小説・文芸 - 創元推理文庫作品一覧

  • 龍の騎手
    3.7
    領地を荒らすグリフォンの群れを退治してほしいという、メリーボーン卿の要請に応えてやってきたのは五人の騎手。騎手といえば誇り高く高潔な人物……のはずだが、メリーボーン荘園の事務官の次女アリザと、龍の騎手アラステア・デアレッドの出会いは最悪だった。アリザが仲良くしている庭妖精たちと争いになってしまったのだ。なんて高慢ちきでいやな奴! だが、グリフォンは大事な妹を殺した憎い敵。アリザは騎手たちのグリフォン退治に案内役として同行するが……。『高慢と偏見』×ドラゴンの世界を描いたロマンティック・ファンタジー。
  • 流れ舟は帰らず 木枯し紋次郎ミステリ傑作選
    4.3
    三度笠を被り長い楊枝をくわえた姿で、無宿渡世の旅を続ける木枯し紋次郎。己の腕だけを頼りに、人との関わりを避けて孤独に生きる紋次郎だが、否応なしに旅先で事件に巻き込まれてゆく。兄弟分の身代わりとして島送りになった紋次郎が、ある噂を聞きつけ島抜けして事の真相を追う「赦免花は散った」。瀕死の老商人の依頼で家出した息子を捜す「流れ舟は帰らず」。脱走した女郎たちとの逃避行の意外な顛末を綴る「笛が流れた雁坂峠」。ミステリと時代小説、両ジャンルにおける名手が描く、凄腕の旅人にして名探偵が活躍する珠玉の10編を収録。【収録作】「赦免花は散った」「流れ舟は帰らず」「女人講の闇を裂く」「大江戸の夜を走れ」「笛が流れた雁坂峠」「霧雨に二度哭いた」「鬼が一匹関わった」「旅立ちは三日後に」「桜が隠す嘘二つ」「明日も無宿の次男坊」/編者解説=末國善己
  • タラント氏の事件簿[完全版]
    3.5
    メトロポリタン博物館から忽然と消えた古写本、ペントハウスで起きた密室殺人、乗る者を次々死に追いやるボートの怪、古詩のとおりに消失と出現を繰り返す竪琴……いずれ劣らぬ怪事件に理知の光を当てて真相をあばくのは、日本人執事カトーを従えた謎の紳士トレヴィス・タラントである。巨匠クイーンが「当代におけるもっとも想像力に富んだ探偵小説」と評し、〈クイーンの定員〉に選出した傑作短編集に、その後に発表された「消えたスター」「危険なタリスマン」など4編を追加収録し、不可能趣味に満ちたシリーズ全作品を網羅した文庫決定版!/解説=千街晶之
  • 蝶のいた庭
    3.9
    FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女は〈庭師〉と呼ばれる男に拉致された10名以上の女性とともに警察に保護された。滝や小川があり、蝶が飛びかう楽園のような〈ガーデン〉――完全防音で随所に監視カメラが設置され、外界から隔離された秘密の温室に、彼女たちはコレクションとして軟禁されていたのだ。女性の口からじわじわと明かされていく事件の全貌に、恐ろしい犯罪に慣れているはずの捜査官たちが戦慄する。おぞましくも美しいこの地獄でいったい何が起きたのか。一気読み必至、究極のサスペンス!
  • クリスマスに少女は還る
    4.1
    クリスマスも近いある日、二人の少女が町から姿を消した。州副知事の娘と、その親友でホラーマニアの問題児だ。誘拐か? 刑事ルージュにとって、これは悪夢の再開だった。十五年前のこの季節に誘拐され殺されたもう一人の少女――双子の妹。だが、あのときの犯人はいまも刑務所の中だ。まさか……。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れて言う。「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、何者かに監禁された少女たちは、奇妙な地下室に潜み、力を合わせて脱出のチャンスをうかがっていた……。一読するや衝撃と感動が走り、再読しては巧緻をきわめたプロットに唸る。では、新鋭が放つ超絶の問題作をどうぞ!/解説=萩原香※紙書籍版とはカバー画像が異なります。
  • レイチェル
    4.1
    従兄アンブローズ――両親を亡くしたわたしにとって、彼は父でもあり兄でもある、いやそれ以上の存在だった。彼がフィレンツェで結婚したと聞いたとき、わたしは孤独を感じた。そして急逝したときには、妻となったレイチェルを、顔も知らぬまま恨んだ。が、彼女がコーンウォールを訪れたとき、わたしはその美しさに心を奪われる。二十五歳になり財産を相続したら、彼女を妻に迎えよう。しかし、遺されたアンブローズの手紙が、想いに影を落とす。彼は殺されたのか? レイチェルの結婚は財産めあてか? せめぎあう愛と疑惑のなか、わたしが選んだ答えは……もうひとつの『レベッカ』として世評高い傑作。
  • 死のオブジェ
    3.5
    画廊で殺されたアーティスト。胸の上には一枚のカードがタイトルのように「死」と告げていた。NY市警には、同じオーナーの画廊で12年前に起きた猟奇殺人事件との関連を示唆する手紙が届く。切り刻まれ、オブジェとして展示されたアーティストとダンサーの死体。捜査を担当したマーコヴィッツは、容疑者の自白を信じていなかった。マロリーの再捜査は関係者たちの秘密を容赦なく暴き、閉ざされた過去をこじ開ける。娘の死と同時に失踪した画家の行方は? 膨大に遺されたマーコヴィッツのメモが指し示す真犯人は? 伏魔殿のようなアート業界に踏み込んだマロリーに、市警を牛耳る何者かの捜査妨害が……シリーズ第3弾!/解説=穂井田直美
  • アマンダの影
    3.5
    マロリーが殺された? 部下の報告で検視局に駆けつけたライカーが見たのは、彼女の名前の入ったブレザーを着た別人の死体だった。身元を突き止めたマロリーとライカーは、被害者アマンダ・ボッシュの住居を調査する。くまなく掃除された部屋。消去された名簿ファイル。彼女自身のことを書いたと思われる小説原稿。そして猫――唯一の目撃者? マロリーは復元した名簿を手がかりに高級コンドミニアムに潜入し、容疑者たちに仮借ない捜査の手を伸ばす。上流階級の虚飾の下に澱む策謀と欲望。ひとりの女を死に追いこんだ「嘘つき」は誰なのか? 善悪の彼岸に立つ、非情にして無垢なヒロインの活躍を描く、シリーズ第2弾!/解説=川出正樹
  • 氷の天使
    3.8
    キャシー・マロリー。ニューヨーク市警巡査部長。主にコンピュータ・ハッキングで発揮される天才的な頭脳と、張り込みや尾行ができないほどの鮮烈な美貌の持ち主。盗みと逃走に明け暮れ、孤独を友とした幼年時代ゆえに心に深い傷を持ち、感情を他人に見せることはない。彼女には善も悪もない。あるのは目的の遂行だけ。里親である刑事マーコヴィッツが捜査中に殺され、勝手に捜査を引き継いだ彼女は、裕福な老婦人ばかりを狙う連続殺人鬼を追いはじめる。怪しい霊媒、大魔術師の未亡人、自閉的なチェスの天才児……奇矯な人物の絡み合いに隠された真実は? ミステリ史上最もクールなヒロインの活躍を描くシリーズ第1弾!/解説=豊崎由美
  • 愛おしい骨
    3.8
    【第1位『このミステリーがすごい!2011年版』海外編】十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。家政婦ハンナに乞われ二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、過去を再現するかのように、偏執的に保たれた家だった。夜明けに何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は、眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。これだけの年月を経て、いったい何が起きているのか? 半ば強制的に保安官の捜査に協力させられたオーレンの前に、町の人々の秘められた顔が、次第に明らかになってゆく。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作。/解説=川出正樹
  • 魔都
    4.0
    『日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うということですが一体それは真実でしょうか』──昭和九年の大晦日、銀座のバーで新聞記者・古市加十に話し掛けてきたのは、来遊中の安南国皇帝だった。奇妙な邂逅をきっかけに古市が皇帝の妾宅へ招かれた直後、彼の眼前で愛妾が墜死、皇帝は忽然と行方を晦ましてしまう。この大事件を記事にしようと古市が目論む一方、調査を担当する眞名古明警視は背後に潜む陰謀に気付き、単身事件に挑む──。絢爛と狂騒に彩られた帝都・東京の三十時間を活写した、小説の魔術師・久生十蘭の長篇探偵小説。初出誌〈新青年〉の連載を書籍化、新たに校訂を施して贈る。/解説=新保博久
  • 花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選
    3.0
    ころび伴天連(バテレン)の父と武士の娘である母を持ち、虚無をまとう孤高の剣士・眠狂四郎。彼は時に老中・水野忠邦の側頭役から依頼を受け、時に旅で訪れた土地で謎と遭遇して、数々の難事件を解決する名探偵でもあった。密室状態にある大名屋敷の湯殿で、奥女中が相次いで不可解な死を遂げる「湯殿の謎」。寝室で花嫁の首が刎ねられ、代りに罪人の首が継ぎ合せられていた「花嫁首」。偶然助太刀した武士の妻の仇討ちに隠された、意外な真相が明かされる「悪女仇討」。時代小説の大家が生み出した異色の名探偵が奇怪な事件に挑む、珠玉の21編を収録する。【収録作】「雛の首」「禁苑の怪」「悪魔祭」「千両箱異聞」「切腹心中」「皇后悪夢像」「湯殿の謎」「疑惑の棺」「妖異碓氷峠」「家康騒動」「毒と虚無僧」「謎の春雪」「からくり門」「芳香異変」「髑髏屋敷」「狂い部屋」「恋慕幽霊」「美女放心」「消えた兇器」「花嫁首」「悪女仇討」/編者解説=末國善己
  • コードネーム・ヴェリティ
    3.7
    第二次世界大戦中、ナチ占領下のフランスでイギリス特殊作戦執行部員の若い女性がスパイとして捕虜になった。彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制され、インクと紙、そして二週間を与えられる。その手記には、親友である補助航空部隊の女性飛行士マディの戦場の日々が、まるで小説のように綴られていた。彼女はなぜ物語風の手記を書いたのか? さまざまな謎がちりばめられた第一部の手記。驚愕の真実が判明する第二部の手記。そして慟哭の結末。最後の最後まで読者を翻弄する圧倒的な物語!
