小説 - 西村寿行 - 角川文庫作品一覧

  • 汝!怒りもて報いよ(上)
    5.0
    1~2巻572円 (税込)
    妻は何処に消えてしまったのだ? 少壮弁護士の片倉が帰宅したとき、彼の最愛の妻は失踪していた。誘拐か? 事故か? あるいは男関係か? しかし、事実は片倉にとって、あまりに残酷だった。妻は奇怪な宗教集団のために<青い天と地の里>に幽閉されていたのだ。そして、この秘境で行われているのは、この世のものとは思えぬ恐怖の肉欲の儀式だった。焦燥と怒りとに燃えて片倉は、ただひとり悪魔の集団への反撃を開始した。強烈なパワーで描きあげた、戦う男のバイオレンス・ロマン!
  • 梓弓執りて
    -
    手術ミスを犯し、復讐鬼と化した患者に追われる外科医は、逃亡の果てに……。迷妄のハードロマン。
  • 安楽死
    -
    警視庁に、奇妙な通報があった。 石廊崎で起きた女性ダイバーの溺死は、事故ではなく殺人であるという。 妻の裏切り以来、刑事としての情熱を失っていた鳴海は、特命を受け、大病院の看護師であった被害者の調査を開始する。 医療過誤、製薬会社との癒着、患者の自殺関与――。 病院内部の黒い疑惑を追うが、取り憑かれたように奔走する鳴海刑事に、強大な圧力がふりかかる。 人間の尊厳を問い、病院組織の暗部に切り込む社会派ミステリの傑作。
  • 石塊の衢
    3.0
    トカラ列島に住む金城昇は、スキューバ・ダイビングの世界記録に挑んだ。しかし、記録に3メートルおよばず失敗した。手造りの深海用カメラに映った謎の一葉の写真を持って上京した金城は、消息を絶ってしまい、あとを追った恋人、和子も行方不明になってしまった。捜査にあたった坊門刑事は奇書「東日流外三郡誌」を知る。写真をめぐって凌辱と殺人が……。壮大なスケールで描く伝奇ロマン傑作!
  • 空蝉の街
    -
    警察を馘になった平泉と親友の宗村は、金もなく無為の日を送っていたが、ある日、大和化学工業の重役から機密文書をもったまま失踪した社員の捜索を頼まれる。会社の依頼が罠と知った二人は、反撃の牙を剥き敵と闘うが、事件の裏に某外国政府との秘密利権を嗅ぎつける。凌辱と怒りと殺戮の血みどろの追跡行! 痛烈ハードロマン!
  • 晩秋の陽の炎ゆ
    -
    掟を破り、父を殺した憎い奴ら――。族長の娘帰雲は最強の狼犬響とともに仇を追うが、事件は意外な方向へ……。倒錯のハードロマン巨篇。
  • 鬼の跫
    4.0
    真昼の情事に溺れる妻を尾行し、その現場に踏み込んだ現職警部・越智数正は、許しを乞う妻を射殺し、相手の男・由布文人の膝頭を射ち抜いた。懲役10年6ケ月―刑は確定し、越智は千葉刑務所に収監された。そして服役中に唯一の心残りであった娘・珠樹が自殺したことを知る。妻が死に、娘が死んだ今、不義を働いた由布は、やはり死をもって償うべきだ。越智は受刑者を束ねる暴力団組長と共謀し脱獄を図り、復讐の鬼と化した。一方、越智逮補に失敗したかつての上司・瓜生も職を辞し、越智を追う旅を始める……。傑作ハード・ロマン。
  • 帰らざる復讐者
    4.5
    若き医師・原田の留守を襲った突然の悲劇――拳銃で撃たれて血の海に横たわる父。明らかに凌辱を受けた上で殺されていた妹。そして原田の恋人までもどこかへ連れ去られたらしい……。――誰が何のために……?復讐心に燃え、原田は父が臨終のときに漏らした“ケイサツニ、クラシイ……”という言葉の意味を追跡しはじめた。が、その核心に迫った時に彼は、三十余年前に行われた残虐な事実と、それを抹殺しようとする巨大な権力の存在を知った……。サスペンス・アクションの傑作長編!
