古森義久 - PHP新書作品一覧
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4.5年間、一兆数千億円に上る日本のODA(政府開発援助)支出。不況と財政赤字に苦しむ国が、なぜこれほどの公的資金をつぎこむのか。認知も感謝もされていない、総計三兆円超の対中ODA。日本以上に整った巨大施設。貧しき村へは届かない援助。一党独裁国家・腐敗政権への資金供与……。本書では、中国、ベトナム、ケニアを例に疑惑と矛盾だらけの実態をレポート。同時にこうした結果を導く、「無償と人道援助が少ない」「冷戦後も唯一同じ路線をとる」などの日本の特異な対外援助システムを指摘。「ODA基本法の制定を」「要請主義から自主主義へ」「対中ODAをゼロ・ベース予算に」「支出半減」など具体的提言を通して、ODAの意義を根本から問い糾す。
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3.7本書は、安全保障や危機管理を主題とした国際情勢の最新レポートである。世界唯一の超大国アメリカの首都・ワシントンからの視点は、日本のマスメディアに今なおはびこる戦後の「平和主義」が、いかに非現実的、非国際的であるかを浮き彫りにする。例えば、アメリカでは靖国参拝反対論は意外なほど少なく、むしろ中国側を批判しているのだ。真の平和を保つためには軍事や安全保障を遠ざけてはならない――これが世界の現実認識である。日本が戦後の呪縛をみずから解くときがきたのである。日本の外交は、もっと「凛」とした態度をとってしかるべき。そのためには、民主主義や人権尊重という普遍的な価値観の重要性を堂々と説くべきである。例えば、中国に対してひたすら譲る「友好恭順」外交が破綻したいま、こうした普遍的な主張によって、中国における民主主義の不在や人権抑圧を批判すること。それが「正常な国」へと大きく前進するプロセスとなるのである。