池永陽 - 集英社文庫作品一覧

  • 北の麦酒ザムライ 日本初に挑戦した薩摩藩士
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    薩摩島津家一門に生まれた村橋久成。幼き日、西郷隆盛が人は愛するものと言った事を胸に刻む。長じて藩の英国留学生となり陸軍学を修得して帰り、戊辰戦争に参戦。勝者として北海道開拓使官吏となった久成は、倫敦で飲んだ旨い麦酒を日本で造ろうと奔走するが…。近代国家への改革の裏で藩閥の権力抗争が渦巻く現実に反発。エリートでありながら、敗者に寄り添い不器用に生きた侍を描く傑作歴史小説。
  • コンビニ・ララバイ
    3.4
    小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。オーナーの幹郎は妻子を事故で亡くし、幸せにできなかったことを悔やんでいた。店には、同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。堅気の女性に惚れてしまったヤクザ、声を失った女優の卵、恋人に命じられ売春をする女子高生……。彼らは、そこで泣き、迷い、やがて、それぞれの答えを見つけていく――。温かさが心にしみる連作短編集。
  • 下町やぶさか診療所
    3.9
    1~3巻715~759円 (税込)
    東京浅草。診療所の医師・真野麟太郎は、大先生と呼ばれ近所の人々に慕われている。ある日、手首を切った女子高生・麻世が治療にやってくる。麻世の心の傷を知った麟太郎は、一緒に暮らすことを提案。麻世は、家事をすることを条件に同居人になるが…。虐待、認知症、癌など、診療所に持ち込まれる病気や患者の問題に、真摯に向き合う医師と型破りな女子高生が織りなす切なくて温かい下町物語。
  • でいごの花の下に
    3.8
    プロのカメラマンだった恋人が、死をほのめかすメモと使いきりカメラを残して姿を消した。フリーライターの燿子は、彼の故郷・沖縄へと飛ぶ。青い空と海、太陽と風に包まれ愛した男を追いつづける。出会った人々それぞれの過去や今に触れながら、行方知れずの恋人の秘められた驚愕の真実を知っていく。燿子は失った愛を見つけられるのか。南の島で奏でられた生命の讃歌、濃密で一途な純愛小説。
  • 走るジイサン
    3.9
    頭の上に猿がいる。話しかければクーと鳴き、からかえば一人前に怒りもする。お前はいったい何者だ――。近所の仲間と茶飲み話をするだけの平凡な老後をおくっていた作次。だが、突然あらわれた猿との奇妙な「共同生活」がはじまる。きっかけは、同居する嫁にほのかな恋情を抱いたことだった……。老いのやるせなさ、そして生の哀しみと可笑しさを描く、第11回小説すばる新人賞受賞作品。
  • ひらひら
    3.5
    常巳22歳、腕っぷしが弱く、要領も悪い、お人好しのチンピラヤクザ。器量は悪いが、心やさしい年上の女・順子と同棲しながら、シンナー密売とパチンコでしのぐ毎日。だが、伝説の博徒・腕斬り万治さんの出所を機に、本物の男になろうと心に決める。仁義にあつく、一本筋を通す仁侠道を歩むため、常巳の悪戦苦闘が始まった――。町の片隅で必死に生きる落ちこぼれ達の姿が切なく胸に染みる物語。
  • 水のなかの蛍
    4.0
    誰もが過去を引きずっている。みんな悲しい思い出を持っている。都会の片隅に、大切な人とはぐれた人々が住む古い洋館アパート・風見館、訳あり客が寄り添い合う喫茶店・前奏曲(プレリュード)がある。そこに住み、そこに入り浸る、お人好しなだけが取り柄の大学生は、堕ろした子供のもとに行きたいと願う謎の女子高生と出会う。ダイナマイトで一緒に死んでほしいと言われた。まっすぐで純な愛のあり方を描く長編。
  • ゆらゆら橋から
    3.5
    健司の通う小学校に、東京から美しい先生が赴任してくる。昔の恋人を引きずる彼女に健司は心を奪われて――(「ゆらゆら橋」)。中学に入った健司は結核の少女に恋をした。だが彼女は感染を心配し、近づかせてくれない。やがて容態が急変し…(「林檎色の血」)。大人の女性への憧れ、身を焦がす嫉妬、そして永遠の別れ。少年期から熟年期まで、ひとりの男性が人生で出会った切ない恋を描く連作短編集。

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