西村望 - 光文社作品一覧

  • 風よ迷路を吹き抜けよ
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    京都在住の大月信平・エリ子夫妻には子供ができない。だが信平は36歳。若い。交際誌で『私たちの夫婦生活を見て!』という記事を読み、名古屋の神田夫妻を訪問。さらに松本夫妻と交際し、鑑賞より実践が迷路を開くことを悟った。そこに快感未体験の八木夫妻も加わりスワッピングは盛り上がる。鬼才が性を通して人間の業を描く。
  • 裏稼ぎ~莨屋(たばこや)文蔵御用帳~
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    女房の火遊びに亭主の浮気、一張羅(いっちょうら)の晴れ着を盗まれてくやしがる娘――。岡っ引き莨屋文蔵は、子分たち(テレコの松に横丁の留吉)が拾ってきた、一見たわいのない町のもめごとの裏に、妖(あや)しい悪事の気配を嗅(か)ぎつけた。江戸の片隅に生きる男と女の、はかない夢と挫折、ゆがんだ愛欲のもつれが生み出した奇怪な事件の謎(なぞ)に立ち向かう、裏稼ぎ捕物控(とりものひかえ)。
  • 風の別れ
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    スナックのママ・加代(かよ)は、金づるの情夫・照間(てるま)の心変わりを恨み、殺害計画をたてた。彼はコークハイを好む。加代は冷蔵庫のコーラ壜に青酸塩の粒を混入した。うまくいった。二階で男が死んでいる。顔を覗いて驚いた。男は死体処理を頼むはずのちんぴら・千頭(せんず)であった……(『地辷り』)。犯罪小説の第一人者が精選した八編の会心作。
  • 風の宿~川ばた同心御用扣~
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    江戸には多くの人間が、過去を背負って辿(たど)り着く。彼らに、浮き世に巣くう卑劣なダニたちが絡(から)み、様々(さまざま)な事件を引き起こす。南町奉行所の同心・秋山五六郎(ごろくろう)は、手下の半次とお富を使い、縺(もつ)れた事件の謎を解きほぐす。悪事を懲(こ)らすに容赦はしないが、弱者の犯した過(あやま)ちには人情で裁く五六郎だが……。著者の描く江戸の四季に、風俗・風物を感じる人情捕物帳!
  • 後家鞘~莨屋(たばこや)文蔵御用帳~
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    繁栄を誇る江戸の町々。だが、その裏側には、暗く澱(よど)んだ無気味な気配が漂っていた。色恋に溺れ、分別を失ってしまった女たちと、その弱みにつけこんで甘い汁を吸う冷酷な男どもの、ふしだらな情事の数々――。何気ない噂話の中から、危険な企みを感じ取った岡っ引き莨屋文蔵は、2人の子分(松と留吉)の尻をたたき、事件の核心に迫る。裏稼ぎ捕物控!
  • 最終列車
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    広島駅構内で中谷は手錠を掛けられた。〃怪盗もヤキが回ったなァ〃と舌打ちした。彼は六年前から、名古屋に多喜子、京都に比佐子、広島に美佳という美女を囲い、新幹線を活用し、窃盗で稼いでは彼女らを歓喜させてきた。だが、今は人生の「最終列車」に乗せられたに等しい。ところが、まず、美佳が激励に現われて……。犯罪小説(クライム・ノベル)の名手が、様々な男女の生きざまを展開!
  • 終着駅
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    二人の貧しい若者が薄暮に睦み合う恋人を発見、激しく興奮。男の背中を刺し、揃って女を襲ったがついに取り逃がす。犯人が、山へ登ったのも、恋人たちを苛めたのも、殺傷を図ったのもみなアソビ。罪の意識はなかった(「徒花」より)。 ――人生の辛酸を嘗めてきた著者が、さまよえる孤独な人間たちの魂を剔出する珠玉の傑作選。
  • 茶立虫~莨屋(たばこや)文蔵御用帳~
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    留吉(とめきち)の幼馴染みが、女を紹介すると言われ、金を騙(だま)し取られたらしい。義憤(ぎふん)を覚えた彼は、おそめという名の女を探して江戸の町を奔(はし)る。そんな時、四谷忍町(よつやおしまち)の横丁で商人風の男が殺された。その際、稲荷番の男が「おそめ」と叫ぶ男の声を聞いたと言う。果たして同一人か? 文蔵は探索を開始するが……(表題作)。好評“裏稼ぎ”捕物控!
