よみもの - 文学の扉作品一覧

  • あした、また学校で
    4.6
    月曜の朝、小六の一将(かずまさ)に声をかけたのは、幼なじみの咲良(さくら)でした。「一将の弟、荻野先生に怒られて泣いてたよ」。運動が苦手な弟の将人(まさと)は、「できない子は朝練に来て」と先生に言われたのに練習に行かず、しかられたのです。でも、将人にとって、数ある運動のなかで、大縄飛びは「できる」に入ります。将人は怒られなくてはならなかったのか、そもそも大会に勝つことが、そんなに大事なのだろうか……。一将のもやもやを咲良が大問題に発展させていくうちに、一将も咲良も、そして代表委員会メンバーの五年生も六年生も、ひとつのクエッションに突き当たることになりました。「学校は、だれのものか?」。小学校高学年の彼らは、この答えにたどり着くことができるのでしょうか。【対象:小学上級以上】イラスト:稲葉朋子
  • あしたも、さんかく 毎日が落語日和
    4.0
    令丈ヒロ子氏、絶賛! 小5の3学期、クラスを仕切りたがる圭介は、幼なじみの春香に「おせっかい」とツッコまれ、「空気の読めない奴」と浮いてしまった。そこに失踪したじいちゃんが現れた。50歳で仕事を辞めて落語家に弟子入りし、酒でしくじり破門されたじいちゃんは、昔、取り上げた圭介の貯金を、アマチュア落語コンクールの賞金で返すと言い出した。半信半疑の圭介は、じいちゃんの話芸に、どんどん引き込まれ……。
  • かがやき子ども病院トレジャーハンター
    4.5
    坪田譲治文学賞作家の書き下ろし最新作。 簡単には治らない病気のため、長期間の入院をする子どもたちが学ぶ「院内学級」。国立かがやき子ども病院に入院中の一健(いっけん)や昴(すばる)、早弓(さゆみ)や日彩(ひいろ)たちは、同じく入院中の良志(りょうじ)が自分で考えたお話を聞くのを楽しみにしている。 談話室で良志は、「竹やぶに入ったおじいさんが……」と語り始めたものだから、聞いているみんなは、てっきり、『かぐや姫』なのかと思ったのだが、何かをしでかしたために月の国から追放された王女が、月に帰るために地上で罪をつぐなうという物語だった。王女は熱をうばわれた冷たい手で火事を消したり、病人の熱を吸い取ったり……。オリジナルの冒険ストーリーに興奮して、「さあ、王女は月に帰れるのか?」と、みんなが盛り上がったところで良志は疲れて寝てしまい、結末はわからずじまい。 とっても続きが気になるところだが、林田先生は、この王女がどうなったのか、それぞれ考えてきなさいと道徳の宿題にしてしまった。 でも、良志は、このお話をノートに書きとめていた。それさえゲットすれば、気になる話の続きもわかるうえに、宿題までできてしまう! 病院のだれかが、どこかにかくしてしまったノートを探すため、一健たちはお医者さんや看護師さんたちの目をかいくぐって、宝探しの大作戦を決行することにした!
  • ぐるぐるの図書室
    3.8
    舞台は十々年小学校の図書室。もやもやっとした気持ちの小学5年生たちが、貼り紙に誘われて図書室に入ってみると、不思議な司書から、不思議な本と出会うきっかけを渡され、それぞれのラビリンスに迷い込んでしまう――。児童文学界のトップランナー5人(工藤純子、廣嶋玲子、濱野京子、菅野雪虫、まはら三桃)が、ひとつのテーマ「図書室」をめぐって競作したリレー小説が完成。巻末には、5人によるスペシャル座談会を掲載!
