小説・文芸 - 創元推理文庫作品一覧
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4.0窓ガラスいっぱいに、口紅を使って描かれた落書き。無言の電話。白紙の手紙。冷たい視線。そして彼女は悲鳴を絞り出した。きちんと揃えてあった彼女の靴が五、六足、今はことごとく、裏返しにされて置かれていたのである――そういえば先生、最近六本木界隈で流行っている噂、知ってる? お墓から少し離れた場所に一枚の紙が落ちているのを見つけ、何だろうと思って拾ってみると、それには謎々が書かれてあって――土砂崩れのせいで、地中に埋まっていた屍体が見つかったんだってさ。おや、屍体はふたつだ――いったい何が進行しているのか? 五里霧中の展開に眩暈を覚える異様な力作。少年探偵・牧場智久、第二の事件。
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4.0書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣
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3.3「おまえ一昨日、旧校舎に行ったりしてないよな?」クラスメイトに言われて驚いた。美弥は旧校舎に足を踏み入れたことはない。学校の七不思議では旧校舎の鏡に姿を映すと、鏡の中の自分が抜け出て襲いに来るらしい。その後も覚えのない場所で彼女を見たという目撃者が続出、ついに美弥自身も出会ってしまった。そのとき、助けてくれたのは大きな犬と、その犬を兄と呼ぶ少年朱鷺だった。朱鷺は各地を旅して呪物を集めているらしい。半信半疑のまま美弥は自分に起きている奇妙な出来事を彼に打ち明けるが……。『魔導の系譜』の著者の新シリーズ開幕。
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3.7月刊EYESの小高直海経由で、ある未解決事件を調べ始めた刑事事件専門のフリーライター・柚木草平。2年前、東南アジアからの留学生支援のボランティアをしていた女子高校生が殺害され、都内の神社で発見された事件だ。しかし、話を聞き始めた翌日に、ボランティア施設と同じビルにある雑貨店の店員が急死してしまう。事故か殺人か、2年前の事件との関連を疑う柚木だが……。当時から女子高校生殺害事件を追う所轄の女性刑事、ビルオーナーの母と娘など、調査で出会う女性は美女ばかり。二つの事件に隠された真実にたどりつけるのか――。“永遠の38歳”柚木草平の軽やかな推理。/解説=大矢博子
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3.7
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3.0柳橋の船宿に居候する、“若さま”と呼ばれる謎の侍がいた。姓名も身分も一切不明だが、事件の話を聞いただけで真相を言い当てる名探偵でもあった。扇に秘められた暗号の謎を解く「舞扇の謎」。菖蒲作りの名人の娘が殺され、些細な手がかりから犯人の異様な動機に辿り着く「菖蒲狂い」。祭りで同じ酒を飲んだ4人のうちひとりが毒殺された。犯人がどのように毒を仕込んだのかを暴く「面妖殺し」など、250編近い短編から厳選した25編を収録。「五大捕物帳」の一つにして、〈隅の老人〉に連なる、伝説の安楽椅子探偵シリーズの決定版、登場!/【収録作】「舞扇の謎」/「かすみ八卦」/「曲輪奇談」/「亡者殺し」/「心中歌さばき」/「尻取り経文」/「十六剣通し」/「からくり蝋燭」/「菖蒲狂い」/「二本傘の秘密」/「金の実る木」/「あやふや人形」/「さくら船」/「お色検校」/「雪見酒」/「花見船」/「天狗矢ごろし」/「下手人作り」/「勘兵衛参上」/「命の恋」/「女狐ごろし」/「無筆の恋文」/「生首人形」/「友二郎幽霊」/「面妖殺し」/編者解説=末國善己
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3.5ナタリーが大学に入学するまで三週間ほどを残して迎えた初秋の日曜日の午後。鼻持ちならない文筆家の父と、夫への軽蔑を隠さない母が催したホームパーティでの“悪夢”を経て、初めての寮生活を迎えた17才のナタリーは、大きく変わった生活環境に戸惑いを隠せないでいた。同年代の少女への優越感と劣等感の狭間で揺れ動く中、風変わりな女生徒トニーとの出会いによって真の安寧を手にしたかに見えたが……思春期の少女の危うい精神の揺らぎを、残酷さと一掬の愛情を交えて描く。『ずっとお城で暮らしてる』の著者の初期を代表する傑作長編小説。/解説=深緑野分
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4.2
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3.5ダーラが経営するニューヨークの書店では、最近、店のマスコットの黒猫ハムレットの元気がない。愛想がないのはいつもどおりだけれど、お客をひとりも追い出していないし、買い物袋を爪で引き裂いたりもしていない。これはおかしい。“猫の行動の共感力者”と名乗る猫のセラピストによると、自分を出来損ないのように感じているという。あのふてぶてしいハムレットがそんなふうに思っているとは! 愕然とするダーラだったが、通っている武術道場で、さらに驚きのできごとが……。名探偵(かもしれない)黒猫が大活躍するコージー・ミステリ! シリーズ第2弾。
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4.0
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3.2ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。その書店にはマスコットの黒猫ハムレットがいた。かごにかわいらしく丸まり、ゴロゴロと喉を鳴らして客を迎える――ことは決してなく、堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫が。ハムレットが気に入る従業員を確保できてほっとしたものの、ダーラはある工事現場で書店の常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡。最近夜に外を出歩いているらしいハムレットのもの?! 黒猫ハムレットが必殺技で犯人を告げる! コージー・ミステリ第1弾。
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3.0わたしはイングランドの美しい古都バースにある、初版本協会の新米キュレーター。この協会は、アガサ・クリスティなどの初版本の蒐集家だった故レディ・ファウリングが設立した。事務局は彼女の住まいだった館にあり、図書室にはその膨大なコレクションが所蔵されている。自分がこの職にふさわしいと証明しようと試行錯誤していたところ、ある朝、図書室でなんと死体が発見される。被害者は、勉強会で館を使っていた創作サークルのひとりだった……。本を愛する人々に贈る、ミステリ・シリーズ第1弾!
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4.3ドイツ、2008年11月。空軍基地跡地にあった空の燃料貯蔵槽から人骨が発見された。検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明する。折しも、犯人として逮捕された男が刑期を終え、生まれ育った土地へ戻ってきていた。彼はふたりの少女を殺害した罪で服役したが、寃罪だと主張しつづけていた。だが村人たちに受け入れてもらえず、正義という名の暴力をふるわれ、母親までも何者かに歩道橋から突き落とされてしまう。捜査にあたる刑事オリヴァーとピア。閉塞的な村社会を舞台に、人間のおぞましさと魅力を描き切った衝撃の警察小説!
