詩集・俳句 - ふらんす堂作品一覧

  • 第一回田中裕明賞
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    1~14巻220~880円 (税込)
    ◆第一回田中裕明賞選考結果報告 候補作品/選考経過報告/選考会/受賞記念句会/授賞式/発表 2004年に45歳で夭折した田中裕明を顕彰するとともに、これからの俳句の未来をになう若い俳人を育てるための一助となればと願いつつ創設した「田中裕明賞」の第一回の選考経過報告が出来上がりました! 俳句史における貴重な資料とするべく、毎回冊子にして田中裕明賞の記録を残していきます。 選考経過を録音しそれをもとに構成された読み応えのある一冊になっています。
  • あさはやくに
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    ◆リトアニア語対訳詩集 あさはやくに書かれた たくさんの新しいひびきの名前。 読まれていない本をめくろう 東から西まで。 あさはやくに白い魔女たちが わかいわたしの幸せを決めた; そして予言し運命づけた 永遠にわかくいることを。 黄金の時間をあさはやくに 太陽がたくさん注いだ。 あさに金いろで書かれた わたしの名前をそこで見つける。 (「あさはやくに」より) ◆目次 (あさはやくに) あさはやくに/わかいきみに/青春/白い路上で/復活祭のあさに (夕べのヴァイオリン) こどく/夕べのヴァイオリン/たびだちに/海のおはなし/十字路よ/暗くなるとき/日没 (黄いろの旗) 黄いろの旗/風/秋の太陽よ/たいへん/秋の日々/孤児のよる (銀のこどく) 銀のこどく/たそがれの来客/待合室に/哀悼/森によって/黒い客/白の山脈/おうちから (大地が燃える) 春に/海にて/春の酔い/踊り子たち/窓ごしに/一瞬のあいだの (なみだなしに) 宵/ついていく日に/ものごい/パイェーシスよ
  • 朝晩
    3.0
    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第五句集 2012年以降の作品から360句を収録した第5句集。 句集名の『朝晩』は、文字通り朝と晩であるとともに、いつも、常々、日々の暮らしの中で、という意味合いが込められている。 ◆自選一二句より 妻来たる一泊二日石蕗の花 雪降るや雪降る前のこと古し 葬送の鈸や太鼓や山笑ふ 夕空は宇宙の麓春祭 レタス買へば毎朝レタスわが四月 飯蛸やわが老い先に子の未来 松蝉の声古釘を抜くごとし 月涼し配管老いし雑居ビル めらめらと氷にそそぐ梅酒かな ひぐらしや木の家に死に石の墓
  • 飯島晴子の百句
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    ◆言葉の深淵へ 尽きることなき言葉との苦闘 よく第四句集の『八頭』から句風が変わったと評されるが、晴子の姿勢は一貫して存在としての言葉の追求であった。その時々に、どのような景と出くわすかによって、当然、出現する言葉も変わってくるが、晴子はいつも、渾身の力で言葉の深みへ降りていった。 (「ひとりの修羅」より:奥坂まや)
  • 祈りの天
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    1巻2,640円 (税込)
    ◆ 精鋭俳句叢書serie de la fleur 序文・高橋悦男 栞・片山由美子  はくれんの祈りの天にとどきけり  ことばはあくまで易しく、しかし、発想は独自で鋭く繊細である。しかも、言葉に汚れがなく、透明で清純である。(序・高橋悦男) 飛び越せぬ川のありけり鳥雲に 菜の花や明日を明るき日と思ふ ソーダ水楽しき刻を飲み干して いちまいの水となりゆく薄氷 踏青や背に透明な羽根生えて 銀漢や一生分といふ逢瀬 引く波は見えず十一月の海 星涼し夜空に沖のあるやうな いくたびも白きもの翔つ冬の海 白鳥に似てセーターの厚き胸
  • 海藻標本
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    1巻2,200円 (税込)
    第10回雪梁舎俳句大賞受賞! ◆ 第一句集 序・池田澄子 俳句甲子園で最優秀賞を得た、いわば記念碑的な「夕立の一粒源氏物語」を、文香はこの第一句集を編む時点で捨てた。見事な根性である。そして確かに句集の作はその句を超えている。この健気を以て更に、俳句形式を悦ばせる俳人になっていくだろう。大変なライバルの出現である。 言葉そのものへの興味、言葉をつかうことへの興味は、 俳句という形式の中で増幅する。 語の持つ音や文字の形のおもしろさ、 言葉の負う背景、言葉同士のふれあいに気づき、感じる。 私は俳句を選んだ。 つかう言葉のひとつひとつを思い遣ることができる。 (あとがき)【※本作品はブラウザビューアで閲覧すると表組みのレイアウトが崩れて表示されることがあります。予めご了承下さい。】
  • カシオペア