  • 学歴のない犬(上)
    3.5
    1~2巻616円 (税込)
    伊神一武、拝郷長行、一色真文は無実だった。罠に落ち刑務所に収容されたのだ。火事に乗じて闇に逃れた三人と、共に逃走した九能五郎の四人の男たちは八甲田山中で夜を明かす。1200時間後、鹿児島にある未来の扉の前で落ち合うことを約束して別れた。しかし全てを仕組んで謎の男は伊神にドール、拝郷にオオカミ、一色にリカオンとコード・ネームを付け、殺し屋・人喰いを放つ。列島を縦断する壮絶なサバイバルゲームの幕が切って落とされたのだ。
  • 癌病船
    -
    癌病船・北斗号。全長三百四十メートル、全幅四十五メートル。総トン数七万二千トン。総工費二千二百億円。八百人の患者とその個室にはマンツーマンの看護婦が付き、三百名の医師と最新鋭の医療機器が完壁な治療を施す――。世界保健機構の付属機関であるリチャード・スコット財団が、難病・癌と戦うべく建造した未曾有の病院船は全世界注視の中、いま静かに舫を解く。幾多の困難を克服し、人類の未来に希望の燈を点すために……。緻密な取材と壮大な構想で綴るアドベンチャーロマンの傑作。
  • 癌病船応答セズ
    -
    確実な死を運ぶ恐るべきウイルスが、イタリアに潜伏していたテロリストの情婦から見つかった。人類滅亡すら予感させるこの未知なるウイルスは、世界最高の医療設備と頭脳を有する癌病船・北斗号をもってしても同定すらままならない。そして感染確実と思われるテロリストは、いまだ悪魔のウイルスを撤きちらしながら逃亡を続けている…。人類の存亡を賭けた聖なる戦いに、船長の白鳥鉄善以下癌病船が挑む――。病める現代の未来を暗示する、渾身のアドベンチャーロマン。
  • 消えた島
    -
    多発性骨髄腫――末期癌の中でも最も激しい痛みを伴うこの悪魔が、日邑勘造の全身を蝕んでいた。日々苦痛に顔を歪める夫を見るたびに、妻は“安楽死”ばかりが脳裡に浮ぶ。そこへ“古い友人”と名乗る老人が見舞いに現れた。妻が老人を残し病室を空けた一瞬、老人は日邑に何かを注射して忽然と消えた。目撃した看護婦が、事件を公にした。担当の医師は毒物注射を疑い検査を始めるが、予想に反し日邑は恢復の兆しを見せた……。突然姿を消した老人とは何者か。そして、極限の苦痛から解き放つ奇蹟の薬とは。現代医療の矛盾と安楽死問題に、一石を投じる長編ハードサスペンス。
  • 黒猫の眸のほめき
    -
    13人の編集者が取材旅行で東北自動車道を北上していた。待ち合わせた地点で先着しているはずの西村寿行の姿はなかった……。神隠しか?3ヶ月後の同時刻、編集者たちは、再びその集合地点に向かった。なんと、そこには失踪した時と同じ服装の2人がいた。作家の不思議な妄想の世界へと案内する、抱腹絶倒冒険譚!
  • 凩の蝶
    -
    海外研修の留守中に妻を殺された警視庁警部の舞坂正路は、職を辞し姿見えぬ犯人への復讐を誓う。木枯らし吹きすさぶころだった。事件前に北海道の実家に帰省していた妻は十月十日の夜ひとりで船を出していた。また同夜、近くをドライブ中に道警の三勢警視正が転落死していたことも判明した。この暗合を追う舞坂は、恐るべき謀略をもくろむ巨大な組織とその陰にひそむ不吉な血筋の存在を知った。舞坂は、ついに、夥しい死を運んだ呪われた血脈の遡及を始めるのだが――。本格ハード・サスペンス巨編!