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3.0「我々は知りすぎているんです。お互いのこと、自分のことを知りすぎている。だから、僕は今、自分の知らない一つのことに本当に興味をおぼえるんです──あの気の毒な男がなぜ死んだか、ですよ」新進気鋭の記者ハロルド・マーチは財務大臣との面会に向かう途中で出会った奇妙な釣師とともに自動車が断崖から転落するさまを目撃する。後に残されたのは車の残骸と男の死体だった。なぜ彼は昼日中見晴らしの良い崖から転落したのか? 国際情勢への鋭い眼差しが光る、英国的諧謔精神に満ちた連作ミステリ集を新訳にて贈る。創元推理文庫初収録作。/【収録作】「標的の顔」/「消えたプリンス」/「少年の心」/「底なしの井戸」/「塀の穴」/「釣師のこだわり」/「一家の馬鹿息子」/「彫像の復讐」/解説=大山誠一郎
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4.1春の祭典を目前にしたスウェーデンの田舎町で、不動産業者の女性が行方不明になった。良き妻、幸せな母、教会の熱心な信徒がなぜ? 失踪か、それとも事件か、事故か。ヴァランダー警部らは彼女の足取りを追い、最後に向かった売家へ急いだ。ところがその近くで謎の空き家が爆発炎上、焼け跡から発見されたのは、黒人の指と南アフリカ製の銃、ロシア製の通信装置だった。二つの不可解な事件の関連は? スウェーデンとロシア、そして南アフリカを結ぶ糸は? EU各国で爆発的な人気を誇るベストセラー作家の、CWAゴールドダガー受賞シリーズ。/解説=吉野仁
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3.7悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた過去の化物と、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍の両方に追いつめられた紐結びの魔道師リクエンシスたち一行は、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れる。村で冬を越すことになったエンス、星読みのトゥーラ、もと拝月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコに、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、トゥーラがさがし求める、1500年前にかけられたオルン魔国の魔女の呪いを解く方法を調べる。だがそこで浮かんだのは、オルン魔国最後の女王の血塗られた真の姿だった。〈紐結びの魔道師〉3部作第2弾。/解説=三辺律子
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3.3時は平安。都の人々の注目を集めているひとりの女性がいた――その名は紫式部。かの『源氏物語』の著者だ。式部には、あまり知られていない顔がある。彼女は都の謎を鮮やかに解き明かす名探偵でもあったのだ。折しも、帝が寵愛する女性が待望の親王を出産し、白一色で飾られ沸き立つ土御門邸。しかし、そのきらびやかな祝宴のさなか、都を騒がせている怪盗が逃げこんだとの報が入る。彰子にこわれて出仕していた式部は、『紫式部日記』編纂のかたわら、推理をめぐらせるのだが……。怪盗の行方は? そして書物にこめた式部の思いとは? 第13回鮎川哲也賞受賞作家が描く王朝推理絵巻、第2弾。/解説=細谷正充
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3.5六公国の王子デューティフルと、かつての宿敵である外島人の族姫エリアニアとの婚約。互いに根強い恨みと反感を抱く二つの国に平和を打ち立てんとするこの縁組みを成立させるためには、黒いドラゴン、アイスファイアの首を落とさねばならない。約束を守るために、王子は神呪字諸島に向け出航する。お供は王妃の顧問官シェイド、王子の従者シック、身分を隠したままのフィッツ。さらに古き血族のウェブや〈気〉をもつ貴族シヴィルも乗りこんでいる。航海の行く手に待つものは。壮大な異世界ファンタジー〈道化の使命〉最後の幕があがる。
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3.530歳で夭折した天才作家が創造し、すべてのヒロイック・ファンタジーの源となった傑作シリーズを、最新の校訂研究にもとづいて贈る第5集。本集には新訳となる3編を収録した。宝物を狙う海賊たちとの死闘を描いた「黒い異邦人」。最初に発表されたシリーズ作品として読者の熱狂を呼んだ、王となったコナンの物語「不死鳥の剣」。強大な敵の手に落ち囚われの身となったコナン王が、獄中で伝説の魔道士と遭遇する――一大合戦絵巻が繰り広げられる表題作等傑作揃い。/【収録作】「黒い異邦人」/「不死鳥の剣」/「真紅の城砦」/資料編「ハイボリア時代の諸民族に関する覚え書き」/「西方辺境地帯に関する覚え書き」/「辺境の狼たち(草稿)」/解説=中村融
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3.8新宿の不動産会社に勤める営業マン・澤村聡志。知識はあるが駆け引きが苦手な彼のもとにある日、成績優秀な後輩・神崎くららがパートナーとして異動してきた。以来、気が強く先輩使いの荒いくららに澤村は振り回される毎日に。さらに、担当していた大家に突然冷たくつき放されたり、入居者から部屋に現れる宇宙人を退治してほしいと無茶なクレームを入れられたり……物件に絡む謎の数々を解き明かすため、くららと二人、大忙しで走り回る! 新しくて古い街“新宿”に住む人々の悩みと謎を解決する、心あたたまる不動産ミステリ。『ツノハズ・ホーム賃貸二課におまかせを』改題文庫化。/【収録作】第一話 大家の事情/第二話 入居者の事情/第三話 入居申込人の事情/第四話 その土地の事情/エピローグ
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3.5来日中のペンシルベニア大学教授ジョゼフ・ハートマンは、古代史の世界的権威。同じく歴史学者である早乙女静香と京都へ旅行しようとしてはキャンセルの憂き目に遭い、毎晩うらぶれたバーで飲むことに。しかし、バーテンダー松永の供する酒肴に舌鼓を打ちつつ聴く宮田六郎と静香の歴史検証バトルは、不満を補って余りある面白さであった。アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像――七つの不思議を俎上に載せ、常識を覆す新解釈を披露。好評嘖嘖たる奇想天外なデビュー作品集『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編、ここに登場!