  • サイコーの通知表
    4.1
    1年生のときからずーっと通知表に「できる」とだけ書かれてフツーなことにコンプレックスを感じている朝陽(あさひ)も、「よくできる」がいっぱいの優等生の叶希(とき)も、体育以外は「もうすこし」ばっかりの大河(たいが)も、みーんな心の中では思っている。 「通知表なんて、ただの紙切れじゃん。あんなので、ぼくらの何がわかるの?」 「通知表があるから、よけいにやる気がなくなるんだ」 「あたしだって、通知表なんて、いらない!」 たしかに、そうだ。思えば通知表って何であるんだろ? あれを見たって、どこをどう直せば成績が上がるのかなんてわからないじゃないか! そういえば朝陽のお父さんが言っていた。会社では、部下が上司の成績をつけることがあるんだって。 「ねえ、先生の通知表をつけようよ」 朝陽の一言から、クラス一丸となって担任のハシケン先生の通知表作りが始まった。でも、人に成績をつけるって、こんなに難しいことだったのか!?
  • 3人のパパとぼくたちの夏
    3.9
    ぼくは亀谷めぐる。小学6年生。おとうさんと二人暮らしだから、料理もそうじも洗濯もよくできる。ほとんど「シュフ」だ。でも、おとうさんがあまりにも家事をやらなすぎて、もうげんかい! 夏休みがはじまったので、ぼくは家出することにきめた。家出した先で出会った、さな・ひなという小さな女の子たち。その家に行くと、なぜかパパが二人もいて……。 まるで主婦のような小6男子、めぐるの夏休みの家出を描く。シングルファーザーの家庭が3組も登場する、ユニークな新作童話 (あらすじ) ぼくは亀谷めぐる。小学6年生。おとうさんと二人暮らしだから、料理もそうじも洗濯もよくできる。ほとんど「シュフ」だ。 でも、おとうさんがあまりにも家事をやらなすぎて、もうげんかい! 夏休みがはじまったので、ぼくは家出することにきめた。 家出した先で出会った、さな・ひなという小さな女の子たち。その家に行くと、なぜかパパが二人もいて……。 ※小学5年生以上の漢字にルビ付
  • シャンシャン、夏だより
    4.3
    「この町で、いままでにクマゼミの声をきいたことってある?」 両親から農家のあとをついでくれることを期待されている野歩人(のぶと)は、転校してきてからだれにも心を開かず、まわりから距離を置かれている川村ちとせが、クマゼミをつかまえようとしているところに出くわした。ちとせは、この町にはクマゼミがほとんどおらず、とてもめずらしかったのに逃がしてしまったと、野歩人に怒りをぶつける。 この町にクマゼミがいることを証明できれば自由研究で市長賞を取れるのではないかと考えた野歩人と親友のカモッチは、協力してクマゼミさがしに奔走するが――。 田園風景の残る千葉の町を舞台に、丹念に生き物を観察する小学生たちと、彼らの揺れ動く心情を描いた、12歳のひと夏のものがたり。 第23回ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品。 [選考委員:斉藤洋氏、富安陽子氏] 物語がはじまった瞬間、読者はこの少女の魅力にとりつかれてしまうか、あるいは、この少女に対する嫌悪感で本を閉じるかもしれない。――斉藤洋 輝かしい子どもらの夏を瑞々しく描く作品の基盤には、土を耕し自然と向き合って生きる農家の人々の営みに対する愛情と信頼が感じられました。――富安陽子
  • ジェリーフィッシュ・ノート
    3.3
    12歳のスージーは、夏休みに親友のフラニーが海で溺れて死んだことを知る。大人たちは仕方ないというが、5歳から特別仲の良かったスージーは納得できず、原因を突き止めようとする。実は、夏休み直前、フラニーとケンカ別れしたままだった。突然、彼女はいなくなってしまい、本当の思いを伝える機会が永遠に失われてしまったのだ。新学期が始まると、いじめられっ子で孤独なスージーは、ついに言葉を発せなくなってしまう……。
  • じりじりの移動図書館
    4.0
