【感想・ネタバレ】玉蘭のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2013年12月13日

昔、常磐貴子、長嶋一茂、浅野温子という妙なキャストでドラマ化されていた。その印象がさわったせいか原作を読む気がしなかったのだが、今回読んでみて食わず嫌いだったことがわかった。キリノ作品のなかでベスト3に入るかもしれない。仕事も男も捨てて上海に留学したアラサーの女が、五十年前その地に渡って行方不明にな...続きを読むった叔父の亡霊(生霊?)と出会う。現在と過去、現実と夢が交差する世界が、著者お得意の多視点法で描かれており、おそらくその方法がもっとも成功した作品の一つだろう。特に留学生寮に住む日本人たちの閉鎖的なコミュニティーの描写がリアルで、男の浅ましさ、女のずる賢さ、両者の共依存というキリノ的なテーマが集約されている。細かいところで言えば、主人公が関係を持つ自動車会社の男が宗教にのめりこんでいるところが気になった。違う物語がそこにあるというサインをさりげなく散りばめることで、キリノは読者の想像力を挑発してくる。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

綺麗な表紙とは裏腹に、肉欲塗れた見事な小説だった。

玉蘭をキーアイテムとして、魂が時を越える、他人に乗り移る。そんなアホ臭い、ありがちな描写をさり気なく、しかも一定の緊張感を持って記述できる作者は貴重な存在であると思う。

しかし、一方で今回も登場人物の過剰を指摘せざるを得ない。


「みん...続きを読むな自分勝手に生きているんだから、互いに影響し合っているのは当たり前じゃない。意識してなくたって、意識してたって、どこかで繋がっているんだもの。いちいち気にしてたら身が持たないよ」
「そうだろうか」
「そうだよ、それが人間関係ってもんでしょう」

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Posted by ブクログ 2018年02月02日

侑子と松村はこのまま終わってしまったの?幻想的な雰囲気。現在と過去が交互に書かれているため、ちょこちょこ読みすると混乱する。この不思議な感覚好きです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年08月21日

 面白かった。戦前の上海・広東と現在の上海を舞台に二組の男女の恋愛模様が展開される。
幽霊が出るなど幻想的だ。上海の街の様子も興味深い。幻想的だが有子と松村の恋愛沙汰はとても現実的だ。
 有子はまったく好きになれない女だが。壊れていく様があまりにも痛々しい。壊れたのであって堕ちたのではない様子だ...続きを読むが。

 まったく予想外の終わり方。有子と松村はあれで終わりなのか?まだこれからよりを戻す機会があるのか?グダグダに壊れた有子のことだからこれから何があってもおかしくない。
 だが、この二人は若いからこれでいいだろう。まだ若いからこれからがある。
 
 質は日本に帰ってきていたのだ。陸に上がった船乗りに活力はなく、無為に生きることに飽きて自殺を決意するが、偶然すれ違った老女登美子に助けられる。そして14歳年上の登美子と暮らし始め、97歳まで(少なくとも)生きる。つまり、現在も生きている。
 ただ、上海、広東と暮らしていても現地の人がまったく出てこないのが少し残念。そして、質が帰国してからの様子が省かれていることも。いきなり51歳、そして97歳では。
 だが質が生きていたことは嬉しい。生きていて有子や松村と夢の中で邂逅したのだ。玉蘭の花を通じて。質が登美子と幸せに暮らせたならそれでいい。最後が幸せならいいじゃないか。

 文庫のためのあとがきによると、質は桐野夏生の実際の大伯父。実際に船乗りでのちに実際に自殺した。「トラブル」は実際の日記「トラブル」そのままだそうだ。遺書も実際の辞書を参考にした。元々この質の話を書きたくて始めた作品だが、現代の恋愛も書きたくて有子と松村の恋愛模様も盛り込んだ、とある。登美子とのエピソードが綴られる最終章は雑誌連載終了後、本にするために加えたとか。やっぱりそうか。有子と松村の話とつなげるのはちょっと無理があるように思う。

