氏家幹人作品一覧

  • あやめ横丁の人々
    4.5
    婿入りの祝言(じゅうげん)の席上、妻に思い人のあることを知った大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆上して間夫(まぶ)を斬り捨て、妻女を自害に至らしめた彼は、婚家のつけ狙うところとなり本所「あやめ横丁」に匿(かくま)われる。だが堀に囲まれたこの町ときたら、場所も住人もみな何やら訳ありで……。練達の筆がさえる長編時代小説。(講談社文庫)
  • 江戸の怪奇譚
    3.7
    口から針を吐く少女。殺人鬼へと豹変した真面目な旗本の亡霊。突如、母親を切り刻んだ3人の子……江戸の人々を震撼させた怪事件は妖怪や怨霊の仕業なのか。その背後に浮かび上がるのは拉致、虐待、いじめ、ストリートチルドレンなど、現代社会にも通底する諸問題だった。今も昔も本当に怖いのは、人の心。
  • 江戸の性風俗 笑いと情死のエロス
    3.8
    「性」のありようから江戸時代を読みかえる。「肌をゆるす」とはどういうことだったのか。猥談の効用、高貴な人々の性、男同士の絆、恋と色のゆくえ。史料を自在に繙き、「性」の営みから語る江戸の精神史。(講談社現代新書)
  • 江戸老人旗本夜話
    -
    勤務先・江戸城。職業・旗本。天野弥五右衛門(やごえもん)81歳、赤裸々な日々の記。時代小説ではわからない武士の真実――。武士道とは長生きして出世競争に勝ちぬくことなり。武芸とは健康法なり。性は「接して泄(も)らさず」が善し。ある老旗本が書き残した、組織・仕事・カネ、家庭の悩み、性生活、老いへの惑い。江戸の「性」と「老い」を語れば当代随一の著者が武士の実像を生々しく描く、目から鱗(うろこ)の傑作エッセイ。(『元禄養老夜話』改題)
  • 古文書に見る江戸犯罪考
    3.5
    信憑性の高い史料を基に、江戸時代の犯罪と刑罰についてわかりやすく紹介。 児童虐待、介護の悲劇、夫婦間トラブル、通り魔殺人、多彩な詐欺……現代に横行する犯罪のほとんどは江戸時代にもあった。江戸時代ならではの犯罪、貧しい少女による放火、巾着切や盗人たちの独特な作法と生態、同心や岡っ引きによる特異な捜査など、現代との隔絶ぶりにも驚かされる。犯罪を通して覗き見る、江戸の真実がここに!
  • 性なる江戸の秘め談義
    5.0
    江戸時代における恋と情事と結婚の風景をおさめた、性なる随筆。妻たちの不義密通、たぎる性欲と 禁手淫 に悩んだエリート少年の告白、武士が男色を好んだ理由、廓に通う美熟女の楽しみ、江戸の美男美女の条件など。書き下ろし2本収録。
  • 増補 大江戸死体考
    4.0
    刀剣の試し斬りと鑑定を家業とし、生き肝から作った「霊薬」で富を築いた山田浅右衛門を軸に、屍でたどる江戸のアンダーワールド。人斬りの家・山田家の女性たちに関する論考を増補。
  • 増補版 江戸藩邸物語 戦場から街角へ
    -
    ◆武士としては   十四歳の自刃/殉死御禁断/堪忍の代償/“柔弱”の罪/噂が武士を襲うとき/危険と困惑の日々/『武士としては』/ある日突然の武士道 ◆〈職場〉の作法   二つの風潮/遅刻・欠勤規定/時間厳守の作法/遅すぎた目覚め/勇気をもって目を覚ませ/出勤拒否/しぐさの作法違い/不念と不服従/様と殿/上司の重さ/禁酒の誓約/去りゆく者たち/若き武士たちにおくる言葉 ◆路上の平和   報復の街角/喧嘩両成敗法を超えて/道の正しい歩き方/鞘当/一触即発の路上/供割・供先切/平和の徹底/水撒きの作法 ◆駆け込む者たち   招かれざる訪問者/駆け込む人々/文芸作品にみえる駆け込み/駆け込みを囲う法/囲わない風潮の拡がり/“騙り”の流行/仕官希望者の来訪/哀願と謝絶の作法/“たかり浪人”対策/駆け出る人々 ◆火事と生類をめぐる政治   “敵は火事なり”/火災通報の音色/藩邸空間の自律性/揺らぐ自律性/藩邸内の猪狩り/狐憑き/生類憐みの波紋/過敏な対応 ◆小姓と草履取り   噂の二人/美少年の愛翫/御物あがり/前髪老人/美しさの強制/隔離される身体/恋の制裁/少年と草履取り/前髪の黄昏 ◆死の領域   助命/おさん、茂兵衛の場合/法衣のサンクチュアリ/「法」のせめぎあい/捨てられる屍/漂う屍/河鍋暁斎のみたもの/土左衛門伝吉/死体処理の悩み/死から遠ざかる武士/試し斬りの専業化 ◆見いだされた老い   天野長重の略歴/テーマとしての健康/性の自己規制/七十歳以上定年制/六十歳の壁/老いの翳/幼少への眼差し/女と妻/家政の眼/八十五歳の円寂 ◆増補 「『守山日記』にみる“かぶき”終焉の時代像(抄)」
  • 殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界
    -
    幕政での栄達という青雲の夢破れ、47歳で平戸藩主を隠退した松浦静山は、以後82歳で没するまで、学芸に親しみ、怪談奇談に耳をそばだて、隠居仲間やお抱え相撲取り・弓職人など多彩な人々との交流を楽しんだ。老いのため息を洩らしつつ、本所下屋敷での隠居暮らしを生き生きと綴った江戸後期屈指の随筆『甲子夜話』を中心に、「老侯の時代」を活写する一級の江戸社会史。(講談社学術文庫)
  • 武士道とエロス
    3.3
    男達の恋「衆道」を通して語る江戸の心性史。殿と小姓、義兄弟など、男同士の恋は武士の社会に溶け込んだおおらかなものだった。彼らの「絆」の意味と変容を新視点から捉え直し、江戸という時代を照射する。(講談社現代新書)
  • 武士マニュアル
    3.0
    恋愛を強く戒めた剣豪の教えから人間関係のさばき方、「就職」時の心得、切腹の介錯人を命じられた際の対応まで……。戦国時代から幕末にかけて武士のあいだで伝えられた数々の「武士心得」を、近世史料の第一人者が縦横に読み解いた。独立心、克己心、誠を尽くすなど、多くの教えが現代人の心にも1本の筋を通してくれるはずだ。

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