  • 書店猫ハムレットの休日
    4.0
    ハムレットは、ダーラが経営するニューヨークの書店の気むずかしいマスコット猫。空手大会に出場したダーラの動きを真似る動画がネットで拡散し、ハムレットは空手キャットとして一躍人気猫に。全米キャット・ショーに特別ゲストとして招かれたのもそのためだ。凍えるニューヨークから、快適な気候のフロリダへ旅立ったダーラたち一行。意外にもショーの来場者から注目されるのにまんざらでもない様子のハムレットだったが、一大事件が勃発! 書店を飛び出した書店猫が大活躍のコージー・ミステリ第3弾。
  • 秘密だらけの危険なトリック
    4.0
    ブレットキャッチ――それは、銃から撃たれた弾丸を口で受けとめるという究極のマジック。かつてそのパフォーマンス中に死亡したという著名なマジシャンの生涯を描く映画が撮影中だが、あまり売りがなくて、ヒットは見込めそうにない。ただし撮影中、現実のように死者が出れば話は別だけど……誰かが自分を殺そうとしているのではと怯える主演男優から、同窓生のよしみで助けを求められたマジシャンのイーライ。赴いた撮影現場はなるほど事件が起きそうな雰囲気で……。楽しく、お洒落なユーモア・ミステリ!
  • 領主館の花嫁たち
    3.5
    1840年、当主の妻を若くして失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館を訪れたテティことテターマンもまた、癒しがたい傷を負う身であった。屈託なく懐いてくる、瓜二つの双子の姉妹に、徐々に生きる希望を取り戻していくテティ。しかし、館に頻発する怪異が、テティと双子の姉妹の運命を容赦なく翻弄していく……。一族の恐ろしくも美しい秘密とは? 巨匠ブランドが持てる技巧のすべてをつぎ込んで紡ぎあげた、予測不能、美麗にして凄絶なるゴシック小説!/解説=戸川安宣
  • 夜の庭師
    4.1
    モリーは14歳、思いのままに物語を紡ぐことのできる天性の語り手だ。弟のキップとふたり、故郷のアイルランドから海を渡って命からがらイングランドに辿り着いた。大変な苦労の末にようやく雇ってくれるところをみつけたものの、そこで彼らを待っていたのは、巨木に取り込まれたかのような奇妙な屋敷と、青白い顔をした主人一家、そして夜中に屋敷を歩き回る不気味な男……夜の庭師だった。だが、それだけではなく、この屋敷には恐ろしい秘密が隠されていたのだ。カナダ図書館協会児童図書賞受賞。ディズニー映画化決定の傑作ゴーストストーリー。
  • 死体は笑みを招く
    3.6
    ドイツ、2006年6月。オペル動物園で左腕と左足が切断された死体が発見される。首席警部オリヴァーと相棒のピア、そして捜査課のメンバーたちが乗り出し、死んでいたのは高校教師で環境保護活動家のパウリーだと判明する。彼はたくさんの生徒たちから慕われていたが、同時に動物園付近の道路建設による環境破壊や動物園の動物虐待を批判し、さまざまな人間に憎まれていた。捜査が進めば進むほど、パウリーを殺す動機を持つ者が浮上する。さらにピアに危険が迫り……。謎また謎の展開と緻密極まる見事な伏線。リーダビリティに溢れた傑作警察小説!
  • 北京から来た男 上
    4.4
    凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの小さな谷間の村に足を踏み入れた写真家は、信じられない光景を目にする。ほぼすべての村人が惨殺されていたのだ。ほとんどが老人ばかりの過疎の村が、なぜ。休暇中のヘルシングボリの女性裁判官ビルギッタは、亡くなった母親が事件の村の出身であったことを知り、一人現場に向かう。事件現場に落ちていた赤いリボン、防犯ビデオに映っていた謎の人影……。事件はビルギッタを世界の反対側、そして過去へ導く。刑事ヴァランダー・シリーズで人気の北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルの集大成的大作。
  • 探偵は孤高の道を
    4.5
    2011年1月。サンフランシスコの私立探偵クレア・デウィットは、ギタリストのポールが殺されたのを知る。彼はかつてクレアの恋人だったが、別の女性と結婚していた。ポールは自宅の居間で銃殺されており、膨大なギターのコレクションのうち、5本がなくなっていた。犯人は貴重なギターを狙って盗みに入ったのだろうか。クレアは自力で犯人を明らかにすべく調査を開始する。想いを残したまま別れた相手が殺害され、懸命に真実を追うクレア。謎を解くことで、誰かを救えるのか。『探偵は壊れた街で』で鮮烈な印象を残した女探偵の新たな苦闘!/解説=久美沙織
  • 幽霊ピアニスト事件
    4.0
    青年ピアニスト、アルトゥアは気がつくと見知らぬカフェにいた。どうやら死んでから50年後の世界に蘇ったらしい。そしてひょんなことから音楽大学の学生ベックと知り合い、浮世離れした学生たちと共同生活をはじめることに。常に古風な舞踏会用ドレスを着ている少女や、ブルガリア人の双子の霊媒たちと過ごす新しい人生には、どうして不思議な事件ばかり起きるのか。無気味な“怪人”の出現、リサイタルの妨害、そして殺人。そもそもなぜ蘇ったのか? 謎を解明するためアルトゥアと音大生たちは走る走る! 再会の秘密をめぐる傑作ミステリ。
  • 魔人の地
    3.0
    腕利きの絨毯乗りターリクは、絨毯競争の最中にひとりの女を助けた。太守の待女だというその女は彼に、絨毯でサマルカンドを脱出し、カリフの治めるバグダッドに行ってほしいともちかける。だが絨毯に乗るのも町を出るのも死罪。そのうえ町の外に広がる砂漠には恐ろしい魔人がいる。いったんは断ったものの、仲が悪いとはいえたったひとりの弟が女の口車に乗せられてバグダッドに向かうのを知り、あわててあとを追う。かつてターリクはバグダッドをめざしたことがあった……。千夜一夜的世界を舞台に繰り広げられる魔法ファンタジー三部作開幕。
  • アーサー王の墓所の夢
    3.9
    1154年、グラストンベリー一帯を襲った地震の直後、ひとりの老修道士が息を引き取った。アーサー王の埋葬を見たと甥に言い残して。そして月日は流れ1176年、話を聞きつけたイングランド国王ヘンリー二世の命により、町ごと大火で焼失した大修道院の墓地から、二体の骨が掘り出される。遺骨は伝説のアーサー王とその妃グウィネヴィアのものなのか? 住み慣れたケンブリッジを追われた女医アデリアは国王の依頼により、供を連れ骨の鑑定に赴くが、その途上で友人エマの身に異変が起きたことを知る……。CWA最優秀歴史ミステリ賞シリーズ第3弾。/解説=千街晶之
  • 白の予言者1
    3.5
    六公国の王子デューティフルと、かつての宿敵である外島人の族姫エリアニアとの婚約。互いに根強い恨みと反感を抱く二つの国に平和を打ち立てんとするこの縁組みを成立させるためには、黒いドラゴン、アイスファイアの首を落とさねばならない。約束を守るために、王子は神呪字諸島に向け出航する。お供は王妃の顧問官シェイド、王子の従者シック、身分を隠したままのフィッツ。さらに古き血族のウェブや〈気〉をもつ貴族シヴィルも乗りこんでいる。航海の行く手に待つものは。壮大な異世界ファンタジー〈道化の使命〉最後の幕があがる。
  • 人形遣い
    3.7
    ケルンで起きた連続猟奇殺人事件の被害者はいずれも腕や脚などの体の一部や内臓が失われていたため〈解体屋〉事件と名づけられた。捜査本部に呼ばれたのは、伝説的事件分析官アーベルと若き女性分析官クリストのふたり。アーベルは変わり者だが、きわめて有能、その分析手法は独特だった。まず遺体とふたりきりになり、遺体の声を聞くことから始めるのだ。クリストは戸惑い反発しながらも貪欲にすべてを学び取ろうとする。それぞれ心に傷を負った二人に相対する「人形遣い」と名乗る連続殺人犯とは何者か? ドイツミステリ界の大型新人デビュー作。
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集
    3.7
    人間の裡に潜む不気味なものを抉り出し、独特の乾いた筆致で書き続けたシャーリイ・ジャクスンは、強烈な悪意がもたらす恐怖から奇妙なユーモアまで幅広い味わいの短編を手がけたことでも知られている。死後に発見された未出版作品と単行本未収録作を集成した作品集Just an Ordinary Dayより、現実と妄想のはざまで何ものかに追われ続ける女の不安と焦燥を描く「逢瀬」、魔術を扱った中世風暗黒ゴシック譚「城の主」、両親を失なった少女の奇妙な振るまいに困惑する主婦が語る「『はい』と一言」など、悪意と妄念、恐怖と哄笑が彩る23編にエッセイ5編を付す。本邦初訳作多数。/収録作=「序文 思い出せること」「スミス夫人の蜜月(バージョン1)」「スミス夫人の蜜月(バージョン2)――新妻殺害のミステリー」「よき妻」「ネズミ」「逢瀬」「お決まりの話題」「なんでもない日にピーナツを持って」「悪の可能性」「行方不明の少女」「偉大な声も静まりぬ」「夏の日の午後」「おつらいときには」「アンダースン夫人」「城の主」「店からのサービス」「貧しいおばあさん」「メルヴィル夫人の買い物」「レディとの旅」「『はい』と一言」「家」「喫煙室」「インディアンはテントで暮らす」「うちのおばあちゃんと猫たち」「男の子たちのパーティ」「不良少年」「車のせいかも」「S・B・フェアチャイルドの思い出」「カブスカウトのデンで一人きり」「エピローグ 名声」
  • 大尉の盟約 上
    5.0
    イワン・ヴォルパトリル大尉。生粋のヴォルらしい黒髪にオリーブ色の肌をした、長身のハンサム。コマールで軍務についていたイワンのもとを、友人の機密保安庁職員バイアリーが訪れた。女の子を一人ひっかけてほしいというのだ。女の子ならイワンの得意分野。少々強引ながら彼女の家に押しかけたはいいが、そのあとの展開がいけなかった。いきなりスタナーで撃たれて拘束されるわ、誘拐容疑をかけられるわ……。そこで彼女が追われていることを知ったイワンは、窮地を逃れるための、偽装結婚を申し出る。マイルズの従兄弟イワンの運命やいかに!
