【感想・ネタバレ】御社のチャラ男のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年05月06日

恐ろしい小説である。章の初めからその終わりの一手前まで一人称のモノローグ的に物語は展開される。其れら語り部から発せられる人間の洞察に付いて、ほぼ全てのタイプの人としての在り方がまな板に挙げられているかのように峻別され、その業が語られていく。優れた小説(ドストエフスキーやガルシアマルケスなど)はこのよ...続きを読むうに人間の業を全てまな板に上げてしまい、僕たちを身震いさせる。「これは僕のことじゃないか!」その有り様が極めてこの小説では現代的に成されるので誰もまな板の上からは逃げられない。「会社」という近現代の単位に於いて語ることにより其の舞台で作者は全ての人間を包括し、「すべてのあなた」は逃げられない。さて、あなたはどのように語られるかわかりませんが。ボクはちなみにチャラ男こと三芳だなーって思った。怖いなー。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月01日

天下の芥川賞作家、絲山秋子センセイがついにエンタメ?!
いえいえ、さすがのりっぱなお仕事小説。

今の時代の『悪女について』有吉先生の名作を彷彿とさせる構成。
最後、会社はノアの方舟?となり崩壊してしまうが現代社会のブラックな企業の有様がまざまざと。こんな会社アルアルになってフィクションと言うよりも...続きを読むノンフィクションかとも。
エンタメ小説にしがみつかない、奥の深い楽しめた小説でした。
尻切れトンボみたいだったので徹底的に女子目線で男どもをぶったぎれても良かったかな。

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Posted by ブクログ 2020年04月22日

久々に好きな紙質。パリッとして気持ち良い。
たまに巡り合う生本。電子書籍では出会えない贅沢。

さて、チャラ男。
人の見方、とらえ方で、人間は一辺倒ではないことがこの会社の人たちの登場で浮き彫りに。

自分が考えている人の評価や自分自身なんて、ちっぽけなのです。いろんな人がいて面白いのです。

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Posted by ブクログ 2020年04月21日

"人に対する共感が薄い自分にとって、がんばるという姿勢は唯一、いつでもどこでも誰にでも通用する表現だと思っていた。それが唯一の通貨だったのに、がんばれなくなった。病気が私を一文無しにしてしまった。そして、これからも負債を返すがんばりなんてできないのだ。"(p.204)


&qu...続きを読むot;私は努力をしないひとが嫌いだった。なんでも楽々とこなしてしまうひと、勘でものを言うようなタイプ、サボっていても帳尻だけ合わせる輩。いい加減にやって上手くできてしまうひとも、物事をほったらかして平気なひとも。
つまりチャラ男である。
だがほんとうは、そのかろやかさが羨ましく、心は楽をしたいと叫んでいたのかもしれない。"(p.209)



"ほくは心の底から「自己責任」って言葉が嫌いだ。自分で責任をとったつもりでも、大したことじゃなかったりする。責任を果たすためのエネルギーは、そのひとが恵まれた境遇にいるかどうかで全く違ってくる。"(p.101)


"私は腹を立てない。おばさんだからだ。かわいいなんて一瞬のもので結局は使えないことをよく知っているからだ。"(p.172)

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Posted by ブクログ 2020年04月10日

「チャラ男」をキーワードに16のストーリーが語られます。言葉もテンポよく、結構スルドイ内容がでてきて、納得したり苦笑したりと読みました。「チャラ男」の規定が人によって捉え方がいろいろで最後まで曖昧で、部長の功罪がはっきりわかりませんでしたが。

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Posted by ブクログ 2020年04月04日

こんなに大勢の人たちをそれぞれの立場で書けるのが絲山さんのすごいところ。
みんなそれぞれ自分のことは自分が一番よくわかっていて、相応に前を向いて生きている。

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Posted by ブクログ 2020年03月21日

タイトルから「チャラい若手社員を描いたちょっとコミカルなお仕事小説」くらいのイメージで読んだらなんとなんと!一筋縄ではいかない、なかなか骨のある作品でした。

主人公のチャラ男はジョルジュ食品という旧態依然とした会社に中途採用された営業統括部長。そんな彼について、同じ会社の様々な立場の社員が語りつく...続きを読むす18の章からなる小説は、チャラ男の輪郭を浮き彫りにするだけではなく、語り手の人物像をも明らかにしていく。
やる気もないけどやめる勇気もない臆病な営業社員、イケメンだけど酔うと下ネタ連発のうんこマン、窃盗症で退社することになる熟年社員、うつ病による病休から復職した女性社員、政治家になる野心を持つ若手女性社員、チャラ男と不倫する女性社員・・・などなど18の章はどれも軽妙だけど重みがあって読み応え抜群。