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3.7酒を飲んで運転し、自損事故で下半身の自由を失ったフィンは、心機一転、ニュージーランド最南端の町へ引っ越す。住居は人里離れたコテージで、26年前にその家に住んでいた少女が失踪していた。彼女が消えてから6週間後、不気味な三兄弟が住む隣のゾイル家の土地から、骨の一部が発見された。住人は逮捕されたが結局未解決となっていた。ゾイル家の関わりは明らかなのに証拠がない場合、どうすれば? 事件を詳しく調べ始めるフィン。だが5か月後、彼は三兄弟に命を狙われ……。最後の最後まで読者を翻弄するナイオ・マーシュ賞新人賞受賞作。/解説=吉野仁
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4.0相も変わらずの天才的なテナーサックスの演奏と、鮮やかな推理を披露するいっぽうで、世事にはうとい永見緋太郎だが、クインテットを活動休止にして、海外で原点を見つめ直すという唐島に同行することになった。ニューヨークを皮切りに、シカゴ、そしてジャズの聖地ニューオリンズで永見と唐島が出合った不思議な出来事。あこがれのミュージシャンが遺した楽器を手に入れた唐島を襲った災難、ニューヨークで管楽器の盗難事件に巻き込まれた永見が見いだした真相など、全7編を収録。ジャズと不思議に満ちた、日本推理作家協会賞受賞シリーズ第3弾。/解説=法月綸太郎
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3.3大昔、日本は北と南でアジア大陸と地続きだったが、温暖化によって……。ところで「日本」はニホンかニッポンか、日本人の要件って何だろう? バーのカウンター席で始まった歴史談義は、漠然と受け止めていたけれど実は全然知らなかったんだと気づかされることのオンパレード。八幡平や桶狭間などの現地踏査も交え、数々の不思議に理論で迫る。原日本人、邪馬台国、柿本人麻呂、空海、織田信長、東州斎写楽、太平洋戦争――日本人なら知っておきたい7つのテーマに、鯨史観は如何なるアプローチを試みるか。好評を得た『邪馬台国はどこですか?』『新・世界の七不思議』に続く、第3弾。
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3.0昼とは全く別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。奇怪な人々が闇に潜む不思議な都市を支配するのが、謎の老人・深夜の市長である。ある晩の殺人事件をきっかけに、彼の存在を知った僕。果たして深夜の市長の正体は? 傑作都市ミステリ「深夜の市長」。祖父とも思う資産家の老人が亡くなった後、少年が取った行動が予想外の事態を招く「仲々死なぬ彼奴」。人間の興奮をグラフにした“興奮曲線”によって、殺人犯を特定した博士が陥った悲劇を描く「キド効果」など珠玉の11編を収録。日本SFの先駆者にして唯一無二の奇想で彩る作品を描いた著者の真髄を示す、傑作ミステリ短編集。
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3.3昭和12年(1937年)5月、銀座で似顔絵描きをしながら漫画家になる夢を追いかける那珂一兵のもとを、帝国新報(のちの夕刊サン)の女性記者が訪ねてくる。開催中の名古屋汎太平洋平和博覧会の取材に同行して挿絵を描いてほしいというのだ。超特急燕号で名古屋へ向かい、華やかな博覧会を楽しむ最中、一報がもたらされた殺人事件。名古屋にいた女性の足だけが東京で発見された!? 同時に被害者の妹も何者かに誘拐され――。名古屋と東京にまたがる不可解な謎を、一兵はどんな推理を巡らせて解くのか? 空襲で失われてしまった戦前の名古屋の町並みを、総天然色風に描く長編ミステリ。/解説=大矢博子
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3.2ロンドンの医師で“心霊博士”でもあるジョン・サイレンスのもとには、超自然現象に悩む患者たちが訪れる。屋敷の悪霊に取り憑かれた作家の災難を描く「霊魂の侵略者」、前世の記憶から猫の街に引き寄せられた男の妖しい体験が語られる「古えの妖術」、旅の途中で30年ぶりに母校を訪れた商人が引きずり込まれた黒魔術の恐怖「秘密の崇拝」、青年の激しい恋情が驚愕の人狼事件へと発展する「犬のキャンプ」など、英国恐怖文学の巨匠ブラックウッドのジョン・サイレンスもの6編を完全収録した傑作短編集。/【目次】/事例一 霊魂の侵略者/事例二 古えの妖術/事例三 炎魔/事例四 秘密の崇拝/事例五 犬のキャンプ/事例六 四次元空間の虜/解説=朝松健
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-「恥辱を与えて殺害せよ」――ソ連国家保安省内の殺害実行機関SMERSH(スメルシュ)へ、死刑執行命令が下った。標的は英国秘密情報部の腕利きのスパイ、007のコードを持つジェームズ・ボンド。かつてソ連側に敗北をもたらした彼を陥れるために、SMERSHの作戦計画立案者が送りこんだのは、英国秘密情報部が飛びつくに違いない、魅力的な餌を抱えた国家保安省の美女だった。ヨーロッパとアジアが交わる混沌の都市イスタンブールやオリエント急行を舞台に、巧妙に張りめぐらされた二重三重の罠。最大の危機がボンドを襲う! 新訳で贈るシリーズ最高傑作。/解説=戸川安宣、小山正
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3.81967年のイギリスで、4人の女性科学者がタイムマシンの開発に成功し、300年先の未来までの時間旅行が実現した。そして、時間移動を厳格に管理すべく、国家からも独立した〈コンクレーヴ〉と呼ばれる巨大なタイムマシン運用組織が誕生した。時間旅行を独占するのはもちろん、タイムトラベラーが起こした犯罪も、この組織が独自に対処する。だが、タイムトラベルには精神に及ぼす深刻な副作用があった。ある殺人事件に遭遇した女性オデットが〈コンクレーヴ〉に潜入し、事件の調査を進めるうちに、その恐るべき事実が明るみに……異色の時間SF!/解説=堺三保
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3.6「美しく強かな継母が父を殺した」再婚してわずか一年半足らずで父が急死。遺産とビジネスを受け継ぎ生き生きと活躍する継母の姿に、女子高生の瑠璃はそう確信した。彼女は自らの死をもって継母の罪を告発しようと決意する。しかし自殺の名所として有名な山奥の森で首を吊ろうとしたところ、かつて同じ森で首吊り自殺したという“幽霊”と出会い、裕章と名乗る彼に継母の罪の証拠を一緒に探そうと提案される。瑠璃が決めた期限以内に見つからなければ、その時死ねばいいと。六日後──それが瑠璃の自殺予定日となった。継母の罪を暴き、父の無念を晴らせるのか?! すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ!/解説=池上冬樹
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4.0真敷市公民館で行われている奇術ショウの舞台で、仕掛けの中から飛び出すはずの水田志摩子が現れない。それどころか彼女は自分のマンションで殺されていた。しかも死体の周囲には、同じ奇術クラブの仲間、鹿川舜平が書いた「11枚のとらんぷ」に鏤められた11のトリックを構成する小道具類が毀されて置かれていた。秘密の儀式めいたトランプ奇術殺人は何を意味するのか。著者の鹿川舜平が辿りついた事件の真相とは。自らも数多くの奇術を生み出し、石田天海賞を受けているマジシャン泡坂妻夫が、小説家としてのスタートを飾った記念すべき第一長編。/解説=相沢沙呼
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4.0古の神の眷属と信じられている『神王』一族が治めるシオン神王国。その最北に位置するラダッカでは、原因不明の死病が流行していた。極北での任務から帰還した〈蛇の目〉団の若き長ソローは、神王家から派遣された地形官の護衛と監視を命じられる。百二十年ごとに繰り返される吹雪と死病の原因は、神王国の根幹に関わる秘密にある、と地形官は語る。ラダッカを襲う異変はソローのみならず、彼の幼なじみ――騎士を目指す少女エネミアと、神王国を守護する〈剣の天使〉の後継者という宿命を負うゼンの未来をも変えようとしていた。圧倒的筆力で描く、ヒロイック・ファンタジーの傑作。解説=三村美衣