  • 書店猫ハムレットの跳躍
    3.2
    ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。その書店にはマスコットの黒猫ハムレットがいた。かごにかわいらしく丸まり、ゴロゴロと喉を鳴らして客を迎える――ことは決してなく、堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫が。ハムレットが気に入る従業員を確保できてほっとしたものの、ダーラはある工事現場で書店の常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡。最近夜に外を出歩いているらしいハムレットのもの?! 黒猫ハムレットが必殺技で犯人を告げる! コージー・ミステリ第1弾。
  • 落ちこぼれネクロマンサーと黒魔術の館
    -
    落ちこぼれネクロマンサーのワードと死から蘇った美女シーリアは、彼女の父親、闇社会のプリンス殺しの濡れ衣を着せられてしまう。暗殺者に追われ這々の体で飛びこんだ先が邪悪な黒魔術師マセリオの屋敷。どうやらワードはマセリオの弟子候補と間違えられているらしい。となればさっさと逃げたほうが身のためだ。なのにいきなり現れた旧知の猟官には盗みを命じられ、召使の娘には助けを求められ、どんどん深みにはまっていくワード。気が弱いくせに正義感が強く頑固なワードにシーリアは苛立ちを隠せない。闇と魔法の異世界ファンタジー第2弾。
  • 探偵は壊れた街で
    3.8
    クレア・デウィットはただの女探偵ではない。独特の探偵術を駆使し、巧みに銃を扱い、師と仰ぐ探偵たちの教えを守り困難な調査でも諦めずに事実を追う。2007年、ハリケーンの傷痕が未だ残るニューオーリンズで、クレアは失踪した地方検事補の捜索を依頼される。洪水で死んだと思われる一方で、嵐のあとに姿を見た者もおり、経緯がわからない。真実によって誰かが傷つくこともある。しかし探偵にできるのは、謎を解決し先に進むことだけだ。変わり者で偏屈、そして最高にクールな女性私立探偵を描く、マカヴィティ賞最優秀長篇賞受賞作。
  • 悪女は自殺しない
    3.4
    ドイツ、2005年8月。警察署に復帰した刑事ピアを待ち受けていたのは、上級検事の自殺だった。時を同じくして、飛び降り自殺に偽装された女性の遺体が発見される。実際は動物の安楽死に使用される薬物による毒殺で、夫の獣医や彼の働く馬専門動物病院の共同経営者たちが疑われる。だが刑事オリヴァーが指揮を執る捜査班が探るうち、被害者へのとてつもない憎悪が明らかになり、さらに背後に隠されたいくつもの事件が繋がりはじめる。謎また謎の果てに捜査班がたどりつく真相とは。〈ドイツミステリの女王〉の人気に火をつけたシリーズ第1弾。
  • さよなら、シリアルキラー
    3.8
    ぼくには連続殺人犯の血が流れている。ぼくには殺人者の心がわかる――ジャズは高校三年生。田舎町ロボズ・ノッドではちょっとした有名人だ。ある日町で衝撃的な事件が起きた。指を切りとられた女性の死体が発見されたのだ。連続殺人だとジャズは訴えたが、保安官はとりあわない。だが事件はそれだけでは終わらなかった。なぜジャズには確信があったのか。それは彼が21世紀最悪といわれる連続殺人犯の息子で、幼い頃から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだった。親友を大切に思い、恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自らの手で犯人を捕まえようとする。全米で評判の異色の青春ミステリ。
  • いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集
    3.8
    水の都ヴェネチアで不思議な双子の老姉妹に出会ったことに始まる、夫婦の奇妙な体験「いま見てはいけない」、突然亡くなった父の死の謎を解くために父の旧友を訪ねた娘が知った真相「ボーダーライン」、急病に倒れた牧師のかわりにエルサレムへの二十四時間ツアーの引率役を務めることになった聖職者に、次々と降りかかる災難「十字架の道」など、サスペンスあり、日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、人間の心理に深く切り込んだ洞察あり、天性の物語の作り手、デュ・モーリアの才能を遺憾なく発揮した作品5編を収める、粒選りの短編集。【収録作】「いま見てはいけない」「真夜中になる前に」「ボーダーライン」「十字架の道」「第六の力」/解説=山崎まどか
  • 出張鑑定にご用心
    3.7
    ニューハンプシャー州の港町ポーツマスでオークションハウス〈プレスコッツ〉を営むジョシーは、ある日地域の警察署長アルヴェレスの訪問を受ける。家財の買取を依頼され、出張鑑定をした老富豪グラントが自邸で殺されたのだ。最愛の父の死をいまだ引きずるジョシーだが、自らが容疑者らしいと悟っては、行動せずにはいられない。家財リストに載っているルノアールの絵が屋敷から見つからないことを出発点に、仕事と並行して調査を進めるが――確かな審美眼を持つ腕きき女性オーナーが主人公となる、アンティーク×ミステリの新シリーズ第1弾。
  • 旅のお供に殺人を 老人たちの生活と推理
    4.0
    きっかけは、高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉の入居者向け娯楽活動が、どれもこれもつまらなくなったことだった。協議会で話し合いが持たれた結果、アンジェラ発案のスペイン語講座が始まり、さらには紆余曲折の末、“生きたスペイン語に触れるための”メキシコ旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、バスで行く添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた……初日の夜に、新入り入居者が突然の死に見舞われ、またもや事件の気配が漂いだすまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、人気シリーズ第8弾。
  • 年寄り工場の秘密 老人たちの生活と推理
    3.7
    高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉にちょっとした変化が起きた。長年暮らしていたトッツィが、近くにできた老人ホーム〈黄金の日々〉に引っ越したのだ。そして三週間がたち、〈カムデン〉に勇名を轟かすアンジェラとキャレドニアのもとを、そのトッツィが相談に訪れる。どうやら〈黄金の日々〉に幽霊が出るらしく、正体を見極めてほしいと言うのだ。かつて同じ屋根の下にいたよしみで……というよりは退屈しのぎが目的で、名物コンビふたりは体験入居を装い“潜入捜査”を開始するが、思わぬ大事件が待っていた!老人探偵団シリーズ第7弾。
  • 犯罪心理捜査官セバスチャン 模倣犯 上
    3.9
    出張帰りの夫の目に飛び込んできたのは、妻の無惨な死体。ふつうならこれだけでトルケル率いる殺人捜査特別班が呼ばれることはない。被害者が自宅の寝室で縛られ、首をかき切られていたのでなければ。その状況は、かつてセバスチャンがつかまえた連続殺人犯ヒンデの手口に酷似していた。だが、ヒンデはレーヴハーガ刑務所で服役中のはず。一方、ある動機で、ふたたび殺人捜査特別班に加わろうと企むセバスチャンは、渋るトルケルに売りこみをかけた。凄腕だが自信過剰の迷惑男セバスチャンの捜査が始まる!
