【感想・ネタバレ】荒城に白百合ありてのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年02月05日

初出 2018〜19年「文芸カドカワ」、2019年「カドブンノベル」

会津藩江戸上屋敷に住む美少女鏡子と薩摩藩士で昌平黌で学ぶ伊織は安政大地震の夜出会ってしまった。恋ではなく、互いが魂の活きていないうつろな器であることを知って惹かれ合う。
鏡子は会津の上士に嫁ぎ、戊辰戦争で征討軍参謀の伊織は会津攻...続きを読む撃に参加する。夫が戦死した鏡子は幼い息子を逃がし、残る女が自害して家を焼く寸前、伊織からの手紙が届いて会いに行く。しかし伊織は裏切りを疑う薩摩藩士に切られてしまう。

後半の壮絶な会津の戦いへと突き進む展開はひりひりする思いで読んだので、鏡子には会いに行ってほしくなかった。私も子供の頃から自分を俯瞰して見ているところがあって、伊織に親近感を感じていたが、美しい死に憧れ破滅へと向かう彼らに、疑問と葛藤を覚えつつ読み終えた。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月02日

幕末もの。武家社会の女性の視線でみた会津藩の姿は、結果はわかっていながら江戸幕府に殉じた悲劇性に止まらず、崇高な魂やそれでも行動せずにはいられない近代的な人間性の発露を感じさせ、印象深い。できればみんな幸せになって欲しかった。これで直木賞取らないかな?「桜の国」の方が出来は良かったけど。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月26日

幕末の会津藩と薩摩藩といえば、歴史に詳しくない方でも、敵対していた二藩と知る人は多いはずだ。両藩に生まれた鏡子と伊織は、その時代にそぐわぬ内面を取り繕いながら生きる共通の生き物としてお互いに惹かれ合う。幕末の激動の中で、官軍と賊軍に分かれた二人の関係性を、同じく二つの目線から書き綴る。

「異国の力...続きを読むを取り入れ、変化を続ける薩摩藩で、尊王攘夷・倒幕という革命に熱をあげる志士」「変化を嫌い、公議に忠義を尽くす会津藩で、武家の嫁としてその勤めを果たす女」という、その時代のマジョリティを取り繕いながらも、心の中では冷めた目で見ている二人の視点から幕末を見るので、他の時代小説とは一風異なる気がする。革命に熱をあげるのは危ういこと。変化を嫌い300年近く変化がないのもまた進歩が無く危険。

これは、恋物語なのか?いや、そんなことはない、と思う。少なくとも恋愛小説では全くなくて、でも他のジャンルに当てはめるにもうまい言葉が見つからない。ただ一つ、めちゃくちゃ面白かったのはわかります。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月16日

すごいとしか言いようがない、ある意味究極のハッピーエンド。しかしこの作者さん、どの時代のどの国を、どんなテーマを描いてもこんなに面白く描けるのすごいな。天才なのかな。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年05月23日

同じ魂を持つものどうしがお互いに欲しあい
恋愛とは違うもっと深い魂で結びつく。
それは冷たく澄みしかし熱く激しい。

実在した人々が多く描かれているなか
竹子や雪子の後の生涯を知るとやるせない。
幕末の会津は辛すぎる。

本書のおかげで私の頭の中で今までごちゃごちゃしていた幕末が
上手く整理されて一...続きを読む本の筋が通った。
歴史小説としてもお勧め!

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年03月17日

幕末にスポットを当てた小説は、それこそ枚挙に遑がない。

けれども、
視点を変える事でいくらでも…
その表現の可能性は無限なのだなと改めて思った

女性ならではの幕末。

安政の大地震、友と共に水戸の上屋敷へ走る薩摩藩士・岡元伊織は、朱色の炎と轟音の中、あやかしの如く涼しげで優雅… そしておぞまし...続きを読むく美しい娘・鏡子に出会い魂を鷲掴みにされる。

人に知られざる自分…
「人として欠落している何か…」がお互いを鏡の様に映し出す。

鏡子の命の恩人として青垣家に歓待され、父や兄から婚姻の話まで出るが、断ち難い因縁に気づきながらも気持ちと裏腹にすれちがってゆく。

鏡子が会津の上士に嫁ぎ二人の子を為し、決定的に行く道を違えた二人に見えたが・・・

幕末という時代の奔流に弄ばれ、再び…

終焉の共有…
そこに命を掛ける意義…
これこそ女性の視点なのか。

ラストの
「あなた、またなの」

そして…

「仕方ないわね」

に、何故か涙が溢れて仕方なかった。

◯青垣鏡子(森名)・・突出した美貌と頭脳を持ちながら、「心」を持たず人生を演じる会津藩中士の娘。
伊織との因縁を振り切って上士・森名篤成の後添いに入り、長女・幸子、長男・虎之助を産むが、幕府滅亡に伴う東征軍との戦いで夫を喪い、その後の会津攻めで敵の迫り来る中、幸子と共に自決しようとするが…