    【対象:小学上級以上】 児童文学のトップランナー5人による夢の競作、みたび! このたびの物語で、あなたの前に、とつぜん現れるのは、移動図書館「ミネルヴァ号」でございます。ひげをはやしていて、ピシッとスーツを着こなしているおじいさんが館長、そして金ボタンの黒い制服に身を包み、長い黒髪がよく似合う若い女性が運転手。もちろんドアの向こうの車内には、さまざまな本がぎっしり詰まっています。でも、もしも、あなたが本に夢中になって、本の世界にひきこまれているうちに、車が出発してしまったら……! 気がついたときに、あなたが立っているのは、過去の世界? まだ見ぬ未来? それともいま暮らしているのとは別の世界かもしれないのです――。 『ぐるぐるの図書室』『ぎりぎりの本屋さん』を描いた児童文学作家5人が、それぞれの作品に不思議なブックカーを登場させ、本にまつわる5色の物語をつむぎます。
  • 水平線のかなたに 真珠湾とヒロシマ
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「映像を見ていたわたしは、あっ、とおどろきました。たちこめる霧のむこう、水平線のかなたに見えるのは――戦艦アリゾナだったのです」 ロイス・ローリーが、自身の映ったホームビデオをよく見ると、 真珠湾攻撃で撃沈されることになるその艦が、映り込んでいました。 真珠湾と広島の人々の生きざまを描写し、その時何があったのかをわたしたちに突きつける、41の詩。 ニューベリー賞を2回受賞した著者が、日本にも住んだことのある自らの経験を織り交ぜながら、 敵味方なく戦時下で実際に生きた人に想いをはせ、つむいだことばの数々。 「人間のつながり」をテーマに長年書き続けてきた、稀代のストーリーテラーが、 初めて詩のかたちで、若い世代へ「互いを大切にできるかどうかが、我々の未来を決定づける」というメッセージを伝えます。 小学3年生以上の漢字にルビがついており、やさしく読める内容です。 かざらないことばで「人」に焦点をあてて、見えてくる戦争について、子どもも大人も一緒に考えてみませんか。 ぜひ今、読んでいただきたい1冊です。 (ニューベリー賞:アメリカで出版された児童文学作品の中で、もっとも優れた作品の著者に送られ、児童文学賞の中でいちばん長い歴史を持つ賞) ●著者紹介 ロイス・ローリー 1937年ハワイ生まれの児童文学作家。アメリカ陸軍の歯科医だった父について各地を転々とし、1948年からの2年間、11才から13才までを日本で過ごした。現在はメイン州在住。1990年に『ふたりの星(Number the Stars)』(童話館出版)、1994年に『ギヴァー 記憶を注ぐ者(The Giver)』(新評論)で、ニューベリー賞を二度受賞する。「ギヴァー」は大人気シリーズとなり、世界累計1200万部を超える。他にも『モリーのアルバム (A Summer to Die)』『Windeby Puzzle』など多数。 ケナード・パーク アートディレクター、画家。ドリームワークスやウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ等で仕事をし、多くの児童書を執筆する。『Goodbye Autumn, Hello Winter』でゴールデン・カイト賞を受賞。 田中奈津子 翻訳家。東京都生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『わたしのアメリカンドリーム』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』『橋の上の子どもたち』(以上、講談社)など。
  • セカイを科学せよ!
    4.2
    灘中学校入試問題にも使われた、日本児童文学者協会賞受賞作『むこう岸』の安田夏菜、書き下ろし最新作! 藤堂ミハイル――堤中学二年。父は日本人、母はロシア人。髪は栗色、瞳は茶系でくっきりとした二重まぶた。そば屋でそばなんか食ってると、「まあっ、日本人みたいにおはし使ってる」と知らないおばさんに騒がれたりする。 山口アビゲイル葉奈――転校生。ルーツはアメリカと日本。モコモコとふくらんだカーリーヘア。肌の色は、ちょっとミルクの入ったコーヒー色。縦にも横にも大きい。日本生まれの日本育ちで、日本語しか話せない。好きなことは……。 すべてが規格外の転校生は、オタク的に「蟲」が大・大・大好き! カミキリムシ、カナヘビ、ワラジムシ、ハエトリグモ……!! 教室のあちこちから上がる悲鳴!!! クラスは騒然!!!! ミハイルと葉奈、そして科学部の面々は、生物班の活動存続をかけ、学校に「科学的な取り組みの成果」を示さなければならないことになってしまった。ミックスルーツの中学生が繰り広げる、とってもコメディでバイオロジカルな日々をご覧ください!