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3.8命を助けた若者に、つらい人生を歩んできたゆえの奇怪な風貌を罵倒され、心が折れてしまった老姉妹。10年の長きにわたり、部屋で安らかに眠り続ける少年。屋敷の敷地内に薄暗い洞窟を持つ金持ち夫婦に雇われて、“隠者”となった男。“蝶の修理屋”を志し、古物店で見つけた手術道具を使って博物館に展示されている標本の蝶を蘇らせようとする少年。家の近くの丘で掘り出した骨を集め、ネックレスを作る少女。――ブッカー賞最終候補作の著者が、日常と異常の境を越えてしまい異様な事態を引き起こした人々を描く、奇妙で愛おしい珠玉の短編集。/【目次】ピアース姉妹/眠れる少年/地下をゆく舟/蝶の修理屋/隠者求む/宇宙人にさらわれた/骨集めの娘/もはや跡形もなく/川を渡る/ボタン泥棒/訳者あとがき/解説=石井千湖
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-植物写真家の猫田夏海は北海道の撮影旅行の最中、「神の森で、激しい土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」という話を聞き、興味を覚えて日高地方最奥部の古冠村へ向かう。役場の青年の案内で夏海が目にしたのは、テーマパークのために乱開発された森だった。その建設に反対していたアイヌ代表の道議会議員が失踪する。折しも村では、街路樹のナナカマドが謎の移動をするという怪事が複数起きていた。三十メートルもの高さの巨樹までもが移動し、ついには青年の墜落死体が発見されたとき、夏海は旧知の〈観察者〉に助けを求めた! 〈観察者〉探偵・鳶山が鮮やかな推理を開陳する、謎とトリック満載の本格ミステリ。/解説=村上貴史
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4.4公園で見つかった奇妙な死体。70年代のディスコ全盛期の服装で、外傷はないが、怯えた表情をしている。現場を調べていた刑事マイケルは、側に妖精がいることに気づく。その妖精によると、新しい女王の命を受けた部下たちが、人間と、女王に忠誠を誓うことを拒んだ妖精を追放しているのだという。死体の男も、妖精界から追放された人間だった。だが、新たな女王になったソフィーがそんなことをするはずはない。妖精界で何が起きているのか? マイケルは新米女王のソフィーと共に妖精界に乗りこむ。〈(株)魔法製作所〉の著者の新シリーズ第2弾。
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4.4リトル探偵事務所にある母親から持ち込まれた事件は高校生の娘の失踪だった。元刑事でバツイチの探偵バーニー・リトルは誘拐事件と判断、相棒の大型犬チェットと調査を開始したが、身代金要求はない。父親は単なる家出としてバーニーを解雇してしまう! 警察犬訓練所を優秀な成績で卒業、はできなかったが、それでも優秀な相棒犬チェットは、おのれの嗅覚を信じ、危険もかえりみず、バーニーをサポートする。チェットが犬の視点、犬の心ですべてを語り全世界の犬好きの心を鷲掴みにした史上最強の犬ミステリ『ぼくの名はチェット』(単行本版)改題。/解説=杉江松恋
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3.7J・D・カー生誕百周年の記念祭に伴い日本に上陸した幻の本――とある未解決犯罪実録集に、カーが解決を示唆する走り書きを残したことによって『カーの設問詩集』と呼ばれている一冊だ。そこには、巨匠は真相に至ったものの、なぜか未解決のままとなっている「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれる不可能犯罪の概要が載っていた。この書物を持ち主から借り受けた大学生・友坂は、所属するゼミの教授や友人たちを別荘に集めて推理合戦を楽しむが、彼らは想像しえない“不可能犯罪”の渦中に巻き込まれる。短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿のうえ長編化した傑作ミステリ。/解説=宇田川拓也
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3.0百貨店の催事で古書展覧会が行なわれるようになった昭和42年春。詩集のコレクターである大沢から、古書収集の極意は「殺意」と聞かされた喜多は、彼が本を借りてはそのまま私物化しているという噂を耳にする。その後大沢が居合わせた展覧会で、稀覯書が忽然と消え失せた……本を手に入れるためなら手段は選ばない収集家の闇を描く「展覧会の客」、古書オークション開催者に翻弄される喜多が最後に意外な真相に辿り着く「『憂鬱な愛人』事件」、古書店で起きた盗難事件と、図書館での司書強殺。「電網恢々事件」の三編を収録する。/【目次】第一話 展覧会の客/第二話 『憂鬱な愛人』事件/第三話 電網恢々事件/あとがき/文庫版刊行にあたって/解説=北原尚彦
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4.0邪険な扱いしかしなかった亡き妻に謝罪したい――一代で財を成した傑物・方城兵馬の願いを叶えるため、長男の直嗣が連れてきたのはなんと霊媒師。自宅で降霊会を開いて霊魂を呼び寄せようというのだ。霊媒のインチキを暴こうとする超常現象の研究者までもがやって来て、方城家に騒然とした空気が広がる中、兵馬が密室状態の離れで撲殺されてしまう。霊媒は方城家に悪霊が立ち籠めていると主張、かくて調伏のための降霊会が開かれるが、その席上で第二の惨劇が起きた――方城家を襲う奇怪な連続不可能殺人の謎に挑むのは、飄々とした名探偵・猫丸先輩! 著者初期を代表する傑作長編。/解説=巽昌章/新版刊行によせて=倉知淳
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4.31942年、わたし、マギー・ホープは、特別作戦執行部への協力を拒んだため、スコットランド西海岸の孤島にある城に囚われていた。忌まわしい過去を持つこの城は、外部と隔絶した極秘の収容所として機能しており、ほかにも9名が囚われている――いずれもなんらかの理由で隔離が必要と判断されて。無為な日々を過ごしていたわたしたちだったが、新たな工作員が島にやってきた日から、ひとりまたひとりと謎の死を遂げていき……。この島でいったい何が起きているのか? 世界的ベストセラー・シリーズ最新刊!
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3.6父が行方不明になってから五年が経った冬。高校一年生のわたし・倉西美波は、不可抗力により「二日で五万円」という超破格のバイトをすることになった。山奥に踏み込んでは廃墟を撮影するというカメラマンの助手を請け負うことになったのだけれど、向かった先は危険だらけ。やっぱり楽には稼げないと落胆するも、なんと、ボロボロの屋敷でミイラ化した死体を発見してしまった! しかもそれが十二年もの間行方が知れなかった、カメラマンの母親だというからさらに驚いてしまって……。降りしきる雨の中、閉ざされた廃墟で次々と人が死んでいく。清新な筆致と、大胆なトリックで贈る、注目のシリーズ第三作。
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3.81941年初冬。敵国ドイツでのスパイ任務で心に癒しがたい傷を負ったわたし、マギー・ホープは、スコットランドにある特別作戦執行部(SOE)の訓練キャンプの鬼教官として、スパイのひよっこたちを鍛え上げていた。辛い記憶を振り払うかのように。そんな折、親友でバレリーナのサラから公演に招待され、エディンバラを訪れることに。けれど舞台で思わぬ事件が発生して……。運命の12月、わたしは何を目撃する? 赤毛の才媛マギーがさらなる成長を遂げていく、『国王陛下の新人スパイ』に続く、シリーズ第4弾!/解説=穂井田直美
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-被害者は、2月5日、火曜日の午後4時5分に空から降ってきた。喉には無惨な切り傷。落下してきたと思われたその男のフラット5階、バルコニーのある部屋は無人で、しかも玄関ドアは内側から釘と板で封じられていた。この不可解な密室殺人に臨むのは、サセックス警察のテス・フォックス警部補。彼女はしかし、被害者の名を知って愕然とする。その男は15年前、妹セアラを救うために罪を犯したあの夜の関係者だった。詐欺師として自分と正反対の世界で生きる異母妹を救うために……。意外な展開を見せる事件に姉妹が挑む、新シリーズ開幕!