絲山さんの文章は平易で心地よい。特長的なのは独特の比喩表現で、そのうまさには思わず唸る。
例えば、
「難しい時代だ。人々の心に余裕がないから、自由な意見が言いにくい。何かを言えばそうでない人から叱られる。気遣いがない、例外が見えてない、引っ込んでいろ、黙っていろと言われてしまう。私たちが真面目に働く世の中は、(略)ヤクザが仕切っていたころの方が今より良かったと嘆いている歓楽街のような場所になってしまった。」
という比喩。
わかったようなわからないような(笑)、でもよく考えるとものすごくわかる。胸にストンと落ちる。こういうところが凄くいい。すごく好き。

いじめ、うつ、理解されない病気など、豊かさと引き換えに置き去りになった人間や、今の世の中のいや~な雰囲気をズバリと言い当てながらもラストはどこかスッキリと爽快な気分になるこの作品、面白かったの一言では片付けられない、何度も読みたくなる良作でした。

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Posted by ブクログ 2020年03月08日

タイトルからは軽いユーモア小説を想像するのですが、全く違っていました。
チャラ男こと三芳道造部長44歳と彼の勤めるジョルジュ食品の周りの人々の物語。各編で主人公を変え、三芳部長やその周辺を多角的に描いた16の短編集。
定見など無く、話題毎に見かけの良いハヤリ言葉を吐き、弱い者に強いチャラ男。別名、石...続きを読む北会計事務所(意識高い系)の三芳部長。しかし、本人の弁を読むと少しイメージが変わる。いずれにせよチャラ男を描きたかった訳では無さそうです。
五輪を前にした平成末期の世相。そこに有るのはいじめや分断、心の余裕の無さ、今も残る男女不平等、老害、クレーマー。いまだに社内の猿山(階級)にかじりつく人達。先行きは不透明で、多くに人が感じる生き辛さ。そうした事がそれぞれに視点で繰り返し語られます。淡々と、どこか軽いユーモアを交えて。でも救いや結論は有りません。まあ、小説にそういうものを求めても仕方ないですしね。
毎度の事ですが「言いたい事は掴み切れないけど、しっかり読まされる。」「どこが良いのか言えないけど、なんか『良い』と感じられる。」困ってしまう絲山作品です。

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Posted by ブクログ 2020年02月09日

「すべての働くひとに贈る新世紀最高”会社員”小説」という帯に惹かれて購入した。久しぶりに立ち寄った本屋の新書コーナーで手にとって即購入して読んだ。

地方都市の油メーカーを舞台とした会社員小説なのだが、ひとりひとりの人物について微細なディテールが描写されていて、知らない会社の人たちの心の中を覗いてい...続きを読むる気分になる。

どこの職場にもいそうな人々による物語。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月03日

ちゃ・・・・チャラ男?文芸書でチャラ男?
さすがです、絲山さん。タイトルで落ちました。
しかも読み始めたら、職場の仲間と名字がかぶるかぶる。
あいつがこんなことを思っていたら、店長(仮)をチャラ男と名付けたのがあの山田さんなら(しかも窃盗罪)・・・・と妄想しながら読んだらますますリアル感。
様々な社...続きを読む員が出てきて、物の考え方、置かれた状況、降りかかる出来事。サクサク読めます。あなたも私も、この物語の中にきっといます。

「我が社の皆様は二言目には仕事が終わらないとおっしゃいますが。
終えられる仕事なんてこの小さな会社にはありません。
区切りがどうとか、やりかけだと気持ちが悪いとか、集中が途切れるとか、そんなのただの気分なのに。すっきり終わって片付いたら仕事の腕前が上がった気持ちになるんですか。大嫌いな自分自身から褒められるとでも思っているのでしょうか。
終わる仕事なんてありません。」
やべぇ・・この数行、身に沁みます。沁みました。
残業しないでとっとと帰ろう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月17日

「御社のチャラ男」三芳部長が色んな人たちの目線から語られる。その人によって見え方がこうも違うかと驚かされるお仕事小説。チャラ男の事を語る同僚たちもそれぞれ個性があって、これがまた実際に居そうで、自分はこのタイプかもしれない、と考えながら読んでしまう。なんて恐ろしい小説なんだ(笑)会社、働く人々、チャ...続きを読むラ男の行く末にどこかスッキリした。