  • 去りなんいざ狂人の国を
    3.0
    ……く、苦しい……。突然数百もの人々が、激しいめまいと嘔吐に襲われ、折り重なって倒れた。それはまさに地獄絵の出現であった! ――関門トンネルで起きた青酸ガスによる無差別殺人。犯人は政府に五十億円を要求したが、政府はこれを拒否。そのために犯人は、青酸ガスで地下鉄を襲い、さらに、日本の全刑務所開放を要求してきた……。犯人を必死に追跡する特捜部の鳴海・神谷の両敏腕捜査員と、それを嘲笑うかのごとく大量虐殺を繰り返す残忍無類の犯人。スリリングに展開する、アクション・ハードボイルドの傑作。
  • 屍海峡
    -
    東京のアパートで、日南化成の守衛が毒殺された。公害省の調査官・松前は、翌日の新聞で現場に残された指紋から、瀬戸内で養殖業を営んでいる秋宗が容疑者と目されていることを知り愕然とする。事件発生の二日前、容疑者とされている秋宗が公害省に松前を訪ねてきていた。その時の秋宗は「青い、水を、持ってきた」とだけ言い、松前の顔をまともに見ることができないほど、気弱そうな男だった。その秋宗に人を殺すことができるのか――。 事件の真相とは?
  • 蒼茫の大地、滅ぶ (上)
    5.0
    1~2巻660円 (税込)
    突如、日本を襲ったバッタの巨大な群れは、東北地方で米、野菜を喰いあらし、人々をパニックに陥れた。不信、暴動、輪姦……最悪な事態をむかえ、対策は急を要した。しかし、政権を維持しようとする中央政府の出した結論は、東北六県を切り捨てる冷酷・非情なものであった。やむをえず、東北地方の県民による「東北地方守備隊」が組織され、中央との対立はついに限界に達する……! 空前絶後の想像力で描く、感動のスーパー・パニック・ロマンの傑作!
  • 垰

    4.0
    秋葉文七、四十八歳。妻を早く亡くし、一人娘・小菊までも事故で喪った彼は、ふと旅への郷愁にかられ、生前、小菊が辿った峠路をめぐるため強力ジープで出発した。道中、猿と戯れる娘との出会い。古き因襲の残る山村での不思議な出来事……。その一方で、文七のジープはなぜか何者かによって襲撃されるのだった。文七の波乱の彷徨はどこまでも続く……。伝説の峠路を舞台に、亡き娘への思いを謳い上げ、道を拒む者たちと闘う男の世界を描き上げた、叙情あふれるサスペンス・ロマンの傑作!
  • 垰よ永遠に
    -
    亡き娘、小菊の訪れた足跡を辿る秋葉文七。文七は、紀州路に入って、小菊の事故死の真相に近づきつつあった。しかし、事故の背景には異験力をもつ紊鬼一族と、国家機関との果てしない闘いの歴史があった。娘の仇を討とうとする文七を襲う何者かの影! 文七は怒りを感じつつ、恬淡として迎え撃つのであった……。叙情あふれる名作「垰」シリーズ、いよいよ波乱の終局へ。
  • 垰 大魔縁
    -
    秋葉文七は、再び強力ジープ、ゴールデン・イーグルを駆って旅に出た。亡くなった娘の小菊が、以前歩いて記述を残した峠路を訪ね歩くのだった。しかし、彼がたどり着いた扼胆の集落は、小菊が人の住むところではなく、亡霊の世界であると記した場所であった。そして、夜闇の中に現われたのは……。次々と降りかかる苦難を、愛車とともに闘い乗り超える男の詩情と、亡き娘との熱き心の交流を描く、サスペンス・ロマンの傑作! 名作『垰』の続編。
  • 大厄病神
    -
    豪華客船『北斗』の船中で、殺人事件が発生した。福岡から日本一周の旅に出発し、舞鶴港に入港する直前の出来事であった。海上での犯罪ゆえ、海上保安庁と府警の合同捜索網が引かれ、その初動捜査の中、ひとりの不審人物が浮かび上がった。水野重治という人物が、船中から姿を消していたのだ。福岡から舞鶴沖まで無寄港であることから、海への脱出しか考えられない。さらに殺害された被害者のひとりは、乗船名簿にある名前と顔が一致しないことが判明した。では殺されたのは誰なのか。消えた男の行方は……。現実と幻想の狭間を蠢く男を綴る長編ハードロマン。