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆第二句集 香水を一滴をんな取り戻す 美音さんの句はかなり大胆な試みのもとにあることがわかる。 いままでの美音さんの句全体を見渡してみると必ずしも試みが成功しているとは言えないものもあるのだが、そうした不成功を怖れないところが美音さんの特徴とも言える。 むしろ、ここからまた何か新しいものが生まれるのではないかという期待が生じてくるのである。 序より・大輪靖宏 ◆自選十二句 連山を統べ大阿蘇の野火走る この先は獣道かや山桜 荷風忌やソーヌゆつくり蛇行して ときめきは晩年に来よ桃の花 国境は青き海なりつばくらめ もう少しで星を摑めるハンモック 美しき刻を重ねて滴りぬ あるがまま溺れてみたき芒かな 十六夜のしづかに潮の引きにけり アサギマダラ色なき風に抗はず 家系図に一人加ふる春隣 初夢や手には届かぬ北極星
  • 加藤楸邨の百句
    4.5
    1巻1,650円 (税込)
    ◆人間の業と向き合ふ 楸邨の句は難解だと言はれることが多い。僕は初学の頃から「寒雷」系の先輩方の話を聞いて育つたおかげもあり、楸邨の句がわかりづらいと思つたことがほとんどない。今回、解説を書くにあたり、その思ひがますます強くなつてゐる。わざと恣意的な解説を付した句もあるが、句の内容については、さほど外れてはゐないはずだ。 難解さとは句意のわかりづらさではない。いはゆる俳句的情緒、俳句的手法からの距離感が難解だと呼ばれてしまふ。 楸邨にはいつも加害者意識があつた。根幹は一市民=被害者としての怒り、悲しみなのだが、対象に入り込みすぎて、加害者側の意識に辿り着いてしまふのだ。哀しいほどの生真面目さだと思ふ。そしてこの加害者意識は戦争によつてますます強固なものになる。 楸邨の作句理念でもある「己れの内からの人間的要請」とはこの加害者コンプレックスと向き合ふことでもあつた。コンプレックスは個人のものなので、作者に向き合はねば見えてくるものではあるまい。楸邨が難解だと思はれる一因はこのことにあるのだらう。
  • カムイ
    -
    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第三句集 一瞬にしてみな遺品雲の峰 前の句集を出してから、思いのほか長い月日が過ぎた。途中、母の死をきっかけに句稿を何とかまとめたが、その二週間後に東日本大震災が起きてしまった。今思えば、あの震災は自分の作品を再び見つめ直すための厳しい機会だったのかも知れない。 ◆収録作品より 南風吹くカレーライスに海と陸 さまよへる湖に似てビヤホール 簡単な体・簡単服の中 帰心とは水引草にかがむこと いちじくの火口を覗く夜なりけり 風呂敷は布に還りて一葉忌 海流のぶつかる匂ひ帰り花 病棟は海鳴りのなか神の留守 しばれると皆言ひ交す夜空かな 大空に根を張るつららだと思へ 第57回俳人協会賞受賞! 第10回小野市詩歌文学賞受賞!
  • 季語別片山由美子句集
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    1巻2,310円 (税込)
    ◆季語別句集シリーズ 「雨の歌」「水精」「天弓」の既刊句集、および「天弓」以後平成9年までの作品を季語によって分類して収録。作品理解の上で更に役立ち、実作者にとっては季語を通して俳句を学べる格好の一書。
  • 岸本尚毅作品集成Ⅰ
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    1巻3,300円 (税込)
    ◆既刊六句集全句収録 岸本尚毅の既刊句集『鶏頭』『舜』『健啖』『感謝』『小』『雲は友』の六句集の作品を収録した、全二三四三句の句集集成。 今どきの若い者にしては珍しい、という言葉をときおり耳にするが、そういう貴重な存在として今ここに岸本尚毅君がある。昔から俳壇に登場する若手といえば、大なり小なり青臭い文学臭を身にまとっている。この状況は昨今とても何ら変りはない。尚毅君には殆んどそれが無いと云ってよいし、彼の目はあくまで純粋に澄み切って、ひたすら俳句への情熱に溢れている。 なぜかわが若き日の分身であるかのようなこの好青年の将来を深く期待して止まない。 (第一句集『鶏頭』序より・波多野爽波)
  • 原型
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    1巻1,430円 (税込)
    ◆第一句集 壺焼の腸勾玉の原型か ひとの為すものに原型ありぬべし ひとの心のはたらきもまた ◆自選一〇句より 壺焼の腸勾玉の原型か 堅雪を猪引き摺りて穢しけり あぢさゐの毬に触れゆくランドセル 睡蓮と星は昼夜を分かちをり 爆心地跡の屋台に舌焦がす 翳りては寂光放つ花野かな 月明や藪に分け入る蟹の脚 くたびれし紙幣のにほひ秋の雨 帰り花咲く散りぎはのやうに咲く 冬はつとめて渡り廊下の黒光り
  • 香雨
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第五句集 聞きとめしことまなざしに初音かな 言葉にはならないけはいのようなものを言葉によってただよわせる、それが私にとっての俳句の妙味だ。 (著者より) ◆自選十句より 断崖をもつて果てたる花野かな 足跡のその先にひと春渚 かりがねや水底見せて水急ぎ 花の色とはうすべにか薄墨か 書斎へと子規忌の客を通しけり 雨の日の午後しづかなる桜餅 滴りを跳ね返したる水面かな 初雪や積木を三つ積めば家 ここはもう花野といへぬ花の数 日傘たたむ日傘に視線感じつつ 第52回俳人協会賞を受賞!