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4.3(株)MSIに復職するため、ニューヨークに戻ったケイティ。ところが久しぶりの出勤の朝、地下鉄内でいきなり魔法を使った犯罪の現場に出くわす。どうやらライバル会社スペルワークスの仕業らしい。魔法の悪用を企む輩を阻止すべく立ちあがった、伝説の大魔法使いマーリン率いる(株)MSI。切り札はマーケティング部長に昇進したケイティのカスタマーカンファレンス。愛するオーウェンの協力も得て、計画は順調に進むかに見えた。だがカンファレンスのさなか、敵の陰謀がオーウェンを襲う。そしてついにオーウェンの出生の秘密が明らかに……。大人気のロマンチックファンタジー第5弾!
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3.9あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。姉のコンスタンスといっしょに、他の家族が皆殺しにされたこの屋敷で、ずっと暮らしている……。惨劇の起きた資産家一族の生き残り。村人から忌み嫌われ、外界との交流も最低限に止める彼女たちは、独自のルールを定めて静かな生活を送っていた。しかし従兄チャールズの来訪をきっかけに、美しく病んだ箱庭世界は大きな変化をむかえる。“魔女”と称された異色作家が、超自然的要素を排し、無垢な少女の視点から人間心理に潜む悪意が引き起こす恐怖を描く代表作。/解説=桜庭一樹
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4.0聖エセルドレダ女学院は、12歳以上の少女7人が在籍し、淑女にふさわしい教養を学ぶ小規模な寄宿学校。ところが、ある日夕食の席で校長先生とその弟が突然息絶えてしまう。それぞれの事情から家族のもとへ帰されるのを恐れた生徒たちは、死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする。翌日、科学の得意なルイーズの分析で、ふたりは毒殺されたと判明。なぜ、誰に殺されたのか? 気転、演技力、社交性、推理力。生徒たちは得意分野を活かして大人をあざむきながら犯人を探り始めるが……。個性豊かな少女たちが一致団結して謎に挑む!/解説=大矢博子
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4.3束の間の平穏は春の訪れとともに去り、エンス一行が居を定めたオルン村に、元コンスル帝国軍人ライディネス率いる軍がおしよせてきた。エンスとトゥーラは、エンスを追ってきた邪悪な化物に立ち向かうべく〈死者の谷〉に降り、戦線を離脱。エミラーダはある目的を胸に、リコを伴いライディネス軍に寝返る。だが、事態はエミラーダの思惑を超えてとんでもない方向に動きだしていた。この世に戻ってきたエンスは事態を収拾し、トゥーラの念願どおり、魔女国千五百年の呪いを解くことができるのか。招福の魔道師エンスが活躍する三部作、ここに完結。
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4.2【2015年10月より、Kis-My-Ft2の玉森裕太さん主演で連続ドラマ化!(読売テレビ・日本テレビ系全国ネット)】浅木晴也は、アルバイトで生活費を稼ぎながら大学に通う貧乏青年。彼の許にある日、悪友の和臣が報酬付きの相談事を持ちかけてくる。仕方なく引き受けたストーカー撃退の依頼だったが、いざ待ち伏せして捕えた不審者は人違い。事情を聞くと、一人暮らしの妹と連絡がつかなくて、心配で様子を見にきていたらしい。妹思いの男が放っておけず、晴也は女の子の捜索も請け負うことに。脅迫者との交渉、女子寮の盗撮犯捜しと、次から次へと芋づる式に厄介事は増えていく……。トラブル解決に奔走する青年の慌ただしい日々を、軽快な筆致で描いた青春小説。
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4.1ホーフハイム刑事警察署の管轄内で、犬の散歩中の女性が射殺された。ライフル銃で80メートルの距離から正確に頭部を狙撃されたのだ。翌日、森の縁に建つ邸宅のキッチンで、女性が窓の外から頭を撃たれて死亡。数日後には、若い男性が心臓を撃ち抜かれて殺害された。被害者たちはいずれも他人に恨まれるタイプではなく、動機に結びつくような共通点もわからない。そして警察署に“仕置き人”と名乗る謎の人物から死亡告知が届く。犯人の目的は? 被害者たちの見えない繋がり(ミッシング・リンク)とは? 刑事オリヴァーとピアが未曾有の連続狙撃殺人事件に挑む!/解説=北上次郎
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4.1
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-推理小説ファンが最後に犯罪実話に落ちつくように、怪奇小説愛好家も結局は、怪奇実話に落ちつくのが常道である。なぜなら、ここには、なまの恐怖と戦慄があるからだ――伝説の〈世界恐怖小説全集〉最終巻のために、英米怪奇小説翻訳の巨匠・平井呈一が編訳した幻の名アンソロジー『屍衣の花嫁』が、60年の時を経て、〈東西怪奇実話〉海外篇としてここに再臨! 怪奇を愛し霊異を尊ぶ、古き佳き大英帝国の気風がノスタルジックに横溢する、遠き世の怪談集。ハリファックス卿やE・オドンネルら、英国怪奇実話を代表する幽霊ハンターが集結!【収録作】1「インヴェラレイの竪琴弾き」/「鉄の檻の中の男」/「グレイミスの秘密」/「ヒントン・アンプナーの幽霊」/「エプワース牧師館の怪」/「ある幽霊屋敷の記録」/2「死神」/「首のない女」/「死の谷」/「女好きな幽霊」/「若い女優の死」/「画室の怪」/「魔のテーブル」/「貸家の怪」/「石切場の怪物」/「呪われたルドルフ」/「屍衣の花嫁」/「舵を北西に」/「鏡中影」/「夜汽車の女」/「浮標」/3「ベル・ウィッチ事件」/解説=平井呈一/新版解説=東 雅夫
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3.7子ども9人と大人3人を乗せた船が、スコットランドのヒルタ島から無人島へと出航した。孤島で海鳥を獲る旅が、この島の少年たちにとっては、大人への通過儀礼なのだ。だが、約束の3週間が経っても、迎えの船は一向に姿を現さず、このまま島から出られないのではないかと、不安が皆の心を蝕み始める。そんななか年長の少年のひとりクイリアムは、密かな決意を胸に、希望を捨てることなく仲間を励まし、生きのびるために闘うのだった。果たして迎えは来るのか? カーネギー賞受賞作。YAの名手が実際の事件をもとに描いた、勇気と成長の物語。
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3.8人の世はなんとおぞましく、美しいのだろう――。最愛の妹をたった二十二歳で亡くした女は、不思議な葬儀社にあるお願いをする。まるで生きているかのように写真を撮影できる凄腕のカメラマンに、妹のウエディングドレス姿を残してほしい、と。しかしそれは、禁断の行為だった……。雨の渋谷で死んだ同級生を思い出す男、街を彷徨う女子高生、満たされぬ思いから窃盗を繰り返す女、この世のものとは思えない美女と遭遇した少年。赤々とした炎のように何かに身を焦がし、切望する者たちの行く末ははたして──。人間の赤裸々な欲望、妄執を巧みな文章で書き綴った、切ない余韻の残る連作短編集。
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4.3三月のテムズ川に浮かんだ射殺死体は、アメリカ人の採掘会社経営者のものだった。彼の鉱山開発計画に詐欺疑惑が生まれた矢先の死である。またもや望まぬ事件を押しつけられた風邪ひきのウィザースプーン警部補は、動機を持つ会社の大株主を中心に捜査を進める。もちろん、その裏では家政婦のジェフリーズ夫人たち探偵団一同も、こっそり行動を始めていた。今回の目的はふたつ。殺人事件の解決と、ささいな投資の失敗におびえた警部補が導入した、極端な“家計費節約計画”の撤回である! 謎解き成分大幅増で贈る、使用人探偵団シリーズ第4弾。
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4.2全国各地を旅する昆虫好きの心優しい青年・エリ沢泉。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていた――。16年前、災害ボランティアの青年が目撃したのは、行方不明の少女の幽霊だったのか? エリ沢が意外な真相を語る「蝉かえる」。交差点での交通事故と団地で起きた負傷事件のつながりを解き明かす、第73回日本推理作家協会賞候補作「コマチグモ」など5編を収録。注目の若手実力派・ミステリーズ!新人賞作家が贈る、第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞を受賞した、ミステリ連作短編集第2弾。/【目次】蝉かえる/コマチグモ/彼方の甲虫/ホタル計画/サブサハラの蠅/単行本版あとがき/文庫版あとがき/解説=法月綸太郎
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3.9千吉は大好きな兄、弥助を守るための力がほしいと、共に育った半妖の双子と一緒に妖怪奉行所西の天宮の奉行、朔ノ宮に弟子入りした。ところが仕事は雑用ばかりで一向に術らしい術を教えてくれない。ようやくひとつだけ教えてくれた術もなんの役に立つのかわからぬ始末。楽しそうな双子とは対照的に、千吉の苛立ちはつのるばかり。そんなある日、弥助に子妖を預けた化け獺が、期日を過ぎても迎えにこない。兄との時間を邪魔されて腹が立った千吉は、双子を巻き込んで化け獺を捜す決心をした。大人気の〈妖怪の子、育てます〉シリーズ第2弾!