  • デビルズ・アイランド
    -
    瀬戸内海に浮かぶ小島・黒島で、不可解な死体が発見された。場所は砂礫岩の裸地帯・北峠。死体の状況は、50メートル前後上空からの墜落死と思われた。自殺なのか、他殺なのか。もしくは事故なのか。被害者は85歳になる島の老人で、航空機やヘリコプターに乗っていた痕跡はない。また周囲には一本の高木も生えていなかった。それではどうやって……? 直後、再び老婆が変死体で発見された。今度は百舌の速贄さながら、木の枝に串刺しとなっていたのだ。即日設置された捜査本部は色めき立った。そして、多くの謎を残したまま第3の犠牲者が――。人類の大罪を問う傑作幻想長編。
  • 鉛の法廷
    -
    安原耕平を生き仏と崇め、乱れた愛欲で三千万人の団員を支配する宣撫教団。彼らはまた政党を組織し日本を暗黒政治に貶めようとする邪悪の集団だ。超豪華クルーザー〈北星号〉の船室では鷹見玲子と憂国の謎の老師の手で闇の法廷が開かれ、宣撫教団潰滅の鉄鎚を下した。闇の法廷VS宣撫教。「法が無力ならオレが裁く。テメエら鉛を抱いて深海に沈め!」 国中を戦乱に巻き込むバイオレンス巨篇!
  • 陽は陰翳してぞゆく
    -
    「おまえを殺す!」有能な医師を前に、十五年前の友人で今では著名な弁護士となっている男の吐いた言葉がそれであった。――社会的地位も得た人間同士が、遥か昔の誓いを理由に、なぜ殺し合わねばならないのだ……。しかし弁護士は、一方的に実行を宣言するのであった。原因はひとりの女にあった。過去ふたりは同時に同じ女に求愛していることを知り、互いに永久に彼女には手を出さないと約束を交わしたのだった。が、今、女は医師の愛人となっていた……。妄想が妄想を呼び、死を賭して闘う男ふたりと、運命に弄ばれる女の結末は……? スリルあふれるハードロマンの世界!
  • 無頼船
    5.0
    海の男たちの激しさとやさしさ! 喧嘩船として名が通り、日本沿岸を航海するオンボロ貨物船孤北丸。乗組員は、四歳の時に母に捨てられ記憶に残る母の像を求め続けている船長、元坊主で今はキリスト教にこっている甲板長、警察を極度に怖れやたら刃物を振り回す司厨長、女たらしで啖呵だけは強い甲板員、女を抱いただけで気絶してしまう機関長と、様々な過去をもった荒くれ男たち。事あるごとにいがみ合い喧嘩を始めるが、心根はやさしく海の男の友情で結ばれている。船上で港でさまざまな事件に遭遇し闘いを繰り返す海に棲む男たちの海洋活劇ロマン。
  • 無頼船 ブーメランの日
    -
    無頼船の異名を持つ世界損保連盟の調査船、孤北丸は英国から喜望峰回りで帰国することになっていたが、南アフリカ共和国沖でまたもペーパーパイレーツ調査の依頼を受けた。結果、南アフリカ共和国の秘密警察とCIA要員テリーの演出したものとわかったが、既にジェーンを拉致され、テリーはオーストラリアへ帰っていた。無頼船は一路オーストラリアに向かった。だが、テリーらの巣窟があるタスマニア島に、事件の鍵を突き止めた一行を待ち受けていたものは巨大な桃源郷だった……。小数民族の興亡にメスを入れた意欲作!痛快冒険アクション・ロマン、シリーズ第5弾。
  • 魔境へ、無頼船
    -
    魔の三角水域(バミューダ・トライアングル)に20億ドルの保険をかけたフル・コンテナ船が消えた。大がかりな保険金詐取の疑いで事件の謎を追ったスティーブは惨殺された。調査依頼を受けた“無頼船”こと“孤北丸”は現地に急行、船長の包木ら8人の乗組員は消えた船団を追うが、パナマ運河を通過する孤北丸に対して、敵のミサイル攻撃が待ち受けていた! 広大な大海原に繰り広げられる男たちの熱き死闘を描いた好評“無頼船シリーズ”第3弾!
