【感想・ネタバレ】兵諫のレビュー

あらすじ

著者代表作にして大ベストセラー『蒼穹の昴』シリーズ第6部。1936年、蒋介石を張学良が拉致した西安事件の胸熱くする真相とは。

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Posted by ブクログ

長い長いシリーズの終焉なのか。素晴らしいシリーズであり、中国と日本、満州という大地を反省する機会をもらった。戦争・紛争が戦後において最も危機的になっているいまだからこそ、さらに読み返したい。浅田次郎の記念碑的大作である。浅田の語り、余人には描けない宝玉だと思う。

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2025年01月25日

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ずっと読み繋いでいる蒼穹の昴シリーズの第六作。前回から間が空いてしまったので、作中で触れられる前作以前の登場人物やエピソードを思い出しながら読みすすめた。
語られていたことは、少し難しかった。ただ、以前に作者がどこかで書かれていた「歴史に成功と失敗はあっても、善悪はない。」との姿勢は貫かれていたように思う。それぞれが、置かれた時代の中で、考え抜き、自らの信義に従って生ききったのだろうことは、心の真ん中にまっすぐ伝わってきた。
それにしても、浅田次郎さんの紡ぐ文そのものの、なんと心地よいこと。この芳醇な世界に浸る時間に、純粋に心が悦んでいた。次回作が待ち遠しい。

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2024年02月27日

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ネタバレ


筋書きのために。すなわち尊敬する魂のために。正義と良識を持って見届けよ。何を生きる柱とするのか、何を大切に思うのか、目の前の人は何を考えているのか思慮しなさいという話でした。

蒼穹の昴シリーズ、2023年9月現在の最新刊までとうとう辿り着きました。辿り着いて本当に良かったです。こんなにすいすい読めた長編シリーズは初めてかもしれません。まあタイトル通りヘビーな内容なのですが。

二・二六事件から影響を受けた張学良が蒋介石に国共合作と抗日戦線を迫った西安事件が中心となる今作。東北を追われた東北軍の、張作霖が育てた最後の魂が終わる軍事法廷ミステリーでした。

今作を含めて15巻の長編を読んできたからこそ、重苦しい軍事法廷でありながらその意図、その根底に隠されている仁義だったり信念だったりするものの、人の血の通った体温を感じ取れるような、そうしたお話でした。

ええ。うまく感想がまとまっていないのはシリーズの中でも屈指の推しキャラ陳一豆大佐が死刑に処されたからです。剪髪のあだ名を持つ彼は、張学良の罪を被って銃殺刑に処されました。蒋介石を殺そうとしてまでも国共合作と対日抗戦を始めようとした張学良を庇い、西安事件の主犯は自分だと嘘をつきました。そしてその嘘の証言が真実とされ、文字通り命を張って今度こそ張学良を守りました。
張作霖も宋教仁も革命家たちも守れなかった剪髪が、いよいよ張学良を命懸けで守り、馬賊としての誇りのもとに死んでいったことを私は馬鹿にすることができません。彼が成し遂げたこそ兵諌だったのです。
ニューヨークタイムズの記者であるジムは当初その剪髪の行動論理を理解できませんでしたが、大先輩にあたるトム・バートンの魂に諭されて理解します。この行動指針と論理を解明するときの浅田先生の文体の見事なこと。思えば宋教仁を守ろうとして守れず亡くなったトムと護衛の役目を果たせず生き延びた剪髪の魂が交錯した日だったのかもしれません。
こんなに読みやすい小説家に出会えて幸せ者だなと思いました。
まあ軍事法廷に剪髪が立った時は全てを察して「浅田先生の鬼」と思いましたがね。勿論褒め言葉です。

龍玉の物語もいよいよ一つの到達点に辿りつきそうです。天命には具体がある。そのこと自体が果たしてどんな意味を持つのか。次の巻が待ち遠しくてなりません。一刻も早く続きが読みたいです。
ぶっちぎりで面白かったです。どうか早くこの巻まで一人でも多くの読者がたどり着けますように。





そうか……剪髪は馬賊として死にたかったか……総攬把の最後の子分として死にたかった……剪髪に生きて欲しかったと心から思うけれどその気持ちが間違っているとも下卑ているとも私は言えない……馬賊の剪髪の一生だったよ……

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2023年09月01日

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ネタバレ

蒼穹の昴シリーズも15冊目になり、ここまで長い長い物語が連なっていることに、感嘆する。

二.二六事件首謀者との面談は「戒厳令下は戦地と同じ。弁護人なし、非公開、上告なしという暗黒裁判が可能。到底法治国家とは思えぬ」の異様さが際立つ。

2023年現在、憲法改正で検討されている緊急事態条項の創設は、この二.二六事件の戒厳令のような権力集中も起きかねないと思ってしまう(なので緊急事態条項は反対)。

龍玉をめぐる蒋介石への張学良の判断、兵諌。いよいよ現代に近い舞台が描かれようとしていて、次作も待ち遠しい。

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2023年03月26日

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(兵諌とは兵を挙げてでも主君を諌めること)
主人公「陳一豆」は張学良の専属理髪師であり最大の理解者ボディガード諫言者である。陳一豆 彼は歴史の表舞台には出てこない。だが、歴史はこのような無名の勇者によって支えられている。一人一人は、一つの歯車かもしれないが、その歯車がなければ社会という機械は動かない