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4.11944年6月、ノルマンディー降下作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエドら同年代の兵士たちとともに過酷なヨーロッパ戦線を戦い抜く中、たびたび戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音――常に死と隣あわせの状況で、若き兵士たちは気晴らしのため謎解きに興じるが。戦場の「日常の謎」を連作形式で描き、読書人の絶賛を浴びた著者初の長編ミステリ。【目次】プロローグ/第一章 ノルマンディー降下作戦/第二章 軍隊は胃袋で行進する/第三章 ミソサザイと鷲/第四章 幽霊たち/第五章 戦いの終わり/エピローグ/主要参考文献ほか/解説=杉江松恋
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4.0【第13回鮎川哲也賞受賞作】帝ご寵愛の猫はどこへ消えた? 出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車につないでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが――。闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身。縺れ合う謎に挑む紫式部を描いた第一部「上にさぶらふ御猫」。『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、幻の巻「かかやく日の宮」――この巻はなぜ消え去ったのか? 式部を通して著者が壮大な謎に挑む第二部「かかやく日の宮」。紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた華麗な王朝推理絵巻。
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4.2千弥の様子がおかしい。もともと弥助に対しては過保護だったが、最近度が過ぎるのだ。ぼうっとすることも多く、物忘れも激しい。心配する弥助に対し、千弥は何でもないの一点張り。互いを思いやる心がすれ違い、ふたりは初めて大喧嘩をしてしまう。以前千弥は月夜公に執着する紅珠の魔手から弥助を守りきるために、妖怪の誓いを破って力の源である目玉を取り戻したことがあった。ほんの一時のことだったが、誓いを破ったことに変わりはない、その報いは確実に千弥を蝕んでいた。そしてついに……。大人気妖怪シリーズ、第一部クライマックス。
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3.8わたしは花見堂小春、日本で(多分)唯一の魔女養成学校である横濱女子仏語塾の三年生。ある日聴講生の男子・千秋くんが、エル・ドラドオのものだという黄金の留め針を持ってきた。由来を探ろうと水晶玉をのぞいたら、そこに見えたのは密林にそびえるピラミッドと巨大なティグレの頭像、真っ黒な百合に黄金の青年像だった。さらにもう一度水晶玉をのぞいたとき、事態は大きく動きだし……。黄金郷に隠された秘密とは? 千秋くんの中にいるティグレの正体は? 大正時代の横濱(と黄金郷)を舞台に魔女の卵たちが大活躍の三部作、ここに完結!
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4.3冥凮と呼ばれる怪物が跋扈する世界。空を飛ぶもの、地を這うものなど様々な種がいるが、そのどれもが無作為に人間を襲う習性を持っていた。人々は身を護るために砦を築き、軍事、工業、商業、農業などそれぞれ個別の役割を持った六つの共同体に分かれて暮らしている。少女キサは、この世で唯一冥凮を滅ぼす能力を持つ蒼衣の家系に生まれながら、力を使いこなせず、役立たずの捨姫と蔑まれていた。冥凮討伐に失敗し毒の川に落水したキサは、一人の少年に命を救われる。彼もまた大人たちから切り捨てられた孤独な存在だった。ひとりぼっちで生きてきた少女と少年が手を取り合い、過酷な運命に立ち向かう傑作ファンタジイ。
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3.7アイルランドの小さな町で、ハリウッドを夢見て脚本を書き続けてきたアダム。恋人のサラが仕事でバルセロナに出張し、まったく連絡がとれなくなってしまう。だが出発から数日後、アパートにサラのパスポートが郵送されてくる。それには「ごめんなさい――S」とサラの字で書かれた付箋が貼ってあったが、封筒の文字は別人のものだった。彼女に何があったのか? アダムは恋人を追い、手がかりをもとに地中海クルーズ船に乗り込む。千以上もの客室を持つ豪華客船で暴かれる、予想外の真実。巧みな構成力と謎解きの妙味を味わえる衝撃のサスペンス!/解説=穂井田直美
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3.8ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに声をかけられる。彼は酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす。話を聞いたリリーは、ミランダは殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開してテッドの妻殺害への協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の攻防が語られる鮮烈な傑作犯罪小説。/解説=三橋曉
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4.0【ミステリランキング4冠! 第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』海外編・第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 海外部門・第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇・第1位『2021本格ミステリ・ベスト10』海外編】実直さが評判の離婚専門の弁護士が殺害された。裁判の相手方だった人気作家が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた数字“182”。被害者が殺される直前に残した謎の言葉。脚本を手がけた『刑事フォイル』の撮影に立ち会っていたわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査にふたたび引きずりこまれて──。年末ミステリランキングを完全制覇した『メインテーマは殺人』に並ぶ、シリーズ第2弾! 驚嘆確実、完全無比の犯人当てミステリ。/解説=大矢博子
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4.0ペレス警部のもとに、アンスト島でエレノアという女性が失踪したとの知らせがはいる。彼女はテレビ番組の制作者で、親友の結婚式への出席と取材を兼ねて、夫や友人たちと島を訪れていた。現地に渡ったペレスが捜索をはじめてまもなく、エレノアは死体で発見される。島に伝わる少女の幽霊――1930年に溺死した“小さなリジー”のことを取材していた彼女は、失踪する前日に「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」と話していたが、そのことと事件との関係は……。シェトランド諸島を舞台に、繊細かつ大胆に織りあげられた、現代英国本格ミステリの優品。/解説=松浦正人
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5.0イワン・ヴォルパトリル大尉。生粋のヴォルらしい黒髪にオリーブ色の肌をした、長身のハンサム。コマールで軍務についていたイワンのもとを、友人の機密保安庁職員バイアリーが訪れた。女の子を一人ひっかけてほしいというのだ。女の子ならイワンの得意分野。少々強引ながら彼女の家に押しかけたはいいが、そのあとの展開がいけなかった。いきなりスタナーで撃たれて拘束されるわ、誘拐容疑をかけられるわ……。そこで彼女が追われていることを知ったイワンは、窮地を逃れるための、偽装結婚を申し出る。マイルズの従兄弟イワンの運命やいかに!
