樋口陽一作品一覧

  • 「憲法改正」の真実
    4.5
    「護憲派」・「改憲派」に国論を二分して永らく争われてきた「憲法改正」問題。ついに自民党は具体的な改憲に力を注ぎ始めた。しかし、自民党による憲法改正草案には、「改憲派」の憲法学者も驚愕した。これでは、国家の根幹が破壊され、日本は先進国の資格を失う、と。自民党のブレインでありながら、反旗を翻したのは「改憲派」の重鎮・小林節。そして彼が、自民党草案の分析を共にするのは「護憲派」の泰斗にして、憲法学界の最高権威、樋口陽一。ふたりが炙り出した、自民党草案全体を貫く「隠された意図」とは何か? 犀利な分析を、日本一分かりやすい言葉で語る「憲法改正」論議の決定版! 【目次】はじめに――なぜ、われわれ二人なのか/第一章 破壊された立憲主義と民主主義/ 第二章 改憲草案が目指す「旧体制」回帰とは?/第三章 憲法から「個人」が消える衝撃/第四章 自民党草案の考える権利と義務/第五章 緊急事態条項は「お試し」でなく「本丸」だ/第六章 キメラのような自民党草案前文――復古主義と新自由主義の奇妙な同居/第七章 九条改正議論に欠けているもの/第八章 憲法制定権力と国民の自覚/第九章 憲法を奪還し、保守する闘い/対論を終えて 主権者としての心の独立戦争 小林 節/あらためて「憲法保守」の意味を訴える 樋口陽一
  • 憲法 近代知の復権へ
    -
    1巻1,650円 (税込)
    比較憲法学の第一人者が、国民国家批判に抗して、憲法構造がなおもつべき意味を擁護、近代知の復権を唱えた諸篇が、いま改憲論かまびすしいなか、決定的なアクチュアリティをもって迫る。
  • 憲法と国家の理論
    4.0
    偉大なる憲法学者・清宮四郎(1898-1989年)、初の文庫版にして、重要論文を収録したアンソロジー。 宮沢俊義(1899-1976年)とともに戦後日本の憲法学を主導し、その屋台骨を作った清宮四郎は、東京帝国大学を卒業したあとヨーロッパに留学し、オーストリアの公法学者ハンス・ケルゼン(1881-1973年)の講義に接しました。これを機に、広い領域に及ぶ関心と深い学識に裏打ちされた独自の理論を紡ぎ始めた清宮は、京城帝国大学、東北帝国大学などで教鞭を執ったほか、1958年には我妻榮、宮沢俊義、大内兵衛らと憲法問題研究会を組織し、憲法に関する啓蒙活動に注力したことでも知られています。 しかし、宮沢とは異なり、一般向けの著作を多く残さなかった清宮の名は、専門家を除けば、ケルゼンの『一般国家学』(1925年)の訳者として知られているのが実情でしょう。日本の憲法学の厚みと深みに接する機会がない現状は、理想とは程遠いと言わざるをえません。 本書は、そうした状況を打破するべく、東北大学で清宮の薫陶を受けた樋口陽一氏が、清宮が残した二冊の論文集『国家作用の理論』(1968年)と『憲法の理論』(1969年)から重要な論文を精選し、刊行するものです。憲法とは何か、国家とは何か――その重要な問いに答えるために、過去の思想家に遡り、最先端の知見と照らし合わせつつ根源に迫っていく筆致は、他の誰にも真似できない凄みを感じさせます。美濃部達吉(1873-1948年)とケルゼンという二人の師、そして宮沢という友の思い出を語った貴重な記録「私の憲法学の二師・一友」を併載し、樋口氏による懇切な「解説」を収録しました。 文字どおり「決定版」となるアンソロジーを、佐々木惣一『立憲非立憲』、尾高朝雄『国民主権と天皇制』、恒藤恭『憲法問題』に続く、学術文庫・憲法シリーズの1冊として、満を持してお届けいたします。 [本書の内容]  I 日本国憲法の思想と原理 権力分立制序説 日本国憲法とロックの政治思想 憲法の法的特質 憲法の前文 国民主権と天皇制 天皇の行為の性質 数と理 多数決の前提条件 わが憲法上の解散 憲法の変遷について  II 憲法理論の基礎 法の定立、適用、執行 違法の後法 憲法改正作用 ブルクハルトの組織法・行態法論  III 憲法学の二師・一友 私の憲法学の二師・一友 解 説(樋口陽一)
  • 現代民主主義の憲法思想 フランス憲法および憲法学を素材として
    値引きあり
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 フランスの歴史と事例を元に、憲法が現代の民主主義において、どのような役割を果たしているかを丹念に探究し、その変遷を辿る労作。 