  • だれもみえない教室で
    4.2
    人の心の中は見えないもの、 そして伝わらないもの しっかりと伝えるためには 「言葉」にすることが大切! 「心」よりも「行動」が大切! (元・麹町中学校校長、現・横浜創英中学・高等学校校長  工藤 勇一氏) 『となりの火星人』『あした、また学校で』『サイコーの通知表』と、小学生の生きづらい現実に寄り添った話題作を放った工藤純子氏の書きおろし最新作。 「よくあるよね。大人に無理やりあやまらされたり、握手させられたり。本人同士は納得していないのに」 「なんで、そんなことになるんだろう」 「まあ、問題を大きくしたくないとか、さっさと終わらせたいとか……大人の都合もあるよね」 オレたちの気持ちは、いつもどこかに置き去りにされたままだ。(本文より) 小6のクラスで起きた、ランドセルに金魚のエサを入れるといういじめ。被害を受けた子も、エサを入れた子たちも、いじめが起きている空気を感じつつ声をあげられなかったクラスメートも、そして、過去に加害者としていじめに荷担した担任の教師だって、いじめという「現実」からはけっして逃れられない――。痛烈なメッセージが込められた一冊です。 カバー装画は、ミニチュア写真家・見立て作家としてNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックや、一般文芸作品の装画で活躍中の田中達也氏が担当します。
  • とうちゃんとユーレイババちゃん
    -
    ぼくは六年生。「とうちゃん」とお母さんと三人暮らし。でももう一人、なぜかぼくにしか見えない、ユーレイのババちゃんもいっしょだ。ぼくが四年生だった冬の朝、ババちゃんはベッドの中で冷たくなっていた。そしてその日から、ババちゃんはユーレイになったのだ--。複雑な家庭環境にある小6の男の子をとりまく、ちょっと不思議で、ちょっとせつない日々が、ユーモアいっぱいに描かれます。小学校高学年から楽しく読める一冊。
  • となりの火星人
    4.2
    【対象:小学校高学年以上】他人とのコミュニケーションが不得手なかえで。勉強はできないけれど、自然とまわりに人を集めてしまう湊。湊のせいで私立中学の受験に失敗したと思いこんでいる兄の聡。自分の中に「化けもの」が住んでいるからキレやすいんだと思っている和樹。マイナスの感情が心を占めると息ができなくなって叫び声をあげてしまう美咲。みんな、「困った子」なんかじゃない。「困っている子ども」なんだ。
  • 2分の1成人式
    3.6
    「2分の1成人式」は、成人の半分の年齢である10歳を迎えたことを記念するもので、近年では学校行事としてすっかり定着しています。この本は、「2分の1成人式」を題材にした初めての子ども向け小説です。小学4年生の女の子・ユメが、2分の1成人式をきっかけに、友達といっしょに悩みながらも、自分の将来のことなどを初めて考えるようすを軽やかに描きます。
  • 人魚姫の町
    4.7
    その町では、海から帰ってくる者がいるという──。 東日本大震災から九年。当時岩手に住む小学生だった宏太は、父とともに静岡に避難し、親戚のもとに身を寄せた。 「故郷を捨ててきた」。その思いにさいなまれながらも、宏太は父の死をきっかけに故郷を訪れ、かつて家族同然だった老婆・砂婆に「楓を助けてやってくれ」と頼まれる。 謎の男に追われる幼い少女・楓は何かを探しているようだが……。 劇場アニメ映画化された『岬のマヨイガ』のアンサー作品! 岩手県出身、盛岡市在住の児童書の大家が「東日本大震災」で遺された者を描く。 何が人を故郷に惹きつけるのか? 人の生きる意味に迫る、少し不思議な町のお話。
  • ねこじゃらしの野原
    3.5
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 谷あいの町のとうふ屋さんには、さまざまなお客がやってきます。すずめ、ねずみ、きつね、木の精、そしてもっとふしぎなものまでも……。とうふ屋さん一家をめぐる、美しい6つのファンタジー。 いまなお多くの読者に愛されつづけるファンタジーの名手・安房直子の珠玉の作品。 日本図書館協会選定図書/全国学校図書館協議会選定図書 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 橋の上の子どもたち