  • 国際俳句歳時記 冬・新年
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    1巻2,200円 (税込)
    ◆世界21カ国の俳人による冬・新年の歳時記 21カ国から集結した俳人たちが織りなす季語の世界 ここ二年近いコロナ禍の日々にもめげず、この歳時記を世に問うことを決めた向瀬美音に対し、感嘆の念を禁じ得ない。皆が疲弊した、行く先が見えず、心がささくれた。しかしながら、彼女は俳句を、そして季語を通して、たしかなる一冊をもってわれわれに十七音の存在を知らしめようとしている。 (序より・櫂未知子) ◆収録季語126語
  • こでまり抄
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    1巻1,650円 (税込)
    こでまり抄が季語別初句索引付きであたらしく生まれ変わりました! ふらんす堂文庫の新装版です。
  • 詩人のラブレター
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    1巻2,304円 (税込)
    ◆ふらんす堂ホームページ連載コラム、待望の書籍化! ―伝えたい言葉― ボードレールやランボー、マラルメ… 詩人たちからあなたへの素敵なラブレター ◆収録作品より そこ深い 池の鏡に 映る影、 その黒い柳に 風は泣き…… さあいまは、夢みる時。 (詩集『よい歌』 第六歌 渋沢孝輔訳 ポール・ヴェルレーヌ「(白い月)」より) ◆著者あとがきより 書いていくうちに大学で勉強したフランス語の詩人だけでなく、子供時代に知り、ずっと記憶に残っているフランス以外の歌やフレーズも抑えがたく浮かび上がってきました。「おおスザンナ」や「ソルヴェイグの歌」、「四つ葉のクローバー」など作者の名も知らないまま記憶の中に住み着いているのでした。正統派のフランス詩でも、ヴィヨンやネルヴァルなど、なぜ入れないのかと文句を言いに顕れた朝方の夢もありました。残念ですがまた別の機会まで待ってもらいましょう。
  • しみづあたたかをふくむ
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ 第62回俳人協会賞受賞! ◆最新句集 「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」。暦の中にこのことばを見つけたときなつかしくなった。新年が明けて大寒の少し前、寒さが最も厳しくなる頃の時候である。 私の生家は瀬戸内の石鎚山の登り口に近く、湧水を水源とする地にある。凍るような朝は蛇口を開け放って出し流した。水が温んでくるのを待って顔を洗うのだ。 七十二候を眺めるに多くがふとした気づきを誰かがつぶやいたようだ。なかでも玄冬の底に置かれたこの語の寧らかさにひかれる。いっそうの寒さがはじめて水の温みを気づかせる。(あとがきより) ◆作品紹介 雨太く楝の花に吹き込める この夜を落葉の走る音ならむ 春風に背中ふくらみつつ行けり 烏瓜の花が黙つてついてくる 日の窓の一つかがやき初氷 末枯れて足あたたかに人の家 虎杖やひとり仕事の歌もなく 凍雲や生簀は声の散りやすく 靴下のちひさく乾く寒さかな 秋の水映画に長き掉尾あり
  • 杉山赤冨士の俳句
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    ◆伝説の俳人・杉山赤冨士を繙く―― 総数七千句に及ぶ赤冨士全句集『権兵衛と黒い眷族』所収の句と 娘であり、元「狩」同人・八染藍子の記憶を織り交ぜ、赤冨士の生涯に迫る。 ◆収録作品紹介 亀鳴くや宮殿(くでん)のうちに五百歳(大正10年16歳) 日本は亀が鳴くという不思議な国であるが、句集『権兵衞と黒い眷族』の著者・杉山赤冨士は十六歳の第一作でこの季語を使っている。安芸の宮島を望む土地に生れ、宮島を我が庭として育った赤冨士に、茫洋としたこの季語も「宮殿」という語彙も既に掌中にあったものか。美術家と俳人との二刀流を以って戦後の広島に文芸の太い根を下ろした。 ――「戦前篇(大正十年~昭和十六年)」より
