍中尉は、派遣先のイラクで爆弾によって頭部と顔面に重傷を負い、片目を喪失する。昏睡から目覚めた彼は他人にふれられると暴力的になり、極端な女性嫌悪を示して看護師や精神科医を戸惑わせていた。退院後、除隊した彼はロンドンに住むが、暴力事件を起こしたことがきっかけで警察に拘束されてしまう。近隣では、軍歴のある一人暮らしの男性ばかりが自宅で殴殺されるという事件が続発しており、警察の捜す犯人像に合致しているアクランドは尋問されるが……。〈現代英国ミステリの女王〉が巧みな心理描写で紡ぐ傑作サスペンス。/解説=三橋曉
  • 大忙しの蜜月旅行
    3.3
    とうとう結婚へと至ったピーター・ウィムジイ卿と探偵小説作家のハリエット。披露宴会場から首尾よく新聞記者たちを撒いて、従僕のバンターと三人で向かった蜜月旅行(ハネムーン)先は、〈トールボーイズ〉という古い農家。ハリエットが近くで子供時代を送ったこの家を買い取っており、ハネムーンをすごせるようにしたのだ。しかし着いてみると、家は真っ暗で鍵がかかっており、待っているはずの前の所有者は見当たらず。訝りながらも滞在していると、地下室で死体が発見されて……。シリーズ最後の長編が創元推理文庫についに登場! 後日譚の短編も収録。/解説=三橋曉
  • 弁護士アイゼンベルク 突破口
    3.7
    刑事事件専門の女性弁護士アイゼンベルクは、映画プロデューサーのユーディットから弁護を依頼される。容疑は殺人。ログハウスにプラスチック爆弾を仕掛け、滞在していた恋人の実業家を遠隔操作で爆殺したというのだ。にわかには信じがたい話だが、ユーディットの自宅から爆薬の包装紙と起爆装置が発見される。アイゼンベルクは無実を主張する彼女の弁護を引き受けるが、ユーディットは何かを隠しているようで……。鋭い洞察力と行動力を武器に、依頼人を救うためなら手段は問わない敏腕弁護士の活躍を描いた疾走感溢れるエンターテインメント!
  • おめざめですか、アイリーン
    4.0
    1888年夏。鉄道事故で“死亡”したオペラ歌手アイリーン・アドラーは、夫のゴドフリーと親友ネルの三人で、パリ郊外の村で静かに暮らしていた。だが、持ち前の好奇心が、ふたたび彼女を冒険と推理の旅へといざなう。セーヌ川から引き上げられた男の死体にあった謎の入れ墨、ゴドフリーが命を救った若い女性ルイーズの“死”……アイリーンたちはこれらの真相を追い、モンテカルロへと赴く。かの地で待つのは、さらなる事件と謎、そして同じく事件解決に乗り出した名探偵ホームズとの再会……稀代のヒロインによるヴィクトリア朝ミステリ第2弾。/解説=池澤春菜
  • ゴーストライター
    4.2
    劇場の最前列に座っていた男は、暗闇のなかで喉を掻き切られて死んでいた。泥酔状態だったらしいその男は上演中の舞台「真鍮のベッド」の脚本家だった。駆けつけたニューヨーク市警ソーホー署の刑事マロリーとライカーは捜査を開始する。だが劇場の関係者は、俳優から劇場の“使い走り”に至るまで全員が、一筋縄ではいかない変人ぞろい。おまけに、ゴーストライターなる謎の人物が、日々勝手に脚本を書き換えているという。ゴーストライターの目的は? 殺人事件との関わりは? 氷の天使マロリーが、舞台の深い闇に切り込む。好評シリーズ。
  • 白い雌ライオン
    4.1
    春の祭典を目前にしたスウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が行方不明になった。良き妻、幸せな母、教会の熱心な信徒がなぜ? 失踪か、それとも事件か、事故か。ヴァランダー警部らは彼女の足取りを追い、最後に向かった売家へ急いだ。ところがその近くで謎の空き家が爆発炎上、焼け跡から発見されたのは、黒人の指と南アフリカ製の銃、ロシア製の通信装置だった。二つの不可解な事件の関連は? スウェーデンとロシア、そして南アフリカを結ぶ糸は? EU各国で爆発的な人気を誇るベストセラー作家の、CWAゴールドダガー受賞シリーズ。/解説=吉野仁
  • クリムゾン・リバー
    4.1
