奥田亜希子作品一覧
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3.5「ひとりで行きなよ」「いやなの、ねぇ条介お願い、ついてきて」 高校生の僕は幼馴染のアンから、恋人と別れるところを見ていてほしいと頼まれる。 バイトを休んで渋々ながら彼女についていった僕が目にしたのは--。(『ポケット』加藤シゲアキ) 朝起きてぼうっと生きていたらいつの間にか時間が過ぎ去っている。仕事から帰宅すると、毎日違う知らない友達が家にいる。 そんなある日、一人の友達だけが何度も家に来ることに気がついて――。(『コンピレーション』住野よる) 誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。 ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。 ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。 僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
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4.0小学四年生の「白野真澄」は、強い刺激や予想できない出来事が苦手だ。横断歩道も黒いところを踏むと心に影が差すような気がして、いつも白いところだけを渡って歩いている。なるべく静かに日々を過ごしたいと思っているのだが、翔が転校してきてから、その生活は少しずつ変化していき……(表題作)。頼れる助産師、駆け出しイラストレーター、夫に合わせて生きてきた主婦、恋人への不満を紛らわすように浮気をする女子大生。五人の不器用な「白野真澄」たちが抱える五者五様の生きづらさを、曇りのない眼差しでまっすぐに見つめた傑作短編集。/【目次】名前をつけてやる/両性花の咲くところ/ラストシューズ/砂に、足跡/白野真澄はしょうがない/解説=大矢博子
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3.4コミュニケーション能力皆無の実緒は、高校3年生の時、ある出版社の小説の新人賞を受賞する。ペンネームは「佐原澪」。デビュー当時は話題になったが、6年経った今、佐原澪の名前を覚えている人間は少ない。実緒はデビュー以降、スランプに陥り一作も小説を書けなくなっていた。自分のデビュー作が未だに置かれている書店へ行っては、誰か手に取らないかと監視する日々。するとある日、実緒の本を手に取る大学生風の男の姿を確認する。思わずあとをつけ、彼の家を特定する。部屋の番号を確認し、ポストに手を突っこみ郵便物を抜き取ると、そこには大学からの封筒と彼の名前・春臣の文字が。それからというもの、今まで一行も書けなかったことが嘘のように、実緒は春臣のことを連想した小説を書くようになる。その小説を春臣のポストに投函することで実緒は満足感を得ていた。ひょんなことから実緒は春臣の恋人と仲良くなるが――。第三十七回すばる文学賞受賞第一作。
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