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Posted by ブクログ 2020年04月27日

ひとつの会社を舞台にした群像劇。
軸にはチャラ男がいるわけですが、いち社員、総務の子、鬱で休職したら社員、社長、家族など、それぞれの立場からのものの見方や書き分けがホント凄い。
それぞれの人たちのダメな部分や小狡い部分は、自分にも少なからず当てはまる部分がありグサッときました。
チャラ男、最後までキ...続きを読むャラが掴めませんでしたが、こういう人ってどの組織にも必ずいるタイプだなあ……

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Posted by ブクログ 2020年03月25日

変わった試みだけど、登場人物の関係性に頭が行ってしまい小説として楽しめなかった。会社内の人間を理解するには良い教科書。パンデミックの予言書としても。結局、チャラ男はいいヤツなんだろう。

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Posted by ブクログ 2020年03月21日

チャラ男をめぐる本人も含めて13人の赤裸々な本音の暴露をスケッチ風に.といった程だが,社会批判あり働き方への考察あり人生教訓ありもちろん恋愛もあって盛りだくさんな玉手箱のような感じ.

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Posted by ブクログ 2020年03月19日

旧態依然とした小さな食品会社、その中で繰り広げられる人間模様。
社員たち各々の視点から描かれているのに俯瞰したような効果が生まれている。
ラストのドタバタ劇が痛快。

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Posted by ブクログ 2020年03月16日

小説を読む意味の一つが、様々な登場人物の視点によって、物の見方には色んな見方があるということを再認識させてくれるということ。

ある人にとっては理解しがたい嫌悪の対象だとしても、当人や別の第三者には相応に理解できる理由や言い分があったりする。オムニバス形式で各登場人物からの視点でチャラ男や周囲の物語...続きを読むが語られていく。その中に猿山に例えられる男性社会、地方都市の寂しさ、平成から令和へ移ろいゆく中での価値観の変化など、時代性を捉える本質が入り混じっていく。

その中でも印象的なのが、やはり当人チャラ男の寂しさ。軽やかに生きているつもりでいて、どこか寂しさを感じさせる描かれ方で、決して明確な救いがあるわけではない。だけども、そのどこにでもいそうな人だからこそ、今の日本を象徴しているようで、共感する部分が生まれるのだと思う。

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

何処にいたってチャラ男はいる。
そんなチャラ男と1つの会社に務める色んな人からのチャラ男に対する視点で話が最初は進んでいたけど、
途中から視点はチャラ男以外にも当てられ働く社会人のやるせなさやら怒り等にも焦点が変わっていく。
時々いきなり出てくる登場人物や設定に追いつけず置いてけぼり感を食うこともあ...続きを読むるけど、社会人にはそれぞれの登場人物に重なる自分を見つけて共感出来るはず。

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Posted by ブクログ 2020年02月24日

陰で“チャラ男”と呼ばれる部長と、彼のまわりの人々の一人称で綴られた連作短編集。語られる内容は様々だが、読み進めるうちにこの会社の実情が鮮やかに浮かび上がってくる。チャラ男という語感から受けるほど、この男はチャラくないような、そうでもないような……。いずれにしろ、こんなやつが上司では大変だとは思う。

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Posted by ブクログ 2020年02月13日

会社という組織にあって、馬が合わない同僚や上司は必ずいる者だと思います。
この作品では、一つの中小企業のなかで、それぞれの社員から見た社内の風景と、密かに「チャラ男」と呼ばれている部長の人となりを描いています。
社員一人一人の思想や立場によって、こんなにも人や会社組織の見え方は違うのか、と驚きました...続きを読むし、自分の職場でもこういった「見解の相違」は多々あるのだろうなと感じました。

だれもが、「悪人でいよう」と強く決意して生きているわけではないでしょうが、結果としてだれかを傷つけたり、誰かの態度に不満を抱いたりしながら生活している今の世の中。

大きなヤマ場があるわけでもなく、また描写が精密なので「現実的」すぎる小説ですが、特に会社(組織)で働く大人には、しみじみ考えさせられる部分があるのではないかと思います。
「同僚や上司から、仕事ができないヤツと思われたくない」「自身の功績を評価して欲しい」など、あまり認めたくはない自分自身の欲望についても、改めて自覚させられる部分もありましたし、登場人物のセリフに笑わせられるとともに息抜きできる部分もありました。
小説として、エンディングもシッカリまとめられていますから、「学校」という”組織”のなかで日々生きている中高生にとっても読みやすい本かもしれません。

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Posted by ブクログ 2020年02月09日

軽そうで実はそうでもない。
フィクションとは言え、人物の述懐がこれほど重いとは。
絲山さんの作品の中でも重めな感じ。

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