  • 空を流れる川
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆あの日の死者たちひとりひとりの声を求めて H氏賞受賞詩人・野木京子初エッセイ集 消え尽きることのない ヒロシマの声 その無数の囁きに 心を澄ますとき、 あの日の死者たち ひとりひとりの 生きてあった姿を 想うことができる 死者は数ではなく、固有の名前で光を帯びている。 詩は、過去の死者たちと末来の人たちのために開かれている通路である。名指しすることのできない、末来の“あなた”が潜りこむことのできる、上空に隠れている、窪んだ、天空の落葉が焚かれている場所。………そして私たちの「詩」は、被爆や炭化の末来に耐え得るのだろうかと問うている。 (本文より)
  • 鷹羽狩行俳句集成
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    1巻11,000円 (税込)
    ◆句集『誕生』から『十七恩』に、番外句集を加えた作品1167句を収録。 明晰な把握と独自の表現技法によって、有季定型俳句の新たな地平を開いた鷹羽狩行。初期の清新な作風から円熟の境地に至るまで、俳句人生の成果がここに収められている。 栞:水原秋櫻子・山本健吉・井本農一・西東三鬼 解題・年譜・初句索引・季語索引 ◆収録内容 誕生 誕生(定本)抄 遠岸 遠岸(定本)抄 平遠 平遠(普及版)抄 月歩抄 五行 六花 七草 八景 第九 十友 十一面 十二紅 十三星 十四事 十五峯 十五峯(補遺) 十六夜 十七恩 長城長江抄 翼灯集 翼灯集 以後 俳日記 啓上 啓上 以後 著書解題 片山由美子 年譜 片山由美子・鶴岡加苗 あとがき 片山由美子 初句索引 季語索引
  • 高濱虚子の百句
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    1巻1,650円 (税込)
    虚子入門の決定版! ◆俳句のこころを読み解く。 ■取り上げた百句は、二物配合を念頭に置いて抽出したものです。■虚子の俳句の根底には一種虚無的な世界観があると思います。にもかかわらず虚子の句にはしばしば静かな情熱を感じます。虚無的な世界観からたちのぼる静かな情熱とは一体何なのでしょうか。 (はじめにより)
  • 凧と円柱
    4.0
    1巻2,200円 (税込)
    ◆待望の第二句集! 心は、以前にも以後にもうつる。それは感情に限らず、見える、聞こえる、匂うといった感覚に関しても。ときに心は、未来の出来事を先に見ることでさえ、ある。─今のこの出来事は、いつか遠い昔にも見えていたし、これからずっと先にも、また新たに聞こえ続けるだろう─ この句集はいわば、心の編年体による。 (あとがきより) 風船になつてゐる間も目をつむり 人参を並べておけば分かるなり まなうらが赤くて鳥の巣の見ゆる こほろぎの声と写真にをさまりぬ 上着きてゐても木の葉のあふれ出す 南から骨のひらいた傘が来る ひあたりの枯れて車をあやつる手 うすぐらいバスは鯨を食べにゆく
  • ただならぬぽ
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    1巻2,640円 (税込)
    ◆第一句集 なにもない雪のみなみへつれてゆく あらゆる人のはじまりであることの困難さの代わりに。 ◆自選十句 息のある方へうごいている流氷 昏睡のあおき正午や雲雀降る 蜂が眼を集めて空へ供養の日 視野に白鷺くちびるがふとあまい 紙で創る世界海月の王も紙 西日暮里から稲妻見えている健康 七夕や卵の知られざるつづき 晴れやみごとな狐にふれてきし祝日 二十日鼠のまなざしを継ぎ億の雪 真贋や鶴にしずかな日のひかり
