小説 - 集英社文庫作品一覧

  • 星と月の夜
    -
    年老いたバーテンダーひとりの銀座のバーに、仲間のバーテンダーと若いホステスが連れ立って現れる。彼女を相手に二人の男は昔話をする。そして夜明けのホステスの部屋で、三人の間に不思議な優しい時間が流れる。(『星と月の夜』)夜の銀座、大学のキャンパス、公園、学生街の食堂……。さまざまな場所を舞台に男と女は出会い、愛し合い、別れ、そして傷つく。表題作ほか9篇の短編を収録。
  • 彼等(凜一シリーズ)
    4.1
    東京で受験生としての日々を送る凜一。京都の大学でフットボール部の主力選手として活躍する享介。遠く離れていてもこの思いは伝わっているはず―そう信じていた凜一だったが、京都を訪れた折りに、享介の意外な姿を見てしまう……。絡み合う周囲の人々の思惑、行き違いやためらいをのりこえて、ゆっくりと心は結ばれていく。二度とない、ふたりの季節を描く、好評シリーズ第3弾。
  • 碧空(凜一シリーズ)
    4.3
    高等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凜一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凜一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凜一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は……。好評シリーズ第2弾。
  • 白昼堂々(凜一シリーズ)
    4.1
    1976年初冬。由緒ある華道家元の若き跡継ぎである原岡凜一は、従姉・省子の男ともだちだったアメリカンフットボール部のエース氷川享介と出逢う。その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに……。冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、彼等の思いはどこへ向かうのか。凜一の希みは叶えられるのか。少年たちの切ない恋を描く好評シリーズ第1弾。
  • 鳩の栖
    3.9
    水琴窟という、庭先に水をまくと珠をころがすような安らかな音が鳴る仕掛け。操がそれを初めて知ったのは至剛の家の庭だった。孤独な転校生だった操を気遣ってくれた爽やかな少年至剛。しかし、快活そうに見えた彼には、避けがたい死が迫っていた。病床の至剛の求めるまま、操は庭の水琴窟を鳴らすのだが……。少年たちの孤独と淡い愛情、儚い命の凛々しさを描く表題作など珠玉の短編五編。
  • 上海少年
    4.1
    今日も波止場に大陸からの引揚船が着く。睦は独りそれを待っていた。あの海の向こうの都市で過ごした、失われた幸福な日々。生き別れになってしまった兄と阿媽(アマ)のことを想いながら――。そして、港町の一角に出来た華人の市場で、彼は懐かしい上海から来たという、不思議な男に出会う……。過ぎ去った時代に生きる、少年たちの姿を詩情豊かに描く作品集。
  • 屍の聲
    3.8
    「惚けてしまったおばあちゃんは生ける屍や。正気のおばあちゃんは死にたがっている」そう信じた少女は溺れる祖母を見殺しにした。そして通夜の席で一瞬、確かに祖母は蘇った――表題作「屍の聲」のほか、5編の恐怖短編を収録。因習としがらみの中で生きる人間たちの、心の闇に巣くう情念の呪縛。濃密な風土を背景に描く、恐怖の原型とは。記憶の底に沈む畏怖の感情を呼び起こす本格ホラー小説集。
  • 普賢
    2.0
    【第4回芥川賞受賞作】頽廃と汚辱にみちた日々を無気力に生きる「わたし」の前に、長い間恋いこがれてきた旧友庵文蔵の妹ユカリが、特高警察に追われ、呪詛にみち、荒んだ姿であらわれる。戯作派といわれる著者が大胆に危機感を現出して、絶望からの再生を描く。第4回芥川賞を受けた表題作のほか、処女作「佳人」ほか「葦手」「秘仏」を収録した初期短編傑作集。
  • 天城峠
    4.0
    修善寺から下田行のバスに乗り、季節はずれで客もない温泉場をいくつも抜け、湯が島を越す……。若い頃、放埒がもとで妻子と別れた、芝居の裏方の録太郎は、若い役者啓三と一泊旅行。病弱の録太郎に若者のような明日はない。来し方行く末に想いを馳せながら、録太郎は最後の煙草に火をつけた……。表題作ほか池波文学の原点ともいうべき気迫に満ちた初期短編6編。
  • はるかな町
    5.0
    友達の姉さんへ寄せた淡い想い、夏期休暇の映画会、放課後の図書室、校庭のポプラの樹々……。過ぎ去った少年の日への懐かしみを、詩人、作家である著者が磨かれた感性で豊かに綴る青春の日の讃歌。“はるかな町”へあなたを誘う創作集。33編収録。
  • 砲撃のあとで
    3.6
    【第69回芥川賞受賞作】「少年は疾走していた。木々の葉の間を縫って光は斜めに射し、放射する幕のなかで狂ったような霧が踊っていた」。敗戦で秩序の破壊された大陸で、無法と死に追われる少年の目に、飢えと疾病に晒された世界が焼きつく。芥川賞受賞作「鶸」をはじめ「砲撃のあとで」「曠野」「竪笛」「流れのほとり」など、戦争の生々しい傷あとを描く連鎖状作品を集める。表題作含む14編を収録。
  • 臨3311に乗れ
    3.8
    戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界に切り込んでいった男の集団。幾多の試練を持前の精神力と不可能を可能にする不撓不屈のバイタリティで克服し、ついに日本有数の旅行業社にまで発展させた男の野望と情熱を活写する実録企業小説。
  • 華麗なる疾走
    -
    モンテリ24時間レース。轟く排気音、爆走する高性能車。オイルが焼け、タイヤがきしむ。夜を徹して熱狂する観衆。呼び屋稼業に失敗し、逃げるように海外へ出た牧は、久しぶりに胸の高鳴りを憶えた。このレースを日本に……。その瞬間から、自己の再起と男の意地を賭けた一匹狼の闘いが始まった。
  • 悪党どもの晩餐会
    -