    4.3
    父親の暴力、それを受けいれる母。そんな家族からから逃れるために、障害を持つ姉とともに家を出た11歳の少女・ヴィジ。ホームレスとして生きのびるため、知恵と友情で道を開いていく。インドを舞台とした喪失と再生の美しさと力強さに、心を揺さぶられずにはいられない。 WNDB(書籍の多様性を求める会)による2020 The Walter Award (青少年部門)受賞! ●著者紹介 パドマ・ヴェンカトラマン インド、チェンナイ生まれ。若い時からCWC(The Concerned for Working Children)というNPO組織にかかわり、恵まれない子どもたちのために活動している。CWCは2012年、2013年、2014年にノーベル平和賞にノミネートされている。 19歳でアメリカへ渡り大学で海洋学を専攻。作家としてはYA作品を4冊出版しており、そのうち”Climbing the Stairs”(『図書室からはじまる愛』白水社刊)は2009年全米図書館協会「ヤングアダルトのためのベストブックス」に選出されている。
  • はっけよい! 雷電
    4.0
    小学6年生の主人公・吉田太郎は、ひょんなことから江戸時代の相撲場にタイムスリップしてしまいました。そこで出会った名大関・雷電とともに、ハラハラドキドキの楽しい日々が続くのですが、現代に戻らないわけにはいきません。いよいよ千秋楽。太郎は雷電と相談して、対戦相手を体の上に投げてもらい、気を失って東京に戻るという作戦を立てたのですが……。
  • ピアノをきかせて
    3.7
    講談社児童文学新人賞佳作デビューの著者の受賞後第1作。小学5年生の響音は、中1の姉・千弦の弾くピアノの音色が、楽しく聞こえなくなってしまったことが、気がかりでならない。ピアノコンクールでもよい成績を上げることができず、そのことが原因で、家族4人の関係もぎこちなくなっていくだが……。音楽のすばらしさ、家族や友情のたいせつさを伝える本作は、小学上級以上の子どもたちにぜひ読んでほしい。
  • フレンドシップ ウォー こわれたボタンと友情のゆくえ
    3.8
    ボタンがきっかけで始まった、親友とのバトル。廃工場で見つけた無数のボタンをつかって、主人公グレースは学校中を巻きこんだ大ブームを作ります。でも2年生の時から親友だったはずのエリーと、思わぬことから、戦争が始まってしまいます。ボタンをめぐる頭脳の戦いは、どちらに軍配があがるのでしょうか?そして、友情のゆくえは?エドガー賞、フェニックス賞受賞者で、『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』等人気作品を書いたアンドリュークレメンツの、楽しい最新作。
  • ブルーとオレンジ
    3.8
    小五の"ぼく"はクラス内の上下関係を敏感に感じつつ、平穏にやりすごすことのみ心がけて日々嘲りのようないじめに耐えていた。ある日、サッカーの試合中に監督が言った、自分の武器という言葉が頭に残り、"ぼく"は見事にカースト下克上に成功するが……。一方、同じクラスの"うち"は女子の力関係の中を無難に過ごしていたが、ある女の子へのいじめを見過ごせず、やはり同じ監督の言葉を聞き、自分にできることは何か考える。
  • 文通小説
    3.8
    「あたし、もうすぐ引っ越すんだ」三月二十四日。二年生として登校した最後の日、通知表を受け取って帰っていた道の途中で、貴緒が言いだした。たいしたことじゃないけどいちおう話しとくね、くらいの、いつもとまったく変わらない調子で。--中略ーー 「文通……」わたしはばかみたいにくり返した。意味はもちろん知ってるし、なんなら現在進行形で、クラスメイトや他クラスの子としょっちゅう手紙を交換している。便箋の凝った折り方だって五種類くらい手が覚えている。ハートやうさぎ、シャツの形に折ったものを渡すと、貴緒はとくに喜んでくれたから。だけど、この先はそうじゃない。学校で手渡しするのは不可能になるんだ。始まるのは、ほんとうの〈文通〉。貴緒が遠くへ行ってしまうことの現実感が、その単語ひとつにぎゅっと詰まっていた。(本文より) 眞島めいり『みつきの雪』が入試に出題された中学・高校 (*2022年12月20日現在) ■令和3(2021)年度 関西大倉中学校 甲陽学院中学校 追手門学院中学校 実践女子学園中学校 田園調布学園中等部 聖ヨゼフ学園中学校 学習院中等科 吉祥女子中学校 大阪府立東住吉高等学校芸能文化科 佼成学園中学校 ■令和4(2022)年度 新潟大学附属新潟中学校 清風中学校 静岡県西遠女子学園中学校 目黒星美学園中学校 関東学院中学校 以上、計15校 目次 1 文通しようよ  2 平さんと能勢さん 3 会いたい 4 雨の街で 5 花の名前は 6 大学図書館 7 友達じゃない 8 約束 9 わたしだから 10夜中の電話