【目次】 はしがき 第一章 戦後フランス憲法思想における転換 はじめに 1 フランス近代憲法思想の主流的見解――議会中心主義 2 議会中心主義からの転換(その一)――行政権の優位への転換、および、主権者=国民の優位への転換 3 議会中心主義からの転換(その二)――遠憲審査制の強化の方向、および、憲法の優位の観念の登場 4 議会中心主義からの二方向への転換――その共存と矛盾 第二章 フランス立憲主義の伝統的思考における「憲法」の観念と人権 1 問題の所在――第三共和制における「憲法」と人権 2 一七八九年宣言の憲法に対する優越性 3 一七八九年宣言の憲法優越性の性質 第三章 第五共和制フランスにおける違憲審査制の最近の展開――憲法院判決における「憲法」観念の拡大傾向―― はじめに 1 一九五八年憲法前文、および、「共和国の諸法律によって承認された基本的諸原理」の憲法規範性――一九七一年七月一六日判決 2 一七八九年人権宣言の憲法規範性――一九七三年一二月二七日判決 3 一九四六年憲法前文の憲法規範性――一九七五年一月一五日判決 4 一九七四年の制度改革による申立権者の範囲の拡大 5 フランスにおける違憲審査制論議の特徴 第四章 「憲法慣習」の観念 はじめに 1 最近フランスにおける憲法慣習論 2 実効的憲法の変遷と憲法法源の変遷 3 ケルゼンと憲法変遷論 第五章 フランスにおける「憲法」のありかたとdirigismeの観念――フランス現代憲法学の検討のための予備的一考察―― 1 前提――フランス立憲主義の伝統における「憲法」の観念 2 ≪dirigisme≫の観念 3 ≪dirigisme≫の観念と「憲法」 第六章 「議会までの民主主義」と「行政権までの民主主義」――フランス憲法史における点検―― はじめに 1 「議会までの民主主義」 2 「行政権までの民主主義」 おわりに 第七章 「共同政府綱領」と議会制民主主義 はじめに 1 網領の憲法論的意義 2 一九七三年総選挙以後の展開 第八章 ルネ・カピタン先生の違法論 はじめに 1 法の効力論における直接民主主義の観念 2 統治機構論における直接民主主義の観念 3 経済・社会機構論における直接民主主義の観念 おわりに 樋口 陽一 1934年生まれ。法学者(憲法学・比較憲法学)。東北大学名誉教授、東京大学名誉教授。、東北大学法学部法学科卒業、同大学院博士修了。法学博士。、パリ大学名誉博士。 著書に、『近代立憲主義と現代国家』『議会制の構造と動態』『比較憲法』『現代民主主義の憲法思想』『司法の積極性と消極性』『比較のなかの日本国憲法』『権力・個人・憲法学 フランス憲法研究』『憲法概論』『自由と国家』『ほんとうの自由社会とは 憲法にてらして』『もういちど憲法を読む』『憲法』『憲法入門』『近代国民国家の憲法構造』『近代憲法学にとっての論理と価値』『「普通の国」を超える憲法と「普通の国」すら断念する改憲論』『転換期の憲法?』『人権(一語の辞典)』『憲法と国家』『先人たちの「憲法」観』『個人と国家』『憲法 近代知の復権へ』『国法学 人権原論』『日本国憲法 まっとうに議論するために』『「共和国」フランスと私』『憲法という作為』『いま、「憲法改正」をどう考えるか』『加藤周一と丸山眞男』など、 訳書に、M・デュヴェルジェ『社会科学の諸方法』カール・シュミット『現代議会主義の精神史的状況 他一篇』などがある。 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 対論 憲法を/憲法から ラディカルに考える
    4.0
    憲法学、政治学、社会学、法哲学など気鋭の学者らが分野をこえて、国家・社会の根源的問題を多角的に徹底討論。「基調論考」をふまえた対論は、新たな思考プロセスや知見を含み、〈憲法を/憲法から〉考えるための多くの示唆を提供する。
  • 「日本国憲法」まっとうに議論するために 改訂新版
    -
    1巻1,980円 (税込)
    日本を代表する憲法学者による明晰な憲法解説。いま、憲法を論ずるための本格的入門書として重要な1冊である。明快な講義形式で、高校生をはじめ若い人たちにも読みやすい、丁寧な叙述となっている。昨今の状況の大きなうねりのなか、数々の疑問への回答の手がかりが、ここにあるだろう。情勢を見すえ、大幅な改訂が施された。新たに書き下ろされたのは、《政権交代》《「決める政治」と「決めさせない」政治》《2012年自民党改憲案の日本社会像》《「天賦人権説に基づく規定振り」の排除》の4節。最新状況をふまえ、「改訂新版へのあとがき」を付す。「国家」「国民」「個人」「人権」「主権」を、どう考えればよいか。法について、民主主義について語るための重要なことがらが論じられ、今こそ憲法を語る言葉を吟味せよ、というメッセージが伝わってくる。付録として、読みやすいレイアウトで日本国憲法の全文を収録。「もとより、自分の手足を制約されずに思いどおりの支配をしたいという誘惑は、たえず、権力を持つ者たちをひきつけるでしょう。だからこそ、権力を持たないひとりひとりの国民が、権力を持つ者たちに「この憲法を尊重し擁護」(第99条)させるための監視を怠ってはならないのです」(本書《憲法を「尊重し擁護する」義務》より)
  • リベラル・デモクラシーの現在 「ネオリベラル」と「イリベラル」のはざまで
    3.5
    戦後西側諸国の憲法の共通基準であったリベラル・デモクラシーが、「ネオリベラル」と「イリベラル」の挟撃を受けて世界的な危機に直面している。トランプ現象、イギリスのEU離脱をめぐる混迷、日本の改憲論議などを前に、戦後知識人たちの言説を手がかりにしつつ、私たちの座標軸をどこに求めるべきか考える。1979年以降21世紀まで、10年刻みで岩波新書を刊行してきた著者が新たに問う。

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