ブックライブの書店員おすすめレビュー

小説・文芸のおすすめレビュー

  • 藩主の側室との密通の罪で幽閉されている主人公・戸田秋谷(とだしゅうこく)。彼は10年という期限付きで、藩譜の編纂を命じられています。なぜ10年という期限付きなのか?10年後には、切腹することが決まっているのです。

    物語は、秋谷が家族と暮らす山村の家に編纂補助(お目付)として送り込まれた若き藩士...続きを読む

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  • 「同期」とは不思議なもの。私には十数名の同期入社がいます。助け合い、張り合ったり、時には呆れもしますが、根っこには常に信頼と感謝の気持ちがあります。友達や家族や恋人とは違う、いわば運命共同体。同時に入社しただけで、「同期」という関係は会社を出ても年をとっても変わらず、血脈のように続くのです。
    「沖...続きを読む

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  • 両親からの仕送りを頼りに東京の大学に通う主人公・時枝 修。が、ある時、両親が事業に失敗し行方不明に。仕送りも無くなり大学は除籍。住んでいたマンションも強制退去となり日雇いの危ないバイトを転々としながらネットカフェ中心の生活に陥っていきます。
    自分に弱く、そして優しすぎるがゆえに底なし沼にはまってい...続きを読む

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  • 「掏摸」という言葉は、「獏」の文字に似ているからか、まるで動物の名前のように見える。この小説は、生活のための掏摸ではなく、掏摸という行為そのものに生きる男の話だ。無意識に取り、変装資金のために取り、愛する人が死んだ悲しさで手当り次第に取る。これはいわば「掏摸」という動物ではないか。
    まず興味を惹か...続きを読む

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  • 花火大会が混雑するように、岡本太郎が「芸術は爆発だ!」と言ったように、爆発とは人を惹きつけてやまないもの。近年の綿矢りさ作品は、穏やかな日常から、突如爆発する。例えば、心優しい幼馴染が変貌する「トイレの懺悔室」(『憤死』収録)、想い人の恋人に嫉妬するあまり衝撃の行動に出る『ひらいて』など。確かに、か...続きを読む

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  • 男が本作品を読み終えた時、その感想は2つしかない。

    1.こういうオトナになりたい(30歳未満)
    2.こういうオトナになりたかった(30歳以上)

    自らのモラルのみに従い、強く生きる。
    まさにハードボイルドの王道ともいえる本作品の魅力は、やはり主人公フィリップ・マーロウのカッコよさにつき...続きを読む

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  • 新年度が始まりました。新入社員の皆様はいかがお過ごしでしょうか。たくさんの変化に、きっとまだついていけない日々でしょう。私も昨年までは新入社員で、「働く」ことにくじけそうになった日も何度かありました。けれど、諦めずに働き続けていれば何とかなるものです。お陰様で、今日も社会人2年目として元気に働いてい...続きを読む

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  • やさぐれキャラが好き、本作はそんな貴方にぜひお勧めしたいバトルファンタジー。やたらと口汚く正義のヒーローから掛け離れた性格の主人公ですが、むしろそれがいい!マンガ作品で言えば『ブラック・ラグーン』、映画なら『ダイ・ハード』などが好きな方はきっとお気に召すハズ。
    ふと気づけば大通りで銃撃、「おっ、降...続きを読む

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  • 舞台は第二次世界大戦下のドイツ。ナチや人体実験、ゲーテの「ファウスト」、北欧神話をはじめ、芸術に狂う医者の倒錯的な愛、精神不安定となった母親の幻想的な悪夢、去勢された男性ソプラノ歌手(カストラート)の美声etc…、ありとあらゆる耽美要素でお腹いっぱいの一冊だ。
    さらに本書がギュンター・フォン・フュ...続きを読む

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  • 「妖怪」じゃなくて「妖人」。
    見た目は人間と同じ。人間の亜種として近年発見され、DNA検査でしかわからない。いじめや差別が増え、警察も対応の部署を新設、妖人と人間が共存する世界。毎度妖人がらみの事件で行き詰る刑事達は、洞察力の鋭い美貌の妖人・洗足伊織(せんぞくいおり)を訪ねる…。
    本格的なミステ...続きを読む