  • ベランダに手をふって
    3.5
    父親が亡くなってから、毎朝登校するときに母親と手をふり合うのが日課になっている輝(ひかる)。そんな朝の「決まり」を同級生に見られからかわれる原因になる。輝は、そろそろ手をふり合うのを卒業したいという想いと母親を傷つけたくないという想いのはざまで葛藤する。時を同じくして、輝は、同じく父親を事故で亡くした同級生の田村香帆(たむらかほ)とよく話すようになる。香帆は母親と二人で再出発するために、運動会で行われる保護者との二人三脚競争に強い想いをかけていたが……。 第22回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一の各氏) 日常的な、そして、おとなになってからは、それをいつやめたか覚えていないような習慣、それを象徴的にとらえた、少年の半年間の成長記。こんなにじょうずに日常を描ける新人作家がいるだろうか。──斉藤 洋 この年頃の子ども達ならではの微妙な心の動きや振舞がとても自然で、この作者は子どもをよく知っている人なのだなと嬉しくなります。本物の子どもを描ける人なのです。──富安陽子 全篇に漂うのは、人がたがいにいたわりあうその思い。ふとした仕草や表情の向こうに思いをはせる、そういう心のたなびきが温い。が、いつもすっと相手に届くものでもない。シャボン玉のように宙でつぶれ、どこかに消え失せもする。そういう切なさが、温みとないまぜになって描かれているところが、この作品のいちばんの魅力だ。――鷲田清一
  • ぼくたち負け組クラブ
    4.3
    本が大好きで、空想の世界に浸ってばかりのアレックは6年生。読書クラブを作ろうと思い立ちますが、誰にも邪魔されずに本を読みたいため、ヘンな名前をつけます。「負け組クラブ」とすれば、みんな入りたくなくなると考えたのです。しかし、どんどん仲間が増えてきてしまい、アレックの心にも変化が起きはじめます。知っている書名もたくさん出てきて、仲間とのわくわくする物語を楽しめます。
  • ぼくと母さんのキャラバン
    4.0
    ジブリの劇場版アニメ『千と千尋の神隠し』に多大な影響を与えた『霧のむこうのふしぎな町』の著者、柏葉幸子さんの新作ファンタジー! 最近、トモの母さんの様子が、どうもおかしい。いきなり髪をベリーショートにしたり、出不精なのに町のあちこちに出かけていたり、父さんやトモが話かけてもぼんやりしていたり……。 ある夜、のどがかわいたトモが冷蔵庫の牛乳を飲もうとしたら、うしろに母さんより大きなネズミが立っていた! それに、家から母さんがいなくなっている!! トモたちの暮らす八巻市(やまきし)は、どうやら巨大ネズミやクマやウサギがしゃべる不思議な世界と交差してしまったようだ。そして、母さんはこの世界のラクダのキャラバンを引いて、あるものを日吉山の展望台にとどける約束をしていたのに、ふたつの世界のどこかにまぎれこんでしまったみたい。 トモは、母さんの代わりにキャラバンを引いて、母さんをさがす旅に出ることにした。 【対象:小学上級以上】
  • ぼくらのスクープ
    4.0
    社会科見学でみた新聞記者にあこがれて、新聞係になって学級新聞を作ることにしたイダッチ。 相棒は、教室でもほとんど口をきかない変わり者の「魔王」。 スクープを追い求め、真実を新聞に載せたいと言うイダッチに、魔王は「ものの見方は人によってちがうから、真実も人によってちがうだろ」と、ぴしゃり。 ピンポンダッシュ冤罪事件、作文盗作騒動、歩きスマホでの事故……。 どれも真実を証明するのが難しい問題ばかり。 イダッチと魔王のでこぼこコンビは、最高の学級新聞を作りあげることができるのでしょうか?