  • 攻旗だ、無頼船よ
    -
    荒らくれ男どもを乗せた、通称“無頼船”こと「孤北丸」は、再び海へ乗り出すことになった。世界損保連盟の依頼で、ニューギニアへ、近ごろ頻発する艦船覆没による保険金詐取の疑惑を調査することになったのだ。そんな折、一人の老人が数人の男に襲われ、小さな錦の袋を無頼船の乗組員に託して死んだ。なんと、中身は一個数億といわれる“幻の碧真珠”だった――。碧真珠の謎を秘めて、行く手に迫る数々の危機に敢然と立ち向かう男たちを描いた、痛快アクション・ロマン!
  • 無頼船、極北光に消ゆ
    -
    無頼船こと、孤北丸が二年振りに母港気仙沼に帰ってきた。それも束の間、ジプチに潜入していた斯波源二郎より電報が入った。斯波は囮の罠に陥り、奴隷となって兵器密造工場で働かされていたが、折りよく命懸けで救助に来た孤北丸クルーに助けられ、ソマリア沖の沈没事件は解決したのだった。斯波の奴隷仲間だった米軍海兵隊出身のイーグルをクルーに加え、ヨーロッパへと向かったが、突如、世界損保連盟より新たな指令が下った――。保険金詐取シンジケートの本拠地は北欧に!? 大好評無頼船シリーズ、第4弾。
  • 無頼船、緑地獄からのSOS
    -
    僅か199トンの老朽船ながら、世界中の悪党共から“無頼船”と恐れられた孤北丸が、母港気仙沼を目前にして座礁。更にあろうことか、船長の包木が獄に繋がれてしまった――。大金を手にそれぞれの道を歩き始めた乗務員だったが、慣れぬ陸での生活に戸惑い、忽ち破綻。所詮、彼らは海でしか生きられないのだ。一方、ロイズの依頼で単身渡米した斯波が突然行方不明に――。謀略の影を見た包木はアメリカへ飛ぶ。荒くれ男たちも後に続いた。遠く南米へ至る激しい闘いの中で、失いかけていた“無頼船魂”が蘇る、熱き心の海洋冒険シリーズ第6弾。
  • 咆哮は消えた
    -
    逃亡中の犯罪人・徳蔵は、山中で死にかけた仔犬をひろい、ゴロと名付けた。しかし、ゴロは骨肉しか喰わず、長ずるにつれて不敵な面持ちを備え始めた。四肢は異様に太く、眼窩は裂け、切れ長の目には底知れぬ青い光をたたえていた……。そして村の犬はゴロを避け、山からは鹿や猪が姿を消した。そんなある冬の夜、徳蔵は、悲壮感のこもったすさまじい咆哮をきいた。それ以来、徳蔵はゴロの姿を見なくなった。――徳蔵は新聞記事で、“猟師に追われた最後の日本狼”の話を知ったのは、それからしばらく後のことであった……。動物と人間との葛藤と交流を描く、西村寿行の感動の動物小説! 全6篇収録。
  • 滅びざる大河
    -
    一本の川にかかる“かずら橋”を境に、敵・味方でいがみ合う町と村があった。互いに相手を罵倒し、陰惨な暴力沙汰も絶えない。そしてこの対立と憎悪は、強姦事件、放火事件をきっかけに、ますますエスカレートしつつあった。――そんななかで起きたひとつの殺人事件。村の実力者が何者かの手によって撲殺されたのだ。村と町との対立と緊張は、ついに一触即発の状態まで高まった! 西村寿行が人の心のバイオレンスを描く、話題の長編サスペンス。
  • 魔界
    -
    そのとき、ブレーキの軋みと、若い男の叫ぶと、衝突音が同時に起こった。“はねてしまった……!”道路に倒れている男は動かない。が、彼は辺りに誰もいないことに気付いた……。車体の傷から轢き逃げの発覚を恐れた彼は、車を修理に出した。が、あとで、車の損傷部分をカメラに納めて帰った男がいることを知らされた。そして、その男の正体が、会社の陰険な部下であることを知ったとき、彼は心にどす黒い殺意が吹き上げてくるのを覚えた! ある日の出来事をきっかけに、平穏な日常から恐ろしい魔界に落ち込む、人間の恐怖と戦慄を描くブラック・ロマンの世界。全5篇収録!