    山間の大学町周辺で次々に発見される惨殺死体。拷問され、両眼をえぐられ、あるいは両手を切断され……。別の町でその頃、謎の墓荒らしがあった。前後して小学校に入った賊は何を盗み出したのか? まるで無関係に見える二つの町の事件を担当するのが、司法警察の花形と、自動車泥棒で学費を稼ぎ警察学校を出た裏街道に精通する若き警部。なぜ大学関係者が不可解な殺人事件に巻き込まれたのか? 埋葬されていた少年はなぜ死んでからも何者かに追われているのか? 「我らは緋色の川(クリムゾン・リバー)を制す」というメッセージの意味は? 二人の捜査がすべての謎をひとつに結び合わせる。フランス・ミステリの概念を変えた記念碑的傑作!/解説=吉野 仁
  • 魔術師ペンリック
    4.2
    ペンリック・キン・ジュラルド19歳、兄が決めた婚約式のために町へ行く途中、病で倒れている老女の最期を看取ったのが、すべての始まりだった。亡くなった神殿魔術師の老女に宿っていた庶子神の魔が、あろうことかペンリックに飛び移ってしまったのだ。おかげで婚約は破棄され、ペンリックは10人の人間とライオンと馬を経てきた年古りた魔を自分の内に棲まわせる羽目に。魔はすべて庶子神に属する。魔を受け継いだペンリックは魔を制御すべく訓練をはじめるが……。中編3編を収録、ヒューゴー賞など5賞受賞の〈五神教シリーズ〉登場。
  • 哲学者の密室
    4.3
    三つの事件を経て、矢吹駆に対する自分の感情を持て余していたナディア。そこに起こった新たな事件は、頭部を殴打され、背中に刺傷を負った死体が、誰も入ることのできぬはずの三重密室の中で発見される、という衝撃的なものであった。さらに、その謎を追う彼女の前に、第二次大戦中、コフカ収容所で起こった密室殺人事件が浮かび上がってくる。二つの事件の思想的背景には、二十世紀最大の哲学者のある謎が存在した。ナディアに請われ、得意の本質直観による推理で事件に立ち向かう矢吹駆の前には宿敵イリイチの影が……!? 現代本格探偵小説を生み出した大量死の謎をも解き明かす、シリーズ最高傑作の呼び声高い第4作。/解説=田中博
  • 忘却のパズル
    -
    かつて整形外科医だったジェニファーは、現在アルツハイマー病を患っている。そんな彼女に殺人容疑がかけられてしまう。殺されたのはジェニファーの親友である女性で、なぜか死体の右手は4本の指が切断されていた。手を専門としていたジェニファーは重要参考人として事情聴取を受けるが、病気のせいで記憶が曖昧になっており、体調次第では親友のことさえ思い出せない。彼女の記憶や独白、ノートの文章、介護人や子供たちの伝言など、パズルのピースのように断片的な記述が描き出す驚愕の真相とは。記憶を失っていく語り手が紡ぐ衝撃のミステリ!/解説=吉野仁
  • 伝説の都
    -
    絨毯乗りターリク、太守の娘サバテアは、バグダッドの宮廷魔導師、ビザンチンの狩人らとともに、第三の願いが見つかるという、伝説の都スカラバプールをめざす。一方ターリクの弟ジュニスは、兄との再会も束の間、マリヤムの最後の頼みを果たし、嵐の王の許からさらわれた童子を取り戻さんと、魔人の巣窟に向かう。そして魔人も、第三の願いの力を得ようとしていた。困難な道のりの末、スカラバプールに辿りついたターリクらを待つものは。謎の童子ジブリルの正体は。魔人に支配された世界の秘密が明らかに。ドイツ・ファンタジー3部作完結。
  • ロザムンドの死の迷宮
    4.1
    ケンブリッジを震撼させた連続殺人は過去のこと。わが子アリーや召使いのマンスールたちと、イングランドの地で平穏に暮らしていた女医アデリアは、アリーの父であるロウリー司教に呼び出される。管区オックスフォードシャーにある迷路に囲まれたワームホールド塔で、ヘンリー二世の愛妾ロザムンドが毒を盛られたのだ。最大の容疑者である王妃エレアノールは、幽閉先から姿を消していた。国全体を巻きこむ戦を阻止するべく、アデリアは難事件に立ち向かう。CWA最優秀歴史ミステリ賞に輝いた『エルサレムから来た悪魔』に続く、シリーズ第2弾。
  • 7は秘密