    発端は、盗っ人稼業である江尻光男が富沢という偽名でホテルにチェックインしたことだった。江尻は本物の富沢と間違えられ、いきなり3人の男から襲撃を受ける。なんとかそれはかわしたものの、後日盗みに入った金庫室の前で一味と出くわし、囚われの身に。待っていたのはとんでもない罠だった。騙すか騙されるか…。壮絶な抗争を描く、長編ハードバイオレンス。
  • 闇の刃
    -
    小森幸人は組織から足を洗い、堅気の運送店を営んでいた。ある日、親父さんと慕う内海泰造が何者かに拉致された。事件の背後には、利権を巡る欲望や組織の大物の謀略が絡んでいることを知る。続いて姐さんの京子までも敵の手に渡ってしまう。義理人情に縛られた愚直ともいえる男の血が怒りに燃える。壮絶な復讐劇が開始された。会心の長編ハード・バイオレンス。
  • オレゴン夢十夜
    -
    「私」は日本人の女に絶望する。そして女を女たらしめている男にも絶望する。いたたまれず、憑かれたように飛行機に飛び乗り、はるかオレゴンの深い森に降り立つ。さあ、ここからなにが始まるか? 少女以来見続けてきた夢の実現か。あるいは、愛によって生きる人間らしい生き方の確認だろうか――。奔放に飛翔し、漂う自由な精神を力強く描く長編。
  • 夜の触手
    -
    〈ヘッドライトの光が広い野を掃いて渡ったが、村に沿った、この道までは届かなかった。ただ、ひろ子の眼だけが光を映して輝いた。三郎がその眼を、横眼で見ていると、ひろ子が向き直って「そんな見かたをしちゃ、好きになっちゃうじゃないの」と言った。その時、三郎の一生はきまったのである〉倖せに包まれた三郎の日は束の間、ひろ子は水死体で発見された。『事件』で推理作家協会賞受賞の著者が、緊迫のサスペンスで描く推理長編。
  • 来宮心中
    -
    “どうしても別れなきゃならなかったら、死んじゃいましょうか”人妻である房枝との恋が行き詰まった時、もし彼女が死のうというならば、自分が尻込みすることは許されない。若き日にフランス文学を学んだ著者が、その夢を日本の風土にとけこませ、浄瑠璃のように語り流す表題作ほか「黒髪」「逆杉」「停電の夜」「春の夜の出来事」など収録の珠玉作品集。
  • おとしばなし集
    -
    江戸戯作の深い造詣にささえられた、石川淳の軽妙な話体による“おとしばなし”と、世界名作のパロディ。おとしばなし堯舜・李白・和唐内・清盛・業平ほか。小公子・蜜蜂の冒険・乞食王子・家なき子ほか。小説の約束事に拘束されない、自由で楽しい小説集。
  • あひる飛びなさい
    -
    “商法の法は魔法の法や”と闇市から身を起こし、一大観光事業をめざす横田大造元兵曹──。“日本人の手で、日本の空を”を合い言葉に、国産飛行機誕生に一生を賭ける加茂井元技術中尉──。戦後の混乱期を舞台に、独自の道を歩む2人の男の奇妙な友情を、軽快かつユーモラスに描く感動作。
  • 軍艦ポルカ
    -
    パチンコが好きなのではない、軍国主義者では決してない。私が「軍艦マーチ」にこだわるのは、ただそれが何ものにもかえがたい青春の苦悩と歓喜そのものだからなのだ……。若い海軍士官時代を回想したユーモアあふれる表題作ほか、温かい善意に裏打ちされたエスプリが光る軽快な作品集。
  • ゆめぐに影法師
    -
    ガンで死んだ作家のキョーコ、交通事故死した通訳のヨーコ。二人の美人ユーレイが、生前果たせなかったアメリカへの旅へ。ヴァージニア、ニューヨーク、アルバカーキ、ニューイングランド、デンバーなど。それぞれの街の光、風、匂いを感じながら、若い二人が引き起こす愉快な出来事とは……。著者の新境地を拓くファンタスティックな物語。
  • 水の魔法陣 上(魔法陣シリーズ)
    4.0
    1~14巻495~880円 (税込)
    分譲マンションの水道の蛇口から異臭とともに人の髪の毛が……、つづいて受水槽内に若い女性の腐乱死体が発見された。水問題に取り組んでいた、毎朝新聞の梶三郎は、その直後に起きた仲谷淳一医師の娘の誘拐事件との関連を直感、独自の調査を開始する。相次いで誘拐事件の関係者に失踪・変死が起き、事件は複雑な謎を深めてゆく。推理小説のあらゆる面白さを盛り込んだ本格長編の上巻。
  • 産婦人科病棟
    3.5
    この春、高校を卒業した志賀有紀子。白百合産婦人科病院に就職、働きながら准看護学院に通っていた。妊娠7カ月の妊婦の掻爬に立会った。結果、患者は息をひきとった。「あんたたち、今夜のこと、絶対、誰にも言ってはなりませんよ」婦長は何回も念を押した。こんなこと黙っているなんて私できません、反論できない自分が、みじめだった。人間不信、医療不信を描く、衝撃のドキュメンタリー小説。
  • 看護婦物語
    5.0
    1~2巻495円 (税込)
    S大学病院看護婦舞川苑子は、看護学校を卒業して3年。脳神経外科の織田医師に恋したが、彼は苑子を捨て、同僚の看護婦と結婚した。失恋の痛手は大きく、病院をやめると、故郷の産婦人科病院に勤めた。「特異体質」の従妹の出産に関わるが、母子を死に追いやってしまう。愛する人を失い看護婦としての自信を失ってしまった苑子。――看護とは何か、人間とは何かを追求したドキュンタリー小説。
  • わらべうた
    5.0
    けんかならこい、わるくちうた、おならうたなど、遠い日の子ども心をよび戻す素朴で、抒情あふれるかぞえうたの数かず。人間をいとおしむ詩人による現代の楽しいわらべうた。
  • 嫉妬
    3.4
    夫に、女がいた……。エリートサラリーマンの夫とインターナショナル・スクールに通う娘に囲まれ、幸せな生活を送っていた麻衣。しかし、週末に家族で訪れた友人の海の別荘で、偶然ある事故に巻き込まれ、夫の浮気を知ることになる。その日を境に壊れたように夫を問い詰め始める麻衣。次々と明らかにされる秘密。女と男の激しくも、繊細な心の葛藤を描ききった表題作ほか3編を収録。
  • 傷

    3.0
    青春は、最も光り輝き、また絶望の時――。いったい私にとってヴァイオリンは何だったのか。恋人の焦燥と怒りで、左手を傷つけられた私に、皮肉にも亡き恩師ロゼーから名器グァルネリが贈られた。単身パリへ飛んだ私を待ち受けたのは、甘美な新しい恋だった――。女ごころの葛藤をきめ細かく描く!