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  • 突然ですが皆様、尊敬する偉人はいますか?私はといえば真っ先に浮かぶのが上杉鷹山!かのジョン・F・ケネディ大統領も尊敬する日本人として挙げた凄い人です。
    江戸時代、面子と体裁を何よりも重んじる武士の振る舞いが財政破綻を引き起こした米沢藩。主人公 治憲(後の鷹山)は傾いた財政を立て直すべく、改革に乗り...続きを読む

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  • マンガ家・西原理恵子が「カネ」と自らの人生について、赤裸々に語った本。
    「カネ」で家族が崩壊するという壮絶な経験をしたのち、高知から上京。貧乏生活を続けながら美大の予備校に通うも、成績は最下位…。そんな状況で「絵でお金を稼ぐ」という信念を持ち続けるのは容易ではなかったはずですが、彼女は自分のやり方...続きを読む

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  • 2007年に直木賞を受賞し、2014年6月に待望の映画化となった本作。

    大地震で家族を失くした10歳の花を、25歳の淳悟が引き取り、やがて二人は二人だけの幾つもの「秘密」を重ねていく。
    この物語は、主人公の花の結婚から、徐々に過去へと遡っていきます。
    パズルのピースをはめるように、お互いを...続きを読む

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  • 作家というのは嘘つきなものですが、皆川博子ほど上手に嘘をつく作家も珍しいのでは。
    本作の舞台は18世紀ロンドン。解剖学に命を捧げる外科医・ダニエルの前に、突如としてあらわれた2つの異様な屍体。治安判事の捜査に協力するうち、浮かび上がってきた犯人は──という、いわゆる本格ミステリ小説ですが、そこは皆...続きを読む

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  • 新宿・ハードボイルドといえばご存じ『新宿鮫』ですが、「鮫」だけでなく「狩人」もいたのです。本当に恐ろしいところです、魔都新宿。
    「狩人」の名は梶雪人。秋田からやってきた彼は一見、純朴な田舎者。物語は彼があっさりとボッタくりバーに連れられていくところからスタートします。「やめとけ!」とつい声が出そう...続きを読む

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  • これまでは自身の体験をもとに旅行記を執筆していた著者が、小説に初挑戦!
    探偵もので想像するものと言えば、殺人事件…そしてそれを解決する超頭脳派で、かっこいい主人公たち。この作品はそんなイメージを吹き飛ばす、軽快コメディタッチの新感覚探偵小説。
    主人公は、愚痴る時だけは口が達者な25歳の無職のニー...続きを読む

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  • 「好きな小説は?」と聞かれたら真っ先に思い浮かぶのが、この本。初めて読んだのは10年以上も前なのに、何度読み返しても引き込まれてしまいます。
    高校生のマオと、やがて遠い地へ旅立ってしまうハチ。おばあちゃんの予言通り、やっと出会えたのに、別れの日は刻々と近づいて…お互いを好きなまま、もう一生会えなく...続きを読む

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  • 寝る前に読んではならない本といえば、続きが気になるミステリー、背筋の凍るホラーが定番だろう。しかし、美味しそうな食べ物がたくさん出てくる本も要注意!私は夜中に『あまからカルテット』を読み始め、冒頭の「お揚げから美味しいおつゆがジュワッ」というお稲荷さんの描写があまりにも美味しそうで、空腹の胃を抱えて...続きを読む

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  • 当時、私は都内某所のビル18階におりました。大きく長い揺れ、徒歩で数時間かけて帰宅したこと、実家や友達となかなか連絡が取れなかったこと、その後、流通マヒにより業務が大混乱になったこと…冒頭のシーンで記憶が蘇ります。きっと一生忘れられないでしょう。
    この作品は、現地の有力新聞「河北新報」が百年以上続...続きを読む

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  • 良いですよーコレ! と、何はともあれ、まずオススメの言葉をお送りします!
    少女と騎士の話から始まる儚くも美しい幻想譚。全3巻+外伝という構成ですが、本当に読んで良かったと感じる作品でした。複数の視点で構成されるストーリーは、それぞれの登場人物が歩んだ夢と想いを描きつつ、最終章へ収束していくこととな...続きを読む

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