  • 田中裕明全句集
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    1巻3,300円 (税込)
    紙の本にはない附録付き。田中裕明が高校生のときに書いたエッセイ「青春俳句について」と作品27句を収録。 既刊五句集に「『夜の客人』以後」と「『夜の客人』拾遺」を加え2731句収録。 2004年12月30日、田中裕明は俳人としてのその短い生涯を終えた。享年四十五。雪の降りつづく日であった。田中が愛し、育てた弟子たちによって全句集が編まれた。思いを深くこころをとぎすまして一句一句にこころをかたむけながらの作業であった。「日本の伝統詩としての俳句をつくる」ということ、「詩情を大切にする」ということ、この二つの志の結晶としてこの全句集は在りつづける。 ●収録内容 第一句集『山信』 第二句集『花間一壺』 第三句集『櫻姫譚』 第四句集『先生から手紙』 第五句集『夜の客人』 「『夜の客人』以後」 「『夜の客人』拾遺」 解題/岸本尚毅 年譜/対中いずみ あとがき/山口昭男 季語別索引・初句索引 栞/前登志夫 夏石番矢 杉本秀太郎 小澤實 宇多喜代子 島田牙城 高橋睦郎 四ッ谷龍 大木あまり 小川軽舟 長谷川櫂 森賀まり ●著者略歴 大阪府大阪市生まれ。高校在学中の1977(昭52)年、「青」入会。波多野爽波に師事。京都大学在学中、79年、青新人賞、81年、青賞を受賞。卒業した82年、第28回角川俳句賞を受賞。俳壇を代表する青年作家として名を馳せた。爽波没後の92年、「水無瀬野」創刊。これを母体に2000年、主宰師「ゆう」を創刊。2004年の12月30日、田中裕明は俳人のとしてのその短い生涯を終えた。 享年45。
  • 玉箒
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆ふらんす堂叢書 俳句シリーズ1 身に入みて未来を拓く覚悟かな 忙しさ等を口実に延び延びになっていたところが、考えてみれば平成二十五年十月二十七日に俳誌「ホトトギス」主宰に就任してから初めての句集ということになり、その点ではひとつの節目ではないかと思う。 (あとがきより) ◆自選十句 初鴉孤高飼犬孤独かな 初暦捲れば心竹の叫び 指揮棒の先より生るる音ぬくし 鎌倉の風に触れたるより虚子忌 八方に清水放ちて富士の黙 黒く来て青く去りゆく揚羽蝶 戦艦の生れしドック小鳥来る 四十六サンチ砲不知火に吼ゆ 松葉蟹因幡の風に糶られゆく 雪女ワインに溶けてゆきにけり
  • 中くらゐの町
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第二句集 水鳥に会ふときいつも同じ靴 三十代までに十数回の転居をしましたが、 気が付くと、今の住居での暮らしが十九年ほどにもなります。 都会でもなく、本当の田舎でもない、 当地での生活にいつしか馴染んだようです。 (あとがきより) ◆作品紹介 一〇〇〇トンの水槽の前西行忌 自宅から土筆の範囲にて暮らす 雉の駆け込みし玉ねぎ小屋の裏 県庁と噴水おなじ古さかな 甘藍に囲まれ天使幼稚園 歌仙巻く女たちみな素足かな 集まらぬ日の椋鳥の楽しさう 初鴨の油の抜けしやうな顔 かいつぶり毎日無理をしてゐたり 水鳥に会ふときいつも同じ靴 水仙の先へ廊下を継ぎ足せる 法螺貝の素の音の出る春隣
  • 強さの探求
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    1巻1,100円 (税込)
    第一回田中裕明賞の最終候補まで残った孤高の俳人の私家版句集が、ふらんす堂から電子書籍で刊行!斉木直哉の句集が読めるのはここだけ!
