出久根達郎作品一覧

  • 逢わばや見ばや
    5.0
    15歳の少年は、たったひとりで上京し、月島の古本屋の小僧になった。だが孤独ではなかった――「私にとって書物は恋人であり、思想であった」。本の奥深さを知り、時には大人への戸口に佇み、人の心の温かさに触れながら成長していく姿を描く。昭和30年代の庶民の夢と郷愁を刻む、感動と笑いに溢れた自伝小説。(講談社文庫)
  • 逢わばや見ばや 完結編
    -
    月島の古本屋店員をしていた「私」は、巣立ちのときを迎え下町の風情が残る東京の西、高円寺に店を構える。やがて結婚し、古本の売行きが伸びなくなってくると独自に目録「書宴」を作りはじめた。「書宴」に書いたエッセイに目を留めた編集者の勧めで書籍になり、やがて小説家と古本屋の二足の草鞋を履くことになった。古書をこころから愛する著者による下町の人情と古書への愛情が詰まった傑作自伝的長編小説(講談社文庫)。
  • いつのまにやら本の虫
    3.3
    汗でぬれたお金を本屋の主人に差し出し、本を見つめる少年の目の輝き。こういう少年の姿は、今や、ない――無類の本好き、筋金入りの「本の虫」である著者が、本にまつわるイイ話、古本屋の謎、本が縁で知る人の心の温かさ……などなど、「面白くて奥が深い」読書人生を語り尽くす、最新書物エッセイ172編。本と対話する男、無類の本好きが語り尽くす、軽妙洒脱な書物人生。面白すぎて深すぎる、読書ワールドへご案内!
  • 犬大将ビッキ
    3.0
    子供のいない著者夫婦の家にやってきたパピヨン犬ビッキ。同じ頃、生活を共にすることになった実母と義母。失われゆく家族の絆と温もりを描いて静かな感動を誘う書き下ろしエッセー

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  • 大江戸ぐらり 安政大地震人情ばなし
    4.0
    震災あるところ、人情あり――。安政の大地震の後を懸命に生きる町人たちを描いた、珠玉の時代小説。舞台は幕末の江戸。商家の箱入り娘、おようは、安政大地震で行方がわからなくなった父母や祖母、そして座敷牢に入っていた叔父の消息を探す。混乱に乗じて泥棒や人さらいが跋扈するなか、人の情けに支えられたおようはお家の再建を目指し立ち上がる――竹問屋手代、鰯売り、飛脚人、船頭、こそ泥ら、震災と復興下の江戸に織りなす町人たちの人間模様を、味わい深い筆致で描いた心に沁みる時代小説。

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  • 御書物同心日記
    3.8
    将軍家の蔵書を守れ! 新米同心の奮闘記。本の知識では誰にもひけをとらない丈太郎は、天下の稀本珍本が集められた将軍家の御文庫に勤める新米同心。その使命は一にも二にも本を大切に保管すること。個性豊かな先輩同心がそろう御文庫に、同じく新米同心として角一郎がやって来たときから、奇妙な事件が相次いだ――。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • 御書物同心日記 虫姫
    3.8
    江戸城内にある紅葉山御文庫(将軍家の蔵書)を管理する御書物方、新米同心の東雲丈太郎。書物が好きで好奇心旺盛、書物に関係があるとなるとどんな些細なことにでも首を突っ込みたくなる丈太郎は、次々と不思議な事件に巻き込まれる。年の瀬に丈太郎が懇意の古本屋に頼まれて払い出しの古書を買い付けに行った顛末を描く表題作ほか、江戸の歳時、風俗を巧みに織り込みながら温かな人情を描く短編シリーズ第三弾(講談社文庫)。
  • 乙女シジミの味
    -
    都内杉並でカミさんと二人暮らし。これといった趣味はなく、衣食住にもことさら頓着しないが、年中行事を欠かすとどこか落ち着かない性質である。犬のキキと猫のパルルがいて、夏目漱石家伝来のヌカ味噌があるから家を空けられず、そういえばここ数年、夫婦で旅行に出かけていない。そんなある日、二人して出雲に行くことに―。鳥肌が立つほどおいしい幻のシジミ、北島康介のメンチカツ、手放す古本の“読み供養”、老母が遺したホワイトデーのプレゼントなどなど、直木賞作家で古書店主の著者が、平成の世相を背景に日々のよしなしごとをつづった、「昭和」のエスプリ漂う129の掌篇。