  • 情事
    3.5
    【第2回(1978年)すばる文学賞受賞作】「自分が、若さを奪い取られつつあると感じるようになると、反対に、性愛に対する欲望と飢えが強まっていった。セックスを反吐が出るまでやりぬいてみたいという、剥き出しの欲望から一瞬たりとも心を外らすことができない期間があった」夏の終わり――夕暮が突然輝きを失い、若さへの不安が私を奔放な性に駆りたてる。情事をひたすら追求して、“すばる文学賞”を受賞した話題作。「誘惑」も併載。
  • 金沢発寝台特急「北陸」13分の殺意
    -
    寝台特急「北陸」車内で若い女が殺された。凶器に残された掌紋から、被害者と愛人関係にあった西村が逮捕されるが、強硬に容疑を否認する。西村の弁護士からの依頼で元刑事の私立探偵栢次郎は、友人で柔術の達人・高比良亮とともに調査を開始、もう一人の容疑者・帖佐をマークする。高比良は帖佐のアリバイを崩すため「北陸」に乗り込むが…。
  • 岸和田少年愚連隊
    3.8
    1~7巻495~605円 (税込)
    ここは大阪、岸和田の春木町。競輪場や競馬場が詰め込まれ、ヤヤコシイ大人たちがウヨウヨいる小さな町。とにかくケンカに負けることを嫌い、顔でも腫らして帰ってくれば、「勝つまでやめたらあかんど」と送り出される。そんな土地でチュンバは育った。とどのつまりはツレの小鉄とケンカに明け暮れる毎日に。恐れるものなど何もなく、肩で風を切っていたあの頃――。超人気シリーズ第1弾。
  • 風に顔をあげて
    4.0
    高校を卒業してから「プロのフリーター」を自称し、アルバイトで一人暮らししてきた風実(ふみ)。でも25歳になって、将来に不安を感じるように。そんな時、ゲイをカミングアウトした高校生の弟が実家から逃げてきた。さらに、プロボクサーを目指す恋人がケガでボクシングをやめると言い出して……あっちもこっちも問題山積みの風実の明日は? ままならない日々を頑張る女性に贈る、共感たっぷりの物語。
  • やきもの師
    -
    やきものに人生を賭け、腕一本で陶芸界に挑戦する姉弟が、罵声と嘲笑の歳月からやがて栄光を浴びるまでの苦闘に満ちた日々を精細にたどる表題作他、中年を迎えた子供のない共働き夫婦の愛憎の機微を淡々とした筆法で描く「夫婦茶碗」、女手一人で老舗の履物店を切り回す京女のつつましい恋を、古都を背景に色彩豊かに写す「女人高野」など、平岩文学の野心作集。
  • 女と味噌汁
    4.0
    東京は新宿に近い花柳界・弁天池。主人公の芸者てまりは底ぬけに明るいお人好し。そのうえ男まさりのしっかり者で、だれの世話にもならず、自分で汗を流して働ける商売をと、芸者稼業のかたわら、ライトバンを改造して味噌汁屋を始めた。花柳界でけなげに生きるてまりとそれをとりまく下積みの人々との心のふれ合い。それは人情の機微を写すに得意な著者独自の世界でもある。
  • 弁護側の証人
    3.8
    ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子(なみこ)は八島財閥の御曹司・杉彦と恋に落ち、玉の輿に乗った。しかし幸福な新婚生活は長くは続かなかった。義父である当主・龍之助が何者かに殺害されたのだ。真犯人は誰なのか? 弁護側が召喚した証人をめぐって、生死を賭けた法廷での闘いが始まる。「弁護側の証人」とは果たして何者なのか? 日本ミステリー史に燦然と輝く、伝説の名作がいま甦る。
  • 私の遠藤くん
    3.6
    遠藤由美香は10歳年下の若い夫・彰男を「私の遠藤くん」と呼んで溺愛していた。だが、彰男の行動に対する猜疑心は強烈で、郵便物や携帯の無断検閲は当たり前。彰男あてのクラス会の案内には、勝手に欠席の返事を出す始末。妻の異常な干渉を愛情の裏返しと容認していた彰男も猛反発。中学校の同級生との集まりに強引に出席するが、夫の浮気妄想に取りつかれた由美香は、その会場に乗り込んできた! ホラーサスペンス。
  • 禁じられた遊び
    4.0
    こんな結婚しなきゃよかった――30歳にして家庭生活に絶望した綾は、子育てを放り投げ、「出会い系」にのめり込んだ。見つけた相手は自称作家の中年男。ついに不倫を体験した綾は、自分が飢えていたのは、愛でも性でもなく、危険な刺激だと気がついた。夫を困らせること、いっぱいしたい――屈折した形の復讐は、万引き・詐欺・AV出演とエスカレート。そして禁断の遊びは、究極の犯罪へ……。
  • セカンド・ワイフ
    3.3
    奈緒美は10歳年上の町田雄一と結婚した。自分は初婚だが、彼は4年前に離婚歴がある。その理由はきかなかったが、夫は優しく、新婚生活は幸せだった。が、あるとき雄一の手帳に「セカンド・ワイフ」という謎めいた言葉が書いてあるのを発見。それは奈緒美のことか、別の女の意味か? 急に夫の過去に不安を抱いた奈緒美は、彼の前妻に会おうとする。衝撃的な事実に直面するとも知らないで……。
  • 年下の男
    3.0
    36歳の営業課長・川島景子は年齢差を危ぶむ声をよそに、21歳の青年と結婚した。だがふとしたことから、自分たちの出会いそのものに不自然な作意を感じ、年下の夫に疑惑の目を向けはじめる。一方、景子をあきらめきれない男がひとりに女がひとり。窮地に追いつめられた彼女にトドメは夫の衝撃の告白! ついに精神的限界を超えた景子は、母の勧めで高原のログハウスに逃げ込むが……。
  • しあわせな結婚
    3.3
    東山俊一と三菜子はまもなく結婚一周年。庭付き一戸建ての新居でアツアツムード、のはずが、暮らしてみて初めてわかった感性の違いに、両者の不満は爆発寸前! そんなとき、隣家にしあわせそうなおしどり夫婦が越してきた。その妻は俊一の理想像。その夫は三菜子の憧れ。たがいに「この人と結婚していたら」と感じたとき、ふたりの脳裏に大胆奇抜なアイデアが浮上した。しかも同時に!