 自分はこういう一人の人間の人生を追った大河物語が好きなようだ。角田光代の「ファミリーツリー」や桜木紫乃の「ラブレス」のように一人の人生を時系列を交わらせながら追っていくものに惹き込まれる。
 だから質と浪子、登美子の話だけ追いかけてほしかった。

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Posted by ブクログ 2015年08月12日

大人の壊れた恋愛劇でしょうか?
毒と言えば毒なのでしょうけど、抗癌剤のような薬に近い感覚の毒かなと思えるストーリーでした。
上海という土地が見せる物憂げな雑然とした雰囲気が有子たちの心情を表しているように思えた。
ラストまで読んで「あんた死んでなかったんかいっΣ(゚Д゚)」と思った(笑)

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Posted by ブクログ 2014年05月18日

時代を超えて登場人物が行き来するので、付せんメモに名前を記入しながら、それを栞にして読んだ。

この本、バイト女の子にもらった本。

桐野夏生を読むと、オトコがイメージしているオンナとちょっと違う内面が感じられて勉強になる。が、ちょっとオンナが面倒くさくなってしまうのも事実。

この小説は、映画クラ...続きを読むウドアトラスのように、時代や場所が変わっても、業のようなものから逃げられず、同じような罠にかかってしまう性を描いているのかな。

自分が変わらなけば何も変わらない。

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Posted by ブクログ 2013年03月06日

途中面白すぎて読み終わるのが本当に嫌だと思った本。主人公有子とその関わる人物たちとの現代と、大おじの過去の話ですすめれらていく。関係ないようで関係していく過去と未来。。。特に大おじの過去の話はそれだけで映画になりそうな情景がうかぶ。最後だけちょっともやもやしたから☆4。

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Posted by ブクログ 2012年12月07日

夢と現の境界線がぼんやりとした不思議な1冊。
実は、夢なんじゃない?なんて思いながら読んでみたり。
やっぱり現実?って思いながら読み進めたり。
読んでるアタシがウロウロしちゃった(笑)

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Posted by ブクログ 2012年06月10日

現在と過去と男と女、いろいろあるなと。
視点を次々と変えて描かれていき、読み応えがありました。

最後はちょっぴりモヤモヤ。

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Posted by ブクログ 2012年05月16日

桐野先生の親戚の残した資料をもとに書かれた作品。直接的ではなく、あくまでフィクションです。主人公と大伯父とで過去と現在を行ったり来たりして、なかなか面白かったです。

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Posted by ブクログ 2012年05月03日

私の中では桐野夏生の作品ベスト3に入ります
異国情緒溢れる作品
ドロドロした部分はあるけれど、「玉蘭」に象徴される様に、何か幻想的で官能的な、綺麗な映画を観ている様な気分になる小説
現在と過去の2つの恋愛が描かれていますが、過去の質、浪子の恋愛が悲しくも美しい(現在の有子の恋愛にはあまり興味がなかっ...続きを読むた)

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Posted by ブクログ 2011年02月28日

書店で何となく手に取った本。

日常に疲れた女性がすべてを捨てて上海へ旅立つ。
その女性、元カレ、女性の大叔父、そして大叔父の内縁の妻。
彼ら4人の視点で物語が展開されていく。

一般的な作品のように、結びが美しくハッピーエンドではなく、
非常なまでに現実的である意味残酷である。
(物語としては非現...続きを読む実的ではあるが)

だが、新しい世界があるのだとすれば、
そこに辿り着くためには彼らのような手段も
あるのかも知れない。

単純なエンターテインメント作品とは違い、
理解するには難しいかもしれないが、
ボロボロになっている人には、
ぜひ読んでほしい作品である。

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Posted by ブクログ 2011年02月08日

章ごとに視点が変わる。上海に語学留学している東京では出版社に勤務していた女性、彼女の元彼氏で呼吸気系の勤務医の男性、1920年代に上海に暮らしていた彼女の祖父の弟、その妻、という具合。登場人物達の心の襞を細やかに描写するのはこの著者の得意技。