  • 踊るひと
    4.0
    世にも不可思議な物語の扉がいま開かれる。死んだ姉に送られた義兄からの愛の書簡は盗作? 疑いを持った妹はたった一行の葉書を残して消えた。という表題作「踊るひと」をはじめ、7つの短編の迷宮。変幻自在に妖しい魅惑の旋律を、直木賞作家が奏でる。あなただけのお耳に届けましょう──。変幻自在に奏でる短編の妖しい魅力! <『あなたのお耳に』改題作品>
  • おんな飛脚人
    3.7
    めっぽう足が速い韋駄天まどかと清太郎は、偶然同じ日に、飛脚問屋「十六屋」で働きはじめた。風のように走る江戸の町々で起こる、手紙にまつわる人情話、不思議な出来事、捕物帳。やがて、若い二人それぞれの、過去と胸に秘めた思いが、明かされてゆく。江戸庶民の生活と人情、そして、ほのかな恋を爽やかに描く、心あたたまる長編時代小説。庶民の人情と夢のせて、娘飛脚が大江戸をはしる!
  • 作家の値段
    4.0
    初版か再版か、帯や函は残っているか、美麗か、もちろん作家の人気も――さまざまな条件で古本の価値は大きく変わる。街場の古本屋は知っているのだ。本当に残るべき文学、消えていく文学とは何なのかを。読書好きのためにホンネで書ききった、「本邦初、読んで損はない、どころか読めば儲かる実益作家論」。
  • 雑誌倶楽部
    3.0
    庶民の暮らし、偉人の素顔、艶笑話、珍事件……雑誌にはリアルな「日本人」が詰まっている! 古書店を営みながら、作家・エッセイストとして活躍してきた出久根達郎氏による、明治~昭和のおもしろ記事発掘エッセイ。著者は、あらゆる雑誌に目を通し、「おもしろい」と感じた記事をかたっぱしからメモをする。婦人はいつから腋毛を剃るようになったのか? 昭和初期の元気な老人たちの長寿の秘訣は? 大正婦人の性教育とは? 等々、38冊の雑誌を取りあげ、軽妙かつ味わい深い筆致でつづる。地方の小さな古書店での思いがけない掘り出し本の話、投稿魔だった亡き父の思い出など、「雑誌」にまつわるエピソードも交えた、本好きにはたまらないエッセイ集。
  • 将軍家の秘宝 献上道中騒動記
    4.0
    山奥に眠る謎のお宝とは!? 若僧、山女、不正探索方が迫る! 舞台は江戸時代の信濃国。修業先から逃げ出した若僧・秀全は、ひょんなことから行商人の平助、若い山女・まつと行動を共にする。読心術の心得がある秀全、藩の密命を受けて不正を探る平助、蛇や野獣を従えるまつ。三人が山中を行くうちに遭遇したのは、山に眠る謎の将軍家献上品をめぐり、跳梁跋扈する人々だった。躍動感溢れる時代活劇エンターテインメント。
  • 漱石先生の手紙
    -
    文豪が残した手紙には人生の知恵が満載! 生涯に2500余通もの手紙を残した、文豪・夏目漱石。人生論、文学論から俗事に至るあれこれを、時にまじめに、時に軽口をまじえて認(したた)められた手紙は、「人は生くるに、かくあるべき」という教えに満ちている。「漱石大学」であらゆることを学んだ、と自任する著者が、時を超え文豪の内面世界に読者を誘(いざな)う。
  • 漱石センセと私
    -
    夏目漱石が松山時代を過ごした下宿先の孫娘「より江」は、幼い頃から漱石夫妻や正岡子規に可愛がられ、美しい才女へと成長。医学生だった久保猪之吉と出会う――。『吾輩は猫である』に登場する雪江のモデルとされ、泉鏡花、柳原白蓮とも親交があった俳人・歌人の久保より江。明るくしなやかに生きる少女の物語を、高浜虚子、寺田寅彦ら錚々たる文化人との逸話を盛り込みながら、情緒豊かに描き出す。
  • 漱石センセと私
    3.6