  • 夫の火遊び
    3.5
    『桜ハウス』と名づけた家でハウスシェアをしていた女たち。蝶子36歳・遠望子31歳・綾音26歳・真咲21歳。あれから十数年の月日が経ち……。今明かされる真咲の離婚の真相。婚約破棄を繰り返していた綾音が、選んだ男。遠望子のもとを訪れた女の目的は? そして、蝶子に新しい男が!? 一生懸命に生きるからこそ、どこかコミカルになってしまう30~40代の女たち4人を小気味よく描く傑作連作集。
  • 銀の朝、金の午後
    5.0
    浮気な夫と死別してお楽しみはこれからの初代・67歳、如才ない話術で世渡り上手の未亡人トヨノ・70歳、定年まで独身をつらぬいて働いてきた春子・65歳。ひとり暮らしの女たち三人が集まれば、噂話に花が咲く。老いらくの恋、他人の遺産の行方、健康のこと……。本音を出したり隠したり、好奇心旺盛な彼女たちの行くところ、話題と事件にはことかかず。コミカルで、ちょっぴり切ない女の友情物語。
  • 昔の恋人
    3.0
    忘れてしまいたい恋もある。胸にしまっておきたい愛もある。なつかしさと、ほろ苦さと、悔いと、いとおしさ、すべてがない交ぜの「昔の恋人」十数年ぶりの電話をきっかけに、かつての恋人との再会をはたす表題作の他、著者自身の体験を色濃く反映した傑作全4編。通り過ぎてきた季節を振りかえれば、甘く美しいだけではない思い出が多くて。苦みのきいた大人の恋物語。
  • かそけき音の
    -
    53歳の男との安らぎある関係に満たされながらも、19歳の青年に心ひかれていく省子。二人の男を隔てる歳月の切なさに揺れる少女のような想いを描く表題作「かそけき音の」。見合いを薦めながら週の半分は部屋にやって来る独身主義者の男を保護者のように受け入れてしまう亜由子、「合鍵」。はぐれ、寄り添い、憎みあう男と女の、どこかあやうくて微妙な8つのラブストーリー。
  • 【語注付】地獄変
    4.0
    【語注付】時は平安時代。高名だが傲慢な絵師の良秀は、貴族の大殿様に頼まれた地獄の絵が描けずに苦しんでいた。凄烈な劫火に灼かれ、悶え苦しむ美しい女――。それを自分の眼で実際に見たいと良秀は望む。そこで大殿様は、残酷な方法を思いつき……。芸術のために全てを犠牲にするエゴイズムを凄絶に描いた表題作のほか、「羅生門」、「蜘蛛の糸」、「鼻」、「藪の中」など著者の代表作を収録。
  • 【語注付】銀河鉄道の夜
    4.0
    【語注付】青や橙色に輝く星の野原を越え、白く光る銀河の岸をわたり、ジョバンニとカムパネルラを乗せた幻の列車は走る。不思議なかなしみの影をたたえた乗客たちは何者なのか? 列車はどこへ向かおうとするのか? 孤独な魂の旅を抒情豊かにつづる表題作ほか、「風の又三郎」「よだかの星」など、著者の代表的作品を6編収録する。
  • 僕は運動おんち
    3.8
    運動も勉強もできず、落ち込みがちな高校生の勝。運動音痴から「うんちゃん」とあだ名され、同じ高校に美しい妹が入学してからは変に目立って、ますます死にたい毎日。そんな中、詩を書く柔道部の男子と親しくなり、彼の幼なじみである、髪の長い女子柔道部エースに恋してしまう。なぜか運動部にも入部するハメになり、学校生活は予想外の方向へ――。笑えて元気が出る青春小説。
  • 万引き天女
    3.0
    このところ急増している万引き被害に頭を痛める門花民芸店主・門花靖雄。小物ばかりではない。石の道祖神や傘立てなど盗られようがないものまでが次々と店先から消えていく。万引き犯の第一候補はいつも帽子を被って来店する女だが、疑惑が恋心に変わってしまったことから話はおかしな方向へ――。表題作ほか、不思議な味わいの2編を新たに収録したユーモア小説集。『万引き変愛記』改題。
  • なんて遠い海
    3.5
    男から与えられる愛では満たされないことに気づいてしまった女、婚約者がいながら別の男に惹かれてゆく女、平穏な結婚生活の中でひと夏の記憶を辿る女……。ささやかだけど穏やかな幸福に包まれていても、どこか満たされない。心の奥底にひりつくような渇きを抱えて生きる女の日常に小さなさざ波をたてるのは、それもやはり“愛”。よせては返す波にも似て、果てなき海にまどう九つの愛のかたち。
  • ジョニーになった父
    -
    「今日から俺はジョニー・スカイだ!」平凡な町医者である父の突然の別人宣言。還暦を前に真面目一徹だった父が医者を廃業し、家庭をほうりだしてひとり那須の別邸で悠々自適の生活をはじめるという。唖然呆然の家族を尻目に、ハーレーを乗り回し、年若い恋人とレンアイする父・ジョニー。いったい父に何がおこったのか? そのとき妻は、娘は、息子は? 平凡な一家を襲った未曾有の悲喜劇。