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2021年09月30日

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ネタバレ

日本人とはもちろん違う国民性を持つ中国の人々。
『蒼穹の昴』『中原の虹』『天子蒙塵』ずっと読み続けてきて良かった。
日本とかの国の歴史的背景等は詳しくは分からないけれどまた大きな波に攫われ感動に揺すぶられている。
一気読み。

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2021年09月04日

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天使蒙塵も西太后も作者は違うが毛沢東の私生活も中原の虹も、蒼穹の昴も珍妃の井戸、他に潜行三千里も読んだ。そして今回本書に出会った。1936年、日本では二二六事件がその時中国では何があったのか、懐かしい人物が続々登場、緊張感のある話だった。

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2021年08月07日

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読み応え十分。
登場人物が増え、なかなか理解が追い付かなくなってきたが、古い馴染みの登場人物たちが諸所で活躍し安心する。

どういう終焉に持っていかれるのだろう。

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2021年08月03日

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待望のシリーズ最新作。今回は、間奏的な単巻の番。だからと言って物足りないなんてことは決してなく、いつも通り、読み応え十分な力作に仕上がっています。交通網や交通手段の発達で、世界が広がっていた当時を反映してか、登場人物やその背景となる国も拡大の一方で、理解が追い付かなくなりそうだけど、そのあたりは、情勢を反映してってこともあろうし、頑張ってついていくしかないですわな。次回作も楽しみに待ってます!

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2021年07月30日

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蒼穹の昴シリーズ第六部。1936年に日本と中国で起きた二つの事件、二・二六事件と西安事件。法廷での証言などをもとに、日米ジャーナリストの視点で事件の真相を読み解く。またしても、今まで歴史をちゃんと学んでなかったことを痛感した。
蒼穹の昴から50年ほど経った時代。だいぶ世代が入れ替わっているが、過去の登場人物との繋がりがある分、読者としては思い入れが強くなる。続きが読みたい。

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2024年02月19日

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昨年から読み始めたシリーズも、ついに最新作に到達。
この時代には詳しくないのだが、いわゆる「通説」とは全然違う所が興味深い。もっとこの時代に関連する本を読んでみようと思った。

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2024年01月06日

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裁判で語られる張学良、本人が登場するわけではないのに、そこにいるかのような臨場感。凄い書き手だなあと思う。
龍玉をめぐる張学良の物語はいつまで続くのか?

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2022年08月14日

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歴史とは事実の積み重ねだと思う。起こったこと・あったことは変えられない。後世でできることは、「事実」の背景や、他の「事実」とのつながりを探り、検証し、「何故そうなったか」を理解して、もしそれが負の歴史であるならば、同じ愚を犯さないように活かしていくということなのかなと思う。
このシリーズを読んでいていつも感じるのは、近代史に対する自分の無知だ。「二・二六事件」といえばまず思い出すのは宮部みゆきの「蒲生邸事件」で、「陸軍の一部の青年将校が暴走して時の政府の要人を暗殺した」といううすぼんやりとした知識しかない。なぜこの事件が起こったのか、この事件がどのように他に影響を与えたのか、きちんと理解ができていない。「西安事件」に至ってはこれまでに聞いた覚えもなかった。
この小説のあちこちに、今現在私が日本や日本政府に感じていることと重なるような記述が散見された。ということは、やはり、この頃の日本と今の日本で似ている(または、当時から変わっていない)部分が多いのかもしれないと思う。
第二次世界大戦という大きな大きな出来事に向かって何があったのか、何故あんな無茶な戦争に突き進んでしまったのか…これはあくまで小説だけれども、理解(学び)のきっかけとしてとてもありがたい。

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2022年04月28日

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兵諌という耳慣れない言葉の意味を知りました。歴史を思い出したり、調べ直したりして納得しました。 このシリーズはいつも前作と間が空くので、登場人物の記憶が曖昧なまま読んで途中から思い出していく感じですね。 今回は陳一豆がとてもかっこよかったです。

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2022年02月23日

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2.26事件と西安事変は同じ年に国は違えど国を憂いての行動。2.26事件は行動することに価値を見出していたため同情されるけど同調まではいかず。西安事変は政治目的が明確なため同情ではなく同調。兵諫って言葉の意味は確かに欧米人にはわからないかも。