    俳人・歌人の久保より江(1884-1941)の波乱万丈の半生を、名筆家・出久根達郎が情緒豊かに描いた長編小説! 漱石センセに恋い焦がれた少女時代、漱石の妻・鏡子との奇妙な絆、正岡子規から学んだ俳句、そして生涯の伴侶・久保猪之吉との出会い──。 松山に住む美少女が、漱石、鏡子、子規、高浜虚子、柳原白蓮らとの出会いや別れを通して、やがて大人の女性へと変貌を遂げていく。 「センセ」はどんな人なのか? 鏡子夫人は本当に「悪妻」だったのか? より江から見た、知られざる「夏目漱石」を描く!
  • 続 御書物同心日記
    3.7
    嫁入り道具の絵巻物を担保に、大名家が古本屋に金を借りにきた。目利きを頼まれた御書物同心の丈太郎は、極彩色の春画にうろたえる。一方、将軍家の書物を管理する御文庫では将軍遺愛の本が紛失した。書名を聞いた途端、丈太郎は驚愕する。そして「事件」は意外な展開をみせた・・・。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • たとえばの楽しみ
    -
    本が教えてくれた、人の心の温かさ。古本屋の謎、哀愁漂ういい話……読書人生の楽しさを語り尽くす。「書物にしか、私の郷愁はない」。筋金入りの“本の虫”である著書が、読書人生の楽しさを語り尽くす。30分で10冊分「つまみ読み」する方法とは? エッチの語源は「悦痴」!? 本にまつわる秘密のエピソード、古本屋の謎、哀愁漂うイイ話、人の心の温かさ……書物のすべてをつづるおもしろエッセイ134編。(講談社文庫)
  • 佃島ふたり書房
    3.4
    佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った。大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまったく同じ2人の少年が奉公先で知り合い、男の友情を育んでいく。第108回直木賞受賞作品。(講談社文庫)
  • 出久根達郎の古本屋小説集
    NEW
    3.3
    古本屋店主にして作家となった出久根達郎。その古本小説のなかから傑作を選び出したアンソロジー。少年時代の本との出会い、下町の古本屋での修業時代、独立後の苦労など、著者自身の体験を作品化したもの。本に憑りつかれた人々の妄執の凄まじさ、一冊の本に込められた思い、人と本が織りなす様々な人生模様を描いた作品23編を収録。オリジナル・アンソロジー。
  • 日本人の美風
    4.0
    勤倹力行、篤志、陰徳、義理、諧謔、思いやり……、この国には、不朽の礎がある。大津波から村を救った異能の実業家、分度を守り復興を成し遂げた二宮尊徳、著名な学者を唸らせた無名の人の志、貧しくても守り通した義理から生まれる人の縁、災厄のときこそ人心を慰める皇后の読書歴――日本人の美点を体現した人びとの凄みを、歴史の襞の中から見つけ出す秘話七篇。

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  • 二十歳のあとさき
    3.5
    哀しいほど純情な少年たちの青春群像。オリンピックを控え、急激に変貌を遂げていく東京。下町の古本屋で働く7人の少年たちが、勉強会を始めた。夢は独立開業。その資金のため共同で積み立て貯金を開始したが、青春期特有の人間関係の難しさに悩む。少年から大人へと脱皮するとき、誰もが味わうほろ苦い体験を優しい筆致で描く自伝的青春小説。(講談社文庫)
  • 人さまの迷惑
    -
    古書店主にして直木賞作家の著者が深く鋭い人間観察と極上のユーモア、達意の文章で綴るエッセイ集。170冊分の“書物”の快楽はここに極まれり。書物に触れて得られる歓びは人さまの迷惑には決してならぬ、世にもすてきな道楽だ。街の人々の生活を見つめるまなざしが暖かい。(講談社文庫)
  • 本のお口よごしですが
    3.6
    古本屋となって32年。中学を卒えて上京し、店員から自分の店を開き、この道一筋で集めた古書をめぐる珍談奇談の数々を、奇妙な客との交流で知った人生のほろ苦い味で、仕上げてみました。貴書発掘のドラマから万引、美少女、臨終の書……。読書好きに必ず喜んでもらえる、講談社エッセイ賞受賞の名文随筆集。古書店の珍しい話が満載。古書の陰から日本文化の奥が見える!