    4.0
    「盗まれたんです。家族を」1846年の真冬。創設まもないニューヨーク市警の警官ティムは、黒人の血が混じった女性ルーシーから助けを求められる。妹と息子が悪辣な逃亡奴隷捕獲人に拉致されたのだ。ティムは兄ヴァレンタインの助けを得て彼女たちを助け出し、兄の家に匿った。だが翌々日の朝、その家で首にローブの紐が巻きついたルーシーの死体を発見してしまう。兄に嫌疑がかかることを恐れたティムは死体を移動し、犯人を追って捜査を開始する。弱者への暴力や黒人奴隷売買が横行する苛酷な時代に、青年警官はただ一人真実を求め奔走する。/解説=酒井貞道
  • 冒険小説論 近代ヒーロー像一〇〇年の変遷
    -
    スティーヴンスン『宝島』から始まり『水滸伝』を経由して滝沢馬琴『南総里見八犬伝』、そして戦後――英雄なき時代の先に繚乱する冒険小説のオデッセイアへ。洋の東西さえ越えて、著者は膨大な小説と文献を文字通り縦横無尽に渉猟する。ただ一心に、面白い小説を追い求めて。百年の文学史のなかで切り開かれた豊饒なる小説世界、その山嶺を闊達な筆致で踏破する一大評論。大衆文学研究に里程標を刻み、第四十七回日本推理作家協会賞を受賞した名著。この一冊をして、文学史に「冒険小説」は永遠に刻まれる。/【目次】1/近代ヒーローの誕生/ドイルと騎士道小説/大観光時代/荒野に立つヒーロー/ハックルベリーの旅/西部辺境の男たち/十九世紀イギリス補遺/芥溜(ごみため)のパリ/デュマの剣豪小説/科学の冒険/愛国主義者ルパン/『紅はこべ』と『スカラムーシュ』/騎士道の消滅/スパイ・ヒーロー、登場/不安と疑惑の時代/クリスティーの冒険/ジョン・カーターとターザン/無人島の少年たち/海の男ホーンブロワー/マクリーンの戦後/イギリス海洋小説補遺/不信のヒーロー/フランスのスパイ活劇/ジョバンニと暗黒小説/スピレインの亡霊/自警団ヒーロー、ボラン/スペンサーの饒舌/悪党パーカーの栄光/ライアルの場合/七〇年代の壁/現代の秘境/キャリスンとカイル/ヒギンズの陥穽/工作員の冒険/謀略小説の時代/ラドラムとカッスラー/フランシスの復活/2/『水滸伝』の世界/ふたつの『水滸伝』/3/『南総里見八犬伝』の世界/政治小説の時代/黒岩涙香の翻案小説/巖谷小波の少年小説/武侠の冒険/立川文庫と講談/「新講談」の時代/「少年倶楽部」の時代/高垣眸の海/密林のヒーロー/軍事冒険小説の行方/日本伝奇小説の系譜/国枝史郎と講談/伝奇小説の黄金時代/昭和十年代の壁/『宮本武蔵』への道/『赤い影法師』の衝撃/講談『柳生武芸帳』/風太郎忍法帖におけるロマネスク/伝奇小説の伝統/隆慶一郎が残したもの/ヒーローの善意/机龍之助の皮肉/丹下左膳の場合/長谷川伸と流れ者ヒーロー/眠狂四郎の剣/海のロマン/大藪春彦の意味/八〇年代のオデッセイア/夢枕獏の彼方/あとがき/文庫本のためのあとがき/解説=霜月蒼/人名一覧/書名・作品名一覧
  • 名月一夜狂言 人形佐七捕物帳ミステリ傑作選
    4.0
    神田・お玉が池に住む岡っ引きの佐七親分。京人形のような色男ぶりから「人形左七」と呼ばれる彼は、明晰な頭脳で多くの事件を解決する名探偵でもあった。羽子板のモデルになった娘が次々に殺される、佐七初登場作「羽子板娘」。隠居した元大身の旗本が主催する、月見の宴で招待客が殺され、四つの証拠品がそれぞれ別の客が犯人だと示唆する「名月一夜狂言」。恋女房のお粂、子分の辰五郎と豆六と共に活躍する、佐七の名推理を描いた17編を収録。ミステリ界の巨匠による人気捕物帳シリーズから、選りすぐりの本格ミステリを収録した決定版!/【目次】羽子板娘/名月一夜狂言/戯作地獄/生きている自来也(じらいや)/出世競べ三人旅/鶴の千番/春色眉(まゆ)かくし/彫物師の娘/春宵(しゅんしょう)とんとんとん/狐の裁判/当り矢/風流女相撲/たぬき汁/遠眼鏡(とおめがね)の殿様/呪いの畳針/ろくろ首の女/初春笑い薬/編者解説=末國善己
  • 古書の来歴
    4.0