  • 岬のマヨイガ
    4.1
    あの日、両親を亡くした萌花は親戚にひきとられるために、そして、ゆりえは暴力をふるう夫から逃れるために、狐崎の駅に降り立った。彼女たちの運命を変えたのは大震災、そして巨大な津波だった。命は助かったが、避難先で身元を問われて困惑するふたり。救いの手をさしのべたのは、山名キワという老婆だった。その日から、ゆりえは「結(ゆい)」として、萌花は「ひより」として、キワと女三人、不思議な共同生活が始まった――。
  • 三島由宇、当選確実!
    3.7
    小学五年生の三島由宇は、おじいちゃんのお見舞いに行ったことで、祖父が副大臣まで務めた政治家だということを知ります。衆議院の解散により、選挙運動を展開するおじいちゃんを、由宇が手伝うことに……。小学生の彼女の目を通して、選挙の仕組みや多数の意見をまとめる難しさ、そして、理想を実現するためには、誰かが代表となって働かなくてはならない、という現実を伝えます。18歳選挙権が実現した今、必読の児童書です。
  • みつきの雪
    4.3
    信州の村にすむ小学五年生の少女・満希は、都会からの山村留学生、行人と気の合う友人へとなっていく。 やがてふたりは同じ高校に進んだが、満希は地元で農家を継ぐことになり、行人は遠くの医大への進学を希望していた。 卒業式前日、中学時代にふたりで訪れた村の図書館で、行人は山村留学を選んだ理由を初めて語り始める。「第21回ちゅうでん児童文学賞」大賞受賞作品。(選考委員:斉藤洋、富安陽子、鷲田清一の各氏) ひとつひとつのエピソードが、時間のはなれた前後のエピソードと有機的につながっているからでしょう。そのつなげ方が、この作家はうまいのです。──斉藤 洋 よく磨かれた丁寧な言葉で紡がれた美しい物語でした。だから、言葉と言葉が響き合い読む人の心を震わせます。 ──富安陽子  「力のこもる指先の爪が白く変わっていく」。この表現に心底、ふるえた。─中略─ 著者のそういう筆致は、もはや児童文学という枠を突き抜けていると思う。──鷲田清一
  • 雪の日にライオンを見に行く
    3.7
    残留邦人の祖父を持つ、唯人(ゆいと)。父は中国で生まれ、日本で家族をつくったが、唯人がおさないころに帰国してしまった。 唯人は、何をするにも自信がなく、話すのも苦手。 大事なことを自分で伝えられず、いとこの洋(よう)ちゃんにくっついて任せてしまう。 洋ちゃんとクラスが離れた小学五年生の秋学期、クラスに転校生がやってくる。 クラスメイトがあれこれと話しかけても、転校生の生島梓(きじまあずさ)はそっけない返事ばかりして、クラスになじもうとしない。 唯人はそんな梓に親近感を覚えるようになる。 老人福祉施設を訪問してのクリスマス会、年末年始の家族のやりとり、年明けのなわとび大会…。 唯人は、中国残留邦人としておじいちゃんが抱えてきた悩みや家族への葛藤、梓が抱えている孤独を知っていくことになる――。 第24回ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品。 [選考委員:斉藤洋氏、富安陽子氏、山極寿一氏] いろいろな者たちの孤独が、あるところでは重なり、他のところでは、同じ言葉ではあらわせないほど遠くへだたっている。元来、孤独ということは、そういうものなのだ。――斉藤洋 多種多様な子ども達を、「そんな子がいてもいいのです」という、小学校の先生の一言が支えます。その言葉のなんと強く、温かいこと!――富安陽子 いったい自分は何者なのか。アフリカの多くの民族が入り交じった地域でゴリラの調査をしてきた私には、その葛藤がよくわかる。――山極寿一
  • 月と珊瑚
    3.7
    「わたしは、六ねんせいになったので、べんきょうをがんばります。」ひらがなだらけの作文を、クラスメートに「あなた、ほんとに六年生?」ってばかにされた。私は、「勉強をしよう」って、本当にそう思った。まず、どうすればいい。そうだ、漢字を書けるようにしよう。日記だ。日記を書こう。これはちかいだ――。勉強ができないことを恥ずかしいと感じ始めた少女・珊瑚のクラスに転校してきたのは、まるで『ベルサイユのばら』のオスカルのような、男の子か女の子かわからない月(るな)という子でした。珊瑚の日記に描かれるのは、エイサーを舞う姿がかっこよかったり、ひいおばあちゃんが辺野古に座りこみに行ったり、耳をつんざくような戦闘機の轟音で機体の種類を当ててしまったり、その逆に轟音が聞こえると耳をふさいで動けなくなってしまったりする同級生たちの姿です。珊瑚の「月と仲良くなりたいな」と思う日常を描いた、たどたどしい日記からは、沖縄の子どもたちが、いま、目にし、感じていることのすべてが浮かび上がってきます。子どもの貧困、学力の差、沖縄文化の継承、そして米軍基地問題……。沖縄に移住した作者があたためてきたテーマが、いま花開きます。新たな児童文学の可能性がここにあります。【対象:小学上級以上】