  • 本を隠すなら本の中に
    3.4
    「いますぐわたしの家から出ていって!」大学時代のルームメイト、パミーが家に転がり込んで二週間、我が物顔で家を占領するだけでなく、トリシアの大事な城であるミステリ専門書店に出て客に迷惑をかけるにいたって、ついに堪忍袋の緒が切れた。ところがトリシアが追い出したその日のうちに、こともあろうに人手不足に悩むカフェの店主でトリシアの姉アンジェリカが、うっかりパミーを雇ってしまったのだ。だがそのパミーが店の裏で殺された……。古書と専門書の町、読書家の聖地ストーナムで起こる事件を描く、ライトミステリ。本の町の殺人シリーズ第3弾。アガサ賞候補作。

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  • クリスマスカードに悪意を添えて
    3.5
    パールは大忙しだった。クリスマスの飾りつけはまだだし、家族へのプレゼントも買ってないし。そんなとき、友人のネイサンから新聞の文字を切り取って貼った、彼を中傷する内容のクリスマスカードを受け取ったと相談される。同様のカードが他にも三人に届いているらしい。クリスマス前に探偵業はなし、と考えていたにもかかわらず、気になって調べ始めるパール。だが、教会のイベントで殺人が起き、驚くことに、その被害者も例のカードを受け取っていた……! 英国のリゾート地を舞台に、シェフ兼探偵のパールが活躍する好評シリーズ第二弾。
  • 白雪姫には死んでもらう
    4.3
    ドイツ、2008年11月。空軍基地跡地にあった空の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明する。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、生まれ育った土地へ戻ってきていた。彼はふたりの少女を殺害した罪で服役したが、寃罪だと主張しつづけていた。だが村人たちに受け入れてもらえず、正義という名の暴力をふるわれ、母親までも何者かに歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。閉塞的な村社会を舞台に、人間のおぞましさと魅力を描き切った衝撃の警察小説!

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  • 彼は彼女の顔が見えない
    4.2
    アダムとアメリアの夫婦はずっとうまくいっていなかった。そんなふたりは、カウンセラーの助言を受け、旅行へと出かける。ふたりきりで滞在することになったのは、スコットランドの山奥にある、宿泊できるように改装された古いチャペル。彼らは分かっている。この旅行が結婚生活を救うか、とどめの一撃になるかのどちらかだと。だが、この旅行にはさまざまな企みが隠されていた――。不審な出来事が続発するなか、大雪で身動きがとれなくなるふたり。だれが何を狙っているのか? どんでん返しの女王が放つ、驚愕また驚愕の傑作サスペンス!/解説=村上貴史
  • 英国屋敷の二通の遺書
    4.0
    植民地時代に英国人が建築し、代々の主が非業の死を遂げたと伝えられるグレイブルック荘。元警察官のアスレヤは、現主人であるバスカーの招待でこの屋敷を訪れた。財産家の彼は何者かに命を狙われており、数々の事件を解決へ導いたアスレヤの助力を求めたのだ。バスカーは、二通の遺書を用意していた。どちらが効力を持つのかは、彼の死に方によって決まる。一族の者と隣人たちが集まり、遺書が彼らの心をざわつかせるなか、ついに惨劇が! アスレヤは殺人事件と屋敷をめぐる謎に挑む。インド発、英国犯人当てミステリの香気漂う精緻な長編推理。/解説=三橋曉
  • 金庫破りとスパイの鍵
    NEW
    4.5
    第二次大戦下のロンドン。テムズ川で、鍵のかかったカメオ付きのブレスレットをつけた女性の遺体が発見された。金庫破りのエリーは、軍情報部のラムゼイ少佐の依頼でその鍵を解錠する。カメオから見つかったものと女性が毒殺されていたことから、彼女はスパイ活動にかかわっていたと判明。エリーは少佐に協力し、殺人事件の謎と、死んだ女性の背後にいると思しきドイツのスパイを探りだすことに。手がかりは、女性が隠し持っていた宝石と、小さな時計の巻き鍵だけ――。凄腕の金庫破りと堅物の青年少佐、正反対のふたりを描く人気シリーズ第2弾!/解説=大矢博子
  • はじめて話すけど…… 小森収インタビュー集
    3.0
    各務三郎に海外ミステリの魅力を、皆川博子に本に溺れた子ども時代を、三谷幸喜に理想の〈作戦もの〉とは何かを、法月綸太郎にバークリー作品の真骨頂を、石上三登志にヒーロー論での読み解きを、松岡和子に戯曲を翻訳することの困難さと楽しさを、和田誠にアメリカ文化に触れる喜びを、それぞれはじめて話してもらいました――〈短編ミステリの二百年〉で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をW受賞した評論家による他に類を見ない贅沢なインタビュー集が待望の文庫化。本書では新たに、北村薫に「良き読者」であり続ける秘訣を訊ねています。/【目次】各務三郎「ミステリがオシャレだったころ」/皆川博子「皆川博子になるための136冊」/三谷幸喜「理想の作戦ものを求めて」/法月綸太郎「本格推理作家はアントニイ・バークリーに何を読みとるのか?」/石上三登志「札付きファンのミステリの接し方」/松岡和子「戯曲を翻訳する幸せ」/和田誠「バタくささのルーツを探る」/北村薫「良き作品の良き読者であるために」/あとがき
  • 図書室の死体
    3.0
    わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は、アガサ・クリスティなどの初版本の蒐集家だった故レディ・ファウリングが設立した。事務局は彼女の住まいだった館にあり、図書室にはその膨大なコレクションが所蔵されている。自分がこの職にふさわしいと証明しようと試行錯誤していたところ、ある朝、図書室でなんと死体が発見される。被害者は、勉強会で館を使っていた創作サークルのひとりだった……。本を愛する人々に贈る、ミステリ・シリーズ第1弾!
  • 久遠の島
    4.3
    〈久遠の島〉そこは世界中のあらゆる書物を見ることができる不思議な場所、心から本を愛する人のみが入ることを許される楽園だった。あるとき、ひとりの王子が島を訪れた。魅力的で、島を守る氏族の少年ともすぐに打ち解けたが、その真の姿は強欲で身勝手で目的のためなら手段を選ばない人物だったのだ。そして彼の野心が島に悲劇をもたらした……。書物の護り手である氏族の兄弟がたどる数奇な運命とは。連合王国フォト、呪法の国マードラ、写本の都パドゥキアを舞台におくる、著者のデビュー作『夜の写本師』に連なる本の魔法と復讐の物語。/【目次】久遠の島/テズーとヨーファン/あとがき
  • ウェッジフィールド館の殺人
    3.0
    ジェーンは英国の領主屋敷(マナーハウス)に滞在していた。いっしょに旅行している叔母が館の主である男爵とかつて恋仲で、ふたりのあいだに生まれた娘が男爵の養女になっていたのだ。ある晩、館の使用人が主の車を運転中に事故で死亡。車を調べてみると、ブレーキに細工されていたことがわかる。娘の身を心配する叔母に頼まれたジェーンは、折よく館を訪ねてきたレドヴァースと事件を調べはじめる。だが、ジェーンが操縦を教わっている複葉機の部品が壊されたり、怪しい人影が目撃されたりと不審な出来事が続き……。アガサ賞最優秀デビュー長編賞受賞シリーズ。
  • 暗殺者たちに口紅を
    3.9
    かつてはナチの残党を、現在は独裁者や犯罪者を標的としてきた暗殺組織〈美術館〉。社会に害を為す人物の抹殺に40年を捧げてきた60歳のビリーたち女性暗殺者4人は、引退の日を迎えた。それを記念するカリブ海クルーズに出かけたが、彼女たちを殺すため、組織から刺客が送り込まれたと判明する。生き延びるには、知恵と暗殺術を駆使して組織に反撃するしかない。もはや若くはない肉体と輝かしくもほろ苦い思い出を抱え、ビリーたちは殺すか殺されるかの危険な作戦を練りはじめる──。MWA賞候補作の著者が贈る、極上のエンターテインメント!/解説=村上貴史
  • シェフ探偵パールの事件簿
    3.0
    年に一度のオイスター・フェスティバルを目前にした海辺の町ウィスタブル。シーフードレストランを経営するシェフのパールは、警察官になるというかつての夢をあきらめきれず副業で探偵をはじめたばかりだ。そんなパールのもとに依頼人が。ある漁師に貸した金が返ってこないので、彼の経済状態を探ってほしいというのだ。じつはその漁師はパールの友人で、依頼は断ったものの、気になって彼の釣り船に行ってみると、変わり果てた友人の姿を見つけてしまい……。英国のリゾート地を舞台に、シェフ兼新米探偵パールが事件に挑むシリーズ第一弾。
  • おれの眼を撃った男は死んだ
    -
    自分を救ってくれた兄に付き従ううち、いつしか銀行強盗に加担することになった西部の少女。ろくでなしの父親を探すため、拳銃を隠し持ってヒッチハイクをくり返す女性。ぶかぶかの袖口で鼻血をぬぐい、裸足で列車を待つ少年。根拠薄弱な治療の果てに母親が病死し、医者に苛烈な復讐心を抱くようになった双子の妹――。時を選ばず、突如として眼前に現れる犯罪と暴力。その無秩序に翻弄され、血まみれになりながらも生きてゆく人々の息遣いが、気高く、美しく描き出される。O・ヘンリー賞受賞作を含む10編収録、凄絶な迫力を放つ傑作短編集!/【目次】よくある西部の物語/アデラ/思いがけない出来事/外交官の娘/オリンダ・トマスの人生における非凡な出来事の奇妙な記録/ジェイムズ三世/蜻蛉(スネーク・ドクターズ)/死を悼む人々/認識/われらはみなおなじ囲いのなかの羊、あるいは、何世紀ものうち最も腐敗した世界(オ・セキュラム・コラプティシマム)/謝辞/訳者あとがき/解説=杉江松恋
  • 金庫破りときどきスパイ
    3.8
    第二次世界大戦下のロンドン。錠前師のおじを手伝うエリーは、生活のために裏の仕事として金庫破りをしている。だがある日、その現場を陸軍のラムゼイ少佐に押さえられてしまう。少佐は諜報作戦上の重要な文書を回収し別のものと入れ替えるため、投獄されたくなければ、ある屋敷の金庫を解錠しろと命令する。エリーが少佐と屋敷に侵入すると、金庫のそばには他殺体があり、文書が消えていた。エリーは少佐に協力して、殺人を犯し文書を持ち去った容疑者を探ることに。凄腕の女性金庫破りと堅物の青年将校、正反対のふたりの波瀾万丈な活躍譚!/解説=上條ひろみ
  • 女彫刻家
    3.9
    オリーヴ・マーティン――六年前、母親と妹を切り刻み、それをまた人間の形に並べて、台所の床に血みどろの抽象画を描いた女。嫌悪と畏怖をこめて彫刻家と呼ばれるこの無期懲役囚について一冊書け、と版元に命じられたライターのロズは、覚悟を決めて取材にかかる。まずはオリーヴとの面会。並はずれた威圧感に震え上がったが、相手は意外にも理性の閃きをのぞかせた。かすかな違和感は、微妙な齟齬の発見をへて、大きな疑問に逢着する……本当にオリーヴがやったのか? 謎解きの興趣に恐怖をひとたらし。その絶妙な匙加減が、内外で絶賛を博した、ミステリの新女王の出世作。MWA最優秀長編賞に輝く、戦慄の第二長編!