  • エデンの旅人たち
    -
    卒業して1年。学生時代の仲間と再会した茗子。久美はあいかわらずの女王様。留衣の引っ込み思案も変わらない。そして茗子の恋人タクは卒業に失敗してまだ学生。久しぶりに会う彼に、少々気後れを覚える茗子――。みんな変わっていない、いいや、やっぱり変わった。誰もが青春の終わりに駆け抜ける楽園エデン。輝く若さに包まれた7人の男女が過ごした祝祭の日々と、旅立ちの時を描いた長編小説。
  • ハウス
    -
    せつない愛の予感、すれ違いに苛立つ恋、そしてひとりの部屋で過ごす眠れぬ日々――。12人の主人公達が、あいた心の隙間をうめてくれる自分だけの居場所をさがしあてるまでの、12編の物語。それは家庭でも家族でもなく、私達が不思議なほど心地よさを覚えしまう、唯一の場所。そして、それは、もうひとりのあなたの物語……。哀しみから立ちなおる女性達の姿を描く、著者初の連作小説。
  • シティ
    -
    図書館の貸出しカードを拾った男と、落とした女子高生のつかのまの触れ合い(『図書館は遠い』)。欲しかったキャミソールをめぐって出会う白い肌の女(『パール・ホワイトのキャミソール』)。球場で始まり、球場で終わった恋(『神宮で始まる空の高い夏』)他。都会の片隅で人と人が出会って、そこに生まれる小さなドラマ。てのひらで暖めて守りたい10の物語。
  • はつこい
    3.7
    地方都市で暮らす平凡なOLの亜季子。高校生のときからつきあっている恋人・遥生は東京で暮らしていて遠距離恋愛中だが、いずれは彼と結婚するつもりでいる。新居にする予定のマンションを購入し、幸せな未来を思い描く亜季子。だが、地元に戻ってきた遥生に、東京で出逢った女性を呼び寄せて一緒に暮らすつもりだと告げられてしまう。亜季子の平凡な日常の歯車が、少しずつくるい始めて……。
  • 天に堕ちる
    3.5
    騙されていると知りながらも、出張ホストに貢ぐ「りつ子」。男の都合に合わせ、ソープ嬢へと身を落としていく「茉莉」。中学生の男子生徒に密かな欲情を抱く養護教諭の「和美」。ありきたりの生活の中にある、小さな小さなくぼみ。わかっていて足を踏み入れるのか、気づかないうちに、穴が広がってすべり堕ちてしまうのか。一途に愛することの幸せ、そしてその代償。十人十色の愛のカタチを描く、傑作短編集。
  • 伊豆の踊子
    3.7
    孤独な生い立ちの20歳の主人公は、伊豆の峠で旅芸人の一行と出会った。花のように笑い、無邪気に自分を慕う踊子の薫や素朴な人々と旅するうち、彼の心はやわらかくほぐれていくのだった。淡く、清冽な初恋を描いた名作「伊豆の踊子」、「十六歳の日記」など初期の短篇5編を収録。
  • 恋する四字熟語
    3.9
    会いたいのに会いたくない「二律背反」、好きな男のメールを裏読みする「一言一句」、噂と高感度の謎に迫る「悪事千里」、三角関係の結末は「漁夫之利」、「完全無欠」の愛はあるのか……。恋愛短歌の名手が、恋と人生の不条理を122語の四字熟語にからめ軽やかに描く、前代未聞の恋愛四字熟語エッセイ。せつなく甘く、ちょっぴり辛口。
  • 真夜中の構図
    -
    参議院議員・太田垣にやっと大臣の椅子がまわってきた。だがその為には、5人の愛人を至急整理する必要がある。その役目を命じられたのが個人秘書の早川。だが、大臣夫人への夢に憑かれた女たちは、身を引こうとしない。ところが、愛人のひとりの変死から、連鎖的に女たちが殺されてゆく…。殺人の容疑者に仕立てられた早川! 仕組まれた事件の裏には、いったい何が…?
  • 十津川警部 修善寺わが愛と死(十津川警部シリーズ)
    2.5
    十文字多恵子32歳が、自宅で絞殺された。老舗の六国デパート元副社長秘書というには、分不相応な豪華マンション暮らしに、十津川警部は不審を抱く。多恵子は『修善寺わが愛と死』という原稿を残していた。その小説は、鎌倉幕府三代の興亡にことよせて、六国デパートのお家騒動を描いているようだった。探り始めると社長が次々交代しており…。連続殺人の悲劇に挑む十津川警部。傑作長編ミステリー。
  • 砂のお城の王女たち
    4.0
    海外赴任から五年ぶりに戻った青年。久々に入った自分の部屋は、買った覚えのないインテリアで飾られ、きれいに掃除がされていた。不思議に思う彼の前に現れたのは、小学生の女の子二人。彼女たちは「あなた誰? 私たちの家に勝手に入らないでよ!」と言ってきて…。表題作のほか4編を収録。大人の思惑のはるか上を飛び回る子供たちが繰り広げる、リアルでちょっぴりダークな大冒険!