  • レイさんといた夏
    3.3
    中1の一学期を終えて転校した莉緒は、"汚部屋"にこもりっきり。新たな人間関係に恐怖すら覚える莉緒にとって、うんざりの夏休みだった。そんな莉緒の前に現れた、どこから見てもヤンキー姿の少女の幽霊。成仏できていない彼女は、「生前、誰かとふれ合ったときのエピソード」をヒントに、自分が何者だったのかを知ろうとする。ヒッキーとヤンキー、通い合い始めたふたりの心。少女たちは、むき出しの自分の心に触れた――。
  • わたしのアメリカンドリーム
    4.0
    ミアには秘密があるー―。 移民としてアメリカで厳しい生活をしている、5年生のミアとその家族。 一家は住み込みで、モーテルの管理人をすることになりました。 しかしオーナーがとてもいじわるで、モーテルでは毎日おどろくような事件がたくさんおきます。 ミアはモーテルのフロントデスク(受付)で知恵をしぼり、しあわせをつかもうとがんばります。 アジア系移民や黒人をめぐるリアルな姿が描かれる、新しい移民の物語です。 New York Times Best Seller List Asian / Pacific American Award for Literature New York Historical Society Children's History Book Prize Honor Book Parents' Choice Gold Medal Fiction Award Winner NPR Best Books of the Year Kirkus Reviews Best Books of the Year Publishers Weekly Best Books of the Year Washington Post Best Books of the Year Amazon Best Books of the Year School Library Journal Best Books of the Year New York Public Library Best Books of the Year Chicago Public Library Best Books of the Year Top Ten Debut Novels 2018 - ALA Booklist 他受賞多数 ケリー・ヤン 児童文学作家。中国からの移民として、カリフォルニア州で育つ。小さい頃は本の内容と同じく、モーテルで働いていたが、13歳で大学に進学し、カリフォルニア大学バークレー校とハーバード大学ロースクールを卒業する。アジアやアメリカの子どもたちに書き方やディベートを教える、ケリーヤンプロジェクトの創始者。主な作品に『Three Keys』など。 田中奈津子 翻訳家。東京外国語大学英文語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『橋の上の子どもたち』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選らばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』(以上、講談社)など。
  • わたしの空と五・七・五
    4.3
    第19回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作。中学校に入ったばかりの空良(そら)は、どの部活にも入る決心がつかない。そんなとき、下駄箱に入っていたあやしげなチラシが気になり、文芸部の部室をのぞきに行った流れで、入部することに。 見よう見まねで俳句を作るようになった空良が、吟行(ぎんこう)のために学校の敷地内を歩いていると、同じクラスの颯太(そうた)が、部活の先輩とトラブルになっているのを見てしまい……。

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