吉澤康子 - 東京創元社作品一覧

  • あの本は読まれているか
    3.3
    冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く傑作長編!/解説=大矢博子
  • アーサー王の墓所の夢
    3.9
    1154年、グラストンベリー一帯を襲った地震の直後、ひとりの老修道士が息を引き取った。アーサー王の埋葬を見たと甥に言い残して。そして月日は流れ1176年、話を聞きつけたイングランド国王ヘンリー二世の命により、町ごと大火で焼失した大修道院の墓地から、二体の骨が掘り出される。遺骨は伝説のアーサー王とその妃グウィネヴィアのものなのか? 住み慣れたケンブリッジを追われた女医アデリアは国王の依頼により、供を連れ骨の鑑定に赴くが、その途上で友人エマの身に異変が起きたことを知る……。CWA最優秀歴史ミステリ賞シリーズ第3弾。/解説=千街晶之
  • エルサレムから来た悪魔 上
    4.2
    1171年のイングランド。トマス・ベケット大司教殺害の衝撃もさめやらぬ王国を、ケンブリッジの町で起きた、子どもの連続失踪・殺害事件が揺るがしていた。事件はユダヤ人の犯行だとする声が強く、私刑や排斥運動が起きる。富裕なユダヤ人を国外に追放してしまえば国の財政は破綻し、かばえば教会からの破門は避けられない。進退窮まった国王ヘンリー二世は、シチリア王国から優秀な調査官と医師を招聘し、事件を解決させようとする。若き女医アデリアは、血に飢えた殺人者の正体をあばくことができるのか。CWA最優秀歴史ミステリ賞受賞の傑作。
  • 危険な友情
    5.0
    1924年、ニューヨーク。警察署で供述書を作成するタイピストとして働くローズの前に、新人タイピストのオダリーが現われる。彼女は美しい黒髪をボブにし、最新流行の高級な服に身を包んだ自由奔放な雰囲気の女性で、酔っ払いを上手にあしらって警官たちを感心させた。オダリーと親しくなったことでローズの人生は一変し、豪奢なホテルの一室で同居をはじめる。だがオダリーには秘密があった。贅沢な生活の資金はどこから? なぜ警察署に勤めているのか? そして彼女がローズに仕掛けた罠とは。2人のタイピストが織りなす優美なサスペンス!/解説=大矢博子 ※単行本版タイトル『もうひとりのタイピスト』を改題した文庫版を底本といたしました。
  • 偽証裁判 上
    4.5
    1857年10月、ヘスターは新たな仕事を得た。エディンバラの名家の女主人メアリが夜行列車でロンドンを訪れ、数日滞在したのちに帰宅する予定で、その間の付き添いを請け負ったのだ。彼女は高齢で心臓に持病があり、薬の飲み忘れは命に関わる。経験豊富な看護婦であるヘスターは車中で指示通りに薬を飲ませたが、翌朝、メアリはこときれていた。身に覚えのない殺人の罪で起訴されてしまったヘスターの絞首刑を防ぐには、裁判で無実を証明するしかない。私立探偵モンクは真犯人を見つけるべく捜査を開始する。緊迫感に満ち満ちた傑作法廷ミステリ!
  • コードネーム・ヴェリティ
    3.7
    第二次世界大戦中、ナチ占領下のフランスでイギリス特殊作戦執行部員の若い女性がスパイとして捕虜になった。彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制され、インクと紙、そして二週間を与えられる。その手記には、親友である補助航空部隊の女性飛行士マディの戦場の日々が、まるで小説のように綴られていた。彼女はなぜ物語風の手記を書いたのか? さまざまな謎がちりばめられた第一部の手記。驚愕の真実が判明する第二部の手記。そして慟哭の結末。最後の最後まで読者を翻弄する圧倒的な物語!
  • 父から娘への7つのおとぎ話
    4.4
    イギリス南西部の建築事務所で非正規社員として働くレベッカは、幼いときに父親が家を出ていっていしまい、母親に育てられた。父親のレオには20年近く会っていない。ある日、男性記者エリスが取材目的でレオの行方を尋ねてきた。レオはかつてBBCの子ども番組に出演していた人気俳優だったのだ。エリスはレオが現在どこにいるのか見つけられないという。父親など存在しないかのように暮らしてきたレベッカが母親や親戚に聞いても、「ろくな男じゃない」としか教えてもらえず、生死すらわからない。だが、祖母がこっそり一冊の本を渡してくれる。それは、父親が自分のために書いてくれたらしいおとぎ話の本だった。レベッカはエリスの取材に協力しつつ、本を手がかりに父親を探そうとするが……。〈収集家と水の精〉〈世界の果てへの航海〉〈魔女とスフィンクス〉……7つの奇妙なおとぎ話が収められた本が、知らなかった父親の想いを描き出す。本をこよなく愛する著者が贈る、切なくも心温まる家族の物語。
  • ロザムンドの死の迷宮
    4.1
    ケンブリッジを震撼させた連続殺人は過去のこと。わが子アリーや召使いのマンスールたちと、イングランドの地で平穏に暮らしていた女医アデリアは、アリーの父であるロウリー司教に呼び出される。管区オックスフォードシャーにある迷路に囲まれたワームホールド塔で、ヘンリー二世の愛妾ロザムンドが毒を盛られたのだ。最大の容疑者である王妃エレアノールは、幽閉先から姿を消していた。国全体を巻きこむ戦を阻止するべく、アデリアは難事件に立ち向かう。CWA最優秀歴史ミステリ賞に輝いた『エルサレムから来た悪魔』に続く、シリーズ第2弾。
  • ローズ・アンダーファイア
    4.2
    1944年9月。英国補助航空部隊に所属する飛行士のローズは、戦闘機を輸送する途中でドイツ空軍機に捕まり、航空基地に連行された。そしてスパイの疑いをかけられ、主に女性を収容しているラーフェンスブリュック強制収容所に送られてしまう。飢えや寒さに苦しみながら、苛酷な労働に従事するローズ。地獄で見つけた支えあえる“家族”と生き延び、窮地を脱するための意外な方策とは――。MWA賞受賞作家が描いた、戦争に翻弄される女性たちの強い絆と闘い。日記や手紙で構成された、先の見えない展開の果てに待つ圧巻の結末が胸を打つ傑作。

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