  • プリンセスはご・入・学(南条姉妹シリーズ)
    5.0
    南条家の星、サッちゃん(幸子)が、名門四ツ葉学園小学校にご・入・学! 母・麗子や、その双子の妹・美知をはじめ、南条一家はお祭り気分。ところが、麗子が父母会長に選ばれた途端、殺人事件が……。父母たちの人生模様を織り込みながら、四ツ葉学園をめぐる怪事件を軽快なテンポで描くユーモア・ミステリー。大好評「南条姉妹シリーズ」第4弾。
  • 哀愁変奏曲
    5.0
    ハープの調べに愛がめばえ、シンバルの響きに、幼い日の残酷な思い出がよみがえる。ピアノのささやきは作曲家を夢みて、やがて挫折した青春の日々の追憶に誘う。懐かしきイングリッシュホルンの音色に女の哀しい人生模様が込められる。音楽と楽器を巡って奏でられる、愛と哀しみと恐怖のメロディ。連作ホラーサスペンス。
  • スクールバスは渋滞中(南条姉妹シリーズ)
    5.0
    ご存知、南条家の双子姉妹。外見は瓜ふたつ、ライフ・スタイルと性格は正反対。姉の麗子は純粋培養型箱入り奥さま。妹の美知は“暗黒通り”の女ボス。4歳になった麗子の娘・サッちゃんが通う名門幼稚園のスクールバスに爆弾がしかけられた。裏で糸を引くのは学園の土地乗っ取りを企む悪いヤツ。南条家のプリンセスの無事救出をめぐって一家が大活躍する、シリーズ第3弾。
  • 払い戻した恋人
    4.4
    「犯人はボクじゃない! ところで君に一目惚れしたので結婚して。でもその前に一千万円でボクの容疑を晴らしてくれない?」美人でちょっぴりケチなOL冴子は、ひょんなことから恋人殺し容疑の青年と知り合った。人間以外なら“来るものは拒まず”がモットーで貯金が趣味の冴子は、この申し出を引き受けさっそく調査を開始したが…。恋とお金と殺人の長編ミステリー。
  • 闘神伝説 1
    4.3
    1~4巻495円 (税込)
    パキスタンとアフガニスタンの国境付近で、映像プロデューサーの笹目京介は、銃創を負った少年を助ける。日本語を話し、タケルと名乗る少年は、名前以外のすべての記憶を失っていた。好奇心に駆られた笹目はタケルを伴って帰国し、駒引神社の宮司である八神家に預ける。だが、笹目は自分たちを尾行してきた三人の男の存在に気づいてなかった――壮大なスケールで展開するアクション・ロマン。
  • 葡萄物語
    3.6
    ワイン工場と葡萄園を経営する夫と平凡な暮らしを送る映子だが、子どもができない負い目から夫婦の関係は次第にすれ違っていく。そしてお互い別の相手に思いを寄せ始める。優しい夫に愛されている女はいくらでもいるが、夫以外の男から激しく思われている女はどれだけいるのだろうか。結婚生活の苦さと、不倫の甘さ。大人のための恋愛小説。
  • みどりの月
    3.3
    恋人のキタザワに誘われ、同居することになった南。ところが、そのマンションには、キタザワの遠い親戚マリコとその恋人サトシが住んでいた……。成り行きまかせで始まった男女四人の奇妙な共同生活を描く表題作ほか、別れの予感を抱えた若い夫婦があてのないアジア放浪に出る「かかとのしたの空」を収録。今を生きる若者たちを包む、明るい孤独とやるせない心をうつしだす作品集。
  • エンジェル
    3.4
    投資会社のオーナー掛井純一は、何者かに殺され、幽霊となって甦った。死の直前の二年分の記憶を失っていた彼は、真相を探るため、ある新作映画への不可解な金の流れを追い始める。映画界の巨匠と敏腕プロデューサー、彼らを裏で操る男たち。そして、ひと目で魅せられた女優との意外な過去。複雑に交錯する線が一本につながった時、死者の「生」を賭けた、究極の選択が待っていた――。
  • 活動寫眞の女
    3.8
    昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった…。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作。
  • プリズンホテル 1 夏
    3.9
    1~4巻495~660円 (税込)
    極道小説で売れっ子になった木戸孝之介の身内で、ヤクザの大親分の仲蔵が、温泉リゾートホテルのオーナーになった。招待された孝之介は驚いた。なんとそのホテルは任侠団体専用だったのだ。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ。さまざまな人たちがこのホテルで交差する。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家などなど、奇妙な人々が繰り広げる、涙と笑いの物語。シリーズ第一作。
  • 車軸
    3.5
    地方の裕福な家に生まれながら、その家系を“偽物”と嫌悪する真奈美は大学三年の夏、友人アイリーンの紹介で、戦後成金の資産家の家に育ったゲイの潤と新宿歌舞伎町で出会う。彼らに案内され、初めてホストクラブを訪れた真奈美は、ナンバー2ホスト聖也に興味を持ち指名する。以来、真奈美と潤は、聖也を挟みながら、同志のような関係に。二人の間には、自身の境遇に対する拭いようのないコンプレックスと、堕落への憧れがあった。ある時、真奈美は潤から、聖也を交えた3Pを提案される……。オープンリーゲイである自身の胸中を紡ぎ、数々の賞を受賞する気鋭の歌人による衝撃の小説デビュー作!
  • オートフィクション
    3.8
    22歳の女性作家・リンが新たに執筆を依頼されたのは自伝的創作=オートフィクションだった―。なにものによっても埋めることのできない、深い孤独を抱えた彼女が語り始めた「オートフィクション」は抹殺したはずの過去を描き出す。切り取られたいくつかの季節と記憶。通り過ぎる男たち。虚実が錯綜し破綻した世界の中で、彼女が見いだしたものとは。著者渾身の傑作長編。
  • 御不浄バトル
    3.3
    僕が入社したのは、悪徳ブラック企業!? 過酷な労働と精神的負担で営業部員は半年で辞めていく中、事務職の僕は無難に仕事をこなし二年目に。唯一の楽しみは、会社や駅のトイレでくつろぐこと。素性不明なトイレ常連メンバーたちと静かな個室争奪戦を毎日繰り広げる。しかし、ある電話がきっかけで、日常が一気に崩れ出す。限界に達した僕は、退職を決意するが……。芥川賞作家の話題作。
  • 小説版 ボクは坊さん。
    3.0
    24歳、ボクは突然、住職になった――。四国八十八ヶ所の一つである栄福寺を継ぐことになった進は、名を光円と改め、お坊さんとしての道を歩き出す。若造の自分に何が出来るのか。聞きなれない言葉やしきたりに苦悩しながらも、家族や幼馴染、檀家らに見守られて青年は成長してゆく。「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載された白川密成氏の大人気エッセイを元に作られた映画「ボクは坊さん。」の小説版。