  • 木賊抄
    -
    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第一句集 白魚の唇につかへて落ちにけり ものをよく見て、言葉を選んでいること。季語の奥行きを摑み取ることが出来ていること。特に前述した一物仕立ての俳句が際立ってきたことに目を瞠りました。 (序より・山口昭男) ◆作品紹介 短日やじつと見つめる垣の猫 人肌の触れて離るる虫の闇 伸びてゐる木賊と折れてゐる木賊 初湯出て壮年の身になりにけり 糊あまくにほへる障子洗ひかな 神の旅耳にあかるき風過ぎて 掌に貼りついてゐる種を蒔く 風吹いて肩の繪日傘まはりけり 蘭鋳の鼻にあぶくのついてをり うすずみの萬といふ文字秋の霜
  • 能村登四郎全句集
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    1巻9,900円 (税込)
    ◆全句集 火を焚くや枯野の沖を誰か過ぐ 「真の伝統作家というものは明日への創造をなし得る人であって、明日の方策のないものは真の伝統作家とは呼べない。」とみずからが語ったように、能村登四郎は伝統というものの意味を常に問い続けた作家であった。90歳の生涯を終えるその時まで詩の泉は枯渇することなく「俳句は叙情詩」の信念を貫いた。 解題・年譜 能村研三 既刊14句集に海外詠を加えた6516句を収録。 ◆収録内容 第一句集 『定本・咀嚼音』 第二句集 『定本・合掌部落』 第三句集 『定本・枯野の沖』 第四句集 『民話』 第五句集 『幻山水』 第六句集 『有為の山』 第七句集 『冬の音楽』 第八句集 『天上華』 第九句集 『寒九』 第十句集 『菊塵』 第十一句集 『長嘯』 第十二句集 『易水』 第十三句集 『芒種』 第十四句集 『羽化』 海外詠 『欧州紀行』より 解題/年譜 能村研三 初句索引
  • HAIKU Column Vol.6
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    1巻2,200円 (税込)
    私がHaiku Column を運営して4 年目になる。 毎日365 日休まずに運営してきた。その結果最近になって結論らしきものが見えてきた。 まず、最初に、Haiku Column は国際俳句交流の「一つ」のグループである。 初めは切れ、取り合わせに拘って、二行詩を提唱してきた。 そして、永田氏が七つのルールを提案した。 その結果、メンバーの間に、俳句は二つの部分からできている、と言うことが浸透し、そして七つのルールによって省略が効いてきた。 説明的な句がなくなってきた。具体的な物に語らせる、瞬間を切り取って詠むと言うことが浸透してきた。 次に大きな発見であるが、季語を紹介し始めてから、季語の欄が勢いづいてきた。 今現在、一つの季節に70 位季語を紹介しているが、季語の欄はどんどん秀句が貯まっていく。今回は歳時記、「春」 を出版したが、それぞれの季節に70 個季語を載せているので 今後、夏、秋、冬、新年を出す予定である。現在10000 以上の句が貯まっている。 一行目に季語、二行目に季語と良い距離感を持った季語とは別の言葉、また反対に、二行目に季語、一行目に季語と程よい距離を持った言葉というパターンを示してから、メンバーの俳句が日本の俳句に近くなってきた。シラブルも10 から15 の間で、そのまま日本の17 音俳句に訳すことが可能になってきた。 日本の俳人と交流するためにも、17 音に訳されたHAIKU は貴重なものだと思う。 今後できる限り、この方法でいきたいと思う。 私たちはここで有季定型グループとして進めていきたいと思う。 同じものを見て、同じように感動し、同じ気候の中で同じ感覚を持つことは、素晴らしいと思う。これこそ国際俳句交流の姿だと確信する。 (巻頭言より)
  • 膚

    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    ◆第一句集 ありきたりの身体感覚を彼は言語にしない。 自らの体も心も凌駕する言葉を、力強く選び取る力が岩田奎にはある。 天才とは呼びたくない。俳壇は今、畏るべき青年をたしかに得たのである。 帯より・櫂未知子 ◆自選十句 紫木蓮全天曇にして降らず しりとりは生者のあそび霧氷林 愛鳥週間調律師この木木を来よ 入学の体から血を採るといふ 柳揺れ次の柳の見えにけり にはとりの歩いてゐたる木賊かな 枯園にてアーッと怒りはじめたる 靴篦の大きな力春の山 ハイビーム消して螢へ突込みぬ 立てて来しワイパー二本鏡割
  • 氷湖いま
    NEW
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第一句集 どぶろくの瓶の吹雪を飲み干しぬ   『氷湖いま』は異彩を放つだろう。すなわち、地方に立脚するのみの風土詠ではなく、かといってのっぺりとした都市風景でもなく――誤解をおそれずにいえば、「洗練された風土詠」ということになる。 序より・櫂未知子 跋・佐藤郁良 栞・橋本喜夫 ◆自選十句 立子忌の咲いて名前も知らぬ花 生きるにはふるさとを欲り夏蜜柑 血の記憶ありさうな孑孑ばかり メロン食ふたちまち湖を作りつつ わたつみの光なら欲し葡萄棚 林檎狩脚立にすこし海の香 虫籠を湖の暗さの物置より さざなみは船に届かずカーディガン 灯を点けて塔の全貌夜鳴蕎麦 ためらはず踏め樏の一歩目は