    伝説の古書『サラエボ・ハガダー』が発見された――深夜のその電話が、数世紀を遡る謎解きの始まりだった。容赦ない焚書と戦火の時代にありながら、この本は誰に読まれ、守られ、現代まで生き延びてきたのか? 調査を依頼された古書鑑定家のハンナは、ページに挟まった蝶の羽や、羊皮紙に染み込んだワインの一滴を手がかりとして、美しい古書の歩んできた歴史をひも解いてゆく。その旅路には、激動の世を懸命に生きる人々の姿があった――科学調査に基づく謎解きの妙と、哀惜に満ちた人間ドラマが絡み合う、第2回翻訳ミステリー大賞受賞作!/解説=千街晶之
  • 穏やかな死者たち シャーリイ・ジャクスン・トリビュート
    -
    『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』『処刑人』「くじ」など数々の名作を遺した鬼才シャーリイ・ジャクスン。日常に潜む不安と恐怖、目には見えない邪悪な超自然的存在との出会いや家族間の複雑な関係、人間心理の奥底に流れる悪意を鮮やかな筆致でえぐりだした彼女に敬意を表し、ケリー・リンク、ジョイス・キャロル・オーツ、ジェフリー・フォード、エリザベス・ハンドら当代の錚々たる幻想文学の名手たちが書き下ろした傑作18編を収録する、珠玉のトリビュート・アンソロジー。シャーリイ・ジャクスン賞特別賞、ブラム・ストーカー賞受賞作。/【目次】序文=エレン・ダトロウ/弔いの鳥=M・リッカート/所有者直販物件=エリザベス・ハンド/深い森の中で――そこでは光が違う=ショーニン・マグワイア/百マイルと一マイル=カルメン・マリア・マチャード/穏やかな死者たち=カッサンドラ・コー/生き物のようなもの=ジョン・ランガン/冥銭=カレン・ヒューラー/鬼女=ベンジャミン・パーシィ/ご自由にお持ちください=ジョイス・キャロル・オーツ/パリへの旅=リチャード・キャドリー/パーティー=ポール・トレンブレイ/精錬所への道=スティーヴン・グレアム・ジョーンズ/柵の出入り口=ジェフリー・フォード/苦悩の梨=ジェマ・ファイルズ/晩餐=ジョシュ・マラーマン/遅かれ早かれあなたの奥さんは……=ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン/抜き足差し足=レアード・バロン/スキンダーのヴェール=ケリー・リンク/謝辞/解説=深緑野分/編者紹介/訳者紹介
  • 卒業生には向かない真実
    4.3
    大学入学直前のピップに、ストーカーの仕業と思われる不審な出来事がいくつも起きていた。無言電話や匿名のメールが届き、首を切られたハトが家の敷地で見つかったり、私道にチョークで頭のない棒人間を描かれたり。調べた結果、6年前の連続殺人との類似点に気づく。犯人は逮捕され服役中だが、ピップのストーカーの行為は、この連続殺人の被害者に起きたこととよく似ていた。ピップは自分を守るため調査に乗りだす。――この真実を、誰が予想できただろう? 『自由研究には向かない殺人』から始まった、ミステリ史上最も衝撃的な三部作完結!/解説=吉野仁
  • 迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成
    4.5
    好古趣味と巧みな恐怖演出で近代怪奇小説の礎を築いたM・R・ジェイムズ。幽霊、魔女、異界など多様な題材に怪異のリアリズムを追求しつつ心理学的解釈を加えたアルジャーノン・ブラックウッド。『幽霊島』に続く平井呈一怪談翻訳集成第二集は、マッケンとあわせて英国怪奇小説の三羽烏と称される恐怖の名匠の傑作を中心に、その訳業の原点ともいうべき昭和初年の翻訳、コッパード「シルヴァ・サアカス」とホフマン「古城物語」、さらに鍾愛の作家ラフカディオ・ハーンの怪奇文学講義を集成。付録として作家解説や翻訳観が窺えるエッセーを収録。/【目次】〈Ⅰ M・R・ジェイムズ集〉消えた心臓/マグナス伯爵/解説(平井呈一)/〈Ⅱ アルジャーノン・ブラックウッド集〉人形/部屋の主/猫町/片袖/約束/迷いの谷/解説(平井呈一)/〈Ⅲ 初期翻訳〉シルヴァ・サアカス=A・E・コッパード/古城物語=E・T・A・ホフマン/〈Ⅳ ラフカディオ・ハーンの怪奇文学講義〉「モンク・ルイス」と恐怖怪奇派/小説における超自然の価値/〈付録 エッセー〉マリー・コレリ『復讐(ヴェンデッタ)』あとがき/もう一人のシャーロック・ホームズ/〈東都書房版「世界推理小説大系」月報〉訳者として、訳者のことば、H・M礼讃/〈講談社版「世界推理小説大系」月報〉訳者のことば、翻訳よもやま話、下戸/教師としての小泉八雲/秋成小見/『万霊節の夜』について/解題/「われわれ自身が一個のghostである」=垂野創一郎