  • 残された者たち
    3.4
    尻野浦小学校には、杏奈先生と飛鷹かおるという生徒、そして英語まじりで話をする校長先生がいるばかり。そう、ここは海沿いの限界集落。残りの住人はかおるの父とかおるの兄だけ。そこにある日、山向こうの「ガイコツジン」集落から、エトーくんがやってきて――。それぞれの人生を抱え、集まった人たちの濃密な関係が織りなす、風変わりな家族の物語。
  • 愛逢い月
    4.0
    甘く切ない恋の至福のときは短くて、頂点を極めたあとには、ただ、執着と妄想に満ちた永い時間が続くだけ……。かつての恋人と共に、死者の世界を永遠にさまよう甘美な地獄を幻想的な筆致で描く「38階の黄泉の国」。出ていった男を待ち暮らす寂しい女の危うい心理を追う「ピジョン・ブラッド」など、恋と、恋の残滓の中にひそむ、恐怖とサスペンスとミステリーを描く愛の終わりの物語全6編。
  • しゃぼん
    3.5
    ずっと女の子でいたい!……なんて無理? 仕事を辞めて彼氏の家にこもる花。おしゃれもセックスも捨てた。どうせいつかは枯れるのだ――30歳を目前に足掻く女性をリアルにキュートに描く表題作ほか、全4編のガールズ小説集。
  • 小説禁止令に賛同する
    3.0
    「皆さん。こんなおかしな小説はありはしません。信じて下さい」2036年の日本。「練られた筋書きだの、生活の機微を活写した虚構だの、人間のありようを深く追求するだの、そんなことの一切が嘘八百だということを、わたしは平易な随筆でもってあきらかに示したい。それが敗戦国の人間の、当然の責務だと考えるからであります」獄中で書いた随筆は、政府が発布した「小説禁止令」を礼讃する内容になるはずだった。しかし、当局がそこに見つけたのは、あるはずのない作品名だった……。
  • でも女
    3.5
    「でも…」「でも―」と、何でも欠点を見つけ否定する一流好みのオザワさん。そんな彼女がフツーの店での飲み会に行ったから大変!(「でも女」)小学校で、中学校で、高校で、大学で、大人になって……幾つになってもついてまわる女同士のしがらみを、明るく描く女の友情物語10編。
  • 母のはなし
    3.4
    「おれの子じゃない。知らない」ハルエの妊娠報告に夫のタケシは言い放った――。優しい両親、きょうだいに囲まれて、楽しい幼少期を過ごしたハルエだったが、金にうるさく自分勝手、超細かい性格の夫との結婚生活は、びっくりすることだらけだった。子供たちが成長し、念願の離婚をしたところでハルエの中で何かがはじけた。娘、妻、母、そして老人となっていく女の一生をおおらかに描く。
  • 吸血鬼はお見合日和(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    -
    正統なる吸血鬼であるフォン・クロロックは<クロロック商会>の雇われ社長。ある日、取引先の勧めで娘のエリカにお見合をさせることになってしまう。乗り気でないエリカをよそに話は進んでいくが、その見合相手の男はあやしげな女に恨みを抱かれていて…!? 表題作のほか、『吸血鬼、青空市場を行く』『吸血鬼の一日警察署長』の2編を収録した大ヒット<吸血鬼はお年ごろ>シリーズ第19弾!!
  • 吸血鬼と死の花嫁(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.0
    正統な吸血鬼の血を引くフォン・クロロックの娘・エリカは、客のふりをする“さくら”のアルバイトでホテルのブライダルショーを訪れる。しかし、偶然、通りかかったクロロックは会場内に血の匂いをかぎつける。急ぎ現場に駆けつけた二人の前には、モデル5人の血まみれの死体が! 事件に関わる魔女とは? 表題作のほか『吸血鬼、荒野を行く』『世直し吸血鬼』を収録した大ヒットシリーズ第18弾!
  • ラメルノエリキサ
    3.9
    【第28回小説すばる新人賞受賞作】「お前絶対ぶっ殺すからな!」女子高生・小峰りなは、夜道で背中を切られながらも、逃げる人影に叫んだ。退院後、りなは犯人を探すが、糸口は「ラメルノエリキサ」という犯人が残した謎の言葉のみ。そんな中、新たな通り魔事件が起こる。二つの事件を結ぶのはりなの元カレで!? 完璧な母親に苛立ち、犯人への復讐に異常なまでの執念を燃やす少女が疾走する青春小説。
  • 吸血鬼は世紀末に翔ぶ(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    昔、ヨーロッパの古い城に、ある目的のために作られていたという恐ろしい部屋〈バラの間〉。ある日、純粋なる吸血鬼フォン・クロロックとその娘で人間とのハーフであるエリカは、美女に館に招待される。何も知らない二人が通された部屋には、恐ろしい仕掛けが施されており……!? 表題作のほか『吸血鬼七変化』『吸血鬼と死の接吻』の二編を収録した「吸血鬼はお年ごろ」シリーズ第17作!
  • 吸血鬼と怪猫殿(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    -
    取引先のビルの完成披露パーティに招かれた純粋な吸血鬼であるフォン・クロロックとその娘で人間とのハーフのエリカ。しかし、パーティの開宴と共にまるで猫のたたりのような不可解な事件が頻発する。新しく建てられたビルに隠された猫にまつわる恐ろしい秘密とは!? 表題作のほか『土曜の夜と吸血鬼の朝』『吸血鬼に賞罰なし』の2編を収録。〈吸血鬼はお年ごろ〉シリーズ第16弾!!
  • 春、戻る
    4.0
    結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和菓子屋にも顔を出し、知らず知らずのうち生活に溶け込んでいく。彼は何者で目的は何なのか。何気ない日常の中からある記憶が呼び起こされて――。今を精一杯生きる全ての人に贈るハートフルストーリー。
  • 暗黒街の吸血鬼(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.0
    駅のホームで、突然見知らぬ男たちに囲まれたクロロックとエリカ。黒のマント姿といういかにも怪しい格好のために、人違いされてしまったのだ。彼らが探していたのは、恐ろしい復讐心を燃やす父娘らしいのだが……!? 暗黒街の掟に立ち向かう、正義の吸血鬼父娘が大活躍! 表題作のほか『吸血鬼は時給八八〇円』『吸血鬼の祭典』の2編を収録した、〈吸血鬼はお年ごろ〉シリーズ第15作!