  • 完璧な秘書はささやく
    4.0
    人里はなれたところにある〈ザ・ローレルズ〉で、過去の新聞記事をスクラップしながら、わたしは回想する――英国の大手スーパーマーケットの社長マイナ・アプルトンの秘書として活躍した日々を。長くわたしは、完璧な忠誠心と職務遂行能力をもって、私生活を犠牲にしてまで彼女に仕えてきた。マイナの父を会社から追い出したときも、名誉毀損で記者を訴えた裁判のときも。強い信頼で結ばれたこの関係は、ずっと続くと思っていた――オフィスに警察がやってくるまでは。予測不能の展開に、じわじわとにじみ出る怖さ。俊鋭が放つ、傑作サスペンス!/解説=若林踏
  • ロンドン謎解き結婚相談所
    4.1
    1946年の戦後ロンドンで、ある女性たちが結婚相談所を設立した。ケンブリッジ大卒で戦時中にスパイ活動のスキルを得たアイリスと、人の内面を見抜く優れた目を持ち、戦争で夫を亡くした上流階級出身のグウェン。対照的なふたりが営む相談所に、若い美女ティリーが入会する。奥手だが誠実な会計士を紹介したところ、ティリーが殺され、会計士の青年が逮捕されてしまう。彼が犯人とは思えないふたりは、能力や人脈を駆使して真犯人さがしに乗りだす。魅力たっぷりの女性コンビの謎解きと、人生を切り拓こうとする勇姿を描いた爽快なミステリ!
  • サスペンス作家が人をうまく殺すには
    3.8
    売れない作家フィンレイの朝は、爆発状態だ。大騒ぎする幼い子どもたち、請求書の山、撒き散らされたコーヒーの粉。もう、だれでもいいから人を殺したい気分――とはいえ、本当に殺人の依頼が舞い込むとは! レストランで執筆中の小説の打ち合わせをしていたフィンレイは、隣席の女性から男の名前と5万ドルと書かれたメモを渡される。話の内容とマザーバッグのなかの血のついたタオルと包丁のせいで、殺し屋と勘違いされたらしい。依頼を断ろうとするが、本物の死体に遭遇して……。予想外の展開で一気読み必至! 本国で話題沸騰のサスペンス。
  • シナモンとガンパウダー
    3.9
    「命が惜しければ最高の料理を作れ!」1819年、イギリスの海辺の別荘で、海賊団に雇い主の貴族を殺害されたうえ、海賊船に拉致されてしまった料理人ウェッジウッド。女船長マボットから脅されて、週に一度、彼女だけに極上の料理を作ることに。食材も設備も不足している船で料理を作るため、経験とひらめきを総動員して工夫を重ねるウェッジウッド。徐々に船での生活に慣れていくが、やはりここは海賊船。敵対する勢力との壮絶なる戦いが待ち受けていて……。面白さ無類、唯一無二の海賊冒険×お料理小説!
  • あの本は読まれているか
    3.3
    冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く傑作長編!/解説=大矢博子
  • 裏切り 上
    4.0
    スコットランド・ヤードの女性刑事ケイト・リンヴィルが休暇を取り、生家のあるヨークシャーに戻ってきたのは、父親でヨークシャー警察元警部・リチャードが何者かに自宅で惨殺されたためだった。伝説的な名警部だった彼は、刑務所送りにした人間も数知れず、彼らの復讐の手にかかったのだろうというのが地元警察の読みだった。すさまじい暴行を受け、殺されていた父。ケイトが愛し尊敬してやまなかった父は、なぜ殺されなければならなかったのか? ケイトにかかってきた父について話があるという謎の女性の電話……。ドイツ本国で160万部超の大ベストセラーとなった傑作ミステリ!
  • 嘘の木
    4.2
    高名な博物学者のサンダリーによる大発見、翼のある人類の化石。だがそれが捏造だとの噂が流れ、サンダリー一家は世間の目を逃れるように島へ移住する。だが噂は島にも追いかけてきた。そんななかサンダリーが謎の死を遂げ、父の死因に疑問を抱いた娘のフェイスは密かに調べ始める。父が遺した奇妙な手記、嘘を養分に育ち真実を見せる実をつけるという不思議な木、フェイスは真相に辿り着くことができるのか。19世紀イギリスを舞台に、時代の枷に反発し真実を追い求める少女を生き生きと描いた、コスタ賞大賞・児童書部門賞ダブル受賞の傑作。
  • オルゴーリェンヌ
    5.0
    書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年・クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。彼女と共に追い詰められたクリスの前に、彼を救うべく少年検閲官・エノが現れる。三人は、少女が追われる原因である宝石の形をした『ミステリ』の結晶『小道具(ガジェット)』をいち早く回収すべく、オルゴール職人たちが住む海墟の洋館に向かったが……。そこで三人を待ち受けていたのは、職人たちを襲う連続不可能殺人だった! 先に到着していたもう一人の少年検閲官・カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。著者渾身の力作!/解説=福井健太
  • ダミー・プロット
    3.5
    自分とそっくりな女に出会い、替え玉に仕立てようとする岸浜涼子。友人を殺人容疑の圏外に連れ出すべく、策を巡らす風山秀樹。大阪の街を移動し、アリバイ工作に勤しむ大幹昌雄。それぞれが、それぞれの思惑を抱き行動したあと、まず発見されたのは切断された死体だった。岸浜の夫が経営する会社に手首が届き、地下鉄の網棚の上に置かれたバッグからは顔を潰された首が、そして占い教室から胴体が見つかる。これらはすべて同一人物のものと特定されたが――この死者は誰なのか? 本格推理の極北を歩み続けた孤高の作家、山沢晴雄。その幻の代表長編をついに創元推理文庫に収録する。/【目次】[ダミー・プロット]序章/第一章 奇妙な契約/第二章 犯行以前/第三章 首/第四章 二つの死体/第五章 アリバイ/第六章 殺意の接点/第七章 昏迷/第八章 録画は語る/第九章 壬庚子の秘密/終章/[推理クイズ]賭博/おんぼろバス/探偵学初歩/アリバイ/[エッセイ]本格のトリックは出つくしたか?/トリック問答/想い出五十年/編者解題=戸田和光/盤上のメトロポリス――山沢晴雄小論=芦辺拓
  • 彼と彼女の衝撃の瞬間
    3.9
    ロンドンから車で2時間ほどの距離にある町・ブラックダウンの森で、女性の死体が発見された。爪にマニキュアで“偽善者”という言葉を書かれて……。故郷で起きたその事件の取材に向かったのは、ニュースキャスター職から外されたばかりのBBC記者のアナ。事件を捜査するのは、地元警察の警部ジャック。アナとジャックの視点で語られていく不可解な殺人事件。しかし、ふたりの言い分は微妙に食い違う。どちらかが嘘をついているのか? 予想外の展開とどんでん返しが待ち受ける、第一級のサスペンス!/解説=三橋曉
  • 幸運は死者に味方する
    4.2
    ニューヨークきっての女探偵リリアン・ペンテコスト。そしてわたしは、サーカス団員だったところを助手にスカウトされたウィロウジーン・パーカー。わたしたちの活動を紹介するのに最適な事件は、あの奇妙なコリンズ殺人事件だろう──。1945年のニューヨーク、ハロウィーン・パーティ中の大邸宅の閉ざされた書斎で、女主人が水晶玉で撲殺されたのだ。事件の直前に開かれた交霊会と、どのようなつながりが? 母と娘ほども歳の離れた探偵と助手の女性コンビの活躍を描く、ミステリの魅力満載のシリーズ開幕!