  • 蜥蜴市~莨屋(たばこや)文蔵御用帳~
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    江戸は市谷・浄瑠璃坂下で、商人風の男が何者かに絞殺された。男は料理茶屋に一人で出かけ、帰らぬ人となった。八丁堀同心・青木廉平の命を受けた岡っ引き・文蔵は、子分の松と留吉を引き連れ、下手人の行方を追う。殺された男の本妻には間男がおり、その間男の影が妾の背後にも……(表題作)。 悪事を懲らすが情もかける、好評“裏稼ぎ”捕物控!
  • 贋妻敵(にせめがたき)~莨屋(たばこや)文蔵御用帳~
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    捕物にかけては、めっぽう腕利きの文蔵親分だが、年増女の色気には鋭い探索の手も鈍る。一件落着の上の役得は、たいていは、“とらぬ狸の皮算用”。これではならぬ、と気を引きしめ、少々頼りない二人の子分(松と留吉)を相棒に、ぬらりくらりと巧妙に立ち回る犯人を、土壇場へと追い詰める。悪の蔓延(はびこ)る江戸の町に、文蔵の十手(じって)が閃(ひか)る。裏稼ぎ捕物控シリーズ!
  • 刃差しの街
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    紀州太地にクジラの回游が途絶えた。明治10年のこと。困窮するクジラの村を救うため、捕鯨責任者・勝山良之助は若い未亡人・お妻を付け人に大阪や東京へ金策に飛ぶ。その頃、日本近海でアメリカの黒船が鉄砲でクジラを撃っていた。しかも二人は日米開港条約が相手方の捕鯨に有利な条件なのを知った! 著者自ら現地取材を重ね、全力を傾注した直木賞候補の大作。
  • 密 航 船
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    四国の寒村の若者がボロ船でアメリカに向かった。貧しさゆえの密航だった。時は明治44年2月。リーダーの普元五十男を含む10名には2組の夫婦が含まれていた。一行は幾多の危機を越え、61日目で大陸に到着したが、すぐ保安官に追われ、分散して逃走! 彼らの運命は……?『刃差しの街』『密漁船』と合わせ海洋三部作。海育ちの著者だけに読者の魂を揺さぶる。
  • 密  謀
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    人間は誰でも殺される動機をもっている。京都郊外に『B・W・リサーチ京都』という謎の研究所が誕生した。小金持ちの軽食喫茶を営む近藤小一郎の出資である。所長・若狭芳樹と他の四人の幹部は、犯罪者であり、借金魔の会社員。儲かることなら脅迫も平気だ。ついには女事務員を絡めて、近藤を殺害、保険金を狙う。著者の名作『鬼畜』を彷彿させる人間の究極像。
  • 密猟船
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    塩釜の沖合にある桂島から北の海を目指し北洋丸が出港した。オットセイやラッコを獲るためだ。時は明治39年3月。男たちは勇んでいた。幸先よくオットセイの大群を仕止める。が、ロシヤ官憲に拿捕され、毛皮を没収された。続いて漂流するロシヤ人の男女を救助したのに、銃撃を受け死者を出す。落胆のなかでの大猟。その感動も束の間に……。凄絶な人間と海との死闘!
  • 無 人 駅
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    石見が安紀子の全裸死体を谷底に投げ捨てた。これまで石見は、母親ほど年上の、職場の先輩・安紀子と性を貪り合っていた。やがて石見が結婚すると、安紀子は嫉妬に狂う。石見は発作的に絞殺したのだ。身を隠すには〃無人駅〃が格好の盲点に思われたのだが……。表題作のほか、誰もが起こしかねないはずみの犯罪小説を七編収録。
  • 流亡(りゅうぼう)
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    ロシア生まれの神父が、長野県大町の教会で絞殺された。神父の名はヤコフ、72歳、独身。革命で肉親を奪われ、流亡の果てに日本での布教活動に専念していたのだ。犯人の市川勉が捕えられた。なんと昔、ヤコフが神に背き、〃瞬時の関係〃を結んだ人妻、典子の息子だった。社会派犯罪小説の鬼才が絶妙な素材を静謐に描く慟哭の巨編。

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