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3.9数寄屋橋近くの三番館ビル六階にバー〈三番館〉がある。落ち着いた雰囲気の、いい店だ。少し早い時間に行くと、達磨大師然としたバーテンがひとりグラスを磨いている。常連の私立探偵は、依頼された仕事を持て余すたび、雑学の大家であるこのバーテンに知恵を借りに来る。どんな事件も、たちどころに解き明かしてくれるのだから!本格ミステリの巨匠が生んだ安楽椅子探偵、ここに登場。最終行の切れ味が素晴らしい「竜王氏の不吉な旅」など5編を収録。収録作品=春の驟雨/新ファントム・レディ/竜王氏の不吉な旅/白い手黒い手/太鼓叩きはなぜ笑う/解説=白峰良介
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3.6かつては硬骨の刑事、今や恍惚の刑事になりかかった父親が、捜査一課の現職刑事である息子の家を頻々と訪れる。五人いる息子のうち、唯一同じ職業を選んだ末っ子から現場の匂いを感じ取りたいのだろう。その息子が目下捜査中の事件について話を始めると、父親はあれこれと突っ込みを入れ、あげく真相を引き出してしまうのだった……。記念すべき第一作「写真うつりのよい女」をはじめ、推理の過程が秀逸な「ジャケット背広スーツ」など、七編を収録。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第一集。/【収録作】「写真うつりのよい女」/「妻妾同居」/「狂い小町」/「ジャケット背広スーツ」/「昨日の敵」/「理想的犯人像」/「壜づめの密室」/あとがき=都筑道夫/解説=法月綸太郎
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3.5父が状況を聞いて事件を再構成する力に、私は幾度舌を巻いたか知れない。硬骨の刑事魂は、退職したところで一向錆びつきはしないのだ。私の現職刑事ぶりが気になって、足繁く団地へ話しに来るのもわかる。しかし「わたしが俳句に凝ったりしたら、お前が困るだろう、事件の解決が長びいて」などと言われると立つ瀬がなくなってしまう……。退職刑事若かりし頃の事件「凧たこあがれ」や、何とも皮肉な結末に問題発言が飛び出す「Xの喜劇」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第5集。/【収録作】「落葉の墓」/「凧たこあがれ」/「プールの底」/「五七五ばやり」/「闇汁会」/「遅れた犯行」/「あくまで白」/「Xの喜劇」/解説=津田裕城
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3.0話半ばで目を閉じ、眠ってしまったかに見える父だが、油断はできない。こうしているときに思考回路はめまぐるしく動いているに違いないのだ。それが証拠に、私にはおよそ目鼻をつけられなかった事件が、鮮やかに解きほぐされていく……。ダイイング・メッセージから犯人を割り出す「乾いた死体」や暗号もどきを解読する「筆まめな死体」など、現職刑事の手に余る難題に往年の辣腕を揮う、退職刑事の事件簿7編を収録。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第3集。/【収録作】「大魔術の死体」/「仮面の死体」/「人形の死体」/「散歩する死体」/「乾いた死体」/「筆まめな死体」/「料金不足の死体」/解説=新保博久
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4.3退職後も刑事かたぎが抜けない父親に、捜査一課の現職刑事である息子の五郎は、親孝行を兼ねて今日も目下の懸案を語り始める。時に水を向けられ、時に相談を持ちかけて口火を切り、事件を詳述していくと退職刑事の眼光は鋭さを増し、やがて意想外の真相を浮かび上がらせる。団地の四階で父子が対話する基本形式に加え、「四十分間の女」「真冬のビキニ」では、第三者が持ち込んだ地方都市の謎に現職退職両刑事が挑む。国産の《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第2集。【収録作】「遺書の意匠」/「遅れてきた犯人」/「銀の爪きり鋏」/「四十分間の女」/「浴槽の花嫁」/「真冬のビキニ」/「扉(ドア)のない密室」/解説=新保博久
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4.0推理作家の椿正雄さんには、元刑事の父が何かとお世話になっている。ダイイング・メッセージだの殺人予告だの、父の衰えを知らない好奇心を満たすような話の相手も、少なからず務めてくれているらしい。その椿さんがわざわざ一席もうけるという。非番の日を見繕って現職刑事である私まで招ぶからには、魂胆ありと見たが……。現職退職両刑事と推理作家が故人の梗概(ミステリ)を巡って文殊の智慧を絞る「あらなんともな」など、退職刑事の健在ぶりを示す8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第4集。/【収録作】「連想試験」/「夢うらない」/「殺人予告」/「あらなんともな」/「転居先不明」/「改造拳銃」/「著者サイン本」/「線香花火」/解説=田中博
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4.0私が概略を話すと、父は目を閉じて首を垂れる。ややあって顔を上げたときには、まず事件は解決したと思っていい。父のお蔭で迷宮入りを免れた事件もかなりの数になり、老いてなお旺んな好奇心と推理力には脱帽するしかない。推理作家の椿氏も、父の安楽椅子ならぬ炬燵探偵ぶり、窓がまち探偵ぶりに惚れ込んでいる。退職刑事が調べて現職刑事が寝台探偵を務めるという逆の構図で描かれる「拳銃と毒薬」など、8編を収録。国産《安楽椅子探偵小説》定番中の定番として揺るぎない地位を占める、名シリーズ第6集。/【収録作】「つまらぬ事件」/「桜並木の一本の桜」/「死は木馬にのって」/「拳銃と毒薬」/「耳からの殺人」/「馬の背」/「針のない時計」/「昔の顔」/あとがき=都筑道夫/解説=西澤保彦
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4.1かつて繁栄を誇ったコンスル帝国の最北西に位置する霧岬。そんな霧岬の村に住むデイスは十六歳、村の外に捨てられていたところを姉に拾われ、両親と姉に慈しまれて育った。ある日父と衝突し、怒りにまかせてゴルツ山に登った彼は、土の中に半分埋まった肩留めを拾う。金の透かし彫りに、〈太陽の石〉と呼ばれる鮮緑の宝石。これは自分に属するものだ、一目でデイスは悟った。だが、それがゴルツ山に眠る魔道師を目覚めさせることになるとは……。デビュー作『夜の写本師』で読書界に旋風を起こした、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ第3弾。/解説=金原瑞人
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3.7昭和24年、ミステリ作家を目指している風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。学制改革による、たった1年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で夏休み中の一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒5名で湯谷温泉へ、中止となった修学旅行代わりの旅だった。そこで巻き込まれた密室殺人。さらにキティ台風が襲来する8月31日の夜に、学校隣の廃墟で首切り殺人にも巻き込まれる! 二つの不可解な事件に遭遇した少年少女たちは果たして……。戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す――。各方面から絶賛を浴びた長編、待望の文庫化。/解説=杉江松恋
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-首都圏を震撼させた地下遺構連続殺人事件。その犯人も被害者の共通点も不明のまま、捜査は暗礁に乗り上げていた──。そんななか、地下遺構探索サークルを主宰する大学生・藤間秀秋、名探偵・七ツ森神子都とその助手・風野颯平らは、令嬢・御坂摩耶の依頼で、彼女の祖父である有名政治家が遺した別荘を訪れる。そこに隣接する地下遺構を調査中に山崩れが発生、身元不明の屍蝋化死体、摩耶の祖父が金塊を残したと信じるグループとともに、内部に閉じ込められてしまった。脱出方法を探して地下遺構を彷徨うなか、何者かに一人また一人と殺されていく。七ツ森と風野たちは連続殺人犯を突きとめ、閉鎖空間から無事生還できるのか。
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4.01922年、ロンドン近郊。戦争で男手を喪い、母とふたりで暮らすフランシスは、生計のため広すぎる屋敷に下宿人を置くことにする。広告に応じたのは若い夫婦、レナードとリリアンのバーバー夫妻だった。家の中に他人がいる生活に慣れないフランシスだが、ふとしたきっかけからリリアンと交流を深めていく。公園でのピクニック、『アンナ・カレーニナ』の読書、そして互いの過去を知りあうことで……。いつしかふたりの女性に芽生えた感情は、この物語をどこへ運んでいくのか? 心理の綾を丹念に描いて読む者を陶酔させる、〈このミス〉〈週刊文春〉第1位作家・ウォーターズの傑作!