  • 無明の蝶
    4.0
    古書店を舞台に、不思議な人生模様を描く。蔵書を金額で値踏みし、故人の人生の裏まで見すかす古書店主の回りには、棟方志功の肉筆やら暇つぶしの猫、ホモと奇妙な人ばかり。直木賞作家の書き下ろし小説集。(講談社文庫)
  • 名言がいっぱい あなたを元気にする56の言葉
    4.0
    読めばきっと元気が出る、こころに効くエッセイ集。 人生訓・家族愛・人物評…古今東西の書物に触れてきた出久根達郎が、自らの琴線に触れた名言をエピソードとともに紹介する。 「名言というのは、その言葉を発した人よって決まるのであって、非凡な人が当たり前の言葉を語ったとしても、聞く者には非凡なのである。だから、名言の背景がわからなければ、名言のありがたみも感じない。発したものがどういう経歴のかたか知らなければ、通りいっぺんの言葉と聞き流してしまうだろう。」 【目次】 I 武者小路実篤 石井桃子 二宮尊徳 新渡戸稲造 /他 II 手塚治虫 森鴎外 上村松園の母・仲子 夏目漱石 /他 Ⅲ 沢村貞子 中原淳一 小林一茶 前畑秀子 /他 あとがき (※本書は2013/8/22に発売し、2021/4/15に電子化をいたしました)
  • 面一本
    4.0
    庶民の街、早稲田の小さな古本屋に剣道の達人・若苗(わかなえ)が嫁いできた。三世代同居も苦にせず、人情溢れる家族に支えられて、若女将として古書の世界の奥深さにハマっていく。街を喰い荒らすバブル亡者たちに敢然と立ち向かい、平凡ながら時代の波に押し流されず強く生きる下町の一家を活き活きと描く長編小説。(講談社文庫)
  • 土龍
    3.0
    口入れ屋の紹介で御台場普請に雇われた国太郎と百蔵。2人がそこで見たものは、死人続出の怪しい穴掘り作業だった。一体、誰が何の目的で穴を掘らせるのか? 不審な男たちが跋扈(ばっこ)する中、真相をつきとめようとする国太郎たちの身に数々の危機が。黒船と地震に江戸の町が揺れるとき、城内までも揺れだした! (講談社文庫)
  • 世直し大明神 おんな飛脚人
    3.0
    色白のやさ男にも見えるが、まどかはれっきとした女。そんじょそこらの飛脚には負けないすこぶるつきの健脚だ。縁あって同じ日に雇われた清太郎と共に江戸の街を駆け抜ける。ふたりが届ける様々な荷物には、江戸の人情が込められていた。やがてふたりが胸に秘めた過去と想いが明らかになる。江戸庶民の生活と人情をきめ細やかに描く長編時代小説。NHKドラマ「人情とどけます~江戸娘飛脚~」原作(講談社文庫)。

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