【感想・ネタバレ】グッドバイのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年04月18日

初出2018〜19年朝日新聞

大浦慶のことは、旧臘出版された植松三十里の『梅と水仙』で知った。津田梅の父仙蔵が長崎に茶葉を輸出してもうけている女性がいると知り、西洋農場で作ってホテルに出荷していたアスパラを缶詰にして香港に輸出するようになるという話があった。

幕末長崎の油商大浦屋の主となった希以...続きを読む(のち慶)は、オランダ船の船員が茶葉を買ってアメリカに売るのを知って、産地から直接買い付けて私貿易を始め、敷地に茶葉工場を建てて生産し大きく商いを伸ばす。
外国の商人と付き合って外国語を覚え、坂本龍馬らの亀山社中にも支援するが、駿河産茶葉に押されて出荷が減るなか、維新後熊本藩士の詐欺にかかって大きな負債を負う。
しかし、借金を返しおわると乞われて横浜の汽罐工場の経営や、蒸気船の船主になる。まさにガールズ・ビー・アンビシャスの人生を送ったことに、コロナに閉じ込められている身としては羨ましく爽快な感慨をもつ。

それにしても朝井まかてはますます筆の力が上がったと思う。

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Posted by ブクログ 2020年04月01日

幕末から明治へと変わる、時代の大転換期に生きた長崎の商人、大浦お慶の生涯を描いたストーリー。

古い時代と、新しい時代。
出会う人と、別れる人。
時に騙され、時に支えられ。

様々な人が、出来事が、波の様に寄せては返し、過ぎ去っていく。

栄枯盛衰。諸行無常。

それでもお慶は、歩みを止めない。

...続きを読む「人との縁こそが風であり帆であると思ったよ」

どんな波にも怖じけずに、誠実さと人情とで、未知なる大海を、お慶は進む。出会い過ぎ去った人たちの気持ちも胸にひめて前を向く。

ありがとう。また会う日まで、「グッドバイ」。

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Posted by ブクログ 2020年02月24日

さすがの朝井さん。
描かれている時代や対象に、読者が最初に興味も知識もなくても、必ず、おもしろく、その世界にどっぷりはまらせてくださる。すごい。
百田尚樹さんや、和田竜さんの感じに似ている。朝井さんの本にハズレはない!
そして、お希以が実在していることが、日本人として嬉しく、誇らしい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月06日

幕末から明治へ、時代の荒波を駆け抜けた長崎の女商人・大浦慶の半生を描いた物語。
とても面白かった。
物語として読み応えがあったのは勿論、慶がとても魅力的。
そして何より慶が実在したことが一番の驚きだった。

「海はこの世界のどこにでもつながっとるばい」
幼い頃から海の向こうに憧れ眼差しを向けていた慶...続きを読むは、日本人で初めて異国相手に茶葉交易に乗り出す。
この時代の女性が言葉の通じない異人相手に堂々と渡り歩けるなんて。
例え失敗してもそこから這い上がる姿がとても素敵だった。
どんな苦境にあっても決して逃げない。
己の失敗を総身で受け止める度量。
真っ正直にがむしゃらに、前へ。
「今こそが私の正念場、戦たい」

人としての魅力が溢れるから大勢の人が助けてくれて、慶の周りには常に人が集まってくる。
これはぜひ朝ドラでドラマ化してほしい。

木内昇さんの『万波を翔る』と被っている箇所が多々あって読みやすかった。あちらは外務省目線なのでまた見方も違ってて面白い。
まかてさんの『先生のお庭番』や高田郁さんの『あきない世傳 金と銀』ともちょっと被っていて、色々思い出し比較しながらの読書となり楽しめた。

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Posted by ブクログ 2019年12月07日

日本という国に於いて天変地異等しい時代、
綺羅星の如き人物がこれでもかと生まれたこの時代に、英雄達を影で支えていたのは…
やはり器の大きな女達でした

この作者の描く女達は、
本当に強く、大きく、愛に満ちていて…
なんて魅力的なんだろう


時は近代日本のまさに夜明け前1853年の長崎。老舗油商・大...続きを読む浦屋の惣領娘お希以は、祖父の死後の大火事で出奔した父の後を継ぎ大浦屋の女主となる。 
幼き頃から海の向こうに広がる世界に深い憧憬の念を抱く希以は、頭の硬い油商仲間の年寄に辟易し、単独で阿蘭陀と交易しようと企て、月花楼のお政に頼みテキストルという阿蘭陀人を紹介してもらう。そして欧米人が茶を好む事に目を付けた希以は選りすぐりの茶葉をテキストル託し阿蘭陀商人との橋渡しを頼むのだった。
一日千秋の思いで朗報を待つ希以に漸く光がさしたのは三年の後だったが、相手はテキストルではなく英吉利の交易商人ヲルトだった。
紆余曲折を経ながらも佐賀・嬉野の百姓・茂作らの助力を得、茶葉の交易で莫大な利益を得た希以は、ヲルトに紹介されたガラパアの邸宅で外国人達と交流を深めて行き、テキストルとも再会を果たす。
そんな中大浦屋の二階には、茂作の紹介で居ついた大隈という男が上杉、才谷と名乗る得体の知れない武士を引き入れ酒盛りを繰り返す。折しも、攘夷の風が強くなる中であったが次第にその亀山社中の若者達の面倒を見る様になる。