  • 原野の館
    3.5
    母が病で亡くなり、叔母ペイシェンスの住むジャマイカ館に身を寄せることになったメアリー。だが、原野(ムーア)のただ中に立つ館で見たのは、昔の面影もなくやつれ、怯えた叔母と、その夫だという荒くれ者の大男ジョスだった。寂れ果てた館、夜に集まる不審な男たち、不気味な物音、酔っ払っては異様に怖がるジョス。ジャマイカ館で何が起きているのか? メアリーは勇敢にも謎に立ち向かおうとするが……。『レベッカ』「鳥」で知られる名手デュ・モーリアが、生涯の多くの時を過ごしたコーンウォールの原野を舞台に描くサスペンスの名作、新訳で登場!/解説=瀧井朝世
  • 失われたものたちの本
    4.2
    第二次世界大戦下のイギリス。本を愛する12歳のデイヴィッドは、母親を病気で亡くしてしまう。孤独に苛まれた彼はいつしか本の囁きを聞くようになったり、不思議な王国の幻を見たりしはじめる。ある日、死んだはずの母の声に導かれて、その王国に迷い込んでしまう。狼に恋した赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……。そこはおとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な物語の世界だった。デイヴィッドは元の世界に戻るため、『失われたものたちの本』を探す旅に出るが……。本にまつわる異世界冒険譚!/【収録作】失われたものたちの本/シンデレラ(Aバージョン)
  • 危険な友情
    5.0
    1924年、ニューヨーク。警察署で供述書を作成するタイピストとして働くローズの前に、新人タイピストのオダリーが現われる。彼女は美しい黒髪をボブにし、最新流行の高級な服に身を包んだ自由奔放な雰囲気の女性で、酔っ払いを上手にあしらって警官たちを感心させた。オダリーと親しくなったことでローズの人生は一変し、豪奢なホテルの一室で同居をはじめる。だがオダリーには秘密があった。贅沢な生活の資金はどこから? なぜ警察署に勤めているのか? そして彼女がローズに仕掛けた罠とは。2人のタイピストが織りなす優美なサスペンス!/解説=大矢博子 ※単行本版タイトル『もうひとりのタイピスト』を改題した文庫版を底本といたしました。
  • 指差す標識の事例 上
    3.4
    1663年、クロムウェルが没してのち、王政復古によりチャールズ二世の統べるイングランド。医学を学ぶヴェネツィア人のコーラは、訪れたオックスフォードで、大学教師の毒殺事件に遭遇する。誰が被害者の酒に砒素を混入させたのか? 犯人は貧しい雑役婦で、怨恨が動機の単純な殺人事件と目されたが──。衝撃的な結末で終わる第一の手記に続き、同じ事件を別の人物が語る第二の手記が始まると、物語はまったく異なる姿になり──。『薔薇の名前』とアガサ・クリスティの名作が融合したかのごとき至高の傑作!
  • 苦悩する男 上
    4.5
    イースタ署刑事クルト・ヴァランダー59歳、数年前に町なかのアパートを出て、田舎の家に住み始めた。娘のリンダも、同じ刑事の道を歩んでいる。そのリンダに子どもが生まれた。リンダのパートナー、ハンスは投資家。父親のホーカンは退役した海軍司令官、母親のルイースは元語学教師で、気持ちのよい人たちだ。だが自らの誕生パーティーの三ヵ月後、ホーカンが失踪してしまう。ルイースもハンスも原因に心当たりはないと言うが、ヴァランダーはパーティーでのホーカンの様子にひっかかるものを感じていた。北欧ミステリの金字塔シリーズ完結。
  • 死んだレモン
    3.7
    酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。/解説=吉野仁
  • 赤毛のレドメイン家
    4.0
    日暮れどき、ダートムアの荒野で、スコットランド・ヤードの敏腕刑事ブレンドンは、絶世の美女とすれ違った。それから数日後、ブレンドンはその女性から助けを請う手紙を受けとる。夫が、彼女の叔父のロバート・レドメインに殺されたらしいという……。美しい万華鏡のように変化しつづける、奇怪な事件の真相やいかに? 江戸川乱歩が激賞した名作が、満を持して新訳版で登場!/解説=杉江松恋
  • 血染めの旅籠 月影兵庫ミステリ傑作選
    -
    徳川11代将軍家斉の時代。時の老中・松平伊豆守信明を伯父にもつ、明朗で人懐っこい青年剣士・月影兵庫。彼は伯父の秘命を帯びた道中や、相棒の安との旅路で様々な事件に遭遇する。その度に、兵庫は鋭い洞察と上段霞切りを始めとした武芸を駆使し、解決していく。大雨で足止めを食らった人々が滞在する旅籠で、殺人が起こる「血染めの旅籠」。盗賊が豪商から盗み出した千両箱の在処を探す「偉いお奉行さま」。行方不明になっていた村で評判の美人が4年ぶりに帰還。それを機に奇怪な殺人が起きる「帰ってきた小町娘」など、傑作17編を収録する。/【収録作】「上段霞切り」/「通り魔嫌疑」/「血染めの旅籠」/「首のない死体」/「大名の失踪」/「二百両嫌疑」/「森の中の男」/「偉いお奉行さま」/「帰ってきた小町娘」/「掏摸にもすれないものがある」/「私は誰の子でしょう」/「鬼の眼に涙があった」/「乱れた家の乱れた話」/「ただ程高いものはない」/「理窟っぽい辻斬り」/「殺したのは私じゃない」/「殺しの方法は色々ある」/編者解説=末國善己
  • 笑う男
    3.9
    正当防衛とはいえ、人を殺したことに苦しむヴァランダー。このまま警察官を続けるか否か、長期休暇を取りデンマークの海岸で悩む彼のもとへ友人の弁護士が訪ねてきた。同じ弁護士の父親が交通事故で死亡したが、腑に落ちない点があると言う。しかしヴァランダーに他人の悩みに力を貸す余裕などなかった。ついに警察を辞める決心をし、イースタに戻った彼が見たのは、自分が助力を拒み突き放した友人の死亡記事だった。他殺である。急拠、意を翻して復職し、事件を追い始めた彼の身に、犯人の魔の手が迫る。ゴールドダガー受賞人気シリーズ第4弾。/解説=関口苑生
  • 天使の帰郷
    3.8
    ルイジアナ州デイボーン。姿を消したマロリーをさがし、彼女の故郷を訪れたチャールズは、子供を抱いた天使の石像を見て驚いた。これは確かにマロリーの顔だ。17年前に惨殺された女医を悼んで刻まれた天使。腕の中の子供は、行方不明になった彼女の娘だという。一方、デイボーンでは、自閉症の青年が両手を負傷させられ、町の一角を占拠する宗教団体の教祖が殺された。そして、容疑者としてよそ者が勾留されているという。その名は、マロリー。誰にも一言も告げず、ひそかに帰郷した彼女の目的は? いま、石に鎖された天使が翼を広げる――過去の殺人を断罪するために! 鮮烈無比なヒロインの活躍を描くシリーズ第4弾!/解説=三橋暁
  • 劇場の迷子
    4.3
    「千駄ケ谷の小父さん」と、敬愛の念を抱いて訪ねてくる後輩役者や竹野記者が持ち込む、様々な謎を解いてみせる老歌舞伎俳優・中村雅楽。長い人生経験、舞台経験に裏打ちされた老優の推理力は、その芸に劣らず一流で、歌舞伎の世界で起る難問を芸道指南よろしく、鮮やかにそして優雅に解決していく。歌舞伎座で迷子になった、能楽師の一人息子が巻き込まれた事件を描く「劇場の迷子」をはじめ、女形と舞踊家の弟子との恋模様にまつわる「家元の女弟子」、著者最晩年の作品「演劇史異聞」に加え、単行本未収録作「元天才少女」「留め男」「むかしの弟子」など滋味ある謎解き全28編。【収録作】「日曜日のアリバイ」/「灰」/「元天才少女」/「なつかしい旧悪」/「祖母の秘密」/「弁当の照焼」/「銀ブラ」/「不正行為」/「写真の若武者」/「機嫌の悪い役」/「いつものボックス」/「劇場の迷子」/「必死の声」/「芸談の実験」/「かなしい御曹司」/「家元の女弟子」/「京美人の顔」/「女形の愛人」/「一日がわり」/「荒療治」/「市松の絆纏」/「二つの縁談」/「おとむじり」/「油絵の美少女」/「赤いネクタイ」/「留め男」/「むかしの弟子」/「演劇史異聞」/講談社版『劇場の迷子』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵
  • 空の幻像
    4.0
    ペレス警部のもとに、アンスト島でエレノアという女性が失踪したとの知らせがはいる。彼女はテレビ番組の制作者で、親友の結婚式への出席と取材を兼ねて、夫や友人たちと島を訪れていた。現地に渡ったペレスが捜索をはじめてまもなく、エレノアは死体で発見される。島に伝わる少女の幽霊――1930年に溺死した“小さなリジー”のことを取材していた彼女は、失踪する前日に「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」と話していたが、そのことと事件との関係は……。シェトランド諸島を舞台に、繊細かつ大胆に織りあげられた、現代英国本格ミステリの優品。/解説=松浦正人