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3.0推理小説の名探偵に憧れて開設した〈天野春近探偵事務所〉。主な依頼は浮気調査ばかりと理想どおりにはいかないが、ときにいかにも探偵らしい仕事が舞い込むこともある。しかしその大半は、春近の“霊の記憶が視える”という特異な能力を当てにした無茶なものだった。制約の多いその力に振り回されながらも、春近は霊と人を救うため調査を開始する。事件性なしと判断されたはずの資産家の死、二年前に借金を残して行方をくらましていた生死不明の失踪人の「死体」捜索――霊視探偵・天野春近が解き明かす二つの事件を描いた霊能力×ミステリ!/解説=大山誠一郎
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4.3高級住宅街の路地で女性の遺体が発見された。刑事マックスは、目撃者の証言から被害者の夫である刑事弁護士プルイットに殺人の疑いをかける。プルイットは、長年ともに働いた仲間である引退した弁護士ボーディに潔白を証明してくれと依頼した。ボーディは弁護を引き受けたが、それは命の恩人である親友のマックスと敵対することを意味していた。たとえ友情を失おうとも、正義を為すべく対決する、検察側の証人マックスと弁護人ボーディ。予想外の展開となる陪審裁判を制するのはどちらか? 『償いの雪が降る』の著者が描く、激動の法廷ミステリ!/解説=若林踏
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4.0きっかけは、高級老人ホーム〈海の上のカムデン〉の入居者向け娯楽活動が、どれもこれもつまらなくなったことだった。協議会で話し合いが持たれた結果、アンジェラ発案のスペイン語講座が始まり、さらには紆余曲折の末、“生きたスペイン語に触れるための”メキシコ旅行が実現のはこびとなる。アンジェラとキャレドニア以下参加者一行11人は、バスで行く添乗員つきツアーをおおむね楽しんでいた……初日の夜に、新入り入居者が突然の死に見舞われ、またもや事件の気配が漂いだすまでは。老人探偵団が異国の地で大騒ぎする、人気シリーズ第8弾。
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4.0人形を売買するだけの自分に、ものを作る人々にのしかかる重圧は永久にわからない――スランプに陥った店の職人・冨永の言葉に傷つきながらも、せめて創作の一端に触れようと、老舗の人形店が開く教室に通い始めた玉阪人形堂の新人店主・澪。店にやってくる様々な顧客が持ち込む謎、そして人々との対話を通して、彼女は日々、人形に向き合う。少女たちが夢中になった国民的着せ替えドールを巡る騒動、髪が伸びる市松人形に隠された胸を打つ物語。当代きっての短篇の名手が贈る、『たまさか人形堂ものがたり』に続く珠玉のミステリ連作集。書き下ろし「戯曲 まさかの人形館」を収める。/解説=倉数茂
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4.4会社をリストラされ突如無職となった澪(みお)は、祖母が遺した小さな人形店を継ぐことにした。人形マニアの青年・冨永と謎多き職人・師村の助けを得て、いまでは人形修復を主軸にどうにか店を営んでいる──自分がモデルになったという、顔を粉々に砕かれた創作人形の修復を希望する美しい女性。だが、その人形が創られたのは、彼女が生まれた頃と思しい三十年以上前のことだと判明する(「毀す理由」)。ほか、伝統的な雛人形を有する旧家の不審死、チェコの偉大な人形劇団の秘密など、名手が人形を通して人の心の謎を描く珠玉の短編を収める。書き下ろし短編「回想ジャンクション」を収録。/解説=紅玉いづき
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3.5メトロポリタン博物館から忽然と消えた古写本、ペントハウスで起きた密室殺人、乗る者を次々死に追いやるボートの怪、古詩のとおりに消失と出現を繰り返す竪琴……いずれ劣らぬ怪事件に理知の光を当てて真相をあばくのは、日本人執事カトーを従えた謎の紳士トレヴィス・タラントである。巨匠クイーンが「当代におけるもっとも想像力に富んだ探偵小説」と評し、〈クイーンの定員〉に選出した傑作短編集に、その後に発表された「消えたスター」「危険なタリスマン」など4編を追加収録し、不可能趣味に満ちたシリーズ全作品を網羅した文庫決定版!/解説=千街晶之
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3.9埠頭で荷揚げ中に落下事故が起こり、珍しい形状の異様に重い樽が破損した。樽はパリ発ロンドン行き、中身は「彫像」とある。こぼれたおが屑に交じって金貨が数枚見つかったので割れ目を広げたところ、とんでもないものが入っていた。荷の受取人と海運会社間の駆け引きを経て樽はスコットランドヤードの手に渡り、中から若い女性の絞殺死体が……。次々に判明する事実は謎に満ち、事件はめまぐるしい展開を見せつつ混迷の度を増していく。真相究明の担い手もまた英仏警察官から弁護士、私立探偵に移り緊迫の終局へ向かう。クロフツ渾身の処女作にして探偵小説史にその名を刻んだ大傑作。
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4.52011年1月。サンフランシスコの私立探偵クレア・デウィットは、ギタリストのポールが殺されたのを知る。彼はかつてクレアの恋人だったが、別の女性と結婚していた。ポールは自宅の居間で銃殺されており、膨大なギターのコレクションのうち、5本がなくなっていた。犯人は貴重なギターを狙って盗みに入ったのだろうか。クレアは自力で犯人を明らかにすべく調査を開始する。想いを残したまま別れた相手が殺害され、懸命に真実を追うクレア。謎を解くことで、誰かを救えるのか。『探偵は壊れた街で』で鮮烈な印象を残した女探偵の新たな苦闘!/解説=久美沙織
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