  • 昼寝の国の人 田中裕明全句集を読む
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    1巻1,100円 (税込)
    ふらんす堂ホームページ上で連載の「昼寝の国の人――田中裕明全句集を読む」が一冊に!俳誌「ゆう」連載の田中裕明のエッセイも掲載。 ●執筆者 高柳克弘/神野紗希/杉本徹/中村夕衣/冨田拓也/相子智恵/鴇田智哉/黒瀬珂瀾/村上鞆彦/手塚敦史/小田涼子/マブソン青眼/中尾太一/小島なお/小笠原鳥類/斉藤斎藤/日下野由季/永田紅/庄田宏文/如月真菜/彌榮浩樹/佐藤成之/田中亜美/佐藤郁良/石川美南/佐原怜/鬼野海渡/藤原安紀子/橋本直/杉浦圭祐/永田淳/田中裕明 ●田中裕明略歴 1959年(昭和34年)京都生まれ。1977年(昭和52年)に波多野爽波に師事し、早熟な才能を発揮。1982年(昭和57年)22歳で角川俳句賞を受賞。最年少の受賞者となり、俳壇のニューウェーブとして活躍。2000年(平成12年)に俳句結社誌「ゆう」を創刊、主宰した。2004年(平成16年)12月30日、骨髄性白血病による肺炎で永眠。享年45歳。句集に『山信』『花間一壺』『櫻姫譚』『先生から手紙』『夜の客人』。 2007年7月7日『田中裕明全句集』刊行。(『田中裕明全句集刊行委員会』編集)
  • 藤田湘子の百句
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    ◆俳句形式への信頼 「俳句は意味ではない、リズムだ」─弟子の私たちは湘子から何度この言葉を聞かされたことか。俳句という詩型への信頼がそう言わせるのだろう。 (「湘子が私たちに託したもの」より:小川軽舟)
  • フラワーズ・カンフー
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆待望の一冊! 廃園から楽園へ。 (正岡豊) のほほんと、くっきりと、あらわれ続ける言葉の彼方。 今ここをくすぐる、花の遊び。 読んでいる私を忘れてしまうのは、 シャボン玉のように繰り出される愉快のせいだ。 (鴇田智哉) ◆収録作品より あたたかなたぶららさなり雨のふる ミモザちる千年人間のなきがらへ 日々といふかーさびあんか風の羽化 うららかを捧げもつ手の手ぶらかな さらばとは聞かで消えたるのどかさの 春てぶくろにおぼつかなくも棲む海か きのふより少し古風な木に出会ふ 鳴る胸に触れたら雲雀なのでした ひきはがす東風とペーパーヒコーキを 朧夜がなにもない巣を抱いてゐる
  • プリン泥棒
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    1巻1,650円 (税込)
    ◆第一歌集 『十二少年漂流記』という本を みつけられない 客と店員 ありふれた日常を、「非日常的」に切り取った 感性の光る短歌。 ◆自選五首 美しいけれど/地球は危険です/ひいろうさんが大勢います 泥棒が日誌をめくり/その件は書いてないから/やってないです いま俺の同期がうまくとれてない/ときどき固まる/けど許して 忙しいあなたの/愛犬にかわり/散歩業務を代行します よこが十メートル/たてが二メートル/みんなが前に乗れるバスだよ
  • ベスト100 西村和子
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆必読入門書 俳句はこうして生まれる。 欲しかった一冊。 初句索引に加え、「私を育ててくれた人々」を書きおろしています。 入門書としては必須アイテムのシリーズです。 ◆001 晩夏光もの言ふごとに言葉褪せ 昭和四十一年、大学入学と同時に「慶大俳句」に入会した。クラブ活動は短歌か俳句と心に決めていたが、当時短歌研究会はなかったので、おのずから俳句研究会へ導かれた。新入生歓迎会は明治神宮吟行。近くの喫茶店で生まれて初めて句会というものに参加した。現役よりOBの方が多い句会だったが、何句か先輩達の選に入った。それでやみつきになったが、やがて自分の言葉の貧しさにも気づかされた。 (『夏帽子』昭和四一年)
  • 未踏
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆形成の可能性を攻め続けることが形式への最大の礼儀 やがて高柳君は、波郷や湘子がそうしたように、青春詠の時代を遠い故郷として捨て去り、見晴るかす荒地に足を踏み出すだろう。しかし、高柳君の目には、そこに私たちには見えない俳句の沃野が広がっているのだと信じたい。彼自身が選んだ「未踏」の句集名が何よりも彼の決意を示している。 (序より・小川軽舟) ◆自選10句より ことごとく未踏なりけり冬の星 つまみたる夏蝶トランプの厚さ うみどりのみなましろなる帰省かな どの樹にも告げずきさらぎ婚約す キューピーの翼小さしみなみかぜ くろあげは時計は時の意のまゝに 紙の上のことばのさびしみやこどり 秋草や厨子王にぐる徒跣 あをぎりや灯は夜をゆたかにす 洋梨とタイプライター日が昇る