  • 風紋の街
    4.0
    鉈割瓢と斧割糺は正統松浦水軍を先祖にもつ親戚同士のくされ縁。ある陰謀のため強姦の罪をきせられ、揃って刑務所へ。出所後、職と金のないふたりは大胆にも人妻を拉致し、無人島で暮らし始める。だが、夫に発見され、暴力団の手から真子という女性を救出するという奇妙な仕事が押しつけられる。色と欲にかられたふたりの天衣無縫な救出作戦とは? 冒険バイオレンス!
  • 陽炎の街
    5.0
    放浪無頼の鉈割瓢と斧割糺は蔵王五色岳山麓で事もあろうに巨大な虎に出喰した。それは来日中の中国遼東雑技団から逃げ出した体長4メートルを超すアムール虎で、名は剛剛。剛剛には台湾側の手で中国の核ミサイル配置に関する極秘情報がボディランゲージとして憶え込ませてあるという。国際軍事バランスの鍵を握る巨大虎を手中にせんと台中米ソの精鋭部隊が大挙日本に乗り込む―。奇縁によって結ばれた城岬涼子と鉈割・斧割の三人は、アムール虎をめぐる血で血を洗う凄絶な攻防に巻き込まれ、遂には海を渡る。暴力と性の極限、男女の愛憎の相克を描いた比類なきハードロマン。
  • まぼろしの獣
    -
    昭和八年三月、三陸一帯を襲った大地震はその数十分後、巨大な津波を発生させた。岩手の寒村に住む荻生国光は、生活をともにしていたアラブ種混血の牝馬・松風と紀州犬・シロの不思議な能力により津波を察知。全村民を大災害から救うことに成功した。以後、この二頭は尋常ならざる能力を次々と発揮し、名馬、名犬の噂は瞬く間に広がった。 昭和13年、国家総動員法が布かれる中、松風の子・松嵐とシロの子・鉄、そして国光の子・広道は激動の中国大陸へと渡った。共産党、国民党ら各勢力が熾烈に争う大地で彼らを待ち受ける数奇な運命とは……!?
