蓮實重彦 - ちくま学芸文庫作品一覧

  • 監督 小津安二郎〔増補決定版〕
    4.5
    「残された作品の画面に何が具体的に見えるか、そしてそのイメージが、見るもののフィルム的感性をどのように刺激するかを論じてみたい。つまり、現実のフィルム体験として生きうる限りの小津安二郎の作品について語ってみたいと思う」(本書序章より)。人々がとらわれている小津的なるものの神話から瞳を解き放ち、その映画の魅力の真の動因に迫る画期的著作。本文庫は、小津の生誕百年(2003年)を機に旧版へ三章を増補した決定版である。名キャメラマン厚田雄春と『美人哀愁』の主演女優井上雪子へのインタヴューほかを併録。
  • ゴダール革命〔増補決定版〕
    -
    いつ炸裂するかわからない時限爆弾として映画があるとするならば、ジャン=リュック・ゴダールの作品はいかなる条件のもとにそうであるのか、あるいはそうでないのか。映画批評的/映画史的差異を捉えた者だけに現れる問題が存在する──。最初の長編『勝手にしやがれ』から遺作『イメージの本』まで、稀代の映画作家が置かれ続けた孤独。撮ることと観ることとのいまだ決着のつかない闘争の場に対峙してきた著者は、「映画はもはやゴダールなど必要としていない」と断じる勇気を持てと訴える。新たなる孤独の創造のために。ゴダールへのインタヴューなどを再録増補した決定版論集。
  • 帝国の陰謀
    4.0
    純粋な「形式性」と起源なき「名前」の流通によって現実が作られる時代。それは、いかにして生まれたのか──。19世紀中葉、一組の義兄弟が陰謀を企てる。兄の名は、ルイ=ナポレオン。フランス皇帝ナポレオン1世の甥である。かたや父親を異にする弟の名は、ド・モルニー。「私生児」にして、のちの内務大臣・立法院議長である。権力奪取の計画は首尾よく運び、ここにフランス第二帝政の幕が上がることとなる。希薄で、シニカルな相貌をまとって……。ド・モルニーが遺した二つのテクストを読解し、マルクスが見落としたものを軽やかに描く、著者最初の書き下ろし作品。
  • ハリウッド映画史講義 ──翳りの歴史のために
    4.0
    「絢爛豪華」な神話都市ハリウッド。その栄光を支えた撮影所システムは、第二次世界大戦後、不意に崩れ始める。アメリカ合衆国との闘いをはじめ、時代と不幸な関係を結んだ「1950年代作家」たちが照らし出すものとは何か──。いまや映画批評において不可欠となった諸概念とともに描かれる歴史は、ハリウッドにおける決定的な変容を浮き彫りにする。アメリカ映画が抱え込んだ問題を剔抉し、作品を見定める視界を開く独創的映画論。

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