  • 魔法使いの陰謀
    4.2
    セントラル・パークで若い女性の死体が発見され、現場に駆けつけた刑事マイケルは、水妖馬(ケルピー)を目撃する。さらに、子どもが連れ去られるなど妖精の関与が疑われる奇妙な事件が続く。妖精界の女王の座を祖母レオニーに譲ったソフィーは、ようやくバレエダンサーとしてのキャリアを再開していたが、そんなソフィーの前に現れた魔法使いのジョセフィーンは、事件を妖精の仕業と決めつけ、魔法使いと妖精の対立を煽る。このままでは戦争が起きてしまうと危惧したソフィーは、マイケル、エミリーらと共に戦いを阻止すべく動きはじめる。シリーズ第3弾。
  • ペインスケール
    3.0
    ロングビーチ市の高級住宅街で、下院議員の息子ベントン三世の妻と幼い子どもたちが殺害された。強盗から政治がらみの怨恨までさまざまな動機が考えられたが、刑事のダニーは壁に飾られた一家の写真を見て不自然さを感じる。子持ちの家庭なら子どもを中心にした写真を飾るのが一般的だろうが、主であるベントン三世の写真ばかりだったのだ。手がかりはそこに? 過去の事件で負った体と心の痛みを抱え、捜査に没頭する刑事ダニーと、静かに彼を支え続ける相棒の女性刑事ジェン。緻密極まりない捜査の魅力と男女刑事コンビの絆を描く警察小説!/解説=若林踏
  • 許されざる者
    3.7
    国家犯罪捜査局の元凄腕長官ラーシュ・マッティン・ヨハンソン。脳梗塞で倒れ、一命はとりとめたものの、右半身に麻痺が残る。そんな彼に主治医の女性が相談をもちかけた。牧師だった父が、懺悔で25年前の未解決事件の犯人について聞いていたというのだ。9歳の少女が暴行の上殺害された事件。だが、事件は時効になっていた。ラーシュは相棒だった元捜査官や介護士を手足に、事件を調べ直す。犯人をみつけだし、報いを受けさせることはできるのか。スウェーデンミステリ界の重鎮による、CWA賞、ガラスの鍵賞など5冠に輝く究極の警察小説。/解説=杉江松恋
  • 声

    3.8
    クリスマスシーズンで賑わうレイキャヴィクのホテルの地下室で、一人の男が殺された。ホテルの元ドアマンだったという地味で孤独な男は、サンタクロースの扮装でめった刺しにされていた。捜査官エーレンデュルは捜査を進めるうちに、被害者の驚愕の過去を知る。一人の男の栄光、悲劇、転落……そして死。自らも癒やすことのできない傷をかかえたエーレンデュルが到達した悲しい真実。全世界でシリーズ累計1000万部突破。翻訳ミステリー大賞・読者賞をダブル受賞。家族の在り方を描き続ける著者の、『湿地』『緑衣の女』に続くシリーズ第3弾。
  • 雪の夜は小さなホテルで謎解きを
    3.5
    12歳のマイロの両親が営む丘の上の小さなホテル、〈緑色のガラスの家(グリーングラス・ハウス)〉。クリスマス前の冬の日、ホテルに5人の奇妙な客が現れる。彼らは全員が滞在予定日数を告げず、他の客がいることに非常に驚いていた。なぜ雪に閉ざされたこのホテルにわざわざやってきたのだろう? 5人のうちの誰かが落としたと思しき、古い紙片に描かれた海図らしきものを手がかりに、宿泊客たちの目的を探ることにしたマイロ。だが、客たちの謎は、このホテルに隠されたとてつもない秘密につながっていた……? MWA賞受賞、心あたたまる聖夜の物語をお贈りします。
  • 老人犯罪団の逆襲
    3.0
    国立美術館の絵画誘拐と身代金奪取をまんまと成功させ、大金を手にした老人犯罪一味ネンキナー団の面々。ほとぼりが冷めるまでと、ラスベガスでカジノ三昧の日々を送っていたが、さすがに故郷が恋しくなってきた。それに福祉崩壊の皺寄せを受けている老人たちのための資金は、まだまだ足りない。メッタをリーダーとする5人の団員は新たな犯罪に着手すべく、再びスウェーデンに。だが、せっかく入手したアジトである一軒家の隣は、バイク族バンドエンジェルズの巣窟だった。危うしネンキナー団。老人たちの痛快無比な活躍を描くシリーズ第2弾。
  • 凍った夏
    3.5
    12月、イーリーの公営アパートで、デクランという男が肘掛け椅子に座ったまま死んだ。閉所恐怖症の彼は扉を外し、窓を開け放したまま寝たために凍死したらしい。自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者のドライデンは疑問をおぼえる。デクランは金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨がたっぷり補充されていた。自殺する人間がそんな行動をとるだろうか? 小さな謎は思いもかけない真相の手がかりだった。ドライデンの丹念な調査と明晰な推理によって少しずつ解かれていく人々の秘密。端正な英国本格ミステリ。/解説=若林踏
  • 失踪者 上
    3.8
    イングランド南西部の田舎町に住むエレイン・ドーソンは幼馴染みのロザンナの結婚式に招待され、ジブラルタルに向かって出発したが、霧のためロンドンのヒースロー空港で足止めされ、親切な弁護士の家に一泊したのを最後に失踪する。何があったのか? 五年の時が流れ、雑誌の元記者だったロザンナはこの事件をはじめとする失踪事件について、調べることになる。当時疑われた弁護士は何か知っているのか? 障害のある兄の世話に疲れたエレインは自発的に姿を消したのか? ロザンナは友人の不可解な失踪事件の調査に次第に深入りしていく……。最後にあなたを待つ震えるほどの衝撃。作品すべてがベストセラーとなる、ドイツ一の人気作家による最高傑作!
  • 魔物のためのニューヨーク案内
    3.0
    その求人広告は冴えない書店の掲示板に貼られていた。まさにゾーイが求めていた仕事。地方都市で雑誌の仕事をしていたが、既婚者の上司と恋愛関係になった挙句、ぼろぼろになってニューヨークに帰ってきた。大好きなこの街のガイドブックの仕事ができれば、願ったりだ。大喜びで応募したゾーイだったが、なぜか会社側はゾーイでは会社に馴染めないの一点張り。経歴も実力にも自信のあるのになぜ? 食い下がって面接にこぎつけたものの、そこで彼女が目にしたのは、とんでもない世界だった。おしゃれな街NYを舞台にしたポップなファンタジー。
  • 150歳の依頼人
    -
    ニュージャージーの海辺に、念願のゲストハウスをオープンさせたシングルマザーのアリソン。ゲストハウスの目玉は、本物の幽霊に頼んでやってもらうシークレット降霊会。この屋敷には、前の女性オーナーと元探偵の本物の幽霊が取り憑いている。探偵をしたくてしかたない幽霊を手伝う代わりに、心霊現象を起こしてもらうというわけだ。新たなスタートに張り切るアリソンだったけれど、とんでもない依頼人が現れたり、降霊会で思わぬ出来事が起きたりで、もう大変! ほのぼのとして楽しいコージーミステリ。/解説=上條ひろみ
  • ファーストレディの秘密のゲスト
    3.6
    日本軍による真珠湾攻撃から約半月後。表向きはチャーチル英国首相付きのタイピストとして、実際は特別作戦執行部の工作員として、わたし、マギー・ホープは4年ぶりにアメリカへ帰ってきた。首相とルーズヴェルト米国大統領の会談が成功するいっぽう、大統領夫人の秘書が変死を遂げる。現場に残された証拠は、大統領夫人にとって大スキャンダルとなるもので、外部にもれれば大統領の立場が、ひいては英米の同盟関係も危うくなる――。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの人気シリーズ。マギーの捜査が、今度は戦争の命運を左右する?! ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの大人気シリーズ、第5弾。/解説=古山裕樹
  • 犯罪は老人のたしなみ
    3.3
    オーナーが替わって以来、ダイヤモンドホームはすっかり変わってしまった。コーヒーは自動販売機、食事は冷凍食品ばかりで、外出も厳しく制限される。刑務所の囚人のほうが、まだしも人間らしい暮らしをしている。こんな老後を過ごすはずではなかった。ならば自分たちの手で、変えてみせるとばかり、79歳のメッタは4人のコーラス仲間とともに、老人だけの犯罪組織を結成。誰も傷つけず大金を手に入れようというのだ。老人という立場を隠れ蓑に、犯罪者にあるまじきスローペースとアナログな手段を駆使する老人たち。果たして、その結末は?