  • 珍らしや蟾蜍、吐息す
    3.0
    暴力団組長・瀬田雄一は風貌が蟾蜍に似ていた。瀬田は、神浴温泉郷に旅館をもっていたが、ホテル王・小野田万作に追い詰められ、手放したのだった。小野田にひと泡ふかせる機会をうかがっていた瀬田は、茶吉尼の外法を使うというオババと手を組んだ。狙いは小野田が北極点に建設しようとしているレジャーホテルだった……。ユーモラスな大冒険活劇決定版。
  • 鬼狂い
    5.0
    愛する娘美和を白血病で失った時、夏目国光の妻佐里は出奔した。六年の後再会した佐里は末期癌に冒され喘いでいた。共に離さず肌に抱いていた愛娘の骨片が空白を埋めた。夏目は警察をやめ、家を売り、更に強盗を働いて金を作って、骨を噛む苦痛から佐里を解放するため、麻薬を購って死出の旅に出た。警察に追われ窮地に立つ二人を救ったのは山中に潜む老婆の集団だった。数奇な出来事と秘薬が与えた妖しい光明に従って、夏目と佐里の北へ向う旅が再び始まる――。生と死の深淵と凄絶な愛の形を物語に紡いで、著者の小説世界の一大結晶を示した、傑作ハードロマン。
  • 闇に潜みしは誰ぞ(上)
    -
    1~2巻616~660円 (税込)
    〈野郎、ただではおかんぞ!〉 深夜の家荒しに続き、男たちの襲撃――警視庁刑事・仙波は怒りをこめてつぶやいた。――しかし、奴等は何を狙っているのだ……? 仙波はそのとき、以前、交通事故を起こした男を病院に運んだ際、その男がビニール片に書いた地図のようなものを残していたことに気付いた。そこには何かの秘宝の埋蔵場所でも印してあるのだろうか……? が、仙波は何者かに拉致されてしまう……。隠された〈物〉は何か、そして背景で暗躍する組織の正体は? 会心のスーパー・アドベンチャー巨編(上)
  • 旅券のない犬
    -
    着任して間もない駐ケニア大使の刈羽夫妻が惨殺された。唯一、現場を目撃したのは純白の体毛と精悍な容貌の紀州犬・十兵衛のみであった……。五日後、十兵衛は単独、犯人を捜し出し夫妻の仇を討つことに成功した。そして、一万数千キロ離れた日本に残る夫妻の息子の元へ、強烈な本能に衝き動かされるままに、絶望の旅に就いた。だが行く手で待ち受ける凶暴な敵の数々。さらに超大国のB兵器(バイオウエポン)に絡む謀略に巻き込まれた十兵衛は、死闘を繰り返しながらも日本を目指した……。数多の危険と戦う犬の冒険ロマン!
  • 血の翳り
    4.0
    二年前、寒風吹きすさぶ冬の日、当時、警視庁捜査一課、霜月の妻と子が殺された。妻は凌辱を受け死体は凍りついていた。霜月は職を辞し、犯人を追跡したが、いまだ手がかりはつかめなかった。が、そのころから霜月の一族の子どもたちが何人も、不可解な死を遂げていた。何者かが霜月の一族を抹殺しようとする気配が感じられた。彼は自らの〈血〉の謎を明らかにするために、ルーツを遡りはじめる。が、浮かんできたのは呪われた〈血〉の恐るべき真実……。凄絶な暴力と性――時代を超えて展開する、バイオレンス・アクション!
  • 老人と狩りをしない猟犬物語
    -
    南アルプスの荒涼とした岩山を中心に、ひとりの老猟師が“荒野の王者”と名付ける三頭の獣が棲息していた。巨大な犬鷲、狂猛な巨熊、長大な牙を誇る猪……老猟師は、いつしかすべての王者たちと闘う日が来るとは思っていた。が、とりわけ怨敵と考えていたのは、可愛い嫁や孫をはじめ猟犬の“隼”までも鋭爪にかけた巨熊だった。そんな折、老猟師は一匹の仔犬を拾い、二代目“隼”と名付けた。王者たちとの対決の日は刻一刻と近づいてくる……。最後の闘いに残り少ない命を燃やす老猟師と、一匹の犬との交流を描き、生命の不思議と悲しさを謳い上げた壮大なドラマ。作家・西村寿行の幻の処女長編であり、原点ともいえる名作。
  • わらの街
    -
    香川の田舎刑事・保月直昭は瀬戸内海でダイビング中に二億円相当の金塊を発見した。保月は金塊の主は密輸組織だと睨み、友人の森戸と共に組織を壊滅させて中央に抜擢されることを夢みるが逆に組織に海底へ沈められそうになる。妻を誘拐され性交奴隷にされた保月は、復讐の鬼となり、組織の中枢に迫る。 男の闘いと友情の世界を描く、ハードボイルド・アクション!

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