やがて、密航に失敗した上杉(近藤長次郎)の切腹を皮切りに、出奔していた父の帰還、そして薩長同盟と希以の身辺が風雲急を告げて行く。
いよいよ時代の変わり目を迎えようとする中、お慶(希以)は岩崎弥太郎、後藤象二郎等とも親交を深め経済的支援を施す様になり、またガラパアのとりなしで才谷(龍馬)の海援隊の後見人となるのだった。

そして…
遂に「大政奉還成レリ」の知らせが届く。
だが、そのほんの一月後、龍馬の死を知る事になる。

さらには家族同然でもある懐刀の突然の死…

足下をゆるがす出来事の後、明治となった日本では、駿河産の茶に押され長崎からの出荷は激減する。さらに
ヲルト商会の大阪移転という大打撃を受け八方塞がりになっていたお慶は、再会した品川の提案する煙草葉の交易に乗り出すが…

幼き日、大海の向こうに広がる世界を夢想し胸を躍らせた女の行き着いた境地とは・・

◯大浦お希以(後のお慶)・・長崎の老舗油商・大浦屋の惣領娘。

◯およし・・希以の世話係だったが、やがて使用人の差配までこなすように。最後まで片腕として運命を共にした。

◯友助・・弥右衛門が去った後の番頭。希以の片腕。希以の跳ねっ返りを楽しんでいた。

◯弥右衛門・・大浦屋の祖父の代からの大番頭。
希以か茶葉交易に乗り出すと大浦屋を去る。

◯大浦重治・・希以の腹違いの弟。最後は大浦屋を継ぐ。小心者で視野が狭い。

◯大隈八太郎・・佐賀藩士で代品方を務める。
大浦屋の製茶場の二階に居座り得体の知れない武士を引き入れ大騒ぎする。(後の大隈重信)

◯上杉宗次郎・・大隈の引き入れていた若者の一人。実は亀山社中。ガラパアの帰国の際に密航を企てるが失敗し、社中の追及により切腹。(近藤長次郎)

◯才谷梅太郎・・土佐の脱藩浪人で海援隊を立ち上げる。お慶に海援隊の後見を頼むが近藤を救えなかった事を責められる。(坂本龍馬)

◯お政・・丸山の料理屋・月花楼(長崎の重鎮達の社交場)の女将。お希以が最初に茶葉を託したテキストルとの仲立ちをする。多くの志士達の援助をする。

◯品川藤十郎・・テキストルとの邂逅の際の通訳。後に熊本藩士・遠山と組んでお慶を…

◯西田圭介・・ヲルトとの最初の取引で通訳を務める。後のお慶最大の危機にも助力。

◯岩崎弥太郎・・月花楼のお政を通じ知り合い、お慶に経済的支援を受ける。後の三菱財閥総帥。

◯ヲルト・・英吉利の交易商人。最初の交易相手。お慶を大切にしているが、根底に日本を下に見ている所がある。

◯ガラパア・・英吉利の商人。マセソン商会の長崎代理店。ガラパア邸のオーナー。

◯井手茂作与志郎・・佐賀嬉野の名字帯刀を許された大百姓。希以の最初の交易で茶葉の調達に尽力。何人ものキーパーソンを引き合わせた恩人。

◯杉山徳三郎・・茂作の紹介で、お慶と横浜製造所の払い下げを受け、船のボイラーや部品を扱う会社を共同経営。 お慶引退時には上と掛け合い莫大な退職金を引き出す。

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Posted by ブクログ 2019年11月30日

面白かった!
長崎の日本茶貿易の先駆者、大浦慶の生涯の物語
幕末から明治維新への激動の時代
古い物、亡くなった人にグッドバイして新しい時代へ
普段使わない言葉も出てきて味わい深い。
侠気、賢哲、恬淡、分限者、客死、遊山、入津、剣呑など
印象に残った文章
⒈ 女将しゃんは安泰の中でじっとしとられん。い...続きを読むつでん、ようわからんことに乗り出したい人やなかか
⒉ わしはいつも、風月同天を思うちょります
⒊ 月花楼のあの離屋でテキストルに茶葉を預けた時、通弁してくれたのは他の誰でもない、品川だった。その巡り合わせを信じていた。
⒋ わしじゃなかとよ。大隈さんが、お慶さん、あんたの名ば出したと
⒌ 辛い時期は耐えおおせたのに、こんな情には抗いようがない。
  ただひたすらに泣いた。
⒍ 人の生の数奇を感じる。波が逆巻くかと思えば凪ぎ、満ちては引き、引いては満ちる。
⒎ 討ち入りみたか言い方をしなさんな。夕食をよばれに行くだけよ
⒏ 人生なるもの、人との縁こそが風であり、帆であると思ったりする。