  • 破壊者
    3.9
    女は裸で波間にただよっていた。脳裏をよぎるのは、陵辱されたことではなく、手指の骨を折られたことだった。――そして小石の浜に打ち上げられた遺体が発見される。被害者は長時間泳いだ末に力尽き、溺死していた。一方、死体発見現場から二十キロ以上離れた港町では幼女が保護される。彼女は被害者の三歳になる娘だった。なぜ犯人は母親を殺したのに娘を無傷で解放したのか? 海を恐れ船に乗らなかった女性がなぜ溺死したのか? 凄惨きわまりない事件は、被害者をめぐる複雑な人間関係を暴き出す。現代英国ミステリの女王が放つ稀代の雄篇。/解説=杉江松恋
  • 古城ゲーム
    3.5
    医学生のバスチアンは、14世紀の暮らしを疑似体験するサエクルムというゲームに参加するため、オーストリアの人里離れた森に到着した。そこでは携帯電話、懐中電灯、消毒薬などゲームの時代になかった物の持ち込みが禁止され、5日間架空の騎士や魔女になりきる。だが参加者がひとり、またひとりと謎の失踪を遂げ、主催者の携帯電話もなくなり外部と通信不能になってしまう。さらに嵐を避けて逃げ込んだ洞に閉じこめられ、奥に大量の白骨死体を発見。想定外の出来事は何者かの仕業なのか? ウィーン出身の実力派作家が贈る圧巻のサスペンス!
  • 第三の願い
    -
    三つの願いを叶えてくれるという魔人イフリートが、三つ目の願いを叶える力を失ってしまった。なぜ願いの力は消えたのか。そのせいで被害に遭った人々が作った結社〈第三の願いの環〉は何を目論んでいるのか。カリフの宮殿を放り出された絨毯乗りターリクは、魔人の首領から引き継いだ左目の奇妙な力に苦しみながら、真相を追求する。一方嵐の王たちに助け出された弟ジュニスは、かつての兄の恋人で今は嵐の王の幹部になっているマリヤムと共に、魔人との戦いに身を投じていた。そこで彼は不思議な力をもつ少年に出会う。迫力のシリーズ第2弾。
  • 書店猫ハムレットのお散歩
    3.5
    ダーラが経営するニューヨークの書店では、最近、店のマスコットの黒猫ハムレットの元気がない。愛想がないのはいつもどおりだけれど、お客をひとりも追い出していないし、買い物袋を爪で引き裂いたりもしていない。これはおかしい。“猫の行動の共感力者”と名乗る猫のセラピストによると、自分を出来損ないのように感じているという。あのふてぶてしいハムレットがそんなふうに思っているとは! 愕然とするダーラだったが、通っている武術道場で、さらに驚きのできごとが……。名探偵(かもしれない)黒猫が大活躍するコージー・ミステリ! シリーズ第2弾。
  • 黄昏の彼女たち 上
    4.0
    1922年、ロンドン近郊。戦争で男手を喪い、母とふたりで暮らすフランシスは、生計のため広すぎる屋敷に下宿人を置くことにする。広告に応じたのは若い夫婦、レナードとリリアンのバーバー夫妻だった。家の中に他人がいる生活に慣れないフランシスだが、ふとしたきっかけからリリアンと交流を深めていく。公園でのピクニック、『アンナ・カレーニナ』の読書、そして互いの過去を知りあうことで……。いつしかふたりの女性に芽生えた感情は、この物語をどこへ運んでいくのか? 心理の綾を丹念に描いて読む者を陶酔させる、〈このミス〉〈週刊文春〉第1位作家・ウォーターズの傑作!
  • スパイ学校の新任教官
    3.8
    1941年初冬。敵国ドイツでのスパイ任務で心に癒しがたい傷を負ったわたし、マギー・ホープは、スコットランドにある特別作戦執行部(SOE)の訓練キャンプの鬼教官として、スパイのひよっこたちを鍛え上げていた。辛い記憶を振り払うかのように。そんな折、親友でバレリーナのサラから公演に招待され、エディンバラを訪れることに。けれど舞台で思わぬ事件が発生して……。運命の12月、わたしは何を目撃する? 赤毛の才媛マギーがさらなる成長を遂げていく、『国王陛下の新人スパイ』に続く、シリーズ第4弾!/解説=穂井田直美
  • 海辺の幽霊ゲストハウス
    3.0
    ニュージャージーの海辺に建つヴィクトリア様式の屋敷を買ったアリソン。シングルマザーの彼女は、築百年以上のこの屋敷を自らリフォームしてゲストハウスにし、9歳の娘メリッサと新しい生活を始めようとしていた。だがひょんなことから、屋敷に取り憑いているふたりの幽霊が見えるようになってしまう。それは、屋敷の前オーナーでツンツンしたマキシーと、気弱な私立探偵のポール。誰に殺されたか調べてほしいというポールの頼みで、調査を手伝うことにしたアリソンだったが、事件が起きてしまい……。明るく楽しい、コージーミステリ・シリーズ第1弾。
  • 水の葬送
    3.8
    シェトランド諸島の地方検察官ローナは、鎧張りの船にのせられ外海へ出ようとしていた他殺死体の第一発見者となる。被害者は地元出身の若い新聞記者で、島にある石油ターミナルがらみの取材を兼ねて帰省したらしい。新任の女性警部リーヴズがサンディ刑事たちとはじめた捜査に、病気休暇中のペレス警部もくわわるものの、本調子にはほど遠い。複雑な人間関係とエネルギー産業問題がかかわる難事件の解決には、ペレスの観察眼と推理力が不可欠なのだが――。〈シェトランド四重奏〉を経て、クリーヴスが到達した現代英国本格ミステリの新たな高み。CWA最優秀長篇賞受賞シリーズ。
  • 落札された死
    3.5
    オークションハウス〈プレスコッツ〉を会場にしたチャリティイベントで、主催の女性が毒入りワインを飲んで死んだ。店を提供したオーナーのジョシーは、警察から執拗な取り調べを受ける。犯人の狙いは被害者ではなく、自分かもしれない。以前の勤め先を去るきっかけとなった事件の被告である元上司が刑を終え出所していることを知り、おののくジョシーだが、頼れる恋人の警察署長タイは折悪しく不在のため、今回の件には一人で立ち向かうしかない。人出の多い会場で、犯人はいかにして毒を盛ったのか……? アンティーク×謎解きのシリーズ第2弾。
  • 漆黒の森
    3.8
    取材で黒い森(シュヴァルツヴァルト)にある小さな村を訪れた編集者のハンナは、トレッキングの最中に女性の惨殺死体を発見してしまう。被害者は10年前に村を出て数日前に帰郷したばかりの女性で、妊娠していたが腹部から胎児が消えていた。捜査の指揮を執るエルリンシュピール首席警部が村人たちに聞き込みを続けると、次第に村に伝わる“鴉谷”の不吉な言い伝えや、10年前の嬰児失踪事件が明らかになる。堅物の刑事と敏腕女性編集者が、反目しあいながら閉ざされた村での連続殺人を解き明かしていく。ドイツ推理作家協会賞新人賞を受賞した清冽なデビュー作!
  • 刑事たちの四十八時間
    4.0
    不気味なわらべ歌が残る英国中西部の炭鉱の村で、夫婦と幼児が突如失踪した。ロンドン警視庁のディ警部補とハマースミス巡査部長が捜索に派遣されたが、与えられたのはわずか二日間。採掘による坑道のため沈みつづけ、やがて滅びゆく運命にある村を襲う春の吹雪。原因不明の奇病が蔓延し、不気味な目玉が発見される中、正義を固く信じるディ警部補、我が身の危険を顧みないハマースミス巡査部長、愁いを帯びた法医学検査官キングスリーの苦闘が始まる……。迷信と因習に満ちた村の犯罪の闇と、刑事たちの光がせめぎ合う、ノンストップ警察小説。シリーズ第2弾!
  • エリザベス王女の家庭教師
    3.8
    わたし、マギー・ホープはイギリス首相チャーチルのタイピストから、MI-5の工作員へ抜擢された。だが頭脳はすばらしいが、持久力に難ありと判断され訓練に落第してしまう。落ち込むわたしに命じられたのは、ウィンザー城に疎開している王女たちの警備役。王位継承権第1位の14歳のエリザベス王女を、ナチスが狙っている恐れがあるというのだ。表向きは数学教師として城に赴いたわたし。だが到着早々、大事件が勃発し……。ウィンザー城に迫る陰謀の影に挑む、才媛マギーの大活躍! 好評『チャーチル閣下の秘書』に続く、シリーズ第2弾!
  • 国王陛下の新人スパイ
    3.4
    ベルリンのレジスタンスグループに無線機の部品を運び、ナチス高官の自宅に盗聴器を取りつけよ――。第二次世界大戦が勃発して約2年。チャーチル英国首相のタイピストから、エリザベス王女の警備役を経て、ついにスパイとしてベルリンへ送り込まれることとなったわたし、マギー・ホープ。そこで待ち受けていたのは、予想をはるかに上回る困難、そしてわたし自身の過去の問題だった――。読み手の予想を大胆に裏切り続ける、大展開に次ぐ大展開のストーリー! 赤毛の才媛マギーの活躍を描く、読み出したら止まらない、大好評シリーズ第3弾!/解説=大矢博子

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