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Posted by ブクログ 2010年01月04日

最後の章だけ納得いかない、と思ってたのも、
後書きを読んで飲み込めた。

ああ、そういうコトだったんだ。

散らばった夢という現実がするすると繋がれてゆくなかで、
最後だけが完全な願望のカタチだったからかみ合わなかったんだ。

点がバラバラの場所にある。
最初は意味が分からないけど、人物...続きを読むの面白さが、
個々としての物語の面白さに繋がっているから全然読める。
どんどん読んでいくとだんだんと繋がっていって、
めちゃくちゃ面白かった。

主人公の有子のバラバラ具合も、
この物語の中では不自然ではなかったし。

逃げた女と負けた男と、
闘った男と騙した女と騙した男達。

世の中は弱いモノだらけだ。

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Posted by ブクログ 2011年07月18日

桐野夏生の玉蘭を読みました。東京での競争に敗れ、失恋の傷心をかかえて上海の大学に留学している若い女性の物語と、その女性の大叔父で戦前に上海で船乗りをしていた男性の物語が、交互に語られていく小説でした。玉蘭(ぎょくらん)とは彼女のところに大叔父の幽霊が現れたときに、置いてあった花の名前です。戦前に上海...続きを読むで船乗りをしていたという男性のモデルは桐野夏生の祖母の弟だそうで、そう言う意味でも面白く読みました。上海という異国で、時代も状況も違う二人が遭遇する物語がなぜか似通ってくるのが面白いと思いました。とは言え、桐野夏生の小説なので、女性も環境の変化に伴いしがらみを捨てて強くなっていくように描かれていました。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

異国生活特有の孤独感とか、周囲との関係構築がままならない
ところとか、そういうことが印象に残った。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

桐野夏生さん初挑戦の一冊☆

この「玉蘭」という小説は非常にわかりやすい小説でした。
2つの状況が同時進行していて、直線的には関わってはないものの、
夢や幽霊を通して2つの物語が繋がっている。
ラストはすごくかっこよく、いさぎよい終わり方というのが印象。


女性だから書けるんだろうなという繊...続きを読む細な部分と、
本当に女性が書いたのかというくらい男っぽさを感じる部分。

他の作品もぜひ読んでみようと思います。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

10/16 物語の進み方が不思議な作品だった。予定調和とは程遠い桐野夏生の世界!この人は胸の中で誰かが物語をつむいでいるんじゃないか、と思う。

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Posted by ブクログ 2019年09月25日

仕事も恋愛からも離れ上海にやってきた有子。
上海には大伯父の書いたという日記を持ってきており、そのせいか大伯父の質の幽霊が現れる。
若かりし質も上海には縁があり、そこから質の過去と有子の現在が交差し始める。
有子が恋人と別れた思い、上海での変貌。
質が出会った得体の知れない女だった浪子との出会いと永...続きを読む遠の別れまで。

2019.9.24

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Posted by ブクログ 2015年02月12日

「ナニカアル」で良い感触を得た桐野夏生作品、この辺もおすすめ、と教えてもらっていたなかから本作。世紀が変わろうとする頃の上海の留学生樓と、1920年代の上海、広東。前者は感触として良くわかるし、後者はこのところいくつか読んだ世界に通じるからか入り込みやすかった。「ナニカアル」もそうだったけど、20年...続きを読む代の上海や広東も、戦中の南方も、それぞれが永続しない儚い世界だったわけであり、それを切り出すのはこの人うまいなと思う。前世側のヒロインの堕落は、その切り出した風景とすごく溶け合ってる。一方で現代側のヒロインのマインドが崩壊していく過程は、ちょっと距離を置いてしかみられない。桐野作品は地方から都会に出てきた頭の良い女子の持つ脆弱性を描きたいのだろうか?かつての「沈没地」の日本人社会にも通じる転落かなあ、最後のは。僕は圧倒的に前世側のヒロイン浪子の方が理解出来る。なので、絡み合う2つの男女の物語の重みのバランスがちょっと悪いかなとは思うけど、それもこの作品の魅力のうちなのかもね。

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