  • 恐怖 アーサー・マッケン傑作選
    3.2
    アーサー・マッケンは平井呈一が最も愛した怪奇小説家だった。二十代の頃、友人から借りた英国の文芸雑誌で「パンの大神」に出会った平井青年は、読後の興奮収まらず、夜が明けるまで東京の街を歩き回ったという。戦後その翻訳紹介に尽力、晩年には『アーサー・マッケン作品集成』全6巻を完成させた。太古の恐怖が現代に甦る「パンの大神」「赤い手」「白魔」他の初期作に、大戦中に英国の或る地方を襲った怪事件の顚末を描く中篇「恐怖」など、異次元を覗く作家マッケンの傑作を平井呈一入魂の名訳で贈る。/【目次】訳者のことば/パンの大神/内奥の光/輝く金字塔/赤い手/白魔/生活の欠片/恐怖/アーサー・マッケン作品集成 解説/解説=南條竹則
  • 修道女の薔薇
    4.1
    消えた修道女をさがしてほしい――マロリーのもとに一件の訴えが持ちこまれる。驚いたことに、同じころ、彼女の甥と思われる盲目の少年が姿を消していた。そして数日後、修道女は意外なところで発見される。元投資ブローカーである市長の官邸の正面階段下に置かれた四体の死体、その中に彼女もいたのだ。四人の被害者につながりは見つからない。市長に恨みをもつ者の仕業か? 一方、消えた少年は一人の男に囚われていた。盲目の少年に脱出の機会はあるのか。初期の名作を彷彿とさせる、心を打つラストが印象的な、マロリー・シリーズ最新作登場。
  • 生者と死者に告ぐ
    4.1
    ホーフハイム刑事警察署の管轄内で、犬の散歩中の女性が射殺された。ライフル銃で80メートルの距離から正確に頭部を狙撃されたのだ。翌日、森の縁に建つ邸宅のキッチンで、女性が窓の外から頭を撃たれて死亡。数日後には、若い男性が心臓を撃ち抜かれて殺害された。被害者たちはいずれも他人に恨まれるタイプではなく、動機に結びつくような共通点もわからない。そして警察署に“仕置き人”と名乗る謎の人物から死亡告知が届く。犯人の目的は? 被害者たちの見えない繋がり(ミッシング・リンク)とは? 刑事オリヴァーとピアが未曾有の連続狙撃殺人事件に挑む!/解説=北上次郎
  • 友情よここで終われ
    5.0
    刑事ピアは作家デビューした元夫ヘニングの依頼で、出版社の元文芸部長ハイケの家へ向かった。彼女と数日間連絡がつかず、ドアに血の跡があるという。家に入ると、二階に鎖でつながれた老人がいた。捜査が始まり、老人は彼女が介護していた父親だと判明、血痕はハイケのものと断定された。ハイケに作品の剽窃を暴露されたベストセラー作家が被疑者に浮かぶが、ハイケが勤めていた出版社の社長をはじめ、疑わしい人物が増えていく。さらにハイケの友人が昏睡状態で発見されて……。出版業界をめぐる泥沼の事件に、刑事オリヴァー&ピアが挑む!/解説=吉野仁
  • 二度死んだ女
    3.8
    その事件は意外なところから持ち込まれた。同じアパートに住む10歳の少年が、夏のキャンプで人間の頭蓋骨をみつけたのだ。ベックストレームを師とあおぐ少年は、頭蓋骨の右のこめかみに小さな穴が開いていて、銃弾らしきものが残っていることを見逃さなかった。頭蓋骨の主は20歳から40歳のアジア系の女性、死後数年が経過しているものと思われた。ところが、警察の調べが進むうちに同じDNAを持った女性が12年前にタイで死亡していたことが判明。果たして人は二度死ぬことができるのか? 規格外の刑事ベックストレーム・シリーズ第4弾。

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