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2021年12月23日

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ニューヨーク・タイムスのジムを通し、当事者証言で西安事件を知る。物語だから、蒋介石も張学良も世評にとらわれず著者の解釈による。するとどうしても歴史に「もし」を想定したくなる。あの事件が起こらねば、中国共産党はどうなっていたんだろう。剿共が成ったとは言えぬのか。よもや成ったならば中国は、と不毛な幻想が広がる。そして、日中友好を説く蒋介石が拉致されなければ、日中戦争とて避けられたかもと、これまた幻想だ。いずれにしろ、親の七光と揶揄される張学良が起こし、注目度が低い西安事件は、知るほどにその余波の大きさを思う。

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2021年11月26日

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「蒼穹の昴」シリーズ第6部。

1936年。二・二六事件のショックがまだ冷めやらぬ中、中国の古都、西安近郊で、国民政府最高指導者、蒋介石に張学良が率いる東北軍に監禁される事件が起こります。
奇しくも同じ年に日本と中国で起こったクーデターを巡り、物語は展開します。
この時代の日中モノは浅田さんのライフワーク(多分)だけに、安定感抜群のクオリティですね。
ただ、テクニックが過ぎて、第一章で二・二六事件の死刑囚と志津大尉が面会する場面を、敢えて“書記官の記録風”に片仮名文体にするのは、確かに雰囲気は出るのですが、シンプルに読みづらいので、ここは普通の文体でお願いしたかったです。
とはいえ、やはり流石だなと思ったのは、張学良をかばう為出廷した東北軍の護衛官・陳一豆の陳述シーンが圧巻だったのと、死刑宣告された彼に、桟敷席から「上出来だったぜ」と声掛けした馬占山とのやり取りがカッコよすぎでした。やっぱり“白虎張(張作霖)”の意志を継ぐ馬賊達は、人間としての奥深さや器の大きさが、そこらの軍人や役人とは格が違うなと。所謂レベチってやつです。
そして、このシリーズを通しての隠れテーマ(?)になっている“龍玉”の、今後の行方が気になります。という事で、勝手にまだ続くと思っている私でした。

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2021年11月16日

購入済み

がんばれ次郎

久しぶりのシリーズ新作だが、これまでのものに比べると小品。現代に近づくほど物語を拡げられないのは実在した人物を描く小説の宿命。次作は更に描き難いと思うけど、浅田次郎の力量に期待したい。

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2021年10月24日

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なかなか難しい時期を題材にとった小説。しかし、各国の思惑と時代の波に翻弄される人々。どんな題材でも、浅田節です。

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2021年09月28日

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2.26事件と西安事件、同じ年に起きた二つの政変
かわかりがあったのか、なかったのかよくわからないが、これから起こるべく大戦の前触れのような気がする
知ってる名前があまり出てこないので残念

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

二・二六事件と西安事件の兵乱はなぜ起こしたのか。日本人のいろんな立場の人たちがいれかわりたちかわり語り、中国では裁判を通してなぜ起こしたのかを陳述し。花形の登場人物はメインにはきませんでしたが、その周りの人たちの兵を挙げた諫め事(兵諌)でした。
龍玉はわりと薄めでした。というよりこれはどこまで続くシリーズなのか。春児の兄弟が好きなので、ほとんど出番がなくさらっと読むに終わりました。

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2023年01月12日

Posted by ブクログ

蒼穹の昴シリーズは必ず読みます。
中国の歴史は全てが面白く興味湧くけど、近代史は特別面白いですね。

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2023年01月02日

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蒼穹の昴シリーズと知り手に取る。
前作の記憶をかなりなくしているので、この人って過去に出てきた人だっけ?今作からの人だっけ?って考えながら読むのは毎度のこと。

あのシリーズものとしては1冊完結なので、若干物足りなさを感じた。気持ちが昂り切らずに終わった。

あーこのシリーズぽい!って思ったのは陳一豆の法廷シーン。馬賊の絆、なんてものでは言い表せない正義がそこにはあったなぁ。

2022.8.21
119

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

日本の226事件後、それに触発??された中国での蒋介石、張学良率いる反共産党の東北軍による西安(旧長安)進行を日本人の朝日記者北村、上海機関員志津、米国ニューヨークタイムズ記者ジェームズ・ターナーの目を通して軍法会議迄の経緯を描く。近代中国史には疎く、昔の中国内諸国での戦いと比べイマイチの内容

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2021年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

蒼穹の昴シリーズ第6部。

1936年の二・二六事件と西安事件を関連してとらえていて、どちらも兵諫という考え方が面白かった。
ただ、単巻なのに龍玉の存在が目立っていて、次回の長編に続きそうな感じでした。
次回は蒋介石あたりが主人公かな?

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2021年09月29日

購入済み

知識がいる

蒼穹の昴をはじめ浅田作品はほぼ読了したが、本作は知識が必要だと感じた。
正直、共産主義と社会主義の違いを明確に言語化できない自分には彼の時代を理解するのはハードルが高かった。
それでも浅田作品のリズムや先を読みたくなる表現で読了。さて、もう一度初めに戻り今度はリズムに乗りつつも事柄の理解を深めたい。

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2021年08月22日

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