◯岡元伊織・・昌平坂学問所で学ぶ俊才の薩摩藩士。鏡子との邂逅により己の本質を突きつけられその虜となり終生・・・。
藩主・久光にも重用されるが、幕末、藩の総意が一気に倒幕へと傾く流れに乗れず大久保・西郷らと袂を分かち冷遇される。
政府軍の東征において、鏡子の住む会津攻の参謀を務めるのだが…

◯青垣万真(かずま)・・鏡子の兄。幼くして書の才に秀で、会津藩士の模範であろうとするも「尊王攘夷」思想の持つ妖しげな魅力に抗えず二律背反に苦しみながら若くして散る。

◯中野竹子・・気性激しく、武芸・学問・書… 悉く男を凌ぐ。
鏡子にとって親友であり、「まっとうな人間」の模範となる存在。  後に幸子の師となる。

◯池上四郎座衛門・・伊織の心の闇を知りながらも、その才能を心底認めていた年下の薩摩藩士。伊織の鏡子への断ち難い想いも本人以上に…。
最後は伊織の命を断つ。

◯森名篤成・・鏡子が嫁いだ夫。会津藩・上士。政府東征軍との戦いで死亡。

◯森名通子・・篤成の母。
前の嫁をいびり殺した?鬼とも会津女の誉とも評される姑。



このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月01日

会津ときけば予測される悲劇だった。覚悟を決めて読み始めたこともあり、最後まで、最期まで一気に読み進められたけど、すれ違いが切なく、それでも惹かれ合う2人に少しでも、多少なりとも明るい未来があったならばと思わずにはおられない。鏡子の生き方も、雪子の生き方も、夫々が筋を通した結果なのだと思えた。共に生き...続きを読む続けることはできず、それでも相手の想いを受けてそのあとを受けられる、強さを感じた。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月31日

こんなに悲しい話しだったとは…
池上には、致命傷にならないように伊織を斬ってほしかった
そして、逢いにきた鏡子と伊織が最期の会瀬になればよかった…
そうならない戊辰戦争
悲しい歴史…

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月06日

安政の大地震の災禍の中で出会った二人。
薩摩藩士の岡本伊織、会津藩士の娘鏡子。
互いの中に、この世に馴染めず、ほんの少しずれている場所から眺めているという「同じ人間」を見出し、強く惹かれあう。
敵対する立場にある両藩に属するゆえ、この世では共に生きられない。それは、白百合の花言葉=純潔や穢れなき心と...続きを読むとに「死者に捧げる」から、ラストは想定内といえるだろう。
詳細に綴られる激動の幕末に重点を置き、歴史小説と読むか、けっして結ばれない二人の運命の恋愛小説と読むか・・・

『また、桜の国で』もそうだし、本作『荒城に白百合ありて』も、その魅力ある題名に思わず手に取ってしまい、著者の巧まざる技に感服する。

このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月03日

幕末、激動の時代に、決して結ばれることがないふたりが最期に望むものは・・・。

思っていたのと少し違った。
出逢いからドラマチックで、最初から相手のことが恋しくて仕方がないとわかっているもの同士が激しくお互いを求めるものの、時代背景的な立場から許されず苦しんで結局悲劇的なラストを迎える、というような...続きを読む話かと思っていたけれど、そんなわかりやすい単純な物語ではなかった。
もどかしくて切ない。
似たもの同士のふたりが互いに求めたものは、単なる「器」などではなかった。

終始淡々としている風な話に思えたけれど、読み終えて思うのはこんなに激しいものが胸に残るのか、ということ。
真っ赤な炎のように熱く、身を焦がすような激情。
重厚感のあるラブストーリーだった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月07日

江戸末期、黒船来航で変革の気運が高まりつつある中、会津藩士の娘・青垣鏡子は騒がしい世の中をどこか醒めた目で眺めていた。
同じ頃、薩摩藩士・岡元伊織は、留学した昌平坂学問所で、攘夷か開国か議論を戦わせる学友をよそに、彼もまた心に空虚なものを抱えていた。
そんな二人が出会ったのは、安政の大震災のさなか。...続きを読む鏡子の中に自分と同じ「この世に馴染めぬもの」を感じ取った伊織は、その後も鏡子を忘れがたく求め続ける。