‪朝井まかてさんの本は初めて読んだ。‬
‪また、好きな作家ができそうな予感がする。‬

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Posted by ブクログ 2020年01月20日

江戸時代末期、長崎の油商人の娘お希以は、家庭の事情で若いながらも大浦屋の跡目を継ぐ。
ずっと自分を大事にしてくれた祖父の『才覚さえあれば』という言葉を大事に、お希以は新たな商いを始めた。…

大浦お慶の半生の物語。
幕末の志士、亀山社中のパトロンとなっていたお慶。
とても魅力的な人で、その周りには、...続きを読む運と共に人も集まります。
波乱万丈の半生を、興味深く読みましたが、途中苦戦。
最後に気持ちよく読み終えたので、最後まで読んで良かった、というのが素直な感想です。


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Posted by ブクログ 2019年12月16日

幕末の長崎で茶輸出で財を成した大浦慶を主人公にした時代小説です。

大火で焼き出された油問屋を16歳で継ぎ、時代の流れで斜陽化する問屋仲間に反発して、全く畑違いの英米相手の茶輸出に手を出す。そんな無鉄砲な所は有るが、お慶は誠実で信の置ける女性商人としてオールト、グラバーなどの外国商人から認められ、長...続きを読む崎の大商人になって行きます。
そんな慶に厳しく接しながらも忠義者の大番頭の弥左衛門、その後を継ぐ友助、万能女中のおよし。お慶を取り巻く人材も見事です。
もちろん幕末の長崎ですから幕末の志士たちも顔を出します。大浦屋の2階でくだを巻く亀山社中の才谷梅太郎(坂本龍馬)や上杉宗次郎(近藤長次郎)、陸奥宗光、大隈重信、三菱の岩崎弥太郎。お慶自身は政治思想は持たないものの、こうした若い才能を資金面で支援します。
しかし明治4年、詐欺事件に巻き込まれたお慶は多額の賠償金を背負い信用を落とし、生涯をかけてその負債を支払うことになります。

色事もなく、時代に翻弄される一代の女商人の生涯を、やや淡々と、しかしガッツリと描き、そのもので読ませる佳作でした。

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Posted by ブクログ 2019年11月26日

長崎は大浦屋(おうらや)の女主、お希以(おけい)、後の大浦慶の波乱万丈の物語。番頭弥右衛門、手代(後に番頭、早逝)の友助、女中頭およしが脇をしっかり固めています。油商から茶葉の交易に。史実にのっとった物語と思いますが、なんと坂本龍馬、岩崎弥太郎、大隈重信なども登場します。前半の心躍る活躍の一方で、後...続きを読む半は失敗や失意、そして穏やかな持ち直しと、やや物足りなさを覚えますが、それも史実を大切にする著者の力量の範囲と思慮しました。

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Posted by ブクログ 2019年11月22日

安定感ある朝井作品。大浦慶を主人公にした幕末維新の大河ドラマ。大浦慶の名前は知っていても詳細は存じ上げなかったので、大変勉強になりました。

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Posted by ブクログ 2020年04月26日

江戸末期から明治維新、異人を相手に女主人が商いを繰り広げる物語。
何が良くて何が向くのか、自問しながら生きていく背筋をしゃんとする、そんな主人公に共感し愛おしさを感じる。
酷いことをされた恨んでいることでも、背を向けずしっかり向き合って尽くす姿は見習うべき。
レヴォリューション万歳

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Posted by ブクログ 2020年02月23日

長崎の油商・大浦屋の女あるじ、お希以―のちの大浦慶・26歳。黒船来航騒ぎで世情が揺れる中、無鉄砲にも異国との茶葉交易に乗り出した。商いの信義を重んじるお希以は英吉利商人のヲルトやガラバアと互角に渡り合い、“外商から最も信頼される日本商人”と謳われるようになる。やがて幕末の動乱期、長崎の町には志を持つ...続きを読む者が続々と集まり、熱い坩堝のごとく沸き返る。坂本龍馬や近藤長次郎、大隈八太郎や岩崎弥太郎らとも心を通わせ、ついに日本は維新回天を迎えた。やがて明治という時代に漕ぎ出したお慶だが、思わぬ逆波が襲いかかる―。いくつもの出会いと別れを経た果てに、大浦慶が手に入れたもの、失ったもの、目指したものとは―。

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Posted by ブクログ 2020年02月05日

一代記という体裁のせいか、新聞小説のせいか、いつもの”ドライブ感”がちょと足りない気がしました。興味深い人物が次々に登場しますが、あまり絡まず、活躍もしない。タイトルのグッドバイもね、ちょっと...

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Posted by ブクログ 2020年01月04日

大浦慶の一代記.油屋から茶葉を扱う商いに転向するところが外国の商人や幕末の志士との駆け引き交流もあって物語に力があった.後半商売の失敗や家のゴタゴタなど力が失われていくような感があり,最後の方で少し持ち直して穏やかに終わったが失速感は否めない.でも全体として長崎のその時代の空気感が眼前にある文章力は...続きを読む素晴らしいと思う.

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