  • ぼくの守る星
    4.3
    中学2年生の翔には悩みがあった。それは、言葉を読み間違えたり言い間違えたりして周りを笑わせてしまうこと。わざとではないのに同級生から漫才の相方に指名され、母にはユーモアセンスがあると励まされる。みんなと同じことができない自分には、どんな才能があるのだろう――。生きづらさを抱えながら日々を過ごす翔と、彼を取り巻くひとびとの悩みと優しさを描き出す、切なくも愛しい物語。
  • もらい泣き
    3.8
    一族みんなに恐れられていた厳格な祖母が亡くなった。遺品の金庫に入っていた意外な中身は……(「金庫と花丸」)。東日本大震災の後、福島空港で車がなく途方にくれる著者に「乗りますか」と声をかけてくれた男性。彼の父親の、痛快すぎるエピソードとは……(「インドと豆腐」)。思わずホロリ、もらい泣き。稀代のストーリーテラーが実話を元に創作した、33話の「泣ける」ショートストーリー集。
  • 忘れじの吸血鬼(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    -
    閉館日が近づく映画館で『吸血鬼もの』の映画を見ていたエリカは、妙な冷気を感じる。上映終了後、近くの席で女性が気を失っていて!? その女性は、映画のロケ地だった村で生まれ育ち、子供の頃に吸血鬼に襲われたという。事件の予感に、吸血鬼父娘が立ち上がる!! 表題作のほか〈忘れじの吸血鬼〉第2話『過去の眠る村』、『吸血鬼の初恋物語』の2編を収録。大好評シリーズ第14弾!!
  • 吸血鬼と切り裂きジャック(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    濃い霧の夜、女子高生がナイフで切り裂かれて殺されるという事件が起こった。あの“切り裂きジャック”が、100年以上の時を経て現代に甦ったのか……!? 事件の背後に禍々しい“血の匂い”を感じて調査に乗り出したクロロックとエリカ。そんなある夜、また霧が立ち込めてきて――!? 表題作のほか『吸血鬼は夜中に散歩する』『吸血鬼の優雅な休暇』の2編を収録。大好評シリーズ第13弾!!
  • 色彩の息子
    3.8
    一人きりで目覚めてしまう明け方。私は人の声に触れたくて、知らない誰かに電話をかける。冷たいシーツの上、澄み切った夜明けの青い空気の隙間で溺れてしまわないように――(「顔色の悪い魚」)。色彩が、もし息子たちを生むのなら、五感は、常に心を親にしている。金、赤、青、紫、白、緑、橙、黄、灰、茶、黒、銀。心の中のパレットから選びだした言葉で描きだされた、12色の短編集。
  • あとは泣くだけ
    3.4
    好きだった。でも、忘れたふりをしていた。あなたはもう隣にはいないから。けれど、ふとした拍子に見つけたあなたからの贈り物が、閉じ込めていた記憶を揺り起こし――。つきあっていた男性からの婚約指輪、一目惚れした女がくれた一冊の本、憧れていた先生にもらった赤いボールペン。大切な人に贈られた物を巡るかけがえのない思い出を綴った、いとしくて泣きたくなるほど切ない7つの物語。
  • さよなら、海の女たち
    3.0
    白い砂と蒼すぎる海の中で今、危機に瀕する珊瑚礁を憂える沖縄の女。嵐に荒れる夏の終りの北の海辺にふいに現われた酒場の女。南国のホテルで白い貝を手に踊る異国の女。そしてもう二度と見ることのできない青春の日の海でつむじ風のような恋をした少女…。潮の香りとともになつかしく浮かび上がる女たちの肖像。海と風と女の忘れ得ぬ物語。
  • それから(漱石コレクション)
    4.0
    時は明治末。財産家の次男に生まれた代助は30歳になっても仕事に就かず、結婚もせず、父の金に徒食して暮らしていた。ある日、失職して上京した友人、平岡の来訪を受ける。彼の妻、三千代は、かつて代助とも因縁のある間柄だった。再び目の前に現れた三千代。それをきっかけに、停滞していた日々の歯車が思わぬ方向に少しずつ動きはじめる。『三四郎』に始まり『門』へと連なる、三部作の第二作。
  • 学園王国
    3.0
    超ロングのスカートに裏地がヒョウ柄のブレザー、黒い口紅……時代を超越した「ツッパリ」スタイルを貫く沙耶香は、母親の再婚がきっかけで埼玉の公立高校から代官山の超セレブ高校に転校する。自分の常識が全く通用しない世界に困惑しつつも、クラスで友達を作ろうとする沙耶香だが、無視や陰口、仲間はずれなど地味なイジメに遭い……。沙耶香はこの閉鎖的な学園を壊すことができるのか!?
  • 共喰い
    3.5
    一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。セックスのときに琴子を殴る父と自分は違うと、自らに言い聞かせる遠馬だったが、やがて内から沸きあがる衝動に戸惑いつつも、次第にそれを抑えきれなくなって─。川辺の田舎町を舞台に起こる、逃げ場のない血と性の問題。第146回芥川賞受賞作。文庫化にあたり、瀬戸内寂聴氏との対談を収録。ほか「第三紀層の魚」併録。
  • 東京ロンダリング
    3.6
    1~2巻451~814円 (税込)
    内田りさ子、32歳。訳あって夫と離婚し、戻る家をなくした彼女は、都内の事故物件を一ヶ月ごとに転々とするという、一風変わった仕事を始める。人付き合いを煩わしく思い、孤独で無気力な日々を過ごすりさ子だったが、身一つで移り住んだ先々で出会う人人とのやりとりが、次第に彼女の心を溶かしてゆく――。東京の賃貸物件をロンダリング〈浄化〉する女性の、心温まる人生再生の物語。
  • 働く女
    3.3
    客を思う誠実さゆえに売り上げの伸びない百貨店外商部のチハル。無神経で時代錯誤のオヤジたちに悩まされるベテランOLのトモミ。手抜きのできない損な性分でボロボロになって働くエステティシャン、タマエ…。その他、ワガママ大女優から、ポリシーあるラブホテル店長まで、十人十色の働く女を活写! 共感し、思わず吹き出し、時には少々ホロ苦い。等身大の女たちの奮闘努力に、勇気の出る短篇集。
  • 小美代姐さん花乱万丈
    4.4
    1~2巻451~517円 (税込)
    大正生まれの小美代姐さん、花も実もある一代記。どんなときも明るく元気にたくましく! 一家の大黒柱で、売れっ子芸者。超ポジティヴな小美代姐さんが駆け抜けた激動の昭和。笑えて、泣けて、エネルギーをもらえる傑作評伝小説。

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