  • 山田弘子全句集
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    ◆既刊句集7冊に未発表作品を加えた3307句を収録。 みな虚子のふところにあり花の雲 「ホトトギス」俳句との出会いは山田弘子にとって幸福な出発となった。現状に甘んずることなく常に清新な作品に挑戦しつづけた山田弘子、それはひとえに「花鳥諷詠」への心からの信頼に拠るものであったのである。 ◆収録内容 第一句集 『螢川』 第二句集 『こぶし坂』 『こぶし坂』以後 第三句集 『懐』 第四句集 『春節』 第五句集 『草蝉』 第六句集 『残心』 第七句集 『月の雛』 未発表作品 補遺 解題 山田佳乃 年譜 辻 桂湖 季題別索引
  • 夢の、感触
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    1巻2,750円 (税込)
    ◆新詩集 西の彼方、 太陽が昨日に還る頃、 南天高く、夜は爪を伸ばす。 月の雫は、星座を作り その秩序に守られ、 私は、呼吸する。 一瞬、失うチャンスは、 流れ行き交う、星々。 眠りに落ち、見る夢と 目覚めて見る夢は、 同じ感触。 すべては、太陽が創り上げた 誰にも読めない暗号。 (「月の雫」より) ◆目次 I (温度差が風を生み、)/新月/冠月の、ころ/月の雫 II (言葉が)/(心が、動く。)/(尊く)/ III 思惑/(何もかも、何もかも、)/まるい種/地球/海辺の情動/昼寝の行進曲/音楽/夜の雲 IV (万人を負って)/(世界を)/(仔猫がしっぽを追うように、)/(登りつめると、)/(渇望していた時は、)/(傲慢さや惰性で)/枯れ葉/果実/記憶/結実まで V 悲しみの深さ/涙/悲しみのいちばんめ/悲しみの、玉/本当の気持ち/悲しい記憶/(答えが、)/言葉のしっぽ/涙の粒/(いろんな味を残して、)/(悲しみに彩られ、) VI 遠吠え/十一月/葡萄酒/狂おしく咲く、花/(存在している時点で、)/天滴り/(夢が、)/薔薇色/この場所から/幸福の一歩手前/夜明け VII 青空/(戦争も、)/(言葉に操られるまま、)/(記憶違いの思い出話に花が咲く。)/(憎しみも/妬みも)/ダイビング/早春/春/ピカピカ/天倫/晴天/(この気持ちは、)
  • 夜の水平線
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    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第三句集 日々の暮しのなか、ささやかだけれど心に留めておきたいものがあります。 それらを俳句にしてきました。 (あとがきより) ◆作品紹介 思ひ出すために集まる春炬燵 二の腕のつめたさ母の日なりけり 梅雨寒し造花いくつも蕾持ち 近づいてくる秋の蚊のわらひごゑ 金盥ぐわんと水をこぼし冬 鎌倉の立子の空を初音かな 黙考の大金蠅は打ち難し 麻服をくしやくしやにして初対面 鴉呼ぶ鴉のことばクリスマス あたたかやカステラを割る手のかたち
  • ランゲージ・ダンス
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    1巻1,870円 (税込)
    ◆第一句集シリーズ/I 一本の虹できるまで踏むミシン 定型を守りつつ、口語を主体に、文語あり、切れ字あり、ですます調ありと、表現の実験をしているようでもある。 (序・福本弘明) ◆自選十句 肉桂玉ふふむふふふふ春の山 チューリップ合わない靴をはいている 鳥雲に波はおだやかなのだろう 六月を青いインクに浸すかな 夏木立足を曲げたりのばしたり くちびるは潮騒の味立葵 ほうせんか出ていくことになりました 長き夜の気になる距離にある背中 成仏はさだかではないきのこ飯 風花やとべないはずはないのだが
  • われらの狩りの掟
    5.0
    1巻1,100円 (税込)
    ◆ふらんす堂電子書籍1000円シリーズ ◆第三歌集 ウェルニッケ野に火を放てそののちの焦土をわれらはるばると征く 私にとって歌とはずっと、失われたもの、決して手に入らないものへの思いを注ぎ込む器だった。それが、この歌集を手に取ってくださった人が抱え持つ喪失や希求と響きあうことがあればと願うのみである。 (あとがき) ◆自選五首 無傷であることに傷つく葉桜の下あたらしい帽子を被り 光年という距離を知りそれさえも永遠にほど遠いと知った 奈落その深さをはかりつつ落ちてゆくくれないの椿一輪 ハーブティーにとかすはちみつひと匙の慈悲それで人は生きられるのに みなそこのさくらよさくら海が陸はげしく侵し尽くした春の

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