会津のおなごとして、薩摩の武士としてそれぞれの立場で求められる姿に己を従わせるだけの人生。何にも熱情を感じられず、子にすら愛を傾けられない・・・二人が相手に自分と同じものを認め、互いの欠落を埋めるように魅かれ合うのは必然だったのだろうか。

薩長目線で描かれることの多い幕末の動乱は、会津目線で描かれると、また違った姿が見えて来る。それぞれに正義はあり、まさに「勝てば官軍、負ければ賊軍」の悲哀を感じる。
物語終盤、刻々と迫る会津の終焉。自決を覚悟した鏡子の元に届く文。薩摩の武士として会津殲滅のために戦う伊織がとった行動は・・・

伊織は鏡子への思いを胸の内で呟く。
「自分は、あの美しい、異形の女がどうしても欲しいのだ。体はいらぬ。心もいらぬ――」
伊織は鏡子に何を望むのか? そして鏡子は何を求めて彼のもとへ駆けるのか? ふたりが行き着いた場所とは? ラストは胸が締め付けられ、涙がじわり。

宣伝に使われている言葉「幕末のロミオとジュリエット」はやめて欲しい。大勢に流され一つの見方に偏ることの恐ろしさ、流れに逆らい自制することの難しさ、俯瞰することの大切さなど、現代でも通用する視座を与えてくれる超骨太の歴史小説でした。

このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年04月14日

今まで戦国時代はすごく興味があり大好きだったけど、幕末は興味がなかった。だけどこの作品を読んで幕末の歴史が気になり、どうやって明治維新に進んで行き、そこにはどんな背景があったのが、また、どういう戦争だったのかあまり知らなかった戊辰戦争について知ることができた。
最後は少しあっけなかったように思う。一...続きを読む目でも二人が生きた姿で再会してほしかったなって、切なくなった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年03月29日

擬態。母親やが見抜いてた事に脱帽。
幕末モノは大好きだが、体育会的マッチョ思考を押し付けられるのは勘弁願いたいので、あの時代の男に生まれなくて良かった。

このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年02月24日

激動の幕末を描いた歴史小説と捉えると、面白く読めた。
歴史では、尊皇攘夷だとか、開国派だとか、薩摩藩、会津藩。そんな感じで、分かりやすく分けて勉強した気がするけど、
当然、その中には、現状を変えなくてはいけない思いは同じでも、見えてるものや目指すものが、少しずつ違っていたり、それでも、置かれている立...続きを読む場で、自分の思いだけを貫くことは出来なかったり。単純ではなく、それぞれの人生があったのだな、と改めて感じる。
ただ、伊織と鏡子の悲劇の物語としては、どうしても入り込めない自分がいた。自分にだって、世間の多数派の意見や風潮に相容れないことや、とても健全で何かを信じて邁進出来る人と自分の差に違和感を感じることはある。だけど、何かを成さねばと必死で生きている人達を少しバカにし、達観しているかのように、生きているのは、共感出来ず、、、
上手く表現出来ないのだけど、何か違うなー、それを自分達が冷めていて物事が広く先まで見えてしまう悲劇の運命、みたいに思ってるとこ、入り込めないな、と、それこそ冷めた目でいる自分がいた。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年02月22日

タイトル、カバー共にただの時代小説ではないと思って読み始めた。会津藩の少女と薩摩藩の藩士との許されない恋物語? 『妖星伝』ばりの伝記小説? だがそのどちらでもなく、読み終えてみれば一風変わった歴史小説だった。なんかね、こっちが勝手に勘違いしただけで申し訳ないが、正直期待外れ。2人の思いはさっぱり伝わ...続きを読むってこないし、意味深な描写が意味するものも説明されることはなかった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月29日

会津藩の娘鏡子と薩摩藩の武士伊織.安政の大地震で出会い,惹かれ合うも幕末の流れの中では一つになることはできない.尊王攘夷や志士の暴走,薩長や公家の暗躍など史実の中で翻弄される一人の人間としてのあがきが,例えそれが確実に死につながるとしても美しかった.

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月04日

薩摩と会津。
相容れない立場にある鏡子(会津)と伊織(薩摩)。
当時の時代に翻弄され、その中での自分の気持ちを隠しながらも生きている二人。
自分の気持ちに気付いた時。状況は後戻りできないところまで来ていた。
ラストは想定していた展開としても切なさが残る。

恋愛ものと言えるのだろうか?
時代背景の描...続きを読む写が多く、自分には正直少し合わなかった。

このレビューは参考になりましたか?