ちくま新書 - いのち作品一覧

  • 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学
    3.9
    私たちは病院に、答えを得るために足を運ぶ。心身の不調の原因が明らかになり、それを取り去るすべが見つかることを期待する。しかし実際の医療現場は、私たちが思う以上のあいまいさに満ちており、期待した答えが得られない場合も多い。そんな時私たちは、医療者に失望するが、それは医療者も同様に悩み、考えるときでもある。本書は、医療者のそんな側面を、本人たちへのインタビューをもとに紹介する。病気になったとき、私たちは医療者とともにいかに歩むことができるのか。かれらの語りを通じて考えてほしい。
  • 近世史講義 ──女性の力を問いなおす
    3.3
    日本の近世史については、近年さまざまに研究が進展しているにもかかわらず、その成果が一般に知られていない。江戸時代がユートピアであったかのように評されたり、反対に女性が虐げられていた時代であったと強調されたりといった極端な議論が近年も見られる。そこで女性が江戸時代に果たした役割や、女性が時代を担って改革した力について第一線の研究者が実証研究に基づき考察を加えつつ、近世の通史としても読める形でわかりやすく講義を展開する。全く新しい形の入門書。
  • 空海の思想
    3.3
    7世紀に勃興したイスラームの東進に抗してインド仏教は大きく変化する。マントラ(真言)を中心に据え、それを唱える身体的修行によって精神の在り様の根本的転換を図ろうとする新しい仏教が姿を現す。それは「密教」と呼ばれ、7世紀中頃から8世紀初めに中国に伝播する。その仏教の激動期に空海は生まれ、新しい教えを求めて入唐する。そこで空海は何を得たのだろうか。空海が遺した言葉に向き合うことによって、中世的「弘法大師」信仰を解体し、空海の言葉に込められた「いのちの思想」に迫る。
  • 現代語訳 般若心経
    3.9
    人はどうしたら苦しみから自由になれるのだろうか。私たちは、生まれ落ち成長するにしたがって、世界を言語によって認識し、概念を動員して理解する。それは、社会で生きる以上不可欠なものかもしれないが、いっぽうで迷いや苦しみの根源でもある。『般若心経』には、そうした合理的知性を超えた、もうひとつの「知」が凝縮されている。大いなる全体性のなかに溶け込んだ「いのち」のよろこびを取り戻すための現代語訳決定版。
  • 習近平の中国経済 ──富強と効率と公正のトリレンマ
    -
    改革開放の開始から四〇年。いま中国経済は重大な転機を迎えている。アメリカとの貿易戦争と成長の鈍化。習近平や李克強の指導する現政権下では、富強と効率と公正という三つの原理のトリレンマにより、改革が踏み惑っている。今後、中国はさらに飛躍を遂げ、国民統合と社会の安定が進むのか、それとも各種の社会経済的矛盾が激化して社会の混乱や政情不安をもたらすのか。長年にわたって中国経済を見つめてきた著者が、矛盾に満ちた経済発展史と今後進むべき道筋を解説する。
  • 世界哲学史1 ──古代I 知恵から愛知へ
    4.3
    古代から現代まで世界哲学史を一望に収める八巻シリーズ。第一巻では、哲学が成立した古代の最初期を扱い「知恵から愛知へ」という副題のもと、人類が文明の始まりにおいて世界と魂をどう考えたのかを探究する。文明が発生した古代オリエントに始まり、旧約聖書とユダヤ教の世界、ヤスパースが「枢軸の時代」と呼んだ古代の中国とインドとギリシアで思想が展開された紀元前二世紀までに見ていき、最後にギリシアとインドの接点を探る。新しい哲学の可能性を広げる旅へと読者を誘う。
  • 前衛仏教論 ――〈いのち〉の宗教への復活
    -
    仏教といえば、「葬式」「法事」「お墓」など、死者のイメージがつきまとう。あるいは意味不明のお経、丸もうけする坊主…およそ普通の日常とは縁がなさそうだ。しかし、仏教は本来、宇宙に遍満するあらゆる〈いのち〉を慈しむ。私たちを生き難くするあらゆる束縛から解き放ち、のびのびと今を楽しむ自由な自分を取り戻す道であるのだ。本書は、二十年の長きにわたり仏道修行を積んだ後、海外で比較宗教学を修めた破天荒な宗教学者が、閉塞した日本仏教への大胆な提言を交え、その思想としてのおおらかさを再発見する試み。
  • デジタル時代の著作権
    4.3
    近年における社会のデジタル化の進展はめざましいものがある。ソーシャルメディアの普及、多様な電子端末の登場、電子書籍への移行…。こうした急激な変化の前に、創作者の権利、すなわち著作権のあり方も再考を迫られている。著作物の複製・改変・送信が一般化し、アナログ時代の法体系では対応しきれない状況にあるのだ。著作権をめぐり、今何が変わり、何が問題となっているのか。われわれはどんな点を心得ておかなければならないのか。基本的な仕組みから明快に説き起こす。
  • 日中対立 ─―習近平の中国をよむ
    4.0
    転機は二〇一〇年だった。この年、中国は「東アジア共同体」構想を放棄し、「中華文明の復興」を掲げて大国主義へと突き進みはじめる。領土問題で周辺国との衝突をためらわず、とりわけ尖閣諸島をめぐって日本との対立が先鋭化した。変化の背景には、共産党内部での権力闘争があった。熾烈な競争を勝ち抜き、権力を掌握したのは習近平。G2時代が現実味を増すなかで、新体制の共産党指導部は何を考えるのか?権力構造を細密に分析し、大きな変節点を迎える日中関係を大胆に読み解く。内部資料などをもとに、中国の動向を正確に見究める分析レポート。
  • 報道弾圧 ――言論の自由に命を賭けた記者たち
    4.0
    世界各国で、報道活動への締め付けがあからさまになっている。政権に不利益な報道を行うメディアへの発行停止処分や閉鎖、記者の逮捕・拘束は珍しくなく、2022年中に殺害された記者らの数は、世界で67名に上った。この現実に対し、メディアはさまざまな方法で権力と渡り合っている。ウクライナ侵攻前後のロシアで、新型コロナ流行下の中国で、軍政のミャンマーで、内戦に苦しむ中東の国々で――。世界中で繰り広げられる言論の自由を目指す戦いから、報道の力を捉え直す。
  • ホスピス ――いのちと癒しの倫理学
    2.7
    患者本人と周りの者に、より人間的なふれあいがあれば、おだやかな心で死を迎えられる。残された最期の充実した日々には「生きがい」と「死にがい」も感じられる。そういう「有終の死」を可能にする「生命倫理」とは何か。国内外のホスピス活動の動向を精力的に探りながら、いのちと癒しに関わる今日的な問題を考える。

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